JP2006273968A - 摩擦材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 摩擦材の品質を維持することが出来、かつ導入設備のコストを抑えつつ、予熱工程及び加熱加圧成形工程の時間短縮が実現可能な摩擦材の製造方法を提供する。
【解決手段】 繊維基材、結合材、充填材を主成分とする摩擦材の製造方法において、成形型への投入物を高周波誘電加熱により予備加熱し、その後、加熱加圧成形をおこなうことを特徴とする摩擦材の製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】 繊維基材、結合材、充填材を主成分とする摩擦材の製造方法において、成形型への投入物を高周波誘電加熱により予備加熱し、その後、加熱加圧成形をおこなうことを特徴とする摩擦材の製造方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、自動車、大型トラック、鉄道車両、各種産業用機械等のディスクパッド、ブレーキライニング等に好適に使用される摩擦材の製造方法に関する。
摩擦材の製造は通常、成形型への投入物(原料混合物、予備成型品等)を熱風乾燥機等にて50〜80℃、1〜3時間予熱した予備加熱工程後、成形温度130〜180℃、成形圧力15〜50MPaで、約10分間成形する加熱加圧成形工程が実施される。これらは摩擦材の品質維持に必要不可欠な工程であるが、両工程の時間短縮が望まれている現状がある。
特許文献1には、原料混合物又は予備成形品をマイクロ波で予熱することで、含水分の調整及びプレヒート(予備加熱)管理を効率よく行う事により、品質を維持しながら予熱工程(予備加熱工程)に要する時間を大幅に短縮するという発明が開示されている。しかしこの発明はマイクロ波を使用するため、原料の加熱効果については次のような問題があると思われる。
即ち、マイクロ波は周波数が300MHz〜300GHzであり、水分の損失係数が特に高く、水分の存在により温度が上昇するという特性を有している。しかし、原料混合物又は予備成形品の含有水分率は摩擦材原料のロット、混合方法、季節的要因等により変動するのが普通である。それ故、量産工程において加熱加圧工程の時間短縮を実現するための原料混合物又は予備成形品等の安定したプレヒートの時間短縮効果には疑問がある。
特許文献2には摩擦材原料を投入したテフロン系樹脂からなる仮成形型を加圧して仮成形した摩擦材原料を仮成形型ごとマイクロ波で予熱した後、直ぐに熱成形型に投入、熱成形することで加熱成形時間を短縮する発明の記載がある。しかしこれではテフロン系樹脂の仮成形型が新規設備として必要となり、またマイクロ波を使用するので摩擦材原料の含有水分率による影響を受けやすく、加熱加圧成形時の時間短縮効果が安定しない恐れがある。
即ち、マイクロ波は周波数が300MHz〜300GHzであり、水分の損失係数が特に高く、水分の存在により温度が上昇するという特性を有している。しかし、原料混合物又は予備成形品の含有水分率は摩擦材原料のロット、混合方法、季節的要因等により変動するのが普通である。それ故、量産工程において加熱加圧工程の時間短縮を実現するための原料混合物又は予備成形品等の安定したプレヒートの時間短縮効果には疑問がある。
特許文献2には摩擦材原料を投入したテフロン系樹脂からなる仮成形型を加圧して仮成形した摩擦材原料を仮成形型ごとマイクロ波で予熱した後、直ぐに熱成形型に投入、熱成形することで加熱成形時間を短縮する発明の記載がある。しかしこれではテフロン系樹脂の仮成形型が新規設備として必要となり、またマイクロ波を使用するので摩擦材原料の含有水分率による影響を受けやすく、加熱加圧成形時の時間短縮効果が安定しない恐れがある。
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、摩擦材の品質を保持し、かつ導入設備のコストを抑えつつ、製造工程の時間短縮を実現する摩擦材の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は上記目的を達成するため加熱加圧成形工程直前の投入物(原料混合物、予備成型品等)の予熱法につき検討したところ、通常は周波数300MHz〜300GHzで、水分の損失係数が特に高い(即ち水分の存在により急激な温度上昇がおこる)マイクロ波を使用することが時間短縮には効果的と考えるところ、むしろ周波数1MHz〜300MHzで水分の損失係数は落ちる(即ち水分による温度上昇速度は遅くなる)が、フェノール樹脂等の摩擦材原料に対しても一定の損失係数を有する高周波を使用した方が、摩擦材原料の含有水分率に左右されず、原料を安定して予熱可能ではないかとの着想を得た。
