JP2006281297A - 内部仕切り壁を持つ管及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】技術的に簡単な加工を施すだけで容易に製造でき且つその断面の真円度や軸心方向の真直度を高く確保することが可能な内部仕切り壁を持つ管及びその製造方法を提供する。
【解決手段】全長に亘り円周方向の一部を内側へ窪ませて溝部30を形成した異形断面の第一の内管31と、該第一の内管31に対し冷間引き抜き加工により緊密に外嵌装着されて前記第一の内管31のスプリングバックを拘束する第二の内管32と、該第二の内管32に対し冷間引き抜き加工により緊密に外嵌装着されて断面の真円度及び軸心方向の真直度を高く確保する外管33とを備え、これら第一及び第二の内管31,32と外管33とから成る三重管構造によりロッカーシャフト29を構成する。
【選択図】図1
【解決手段】全長に亘り円周方向の一部を内側へ窪ませて溝部30を形成した異形断面の第一の内管31と、該第一の内管31に対し冷間引き抜き加工により緊密に外嵌装着されて前記第一の内管31のスプリングバックを拘束する第二の内管32と、該第二の内管32に対し冷間引き抜き加工により緊密に外嵌装着されて断面の真円度及び軸心方向の真直度を高く確保する外管33とを備え、これら第一及び第二の内管31,32と外管33とから成る三重管構造によりロッカーシャフト29を構成する。
【選択図】図1
Description
本発明は、内部仕切り壁を持つ管及びその製造方法に関するものである。
従来よりトラックやバス等の大型車輌では、もともと車輌重量が大きい上に積載荷重が加わる為、減速時に慣性力が大きく作用することになり、常用ブレーキ装置にかかる負担が大きくなる。
そこで、下り坂等でブレーキをかける頻度が高い時には、一般的にエンジンブレーキを併用することが行われているが、積載荷重が大きい場合や坂道が急勾配であるような場合には、十分なエンジンブレーキの効果が得られないことがある。
この為、エンジンの圧縮上死点付近で排気弁を強制的に開作動して圧縮圧力を開放することにより次の膨張行程におけるピストンを押し下げる力の発生を少なくして圧縮行程で得た制動力を有効に作用させるようにした圧縮圧開放型エンジンブレーキを補助的に装備することが行われている。
図2は前記圧縮圧開放型エンジンブレーキの一例を示すもので、図中1はシリンダ、2は燃焼室、3はピストン、4は排気弁、5は排気流路を夫々示し、排気行程でカムシャフト6に装備した排気カム7により基端をローラ8aを介し押し上げられて傾動するロッカーアーム8の先端によりブリッジ9を介し両方の排気弁4が押し下げられて開作動され、燃焼室2から排気流路5へと排気ガス10が掃気されるようになっている。
そして、前記ロッカーアーム8の先端によりブリッジ9を介し両方の排気弁4が押し下げられて開作動される際には、前記ロッカーアーム8の基端が上方のハウジング11に備えられたマスターピストン12を押し上げ、前記ハウジング11内に穿設された油通路13に圧力を発生させて別のシリンダ1の上方にあるスレーブピストン14を従動させて下降せしめ、該スレーブピストン14によりブリッジ9の片側に装備したアクチュエータピン15を介し一方の排気弁4を単独でも押し下げ得るようにしてある。
即ち、排気行程となっている別のシリンダ1のマスターピストン12の作動により、圧縮上死点付近となっているシリンダ1のスレーブピストン14が従動されるよう行程タイミングの合うシリンダ1相互のスレーブピストン14とマスターピストン12との間が油通路13で接続されており、該油通路13には、該油通路13の油圧の保持・開放を切り替える為の作動油供給手段であるソレノイドバルブ16及びコントロールバルブ17を介し作動油18(エンジンオイル)が供給されるようになっている。
ここで、ソレノイドバルブ16は、制御装置19からの制御信号16aにより作動油18の供給・遮断を行い、コントロールバルブ17は、ソレノイドバルブ16が開いた状態で前記油通路13の油圧が保持されるよう逆止弁として機能し且つソレノイドバルブ16が閉じた状態では前記油通路13の油圧をリリーフ口20へと開放するよう機能するものである。
尚、図中21は吸入空気、22は吸気流路、23は吸気や排気を担うロッカーアーム8を回動自在に軸支して該ロッカーアーム8の傾動軸を成すロッカーシャフトを示す。
