JP2006278075A - 有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法及び製造装置 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法及び製造装置 Download PDF

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将之 三矢
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Abstract

【課題】長寿命化を実現することができる有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法を提供する。
【解決手段】基板上に発光層を成膜する第1工程SA1と、基板上に成膜された発光層を不活性ガス雰囲気下で加熱処理する第2工程SA2と、加熱処理された発光層を活性ガス雰囲気下に所定時間さらす第3工程SA3とを有している。
【選択図】 図2

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス(EL:electroluminescence)装置の製造方法及び製造装置に関するものである。
有機EL装置は、発光物質を含む発光層を陽極及び陰極で挟んだ構成の発光素子(有機EL素子)を有しており、陽極側から注入された正孔と、陰極側から注入された電子とを発光層内で再結合し、励起状態から失括する際に発光する現象を利用して所望の光を発光する。有機EL装置には、例えば高輝度であることや長寿命であることなど、種々の性能が求められており、その性能を実現するために、有機EL装置を製造する際の製造方法にも様々な工夫が施されている。下記特許文献1には、有機EL素子の長寿命化等を目的とした製造方法に関する技術の一例が開示されている。
特開2003−229256号公報
ところで、近時において、ラインプリンタのプリンタヘッド(ラインヘッド)の発光素子として有機EL素子を適用しようとする試みがある。ラインヘッドの発光素子として有機EL素子を用いる場合、例えば発光ダイオード(LED)を用いる場合に比べて、発光領域(発光点)を精度良く配列することができるため有利である。ところが、有機EL素子は未だ十分な発光寿命を得られていないのが現状である。そのため、有機EL素子の長寿命化を実現できる製造方法及び製造装置の案出が望まれる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、長寿命化を実現することができる有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明は、発光層を含む複数の有機層を有する有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法において、基板上に前記有機層を成膜する第1工程と、前記基板上に成膜された前記有機層を不活性ガス雰囲気下で加熱処理する第2工程と、前記加熱処理された前記有機層を活性ガス雰囲気下に所定時間さらす第3工程とを有する有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法を提供する。
本発明者は、基板上に成膜された有機層を不活性ガス雰囲気下で加熱処理した後、活性ガス雰囲気下に所定時間さらすことにより、有機EL装置の発光寿命が延びることを見出した。そこで、本発明によれば、基板上に成膜された有機層を不活性ガス雰囲気下で加熱処理する工程と、加熱処理された有機層を活性ガス雰囲気下に所定時間さらす工程とを設けることによって、有機EL装置の長寿命化を実現することができる。
前記第3工程は、前記活性ガス雰囲気下で加熱処理することを含む構成を採用することができる。すなわち、本発明者は、第3工程において、有機層を例えば室温の活性ガス雰囲気下に所定時間放置することによって有機EL装置の長寿命化を実現することができるし、活性ガス雰囲気下で加熱処理することによっても有機EL装置の長寿命化を実現することができることを見出した。
前記発光層を挟むように第1電極及び第2電極が設けられ、前記有機層は、前記発光層と前記第1電極及び第2電極の少なくとも一方との間に設けられた層を含む構成を採用することができる。すなわち、有機EL装置においては、第1電極と第2電極との間に設けられる有機層として、発光層の他に、例えば正孔輸送層など種々の有機層を挙げることができるが、上述の第3工程において、発光層を活性ガス雰囲気下にさらすことによって有機EL装置の長寿命化を実現することができるし、正孔輸送層など発光層以外の有機層を活性ガス雰囲気下にさらすことによっても有機EL装置の長寿命化を実現することができることを見出した。
前記活性ガスは、酸素、水素、及びアンモニアの少なくとも1つを含む構成を採用することができる。これにより、有機EL装置の長寿命化を図ることができた。
前記不活性ガスは、ヘリウム、アルゴン、窒素、ネオン、キセノン、及びクリプトンの少なくとも1つを含む構成を採用することができる。これにより、製造工程中における有機層の劣化を防止できる。
前記第1工程は、前記有機層を形成するための材料を含む液状体を液滴吐出法に基づいて前記基板上に吐出することを含む構成を採用することができる。これにより、有機層を効率良く成膜することができる。
また本発明は、発光層を含む複数の有機層を有する有機エレクトロルミネッセンス装置の製造装置において、第1空間を不活性ガス雰囲気にする第1調整装置と、第2空間を活性ガス雰囲気にする第2調整装置と、第1空間及び前記第2空間の少なくとも一方を加熱可能な加熱装置と、前記有機層が成膜された基板を前記第1空間で加熱処理した後、前記有機層を前記第2空間にさらす制御装置とを備えた有機エレクトロルミネッセンス装置の製造装置を提供する。
本発明によれば、基板上に成膜された有機層を不活性ガス雰囲気下で加熱処理した後、活性ガス雰囲気下に所定時間さらすことができ、有機EL装置の長寿命化を実現することができる。