この着想を元にさらに検討をすすめると、マイクロ波は、電力半減深度が浅い(水分の損失係数が高すぎるため電波エネルギーの減衰が大きく、表層近くで発熱され深くまで加熱できない)ことから被加熱体が厚かったりすると均一加熱が難しいのに対し、高周波は電力半減深度が深いので被加熱物が厚くても特に問題がなく均一な加熱が可能であり、自動車の車種により材質、形状等異なる摩擦材を使用する現状から、摩擦材の加熱加圧成形型への投入物の予熱にはむしろ適していることを理解した。そしてフェノール樹脂等の摩擦材原料全体に対しても一定の損失係数を有する高周波を使用することで、予備加熱の時間はマイクロ波加熱と同等であること、さらに予備加熱効果が摩擦材原料のロット、混合方法、季節等の含有水分率変動に対して安定することもあり、量産時においても加圧加熱成形工程にかかる時間を安定して大幅に短縮することが可能であることを知覚し本発明を完成させた。
この着想を元にさらに検討をすすめると、マイクロ波は、電力半減深度が浅い(水分の損失係数が高すぎるため電波エネルギーの減衰が大きく、表層近くで発熱され深くまで加熱できない)ことから被加熱体が厚かったりすると均一加熱が難しいのに対し、高周波は電力半減深度が深いので被加熱物が厚くても特に問題がなく均一な加熱が可能であり、自動車の車種により材質、形状等異なる摩擦材を使用する現状から、摩擦材の加熱加圧成形型への投入物の予熱にはむしろ適していることを理解した。そしてフェノール樹脂等の摩擦材原料全体に対しても一定の損失係数を有する高周波を使用することで、予備加熱の時間はマイクロ波加熱と同等であること、さらに予備加熱効果が摩擦材原料のロット、混合方法、季節等の含有水分率変動に対して安定することもあり、量産時においても加圧加熱成形工程にかかる時間を安定して大幅に短縮することが可能であることを知覚し本発明を完成させた。
即ち、本発明は下記の摩擦材を提供する。
(1)繊維基材、結合材、充填材を主成分とする摩擦材の製造方法において、成形型への投入物を高周波誘電加熱により予備加熱し、その後、加熱加圧成形をおこなうことを特徴とする摩擦材の製造方法。
(2)該投入物が原料混合物である(1)記載の摩擦材の製造方法。
(3)該投入物が原料混合物の造粒物である(1)記載の摩擦材の製造方法。
(4)該投入物が予備成形品である(1)記載の摩擦材の製造方法。
(5)該高周波誘電加熱の周波数は6〜100MHzである(1)〜(4)記載の摩擦材の製造方法。
(1)繊維基材、結合材、充填材を主成分とする摩擦材の製造方法において、成形型への投入物を高周波誘電加熱により予備加熱し、その後、加熱加圧成形をおこなうことを特徴とする摩擦材の製造方法。
(2)該投入物が原料混合物である(1)記載の摩擦材の製造方法。
(3)該投入物が原料混合物の造粒物である(1)記載の摩擦材の製造方法。
(4)該投入物が予備成形品である(1)記載の摩擦材の製造方法。
(5)該高周波誘電加熱の周波数は6〜100MHzである(1)〜(4)記載の摩擦材の製造方法。
本発明の製造方法により、摩擦材の量産時における品質を維持することが出来、かつ導入設備のコストを抑えつつ、予熱工程及び加熱加圧成形工程の大幅な時間短縮が実現可能となる。
本発明は、繊維基材、結合材、充填材を主成分とする摩擦材の製造方法において、加熱加圧成形工程直前に成形型に投入する投入物に対し高周波誘電加熱をおこなうことを特徴とする摩擦材の製造方法である。
