JP2006280260A - ポリフェニレンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 フェノール誘導体を原料として酵素触媒を用いた反応により、目的物であるポリフェニレンを簡便にかつ高い純度で製造できる方法を提供する。
【解決手段】 下記一般式(1)で表される化合物を、酵素触媒の存在下で重合反応して反応生成物を得る第一工程と、第一工程で得られた反応生成物から、アセトンによる抽出でアセトン可溶成分を除去した後、テトラヒドロフランにより抽出する第二工程とを有することを特徴とする下記一般式(2)で表されるポリフェニレンの製造方法。
【化1】
(1)
(式中、Rは炭素数1〜3のアルキル基を表す。)
【化2】
(2)
(式中、Rは炭素数1〜3のアルキル基を表し、nは1または2を表す。)
【選択図】 なし
Description
本発明は、酵素触媒を用いたポリフェニレンの製造方法に関する。
ポリフェニレンは、エンジニアリングプラスチックとして有用であり、他のポリマー、添加剤等と混合することで、さらに機械的強度、耐熱性、電気的特性及び化学的特性に優れた樹脂とすることができる。このようにして得た樹脂は、成形加工が容易なため、家電製品、事務機、電気・電子部品、自動車部品など広範な範囲に用いられる。
一方、ポリフェニレンの化学合成による製造法としては、1,4−ジハロベンゼンあるいは1,3−ジハロベンゼンを原料に用いて、還元性金属または金属化合物の共存下、脱ハロゲン化重縮合する方法が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。しかしこのような製造方法は、無水条件下で行う必要がある上、反応時に大きな発熱を伴い、副生成物も多く生じ、製造時に多量のエネルギーを必要とするなど、多くの問題点を抱えている。
これに対して、生体触媒である酵素を利用した反応は、酵素の高い基質特異性を利用した反応であることから目的物を効率よく製造でき、コスト低減に有利である。また、温和な条件下での反応であるため、消費するエネルギーが少なく、環境負荷を低くすることができるなど優れた方法である。
このような方法として、例えば、芳香環同士がエーテル結合を介して結合したポリフェニレンオキシドを製造する方法が提案されており(特許文献3参照)、この方法では、フェノール誘導体を、酸化酵素などの酵素触媒の存在下、有機溶媒対水の体積比が1対10以上の有機溶媒−水混合溶媒中で反応させることで、ポリフェニレンオキシドが生成するが、この時同時に、副生成物としてポリフェニレンも生成するものである。
特開昭52−154900号公報
特開2001−181377号公報
特開平9−107984号公報
このような方法として、例えば、芳香環同士がエーテル結合を介して結合したポリフェニレンオキシドを製造する方法が提案されており(特許文献3参照)、この方法では、フェノール誘導体を、酸化酵素などの酵素触媒の存在下、有機溶媒対水の体積比が1対10以上の有機溶媒−水混合溶媒中で反応させることで、ポリフェニレンオキシドが生成するが、この時同時に、副生成物としてポリフェニレンも生成するものである。
しかし、特許文献3に記載の方法は、反応終了後に反応溶媒を濃縮除去した後、大量の貧溶媒を加えて沈殿物を取り出しているため、不純物除去効果が低い。したがって、得られるポリマー試料は、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンおよびその他多くの不純物の混合物となる。
このように、フェノール誘導体を原料とする、酵素触媒を用いた反応により得られる生成物には、ポリフェニレンオキシドとポリフェニレンが含まれるが、両者を分離して有効に用いる方法は知られていなかった。特に、ポリフェニレンを選択的に分離して得る方法は知られていなかった。
このように、フェノール誘導体を原料とする、酵素触媒を用いた反応により得られる生成物には、ポリフェニレンオキシドとポリフェニレンが含まれるが、両者を分離して有効に用いる方法は知られていなかった。特に、ポリフェニレンを選択的に分離して得る方法は知られていなかった。
したがって、本発明の目的は、フェノール誘導体を原料として酵素触媒を用いた反応により、目的物であるポリフェニレンを簡便にかつ高い純度で製造できる方法を提供することにある。
本発明者らは、フェノール誘導体を原料として酵素触媒を用いた反応でポリフェニレンを得るにあたり、大量の貧溶媒を用いることなく目的物を選択的に分離する方法について鋭意検討した結果、反応終了後に反応液から、アセトン抽出によりアセトン可溶成分を除いた後、テトラヒドロフランを用いて抽出することにより、構造単位の繰返し数が2および3からなるポリフェニレンが、高い純度で得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、ポリフェニレンを簡便にかつ高い純度で製造することができる。
