JP2006281647A - 射出成形における金型温度解析装置および金型温度解析方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】金型温度を精度よく求めることが可能となる射出成形における金型温度解析装置および金型温度解析方法を提供する。
【解決手段】射出成形における金型温度解析方法または装置であって、仮定した金型温度に関するデータの入力部1と、樹脂充填過程の流動している樹脂から金型への移動熱量を演算する演算部3と、樹脂充填完了後の静止している樹脂から金型への移動熱量を演算する演算部5と、前記両熱量を併せて成形プロセス中の樹脂から金型へ移動する熱量として、金型温度解析を行う金型温度演算部7と、前記演算された金型温度が、解析終了条件を満たすか否かを判断する収束判定部8と、を有し、前記収束判定部において解析終了条件を満たしていないと判定された場合に、前記仮定された金型温度を更新し、前記解析終了条件を満たすまで繰り返し再計算を行うようにする。
【選択図】 図1
【解決手段】射出成形における金型温度解析方法または装置であって、仮定した金型温度に関するデータの入力部1と、樹脂充填過程の流動している樹脂から金型への移動熱量を演算する演算部3と、樹脂充填完了後の静止している樹脂から金型への移動熱量を演算する演算部5と、前記両熱量を併せて成形プロセス中の樹脂から金型へ移動する熱量として、金型温度解析を行う金型温度演算部7と、前記演算された金型温度が、解析終了条件を満たすか否かを判断する収束判定部8と、を有し、前記収束判定部において解析終了条件を満たしていないと判定された場合に、前記仮定された金型温度を更新し、前記解析終了条件を満たすまで繰り返し再計算を行うようにする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、射出成形における金型温度解析装置および金型温度解析方法に関するものである
プラスティック射出成形技術において、成形サイクルのスピードアップ・生産コストの削減を行うために、金型の補正回数の削減が強く望まれている。
このような補正が必要となる要因の1つとして、金型の温度制御が挙げられる。金型の成形品近傍に著しく蓄熱する箇所があると、成形品は大きく変形してしまう可能性があり、水管・温調の再設計が必要となる。
そのため、金型の設計段階で、成形時の金型温度分布を事前に予測する必要がある。
従来より、金型温度を予測するために解析システムが利用されている。
このような金型温度を予測するための解析システムとして、モデル化された金型および水管形状についての有限要素法、境界要素法などの数値計算法が用いられ、これらが状況に応じて個別にあるいは組み合わせて使用される。
このような補正が必要となる要因の1つとして、金型の温度制御が挙げられる。金型の成形品近傍に著しく蓄熱する箇所があると、成形品は大きく変形してしまう可能性があり、水管・温調の再設計が必要となる。
そのため、金型の設計段階で、成形時の金型温度分布を事前に予測する必要がある。
従来より、金型温度を予測するために解析システムが利用されている。
このような金型温度を予測するための解析システムとして、モデル化された金型および水管形状についての有限要素法、境界要素法などの数値計算法が用いられ、これらが状況に応じて個別にあるいは組み合わせて使用される。
金型温度予測を行う従来技術としては、例えば特許文献1のような解析システムが知られている。
つぎに、特許文献1の解析システムを図4を用いて説明する。
この解析システムでは、まず樹脂流動解析により得られた樹脂充填完了時の温度分布を初期条件(熱荷重)として使用し(S11)、金型表面(成形品側)の温度Twを仮定(S12)する。
つぎに、金型表面(成形品側)の温度Twを一定として(S13)、型内での冷却時間内に成形品から金型へ移動する熱量Qを算出する(S14)。
さらに,上記ステップで求められた熱量Q、冷却管から金型へ移動する熱量Qw
、外気から金型へ移動する熱量Qaを元に、1サイクル平均の金型の温度分布を熱量のつりあいから一意的に算出する(S15)。
