JP2006278262A - 燃料電池用極性液供給体、その製造方法および燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】 極性液によって膨潤することなく極性液を供給できる燃料電池用極性液供給体と、その製造方法を提供する。また、そのような供給体を用いる、小型・軽量化された燃料電池を提供する。
【解決手段】 疎水性ポリマーからなる連続気泡体の細孔表面の少なくとも一部に、細孔表面に親水基を与える化合物をグラフトさせた、極性液親和性細孔表面を有するグラフト化連続気泡体からなる燃料電池用極性液供給体;疎水性ポリマーの連続気泡体に、電子線を照射する工程を含む上記極性液供給体の製造方法;および上記極性液供給体を用いる燃料電池。
【選択図】 なし

Description

本発明は、極性液、特にメタノールまたはメタノール水溶液に親和性の表面を有する連続気泡体からなる燃料電池用極性液供給体およびその製造方法に関する。さらに具体的には、本発明は、疎水性ポリマーからなる連続気泡体の細孔表面の少なくとも一部に、親水基を与える化合物をグラフトさせた連続気泡体からなる燃料電池用極性液供給体、およびその製造方法に関する。また、本発明は、上記極性液供給体を用いた燃料電池に関する。
ノートパソコン、電子手帳、携帯電話のようなモバイル機器は、高性能プロセッサの採用や、動画処理などの機能の増加により、ますます高性能の電池を必要としている。そのため、リチウムイオン電池をはじめとする通常の二次電池は、モバイル機器の機能強化や長時間駆動を可能にするための特性を満足させなくなっている。
一方、燃料電池は、重量エネルギー密度(単位重量あたりの電気容量)がリチウムイオン電池の約10倍と大きい。クリーンなエネルギー源であることとあいまって、このような機器に燃料電池を用いることが、課題になっている。
燃料電池は、負極に燃料を、正極に該燃料を酸化する物質を供給して、化学反応の自由エネルギーを電気エネルギーに変換するもので、水素−酸素燃料電池、炭化水素燃料電池、ヒドラジン燃料電池など各種の燃料電池が実用化され、または実用化に近づいている。しかし、水素やヒドラジンのような爆発性のある物質を用い、特に水素は、高圧容器を必要とするため、一般民生用として普及するには、安全性の確保のための技術的配慮が必要である。たとえば、燃料として負極に供給する水素を貯蔵する代わりに、天然ガス、プロパン、ナフサ、メタノールなどを貯蔵して、改質器で水素に変換して用いることが行われている(非特許文献1、158〜164頁参照)。
メタノールを用いる燃料電池は、比較的安全なメタノールまたはその水溶液を水素源とするため、高圧容器の必要がなく、安全上、有利である。また、メタノールを水素に変換せずに直接燃料として用いるダイレクトメタノール形燃料電池の開発も進められており、改質器を用いないので、小型・軽量化および安全性の上でさらに有利である(非特許文献1、210〜217頁;非特許文献2、129〜131頁参照)。
メタノールまたはその水溶液を、メタノール容器から改質器またはセルに供給するのにポンプを用いると、モバイル機器のように小型・軽量化が必要な機器にとって、大きな負担になる。
メタノールまたはその水溶液を供給するのに、連続気泡体の成形体の毛管現象を用いることが考えられる。しかしながら、ポリウレタンフォームには、ウレタン結合のような極性基が存在し、メタノールまたはその水溶液のような極性液との親和性のために、フォームが膨潤して細孔径などの寸法安定性が悪く、実用に供することができない。一方、ポリオレフィンやポリジオレフィンのような疎水性ポリマーからなる連続気泡体は、細孔表面が疎水性であるために、極性液との親和性が乏しく、充分な吸い上げ・供給速度が得られない。また、細孔表面を界面活性剤で処理すると、メタノールまたはその水溶液のような極性液供給速度は上昇するが、通過する該極性液が界面活性剤で汚染され、運ばれた界面活性剤が電極まで到達すると、その電気伝導を阻害する。
したがって、上記の疎水性ポリマーからなる連続気泡体を用いて、膨潤による寸法変化を生じることなく、極性液を細孔に通すことが可能な極性液供給体を得ることが求められている。