以下、本発明について詳しく説明する。
前記一般式(1)および(2)においてRは、炭素数1〜3のアルキル基であり、直鎖状、分岐状、環状のいずれでも良い。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基を挙げることができる。中でも、メチル基が特に好ましい。
また、前記一般式(2)において、nは1または2を表す。
前記一般式(1)および(2)においてRは、炭素数1〜3のアルキル基であり、直鎖状、分岐状、環状のいずれでも良い。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基を挙げることができる。中でも、メチル基が特に好ましい。
また、前記一般式(2)において、nは1または2を表す。
◎第一工程
本発明において、酵素触媒を用いた重合反応は、常法に従って行うことができる。
反応溶媒としては、水、緩衝液、水あるいは緩衝液と有機溶媒との混合溶媒等を用いることができるが、緩衝液と有機溶媒との混合溶媒を用いることが好ましい。
緩衝液としては、例えば、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、マロン酸緩衝液、シュウ酸緩衝液、酒石酸緩衝液、酢酸緩衝液、コハク酸緩衝液等が挙げられるが、中でも、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液が好ましい。
また、有機溶媒としては、種々のものを用いることができるが、アセトン、イソプロパノールが好ましい。
緩衝液に対する有機溶媒の割合は、5体積%以下が好ましく、3体積%以下が特に好ましい。
本発明において、酵素触媒を用いた重合反応は、常法に従って行うことができる。
反応溶媒としては、水、緩衝液、水あるいは緩衝液と有機溶媒との混合溶媒等を用いることができるが、緩衝液と有機溶媒との混合溶媒を用いることが好ましい。
緩衝液としては、例えば、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、マロン酸緩衝液、シュウ酸緩衝液、酒石酸緩衝液、酢酸緩衝液、コハク酸緩衝液等が挙げられるが、中でも、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液が好ましい。
また、有機溶媒としては、種々のものを用いることができるが、アセトン、イソプロパノールが好ましい。
緩衝液に対する有機溶媒の割合は、5体積%以下が好ましく、3体積%以下が特に好ましい。
本発明で用いる酵素は、酸化重合能を有する酸化酵素であり、オキシダーゼ又はペルオキシダーゼが好ましい。
オキシダーゼとしては、例えば、ラッカーゼ、カテコールオキシダーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼ、ビリルビンオキシダーゼ、チロシナーゼ、ポリフェノールオキシダーゼ等を挙げることができ、これらの中でも、特にラッカーゼが好ましい。本発明において、用いるオキシダーゼは1種で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
オキシダーゼとしては、例えば、ラッカーゼ、カテコールオキシダーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼ、ビリルビンオキシダーゼ、チロシナーゼ、ポリフェノールオキシダーゼ等を挙げることができ、これらの中でも、特にラッカーゼが好ましい。本発明において、用いるオキシダーゼは1種で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ラッカーゼは、植物、動物、微生物に広く存在することが知られており、種々の起源のものを用いることができるが、植物由来、微生物由来のラッカーゼが好ましい。
植物由来では漆の木由来のラッカーゼが好ましい。また、微生物由来のラッカーゼとしては、例えば細菌、真菌(糸状菌及び酵母を含む)に由来するものが挙げられるが、真菌のうち白色腐朽菌などの担子菌類や子のう菌類に由来するラッカーゼが、特に好ましいものとして挙げられる。
植物由来では漆の木由来のラッカーゼが好ましい。また、微生物由来のラッカーゼとしては、例えば細菌、真菌(糸状菌及び酵母を含む)に由来するものが挙げられるが、真菌のうち白色腐朽菌などの担子菌類や子のう菌類に由来するラッカーゼが、特に好ましいものとして挙げられる。
