JP2006279574A - 復号装置と方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 画像フレーム内のスライスが任意順序で符号化されている場合、復号時にスライスの順序を並べ替える必要がある。
【解決手段】 ヘッダ解析部14は、SRAM70に転送された符号化フレームのヘッダ情報を解析し、フレーム内のスライスの符号化順序と各スライスのデータ長の情報を取得し、各スライスがSRAM70に格納されている位置を示す開始アドレスを算出する。ヘッダ解析部14は、各スライスの開始アドレスとデータ長をスライステーブル72に格納する。メイン解析部16は、スライステーブル72を参照して、ラスタスキャン順にSRAM70からスライスを読み出して、各スライスのデータの解析を行う。
【選択図】 図2

Description

本発明は、符号化された動画像を復号する復号装置および方法に関する。
ブロードバンドネットワークが急速に発展しており、高品質な動画像を利用したサービスに期待が集まっている。また、DVDなど大容量の記録媒体が利用されており、高画質の画像を楽しむユーザ層が広がっている。動画像を通信回線で伝送したり、記録媒体に蓄積するために不可欠な技術として圧縮符号化がある。動画像圧縮符号化技術の国際標準として、MPEG4の規格やH.264/AVC規格がある。また、1つのストリームにおいて高画質のストリームと低画質のストリームを併せもつSVC(Scalable Video Codec)のような次世代画像圧縮技術がある。
MPEG−2/4では、伝送路の誤りが画像フレーム全体に伝搬するのを防ぐために、画像フレーム内をスライスという領域に分割して各スライスを独立に可変長符号化することが行われる。スライスが独立に符号化されているため、あるスライスで発生した誤りが他のスライスに影響することがない。MPEG−2/4では、画像フレーム内のスライスをラスタスキャン順に符号化して符号化ストリームを生成する。
一方、H.264/AVCでは、画像フレーム内のスライスを任意の順序で可変長符号化することが可能であり、任意スライス順序(ASO;Arbitrary Slice Order)と呼ばれている。これにより、画像に合わせて様々なスライス形状を取ることができるように柔軟性が確保されている(たとえば、非特許文献1参照)。
ITU-T Recommendation H.264, "Advanced Video Coding for generic audiovisual services", 2003.
任意スライス順序でスライスが符号化された符号化フレームを復号する際、必要なスライスがストリームのどの位置にあるかが事前にわからないため、符号化フレームの先頭から順にスライスを辿って、必要なスライスを探す必要がある。そのため、フレームメモリからストリームデータを読み直すことが多くなり、メモリ帯域を消費する。また、復号装置の各構成に任意スライス順序に対応するための専用の機能をもたせることが必要になり、機能構成が複雑になり、回路規模が大きくなるという問題が生じる。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたもので、その目的は、任意スライス順序で符号化された動画ストリームを効率良く復号することのできる動画像の復号技術を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様の復号装置は、動画像のフレームが符号化された動画像ストリームを復号する復号装置であって、動画像のフレーム内の複数のスライスが任意順序で符号化された符号化フレームを保持するメモリと、前記メモリに保持された前記符号化フレームのヘッダ情報を解析して、前記メモリにおける各スライスの格納位置を算出するヘッダ解析部と、前記ヘッダ解析部により算出された前記格納位置を参照することにより、前記符号化フレームの前記複数のスライスをラスタスキャン順に前記メモリから読み出して解析するメイン解析部とを含む。
この態様によると、符号化フレームからスライスをラスタスキャン順に読み出して復号処理することができる。