ポリオレフィンのような無極性ポリマーや、その織布または不織布のような繊維に、電子線を照射するなどの方法により、ビニル化合物またはアリル化合物、特に親水性の上記化合物をグラフトさせて改質することは知られている(特許文献1、2)。また、架橋ポリオレフィン連続気泡体に、アクリル酸をグラフト重合させて親水化し、土壌に配合してその保水性を改善することが開示されている(特許文献3)。しかしながら、このようなグラフト化反応を、微細な連続気泡体に適用して、膨潤がなく、燃料電池の極性液供給体として用いることは知られていない。
特開平07−279052号公報 特開2002−371471号公報 特開平06−030656号公報 池田宏之助編著、「燃料電池のすべて」 日本実業出版社、2001年発行 電気学会 燃料電池運転性調査専門委員会編、「燃料電池発電」 コロナ社、1994年発行
したがって、本発明の課題は、メタノールまたはその水溶液のような極性液を供給するために、ポンプを用いる代わりに、供給する極性液の汚損がなく、かつ機器の小型・軽量化に有利な方法で極性液を供給する燃料電池用極性液供給体を提供することである。また、本発明のもうひとつの課題は、燃料電池用極性液供給体の製造方法を提供することである。さらに、本発明の他の課題は、そのような極性液供給体を用いる、小型・軽量化された燃料電池を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を達成するために検討を重ねた結果、連続気泡体の細孔の毛管現象を利用することが有利であり、疎水性ポリマーの連続気泡体の細孔表面をグラフト化して親水性表面を与え、これを燃料電池用極性液供給体として用いることにより、上記の課題を達成しうることを見出して、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、疎水性ポリマーからなる連続気泡体の細孔表面の少なくとも一部に、細孔表面に親水基を与える化合物をグラフトさせた、極性液親和性細孔表面を有するグラフト化連続気泡体からなる燃料電池用極性液供給体に関する。また本発明は、疎水性ポリマーの連続気泡体に、電子線を照射する工程を含み、該工程中または該工程後に、細孔表面に親水基を与える化合物またはその溶液を、細孔に存在させることを特徴とする、上記燃料電池用連続気泡体の製造方法に関する。さらに本発明は、メタノールまたはその水溶液のような極性液を水素源または燃料として用いる燃料電池において、上記極性液供給体を介して、該極性液を改質器または燃料極に供給することを特徴とする燃料電池に関する。
本発明の極性液供給体として用いられる連続気泡体は、軟質、半硬質、硬質など、どのような連続気泡体でもよく、その目的、たとえば燃料電池の種類や形状に応じて適宜選択される。
連続気泡体を構成するベースポリマーは、極性液によって膨潤を起こさない疎水性ポリマーである。このような疎水性ポリマーとしては、各種の重合法によって得られるポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−α−ブテン共重合体、エチレン−高級アルキレン共重合体のようなポリオレフィン樹脂;ポリブタジエン樹脂のようなポリジオレフィン樹脂;上記相互の共重合体およびポリマーブレンド;EPR、EPDM、ポリブタジエンゴム、SBR、ポリイソプレンゴム、IIRのような炭化水素系ゴム;スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン・ブテン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体、1,2−ポリブタジエン、ポリプロピレン−EPDMブレンド、その部分架橋体のような炭化水素系熱可塑性エラストマーなどの炭化水素系ポリマーが例示される。さらに、PET、PBTのようなポリエステルも、疎水性ポリマーとして挙げることができる。これらのうち、柔軟であり、照射によって分解するような添加剤がなく、リサイクルも容易なことから、ポリオレフィンが好ましく、優れた極性液吸収性と寸法安定性を有する極性液供給体が容易に得られることから、高密度ポリエチレンが特に好ましい。