このような、特に好ましいラッカーゼとしては、アスペルギルス(Aspergillus)属;ニューロスポラ(Neurospora)属;ピリキュラリア・オリザエ(P.oryzae)などのピリキュラリア(Pyricularia)属;トラメテス・ビローサ(T.villosa)、トラメテス・バーシカラー(T.versicolor)等のホウロクタケ(Trametes)属;リゾクトニア・ソラニ(R.solani)等のリゾクトニア(Rhizoctonia)属;コプリヌス・シネレウス(C.cinereus)等のコプリヌス(Coprinus)属;コリオルス・ヒルスツス(C.hirsutus)、コリオルス・バーシカラー(C.versicolor)等のコリオルス(Coriolus)属に由来するものが例示できる。
また、市販されているラッカーゼとして、「ラッカーゼダイワ EC−Y120」(商品名;大和化成(株)製)等が例示される。
本発明において、これらのラッカーゼは、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
また、市販されているラッカーゼとして、「ラッカーゼダイワ EC−Y120」(商品名;大和化成(株)製)等が例示される。
本発明において、これらのラッカーゼは、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
ペルオキシダーゼとしては、前記と同様種々の起源のものが知られているが、植物由来、細菌由来或いは担子菌由来のものが好ましく、西洋ワサビ由来、あるいは担子菌由来のものが特に好ましい。このようなペルオキシダーゼとして、マンガンペルオキシダーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、大豆ペルオキシダーゼ、リグニンペルオキシダーゼが好ましく、マンガンペルオキシダーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼが特に好ましい。
また、本発明において、これらのペルオキシダーゼは、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
また、本発明において、これらのペルオキシダーゼは、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
これら酵素の使用量は、用いる酵素の酵素活性により適宜加減すればよいが、原料であるフェノール誘導体に対して、過剰量使用することが、アセトン可溶分が多くなるため好ましい。酵素の反応液中での濃度は2μmol/l以上が好ましく、20μmol/l以上が特に好ましい。
また、反応条件は、基質濃度、オキシダーゼ及びペルオキシダ−ゼの種類、酵素濃度に応じて調製されうるが、比較的低温に設定することができ、5〜70℃とすることが好ましく、20〜60℃とすることが特に好ましい。pHはオキシダーゼ及びペルオキシダーゼの種類に応じて適宜調製されうるが、pH3.0〜8.0が好ましく、pH3.5〜7.0が特に好ましい。また反応時間は30分〜24時間が好ましく、1時間〜20時間が特に好ましい。本工程は、前記の条件を満たし、且つ攪拌している状態では、水浴中もしくは気流中のいずれでおこなってもよい。
また、反応条件は、基質濃度、オキシダーゼ及びペルオキシダ−ゼの種類、酵素濃度に応じて調製されうるが、比較的低温に設定することができ、5〜70℃とすることが好ましく、20〜60℃とすることが特に好ましい。pHはオキシダーゼ及びペルオキシダーゼの種類に応じて適宜調製されうるが、pH3.0〜8.0が好ましく、pH3.5〜7.0が特に好ましい。また反応時間は30分〜24時間が好ましく、1時間〜20時間が特に好ましい。本工程は、前記の条件を満たし、且つ攪拌している状態では、水浴中もしくは気流中のいずれでおこなってもよい。
◎第二工程
第一工程で得られた重合反応生成物は、目的物であるポリフェニレン、ポリフェニレンオキシドおよびその他の不純物との混合物である。この生成物にアセトンを加えて攪拌し、アセトン可溶成分を除去する。この時のアセトン溶液の攪拌条件としては、アセトン使用量は、得られた重合反応生成物に対して5倍量〜50倍量が好ましく、5倍量〜20倍量が特に好ましい。また、その際の温度は、室温とすることが最も好ましい。さらに、その際の攪拌方法は、振盪、回転子もしくは攪拌翼を用いた攪拌のいずれでもよい。
このようにして得られたアセトン抽出液には、重量平均分子量が2000〜5000のポリフェニレンオキシドが多く含まれている。