而して、斯かる圧縮圧開放型エンジンブレーキにおいては、制御信号16aによりソレノイドバルブ16を開けておくと、コントロールバルブ17が逆止弁として機能して油通路13が閉じるので、各シリンダ1の夫々が異なるタイミングで圧力上死点付近となった際に、排気行程にある別のシリンダ1の排気弁4を開作動する為の排気カム7の押し上げによりロッカーアーム8を介しマスターピストン12が押し上げられて油通路13に圧力が発生し、圧縮上死点付近にあるシリンダ1のスレーブピストン14が従動されて一方の排気弁4が開作動されるので、燃焼室2内から排気流路5へと圧縮空気が開放されて次の膨張行程におけるピストン3を押し下げる力の発生が少なくなり、圧縮行程で得た制動力が有効に活用されることになる。
また、制御信号16aによりソレノイドバルブ16を閉じておけば、コントロールバルブ17により油通路13の油圧が開放され、油通路13内には圧力が発生しないので、スレーブピストン14が従動されなくなり、排気弁4は通常の開弁操作により排気行程でのみ開作動されて圧縮上死点付近では開作動されなくなる。
ただし、近年においては、斯かる圧縮圧開放型エンジンブレーキを軽量安価にて成立させるべく、エンジン上部に搭載されていた油圧ユニットのハウジング11を廃止し、その機能をロッカーアーム側に構成することが提案されている。
例えば、通常のバルブ操作を担うロッカーアーム8とは別にブレーキ専用のロッカーアームをロッカーシャフト23に増設すると共に、このブレーキ専用のロッカーアームに油圧式の出没自在なピストン機構を備え、該ピストン機構を介し前記ブレーキ専用のロッカーアームを所望のタイミングで傾動せしめるブレーキ専用カムをカムシャフト6に増設し、前記ピストン機構をロッカーシャフト23の内部に穿設した給油流路からの油圧により押し出して出没状態に保持したり、その油圧を開放して非作動状態にしたりすることが考えられている。
このように油圧ユニットの機能をロッカーアーム側に構成して圧縮圧開放型エンジンブレーキを成立させる場合、ロッカーシャフト23の内部に既存の通常潤滑(動弁系への潤滑)用の給油流路とブレーキ作動用の給油流路とを並設しなければならないが、ロッカーシャフト23のような長尺で硬いスチール部材の内部に、その軸心方向に向けて複数本の長い給油流路を穿孔加工するのは容易なことではなかった。
特に近年では、吸気行程でシリンダ1の排気弁4を僅かに開弁作動させて排気流路5側から排気ガス10の一部をシリンダ1内に呼び戻すようにした内部EGR装置の併用も検討されているため、斯かる内部EGR装置を併用した場合には、EGR用の給油流路もロッカーシャフト23の内部に独立して追加加工しなければならなくなり、生産性の大幅な低下を招いてしまう虞れがあった。
このため、複数の給油流路を持つロッカーシャフト23を生産性良く製造する手段として、例えば、図3に示す如く、全長に亘り円周方向の一部を内側へ窪ませて溝部24を形成した異形断面の内管25を外管26内に挿入し、斯かる挿入状態のまま管全体を冷間引き抜き加工により互いに圧接せしめ、前記内管25の内部空間と前記溝部24及び外管26に囲まれた空間とを二つの給油流路27,28として使用し得るようにすることが既に提案されている(下記の特許文献1を参照)。
特開平8−150412号公報
しかしながら、このように異形断面の内管25を外管26内に挿入して両者を冷間引き抜き加工により圧接させた場合、内管25が異形断面であることに起因して断面の歪みや軸心方向の振れが生じ易くなったり、内管25のスプリングバック(加工後に材料の持つ弾性のために原形に戻ろうとする現象)により半径方向外側に向かう弾撥力が不均等に作用したりするため、これらの影響が相まって断面の真円度や軸心方向の真直度が悪くなるという問題があり、特に大型トラックのロッカーシャフト23のような径が大きく且つ長尺なものを製造しようとした場合には、寸法精度を高く確保することが非常に困難であった。
本発明は上述の実情に鑑みてなしたもので、技術的に簡単な加工を施すだけで容易に製造でき且つその断面の真円度や軸心方向の真直度を高く確保することが可能な内部仕切り壁を持つ管及びその製造方法を提供することを目的としている。
本発明は、全長に亘り円周方向の一部を内側へ退避させた異形断面の第一の内管と、該第一の内管に対し冷間引き抜き加工により緊密に外嵌装着されて前記第一の内管のスプリングバックを拘束する第二の内管と、該第二の内管に対し冷間引き抜き加工により緊密に外嵌装着されて断面の真円度及び軸心方向の真直度を高く確保する外管とを備えたことを特徴とする内部仕切り壁を持つ管、に係るものである。