本発明の別の態様もまた、復号装置である。この装置は、動画像のフレームが符号化された動画像ストリームを復号する復号装置であって、動画像のフレーム内の複数のスライスが任意順序で符号化された符号化フレームを保持する第1のメモリと、前記符号化フレームの前記複数のスライスの順序を入れ替えて保持する第2のメモリと、前記第1のメモリに保持された前記符号化フレームのヘッダ情報を解析することにより、前記複数のスライスを前記第1のメモリから読み出して、前記第2のメモリにラスタスキャン順に並ぶように格納するヘッダ解析部と、前記第2のメモリの先頭から順に前記複数のスライスを順次読み出して解析するメイン解析部とを含む。
この態様によると、スライスがラスタスキャン順に並べ替えられた符号化フレームをメモリに形成して復号処理することができる。
本発明のさらに別の態様もまた、復号装置である。この装置は、動画像のフレームが符号化された動画像ストリームを復号する復号装置であって、動画像のフレーム内の複数のスライスが任意順序で符号化された符号化フレームを保持する第1のメモリと、前記符号化フレームの前記複数のスライスの順序を入れ替えて出力するための第2のメモリと、前記複数のスライスを前記第1のメモリから読み出して、前記第2のメモリに順次格納すると同時に、前記符号化フレームのヘッダ情報を解析して、前記第2のメモリにおける各スライスの格納位置を算出するヘッダ解析部と、前記ヘッダ解析部により算出された前記格納位置を参照することにより、前記符号化フレームの前記複数のスライスをラスタスキャン順に前記第2のメモリから読み出して解析するメイン解析部とを含む。
本発明のさらに別の態様は、復号方法である。この方法は、メモリに保持された、動画像のフレーム内の複数のスライスが任意順序で符号化された符号化フレームのヘッダ情報を解析して、前記複数のスライスの符号化順序と各スライスのデータ長を取得し、前記メモリにおける各スライスの格納位置を算出することにより、前記符号化フレームの前記複数のスライスのデータをラスタスキャン順に前記メモリから読み出して解析する。
本発明のさらに別の態様もまた、復号方法である。この方法は、第1のメモリに保持された、動画像のフレーム内の複数のスライスが任意順序で符号化された符号化フレームのヘッダ情報を解析して、前記複数のスライスの符号化順序と各スライスのデータ長を取得することにより、前記第1のメモリにおける各スライスの格納位置を算出し、算出された各スライスの格納位置を参照することにより、前記複数のスライスを前記第1のメモリから読み出して、第2のメモリにラスタスキャン順に並ぶように格納し、前記第2のメモリの先頭から順に前記複数のスライスのデータを順次読み出して解析する。
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、動画像の復号の処理効率を向上することができる。
図1は、実施の形態に係る復号装置100の構成図である。これらの構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされた画像復号機能のあるプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組み合わせによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
本実施の形態の復号装置100は、国際標準化機関であるISO(International Organization for Standardization)/IEC(International Electrotechnical Commission)によって標準化されたMPEG(Moving Picture Experts Group)シリーズの規格(MPEG−1、MPEG−2およびMPEG−4)、電気通信に関する国際標準機関であるITU−T(International Telecommunication Union-Telecommunication Standardization Sector)によって標準化されたH.26xシリーズの規格(H.261、H.262およびH.263)、もしくは両方の標準化機関によって合同で標準化された最新の動画像圧縮符号化標準規格であるH.264/AVC(両機関における正式勧告名はそれぞれMPEG-4 Part 10: Advanced Video CodingとH.264)に準拠して動画像の復号を行う。
