JP2006278988A - 誘電体薄膜の形成方法及びそれを用いて製造された誘電体膜を備えた圧電体装置 - Google Patents

誘電体薄膜の形成方法及びそれを用いて製造された誘電体膜を備えた圧電体装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 ストライエーションの発生を低減することができる誘電体薄膜の形成方法及びそれを用いて製造された誘電体薄膜を備えた圧電体装置を提供する。
【解決手段】 誘電体薄膜形成用液体材料を塗布するための塗布対象物を回転させる工程と、回転している該塗布対象物の表面に該誘電体薄膜形成用液体材料を吐出し、誘電体薄膜を形成する工程と、を備えていることを特徴とする誘電体薄膜の形成方法により解決する。このような構成により、溶剤成分が揮発する前に誘電体薄膜を形成することができ、その結果、ストライエーションの発生を低減した均一性の高い誘電体薄膜を形成することができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電気的及び/又は光学的性質により各種の誘電体デバイスへの応用が可能な誘電体薄膜の形成方法及びそれを用いて製造された誘電体膜を備えた圧電体装置に関する。
チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等に代表される結晶を含む強誘電体薄膜を有する圧電体装置は、自発分極、高誘電率、電気光学効果、圧電効果、焦電効果等を有しているため、広範なデバイス開発に応用されている。
このような強誘電体薄膜の成膜方法としては、例えば、スパッタリング法、ゾルゲル法、有機金属分解(MOD)法、CVD法等が知られているが、その中でも、ゾルゲル法及び有機金属分解(MOD)法は、比較的安価で簡便に誘電体薄膜を形成することができる手法として知られている。
従来、平坦な強誘電体薄膜を形成するため、シリコーンを含有したペロブスカイト型酸化物薄膜形成用原料溶液が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このペロブスカイト型酸化物薄膜形成用原料溶液は、原料溶液の組成に有機物と反応し難いという化学安定性を有し且つ非常に低い表面張力を有するシリコーンを含有させることによりストライエーションを解消するものである。
特開2001−72416号公報
しかしながら、シリコーンは、上述したように、化学的に安定で他の化合物とは反応しないので、乾燥・焼成しても、強誘電体薄膜の内部にそのまま不純物として残ってしまい、圧電特性に悪影響を及ぼすおそれがある。
また、従来の方法では、誘電体薄膜形成用液体材料を塗布対象物に吐出してから塗布対象物を回転させていたが、この方法によれば誘電体薄膜形成用液体材料の溶媒に揮発性が高い溶媒(例えばブトキシエタノール)を用いた場合、塗布対象物上で誘電体薄膜形成用液体材料中の溶媒が急速に揮発してしまう。誘電体薄膜形成用液体材料の粘度が高くなると、塗布対象物を回転させた場合に、塗布対象物の表面の中心部と外側部とでは膜厚が不均一となり、ストライエーションも大きくなってしまう。
本発明は、このような事情に鑑み、ストライエーションの発生を低減することができる誘電体薄膜の形成方法及びそれを用いて製造された誘電体薄膜を備えた圧電体装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、ストライエーションの発生原因を、塗布対象物に対する誘電体薄膜形成用液体材料の濡れ性が低い点及び/又は誘電体薄膜形成用液体材料の溶媒の主成分であるブトキシエタノールが揮発しやすい点にあると考え、これらの観点から種々検討を行った結果、塗布対象物に対する誘電体薄膜形成用液体材料の濡れ性を高めるか、誘電体薄膜形成用液体材料に対する塗布対象物の濡れ性を高めるか、誘電体薄膜形成用液体材料の溶媒の主成分であるブトキシエタノールの揮発を抑制することで、上記課題を解決することができるとの知見を得た。
本発明はかかる知見に基づきなされたものであり、誘電体薄膜形成用液体材料を塗布するための塗布対象物を回転させる工程と、回転している該塗布対象物の表面に該誘電体薄膜形成用液体材料を吐出し、誘電体薄膜を形成する工程と、を備えていることを特徴とする誘電体薄膜の形成方法を提供するものである。
このような構成により、溶剤成分が揮発する前に誘電体薄膜を形成することができ、その結果、ストライエーションの発生を低減した均一性の高い誘電体薄膜をすることができる。
