JP2006273773A - カプセル壁材に温度応答機能を付与することにより内包した油溶性昆虫フェロモンを蒸散コントロール可能なマイクロカプセル - Google Patents

カプセル壁材に温度応答機能を付与することにより内包した油溶性昆虫フェロモンを蒸散コントロール可能なマイクロカプセル Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、簡便に製造でき、油溶性昆虫フェロモンの含有率の高い、温度応答機能を備えた油溶性昆虫フェロモン内包マイクロカプセルの製造方法およびマイクロカプセルのカプセル外殻から水あるいは含水保護物質環境下において内包した油溶性昆虫フェロモンを下限臨界共融温度(LCST)を境に低温側で蒸散促進、高温側で蒸散抑制可能なマイクロカプセルを提供することを目的とする。
【解決手段】温度応答機能を有する壁材ポリマーを外殻とすることにより油溶性昆虫フェロモンを蒸散制御可能な油溶性昆虫フェロモン内包マイクロカプセルが得られる。水あるいは含水保護物質環境下において、温度応答性ポリマーをカプセル壁材とすることにより内包した油溶性昆虫フェロモンの蒸散制御が温度(気温)により可能となる。マイクロカプセル化技術により高濃度に内包された油溶性昆虫フェロモンを長期間安定的に蒸散制御が可能になる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、温度応答機能を有するマイクロカプセル壁材ポリマーから油溶性昆虫フェロモンを蒸散コントロール可能なマイクロカプセルに関する。
農作物の害虫の特定な繁殖期に防除可能な害虫駆除法の一つとして、油溶性昆虫フェロモンの人為的な利用法がある。ここでフェロモンとは昆虫が様々な交信の手段として化学物質を体外に放出する化学物質のことである。油溶性昆虫フェロモンは、非常に少ない量で効果を示し、同種類間にしか効果を示さず、自然界で容易に水と炭酸ガスに分解するために安全性が高いという特徴が挙げられる。通常、トラップに油溶性昆虫フェロモンを仕込んで誘引された害虫を捕殺する方法と作物を栽培している場所にプラスチックディスペンサー(油溶性昆虫フェロモンを蒸散させるために封入させてあるプラスチック容器)を設置して微量の油溶性昆虫フェロモンを漂わせて昆虫の交信を撹乱させ、交尾を阻害する手段が取られている。
パラフィンワックス(特表2001−509003(特許文献1))やプラスチックディスペンサー(特開平8−322447(特許文献2)、特開平10−017407(特許文献3)、特開平11−225646(特許文献4)、特開2001−120146(特許文献5))の支持体に油溶性昆虫フェロモン含侵させた報告がなされているが、いずれも操作性や含侵させた油溶性昆虫フェロモンの長期安定的な蒸散抑制の点で問題がある。
特表2001−509003 特開平8−322447 特開平10−017407 特開平11−225646 特開2001−120146
本発明の課題は、簡便に製造でき、油溶性昆虫フェロモンの含有率の高い、温度応答機能を備えた油溶性昆虫フェロモン内包マイクロカプセルの製造方法およびマイクロカプセルのカプセル外殻から水あるいは含水保護物質環境下において内包した油溶性昆虫フェロモンを下限臨界共融温度(LCST)を境に低温側で蒸散促進、高温側で蒸散抑制可能なマイクロカプセルを提供することである。
本発明は、以下の工程からなることを特徴とする温度応答機能を有する油溶性昆虫フェロモン内包マイクロカプセルの製造方法および該方法により得られる温度応答機能を有する油溶性昆虫フェロモン内包マイクロカプセルに関するものである。
第1に、以下の温度応答機能を有する壁材ポリマーをカプセル壁材とする油溶性昆虫フェロモンを内包するマイクロカプセルを製造する方法であって、
(1)温度応答性モノマー、重合性モノマー、架橋モノマー、ラジカル開始剤、蒸留水からなる水相を非反応性有機溶媒と分散安定剤を含む有機相に混合する工程、
(2)前工程で得られた溶液をホモミキサーあるいはホモジナイザーを用いて乳化・分散させW/Oエマルションを調整する工程、
(3)乳化・分散させた溶液中の溶媒に重合開始剤を添加して加温により重合させてモノマーをポリマー化(マイクロカプセル化)させる工程、
(4)マイクロカプセルをろ過後、アルコールで洗浄し、さらに蒸留水洗浄した後、マイクロカプセルを蒸留水中に浸す工程、
(5)デカンテーションおよび/または遠心分離により、マイクロカプセルを得る工程、
(6)得られたマイクロカプセルを油溶性昆虫フェロモンあるいは油溶性昆虫フェロモンと昆虫フェロモンと希釈有機溶媒からなる溶液に挿入し含浸する工程を含むことを特徴とする方法が提供される。