前記第1空間を形成する第1収容部と、前記第2空間を形成する第2収容部と、前記第1収容部と前記第2収容部との間で前記基板を搬送する搬送装置とを備えた構成を採用することができる。これにより、第1収容部において有機層を不活性ガス雰囲気下で加熱処理することができ、その後搬送装置を用いて有機層を有する基板を第2収容部に搬送することによって、第2収容部において有機層を不活性ガス雰囲気下にさらすことができる。
前記第1空間と前記第2空間とは同じ空間であり、前記制御装置は、前記基板上に成膜された前記有機層を不活性ガス雰囲気下で加熱処理した後、前記有機層を活性ガス雰囲気にさらすように、前記第1、第2調整装置及び前記加熱装置を制御する構成を採用することができる。これにより、同一の空間において、有機層を不活性ガス雰囲気下で加熱処理することと、不活性ガス雰囲気下にさらすことを行うことができる。
前記制御装置は、前記有機層を前記第2空間で加熱処理する構成を採用することができる。こうすることによっても、有機EL装置の長寿命化を実現することができる。
前記基板上に前記有機層を成膜するために、該有機層を形成するための材料を含む液状体を前記基板上に吐出する液滴吐出装置を備えた構成を採用することができる。これによれば、有機層を効率良く成膜することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。そして、水平面内における所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれに直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。更には、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
<有機EL装置>
まず、図1を参照しながら有機EL装置の一実施形態について説明する。図1は有機EL装置の一実施形態を示す側断面図である。図1において、有機EL装置Sは、基板1と、基板1上に設けられた発光素子(有機EL素子)2と、基板1に接続され、発光素子2を覆う封止部材20とを備えている。発光素子2は基板1の表面(能動面)1Aに設けられている。また、有機EL装置Sは、発光素子2を駆動するための不図示の駆動素子(チップ)を備えている。駆動素子は、例えば封止部材20によって形成される封止空間10の外部に設けられる。そして、基板1の表面1Aには、発光素子2と駆動素子とを電気的に接続する接続部(配線)が設けられている。封止部材20は、基板1との間に発光素子2を配置するための封止空間10を形成しつつ、基板1に接着剤8を介して接続されている。
封止部材20は断面視下向きコ状に形成されており、基板1との間で封止空間10を形成している。封止部材20は、基板1の第1領域41と貼り合わせられる第2領域42を有している。第1領域41は、基板1の表面1Aのうち発光素子2が設けられている部分の外側に設定されている。第2領域42は、封止部材20の下端面に設定されており、第1領域41と対向している。そして、第1領域41と第2領域42とが接着剤8を介して貼り合わせられることによって、平板状の基板1と封止部材20との間で、発光素子2を封止する封止空間10が形成される。
発光素子2は、基板1の表面1Aに形成された陽極3と、正孔輸送層4と、中間層(インターレイヤー)5と、発光層6と、陰極7とを備えている。陽極3及び陰極7は、正孔輸送層4、中間層5、及び発光層6を挟むように設けられている。正孔輸送層4及び中間層5は、発光層6と陽極3との間に設けられた層である。
封止空間10に設けられた発光素子2の陽極3は、駆動素子と接続部(配線)を介して電気的に接続されている。また不図示ではあるが、発光素子2の陰極7も駆動素子と電気的に接続されている。発光素子2の陽極3及び陰極7には、駆動素子より駆動信号を含む電力(電流)が供給される。また、封止空間10にはゲッター剤と呼ばれる乾燥剤9が設けられている。乾燥剤9は、封止部材20のうち、基板1の表面1Aと対向する天井面20Bに設けられている。乾燥剤9により、発光素子2の水分等による劣化が抑制され、良好な封止性能を長期間維持することができる。
封止部材20は、外部空間から封止空間10に対して、水分及び酸素等を含む大気が侵入することを遮断するものである。封止部材20を形成するための形成材料としては、所望の封止性能を有していれば特に限定されず、例えばガラスや石英、合成樹脂、あるいは金属など水分透過率の小さい材料を用いることができる。ガラスとしては、例えば、ソーダ石灰ガラス、鉛アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸ガラス、シリカガラスなどを用いることができる。合成樹脂としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリエーテルケトンなどの透明な合成樹脂などを用いることができる。金属としては、アルミニウムやステンレス等を用いることができる。
乾燥剤9としては、封止空間10において所望の乾燥機能(吸湿機能)を有していれば特に限定されないが、例えば、シリカゲル、ゼオライト、活性炭、酸化カルシウム、酸化ゲルマニウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、五酸化リン、塩化カルシウムなどを用いることができる。
接着剤8は、第1領域41(又は第2領域42)の全域に設けられる。接着剤8としては、安定した接着強度を維持することができ、気密性が良好なものであれば特に限定されない。本実施形態の接着剤8には、紫外光(UV)の照射により硬化する光硬化性エポキシ樹脂が用いられている。なお、接着剤8としては、光硬化性材料に限られず、熱硬化性材料でもよいし、互いに異なる2種類以上の材料を混合することによって硬化させるものであってもよい。