高周波誘電加熱とはマイクロ波(周波数300MHz〜300GHz、波長1m〜1mm)と同じ電磁波である高周波(周波数1MHz〜300MHz、波長30m〜1m)を使う加熱法である。これは物体内部から加熱されていくものであり、熱風等を利用した「外部加熱」に対し「内部加熱」と呼ばれるもので、外部加熱に比べ非常に効率よく短時間で物体を加熱できると言われているものである。ただし水分に対する損失係数の値の高い(損失係数が高ければ高いほど発熱量は大きくなる)マイクロ波に比べ高周波の損失係数は、たとえば1MHzの高周波と2450MHz(電子レンジで使用)のマイクロ波とを比べると、25℃の水においては約30分の1となり、水分を含む原料を加熱する場合、効率面でかなり落ちるものである。
しかし損失係数が低いということは逆に、電波エネルギーの減衰が小さくなり、厚い材料でも表層だけでなく深くまで加熱が可能となる特徴をもっており、またその周波数からフェノール樹脂等の摩擦材原料自身に対しても加熱効果があり、それ故に季節、ロット、原料種類、原料混合方法等により、一定しない水分率に左右されず安定した加熱が可能であるという特徴を持っている。
さらにマイクロ波は人体(たとえば眼球)への影響が大きく、かつそのシールが難しいため、どうしても出力を上げる必要がある工業的には、大きな装置を使用せざるを得ない。これに対し高周波は工業的に使用可能な大出力装置においても、比較的シールが簡単なので、コスト面で有利である。
しかし損失係数が低いということは逆に、電波エネルギーの減衰が小さくなり、厚い材料でも表層だけでなく深くまで加熱が可能となる特徴をもっており、またその周波数からフェノール樹脂等の摩擦材原料自身に対しても加熱効果があり、それ故に季節、ロット、原料種類、原料混合方法等により、一定しない水分率に左右されず安定した加熱が可能であるという特徴を持っている。
さらにマイクロ波は人体(たとえば眼球)への影響が大きく、かつそのシールが難しいため、どうしても出力を上げる必要がある工業的には、大きな装置を使用せざるを得ない。これに対し高周波は工業的に使用可能な大出力装置においても、比較的シールが簡単なので、コスト面で有利である。
本発明で使用する高周波の周波数は、摩擦材原料の組み合わせにもよるが、好ましくは6〜100MHz、より好ましくは30〜80MHzである。この範囲内であれば予熱物が、原料混合物、原料混合物の造粒物、予備成型品のいずれの場合でも、安定した予備加熱効果が得られる。
なお、高周波誘電加熱装置としては、電極の間に高周波電界を印加させる電極方式が可能な装置であれば特に限定されず、オーブン形式によるバッチ式でも、コンベア等による連続式であってもよい。
なお、高周波誘電加熱装置としては、電極の間に高周波電界を印加させる電極方式が可能な装置であれば特に限定されず、オーブン形式によるバッチ式でも、コンベア等による連続式であってもよい。
摩擦材原料については摩擦材に通常用いられる原料が用いられる。
繊維基材としては、たとえばスチール、ステンレス、銅、真鍮、青銅、アルミニウム等の金属繊維;チタン酸カリウム繊維、セラミック繊維、ガラス繊維、ロックウール、ウォラストナイト等の無機繊維;アラミド繊維、炭素繊維、ポリイミド繊維、セルロース繊維、アクリル繊維等の有機繊維;等である。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることが出来る。繊維基材全体の添加量は、摩擦材組成物全量に対して好ましくは20〜60体積%、より好ましくは25〜50体積%である。これらは本発明の効果を維持できる範囲で、適宜添加することができる。
繊維基材としては、たとえばスチール、ステンレス、銅、真鍮、青銅、アルミニウム等の金属繊維;チタン酸カリウム繊維、セラミック繊維、ガラス繊維、ロックウール、ウォラストナイト等の無機繊維;アラミド繊維、炭素繊維、ポリイミド繊維、セルロース繊維、アクリル繊維等の有機繊維;等である。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることが出来る。繊維基材全体の添加量は、摩擦材組成物全量に対して好ましくは20〜60体積%、より好ましくは25〜50体積%である。これらは本発明の効果を維持できる範囲で、適宜添加することができる。