復号装置100は、符号化ストリームの入力を受け取り、符号化ストリームを復号して出力画像を生成する。入力された符号化ストリームはフレームメモリ80に格納される。
可変長復号部10は、フレームメモリ80に格納された符号化ストリームを可変長復号し、復号された画像データを逆量子化部20に供給し、動きベクトル情報を動き補償部60に供給する。
逆量子化部20は、可変長復号部10により復号された画像データを逆量子化し、逆DCT部30に供給する。逆量子化部20により逆量子化された画像データはDCT係数である。逆DCT部30は、逆量子化部20により逆量子化されたDCT係数を逆離散コサイン変換(IDCT)することにより、元の画像データを復元する。逆DCT部30により復元された画像データは、動き補償部60に供給される。
動き補償部60は、過去または未来の画像フレームを参照画像として利用し、可変長復号部10から供給される動きベクトル情報を用いて予測画像を生成し、逆DCT部30から供給される差分画像と加算することにより、元の画像データを復元し、出力する。
図2は、可変長復号部10の構成を説明する図である。フレームメモリ80と可変長復号部10は、ストリームインタフェース(STIF)82を介して接続されている。フレームメモリ80に保持された符号化ストリームはSTIF82を介してSRAM70に転送される。
可変長復号部10は、SRAM70、ストリーム解析部12、およびストリーム復号部18を有する。ストリーム解析部12は、フレームメモリ80に保持された符号化ストリームをフレーム単位でSRAM70に転送する。
フレームメモリ80は、一例として大容量のSDRAMで構成され、STIF82を介してアクセスされる。一方、SRAM70は、ストリーム解析部12と同一の集積回路内に形成されており、ストリーム解析部12から高速にアクセスすることが可能である。SRAM70はフレームメモリ80に比べて容量が限られており、フレームメモリ80に対する高速なキャッシュメモリとして機能する。SRAM70はデータ転送が高速であるから、ストリーム解析部12がSRAM70内のストリームデータを参照して、ストリームを解析するのに適している。なお、読み出しポート数を増やすために、複数枚のSRAM70が設けられてもよい。
ストリーム解析部12は、SRAM70に転送された符号化フレームのストリームデータを解析し、解析結果をストリーム復号部18に与える。ストリーム復号部18は、ストリーム解析部12による解析結果にもとづいて符号化フレームのストリームデータを復号し、逆量子化部20に出力する。
本実施の形態の復号装置100に入力される符号化ストリームは、一例として、H.264/AVC規格の任意スライス順序で符号化されたストリームであり、符号化フレーム内のスライスの符号化順序は任意である。
図3(a)、(b)を参照して任意スライス順序について説明する。図3(a)は、画像フレーム200のスライスを説明する図である。画像フレーム200は、6個のスライスS1〜S6に分割されている。MPEG−2/4では、ラスタスキャン順、すなわち画像フレーム200の左上から右下に向かって、スライスS1、S2、S3、S4、S5、S6の順に可変長符号化がなされるが、H.264/AVCでは、6個のスライスS1〜S6を任意の順序で可変長符号化することができる。
図3(b)は、図3(a)の画像フレーム200の6個のスライスS1〜S6の符号化順序の一例を示す図である。各スライス番号の後の括弧内に符号化順序を示した。この例では、スライスS4、S1、S6、S5、S2、S3の順に可変長符号化して符号化フレーム210が生成される。
図4は、SRAM70に転送された符号化フレームを説明する図である。図3(b)で例示した符号化順序でスライスが符号化された符号化フレーム210がフレームメモリ80からSRAM70に転送された場合を説明する。符号化フレーム210が転送されるとき、符号化された順でスライスのデータが転送されるため、SRAM70には、記憶領域の先頭から符号化順と同じスライスS4、S1、S6、S5、S2、S3の順で各スライスのデータが格納される。