本実施形態の有機EL装置Sは、発光素子2からの発光を基板1側から装置外部に取り出す形態、所謂ボトム・エミッションである。基板1は、光を透過可能な透明あるいは半透明材料、例えば、透明なガラス、石英、サファイア、あるいはポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリエーテルケトンなどの透明な合成樹脂などによって形成されている。
陽極3は、印加された電圧によって正孔を正孔輸送層4に注入するものであり、例えば、ITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)などの透明導電膜により形成されている。
正孔輸送層4は、陽極3の正孔を発光層6に輸送・注入するためのものであり、公知の材料を用いることができる。例えば、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロールなどを用いることができる。更に具体的には、3,4−ポリエチレンジオシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(PEDOT/PSS)などを用いることができる。
中間層5は、正孔輸送層4と発光層6との間に設けられており、陽極3から発光層6に対する正孔の輸送性(注入性)を向上するために設けられている。また、陽極3が無機物を含んで構成されている場合、中間層5は、陽極3から発生した無機物が正孔輸送層4を介して発光層6に浸入することを抑制する機能も有している。更に、中間層5は、発光層6から正孔輸送層4に対して電子が浸入することを抑制する機能も有している。中間層5は、正孔注入性の良好なトリフェニルアミン系ポリマーを含んで構成されている。
発光層6は、陽極3から正孔輸送層4を経て注入された正孔と、陰極7から注入された電子とを結合して蛍光を発生させる機能を有する。発光層6を形成する材料としては、蛍光あるいは燐光を発光することが可能な公知の発光材料を用いることができる。例えば、ポリフルオレン誘導体(PF)、(ポリ)パラフェニレンビニレン誘導体(PPV)、ポリフェニレン誘導体(PP)、ポリパラフェニレン誘導体(PPP)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、ポリチオフェン誘導体、ポリメチルフェニルシラン(PMPS)などのポリシラン系などを用いることができる。
また、発光層6と陰極7との間に電子輸送層を設けてもよい。電子輸送層は、発光層6に電子を注入する役割を果たすものである。電子輸送層を形成する材料としては、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体などを用いることができる。
陰極7は、発光層6へ効率的に電子注入を行うことができる仕事関数の低い金属、例えばアルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、金(Au)、銀(Ag)又はカルシウム(Ca)等の金属材料から形成されている。
そして、駆動素子より発光素子2に駆動信号が供給されると、陽極3と陰極7との間に電流が流れ、発光素子2が発光して透明な基板1の外面側に光が射出される。
<製造方法及び製造装置の第1実施形態>
次に、上述した構成を有する有機EL装置Sを製造する方法の第1実施形態について、図2に示すフローチャート図を参照しながら説明する。有機EL装置Sは、後述するような液滴吐出装置IJ及び処理装置Tを含む製造装置によって製造される。
図2に示すように、本実施形態における有機EL装置Sの製造方法は、基板1上に上述の発光層6を成膜する第1工程SA1と、基板1上に成膜された発光層6を不活性ガス雰囲気下で加熱処理する第2工程SA2と、加熱処理された発光層6を活性ガス雰囲気下で加熱処理する第3工程SA3とを含んでいる。なお、基板1上に発光層6を成膜する第1工程SA1の前には、基板1上に陽極3、正孔輸送層4、及び中間層5を形成する工程が行われ、第3工程SA3の後には発光層6上に陰極7を形成する工程が行われる。
図3に示すように、基板1の表面(能動面)1Aには、陽極3、正孔輸送層4、及び中間層5がこの順で設けられる。これら各層を設ける場合には、例えばフォトリソグラフィ法や液滴吐出法等、公知の所定の手法を用いることができる。なお、図3には不図示であるが、基板1の表面1Aには既に配線(接続部)等が形成されている。そして、発光層6を形成するための材料を含む液状体が液滴吐出法(インクジェット法)に基づいて基板1上に設けられた中間層5上に吐出される。液滴吐出法とは、形成しようとする材料層を形成するための形成材料を液状体にし、その液状体をディスペンサやインクジェット装置などの液滴吐出装置を用いて定量的に吐出することによって、所望領域に前記形成材料を塗布する方法である。すなわち、液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)301に設けられたノズル325と基板1とを対向させた状態でノズル325と基板1とを相対移動させつつ、ノズル325から1滴あたりの液量が制御された液状体の液滴を吐出することによって、基板1上(中間層5上)に液状体による所望形状の膜パターンが形成される。こうして、基板1上(中間層5上)に発光層6が成膜される。
図4は、液滴吐出法(インクジェット法)に用いられる液滴吐出装置(インクジェット装置)IJの概略構成を示す斜視図である。この液滴吐出装置IJは、基板1上に発光層6を含む有機層を成膜するために、その有機層を形成するための材料を含む液状体を基板1上に液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)301のノズル325から吐出するものである。液滴吐出装置IJは、基台309と、基台309上に設けられ、基板1を支持するステージ307と、基台309上でステージ307をY軸方向に駆動するY軸方向駆動モータ303と、ステージ307のY軸方向への移動をガイドするY軸方向ガイド軸305と、ステージ307に支持された基板1上に対して液状体を吐出する液滴吐出ヘッド301と、液滴吐出ヘッド301をX軸方向に駆動するX軸方向駆動モータ302と、液滴吐出ヘッド301のX軸方向への移動をガイドするX軸方向ガイド軸304と、クリーニング機構308と、液滴吐出装置IJの動作を制御する制御装置C1とを備えている。