グラフト化剤として用いられる、細孔表面に親水基を与える化合物としては、それ自体が親水基を有するビニル化合物およびアリル化合物、ならびにグラフト化反応の後に、加水分解反応のような反応によって親水基を生じることができるビニル化合物およびアリル化合物を挙げることができる。それ自体が親水基を有するビニル化合物およびアリル化合物としては、アクリル酸、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリルアミド、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウムのようなアクリル化合物;これらに対応するメタクリル化合物;およびエチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、N−メチル−N−ビニルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドンのような、その他の親水性ビニル化合物;およびこれらに対応する親水性アリル化合物などが例示される。また、親水基を生じることができるビニル化合物およびアリル化合物としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、酢酸ビニルなどが例示される。これらの親水基を与える化合物のうち、取扱いが容易なことからアクリル酸、アクリルアミド、メタクリル酸グリシジルなどが好ましく、目的とする吸水率およびその他の性質から選択することができる。
グラフト化は、細孔表面に親水基を与える目的で行われるので、グラフト化反応によって生じる側鎖(グラフト鎖)は、必ずしもモノマーが付加重合して得られるポリマー鎖である必要はなく、単にモノマーがベースポリマーと反応して生じたものからポリマー鎖まで、目的とする極性液供給体の性質に合わせて選択することができる。本発明においては、グラフトポリマーおよびグラフト化連続気泡体とは、このようなグラフト鎖を有するポリマーおよび連続気泡体として定義される。また、ポリエチレングリコールモノビニルエーテルのように親水性のポリマー鎖を有するグラフト化剤を用いて、グラフト鎖を形成させてもよい。
グラフトポリマーのグラフト化の度合いは、グラフト化反応による重量増加から、下記の定義によるグラフト率によって示される。
G(重量%)=[(w−w)/w] × 100
(式中、Gはグラフト率、wはグラフト化反応前の重量、wはグラフト化反応後の重量を示す。)
本発明において極性液供給体として用いられるグラフト化連続気泡体のグラフト率は、疎水性ポリマーの種類、グラフト化剤の種類、供給する極性液の種類、および目的とする極性液供給体の性質に合わせて選択される。極性液によってフォームが膨潤することなく、かつ充分な供給速度が得られることから、グラフト率は、5〜100重量%の範囲が好ましく、20〜90重量%がさらに好ましく、50〜80重量%が特に好ましい。
上記疎水性ポリマーをベースとする極性液供給体の平均細孔径は、該極性液の供給速度から1〜200μmの範囲が好ましく、平均細孔径が小さいほど供給速度が大きい。充分な極性液供給速度を有し、かつ製造が容易なことから、10〜120μmがさらに好ましい。ただし、燃料電池の構造のうえで、燃料極または改質器から発生する炭酸ガスを、極性液供給体を介して排出する必要がある場合、極性液の供給速度を下げてもよい構造にして、極性液供給体の平均細孔径を、100〜200μmの範囲とすることがさらに好ましく、120μmを越えて180μm以下が特に好ましい。
極性液供給体の空隙率は、充分な機械的強度を有しながら、優れた極性液供給速度を示すことから、70〜90%が好ましく、80〜90%がさらに好ましい。
本発明の極性液供給体に、必要に応じて、電子線の透過を妨げたり、電子線によって分解するなどの弊害を生じない限り、充填剤、色材、可塑剤、軟化材、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、抗菌剤および/または防カビ剤などを配合することができる。これらは、たとえば連続気泡体を形成させる前に、疎水性ポリマーに混練するなどの方法によって、系中に導入することができる。