図4において、各スライスS1〜S6のデータが割り当てられたSRAM70の記憶領域の開始アドレスA1〜A6とデータ長L1〜L6を図示している。
図2に戻り、ストリーム解析部12の構成を説明する。ストリーム解析部12は、ヘッダ解析部14、メイン解析部16、およびスライステーブル72を有する。
ヘッダ解析部14は、SRAM70に転送された符号化フレームのストリームのヘッダ情報のみを復号して解析し、符号化フレーム内の複数のスライスの符号化順序と各スライスのデータ長の情報を取得し、各スライスがSRAM70に格納されている位置を示す開始アドレスを算出する。ヘッダ解析部14は、ストリームのヘッダ情報にデータ長が含まれていれば、ヘッダ情報からデータ長を取得し、そうでない場合は、ストリームにおいてヘッダの存在する位置からデータ長を計算により求める。ヘッダ解析部14は、SRAM70内における各スライスのデータ配置を調べ、SRAM70における各スライスのデータの開始アドレスを算出する。
たとえば、図4を参照して、スライスS6の格納位置を算出する方法を説明する。スライスS6の符号化順序は、S4、S1に次ぐ3番目である。スライスS4のデータ長L4、スライスS1のデータ長L1はストリームのヘッダ情報から取得される。スライスS4の開始アドレスA4をベースアドレスとして、ベースアドレスA4にスライスS4のデータ長L4とスライスS1のデータ長L1を加算した値A4+L4+L1がスライスS6の開始アドレスA6である。
ヘッダ解析部14は、このように、符号化フレーム内の複数のスライスの符号化順序にしたがって、符号化順で前にあるスライスのデータ長をベースアドレスに加算することにより、特定のスライスの開始アドレスを算出する。ヘッダ解析部14は、算出された各スライスの開始アドレスをスライステーブル72に格納する。
図5は、スライステーブル72を説明する図である。スライス番号1〜6に対応づけて、そのスライスの開始アドレスA1〜A6とデータ長L1〜L6が格納されている。スライスS1〜S6の開始アドレスA1〜A6は、図4に示したSRAM70内の各スライスのデータ配置から明らかなように、スライスの符号化順序と各スライスのデータ長にもとづいて以下のように算出することができる。なお、スライスS4の開始アドレスA4は、当該符号化フレームが格納されているSRAM70内の記憶領域のベースアドレスである。
A1=A4+L4
A2=A4+L4+L1+L6+L5
A3=A4+L4+L1+L6+L5+L2
A4=(ベースアドレス)
A5=A4+L4+L1+L6
A6=A4+L4+L1
メイン解析部16は、このスライステーブル72を参照して、ラスタスキャン順、すなわちスライスS1、S2、S3、S4、S5、S6の順にSRAM70からスライスデータを読み出して、各スライスデータの解析を行う。メイン解析部16は、スライステーブル72から最初のスライスS1の開始アドレスA1とデータ長L1を取得し、SRAM70の開始アドレスA1からデータ長L1だけ読み出すことにより、最初のスライスS1のデータを得る。次に、メイン解析部16は、SRAM70の開始アドレスA2からデータ長L2だけ読み出すことで次のスライスS2のデータを得る。以下、同様にスライスS3、S4、S5、S6のデータをSRAM70から読み出す。
スライステーブル72は、次の符号化フレームの処理を開始するときに、ヘッダ解析部14により更新される。
ストリーム復号部18は、メイン解析部16によりラスタスキャン順に並べ替えて読み出されたスライスデータを受け取り、スライス毎に可変長復号を行い、復号されたスライスデータを順に並べることで画像フレーム全体の可変長復号を行い、復号された画像フレームを逆量子化部20に出力する。
なお、ストリーム復号部18の機能をメイン解析部16に含め、ストリーム復号部18をメイン解析部16と一体に構成してもよい。その場合、メイン解析部16が、SRAM70からラスタスキャン順にスライスデータを読み出し、ヘッダ以外の残りのデータを可変長復号して、復号された画像フレームを逆量子化部20に出力する。