上記発明の好ましい態様は以下の通りである。前記誘電体薄膜を形成する工程が、2500〜3500rpmで回転している前記塗布対象物の表面に前記誘電体薄膜形成用液体材料を吐出し、下地膜を形成する第1のステップと、第1のステップの回転数よりも低い回転数で回転している該塗布対象物の該下地膜の表面に前記誘電体薄膜形成用液体材料を吐出し、所望の膜厚の誘電体薄膜を形成する第2のステップと、を備えていることが好ましい。
このような構成により、塗布対象物の濡れ性が高まり、スピンコートを1段で行っていた誘電体薄膜の形成方法に比べ、ストライエーションの発生をより減少させることができる。
また、前記誘電体薄膜形成用液体材料の吐出は、その速度を0.3〜2ml/secとすることが好ましい。
また、本発明は、上記の誘電体薄膜の形成方法を用いて製造された誘電体薄膜を備えた圧電体装置を提供するものである。上記の誘電体薄膜の形成方法により、ストライエーションの発生が低減された誘電体薄膜を製造することができるため、それを備えた圧電体装置は耐電圧特性に優れたものとなる。
次に、本発明の好ましい実施形態について、更に具体的に説明する。本発明に係る誘電体薄膜の形成方法は、既述の通り、誘電体薄膜形成用液体材料を塗布するための塗布対象物を回転させる工程と、回転している該塗布対象物の表面に該誘電体薄膜形成用液体材料を吐出し、誘電体薄膜を形成する工程と、を備えている。ここで、回転している該塗布対象物の表面に該誘電体薄膜形成用液体材料を吐出し、誘電体薄膜を形成する工程は、第1のステップと、第2のステップに分けて行うことが好ましい。
まず、第1のステップについて説明する。第1のステップは、塗布対象物に下地膜を形成するための工程である。
塗布対象物の回転は、SOG(spin on glass)コータ等、従来公知のスピンコータを用いて行うことができる。第1のステップにおける塗布対象物の回転数は、2500〜3500rpmであり、2700〜3300rpmが好ましく、2900〜3100rpmがより好ましい。
この回転数は、上記の範囲内であれば、誘電体薄膜形成用液体材料の粘度には影響されない。但し、仮に2500rpm未満となると、形成された下地膜自体に膜厚の分布ができてしまうという問題がある。また、3500rpmを超えると、強誘電体薄膜形成材料を塗布対象物に吐出しても、塗布対象物に広がらずに飛び散り、平坦塗付状態を実現できないという問題がある。
第1のステップにおける塗布対象物の回転は、後述する第2ステップにおける塗布対象物の回転数よりも高い回転数で行われる。目標とする膜厚を得るためには、比較的低速で回転させる必要があるが、低速回転で膜が形成されると、膜厚分布、ストライエーション等の問題が起こる。そこで、第1のステップにおいては比較的高速回転で塗布対象物を回転させ、本成膜の前に予め薄く膜を形成するものである。
回転時間は、上記回転数の範囲内で回転させることを前提として、塗布対象物に誘電体薄膜形成用液体材料を吐出してから30〜120秒間とすることが好ましい。
誘電体薄膜形成用液体材料としては、一般に誘電体薄膜を形成するための原料として用いられる液体材料であれば特に制限はなく、例えば、ゾルゲル法又はMOD法で用いられている材料を用いることができる。
誘電体薄膜形成用液体材料は、塗布対象物の回転中に吐出される。誘電体薄膜形成用液体材料の単位時間当たりの吐出量は、液体材料の粘度と、塗付対象物に対する塗れ性の観点から、0.3〜2ml/secとすることが好ましく、0.5〜2.0ml/secとすることがより好ましく、1.0〜1.5ml/secとすることが更に好ましい。
誘電体薄膜形成用液体材料が吐出されると、塗布対象物の回転により発生する遠心力で塗布対象物の表面に下地膜が形成される。この下地膜は、次のステップで誘電体薄膜形成用液体材料の下地となる膜である。その膜厚は、500〜1500nm程度である。但し、本発明の目的を達成するに当たって、下地膜の膜厚は影響を及ぼさない。
ここで、下地膜は、誘電体薄膜形成用液体材料の濡れ性を向上させるために、誘電体薄膜形成用液体材料と同じ成分か、誘電体薄膜形成用液体材料に用いられている溶媒と同じ成分で予め薄く膜を形成するものである。仮に、下地膜が乾燥すると下地膜を形成した効果が失われてしまうため、第1のステップで形成した下地膜は、乾燥及び焼成を行わない。
次に、第2のステップについて説明する。第2のステップは、第1のステップで形成した下地膜の表面に、所望の膜厚を有する誘電体薄膜を形成するための工程である。
