JP2006273468A - 紙幣搬送装置 - Google Patents

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憲弘 関沢
Kojiro Iketaka
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Abstract

【課題】 紙幣を搬送する際に斜行や紙詰まりの発生を規制する。
【解決手段】 紙幣挿入口10に連通する第1の紙幣搬送路8と、この第1の紙幣搬送路8と直交する方向に設けられた第2の紙幣搬送路とが備えられている。第1の紙幣搬送路8には、駆動ベルト24とこれに対接する3個のピンチローラ25,26,27とからなる第1の紙幣搬送手段11が備えられている。このうち、2個のピンチローラ26,27を回転自在に支持しているホルダー43A,43Bは軸45を中心として揺動自在に支持されている。1個の電磁ソレノイドを駆動することにより、伝達部材を介してホルダー43A,43Bを同時に揺動させることにより、2個のピンチローラ26,27を駆動ベルト24から離間する。この離間により、第2の紙幣搬送手段によって紙幣を第2の紙幣搬送路に搬送するように切り替える。
【選択図】 図8

Description

本発明は、2つの紙幣搬送手段の間に紙幣の搬送方向を変更する切替手段を備えた紙幣搬送装置に関するものである。
この種の紙幣搬送装置においては、一方の紙幣搬送手段から他方の紙幣搬送手段に搬送を切り替えるとき、一方の紙幣搬送手段を構成する駆動ローラとこれに対接しているピンチローラを駆動ローラから離間させ、駆動ローラとピンチローラとによる紙幣の保持を解除するようにしている。従来は、カード挿入口から挿入されたカードを第1の搬送路内で搬送する第1の駆動ローラおよびこれに対接する第1のピンチローラと、第1の搬送路と直交する第2の搬送路内でカードを搬送する第2の駆動ローラとこれに対接する第2のピンチローラと、第1および第2のピンチローラを回転自在に支持しソレノイドによって揺動させることにより第1および第2のピンチローラを第1および第2の駆動ローラに選択的に対接させる切替ブラケットとを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
特許第3428467号公報(段落「0019」および「0020」、図4)
上述した従来の装置においては、搬送方向を切り換えるための切替ブラケットには、第1および第2のピンチローラを1個ずつしか支持することができないため、カードの搬送を1個のピンチローラとこれに対接する1個の駆動ローラとによって行っている。このため、搬送方向の寸法が大きく、かつ剛性が極めて小さい紙幣を搬送する場合は、搬送方向が安定しないで斜行したり紙詰まりが発生するという問題があった。
本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、紙幣を搬送する際に斜行や紙詰まりの発生を規制することにある。
この目的を達成するために、請求項1に係る発明は、紙幣を挿入する紙幣挿入口と、この紙幣挿入口から挿入された紙幣の真贋を識別する紙幣識別装置と、この紙幣識別装置まで前記紙幣挿入口から紙幣を搬送する第1の紙幣搬送手段と、この第1の紙幣搬送手段による搬送方向と直交する方向へ紙幣を搬送する第2の紙幣搬送手段と、この第2の紙幣搬送手段によって搬送された紙幣を収納する紙幣収納部とを備えた紙幣搬送装置において、前記第1の紙幣搬送手段を、この第1の紙幣搬送手段による紙幣の搬送方向に延在する駆動ベルトと、この駆動ベルトに対接し互いに第1の紙幣搬送手段による紙幣の搬送方向に離間する複数のピンチローラと、これらピンチローラのそれぞれを前記駆動ベルトから離間させる複数の離間手段とによって構成し、前記離間手段を駆動する1個の駆動手段と、この1個の駆動手段の駆動を前記各離間手段に伝達する伝達部材とを備えたものである。