図6は、ストリーム解析部12の別の構成を説明する図である。ストリーム解析部12は、スライスの順序を並べ替えるために順序変更用SRAM74を有する。
ヘッダ解析部14は、SRAM70に転送された符号化フレームのストリームのヘッダ情報を解析し、符号化フレーム内の複数のスライスの符号化順序と各スライスのデータ長の情報を取得する。
ヘッダ解析部14は、スライスの順序を符号化順からラスタスキャン順に並べ替えるために、各スライスがSRAM70に格納されている位置を示す開始アドレスを算出する。ヘッダ解析部14は、符号化フレームのストリームのヘッダ情報から各スライスの符号化順序とデータ長を取得しているから、図4のSRAM70内のスライスのデータ配置を参照して、前述のように、各スライスのSRAM70内の格納位置を示す開始アドレスを算出することができる。
次に、ヘッダ解析部14は、算出された各スライスの開始アドレスをもとに、ラスタスキャン順でスライスのデータをSRAM70から読み取り、順序変更用SRAM74の記憶領域の先頭からラスタスキャン順で読み出されたスライスのデータを順番に格納していく。
図7(a)、(b)は、ヘッダ解析部14により、符号化フレーム内のスライスの順序が符号化順からラスタスキャン順に変換される様子を説明する図である。
図7(a)は、図4で示したSRAM70内の符号化フレーム210のスライスS1〜S6の配置を示す。図7(b)は、順序変更用SRAM74に格納された符号化フレーム210のスライスS1〜S6の配置を示す。ヘッダ解析部14は、ラスタスキャン順であるスライスS1、S2、S3、S4、S5、S6の順で図7(a)に示すSRAM70からスライスデータを読み取り、図7(b)に示すように、順序変更用SRAM74の記憶領域の先頭から順に、SRAM70から読み出したスライスS1、S2、S3、S4、S5、S6を格納していく。
図7(b)に示すように、順序変更用SRAM74においては、スライスS1〜S6がラスタスキャン順に並べ替えられるため、メイン解析部16は、順序変更用SRAM74の先頭からスライスのデータを順次読み出すことにより、ラスタスキャン順にスライスデータの解析を進めることができる。
このように、ヘッダ解析部14がSRAM70からラスタスキャン順にスライスを読み出し、いったん順序変更用SRAM74に書き込むことで、順序変更用SRAM74内ではラスタスキャン順に並べ替えられたスライスデータが形成される。
上記の説明では、ヘッダ解析部14は、SRAM70からラスタスキャン順にスライスを読み出し、順序変更用SRAM74の記憶領域の先頭から順次書き込んだが、別の方法として、ヘッダ解析部14は、SRAM70から符号化順にスライスを読み出し、順序変更用SRAM74のラスタスキャン順の格納位置に書き込んでもよい。以下、この方法を図8を参照しながら、説明する。
ヘッダ解析部14は、SRAM70から符号化順にスライスS4、S1、S6、S5、S2、S3を読み出す。ヘッダ解析部14が最初に読み出したスライスS4は、ラスタスキャン順では、スライスS1、S2、S3に次ぐ4番目のスライスであるから、スライスS4を順序変更用SRAM74に格納すべき位置は、順序変更用SRAM74の記憶領域のベースアドレスB1にスライスS1、S2、S3のデータ長L1、L2、L3を加算したアドレスB4である。ヘッダ解析部14は、この格納アドレスB4(=B1+L1+L2+L3)にスライスS4を格納する。
ヘッダ解析部14が2番目に読み出したスライスS1は、ラスタスキャン順では、最初のスライスであるから、スライスS1を順序変更用SRAM74に格納すべき位置は、順序変更用SRAM74の記憶領域のベースアドレスB1である。ヘッダ解析部14は、このベースアドレスB1にスライスS1を格納する。
ヘッダ解析部14が3番目に読み出したスライスS6は、ラスタスキャン順では、最後のスライスであるから、スライスS6を順序変更用SRAM74に格納すべき位置は、順序変更用SRAM74の記憶領域のベースアドレスB1にスライスS1〜S5のデータ長L1〜L5を加算したアドレスB6である。ヘッダ解析部14は、この格納アドレスB6(=B1+L1+L2+L3+L4+L5)にスライスS6を格納する。