第2に、上記製造方法により得られるマイクロカプセルの構成成分である温度応答性モノマーがN−アルキル置換(メタ)アクリルアミド、N−アルキレン置換(メタ)アクリルアミド、N−アルキレン置換(メタ)アクリルアミドである上記第1の発明に記載のマイクロカプセル製造方法が提供される。
第3に、重合性モノマー、架橋モノマー、ラジカル開始剤が水溶性であることを特徴とする上記第1の発明に記載のマイクロカプセル製造方法が提供される。
第4に、上記第1〜3の発明のいずれかの方法によって得られることを特徴とする温度応答機能を有する油溶性昆虫フェロモン内包マイクロカプセルが提供される。
第5に、上記第1〜4の発明に記載のマイクロカプセルのカプセル外殻から水あるいは含水保護物質環境下において内包した油溶性昆虫フェロモンを下限臨界共融温度(LCST)を境に低温側で蒸散促進、高温側で蒸散抑制可能なマイクロカプセルが提供される。
以上説明したように本発明により、温度応答機能を有する壁材ポリマーを外殻とすることにより油溶性昆虫フェロモンを蒸散コントロール可能な油溶性昆虫フェロモン内包マイクロカプセルの製造方法を得ることができた。水あるいは含水保護物質環境下において、温度応答性ポリマーをカプセル壁材とすることにより内包した油溶性昆虫フェロモンの蒸散制御が温度(気温)により可能となる。つまり、カプセル壁材の温感性ポリマーの下限臨界共融温度(LCST)を境にLCST温度以下(低温)では、温度応答性ポリマーが親水的環境および膨潤状態となることから内包した油溶性昆虫フェロモンは蒸散促進できる。また、下限臨界共融温度(LCST)を境にLCST温度以上(高温)では、感温性ポリマーが疎水的環境となることから内包した油溶性昆虫フェロモンは疎水的相互作用により蒸散抑制できる。とりわけ農作物の害虫は、夜間(低温時)に活発に行動し、昼間(高温時)には活動を休止する習性がある。したがって、油溶性昆虫フェロモンの蒸散コントロールを可能にするマイクロカプセル、すなわち、害虫が活発に行動しない昼間(高温時)においては蒸散を抑制し、害虫が活発に行動する夜間(低温時)においては蒸散を促進できるマイクロカプセルは、マイクロカプセル化技術により高濃度に内包された油溶性昆虫フェロモンを長期間安定的に蒸散制御が可能になるという効果がある(図1)。
以下、本発明に従い温度応答機能を有する油溶性昆虫フェロモン内包マイクロカプセルを製造する各工程、並びに、得られたマイクロカプセルの特徴と構造および用途に沿って本発明の実施の形態について説明する。
本発明の炭素、水素、酸素からなる油溶性昆虫フェロモンおよびその構造類似体としてZ−11−ヘキサデセナール、Z−13−オクタデセナール、Z−9−ヘキサデセナール、Z−11−テトラデセニル=アセタート、Z−9−テトラデセニル=アセタート、E−11−テトラデセニル=アセタート、10−テトラデセニル=アセタート、Z−9−ドデセニル=アセタート、11−ドデセニル=アセタート、Z−8−ドデセニルアセタート、E−8−ドデセニル=アセタート、Z−8−ドデセノール、Z−11−ヘキサデセニル=アセタート、Z−11−ヘキサデセナール、Z−11−ヘキサデセノール、Z,E,−9,12−テトラデカジエニル=アセタート、ドデシルアセタート、Z−9−テトラデセノール、Z,E,9,11−テトラデカジエニル=アセタート、Z−7−ヘキサデセナール、n−ヘキサデセナール、Z−9−ヘキサデセニル=アセタートが該当する。この油溶性昆虫フェロモンおよびその構造類似体の1種類あるいは数種類を混合して使用する。
本発明のマイクロカプセル化を行う際に使用するカプセル壁材の構成成分となる温度応答性モノマーは、N−アルキル置換(メタ)アクリルアミド、N−アルキレン置換(メタ)アクリルアミド、N−アルキレン置換(メタ)アクリルアミドが挙げられる。カプセル外殻形成物質として、少なくとも単独でもしくは2種類以上併せて用いられる。
水溶性の架橋モノマーとして、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸の金属塩、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアアミドなどのアミノ置換(メタ)アアクリルアミド、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、ジエチルアミノ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アミノ置換アルキルエステルなどの解離するとイオン性を有するモノマーを含む。また、上記架橋モノマーの一例としては、N,N’― メチレンビスアクリルアミドなどの多官能性のモノマーが挙げられるが、もちろんこの限りでない。カプセル外殻形成物質として、少なくとも単独でもしくは2種類以上併せて用いられる。