ステージ307は、基板1を支持するものであって、基板1を基準位置に固定する不図示の固定機構を備えている。Y軸方向ガイド軸305は、基台309に対して動かないように固定されている。ステージ307は、Y軸方向駆動モータ303を備えている。Y軸方向駆動モータ303はステッピングモータ等であり、制御装置C1からY軸方向の駆動信号が供給されると、ステージ307をY軸方向に移動する。
液滴吐出ヘッド301は、複数のノズル325を備えたマルチノズルタイプの液滴吐出ヘッドであり、その長手方向とX軸方向とが一致している。複数のノズル325は、液滴吐出ヘッド301の下面にX軸方向に並んで一定間隔で設けられている。液滴吐出ヘッド301のノズル325からは、ステージ307に支持されている基板1に対して液状体の液滴が吐出される。X軸方向ガイド軸304には、X軸方向駆動モータ302が接続されている。X軸方向駆動モータ302はステッピングモータ等であり、制御装置C1からX軸方向の駆動信号が供給されると、X軸方向ガイド軸304を回転させる。X軸方向ガイド軸304が回転すると、液滴吐出ヘッド301はX軸方向に移動する。
制御装置C1は、液滴吐出ヘッド301に液滴の吐出制御用の電圧を供給する。また、X軸方向駆動モータ302に液滴吐出ヘッド301のX軸方向の移動を制御する駆動パルス信号を、Y軸方向駆動モータ303にステージ307のY軸方向の移動を制御する駆動パルス信号を供給する。
クリーニング機構308は、液滴吐出ヘッド301をクリーニングするものである。クリーニング機構308には、図示しないY軸方向の駆動モータが備えられている。このY軸方向の駆動モータの駆動により、クリーニング機構308は、Y軸方向ガイド軸305に沿って移動する。クリーニング機構308の移動も制御装置C1により制御される。
図5は、ピエゾ方式による液状体の吐出原理を説明するための液滴吐出ヘッドの概略構成図である。図5において、液状体を収容する液体室321に隣接してピエゾ素子322が設置されている。液体室321には、供給系323を介して液状体が供給される。ピエゾ素子322は駆動回路324に接続されており、この駆動回路324を介してピエゾ素子322に電圧を印加し、ピエゾ素子322を変形させて液体室321を弾性変形させる。そして、この弾性変形時の内容積の変化によってノズル325から液状体の液滴が吐出されるようになっている。この場合、印加電圧の値を変化させることにより、ピエゾ素子322の歪み量を制御することができる。また、印加電圧の周波数を変化させることにより、ピエゾ素子322の歪み速度を制御することができる。ピエゾ方式による液滴吐出は材料に熱を加えないため、材料の組成に影響を与えにくいという利点を有する。
発光層6を液滴吐出法を用いて成膜することにより、製造コストを低減することができる。すなわち、液滴吐出法では、基板1上の所望の局所領域に材料を配置することが可能であるから、フォトリソグラフィ法等に比べて膜形成のプロセスが簡素であるとともに使用材料に無駄が少ない。
液滴吐出法に基づいて基板1上(中間層5上)に発光層6を成膜した後、基板1上に成膜された発光層6に対して不活性ガス雰囲気下で加熱処理が施される。図6は、基板1上に成膜された発光層6を処理する処理装置Tを示す模式図である。
図6において、処理装置Tは、基板1を収容可能な空間56を形成する収容部50と、空間56を不活性ガス雰囲気にするための不活性ガス供給装置(第1調整装置)51と、空間56を活性ガス雰囲気にするための活性ガス供給装置(第2調整装置)52と、空間56を加熱可能な加熱装置53と、処理装置Tの動作を制御する制御装置C2とを備えている。不活性ガス供給装置51には流路51Aの一端部が接続され、活性ガス供給装置52には流路52Aの一端部が接続されている。流路51Aの他端部及び流路52Aの他端部のそれぞれにはバルブを含む流路切替機構54が接続されている。また、流路切替機構54と空間56とは流路55を介して接続されている。制御装置C2は、流路切替機構54を制御することにより、不活性ガス供給装置51と空間56とを流路51A及び流路55を介して接続可能である。そして、不活性ガス供給装置51と空間56とが流路51A及び流路55を介して接続されているときには、流路切替機構54によって、活性ガス供給装置52と空間56とを接続する流路52A及び流路55の途中が遮断される。同様に、制御装置C2は、流路切替機構54を制御することにより、活性ガス供給装置52と空間56とを流路52A及び流路55を介して接続可能である。そして、活性ガス供給装置52と空間56とが流路52A及び流路55を介して接続されているときには、流路切替機構54によって、不活性ガス供給装置51と空間56とを接続する流路51A及び流路55の途中が遮断される。すなわち、制御装置C2は、不活性ガス供給装置51から流路51A及び流路55を介して空間56に不活性ガスを供給可能な状態においては、活性ガス供給装置52から流路52A及び流路55を介して空間56に活性ガスを供給不能な状態にする。また、制御装置C2は、活性ガス供給装置52から流路52A及び流路55を介して空間56に活性ガスを供給可能な状態においては、不活性ガス供給装置51から流路51A及び流路55を介して空間56に不活性ガスを供給不能な状態にする。
不活性ガス供給装置51は、空間56に対して不活性ガスを供給することにより、空間56を不活性ガス雰囲気にする。不活性ガスとしては、ヘリウム、アルゴン、窒素、ネオン、キセノン、及びクリプトンの少なくとも1つを用いることができる。本実施形態においては、不活性ガス供給装置51は空間56に対して窒素を供給する。制御装置C2は、不活性ガス供給装置51を用いることにより、空間56の不活性ガス濃度(不活性ガスと活性ガスとの割合)を調整することができる。本実施形態においては、制御装置C2は、空間56における酸素濃度が1ppm以下となるように、空間56を窒素で満たす。