本発明によれば、紙幣搬送方向に互いに離間した複数個のピンチローラによって紙幣を搬送することができるため、搬送方向に寸法が大きくかつ剛性が極めて小さい紙幣を斜行させずに安定した姿勢によって搬送することができるので、紙幣識別装置での紙幣の誤識別や紙幣詰まりを防止することができる。また、複数個のピンチローラを1個の駆動手段によって作動させることができるため、構造の簡素化を図ることができるとともに部品点数を削減できるから製造コストの低減を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。図1は本発明に係る紙幣搬送装置における第1ケースの正面図、図2は図1におけるII-II 線断面図、図3は図1における III矢視図、図4は同じく搬送ローラを示し、同図(A)は要部を拡大して示す正面図、同図(B)は側面図である。図5は本発明に係る紙幣搬送装置における第2ケースの正面図、図6は図5におけるVI-VI 線断面図であって、同図(A)は電磁ソレノイドの非通電状態を示し、同図(B)は電磁ソレノイドの通電状態を示し、図7は図5におけるVII-VII 線断面図、図8は図5におけるVIII-VIII 線断面図であって、同図(A)はピンチローラが駆動ベルトに対接している状態を示し、同図(B)はピンチローラが駆動ベルトから離間している状態を示す。図9ないし図12は図1におけるIX-IX 線断面図であって、図9は搬送ローラが初期位置に停止し搬送ローラの溝によって紙幣を案内している状態を示し、図10は搬送ローラとピンチローラとによって紙幣の下端部を挟持し搬送を開始した状態を示し、図11は搬送ローラとピンチローラとによって紙幣を搬送している状態を示し、図12は搬送ローラとピンチローラとによって紙幣を紙幣収納部へ搬送した状態を示す。
図1に全体を符号1で示す紙幣搬送装置は、紙幣の真贋を識別する紙幣識別装置2と、この紙幣識別装置2の下方(矢印D方向)に設けられ、紙幣識別装置2で真札と識別された紙幣を収納する紙幣収納部3とによって概ね構成されている。図7において紙幣識別装置2は、第1ケース4と第2ケース5とを備え、互いに対向する第1ケース4の背面板6と第2ケース5の前面板7とによって、矢印A−B方向に延在する第1の紙幣搬送路8が形成されている。この第1の紙幣搬送路8の矢印B方向端部には、紙幣9を立てた状態で挿入する紙幣挿入口10が設けられている。
この紙幣挿入口10から挿入された紙幣9は、後述する第1の紙幣搬送手段11によって矢印A方向に搬送され、第1の紙幣搬送路8内に取り込まれることにより、紙幣識別装置2によって紙幣9の真贋が識別される。この紙幣識別装置2によって真札でないと識別された紙幣は、第1の紙幣搬送手段11によって矢印B方向へ搬送され、紙幣挿入口10から返却される。一方、紙幣識別装置2によって真札と識別された紙幣は、後述する第2の紙幣搬送手段12によって、矢印A−B方向と直交する方向である矢印D方向に搬送され紙幣収納部3に収納される。
次に、図1および図9を用いて第1の紙幣搬送路8について説明する。第1の紙幣搬送路8を形成している第1ケース4の背面板6の上下には、第1の紙幣搬送手段11によって搬送される紙幣9の矢印C−D方向の移動を規制して紙幣9を矢印A−B方向に案内する案内凸条体13,14が背面板6と直交する方向に突設されている。これら案内凸条体13,14は矢印A−B方向に延在し、案内凸条体14側には矢印A−B方向に長さWに形成された切欠き15が設けられており、これら案内凸条体13,14間の間隔Lは紙幣9の幅lよりもわずかに大きく形成されている。
一方の案内凸条体14の切欠き15の矢印A−B方向の両端側には、図9に示すように案内凸条体14には矢印D方向へ延在する案内部16が一体に設けられており、この案内部16と対向するように第2ケース5の前面板7には案内部17が一体に設けられている。これら案内部16,17によって第1の紙幣搬送路8と紙幣収納部3とを連通する第2の紙幣搬送路18が形成されている。
次に、図1および図8を用いて、第1の紙幣搬送手段11について説明する。第1の紙幣搬送手段11は、正・逆方向に駆動する第1のモータ20と、この第1のモータ20によって回転駆動する駆動ローラ21と、この駆動ローラ21に追従して回転する第1の従動ローラ22および第2の従動ローラ23と、駆動ローラ21と第1の従動ローラ22との間に張架された無端状の駆動ベルト24と、第1の従動ローラ22および第2の従動ローラ23ならびに駆動ローラ21に対向する第1のピンチローラ25および第2のピンチローラ26ならびに第3のピンチローラ27とによって概ね構成されている。