本発明の極性液供給体に用いられる連続気泡体は、たとえば疎水性ポリマーもしくはそれを含む系に、核剤を分散もしくは溶解させた後、水または適切な溶媒を用いて核剤を抽出させる抽出法;あるいは疎水性ポリマーもしくはそれを含む系に、不活性ガスを機械的に混入するメカニカルフロス法などによって形成させることができる。より均一な細孔径の連続気泡体が得られることから、抽出法が好ましい。抽出法で用いる核剤としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化アンモニウム、硝酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウム無水物、炭酸ナトリウム無水物、メタケイ酸ナトリウム無水物および四ホウ酸ナトリウム無水物のような無機化合物;ならびにトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ソルビトール、スクロース、可溶化デンプン、グリシンおよび各種有機酸塩(たとえばリンゴ酸、クエン酸、コハク酸、グルタミン酸などのナトリウム塩)のような有機化合物が例示され、環境への影響がないことなどから塩化ナトリウムが好ましい。メカニカルフロス法で混入する不活性ガスとしては、窒素などが例示される。炭化水素系ゴムのような連続気泡体の形成に加硫(架橋)を伴う系では、高分子化合物に、必要に応じて加硫剤(架橋剤)および加硫促進剤を混合して、それぞれの系によって選択される適切な条件で加硫を行う。
本発明のグラフト化連続気泡体は、上記のようにして得られた連続気泡体の細孔に、グラフト化反応またはその後の反応によって、親水基を形成したものである。
疎水性ポリマーのうち、細孔表面に官能基を有するものは、グラフトさせるモノマーやマクロマーを該官能基に反応させて、グラフト鎖を形成させることができる。しかし、ポリエチレンのようなポリオレフィン樹脂の場合、そのような官能基が存在しないので、有機過酸化物の存在下における加熱、または電子線照射によってラジカルを発生させ、それをグラフト化サイトとしてグラフト鎖を形成させる。本発明者は、電子線照射により、ポリマーの劣化や、連続気泡体の構造変化を生じることなく、制御よくラジカルを発生させてグラフト化が可能であることを見出した。
電子線照射は、線源として電子加速器などを用い、常温で、空気中または窒素もしくはアルゴンのような不活性ガス雰囲気中で行うことができる。加速電圧は、照射対象の実質厚さによっても異なるが、通常150〜1,500kVである。電子線照射によって疎水性ポリマーの連続気泡体が融解することを防ぐ場合には、該連続気泡体を冷却しつつ照射を行うか、照射を低レベルで、または間欠的に行う。電子線の吸収線量は、単位体積あたり、通常10〜300kGy、好ましくは50〜200kGyである。
グラフト化反応は、細孔表面に親水基を与える化合物を、電子線照射と同時に、または電子線照射の後に、連続気泡体の細孔に存在させて、実施することができる。すなわち、疎水性ポリマーの連続気泡体を、親水基を与える化合物か、もしくは該化合物を溶解し、かつ連続気泡体を冒さない溶媒に溶解させた溶液に浸漬するか、上記化合物またはその溶液を疎水性ポリマーの連続気泡体の細孔に通す。ただし、該化合物が固体である場合には、溶液として用いる必要がある。用いる溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ジエチルエーテル、アセトン、ベンゼン、トルエンなど、およびそれらの混合溶媒が例示される。親水基を与える化合物は、水や極性溶媒に溶解するものが多い。それゆえ溶媒としては、これらの化合物を溶解させるような、水;メタノール、エタノール、イソプロパノールのような低級アルコール;およびこれらの混合溶媒が好ましく、グラフト化反応の際に連続気泡体を膨潤させないことから、水を用いることがより好ましい。有機溶媒の存在は、膨潤率を上げる傾向がある。無溶媒でグラフト化反応を行うことが最も好ましい。また、必要に応じて、グラフト化剤を加圧または減圧下に送るなどの手段をとることもできる。