水溶性の重合性モノマーとして、アクリルアミド、メチルアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、エチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、メチルエチルアクリルアミド、n−プロピルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、ジプロピルアクリルアミド、ジイソプロピルアクリルアミド、メチルプロピルアクリルアミド、メチルイソプロピルアクリルアミド、エチルイソプロピルアクリルアミド、ブチルアクリルアミド、s−ブチルアクリルアミド、t−ブチルアクリルアミド、ジブチルアクリルアミド、メチルブチルアクリルアミド、エチルブチルアクリルアミド、プロピルブチルアクリルアミド、ペンチルアクリルアミド、ヘキシルアクリルアミド等を例示できる。カプセル外殻形成物質として、少なくとも単独でもしくは2種類以上併せて用いられる。
水溶性のラジカル開始剤として、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ジラウロイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドなどの有機過酸化物、又はα,α−アゾビスイソブチロニトリルやアゾビスシクロヘキサンカルボニトリルのようなアゾ化合物を例示することができる。少なくとも単独でもしくは2種類以上併せて用いられる。
非反応性有機溶媒は、ブタン、ヘキサン、シクロヘキサン、アセトン、クロロホルム、ジクロロメタン、イソオクタン、オクタン、ノナン、シクロヘキサン等が用いられ、分散安定剤は、ポリオキシエチレンが付加したトリあるいはジスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンが付加したアルコールエーテル、ポリオキシエチレンが付加したソルビタンオレエート等のツイーン系界面活性剤、ソルビタンオレエート等のスパン系界面活性剤、レシチン等が用いられる。油溶性昆虫フェロモンを含浸する際に用いる希釈有機溶媒は、ヘキサン、アセトン、クロロホルム、ジクロロメタン、イソオクタン、オクタン、ノナン等が例示される。希釈有機溶媒は、少なくとも単独でもしくは2種類以上併せて用いられる。また、重合開始剤としてN,N,N’,N’―テトラメチルエチレンジアミンが挙げられるが、もちろんこの限りではない。さらに、マクロカプセルカプセル調製、ろ過後のカプセル洗浄アルコールとしては、メタノール、エタノール、ブタノール等が用いられる。
含水保護物質として使用する材料は、ゼラチン、アラビアゴム、カゼイン、デキストリン、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロースのアルカリ金属塩、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース)、多価アルコール(グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4―ブタンジオール、マルチトール、キシリトール等)及び多価金属化合物(マグネシウム化合物、カルシウム化合物、亜鉛化合物、カドミニウム化合物、アルミニウム化合物、チタン化合物、銅化合物、鉄化合物、クロム化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、ニッケル化合物)が挙げられる。少なくとも単独でもしくは2種類以上併せて用いられる。
マイクロカプセル製造法に関して、水相として、1〜85wt%(W/V)の上記温度応答性モノマー、0.1〜50wt%(W/V)の上記重合性モノマー、0.01〜50wt%(W/V)の架橋モノマーを窒素雰囲気下においてマグネチックスターラーで撹拌しながら添加したものを用意する。有機相として、上記非反応性有機溶媒中に0.01〜50wt%(W/V)の上記分散安定剤を加えたものを用意し、反応器内にこれを移し10〜35℃に保つ。用意した水相および有機相はどちらも窒素雰囲気下において1〜2時間撹拌する。水相と有機相を混合する30〜180秒前に、水相に0.01〜10wt%(W/V)の上記ラジカル開始剤を加え、水相を有機相に撹拌しながら加え10〜35℃,2〜5分間,50〜500rpmで撹拌してW/Oエマルションを形成する。水相に対して0.01〜30wt%(W/V)の上記重合開始剤を加えて重合させ、40〜80℃まで昇温して50〜500rpmで撹拌しながら0.5〜10時間反応を行ってマイクロカプセルを形成させる。マイクロカプセル製造は全て窒素雰囲気下で行う。この操作により温度応答機能をカプセル壁材に付与したマイクロカプセルを得ることが可能となる(図2)。