再度算出された金型表面温度Tw’が再度算出され(S16)、この温度Tw’が先に仮定した金型温度Twに対して定めた判定値以内(|Tw−Tw’|<判定値)であれば終了(S17)、そうでなければ金型表面温度を更新して、S12以降の計算を、終了条件を満たすまで繰り返す。
上記特許文献1には、このようにして金型の冷却サイクル中の平均的な温度分布を得る方法が示されており、このような手法は、金型温度解析の手法として一般的に使用されている。
「型技術」第7巻第12号1992年11月号P54〜58(コンピュータによる金型冷却解析)
つぎに、特許文献1の解析システムを図4を用いて説明する。
この解析システムでは、まず樹脂流動解析により得られた樹脂充填完了時の温度分布を初期条件(熱荷重)として使用し(S11)、金型表面(成形品側)の温度Twを仮定(S12)する。
つぎに、金型表面(成形品側)の温度Twを一定として(S13)、型内での冷却時間内に成形品から金型へ移動する熱量Qを算出する(S14)。
さらに,上記ステップで求められた熱量Q、冷却管から金型へ移動する熱量Qw
、外気から金型へ移動する熱量Qaを元に、1サイクル平均の金型の温度分布を熱量のつりあいから一意的に算出する(S15)。
再度算出された金型表面温度Tw’が再度算出され(S16)、この温度Tw’が先に仮定した金型温度Twに対して定めた判定値以内(|Tw−Tw’|<判定値)であれば終了(S17)、そうでなければ金型表面温度を更新して、S12以降の計算を、終了条件を満たすまで繰り返す。
上記特許文献1には、このようにして金型の冷却サイクル中の平均的な温度分布を得る方法が示されており、このような手法は、金型温度解析の手法として一般的に使用されている。
ところで、本来、樹脂充填過程では、樹脂は高温状態で流入口から高速に流入され、ある時間を費やしたのちに充填が完了される。この樹脂流動の間にも樹脂から金型への熱移動は存在している。また樹脂は高速に流入されているため、流動中に粘性の影響によるせん断発熱が発生する。したがって、充填過程は、冷却サイクル全体と比べて時間的には小さいものの、その間の発熱量は無視できないものである。
また、樹脂の流入口付近(上流)と反流入口付近(下流)では、樹脂の到達時刻に差があることから、冷却サイクル中の金型との接触時間が異なり、結果として発熱量に差を生じる。
また、樹脂の流入口付近(上流)と反流入口付近(下流)では、樹脂の到達時刻に差があることから、冷却サイクル中の金型との接触時間が異なり、結果として発熱量に差を生じる。
しかしながら、上記した従来技術の金型温度解析手法では、樹脂充填完了時の温度分布を初期条件として使用し、以降冷却サイクル中の金型と成形品の熱収支を計算している。つまり樹脂の充填時間をゼロとして計算しており、上で述べた樹脂充填過程における樹脂から金型への熱移動および流動中のせん断による発熱を考慮していない。
このような従来の解析手法では、実際に測定された金型温度に対して低い温度が算出される傾向があり、特に樹脂流入口付近では、その温度差が大きくなることから、射出成形における金型温度を精度よく求める上で、必ずしも満足の得られるものではなかった。
このような従来の解析手法では、実際に測定された金型温度に対して低い温度が算出される傾向があり、特に樹脂流入口付近では、その温度差が大きくなることから、射出成形における金型温度を精度よく求める上で、必ずしも満足の得られるものではなかった。
本発明は、上記課題に鑑み、金型温度を精度よく求めることが可能となる射出成形における金型温度解析装置および金型温度解析方法を提供することを目的とするものである。
本発明は、以下のように構成した射出成形における金型温度解析方法および金型温度解析装置を提供するものである。