第1のモータ20の出力軸に軸着されたウォーム30には、図1に示すようにウォームホイール31が噛合しており、このウォームホイール31が軸着された駆動軸32は矢印D方向に延在し、この駆動軸32に一対の駆動ローラ21,21が軸着されている。駆動ベルト24は、第1ケース4の背面板6に矢印A−B方向に延在する一対の窓33,33から紙幣搬送路6に臨んでおり、一対の第2の従動ローラ23はこの駆動ベルト24に添接されている。第1ないし第3のピンチローラ25〜27は、第2ケース5側に回転自在に支持されており、このうち第2および第3のピンチローラ26,27は、後述する離間手段40によって駆動ベルト24に対して接離自在に支持されている。これら第1ないし第3のピンチローラ25〜27は、第2ケース5の前面板7に設けた窓35から第1の紙幣搬送路8に臨んでいる。
次に、図5ないし図8を用いて、第2および第3のピンチローラ26,27に備えられた離間手段40およびこの離間手段40を駆動する駆動装置41について説明する。離間手段40は、図8に示すように第2および第3のピンチローラ26,27を回転自在に支持するホルダー43A,43Bと、これらホルダー43A,43Bを付勢し第2および第3のピンチローラ26,27を駆動ベルト24に対接させる方向に付勢するねじりコイルばね(図示せず)とによって概ね構成されている。
ホルダー43A,43Bは、図5に示すように第2ケース5の前面板7に互いに対向して立設された一対の支持部44,44間に横架された軸45に中央部が揺動自在に支持されており、互いに対向するように突設された一対の腕部46,46と、これら腕部46,46と直交する方向に突設された被駆動部47とが一体に設けられている。ホルダー43A,43Bの腕部46,46間に横架された軸48,48の両端部には、第2のピンチローラ26,26および第3のピンチローラ27,27が回転自在に支持されている。
軸45に図示を省略したねじりコイルばねが巻回され、ホルダー43A,43Bは軸45を回動中心として図8中時計方向に付勢されている。この状態から、後述する第1および第2の揺動レバー52,54によって被駆動部47,47が、同図(B)に示すように矢印A方向へ移動させられることにより、ホルダー43A,43Bがねじりコイルばねの回転モーメントに抗して反時計方向に回動し、第2および第3のピンチローラ26,27が駆動ベルト24から離間する。
駆動装置41は、図5に示すように、駆動用の電磁ソレノイド50と、この電磁ソレノイド50の駆動により揺動する揺動子51と、この揺動子51の揺動に連動して揺動する第1の揺動レバー52と、この第1の揺動レバー52に連結され矢印A−B方向に移動する伝達部材53と、この伝達部材53を介して第1の揺動レバー51と一体的に揺動する第2の揺動レバー54とによって概ね構成されている。
揺動子51は第2ケース5に取り付けられたブラケット56に、図6に示すように中央部が軸57を介して揺動自在に支持されており、下端部に設けたU字溝58に電磁ソレノイド50のロッド50aに植設されたピン50bが係合している。また、下端部にはセンサ61によって検知される被検知部59が設けられており、上端部に形成された係合部60は第2ケース5に設けた窓62から露呈し、第1の揺動レバー52の一端側に延設した延設部52aに係合している。
第1の揺動レバー52は、図5に示すように中央部が軸64Aを介して第2ケース5の前面板5に揺動自在に支持されており、他端部に上記したホルダー43Aの被駆動部47が臨む係合孔65Aが設けられている。第2の揺動レバー54は、第1の揺動レバー52と対向するように、中央部が軸64Bを介して第2ケース5の前面板7に揺動自在に支持されており、他端部に上記したホルダー43Bの被駆動部47が臨む係合孔65Bが設けられている。これら第1および第2の揺動レバー52,54は、それぞれの一端部間が矢印A−B方向に延在する伝達部材53の両端部に枢着されている。