反応温度は、常温でも、連続気泡体の構造が損なわれない程度の高温で行ってもよい。電子線照射の後にグラフト化を行う場合、電子線照射された連続気泡体を、たとえばドライアイス−ジエチルエーテル中または液体窒素中で冷却して保存することにより、電子線照射によって生じたラジカルを安定に保存することができる。
たとえば、高密度ポリエチレンのようなポリオレフィンの連続気泡体の細孔表面に(ポリ)アクリル酸のグラフト鎖を形成させる場合、連続気泡体に電子線照射を行った後、アクリル酸またはその溶液に連続気泡体を浸漬して、常温で、または50℃以下に加温してグラフト化反応を実施するか、浸漬中の試料に電子線照射を行うことにより、グラフト化反応を実施することができる。溶液としては、15重量%以上のアクリル酸を含む水溶液などを用いることができる。
連続多孔体は、グラフト化反応の際に膨潤することがあり、それが著しいと、必要な寸法安定性が得られず、また機械的強度を損ねることがある。したがって、グラフト化反応は、膨潤を抑制するような条件で行うことが好ましい。膨潤率は、体積変化率として30%以下が好ましく、10%以下がさらに好ましい。
グラフト化剤としてアクリル酸を用いる場合、無溶媒でグラフト化反応を行うことが最も好ましい。また、ベースポリマーとしては、高密度ポリエチレンが最も好ましく、ポリオレフィンのポリマーブレンドの場合は、高密度ポリエチレンの含有量の高い方が、より低い膨潤率で、良好な極性液吸収性を有する極性液供給体が得られる。
得られた極性液供給体の極性液吸収性は、後述の実施例の測定方法を用いて、10秒以内が好ましく、1秒以内がさらに好ましい。
メタクリル酸グリシジルのようなグラフト化剤を用いる場合には、グラフト鎖を形成させた後、硫酸水溶液のような酸性水溶液による開環反応でエポキシ環を開環させて、2個のヒドロキシル基を形成させることができる。反応条件は、代表的には、75℃において、0.5mol/Lの硫酸水溶液中に3時間浸漬する。
本発明の燃料電池は、メタノールのようなアルコールやその水溶液などの極性液を水素源または燃料として用いる燃料電池であって、該極性液を、その容器より、上記本発明の極性液供給体を介して、改質器または燃料電池に供給することを特徴とする。極性液としては、上記のほか、発酵法などによって得られるエタノールやその水溶液、メタノールおよび/またはエタノールを他の成分とともに含む液体などが例示される。
メタノールを水素源として用いる燃料電池を例にとると、メタノールまたはその水溶液(以下、メタノール系液体という)を改質器に供給して、部分酸化反応や水蒸気改質などの改質反応により、水素を含む改質ガスを生成させ、この水素を燃料電池の燃料極に接する燃料室に供給する。燃料電池は、リン酸水溶液、アルカリ性水溶液、溶融炭酸塩、固体酸化物、固体高分子などを電解質として含み、必要に応じて触媒および/または電解質保持材を含む電解質層の両側に、炭素繊維のような多孔質導電体で構成される、燃料極と酸素極とを設けたものであり、燃料極に供給される水素と、空気などとして酸素極に供給される酸素との反応によって生じるエネルギーを、上記両極より電気エネルギーとして取り出すことができる。
ダイレクトメタノール型燃料電池のように、燃料としてアルコールを直接に用いる燃料電池は、メタノール系液体のようなアルコール含有液体を直接に燃料極に供給して、水素の代わりに燃料として用いるものである。たとえば固体高分子電解質膜を電解質層とし、炭素繊維のような担体に担持させた白金系触媒、たとえば燃料極のRu−Pt触媒、空気極のPt触媒により、酸化して炭酸ガスと水を生じる反応によって発生するエネルギーを、上記と同様に取り出すことができる。