すなわち、本発明の射出成形における金型温度解析装置は、仮定された金型温度に関するデータを入力するデータ入力部と、樹脂充填過程の流動している樹脂から金型への移動熱量を演算する第1の移動熱量演算部と、樹脂充填完了後の静止している樹脂から金型への移動熱量を演算する第2の移動熱量演算部と、前記第1及び第2の移動熱量演算部で演算された両熱量を併せて成形プロセス中の樹脂から金型へ移動する熱量として、金型温度解析を行う金型温度演算部と、前記金型温度演算部で演算された金型温度が、前記データ入力部における仮定された金型温度との関係において解析終了条件を満たすか否かを判断する収束判定部と、を有し、前記収束判定部において解析終了条件を満たしていないと判定された場合に、前記仮定された金型温度を更新し、前記解析終了条件を満たすまで繰り返し再計算を行うようにしたことを特徴としている。
また、本発明の射出成形における金型温度解析方法は、仮定された金型温度に関するデータを入力する第1ステップと、前記第1のステップに次いで、樹脂充填過程の流動している樹脂から金型への移動熱量を算出する第2ステップと、前記第2のステップに次いで、樹脂充填完了後の静止している樹脂から金型への移動熱量を算出する第3ステップと、前記第2及び第3のステップで算出された両熱量を併せて成形プロセス中の樹脂から金型へ移動する熱量とし金型温度解析を行
う第4ステップと、前記第4のステップで得られた金型温度が前記第1のステップで仮定した金型温度との関係において解析終了条件を満たすか否かを判断する第5ステップと、を有し、前記解析終了条件を満たしていない場合に、前記仮定された金型温度を更新し、前記解析終了条件を満たすまで繰り返し再計算を行うことを特徴としている。
すなわち、本発明の射出成形における金型温度解析装置は、仮定された金型温度に関するデータを入力するデータ入力部と、樹脂充填過程の流動している樹脂から金型への移動熱量を演算する第1の移動熱量演算部と、樹脂充填完了後の静止している樹脂から金型への移動熱量を演算する第2の移動熱量演算部と、前記第1及び第2の移動熱量演算部で演算された両熱量を併せて成形プロセス中の樹脂から金型へ移動する熱量として、金型温度解析を行う金型温度演算部と、前記金型温度演算部で演算された金型温度が、前記データ入力部における仮定された金型温度との関係において解析終了条件を満たすか否かを判断する収束判定部と、を有し、前記収束判定部において解析終了条件を満たしていないと判定された場合に、前記仮定された金型温度を更新し、前記解析終了条件を満たすまで繰り返し再計算を行うようにしたことを特徴としている。
また、本発明の射出成形における金型温度解析方法は、仮定された金型温度に関するデータを入力する第1ステップと、前記第1のステップに次いで、樹脂充填過程の流動している樹脂から金型への移動熱量を算出する第2ステップと、前記第2のステップに次いで、樹脂充填完了後の静止している樹脂から金型への移動熱量を算出する第3ステップと、前記第2及び第3のステップで算出された両熱量を併せて成形プロセス中の樹脂から金型へ移動する熱量とし金型温度解析を行
う第4ステップと、前記第4のステップで得られた金型温度が前記第1のステップで仮定した金型温度との関係において解析終了条件を満たすか否かを判断する第5ステップと、を有し、前記解析終了条件を満たしていない場合に、前記仮定された金型温度を更新し、前記解析終了条件を満たすまで繰り返し再計算を行うことを特徴としている。
本発明によれば、射出成形における樹脂充填過程での金型への熱移動を考慮することで、金型温度の予測精度を向上することが可能となる。
以下に、本発明の実施の形態について説明する。
図1に本発明の実施の形態における金型温度解析装置のブロック図を示す。
図1において、1はデータ入力部であり、2はデータ入力記憶部である。このデータ入力部1では、解析の前提として、成形品、スプル・ランナー、金型の形状を定義し(図6,7,8)、樹脂流入温度、金型の熱伝導率を定め、さらに温調媒体・外気と金型の熱境界条件を定め、データ入力記憶部2に記憶する。
3は流動樹脂−金型移動熱量演算部であり、4は流動樹脂−金型移動熱量記憶部である。この流動樹脂−金型移動熱量演算部3では、樹脂充填過程における流動する樹脂から金型へ移動する熱量を算出し、流動樹脂−金型移動熱量記憶部4に記憶する。
5は静止樹脂−金型移動熱量演算部、6は静止樹脂−金型移動熱量記憶部、7は金型温度演算部、8はデータ出力部である。