充填材としては、有機充填材と無機充填材が挙げられる。有機充填材として、たとえばカシューダスト、加硫済みの天然・合成ゴム粉末、タイヤリク、アクリルゴムダスト等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることが出来る。一方無機充填材としては、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、消石灰、人造黒鉛、硫化錫、マイカ、コークス、アルミナ、シリカ等の他、鉄、銅、ステンレス、アルミニウム等の金属粉が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることが出来る。これらの充填材の添加量は、摩擦材組成物全量に対して好ましくは20〜60体積%、より好ましくは30〜50体積%である。
結合材としては、通常摩擦材に用いられる公知のものを使用することができる。たとえば、フェノール樹脂、アクリルゴム変性フェノール樹脂、NBRゴム変性フェノール樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、NBR、アクリルゴム(未加硫品)等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることが出来る。この結合材の添加量は本発明では通常より少なく、摩擦材組成物全量に対して好ましくは10〜35体積%、より好ましくは12〜20体積%である。
摩擦材の製造方法は、まず上記の摩擦材原料成分をレディゲミキサー、アイリッヒミキサー等の混合機を用いて均一に混合する。
次に本発明の第1の製造方法として、この原料混合物に対して、高周波誘電加熱し80〜130℃に予備加熱し、その後、成形型に投入、加熱加圧成形する。
また本発明の第2の製造方法として、この混合原料を、その偏析防止のためさらに造粒して使用する場合がある。造粒物の作製は、粉体の原料を造粒するのに使用される方法であればどのような方法でも可能であるが、混合原料に溶剤を無添加もしくは0.1〜5.0質量%添加し、無加熱状態で金型や加圧ロールにて圧縮、粉砕することで造粒物を作製する方法が、原料の変質を防止する意味から好ましく用いられる。この原料混合物の造粒物に対して高周波誘電加熱し80〜130℃に予備加熱し、その後、成形型に投入、加熱加圧成形する。
さらに本発明の第3の製造方法として、原料混合物、もしくはその原料混合物を造粒したものを金型内で予備成形し、この予備成形したものに対して高周波誘電加熱し80〜130℃に予備加熱し、その後、成形型に投入、加熱加圧成形する方法もある。
上記3つの製造方法において、予備加熱後の成形型への投入は、予備加熱後、直ちに投入、もしくは熱風乾燥炉等にて保温したものを加熱圧縮成形することが、成形時間短縮のため望ましい。
なお高周波誘電による予備加熱時間としては、摩擦材原料の構成、量等により変動するが、10秒〜20分、好ましくは20秒〜10分、より好ましくは20秒〜180秒間である。またそれに続く加圧加熱成形時間は10秒〜20分、好ましくは20秒〜5分、より好ましくは30秒〜90秒である。
次に本発明の第1の製造方法として、この原料混合物に対して、高周波誘電加熱し80〜130℃に予備加熱し、その後、成形型に投入、加熱加圧成形する。
また本発明の第2の製造方法として、この混合原料を、その偏析防止のためさらに造粒して使用する場合がある。造粒物の作製は、粉体の原料を造粒するのに使用される方法であればどのような方法でも可能であるが、混合原料に溶剤を無添加もしくは0.1〜5.0質量%添加し、無加熱状態で金型や加圧ロールにて圧縮、粉砕することで造粒物を作製する方法が、原料の変質を防止する意味から好ましく用いられる。この原料混合物の造粒物に対して高周波誘電加熱し80〜130℃に予備加熱し、その後、成形型に投入、加熱加圧成形する。
さらに本発明の第3の製造方法として、原料混合物、もしくはその原料混合物を造粒したものを金型内で予備成形し、この予備成形したものに対して高周波誘電加熱し80〜130℃に予備加熱し、その後、成形型に投入、加熱加圧成形する方法もある。
上記3つの製造方法において、予備加熱後の成形型への投入は、予備加熱後、直ちに投入、もしくは熱風乾燥炉等にて保温したものを加熱圧縮成形することが、成形時間短縮のため望ましい。
なお高周波誘電による予備加熱時間としては、摩擦材原料の構成、量等により変動するが、10秒〜20分、好ましくは20秒〜10分、より好ましくは20秒〜180秒間である。またそれに続く加圧加熱成形時間は10秒〜20分、好ましくは20秒〜5分、より好ましくは30秒〜90秒である。