また、活性ガス供給装置52は、空間56に対して活性ガスを供給することにより、空間56を活性ガス雰囲気にする。活性ガスとしては、酸素、水素、及びアンモニアの少なくとも1つを用いることができる。本実施形態においては、活性ガス供給装置52は空間56に対して酸素を供給する。制御装置C2は、活性ガス供給装置52を用いることにより、空間56の活性ガス濃度(不活性ガスと活性ガスとの割合)を調整することができる。本実施形態においては、制御装置C2は、空間56をほぼ大気状態(すなわち酸素濃度約20%程度、窒素濃度約80%程度)にする。
発光層6を成膜された基板1が空間56に収容された後、制御装置C2は、不活性ガス供給装置51を用いて、基板1が収容された空間56を不活性ガス雰囲気(窒素ガス雰囲気)にするとともに、加熱装置53を用いて、空間56を加熱処理する。加熱装置53は空間56を加熱することにより、基板1上に成膜された発光層6を不活性ガス雰囲気下で加熱処理する。このように、制御装置C2は、発光層6が成膜された基板1を、不活性ガス雰囲気に設定された空間56で加熱処理する。これにより、発光層6に含まれている溶媒が排除され、発光層6が形成される。なお、本実施形態においては、空間56の内部には基板1を保持する保持部材が設けられており、その保持部材に加熱装置53が設けられている。
次に、制御装置C2は、流路切替機構54を駆動し、空間56に対して活性ガス供給装置52より活性ガスを供給する。活性ガス供給装置52は、空間56に対して活性ガスを供給することにより、空間56を活性ガス雰囲気(大気雰囲気)にする。
制御装置C2は、活性ガス供給装置52を用いて、基板1が収容された空間56を活性ガス雰囲気(大気雰囲気)にすることにより、発光層6を活性ガス雰囲気下に所定時間さらすことができる。本実施形態においては、制御装置C2は、加熱装置53を用いて、空間56を加熱処理する。加熱装置53は空間56を加熱することにより、基板1上に成膜された発光層6を活性ガス雰囲気下で加熱処理する。このように、制御装置C2は、基板1上に成膜された発光層6を、活性ガス雰囲気に設定された空間56で加熱処理する。
発光層6が活性ガス雰囲気下にさらされて加熱処理された後、発光層6上に所定の手法を用いて陰極7が形成される。
基板1上に発光素子2を設ける工程が完了した後、基板1の第1領域41に接着剤8が塗布される。接着剤8を基板1上に塗布する際には、液滴吐出法を用いることができる。基板1の第1領域41に接着剤8が塗布された後、基板1の第1領域41と乾燥剤9を備えた封止部材20の第2領域42とが接着剤8を介して貼り合わせられる。次いで、接着剤8として光硬化性接着剤が用いられている場合には、接着剤8に対して所定の波長を有する光(紫外光)が照射される。この場合、接着剤8を硬化させるための光が発光素子3に照射されないように、所定位置に光を遮るマスクを配置することができる。このように、基板1に封止部材20を接続することによって、基板1と封止部材20との間に、発光素子2を配置するための封止空間10が形成される。こうして、有機EL装置Sが製造される。
(実験例)
上述のように、基板1上(中間層5上)に成膜された発光層6を不活性ガス雰囲気下で加熱処理した後、活性ガス雰囲気下で加熱処理することにより、発光素子2(有機EL装置S)の発光寿命を延ばすことができた。図7に実験結果を示す。実験は、まず、ITOからなる陽極3が形成されたガラス基板1上に、PEDOT/PSS溶液を成膜し、5分間200℃で加熱処理を施して正孔輸送層4を形成した。そして、正孔輸送層4上に中間層5を設けた後、発光性高分子材料をキシレン溶液に溶解させた溶液(液状体)を中間層5上に塗布することによって、発光層6を成膜した(ステップSA1)。以上の工程は、酸素濃度が約20%で窒素濃度が約80%の雰囲気下で行った。次に、酸素濃度が1ppm以下の窒素ガス雰囲気下において、発光層6を30分間110℃で加熱処理した(ステップSA2)。次いで、酸素濃度が約20%で窒素濃度が約80%の雰囲気下において、発光層6を90℃で加熱処理した(ステップSA3)。その後、発光層6上に陰極7を形成した。
図7は、発光寿命に関する実験結果を示すグラフであって、製造された発光素子2(有機EL装置S)に所定値の電力(電流)を印加したときの経過時間と、発光された光の輝度との関係を示す実験結果である。横軸は、製造された発光素子2に所定の電力を印加したときの経過時間、縦軸は、発光素子2から発光される光の輝度を示す。そして、図7中、ラインL1は上述の活性ガス雰囲気下で加熱処理を施した発光素子2の経過時間と輝度との関係を示しており、ラインL2は活性ガス雰囲気下で加熱処理を施さなかった場合の発光素子2の経過時間と輝度との関係を示している。
図7に示すように、基板1上に成膜された発光層6を不活性ガス雰囲気下で加熱処理した後、活性ガス雰囲気下で加熱処理することにより、発光素子2(有機EL装置S)の発光寿命を延ばすことができた。特に、電流の印加を開始直後の輝度の低下を抑えることができた。具体的には、電流の印加を開始してから輝度が10%低下するまでの時間を延ばすことができた。これは、発光層6を活性ガス雰囲気下(大気雰囲気下)に配置することにより、発光層6の表面が改質されたことが要因の一つと考えられる。具体的には、発光層6の表面に酸化膜が形成されたことが、発光寿命を延ばすことができた要因の一つと考えられる。電流を印加した直後の初期段階においては、発光層6の表面、すなわち発光層6と陰極7との間に設けられた酸化膜により、陰極7から発光層6に対して電子が注入されにくい現象が生じると考えられる。一方、陽極3からは発光層6に対して正孔が注入される。すなわち、発光層6に対して電子と正孔とが注入されるバランス(キャリアバランス)が崩れる現象が生じる可能性がある。この場合、発光は、発光層6のうち陰極7に近い位置で生じると考えられる。そして、経時的にキャリアバランスが変化し、発光層6に対して電子が注入されやすくなり、それに伴って、発光層6内における発光の位置が徐々に陽極3に近づくようになると考えられる。このように、発光層6の膜厚方向における発光の位置が経時的に変化する現象が生じると考えられる。したがって、発光層6が劣化する位置も変動するため、輝度も急激に減少しないと考えられる。