静止樹脂−金型移動熱量演算部5では、樹脂充填後における静止している樹脂から金型へ移動する熱量を算出し、静止樹脂−金型移動熱量記憶部6に記憶する。金型温度演算部7では、流動樹脂−金型移動熱量演算部3および静止樹脂−金型移動熱量演算部5で得られた熱量を併せて成形プロセス中の樹脂から金型へ移動する熱量とし、この熱量とデータ入力部で定められた温調媒体・外気と金型の熱境界条件のつりあいから、一意的に金型温度の分布を算出する。
データ出力部8では、金型温度演算部7で得られた金型温度を出力する。
図1に本発明の実施の形態における金型温度解析装置のブロック図を示す。
図1において、1はデータ入力部であり、2はデータ入力記憶部である。このデータ入力部1では、解析の前提として、成形品、スプル・ランナー、金型の形状を定義し(図6,7,8)、樹脂流入温度、金型の熱伝導率を定め、さらに温調媒体・外気と金型の熱境界条件を定め、データ入力記憶部2に記憶する。
3は流動樹脂−金型移動熱量演算部であり、4は流動樹脂−金型移動熱量記憶部である。この流動樹脂−金型移動熱量演算部3では、樹脂充填過程における流動する樹脂から金型へ移動する熱量を算出し、流動樹脂−金型移動熱量記憶部4に記憶する。
5は静止樹脂−金型移動熱量演算部、6は静止樹脂−金型移動熱量記憶部、7は金型温度演算部、8はデータ出力部である。
静止樹脂−金型移動熱量演算部5では、樹脂充填後における静止している樹脂から金型へ移動する熱量を算出し、静止樹脂−金型移動熱量記憶部6に記憶する。金型温度演算部7では、流動樹脂−金型移動熱量演算部3および静止樹脂−金型移動熱量演算部5で得られた熱量を併せて成形プロセス中の樹脂から金型へ移動する熱量とし、この熱量とデータ入力部で定められた温調媒体・外気と金型の熱境界条件のつりあいから、一意的に金型温度の分布を算出する。
データ出力部8では、金型温度演算部7で得られた金型温度を出力する。
つぎに、上記の装置を用いた本実施形態における金型温度解析方法について説明する。
まず、図2を用いて第1の実施形態について説明する。
金型表面(成形品側)の温度TWを与える(S21)。
つぎに樹脂の充填計算を行い、充填過程における樹脂から金型へ移動する熱量Q1を算出する(S22)。
さらに型内冷却過程における樹脂から金型へ移動する熱量Q2を算出する(S23)。
さらに冷却管から金型へ移動する熱量QWと、外気から金型へ移動する熱量Qa、成形品から金型へ移動する熱量Qm=Q1+Q2を元に、金型の温度分布を一意的に算出する(S24)。ここで得られた温度分布は成形サイクルにおける平均的な温度の分布である。
これにより金型表面(成形品側)の温度がTw’として再度求まる(S25)。
ここで当初与えた金型表面温度TWと、新たに求まった金型表面温度Tw’との差TW−Tw’の絶対値が、判定値を下回れば(S26)終了し、上回れば、再度S22より計算し、金型の温度分布を求める。
まず、図2を用いて第1の実施形態について説明する。
金型表面(成形品側)の温度TWを与える(S21)。
つぎに樹脂の充填計算を行い、充填過程における樹脂から金型へ移動する熱量Q1を算出する(S22)。
さらに型内冷却過程における樹脂から金型へ移動する熱量Q2を算出する(S23)。
さらに冷却管から金型へ移動する熱量QWと、外気から金型へ移動する熱量Qa、成形品から金型へ移動する熱量Qm=Q1+Q2を元に、金型の温度分布を一意的に算出する(S24)。ここで得られた温度分布は成形サイクルにおける平均的な温度の分布である。
これにより金型表面(成形品側)の温度がTw’として再度求まる(S25)。
ここで当初与えた金型表面温度TWと、新たに求まった金型表面温度Tw’との差TW−Tw’の絶対値が、判定値を下回れば(S26)終了し、上回れば、再度S22より計算し、金型の温度分布を求める。
つぎに、図3を用いて第2の実施形態について説明する。