而して、このようにすれば、異形断面の第一の内管に第二の内管を冷間引き抜き加工で外嵌装着したことにより、第一の内管の内部、及び第一の内管の外周面と第二の内管の内周面との間に流路が夫々形成されることになるが、第一の内管に第二の内管を冷間引き抜き加工で外嵌装着しただけでは、第一の内管が異形断面であることや不均等なスプリングバックの影響により断面の真円度や軸心方向の真直度が高くなり難い。
ただし、第一の内管に第二の内管が外嵌装着されたことにより、これら第一及び第二の内管の実質的な外形形状がほぼ通常の円形断面となり、しかも、第一の内管のスプリングバックが第二の内管で拘束されることになるので、このような状態にある第一及び第二の内管に対し外管を冷間引き抜き加工により緊密に外嵌装着すれば、第一の内管が異形断面であることや不均等なスプリングバックの影響を極力排除して精度の高い冷間引き抜き加工を施すことが可能となり、最終的な断面の真円度及び軸心方向の真直度が高く確保されることになる。
また、本発明の内部仕切り壁を持つ管を製造する具体的な方法としては、全長に亘り円周方向の一部を内側へ退避させた異形断面の第一の内管を該第一の内管の外径より口径の大きな第二の内管に挿入し、これら第一及び第二の内管を冷間引き抜き加工により互いに圧接せしめ、その冷間引き抜き後の第二の内管の外径より口径の大きな外管に前記第一及び第二の内管を挿入し、これら第一及び第二の内管と外管とを最終的な断面の真円度及び軸心方向の真直度が高くなるように再び冷間引き抜き加工により圧接せしめるという手順を採れば良い。
上記した本発明の内部仕切り壁を持つ管及びその製造方法によれば、内部仕切り壁を持つ管を技術的に簡単な加工を施すだけで容易に製造することができるので、従来の穿孔加工を施していた場合よりも生産性を大幅に向上することができ、しかも、断面の真円度や軸心方向の真直度を高く確保することができるので、内部仕切り壁を持つ管の寸法精度を著しく高めることができるという優れた効果を奏し得る。
以下本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明を実施する形態の一例を示すもので、本形態例においては、内部に二つの給油流路27,28を有するロッカーシャフト29(内部仕切り壁を持つ管)を製作するにあたり、全長に亘り円周方向の一部を内側へ窪ませて溝部30を形成した異形断面の第一の内管31と、該第一の内管31に対し冷間引き抜き加工により緊密に外嵌装着されて前記第一の内管31のスプリングバックを拘束する第二の内管32と、該第二の内管32に対し冷間引き抜き加工により緊密に外嵌装着されて断面の真円度及び軸心方向の真直度を高く確保する外管33とを備え、これら第一及び第二の内管31,32と外管33とから成る三重管構造によりロッカーシャフト29を構成し、前記第一の内管31の内部空間と前記溝部30及び外管33に囲まれた空間とを二つの給油流路27,28として使用するようにしている。
尚、このようにして構成されるロッカーシャフト29の両端部は、図示しないプラグ等により閉塞されるようになっており、各給油流路27,28を介した作動油の給排については、ロッカーシャフト29の外周面から各給油流路27,28に到る孔を半径方向に開ける等して行われるようにしてある。
また、斯かる三重管構造のロッカーシャフト29に関する具体的な製造方法は以下の通りであり、全長に亘り円周方向の一部を内側へ窪ませて溝部30を形成した異形断面の第一の内管31を、該第一の内管31の外径より口径の大きな第二の内管32に挿入し、これら第一及び第二の内管31,32をダイスを用いた冷間引き抜き加工により互いに圧接せしめ、その冷間引き抜き後の第二の内管32の外径より口径の大きな外管33に前記第一及び第二の内管31,32を挿入し、これら第一及び第二の内管31,32と外管33とを最終的な断面の真円度及び軸心方向の真直度が高くなるように再びダイスを用いた冷間引き抜き加工で圧接せしめれば良い。
而して、このようにしてロッカーシャフト29を構成すれば、異形断面の第一の内管31に第二の内管32を冷間引き抜き加工で外嵌装着したことにより、前記第一の内管31の内部、及び第一の内管31の溝部30の外周面と第二の内管32の内周面との間に給油流路27,28が夫々形成されることになるが、第一の内管31に第二の内管32を冷間引き抜き加工で外嵌装着しただけでは、第一の内管31が異形断面であることや不均等なスプリングバックの影響により断面の真円度や軸心方向の真直度が高くなり難い。