次に、上記により得られた成形品を熱処理(後硬化)した後、必要に応じて塗装、焼き付け、研磨処理を施して摩擦材の完成品が得られる。
なお自動車等のディスクパッドを製造する場合には、予め洗浄、表面処理、接着剤を塗布した鉄またはアルミ製のバックプレートを別途準備し、投入物(原料混合物、混合物の造粒物、予備成型品等)と合わせて成形用金型で成形、熱処理、塗装、焼き付け、研磨することにより作製することができる。
なお自動車等のディスクパッドを製造する場合には、予め洗浄、表面処理、接着剤を塗布した鉄またはアルミ製のバックプレートを別途準備し、投入物(原料混合物、混合物の造粒物、予備成型品等)と合わせて成形用金型で成形、熱処理、塗装、焼き付け、研磨することにより作製することができる。
本発明の摩擦材の製造方法は、自動車用として好適なものであるが、大型トラック、鉄道車両、各種産業機械等の制動用ブレーキにも用いることが出来る。
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
まず表1に示す組成の摩擦材組成物をレディゲミキサーにて5分間混合し、原料混合物A(含有水分率1.1質量%)、原料混合物B(含有水分率0.2質量%)を用意した。原料混合物Bは原料混合物Aを80℃の熱風乾燥機にて180分間加熱乾燥させたものである。含有水分率は、京都電子社の水分気化装置ADP−350に前記各原料混合物1gをセットし、同社のカール・フィッシャー式水分率計MKC−210で測定することにより求めた。
次に下記の工程によりサンプルを作製した。
実施例1;原料混合物Aを富士電波工機社の周波数62MHz、出力5KWの高周波誘電加熱装置(FDP−520M)にて30秒間加熱した。予備加熱品の表面温度は98℃で内部温度は101℃であった。これを直ちに成形温度150℃、成形圧力40MPaの条件下で60秒間成形した後、200℃で5時間熱処理(後硬化)を行ない、厚さ10mmの摩擦材を作製した。
実施例2;原料混合物Aに溶剤を3質量%添加し、無加熱状態で金型にて50MPaで圧縮、粉砕することで造粒物を作製した。この造粒物を上記高周波誘電加熱装置にて30秒間加熱した。予備加熱品の表面温度は107℃、内部温度は109℃であった。これを直ちに成形温度150℃、成形圧力40MPaの条件下で60秒間成形した後、200℃で5時間熱処理(後硬化)を行ない、厚さ10mmの摩擦材を作製した。
実施例3;原料混合物Aを加圧型内で10MPaにて20秒加圧して予備成形をした。この予備成形品を上記高周波誘電加熱装置にて30秒間加熱した。予備加熱品の表面温度は89℃、内部温度は93℃であった。これを直ちに成形温度150℃、成形圧力40MPaの条件下で60秒間成形した後、200℃で5時間熱処理(後硬化)を行ない、厚さ10mmの摩擦材を作製した。
実施例4;原料混合物Bを加圧型内で10MPaにて20秒加圧して予備成形をした。この予備成形品を上記高周波誘電加熱装置にて30秒間加熱した。予備加熱品の表面温度は87℃、内部温度は90℃であった。これを直ちに成形温度150℃、成形圧力40MPaの条件下で60秒間成形した後、200℃で5時間熱処理(後硬化)を行ない、厚さ10mmの摩擦材を作製した。
次に下記の工程によりサンプルを作製した。
実施例1;原料混合物Aを富士電波工機社の周波数62MHz、出力5KWの高周波誘電加熱装置(FDP−520M)にて30秒間加熱した。予備加熱品の表面温度は98℃で内部温度は101℃であった。これを直ちに成形温度150℃、成形圧力40MPaの条件下で60秒間成形した後、200℃で5時間熱処理(後硬化)を行ない、厚さ10mmの摩擦材を作製した。
実施例2;原料混合物Aに溶剤を3質量%添加し、無加熱状態で金型にて50MPaで圧縮、粉砕することで造粒物を作製した。この造粒物を上記高周波誘電加熱装置にて30秒間加熱した。予備加熱品の表面温度は107℃、内部温度は109℃であった。これを直ちに成形温度150℃、成形圧力40MPaの条件下で60秒間成形した後、200℃で5時間熱処理(後硬化)を行ない、厚さ10mmの摩擦材を作製した。