金型表面(成形品側)の温度TWを与える(S31)。次に樹脂の充填計算を行い、充填過程における樹脂から金型へ移動する熱量Q1を算出する(S32)。さらに型内冷却過程における樹脂から金型へ移動する熱量Q2を算出する(S33)。さらに冷却管から金型へ移動する熱量QWと、外気から金型へ移動する熱量Qa、成形品から金型へ移動する熱量Qm=Q1+Q2を元に、金型の温度分布を一意的に算出する(S34)。ここで得られた温度分布は成形サイクルにおける平均的な温度の分布である。これにより金型表面(成形品側)の温度がTw’として再度求まる(S35)。ここで当初与えた金型表面温度TWと、新たに求まった金型表面温度Tw’との差TW−Tw’の絶対値が判定値を下回れば(S36
)終了。上回れば、再度S33より計算し、金型の温度分布を求める。
金型表面(成形品側)の温度TWを与える(S31)。次に樹脂の充填計算を行い、充填過程における樹脂から金型へ移動する熱量Q1を算出する(S32)。さらに型内冷却過程における樹脂から金型へ移動する熱量Q2を算出する(S33)。さらに冷却管から金型へ移動する熱量QWと、外気から金型へ移動する熱量Qa、成形品から金型へ移動する熱量Qm=Q1+Q2を元に、金型の温度分布を一意的に算出する(S34)。ここで得られた温度分布は成形サイクルにおける平均的な温度の分布である。これにより金型表面(成形品側)の温度がTw’として再度求まる(S35)。ここで当初与えた金型表面温度TWと、新たに求まった金型表面温度Tw’との差TW−Tw’の絶対値が判定値を下回れば(S36
)終了。上回れば、再度S33より計算し、金型の温度分布を求める。
以上による第1の実施形態と第2の実施形態の違いは、繰り返し計算を行う中で、充填過程における樹脂から金型へ移動する熱量Q1を再計算するか否かである。
第1の実施形態ではQ1を再計算するが、第2の実施形態ではQ1を再計算しない。第1の実施形態は、金型温度をより正確に求めるものであるが、計算時間が増大してしまう。これに対して第2の実施形態は、ある程度の計算精度向上と、計算時間の増大を抑制する効果を狙ったものである。
第1の実施形態ではQ1を再計算するが、第2の実施形態ではQ1を再計算しない。第1の実施形態は、金型温度をより正確に求めるものであるが、計算時間が増大してしまう。これに対して第2の実施形態は、ある程度の計算精度向上と、計算時間の増大を抑制する効果を狙ったものである。
ここで、充填過程における樹脂から金型へ移動する熱量Q1を算出する方法(S22またはS32)を、一つの例を挙げて簡単に説明する。
はじめに以下のような仮定を行う。
1.輻射はないものとする。
2.Z方向の速度はないものとする。
3.重力の影響はないものとする。
4.発熱は粘性によって発生するせん断発熱のみとする。
5.熱伝導はZ方向のみと考えるものとする。
上記仮定のもとで樹脂充填中の熱伝導方程式は以下の通りとなる。
ここで
p:密度、CP:比熱、t:時間、vxy:各軸方向速度、T:温度、η:粘度、γ:せん断速度である。
はじめに以下のような仮定を行う。
1.輻射はないものとする。
2.Z方向の速度はないものとする。
3.重力の影響はないものとする。
4.発熱は粘性によって発生するせん断発熱のみとする。
5.熱伝導はZ方向のみと考えるものとする。
上記仮定のもとで樹脂充填中の熱伝導方程式は以下の通りとなる。
ここで
p:密度、CP:比熱、t:時間、vxy:各軸方向速度、T:温度、η:粘度、γ:せん断速度である。
つぎに、熱境界条件を以下の通り与える。
1.壁面は温度固定
Z=H/2でT=TW
または熱量として与える。
q=α(T−TW)
ここでαは熱伝達率、Tは樹脂温度、TWは樹脂と接する金型表面温度
2.要素中心を境に温度対称
Z=0で∂T/∂Z=0
3.樹脂の初期温度は一定値
樹脂入り口でT=T0
ここで要素は図1で示す通りで、Z方向に高さHをもつものとする。
1.壁面は温度固定
Z=H/2でT=TW
または熱量として与える。
q=α(T−TW)
ここでαは熱伝達率、Tは樹脂温度、TWは樹脂と接する金型表面温度
2.要素中心を境に温度対称
Z=0で∂T/∂Z=0
3.樹脂の初期温度は一定値
樹脂入り口でT=T0
ここで要素は図1で示す通りで、Z方向に高さHをもつものとする。
つぎに、有限要素法で解く場合の定式化を行う。
形状関数は図5における(x,y,z)軸を無次元座標系(ξ,Ψ,ζ)としたときに以下のように与えられる。