以下、ヘッダ解析部14が4番目以降に読み出したスライスS5、S2、S3についても同様に、ラスタスキャン順でそのスライスよりも前のスライスのデータ長を順序変更用SRAM74の記憶領域のベースアドレスB1に加算することにより、そのスライスの格納アドレスを求め、求めた格納アドレスにスライスを格納する。
図9は、ストリーム解析部12のさらに別の構成を説明する図である。この構成では、ストリーム解析部12は、符号化フレームの複数のスライスの順序を入れ替えて出力するための順序変更用SRAM74と、順序変更用SRAM74におけるスライスの格納位置をラスタスキャン順に付けられたスライス番号に対応づけて格納したスライステーブル72とを有する。
ヘッダ解析部14は、符号化フレーム内の複数のスライスをSRAM70から符号化順に読み出し、ヘッダ情報を解析し、読み出したスライスのデータを順序変更用SRAM74に先頭から順次格納する。SRAM70に保持された符号化フレームの複数のスライスは、ヘッダ解析部14による解析を経て、順序変更用SRAM74に符号化順でコピーされていくことになる。ヘッダ解析部14は、符号化フレームのストリームのヘッダ情報を復号して解析し、符号化フレーム内の複数のスライスの符号化順序と各スライスのデータ長の情報を取得し、各スライスが順序変更用SRAM74に格納されている位置を示す開始アドレスを算出する。ヘッダ解析部14は、算出された各スライスの開始アドレスをスライステーブル72に格納する。スライステーブル72の生成方法は、図2〜図5で述べた方法と同様である。
メイン解析部16は、このスライステーブル72を参照して、ラスタスキャン順、すなわちスライスS1、S2、S3、S4、S5、S6の順に順序変更用SRAM74からスライスデータを読み出して、各スライスデータの解析を行う。
この構成では、順序変更用SRAM74は、SRAM70から転送した符号化フレームの複数のスライスを保持し、符号化フレームの複数のスライスの順序を入れ替えてメイン解析部16に出力するためのバッファとして機能する。
SRAM70とは別に順序変更用SRAM74を設けたことの利点を説明する。ヘッダ解析部14は、SRAM70から読み出した符号化フレームのスライスのヘッダ情報の解析が終わると、順序変更用SRAM74にスライスのデータを格納するとともに、順序変更用SRAM74内のスライスの開始アドレスをスライステーブル72に格納する。一方、メイン解析部16は、スライステーブル72を参照して、ラスタスキャン順でスライスを読み出すが、順序変更用SRAM74にラスタスキャン順で読み出すべきスライスのデータが既に格納されていれば、そのスライスのデータを読み出して、解析を進めることができる。
このように、メイン解析部16は、ヘッダ解析部14が符号化フレームのすべてのスライスのヘッダ情報を解析し終わるのを待つことなく、順序変更用SRAM74からスライスのデータを読み出して解析を進めることが可能である。ヘッダ解析部14によるヘッダ情報の解析と並行して、メイン解析部16によるスライスデータのメイン部分の解析、さらには、ストリーム復号部18による復号を進めることができるため、復号処理の高速化を図ることができる。
なお、これまで説明した図2、図6、図9のいずれのストリーム解析部12においても、ヘッダ解析部14によってストリームのヘッダ情報の解析が終了しているため、メイン解析部16に入力されるデータは、ヘッダ情報以降の残りのデータであってもよい。したがって、図2のスライステーブル72の開始アドレスは、ヘッダ情報の後の残りのデータの先頭を指すアドレスであってもよい。また、図6および図8の順序変更用SRAM74に転送されるデータについても、ヘッダ情報の後の残りのデータであってもよい。