このマイクロカプセルの構造は、外観が球状であり、内部がマトリクス状の構造をしている。粒子径は1〜1000μmと自由に制御可能である。さらにマイクロカプセルは、下限臨界共融温度(LCST)を有するマイクロカプセルである。温度応答性モノマー、重合性モノマー、架橋モノマーの組成比により10〜60℃と異なる下限臨界共融温度(LCST)を有する。
調製後のマイクロカプセルでろ過し、未反応物などを取り除くために最初に上記アルコール、次に蒸留水で洗浄後、1〜10日間蒸留水に浸しておく。浸す際の蒸留水は、毎日交換する。得られるマイクロカプセルに上記油溶性昆虫フェロモンを含浸させるために、上記油溶性昆虫フェロモンのみ、あるいは5〜95wt%(W/V)の上記希釈溶媒と5〜95wt%(W/V)の油溶性昆虫フェロモンを混合した溶液にマグネチックスターラーで撹拌しながら1〜10日間浸しておく。その後、マイクロカプセルの表面に付着した上記油溶性昆虫フェロモンや上記希釈有機溶媒を取り除くために蒸留水で洗浄し、凍結乾燥を行い、フェロモン含浸マイクロカプセルを得ることが可能となる。
さらに、油溶性昆虫フェロモンを内包したマイクロカプセルを、蒸留水あるいは0.1〜85wt%(W/V)の上記含水保護物質環境下において内包した油溶性昆虫フェロモンの蒸散を行う。下限臨界共融温度(LCST)を境に低温側で蒸散促進、高温側で蒸散抑制可能となる。
以下に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれに何ら限定されるものではない。
実施例1
水相として、60mlの蒸留水中に温度応答性モノマーとして10wt%(W/V)のN−イソプロピルアクリルアミド、重合性モノマーとして1wt%(W/V)のアクリルアミド、架橋モノマーとして0.2wt%(W/V)のN,N’―メチレンビスアクリルアミドを窒素雰囲気下においてマグネチックスターラーで撹拌しながら添加したものを用意した。有機相として、300mlのシクロヘキサン中に分散安定剤として0.1wt%(W/V)のレシチンを加えたものを用意し、1000mlのジャケット付三ツ口セパラブルフラスコに移し、恒温循環水槽にて反応器内を25℃に保った。撹拌には羽根付き撹拌棒を使用した。調製した水相および有機相はいずれも窒素雰囲気下において1時間撹拌したものを用いた。水相を有機相に加える30秒前に、水相にラジカル開始剤としてペルオキソ二硫酸アンモニウムを加えた後、水相を有機相に撹拌しながら加え25℃,2分間,150rpmで撹拌してW/Oエマルションを形成した。形成したW/Oエマルションに、水相に対して0.5wt%(W/V)の重合開始剤(N,N,N’,N’―テトラメチルエチレンジアミン)を加えて重合させ、60℃まで昇温して150rpmで撹拌しながら1時間反応を行ってマイクロカプセルを形成させた。調製は全て窒素雰囲気下で行った。調製後のマイクロカプセルは桐山ロートを用いてろ過し、未反応物などを取り除くために最初にエタノール、次に蒸留水で洗浄した後、3日間蒸留水に浸しておいた(蒸留水は毎日交換)。
得られたマイクロカプセルに油溶性昆虫フェロモンであるドデシルアセタートを含浸させるために、100mlドデシルアセタートのみ、あるいは希釈有機溶媒50wt%(W/V)のヘキサンとの50wt%(W/V)のドデシルアセタートを混合した200ml溶液にマグネチックスターラーで撹拌しながら3日間浸した。その後、マイクロカプセルの表面に付着した上記油溶性昆虫フェロモンや上記希釈有機溶媒を取り除くために蒸留水で洗浄し、凍結乾燥を行い、油溶性フェロモン内包マイクロカプセルを得た。
調製したマイクロカプセルの全体図を図3に示す。粒子径は100〜300μmであった。また、示差走査熱量分析装置の結果より、下限臨界共融温度(LCST)は34℃であった。ガスクロマトグラフィーにより分析した油溶性昆虫フェロモン(ドデシルアセタート)のマイクロカプセル中への含有量(率)を表1に示す。
Figure 2006273773
実施例2