第2のステップでは、誘電体薄膜形成用液体材料の吐出は、第1のステップの回転数よりも低い回転数で行われる。ここで、「第1のステップの回転数よりも低い回転数」とは、下地膜の形成を行ったときの塗布対象物の回転数よりも低い回転数であることいい、例えば、第1のステップの回転数が3000rpmであったとき、第2のステップの回転数が3000rpm未満であることをいう。第2のステップで、第1のステップの回転数よりも低い回転数で行う理由は、圧電体薄膜の膜厚を確保するためである。
第2のステップの回転数は、最終的に得ようとする誘電体薄膜の膜厚との関係で適宜決定される。但し、誘電体薄膜をスピンコートで形成するために一定以上の回転数は必要とされるため、例えば、回転数の下限を500rpmとする。
誘電体薄膜形成用液体材料の単位時間当たりの吐出量は、第1のステップで説明した単位時間当たりの吐出量と同様であるため、ここでは説明を省略する。
下地膜に吐出された誘電体薄膜形成用液体材料は、下地膜上で速やかに誘電体薄膜を形成する。下地膜は同じ組成の材料を用いているため、十分な濡れ性を有している。その結果、ストライエーションの発生が低減された誘電体薄膜が形成される。
塗布後、塗膜を乾燥させ、溶媒を除去する。この乾燥温度は溶媒の種類によっても異なるが、通常は80〜200℃程度であり、好ましくは100〜180℃の範囲でよい。但し、原料溶液中の金属化合物を金属酸化物に転化させるための次工程の加熱の際の昇温中に、溶媒は除去されるので、塗膜の乾燥工程は必ずしも必要とされない。
その後、仮焼工程として、塗布した基板を加熱し、有機金属化合物を完全に加水分解又は熱分解させて金属酸化物に転化させ、金属酸化物からなる膜を形成する。この加熱は、一般に加水分解の必要なゾルゲル法では水蒸気を含んでいる雰囲気、例えば、空気又は含水蒸気雰囲気(例えば、水蒸気を含有する窒素雰囲気)中で行われ、熱分解させるMOD法では含酸素雰囲気中で行われる。
加熱温度は、金属酸化物の種類によっても異なるが、通常は150〜550℃の範囲であり、好ましくは、300〜450℃である。加熱時間は、加水分解及び熱分解が完全に進行するように選択するが、通常は1分ないし2時間程度である。
ゾルゲル法等の場合は、1回の塗布で、ペロブスカイト型酸化物薄膜に必要な膜厚とすることは難しい場合が多いので、必要に応じて、上記の塗布と(乾燥と)仮焼を繰返して、所望の膜厚の金属酸化物の膜を得る。
こうして得られた膜は、非晶質であるか、結晶質であっても結晶性が不十分であるので、分極性が低く、強誘電体薄膜として利用できない。そのため、最後に結晶化アニール工程として、その金属酸化物の結晶化温度以上の温度で焼成して、ペロブスカイト型の結晶構造を持つ結晶質の金属酸化物薄膜とする。
なお、結晶化のための焼成は、最後に一度で行うのではなく、各塗布した塗膜ごとに、上記の仮焼に続けて行ってもよいが、高温での焼成を何回も繰返す必要があるので、最後にまとめて行う方が経済的には有利である。
この結晶化のための焼成温度は通常は500〜800℃の範囲であり、例えば500〜750℃である。従って、基板としては、この焼成温度に耐える程度の耐熱性を有するものが使用される。結晶化のための焼成(アニール)時間は、通常は1分から2時間程度であり、焼成雰囲気は特に制限されないが、通常は空気又は酸素である。
このような誘電体薄膜の形成に用いられる塗布対象物としては、シリコン(単結晶又は多結晶)、白金、酸化イリジウム、ニッケルなどの金属類、酸化ルテニウム、酸化イリジウム、ルテニウム酸ストロンチウム(SrRuO3)又はコバルト酸ランタンストロンチウム((LaXSr1-X)CoO3)などのぺロブスカイト型導電性酸化物など、石英、窒化アルミニウム、酸化チタンなどの無機化合物が挙げられる。
キャパシター膜の場合には、基板は下部電極であり、下部電極としては、例えば、Pt、Pt/Ti、Pt/Ta、Ru、RuO2、Ru/RuO2、RuO2/Ru、Ir、IrO2、Ir/IrO2、Pt/Ir、Pt/IrO2、SrRuO3又は(LaXSr1-X)CoO3などのぺロブスカイト型導電性酸化物などとすることができる(なお、「/」を用いた2層構造のものは「上層/下層」として示してある。)。
図1は、本発明に係る誘電体薄膜の形成方法を利用して製造された圧電体層を備えた圧電体装置の一例である。図1に示すように、本実施形態に係る圧電体装置は、複数の圧力発生室30が形成された流路形成基板10の圧力発生室30に対応する領域に配設されている。本実施形態では、流路形成基板10として、面方位(110)のシリコン単結晶基板を使用した。この流路形成基板10の一方の面には、SiO2膜11及びZrO2膜12からなる、厚さ1〜2μmの弾性膜(絶縁膜)25が形成されている。また、流路形成基板10の他方の面は、開口面となる。