Ni(ξ,Ψ,ζ)=1/8(1+ξ・ξi)・(1+Ψ・Ψi)(1+ζ・ζi)
この形状関数を用いて要素内の温度は次式で表される。
形状関数は図5における(x,y,z)軸を無次元座標系(ξ,Ψ,ζ)としたときに以下のように与えられる。
Ni(ξ,Ψ,ζ)=1/8(1+ξ・ξi)・(1+Ψ・Ψi)(1+ζ・ζi)
この形状関数を用いて要素内の温度は次式で表される。
壁面に接する要素について、上式によって計算を行えば、各要素の各節点から出て行く単位時間あたりの熱量が計算できる。熱伝導は板厚方向しか考えていないため、壁面に接する節点の熱量の総和を取ることで、金型へ逃げる熱量が計算できる。流動時に金型へ逃げる熱量はこの熱量を時間方向に流動時に渡って積分することで得られる。
[実施例1]
実施例1においては、上記第1の実施形態を適用し、実際に測定した金型の温度と比較した。
図6は成形品とランナーのモデルを示すものであり、成形品は、幅20mm長さ50mm厚さ2mmの薄板である。
また図7は成形品・ランナーおよび金型を示したものである。金型は成形品を覆うように幅40mm長さ70mm高さ24mmとした。
さらに図8は、図6に示したモデルをメッシュ分割したものである。
実施例1においては、上記第1の実施形態を適用し、実際に測定した金型の温度と比較した。
図6は成形品とランナーのモデルを示すものであり、成形品は、幅20mm長さ50mm厚さ2mmの薄板である。
また図7は成形品・ランナーおよび金型を示したものである。金型は成形品を覆うように幅40mm長さ70mm高さ24mmとした。
さらに図8は、図6に示したモデルをメッシュ分割したものである。
成形条件を以下に示す。
樹脂は旭化成のHIPSで、グレードはVS123である。粘性係数等の物性値は、測定して得られた値を使用した。
また充填温度は210℃とし、充填時間は0.8秒、保圧時間4秒、型内での冷
却時間は15秒とした。
また金型の熱伝導率は等方的に3.98E−2(W/mmK)とし、金型取り付け面は断熱で固定側の温度は37℃、可動側の温度は34℃とした。
さらに外気温度は24℃とし、対流熱伝達を10(W/m2K)とした。
樹脂は旭化成のHIPSで、グレードはVS123である。粘性係数等の物性値は、測定して得られた値を使用した。
また充填温度は210℃とし、充填時間は0.8秒、保圧時間4秒、型内での冷
却時間は15秒とした。
また金型の熱伝導率は等方的に3.98E−2(W/mmK)とし、金型取り付け面は断熱で固定側の温度は37℃、可動側の温度は34℃とした。
さらに外気温度は24℃とし、対流熱伝達を10(W/m2K)とした。
図9のP1〜P5の測定点における金型表面温度を、実施結果と実測値で比較したものを図10ならびに図11に示す。
従来の解析方法および装置では、実際に測定された金型温度に対して低い温度が算出される傾向があり、特に樹脂流入口付近では、その温度差が大きくなる。そこで樹脂充填過程における金型への熱移動を考慮して、成形品冷却サイクル中の金型温度を求めることで、より測定値に近い温度計算結果が得られた。各測定点における実測温度と計算結果の差は、従来の手法では平均7.6℃、これに対して平均1.8℃となり74%減少させることができた。
従来の解析方法および装置では、実際に測定された金型温度に対して低い温度が算出される傾向があり、特に樹脂流入口付近では、その温度差が大きくなる。そこで樹脂充填過程における金型への熱移動を考慮して、成形品冷却サイクル中の金型温度を求めることで、より測定値に近い温度計算結果が得られた。各測定点における実測温度と計算結果の差は、従来の手法では平均7.6℃、これに対して平均1.8℃となり74%減少させることができた。
[実施例2]
実施例2においては、上記第2の実施形態を適用し、実際に測定した金型の温度と比較した。
モデルならびに成形条件は、実施例1と同じである。
また実施例1と同様に、図9のP1〜P5の測定点における金型表面温度を、実施結果と実測値で比較したものを図10ならび図11に加えた。
図10ならびに図11に示した、各測定点における実測温度と計算結果の差は、従来の手法では平均7.6℃、これに対して平均3.4℃となり、55%減少させることができた。