実施例3;原料混合物Aを加圧型内で10MPaにて20秒加圧して予備成形をした。この予備成形品を上記高周波誘電加熱装置にて30秒間加熱した。予備加熱品の表面温度は89℃、内部温度は93℃であった。これを直ちに成形温度150℃、成形圧力40MPaの条件下で60秒間成形した後、200℃で5時間熱処理(後硬化)を行ない、厚さ10mmの摩擦材を作製した。
実施例4;原料混合物Bを加圧型内で10MPaにて20秒加圧して予備成形をした。この予備成形品を上記高周波誘電加熱装置にて30秒間加熱した。予備加熱品の表面温度は87℃、内部温度は90℃であった。これを直ちに成形温度150℃、成形圧力40MPaの条件下で60秒間成形した後、200℃で5時間熱処理(後硬化)を行ない、厚さ10mmの摩擦材を作製した。
比較例1;原料混合物Aを加圧型内で10MPaにて20秒加圧して予備成形をした。この予備成形品を熱風乾燥炉にて80℃、2時間加熱した。予備加熱品の表面温度は72℃、内部温度は64℃であった。これを成形温度150℃、成形圧力40MPaの条件下で10分間成形した後、200℃で5時間熱処理(後硬化)を行ない、厚さ10mmの摩擦材を作成した。
比較例2;原料混合物Bを加圧型内で10MPaにて20秒加圧して予備成形をした。この予備成形品を周波数2450MHzのマイクロ波加熱装置にて30秒間加熱した。予備加熱品の表面温度は48℃、内部温度は51℃であった。これを直ちに成形温度150℃、成形圧力40MPaの条件下で60秒間成形した後、200℃で5時間熱処理(後硬化)を行ない、厚さ10mmの摩擦材を作製した。
なお、予備加熱品の表面温度は、安立計器社の温度計測器HA−100Eと静止表面用温度センサを組合せ、予備加熱品の表面にセンサを接触させて測定することにより求めた。内部温度は前記温度計測器と突き刺し形温度センサを組合せ、予備加熱品の内部にセンサを挿入して測定することにより求めた。
比較例2;原料混合物Bを加圧型内で10MPaにて20秒加圧して予備成形をした。この予備成形品を周波数2450MHzのマイクロ波加熱装置にて30秒間加熱した。予備加熱品の表面温度は48℃、内部温度は51℃であった。これを直ちに成形温度150℃、成形圧力40MPaの条件下で60秒間成形した後、200℃で5時間熱処理(後硬化)を行ない、厚さ10mmの摩擦材を作製した。
なお、予備加熱品の表面温度は、安立計器社の温度計測器HA−100Eと静止表面用温度センサを組合せ、予備加熱品の表面にセンサを接触させて測定することにより求めた。内部温度は前記温度計測器と突き刺し形温度センサを組合せ、予備加熱品の内部にセンサを挿入して測定することにより求めた。
上記の摩擦材について、製品外観、耐摩耗性を評価した。
(1)製品外観
製品表面のフクレの有無を目視にて確認し、製品外観を下記判定基準に基づき評価した。
○:フクレ無し
×:フクレ有り
(2)耐摩耗性
JASO C427 一般摩耗試験に準拠し、制動初速度30〜80km/h、制動減速度2m/s2、制動前ブレーキ温度50〜200℃、制動回数合計1,600回の試験条件で、摩擦材の摩耗を下記判定基準に基づき評価した。
○:0.6mm未満
×:0.6mm以上
結果を表1にに示す。
(1)製品外観
製品表面のフクレの有無を目視にて確認し、製品外観を下記判定基準に基づき評価した。
○:フクレ無し
×:フクレ有り
(2)耐摩耗性
JASO C427 一般摩耗試験に準拠し、制動初速度30〜80km/h、制動減速度2m/s2、制動前ブレーキ温度50〜200℃、制動回数合計1,600回の試験条件で、摩擦材の摩耗を下記判定基準に基づき評価した。
○:0.6mm未満
×:0.6mm以上
結果を表1にに示す。
Claims (5)
- 繊維基材、結合材、充填材を主成分とする摩擦材の製造方法において、成形型への投入物を高周波誘電加熱により予備加熱し、その後、加熱加圧成形をおこなうことを特徴とする摩擦材の製造方法。
- 該投入物が原料混合物である請求項1記載の摩擦材の製造方法。
- 該投入物が原料混合物の造粒物である請求項1記載の摩擦材の製造方法。
- 該投入物が予備成形品である請求項1記載の摩擦材の製造方法。
- 該高周波誘電加熱の周波数は6〜100MHzである請求項1〜4記載の摩擦材の製造方法。
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