流路形成基板10の前記開口面には、シリコン単結晶基板を異方性エッチングすることにより形成された複数の圧力発生室30が形成されている。なお、流路形成基板10の前記開口面には、圧力発生室30内に収容されるインクに対する耐性を有した保護膜としての機能を備えたSiO2膜33が形成されている。
一方、流路形成基板10の前記開口面とは反対側の面に形成された弾性膜25上であって、圧力発生室30が形成されている領域上には、図1に示すように、下電極13と、圧電体層16と、上電極17が形成されている。下電極13は、弾性膜25と共に振動板を構成し、この弾性膜25と下電極13からなる振動板、圧電体層16及び上電極17を含む部分によって圧電体装置が構成されている。
上電極17上には、外部からの水分によって圧電体層16を劣化させないようにするための保護膜18が形成されており、上電極17は、保護膜18に形成されたコンタクトホール19を介して配線20と電気的に接続されている。また、流路形成基板10とは反対側の面(図1でいう上面)には、接合板21が配設されている。
このような圧電体装置は、インクカートリッジ等と連通するインク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成して、インクジェット式記録装置に搭載される。
なお、本発明は、塗布対象物に対する誘電体薄膜形成用液体材料の濡れ性を高める方法、誘電体薄膜形成用液体材料に対する塗布対象物の濡れ性を高める方法、誘電体薄膜形成用液体材料の溶媒の主成分であるブトキシエタノールの揮発を抑制する方法を組み合わせることにより、更にストライエーションの発生を低減することができる。
具体的には、誘電体薄膜形成用液体材料の表面張力をγL、塗布対象物の表面張力をγSとした場合に、γL<γSの関係を満たすように塗布対象物及び/又は誘電体薄膜形成用液体材料の表面張力を設定することが好ましい。
誘電体薄膜形成用液体材料の表面張力を下げる手段としては、例えば、低級アルコールを含有し、25℃における表面張力が20〜70mN/mである誘電体薄膜形成用材料液を、塗布対象物に塗布する方法がある。低級アルコールとしては、C1-6アルコールであることが好ましく、特に、エタノール又はプロパノールであることが好ましい。また、その濃度は、0.2〜1mol/lであることが好ましい。これにより、塗布対象物に対する誘電体薄膜形成用液体材料の濡れ性を高めることができ、その結果、ストライエーションの発生を減少させることができる。
塗布対象物の表面張力を上げる手段としては、例えば、塗布対象物の表面を、予めシラン化合物を含む水溶液で処理することにより、誘電体膜形成用液体材料に対する該塗布対象物の濡れ性を調整する方法がある。前記シラン化合物は、その濃度が0.01〜5重量%であることが好ましい。前記シラン化合物は、下記式で示されるものであることが好ましい。
Figure 2006278988
(上記式中、Xはアミノ基、エポキシ基又はビニル基を示し、nは2〜20の整数を示し、Rはアルキル基を示す)
これにより、塗布対象物の表面張力が上がり、塗布対象物に対する誘電体薄膜形成用液体材料の濡れ性が確保されることにより、ストライエーションの発生を低減することができる。
圧電体層を成膜するために、PZTを構成する金属成分の水酸化物の水和錯体、即ち、誘電体薄膜形成用液体材料としてのゾルを調製した。このゾルを調製するため、2−n−ブトキシエタノールを主溶媒として、これにチタニウムテトライソプロポキシドを添加し、室温で30分間撹拌した。更に、ジエタノールアミンを加えて室温で更に30分間撹拌し、更に酢酸鉛3水和物を加え、80℃に加熱した。加熱した状態で60分間撹拌し、その後、120分間冷却した。その後、ポリエチレングリコール(重量平均分子量400)を添加し、室温で15分間撹拌した。
このようにして得られたゾルを基板上に塗布するために、SOGコータを用いてスピンコートした。このとき、ストライエーションの発生を低減させるため、2段階でゾルを塗布して圧電体膜を形成した。
即ち、第1のステップとして、基板を3000rpmで回転させつつ、ゾル1.5mlを0.6ml/secの吐出速度で2.5秒間吐出し、その後20秒間回転させた。