本発明によって、メタノール系液体のような極性液を汚染することなく供給する燃料電池用極性液供給体を、容易に得ることができる。本発明の製造方法により、発泡体の物性を損なうことなく、上記の極性液供給体を製造することができる。さらに、本発明の極性液供給体を介して、メタノール系液体を改質器または燃料極に供給することにより、メタノールを水素源として用い、またはメタノールを燃料として用いる、小型・軽量化された燃料電池を得ることができる。ダイレクトメタノール型燃料電池のような直接燃焼型燃料電池は、メタノールのような極性液を直接に燃料として用いるので改質器を必要とせず、小型・軽量化が必要な用途に、特に好適である。
本発明の極性液供給体は、平均細孔径やグラフト率を制御よく製造でき、極性液を持続的に供給しても膨潤することがない。それゆえ、メタノールやその水溶液のような極性液の供給量や、発生する炭酸ガスの排出量を制御よく運転できる。また、本発明の燃料電池は、このような極性液供給体を用いることにより、膨潤による寸法変化を考慮することなく設計することができる。さらに、極性液供給体としてポリオレフィン樹脂のような熱可塑性樹脂を用いると、リサイクルにも有利である。
以下、本発明を、実施例によってさらに具体的に説明する。実施例中、部は重量部、濃度・組成の%は重量%を示す。本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
連続気泡体の作製
ベースポリマーとして高密度ポリエチレンを用い、平均細孔径100μm、空隙率85%の連続気泡体試料を作製する例を示す。他の連続気泡体も、ベースポリマーの種類、塩化ナトリウム微粉末の平均粒径、および塩化ナトリウムとベースポリマーの配合比を変えることにより、同様の手段を用いて作製した。
高密度ポリエチレン15部に、平均分子量20,000のポリエチレングリコール25部、および平均粒径100μmの塩化ナトリウム微粉末85部を配合し、ニーダーで撹拌・混合した後、押出機により、厚さ2mmのシート状に押出成形し、ついで長さ50mm、幅50mmに切断した。これを、常温の水中に投入して48時間放置することにより、水で核剤を抽出して、上記の高密度ポリエチレンの連続気泡体の試料を得た。
グラフト化反応
上述のようにして得られた連続気泡体試料を、コンベアベルトに乗せ、下記の式による試料の吸収線量が100kGyになるように、加速電圧、電流、試料の速度などを調節して、窒素気流中、温度40℃で、電子加速器による電子線照射を行った。
Figure 2006278262
ただし、損失係数Kは、加速電圧、試料の見掛け比重、厚さによって決まる係数である。
照射後ただちに、グラフト化剤に試料を浸漬して、細孔までグラフト化剤を滲み込ませた。温度40℃で所定時間経過後、試料を液から取り出し、40℃の恒温槽中で乾燥した後、極性液供給体としての評価に供した。
極性液供給体として、下記の評価方法を用いた。
(1)膨潤率
グラフト化反応前の見掛け体積に対するグラフト化反応後の見掛け体積の比を、下記の式で算出して膨潤率とした。
Q(%)=[(v−v)/v] × 100
(式中、Qは膨潤率、vはグラフト化反応前の見掛け体積、vはグラフト化反応後の体積を示す。)
(2)極性液吸収時間
極性液の代表として、メタノールの10%水溶液を用いた。試料を水平に置き、その表面に、孔径1mmのスポイトから上記の極性液を1滴垂らし、極性液が細孔内に吸収されて表面に残らなくなるまでの時間を測定して、吸収時間とした。
(3)通気性
厚さ2mmの極性液供給体試料について、Automated Perm Porometer Model CEP-1100-AEXL(西華産業株式会社商品名)を用い、側面から気体が洩れないように多孔体の上下をパッキンで挟み、温度25℃、圧力差1kPaで厚さ方向に乾燥空気を通して、通気性を測定した。
ベースポリマーとして用いたポリオレフィンとその略号は、次のとおりである。
HDPE:高密度ポリエチレン
LDPE:低密度ポリエチレン
PEB:エチレン−α−ブテン共重合体
実施例1〜3、比較例1、2
ベースポリマーとしてHDPEを用い、グラフト化剤としてアクリル酸を無溶媒で、または水溶液もしくはメタノール溶液として用いて、グラフト化反応を行い、極性液供給体を得た。ただし、比較例1は、HDPEの連続気泡体をグラフト化しないで、比較のための評価に供したものである。連続気泡体、グラフト化剤、反応時間および得られた極性液供給体の評価結果は、表1に示すとおりであった。