また計算時間は、従来の方法では12分、これに対して13分となり、8%程度の増加に抑えることができた。
実施例2においては、上記第2の実施形態を適用し、実際に測定した金型の温度と比較した。
モデルならびに成形条件は、実施例1と同じである。
また実施例1と同様に、図9のP1〜P5の測定点における金型表面温度を、実施結果と実測値で比較したものを図10ならび図11に加えた。
図10ならびに図11に示した、各測定点における実測温度と計算結果の差は、従来の手法では平均7.6℃、これに対して平均3.4℃となり、55%減少させることができた。
また計算時間は、従来の方法では12分、これに対して13分となり、8%程度の増加に抑えることができた。
1:データ入力部
2:データ入力記憶部
3:流動樹脂−金型移動熱量演算部
4:流動樹脂−金型移動熱量記憶部
5:静止樹脂−金型移動熱量演算部
6:静止樹脂−金型移動熱量記憶部
7:金型温度演算部
8:データ出力部
2:データ入力記憶部
3:流動樹脂−金型移動熱量演算部
4:流動樹脂−金型移動熱量記憶部
5:静止樹脂−金型移動熱量演算部
6:静止樹脂−金型移動熱量記憶部
7:金型温度演算部
8:データ出力部
Claims (6)
- 射出成形における金型温度解析装置であって、
仮定された金型温度に関するデータを入力するデータ入力部と、
樹脂充填過程の流動している樹脂から金型への移動熱量を演算する第1の移動熱量演算部と、
樹脂充填完了後の静止している樹脂から金型への移動熱量を演算する第2の移動熱量演算部と、
前記第1及び第2の移動熱量演算部で演算された両熱量を併せて成形プロセス中の樹脂から金型へ移動する熱量として、金型温度解析を行う金型温度演算部と、
前記金型温度演算部で演算された金型温度が、前記データ入力部における仮定された金型温度との関係において解析終了条件を満たすか否かを判断する収束判定部と、
を有し、前記収束判定部において解析終了条件を満たしていないと判定された場合に、前記仮定された金型温度を更新し、前記解析終了条件を満たすまで繰り返し再計算を行うようにしたことを特徴とする射出成形における金型温度解析装置。 - 前記再計算において、前記第1及び第2の移動熱量演算部の双方で熱量が再計算されることを特徴とする請求項1に記載の金型温度解析装置。
- 前記再計算において、前記第2の移動熱量演算部でのみ熱量が再計算されることを特徴とする請求項1に記載の金型温度解析装置。
- 射出成形における金型温度解析方法であって、
仮定された金型温度に関するデータを入力する第1ステップと、
前記第1のステップに次いで、樹脂充填過程の流動している樹脂から金型への移動熱量を算出する第2ステップと、
前記第2のステップに次いで、樹脂充填完了後の静止している樹脂から金型への移動熱量を算出する第3ステップと、
前記第2及び第3のステップで算出された両熱量を併せて成形プロセス中の樹脂から金型へ移動する熱量とし金型温度解析を行う第4ステップと、
前記第4のステップで得られた金型温度が前記第1のステップで仮定した金型温度との関係において解析終了条件を満たすか否かを判断する第5ステップと、
を有し、前記解析終了条件を満たしていない場合に、前記仮定された金型温度を更新し、前記解析終了条件を満たすまで繰り返し再計算を行うことを特徴とする射出成形における金型温度解析方法。 - 前記再計算において、前記第2ステップから前記解析終了条件を満たすまで、計算を繰り返すことを特徴とする請求項4に記載の射出成形における金型温度解析方法。
- 前記再計算において、前記第3ステップから前記解析終了条件を満たすまで、計算を繰り返すことを特徴とする請求項4に記載の射出成形における金型温度解析方法。
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JP2009053094A (ja) * | 2007-08-28 | 2009-03-12 | Toyota Motor Corp | 金型温度解析方法 |
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