第一工程で得られた重合反応生成物は、目的物であるポリフェニレン、ポリフェニレンオキシドおよびその他の不純物との混合物である。この生成物にアセトンを加えて攪拌し、アセトン可溶成分を除去する。この時のアセトン溶液の攪拌条件としては、アセトン使用量は、得られた重合反応生成物に対して5倍量〜50倍量が好ましく、5倍量〜20倍量が特に好ましい。また、その際の温度は、室温とすることが最も好ましい。さらに、その際の攪拌方法は、振盪、回転子もしくは攪拌翼を用いた攪拌のいずれでもよい。
このようにして得られたアセトン抽出液には、重量平均分子量が2000〜5000のポリフェニレンオキシドが多く含まれている。
アセトン抽出物を除去した後、テトラヒドロフラン(以下、THFと略記)により抽出を行う。このときのTHF溶液の攪拌条件としては、THF使用量は、得られた重合反応生成物に対して5倍量〜100倍量が好ましく、10倍量〜60倍量が特に好ましい。また、その際の温度は、室温とすることが特に好ましい。さらに、その際の攪拌方法は、振盪、回転子もしくは攪拌翼を用いた攪拌のいずれでもよい。
以下に、本発明の具体的な実施例を挙げるが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
(分析方法)
1H−および13C−核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、日本電子株式会社製JNM−LA300により測定した。また、赤外線スペクトルは日本分光株式会社製FT/IR−550により測定した。さらに、分子量は東ソー株式会社製GPC−8020により測定した。
(分析方法)
1H−および13C−核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、日本電子株式会社製JNM−LA300により測定した。また、赤外線スペクトルは日本分光株式会社製FT/IR−550により測定した。さらに、分子量は東ソー株式会社製GPC−8020により測定した。
[実施例]
◎第一工程
(ラッカーゼを用いたo−クレゾールの重合反応)
500ml三角フラスコを用いて、50mMのクエン酸(和光純薬株式会社製特級試薬)緩衝液294mlをあらかじめ50℃に保温しておいた恒温槽中で攪拌し、この緩衝液の液温が50℃になってから、酵素触媒としてラッカーゼ粉末(大和化成株式会社製「ラッカーゼダイワ」)6.0gを加えて溶解させた。この溶液に、o−クレゾール(和光純薬株式会社製「o−クレゾール」)649mgをアセトン6mlに溶解した溶解液を添加して、50℃で20時間攪拌して、重合反応を行った。反応終了後、反応溶液から沈殿物を遠心分離にて回収し、さらに水で数回洗浄後、沈殿を回収し、これを凍結乾燥して、重合反応物646.7mgを得た。
◎第一工程
(ラッカーゼを用いたo−クレゾールの重合反応)
500ml三角フラスコを用いて、50mMのクエン酸(和光純薬株式会社製特級試薬)緩衝液294mlをあらかじめ50℃に保温しておいた恒温槽中で攪拌し、この緩衝液の液温が50℃になってから、酵素触媒としてラッカーゼ粉末(大和化成株式会社製「ラッカーゼダイワ」)6.0gを加えて溶解させた。この溶液に、o−クレゾール(和光純薬株式会社製「o−クレゾール」)649mgをアセトン6mlに溶解した溶解液を添加して、50℃で20時間攪拌して、重合反応を行った。反応終了後、反応溶液から沈殿物を遠心分離にて回収し、さらに水で数回洗浄後、沈殿を回収し、これを凍結乾燥して、重合反応物646.7mgを得た。
◎第二工程
このようにして得られた重合反応物1.20gに、アセトン40mlを加えて、室温にて2時間振盪攪拌した。これを15000rpmで20分間遠心分離を行い、アセトン抽出液からは、減圧濃縮によりアセトンを除去して、アセトン可溶成分0.48gを得た。また、アセトン不溶分を更にアセトンにて洗浄したあと乾燥して、アセトン不溶成分0.82gを得た。
このようにして得られた重合反応物1.20gに、アセトン40mlを加えて、室温にて2時間振盪攪拌した。これを15000rpmで20分間遠心分離を行い、アセトン抽出液からは、減圧濃縮によりアセトンを除去して、アセトン可溶成分0.48gを得た。また、アセトン不溶分を更にアセトンにて洗浄したあと乾燥して、アセトン不溶成分0.82gを得た。
(アセトン可溶成分の分析)
これらのうち、アセトン可溶成分の分子量を測定したところ、重量平均分子量は4300であった。1H−NMRにおける、8.2ppm付近のフェノール性水酸基由来のピークおよび6〜8ppm付近の芳香族由来のピークの面積比から求められる芳香族環対フェノール性水酸基の比は7であった。このことから、得られた重合反応物は、平均で繰り返し単位7中に1の割合で水酸基を有するベンゼン環が含まれるポリフェニレンオキシドであることがわかった。