Figure 2006278262
表1から明らかなように、アクリル酸をそのままグラフト化剤として用いた場合の膨潤率は16.0%で、寸法安定性に優れ、メタノールの10%水溶液に対して優れた吸収性を示して、極性液供給体として優れた性能を有することがわかった。グラフト化剤として20%以上のアクリル酸水溶液を用いて、同様に良好な極性液供給体が得られた。それに対して、10%メタノール溶液では、膨潤により、極性液供給体としての使用に耐えるものが得られなかった。
実施例4、5、比較例3、4
ベースポリマーとしてHDPEとPEBの比率を変えたポリマーブレンドを用い、グラフト化剤としてアクリル酸を無溶媒で用いてグラフト化反応を行い、極性液供給体を得た。連続気泡体、グラフト化剤、反応時間および得られた極性液供給体の評価結果は、表2に示すとおりであった。
Figure 2006278262
表2および実施例1(表1)から明らかなように、ベースポリマー中のPEBの配合割合とともに膨潤率が上昇し、PEBが約15%を越えると膨潤率が30%を越えて、使用可能な極性液供給体が得られなかった。
実施例6、比較例5
ベースポリマーとして、PEBとHDPEとのポリマーブレンドを用い、グラフト化剤としてアクリル酸のメタノール溶液を用いてグラフト化反応を行い、極性液供給体を得た。連続気泡体、グラフト化剤、反応時間および得られた極性液供給体の評価結果は、表3に示すとおりであった。
Figure 2006278262
表3から明らかなように、グラフト化剤の溶媒としてメタノールを用い、多量のPEBを用いると膨潤が著しかったが、反応時間を短縮して、寸法安定性の良好な極性液供給体が得られた。
本発明の極性液供給体は、メタノールのような極性液を水素源として用い、または極性液を燃料として用いる燃料電池の、改質器または燃料極に極性液を供給する供給装置として、特に有用である。このような極性液供給体を用いた燃料電池は、高圧容器やポンプを必要としないので、安全で、かつ小型・軽量化された燃料電池として有用であり、特にノートパソコン、電子手帳、携帯電話のようなモバイル機器の高性能化に対応し得る電池として、好適である。

Claims (10)

  1. 疎水性ポリマーからなる連続気泡体の細孔表面の少なくとも一部に、細孔表面に親水基を与える化合物をグラフトさせた、極性液親和性細孔表面を有するグラフト化連続気泡体からなる燃料電池用極性液供給体。
  2. 上記疎水性ポリマーが、ポリオレフィンである、請求項1記載の燃料電池用極性液供給体。
  3. 平均細孔径が、1〜200μmである、請求項1または2記載の燃料電池用極性液供給体。
  4. 上記親水基を与える化合物が、ビニル化合物またはアリル化合物である、請求項1〜3のいずれか一項記載の燃料電池用極性液供給体。
  5. 上記親水基を与える化合物が、アクリル酸である、請求項4記載の燃料電池用極性液供給体。
  6. グラフト率が5〜100重量%である、請求項1〜5のいずれか一項記載の燃料電池用極性液供給体。
  7. 供給する極性液が、メタノールまたはその水溶液である、請求項1〜6のいずれか一項記載の燃料電池用極性液供給体。
  8. 疎水性ポリマーの連続気泡体に、電子線を照射する工程を含み、該工程中または該工程後に、細孔表面に親水基を与える化合物またはその溶液を、細孔に存在させることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項記載の燃料電池用極性液供給体の製造方法。
  9. 連続気泡体の膨潤率を30%以下に制御して、グラフト化反応を行う、請求項8記載の製造方法。
  10. 極性液を水素源または燃料として用いる燃料電池において、請求項1〜7のいずれか一項記載の極性液供給体を介して、極性液を改質器または燃料極に供給することを特徴とする燃料電池。
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