ただし、第一の内管31に第二の内管32が外嵌装着されたことにより、これら第一及び第二の内管31,32の実質的な外形形状がほぼ通常の円形断面となり、しかも、第一の内管31のスプリングバックが第二の内管32で拘束されることになるので、このような状態にある第一及び第二の内管31,32に対し外管33を冷間引き抜き加工により緊密に外嵌装着すれば、第一の内管31が異形断面であることや不均等なスプリングバックの影響を極力排除して精度の高い冷間引き抜き加工を施すことが可能となり、最終的な断面の真円度及び軸心方向の真直度が高く確保されることになる。
従って、上記形態例によれば、内部に複数の給油流路27,28を有するロッカーシャフト29を技術的に簡単な加工を施すだけで容易に製作することができるので、従来の穿孔加工を施していた場合よりも生産性を大幅に向上することができ、しかも、断面の真円度や軸心方向の真直度を高く確保することができるので、大型トラックのロッカーシャフト29の如き径が大きく且つ長尺なものについても、その寸法精度を著しく高めることができる。
尚、本発明の内部仕切り壁を持つ管及びその製造方法は、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、第一の内管の異形断面に図示の例以外の三日月形や半円形やこれらに類する様々な異形断面を採用して良いこと、また、内部仕切り壁を持つ管は必ずしもロッカーシャフトとしての使用に限定されず、また、その流路に流すべき流体も油に限定されないこと、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
27 給油流路
28 給油流路
29 ロッカーシャフト(内部仕切り壁を持つ管)
31 第一の内管
32 第二の内管
33 外管
28 給油流路
29 ロッカーシャフト(内部仕切り壁を持つ管)
31 第一の内管
32 第二の内管
33 外管
Claims (2)
- 全長に亘り円周方向の一部を内側へ退避させた異形断面の第一の内管と、該第一の内管に対し冷間引き抜き加工により緊密に外嵌装着されて前記第一の内管のスプリングバックを拘束する第二の内管と、該第二の内管に対し冷間引き抜き加工により緊密に外嵌装着されて断面の真円度及び軸心方向の真直度を高く確保する外管とを備えたことを特徴とする内部仕切り壁を持つ管。
- 全長に亘り円周方向の一部を内側へ退避させた異形断面の第一の内管を該第一の内管の外径より口径の大きな第二の内管に挿入し、これら第一及び第二の内管を冷間引き抜き加工により互いに圧接せしめ、その冷間引き抜き後の第二の内管の外径より口径の大きな外管に前記第一及び第二の内管を挿入し、これら第一及び第二の内管と外管とを最終的な断面の真円度及び軸心方向の真直度が高くなるように再び冷間引き抜き加工により圧接せしめることを特徴とする内部仕切り壁を持つ管の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005107236A JP2006281297A (ja) | 2005-04-04 | 2005-04-04 | 内部仕切り壁を持つ管及びその製造方法 |
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JP2005107236A JP2006281297A (ja) | 2005-04-04 | 2005-04-04 | 内部仕切り壁を持つ管及びその製造方法 |
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JP2005107236A Pending JP2006281297A (ja) | 2005-04-04 | 2005-04-04 | 内部仕切り壁を持つ管及びその製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008260031A (ja) * | 2007-04-10 | 2008-10-30 | Ribaasteel Kk | 複数流路を有する棒状部材およびその製造方法 |
-
2005
- 2005-04-04 JP JP2005107236A patent/JP2006281297A/ja active Pending
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