油溶性昆虫フェロモン(ドデシルアセタート)の蒸散挙動は、実施例1より得たマイクロカプセル0.1gを10wt%(W/V)のポリビニルアルコール溶液中(含水保護物質環境下)に入れた複数個のサンプルを、インキュベーター内(下限臨界共融温度(LCST)を境に低温(20℃)と高温(40℃)条件下)で一定時間おきにサンプリングすることで評価した。マイクロカプセルは乳鉢ですり潰した後、20mlのメスフラスコに入れアセトンで定容後、超音波浴槽に入れ、10分間超音波を照射し、マイクロカプセル中のフェロモンをアセトンに溶出させた。これを50mlのサンプル瓶に移し、シリンジおよびメンブレンフィルターを用いて20mlのサンプル瓶にろ別した。ホールピペットを用いて正確に測りとったろ液5mlを10mlメスフラスコに入れ、これに内部標準溶液であるテトラデカン0.05gを入れた後、アセトンで定容した。その後ガスクロマトグラフィーにて、マイクロカプセル中のドデシルアセテートを測定した。マイクロカプセル調製直後に初期内包量を求め、一定時間後にサンプリングしたマイクロカプセル中のドデシルアセタート量を定量し、調製直後の初期内包量から所定時間後の内包量の差を算出し、カプセル外殻からの蒸散率として定義した。その蒸散結果を図4に示す。
比較例1
油溶性昆虫フェロモン(ドデシルアセタート)の蒸散挙動は、マイクロカプセル0.1gを含水保護物質なしの環境下に入れた複数個のサンプルを、インキュベーター内(下限臨界共融温度(LCST)を境に低温(20℃)と高温(40℃)条件下)で一定時間おきにサンプリングすることで評価した。その他の詳細な実験条件は、実施例2と同様である。その蒸散結果を図5に示す。
示差走査熱量分析
下限臨界共融温度(LCST)の分析は、示差走査熱量分析計を用いて行った。測定法はリファレンス試料としてα−アルミナを使用し、試料重量は8.0〜10mg、昇降温速度は5.0℃/minとして窒素雰囲気下にて測定を行った。α−アルミナ及び試料はアルミニウムシールセルによりシールして測定した測定範囲は0〜100℃の範囲で行った。
ガスクロマトグラフィー分析
ドデシルアセテートの分析は、ガスクロマトグラフィーを用いて行った。カラムはキャピラリーカラム(長さ30m、直径0.25mm)を用いた。分析条件は、試料気化室温度が200℃、検出器(FID)は200℃、カラムオーブンは180℃であった。サンプル注入量は1μLとした。
蒸散率の決定
蒸散率(%)=(所定時間にサンプリングしたマイクロカプセル中に含まれるフェロモン内包量/マイクロカプセル中に含まれる初期フェロモン内包量)×100
温度応答機能を付与したカプセル壁材を有するマイクロカプセルからの油溶性昆虫フェロモンの蒸散制御の概念図である。 温度応答機能を付与したカプセル壁材を有するマイクロカプセルの調製スキームである。 温度応答機能を付与したカプセル壁材を有する油溶性昆虫フェロモン内包マイクロカプセルの全体を示す光学顕微鏡写真である。 含水保護物質存在下での油溶性昆虫フェロモンの蒸散結果である。 含水保護物質なしでの油溶性昆虫フェロモンの蒸散結果である。

Claims (5)

  1. 以下の温度応答機能を有する壁材ポリマーをカプセル壁材とする油溶性昆虫フェロモンを内包するマイクロカプセルを製造する方法。
    (1)温度応答性モノマー、重合性モノマー、架橋モノマー、ラジカル開始剤、蒸留水からなる水相を非反応性有機溶媒と分散安定剤を含む有機相に混合する工程。
    (2)前工程で得られた溶液をホモミキサーあるいはホモジナイザーを用いて乳化・分散させW/Oエマルションを調整する工程。
    (3)乳化・分散させた溶液中の溶媒に重合開始剤を添加して加温により重合させてモノマーをポリマー化(マイクロカプセル化)させる工程。
    (4)マイクロカプセルをろ過後、アルコールで洗浄し、さらに蒸留水洗浄した後、マイクロカプセルを蒸留水中に浸す工程。
    (5)デカンテーションおよび/または遠心分離により、マイクロカプセルを得る工程。
    (6)得られたマイクロカプセルを油溶性昆虫フェロモンあるいは油溶性昆虫フェロモンと希釈有機溶媒からなる溶液に挿入し含浸する工程。
  2. 温度応答性モノマーがN−アルキル置換(メタ)アクリルアミド、N−アルキレン置換(メタ)アクリルアミド、N−アルキレン置換(メタ)アクリルアミドである請求項1のマイクロカプセル製造方法。
  3. 重合性モノマー、架橋モノマー、ラジカル開始剤が水溶性であることを特徴とする請求項1のマイクロカプセル製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかの方法によって得られることを特徴とする温度応答機能を有する油溶性昆虫フェロモン内包マイクロカプセル。
  5. 請求項1〜4に記載のマイクロカプセルのカプセル外殻から水あるいは含水保護物質環境下において内包した油溶性昆虫フェロモンを下限臨界共融温度(LCST)を境に低温側で蒸散促進、高温側で蒸散抑制可能なマイクロカプセル。
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