以上説明したように、基板1上に成膜された発光層6を不活性ガス雰囲気下で加熱処理した後、活性ガス雰囲気下にさらすことにより、発光素子2(有機EL装置S)の発光寿命を延ばすことができる。特に、発光素子2に電流を印加した直後の所定期間における輝度の低下を大幅に改善することができ、輝度が例えば10%低下するまでの時間を長くすることができる。
<製造方法及び製造装置の第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の第1実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図8は第2実施形態に係る製造方法を説明するためのフローチャート図である。図8に示すように、本実施形態における有機EL装置Sの製造方法は、基板1上に上述の発光層6を成膜する第1工程SA1と、基板1上に成膜された発光層6を不活性ガス雰囲気下で加熱処理する第2工程SA2と、加熱処理された発光層6を活性ガス雰囲気下に所定時間放置する第3工程SA3’とを含んでいる。すなわち、上述の第1実施形態においては、発光層6を活性ガス雰囲気下において加熱処理したが、本実施形態においては、発光層6を室温の活性ガス雰囲気下に所定時間(例えば24時間)放置している。こうすることによっても、上述の第1実施形態同様、発光素子2(有機EL装置S)の長寿命化を実現することができる。
<製造方法及び製造装置の第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。図9は第3実施形態を説明するための図である。図9において、処理装置Tは、基板1上(陽極3上)に成膜された正孔輸送層4を処理している。図9に示す処理装置Tは、図6を参照して説明した処理装置Tと同等のものである。制御装置C2は、不活性ガス供給装置51を用いて、空間56を不活性ガス雰囲気に設定し、その空間56において、加熱装置53を用いて、基板1上に成膜された正孔輸送層4を加熱処理する。次いで、制御装置C2は、活性ガス供給装置52を用いて、空間56を活性ガス雰囲気に設定し、その空間56において、加熱装置53を用いて、正孔輸送層4を加熱処理する。その後、正孔輸送層4の上に、中間層5、発光層6、及び陰極7を順次形成する。このように、陽極3と陰極7との間に挟まれた複数の有機層のうち、発光層6のみならず、正孔輸送層4に対して、活性ガス雰囲気下で加熱処理することによっても、発光素子2(有機EL装置S)の長寿命化を実現することができる。すなわち、正孔輸送層4を活性ガス雰囲気下で加熱処理することにより、正孔輸送層4の表面(すなわち正孔輸送層4と発光層6との間)に酸化膜が形成され、上述のようにキャリアバランスが崩れる現象が生じることによって、発光素子2(有機EL装置S)の長寿命化を実現することができると考えられる。
なお、本実施形態においても、不活性ガス雰囲気下で正孔輸送層4を加熱処理した後、その正孔輸送層4を室温の活性ガス雰囲気下(大気雰囲気下)に所定時間(例えば24時間)放置するようにしてもよい。
<製造方法及び製造装置の第4実施形態>
次に、第4実施形態について説明する。図10は第4実施形態を説明するための図である。図10において、処理装置Tは、基板1上(正孔輸送層4上)に成膜された中間層5を処理している。図10に示す処理装置Tは、図6を参照して説明した処理装置Tと同等のものである。制御装置C2は、不活性ガス供給装置51を用いて、空間56を不活性ガス雰囲気に設定し、その空間56において、加熱装置53を用いて、基板1上に成膜された中間層5を加熱処理する。次いで、制御装置C2は、活性ガス供給装置52を用いて、空間56を活性ガス雰囲気に設定し、その空間56において、加熱装置53を用いて、中間層5を加熱処理する。その後、中間層5の上に、発光層6、及び陰極7を順次形成する。このように、陽極3と陰極7との間に挟まれた複数の有機層のうち、発光層6や正孔輸送層4のみならず、中間層5に対して、活性ガス雰囲気下で加熱処理することによっても、発光素子2(有機EL装置S)の長寿命化を実現することができる。すなわち、中間層5を活性ガス雰囲気下で加熱処理することにより、中間層5の表面(すなわち中間層5と発光層6との間)に酸化膜が形成され、上述のようにキャリアバランスが崩れる現象が生じることによって、発光素子2(有機EL装置S)の長寿命化を実現することができると考えられる。
なお、本実施形態においても、不活性ガス雰囲気下で中間層5を加熱処理した後、その中間層5を室温の活性ガス雰囲気下に所定時間(例えば24時間)放置するようにしてもよい。
<製造方法及び製造装置の第5実施形態>
次に、第5実施形態について説明する。図11は第5実施形態を説明するための図である。図11において、処理装置T’は、第1空間56Aを形成する第1収容部50Aと、第2空間56Bを形成する第2収容部50Bと、第1空間56Aを不活性ガス雰囲気にする不活性ガス供給装置51と、第2空間56Bを活性ガス雰囲気にする活性ガス供給装置52と、第1空間56Aを加熱可能な加熱装置53Aと、第2空間56Bを加熱可能な加熱装置53Bと、第1収容部50Aと第2収容部50Bとの間で基板1を搬送する搬送装置57と、処理装置T’の動作を制御する制御装置C2とを備えている。第1空間56Aと第2空間56Bとは通路59を介して接続されており、搬送装置57は通路59を移動可能である。また、第1空間56Aと通路59との間には扉58Aが設けられ、第2空間56Bと通路59との間には扉58Bが設けられている。制御装置C2は、扉58A、58Bを用いて、通路59を閉じることにより、第1空間56Aと第2空間56Bとの間でのガスの出入りを防止している。