以上述べたように、本実施の形態の復号装置100では、ストリーム解析部12が、符号化ストリームのヘッダ情報から符号化フレーム内のスライスの符号化順序を取得し、スライスの順序を元のラスタスキャン順に戻す処理をするため、ストリーム解析以降の処理では、通常のラスタスキャン順を前提として符号化ストリームの処理を進めることができる。したがって、復号装置100内に、ストリーム解析部12以外に、任意スライス順序に対応するための特別な構成を設ける必要はなく、復号装置の回路の簡略化して、回路規模を抑えることができる。また、スライス順序を元に戻すことから、必要なスライスのデータを参照するために、フレームメモリ80からストリームを再読込する必要がなくなり、フレームメモリ80からSTIF82を介したデータ転送を減らすことができる。
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
上記の説明では、符号化フレーム一枚分のスライスのデータがSRAM70あるいは順序変更用SRAM74に格納されたが、SRAMに容量制限や使用制限がある場合、符号化フレームの一部のスライスのデータだけを格納するようにしてもよい。また、一部のスライスのデータをSDRAMなどに退避しておき、必要に応じてSDRAMからSRAMに読み出すように構成してもよい。
SRAM70および順序変更用SRAM74は、複数枚設けられもよい。たとえば、SRAMを2枚設けて、現在処理中の符号化フレームを1枚目のSRAMに保持し、次に処理される符号化フレームを2枚目のSRAMに前もって転送しておくことで、データ転送にかかる待ち時間をなくして、連続して符号化フレームの復号処理が可能となる。
上記の説明では、復号装置100に入力される符号化ストリームが任意スライス順序で符号化されたストリームであるとして、ストリーム解析部12の構成と動作を説明したが、入力される符号化ストリームは、通常のラスタスキャン順でスライスが符号化されたストリームであってもかまわない。ストリーム解析部12は、入力された符号化ストリームが任意スライス順序であるかどうかをストリームのヘッダ情報から判定することができる。ストリーム解析部12は、ストリームが任意スライス順序ではなく、通常のラスタスキャン順で符号化されていると判定した場合、ヘッダ解析部14とメイン解析部16を直結し、ヘッダ解析部14がSRAM70から読み込んだスライスのヘッダを解析した後、そのままメイン解析部16がそのスライスのデータを解析するように切り替え制御してもよい。
実施の形態に係る復号装置の構成図である。 図1の可変長復号部の構成を説明する図である。 任意スライス順序で符号化された符号化フレームを説明する図である。 図2のSRAMに転送された符号化フレームを説明する図である。 図2のスライステーブルを説明する図である。 図2のストリーム解析部の別の構成を説明する図である。 符号化フレーム内のスライスの順序が符号化順からラスタスキャン順に変換される様子を説明する図である。 符号化フレーム内のスライスの順序が符号化順からラスタスキャン順に変換される様子を説明する図である。 図2のストリーム解析部のさらに別の構成を説明する図である。
符号の説明
10 可変長復号部、 12 ストリーム解析部、 14 ヘッダ解析部、 16 メイン解析部、 18 ストリーム復号部、 20 逆量子化部、 30 逆DCT部、 60 動き補償部、 70 SRAM、 72 スライステーブル、 74 順序変更用SRAM、 80 フレームメモリ、 82 STIF、 100 復号装置。

Claims (10)

  1. 動画像のフレームが符号化された動画像ストリームを復号する復号装置であって、
    動画像のフレーム内の複数のスライスが任意順序で符号化された符号化フレームを保持するメモリと、
    前記メモリに保持された前記符号化フレームのヘッダ情報を解析して、前記メモリにおける各スライスの格納位置を算出するヘッダ解析部と、
    前記ヘッダ解析部により算出された前記格納位置を参照することにより、前記符号化フレームの前記複数のスライスをラスタスキャン順に前記メモリから読み出して解析するメイン解析部とを含むことを特徴とする復号装置。
  2. 前記ヘッダ解析部は、前記ヘッダ情報を解析して得られた前記複数のスライスの符号化順序と各スライスのデータ長にもとづいて、前記メモリにおける各スライスの格納位置を算出することを特徴とする請求項1に記載の復号装置。