次いで、第2のステップとして、前記基板を1500rpmで回転させつつ、前記下地膜の表面にゾル1.2mlを0.6ml/secの吐出速度で2秒間吐出し、その後30秒間回転させることにより、膜厚1μmの圧電前駆体膜を形成した。
その後、圧電前駆体膜を180℃で30分間乾燥させ、ホットプレートを用いて空気中において330℃で10分間脱脂した。スピンコートから脱脂までの工程を2回繰り返し、その後、環状炉にて酸素雰囲気中700℃で30分間結晶化熱処理を行った。この工程をさらに4回繰り返すことで合計10層から成る膜厚1μmの圧電体層を成膜した。
[比較例1]
ゾルを基板上にスピンコートする際、まず始めにゾル2mlを基板上に吐出した後、最初に500rpmで30秒間、次に1500rpmで30秒間、最後に500rpmで10秒間の条件で行ったこと以外は実施例1と同様の要領で、膜厚1μmの圧電前駆体膜を得た。
[試験例1]膜厚の測定
実施例1及び比較例1で得られた圧電体層について、その圧電体層の断面を走査型電子顕微鏡で観察し、以下の要領で膜厚を測定した。圧電体層の膜厚の均一性を評価するために、圧電体層の基板中央部分の膜厚(以下、単に「中央」と称する)と外側部分の膜厚(以下、単に「外側」と称する)をそれぞれ5点ずつ測定し、その平均値を求めた。そして、求めた平均値から、以下の式により、圧電体層の膜厚の均一性、即ち、圧電体層の膜厚におけるばらつきの程度を求めた。
膜厚の均一性(%)=(中央−外側)/外側×100
また、圧電体層の表面におよそ0.1mm間隔で波状に形成されているストライエーションのうち、高い部分の長さ(以下、単に「山」と称する)と低い部分の長さ(以下、単に「谷」と称する)について、中央と外側とでそれぞれ5点ずつ測定し、その平均値を求めた。そして、求めた平均値から、以下の式により、ストライエーションの高さの均一性、即ち、ストライエーションの高さにおけるばらつきの程度を求めた。
ストライエーションの高さの均一性(%)=(山−谷)/谷×100
Figure 2006278988
表1に示すように、実施例1の圧電体層は、比較例1の圧電体層に比べ、膜厚の均一性に優れ、膜厚分布がほとんど認められないことが確認できた。また、実施例1の圧電体層は、比較例1の方法と比較して、ストライエーションの状態も改善され、ストライエーションの高さにおけるばらつきの程度が抑えられることが判明した。
以上、本発明によれば、回転している状態の塗布対象物に誘電体薄膜形成用液体材料を吐出して所望の膜厚の誘電体薄膜を形成するようにしたため、ストライエーションの発生が低減された均一性の高い誘電体薄膜を形成することができる。
また、本発明の副次的な効果として、誘電体薄膜形成用液体材料が塗布対象物に隙間なく塗布されることにより、焼結後、積層された層の界面に空孔、及び気孔又はアモルファル状の低密度の領域、即ち、層間異物が形成されるのを抑制することができる。
本発明に係る誘電体薄膜の形成方法を利用して製造された圧電体層を備えた圧電体装置の一例である。
符号の説明
10:流路形成基板、11:SiO2膜、12:ZrO2膜、13:下電極、16:圧電体層、17:上電極、18:保護膜、19:コンタクトホール、20:配線、21:接合板、25:弾性膜(絶縁膜)、30圧力発生室、33:SiO2

Claims (4)

  1. 誘電体薄膜形成用液体材料を塗布するための塗布対象物を回転させる工程と、
    回転している該塗布対象物の表面に該誘電体薄膜形成用液体材料を吐出し、誘電体薄膜を形成する工程と、
    を備えていることを特徴とする誘電体薄膜の形成方法。
  2. 前記誘電体薄膜を形成する工程が、
    2500〜3500rpmで回転している前記塗布対象物の表面に前記誘電体薄膜形成用液体材料を吐出し、下地膜を形成する第1のステップと、
    第1のステップの回転数よりも低い回転数で回転している該塗布対象物の該下地膜の表面に前記誘電体薄膜形成用液体材料を吐出し、所望の膜厚の誘電体薄膜を形成する第2のステップと、
    を備えていることを特徴とする請求項1記載の誘電体薄膜の形成方法。
  3. 前記誘電体薄膜形成用液体材料の吐出は、その単位時間当たりの吐出量を0.3〜2ml/secとすることを特徴とする請求項1又は2記載の誘電体薄膜の形成方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載の誘電体薄膜の形成方法を用いて製造された誘電体薄膜を備えた圧電体装置。
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