発光層6が成膜された基板1を第1空間56Aに収容した後、制御装置C2は、不活性ガス供給装置51を用いて、発光層6が成膜された基板1が収容された第1空間56Aを不活性ガス雰囲気(窒素ガス雰囲気)にするとともに、加熱装置53Aを用いて、第1空間56Aを加熱処理する。加熱装置53Aは第1空間56Aを加熱することにより、基板1上に成膜された発光層6を不活性ガス雰囲気下で加熱処理する。このように、制御装置C2は、発光層6が成膜された基板1を、不活性ガス雰囲気に設定された空間56で加熱処理する。これにより、発光層6に含まれている溶媒が排除され、発光層6が形成される。なお、本実施形態においては、第1空間56Aの内部には基板1を保持する保持部材が設けられ、加熱装置53Aは保持部材に設けられている。また、第1空間56Aにおいて基板1(発光層6)に対して処理が行われている間は、扉58A、58Bが閉じられているとともに、搬送装置57は通路59に配置されている。
次に、制御装置C2は、扉58Aを開けて搬送装置57を第1空間56Aに進入させ、搬送装置57を用いて第1空間56Aから基板1を搬出する。搬送装置57を用いて第1空間56Aから基板1を搬出した後、制御装置C2は扉58Aを閉じる。制御装置C2は扉58Aを閉じた後、扉58Bを開け、基板1を保持した搬送装置57を第2空間56Bに進入させる。そして、制御装置C2は、基板1を第2空間56Bに設けられた保持部材に載置した後、搬送装置57を通路59に移動し、扉58Bを閉じる。これにより、第2空間56Bに基板1が配置されたことになる。
そして、制御装置C2は、第2空間56Bに対して活性ガス供給装置52より活性ガスを供給する。活性ガス供給装置52は、第2空間56Bに対して活性ガスを供給することにより、第2空間56Bを活性ガス雰囲気(大気雰囲気)にする。
制御装置C2は、活性ガス供給装置52を用いて、基板1が収容された第2空間56Bを活性ガス雰囲気(大気雰囲気)にすることにより、発光層6を活性ガス雰囲気下に所定時間さらす。そして、本実施形態においては、制御装置C2は、加熱装置53Bを用いて、第2空間56Bを加熱処理する。加熱装置53Bは第2空間56Bを加熱することにより、基板1上に成膜された発光層6を活性ガス雰囲気下で加熱処理する。このように、制御装置C2は、基板1上に成膜された発光層6を活性ガス雰囲気に設定された第2空間56Bで加熱処理する。
発光層6を活性ガス雰囲気下にさらして加熱処理した後、発光層6上に所定の手法を用いて陰極7が形成される。基板1上に発光素子2を設ける工程が完了した後、接着剤8を介して基板1と封止部材20とが貼り合わせられる。
以上説明したように、発光層6を不活性ガス雰囲気下で加熱処理する第1空間56Aと、発光層6を活性ガス雰囲気下で加熱処理する第2空間56Bとが別々に設けられていてもよい。
なお、本実施形態においても、発光層6を、不活性ガス雰囲気に設定された第1空間56Aで加熱処理した後、室温の活性ガス雰囲気に設定された第2空間56Bに所定時間(例えば24時間)放置するようにしてもよい。
なお、本実施形態においても、処理装置T’は、発光層6のみならず、正孔輸送層4や中間層5を処理するようにしてもよい。
なお、本実施形態においては、処理装置T’は、互いに異なる環境に設定される2つの空間56A、56Bを有した構成であるが、3つ以上の任意の複数の空間を有した構成であってもよい。そして、それら複数の空間どうしが通路で連結され、その通路を介して搬送装置を用いて基板1を搬送するようにしてもよい。また、それら複数の空間のそれぞれの環境が互いに異なるように設定されてもよい。
なお、上述の第1〜第5実施形態においては、活性ガス雰囲気を、大気雰囲気として説明したが、その酸素濃度は適宜変更可能である。例えば、活性ガス雰囲気を、酸素濃度が30%であり窒素濃度が70%である雰囲気(環境)としてもよい。また、上述の第1〜第5実施形態においては、不活性ガス雰囲気を、酸素濃度(活性ガス濃度)が1ppm以下である雰囲気として説明したが、必ずしも1ppm以下でなくてもよく、成膜後(ステップSA1後)の有機層を加熱処理するときに、有機層の性能(寿命など)を劣化させない範囲の酸素濃度であればよい。換言すれば、発光素子2の性能を劣化させない範囲において、上述のステップSA2を、第1の活性ガス濃度に設定された空間で行い、ステップSA3を、第1の活性ガス濃度よりも高い第2の活性ガス濃度に設定された空間で行うようにすればよい。
<光書き込みヘッド>
図12は、上述の有機EL装置Sを、電子写真方式プリンタの光書き込みヘッド(プリンタヘッド)に適用した場合の一例を示す図である。図12において、有機EL装置Sの基板1の上方には光学系60が設けられており、光学系60の上方には感光ドラム(感光体)61が設けられている。有機EL装置Sは、光学系60を介して、感光ドラム61に対して光を照射する。有機EL装置Sの基板1から射出された光は、光学系60を通って感光ドラム61上に集光されるようになっている。有機EL装置Sは長寿命化されているため、感光ドラム61を良好に感光させることができ、その感光ドラム61を用いて良好に画像形成することができる。
<電子機器>
次に、上記実施の形態の有機EL装置Sを備えた電子機器の例について説明する。
図13(A)は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図13(A)において、符号1000は携帯電話本体を示し、符号1001は上記の有機EL装置Sを用いた表示部を示している。
図13(B)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図13(B)において、符号1100は時計本体を示し、符号1101は上記の有機EL装置Sを用いた表示部を示している。