  3. 前記ヘッダ解析部により算出された各スライスの前記メモリにおける前記格納位置を前記フレーム内のラスタスキャン順に付けられたスライス番号に対応づけて格納したテーブルをさらに含み、
    前記メイン解析部は、前記テーブルを参照することにより、前記複数のスライスをラスタスキャン順に前記メモリから読み出すことを特徴とする請求項1または2に記載の復号装置。
  4. 動画像のフレームが符号化された動画像ストリームを復号する復号装置であって、
    動画像のフレーム内の複数のスライスが任意順序で符号化された符号化フレームを保持する第1のメモリと、
    前記符号化フレームの前記複数のスライスの順序を入れ替えて保持する第2のメモリと、
    前記第1のメモリに保持された前記符号化フレームのヘッダ情報を解析することにより、前記複数のスライスを前記第1のメモリから読み出して、前記第2のメモリにラスタスキャン順で並ぶように格納するヘッダ解析部と、
    前記第2のメモリの先頭から順に前記複数のスライスを順次読み出して解析するメイン解析部とを含むことを特徴とする復号装置。
  5. 前記ヘッダ解析部は、前記ヘッダ情報を解析して得られた前記複数のスライスの符号化順序と各スライスのデータ長にもとづいて、前記第1のメモリにおける各スライスの格納位置を算出し、算出された前記格納位置を参照することにより、前記複数のスライスを前記第1のメモリからラスタスキャン順に読み出して前記第2のメモリに先頭から順次格納することを特徴とする請求項4に記載の復号装置。
  6. メモリに保持された、動画像のフレーム内の複数のスライスが任意順序で符号化された符号化フレームのヘッダ情報を解析して、前記複数のスライスの符号化順序と各スライスのデータ長を取得し、前記メモリにおける各スライスの格納位置を算出することにより、前記符号化フレームの前記複数のスライスのデータをラスタスキャン順に前記メモリから読み出して解析することを特徴とする復号方法。
  7. 第1のメモリに保持された、動画像のフレーム内の複数のスライスが任意順序で符号化された符号化フレームのヘッダ情報を解析して、前記複数のスライスの符号化順序と各スライスのデータ長を取得することにより、前記第1のメモリにおける各スライスの格納位置を算出し、算出された各スライスの格納位置を参照することにより、前記複数のスライスを前記第1のメモリから読み出して、第2のメモリにラスタスキャン順で並ぶように格納し、前記第2のメモリの先頭から順に前記複数のスライスのデータを順次読み出して解析することを特徴とする復号方法。
  8. 動画像のフレームが符号化された動画像ストリームを復号する復号装置であって、
    動画像のフレーム内の複数のスライスが任意順序で符号化された符号化フレームを保持する第1のメモリと、
    前記符号化フレームの前記複数のスライスの順序を入れ替えて出力するための第2のメモリと、
    前記複数のスライスを前記第1のメモリから読み出して、前記第2のメモリに順次格納すると同時に、前記符号化フレームのヘッダ情報を解析して、前記第2のメモリにおける各スライスの格納位置を算出するヘッダ解析部と、
    前記ヘッダ解析部により算出された前記格納位置を参照することにより、前記符号化フレームの前記複数のスライスをラスタスキャン順に前記第2のメモリから読み出して解析するメイン解析部とを含むことを特徴とする復号装置。
  9. 前記ヘッダ解析部は、前記ヘッダ情報を解析して得られた前記複数のスライスの符号化順序と各スライスのデータ長にもとづいて、前記第2のメモリにおける各スライスの格納位置を算出することを特徴とする請求項8に記載の復号装置。
  10. 前記ヘッダ解析部により算出された各スライスの前記第2のメモリにおける前記格納位置を前記フレーム内のラスタスキャン順に付けられたスライス番号に対応づけて格納したテーブルをさらに含み、
    前記メイン解析部は、前記テーブルを参照することにより、前記複数のスライスをラスタスキャン順に前記第2のメモリから読み出すことを特徴とする請求項8または9に記載の復号装置。
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