これらのうち、アセトン可溶成分の分子量を測定したところ、重量平均分子量は4300であった。1H−NMRにおける、8.2ppm付近のフェノール性水酸基由来のピークおよび6〜8ppm付近の芳香族由来のピークの面積比から求められる芳香族環対フェノール性水酸基の比は7であった。このことから、得られた重合反応物は、平均で繰り返し単位7中に1の割合で水酸基を有するベンゼン環が含まれるポリフェニレンオキシドであることがわかった。
(アセトンに不溶かつTHFに可溶な成分の分析)
上記の遠心分離により分離されたアセトン不溶成分0.82gに、THF40mlを加え、室温にて2時間振盪撹拌した。これを室温にて15000rpmで20分間遠心分離を行い、THF抽出液からは、減圧濃縮によりTHFを除去して、THF可溶成分0.07gを得た。また、THF不溶分をTHFにて洗浄したあと乾燥して、THF不溶成分0.79gを得た。
これらのうち、THF可溶成分について、GC/MSを測定したところ、質量数214および320のピークが観察された。それぞれのピークは、o−クレゾールの2および3量体に帰属された。ここで、本成分をトリメチルシリル化試薬により水酸基を誘導体化したところ、それぞれトリメチルシリル基が2および3個導入されることが判明した。したがって、GC/MSで観察されたo−クレゾールの2量体および3量体は、それぞれ水酸基を2個および3個持つポリフェニレン構造を持つことが確認された。
上記の遠心分離により分離されたアセトン不溶成分0.82gに、THF40mlを加え、室温にて2時間振盪撹拌した。これを室温にて15000rpmで20分間遠心分離を行い、THF抽出液からは、減圧濃縮によりTHFを除去して、THF可溶成分0.07gを得た。また、THF不溶分をTHFにて洗浄したあと乾燥して、THF不溶成分0.79gを得た。
これらのうち、THF可溶成分について、GC/MSを測定したところ、質量数214および320のピークが観察された。それぞれのピークは、o−クレゾールの2および3量体に帰属された。ここで、本成分をトリメチルシリル化試薬により水酸基を誘導体化したところ、それぞれトリメチルシリル基が2および3個導入されることが判明した。したがって、GC/MSで観察されたo−クレゾールの2量体および3量体は、それぞれ水酸基を2個および3個持つポリフェニレン構造を持つことが確認された。
THF可溶成分およびTHF不溶成分について赤外線スペクトルを測定したところ、両者とも3300cm−1に水酸基、1650cm−1および1480cm−1に芳香族、1190cm−1にC−O結合由来のピークを与えた。両者のスペクトルが似ていることから、THF不溶成分はTHF可溶成分に類似の構造であることがわかった。
以上述べたように、本発明のポリフェニレンの製造方法によれば、酵素触媒による重合反応後、反応生成物からアセトン抽出によりアセトン可溶成分を除いた後、THFを用いて抽出することにより、目的物である、構造単位の繰返し数が2および3からなるポリフェニレンが、簡便にかつ高い純度で得られることが確認された。
本発明の製造方法により得られるポリフェニレンは、高純度であるため、エンジニアリングプラスチックの原料として有用である。また、温和な条件下で、高い基質特異性に基づき、省エネルギーで効率的にポリフェニレンを製造できるため、低コストでかつ環境負荷の小さい製造方法を提供できる。
Claims (4)
- 前記一般式(1)で表される化合物のRがメチル基である請求項1に記載のポリフェニレンの製造方法。
- 前記酵素が、オキシダーゼ及びペルオキシダーゼからなる群より選ばれる一種以上の酵素である請求項1または2に記載のポリフェニレンの製造方法。
- 前記酵素がラッカーゼである請求項1または2に記載のポリフェニレンの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005103650A JP2006280260A (ja) | 2005-03-31 | 2005-03-31 | ポリフェニレンの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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ID=37402806
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JP2005103650A Withdrawn JP2006280260A (ja) | 2005-03-31 | 2005-03-31 | ポリフェニレンの製造方法 |
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