図13(C)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図13(C)において、符号1200は情報処理装置、符号1202はキーボードなどの入力部、符号1204は情報処理装置本体、符号1206は上記の有機EL装置Sを用いた表示部を示している。
図13(A)〜図13(C)に示す電子機器は、上記実施の形態の有機EL装置Sを備えているので、コンパクトで所望の性能を有する電子機器を提供することができる。
なお、本発明の技術範囲は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、発光素子2の発光が基板1を介して外面側に射出される形式、所謂ボトム・エミッションの例を用いて説明したが、発光素子2の発光が基板1と逆側の陰極7側から封止部材20を介して射出される形式、所謂トップ・エミッションであっても適用可能である。この場合、封止部材20や陰極7としては、光の取り出しが可能な透明あるいは半透明材料が用いられる。
また、上記実施形態では、上述の発光層6や接着剤8を成膜する際に、液滴吐出法(インクジェット法)を用いているが、他の所定の手法を用いることももちろん可能である。例えば発光層6を成膜するために、スピンコート法やディップ法などを用いることも可能である。
有機EL装置の一実施形態を示す要部断面図である。 第1実施形態に係る有機EL装置の製造方法を説明するためのフローチャート図である。 発光層を成膜している様子を説明するための模式図である。 液滴吐出装置を説明するための図である。 液滴吐出ヘッドを説明するための図である。 第1実施形態に係る有機EL装置の製造装置を説明するための図である。 第1実施形態に係る有機EL装置の製造方法の効果を確認した実験結果を説明するための図である。 第2実施形態に係る有機EL装置の製造方法を説明するためのフローチャート図である。 第3実施形態に係る有機EL装置の製造方法を説明するための図である。 第4実施形態に係る有機EL装置の製造方法を説明するための図である。 第5実施形態に係る有機EL装置の製造装置を説明するための図である。 有機EL装置を光書き込みヘッドに適用した例を説明するための図である。 有機EL装置を備えた電子機器の一例を示す図である。
符号の説明
1…基板、2…発光素子、3…陽極(第1電極)、4…正孔輸送層(有機層)、5…中間層(有機層)、6…発光層(有機層)、7…陰極(第2電極)、50(50A、50B)…収容部、51…不活性ガス供給装置(第1調整装置)、52…活性ガス供給装置(第2調整装置)、53(53A、53B)…加熱装置、56(56A、56B)…空間、57…搬送装置、C1、C2…制御装置、IJ…液滴吐出装置(製造装置)、S…有機EL装置、T、T’…処理装置(製造装置)

Claims (11)

  1. 発光層を含む複数の有機層を有する有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法において、
    基板上に前記有機層を成膜する第1工程と、
    前記基板上に成膜された前記有機層を不活性ガス雰囲気下で加熱処理する第2工程と、
    前記加熱処理された前記有機層を活性ガス雰囲気下に所定時間さらす第3工程とを有する有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
  2. 前記第3工程は、前記活性ガス雰囲気下で加熱処理することを含む請求項1記載の製造方法。
  3. 前記発光層を挟むように第1電極及び第2電極が設けられ、
    前記有機層は、前記発光層と前記第1電極及び第2電極の少なくとも一方との間に設けられた層を含む請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 前記活性ガスは、酸素、水素、及びアンモニアの少なくとも1つを含む請求項1〜3のいずれか一項記載の製造方法。
  5. 前記不活性ガスは、ヘリウム、アルゴン、窒素、ネオン、キセノン、及びクリプトンの少なくとも1つを含む請求項1〜4のいずれか一項記載の製造方法。
  6. 前記第1工程は、前記有機層を形成するための材料を含む液状体を液滴吐出法に基づいて前記基板上に吐出することを含む請求項1〜5のいずれか一項記載の製造方法。
  7. 発光層を含む複数の有機層を有する有機エレクトロルミネッセンス装置の製造装置において、
    第1空間を不活性ガス雰囲気にする第1調整装置と、
    第2空間を活性ガス雰囲気にする第2調整装置と、
    第1空間及び前記第2空間の少なくとも一方を加熱可能な加熱装置と、
    前記有機層が成膜された基板を前記第1空間で加熱処理した後、前記有機層を前記第2空間にさらす制御装置とを備えた有機エレクトロルミネッセンス装置の製造装置。
  8. 前記第1空間を形成する第1収容部と、
    前記第2空間を形成する第2収容部と、
    前記第1収容部と前記第2収容部との間で前記基板を搬送する搬送装置とを備えた請求項7記載の製造装置。
  9. 前記第1空間と前記第2空間とは同じ空間であり、
    前記制御装置は、前記基板上に成膜された前記有機層を不活性ガス雰囲気下で加熱処理した後、前記有機層を活性ガス雰囲気にさらすように、前記第1、第2調整装置及び前記加熱装置を制御する請求項7記載の製造装置。
  10. 前記制御装置は、前記有機層を前記第2空間で加熱処理する請求項7〜9のいずれか一項記載の製造装置。
  11. 前記基板上に前記有機層を成膜するために、該有機層を形成するための材料を含む液状体を前記基板上に吐出する液滴吐出装置を備えた請求項7〜10のいずれか一項記載の製造装置。
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CN109585654A (zh) * 2018-11-30 2019-04-05 合肥鑫晟光电科技有限公司 有机层及制备方法、指向性热源组件、显示面板

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