このような構成において、電磁ソレノイド50に通電されると、図6(B)に示すようにロッド50aが矢印A方向に後退することにより、ピン50bを介して揺動子51が軸57を中心として時計方向に回転するため、第1の揺動レバー52の延設部52aが係合部60によって矢印B方向へ移動するとともに、被検知部59がセンサ61から外れる。第1の揺動レバー52の延設部52aが矢印B方向へ移動することにより、第1の揺動レバー52が軸64Aを中心として図5中時計方向に回動する。したがって、第1の揺動レバー52の他端側に形成した係合孔65Aに係合するホルダー43Aの被駆動部47が、図8(B)に示すように矢印A方向へ移動するので、上述したように第2のピンチローラ26が駆動ベルト24から離間する。
第1の揺動レバー52が軸64Aを中心として図5中時計方向に回動することにより、第2の揺動レバー54が伝達部材53を介して軸64Bを中心として時計方向に回動する。したがって、第2の揺動レバー54の他端側に形成した係合孔65Bに係合するホルダー43Bの被駆動部47が、図8(B)に示すように矢印A方向へ移動するので、上述したように第3のピンチローラ27が駆動ベルト24から離間する。
次に、図1、図3、図4および図9を用いて、第2の紙幣搬送手段12について説明する。第2の紙幣搬送手段12は、図1に示すように駆動源として正・逆方向に駆動する第2のモータ70と、この第2のモータ70の駆動によって回転する搬送ローラ71と、この搬送ローラ71に常時対接するピンチローラ72とによって概ね構成されている。第2のモータ70の出力軸には、図3に示すようにモータギヤ74が軸着され、このモータギヤ74に噛合する中間ギヤ75にはタイミング歯付きギヤ76が一体に設けられている。タイミング歯付きギヤ76と搬送ローラ71の端面に一体に設けられたタイミング歯付きギヤ77との間にはタイミング歯付きベルト78が張架されており、搬送ローラ71はモータギヤ74,中間ギヤ75およびタイミング歯付きベルト78を介して第2のモータ70によって図9中時計・反時計方向に回転する。
搬送ローラ71の周部には、軸線方向全体に延在し軸線方向の両端が開口した溝80が設けられており、この溝80は図4(B)に示すように頂角が約90°で断面がV字状に形成されており、一方の開口部側には、開口端81側に向かって末広がり状に形成された案内面として機能する斜面81aが設けられている。この搬送ローラ71は、図1に示すように矢印A−B方向に軸線が延在し搬送ローラ71の矢印A−B方向の寸法が紙幣9の矢印A−B方向の寸法よりもやや短く形成されているとともに、第1の紙幣搬送手段11の駆動ローラ21および第2のピンチローラ23の矢印D方向に位置し、かつ溝80が、図9に示すように側面視において第1ケース4の背面板6の案内凸条体14の表面と一致するように、第1ケース4の切欠き15内に回転自在に支持されている。また、搬送ローラ71の溝80を除く周面は、ピンチローラ72との間で紙幣を確実に挟持し搬送するように構成されている。
このように構成されていることにより、カード挿入口10から挿入された紙幣9の下端線は案内凸条体14に当接し、この案内凸条体14に案内されながら第1の紙幣搬送手段11によって矢印A方向に搬送される。さらに、第1の紙幣搬送手段11によって矢印A方向に搬送される紙幣9は、下端部9aが搬送ローラ71の溝80の開口端81から溝80内に進入し、下端線が溝80に当接した状態で矢印A方向に搬送される。すなわち、搬送ローラ71の周部には、軸線方向に延在し第1の紙幣搬送手段11によって搬送される紙幣9の搬送方向に沿った端線(下端部9a)が案内される溝80が設けられている。
ここで、搬送ローラ71の溝80が案内凸条体14の表面と一致した図9に示す回転位相位置を搬送ローラ71の初期位置という。ピンチローラ72は矢印A−B方向に延在し、側面視において初期位置に位置付けられた搬送ローラ71の溝80に対して搬送ローラ71の紙幣送り方向、すなわち搬送ローラ71の反時計方向に隣接した部位に位置付けられるように第2ケース5に回転自在に支持されている。
搬送ローラ71の開口端80と反対側の端面には、扁平な円柱状に形成された逆回転規制車85が一体に設けられており、この逆回転規制車85の周面の一部には断面がへの字状に形成された切欠き86が設けられている。87は基端部が第1ケース4に取り付けられた板ばねであって、自由端部が逆回転規制車85の周面に圧接されており、搬送ローラ71が紙幣搬送方向(図中反時計方向)へ回転するときは搬送ローラ71の回転を許容する。一方、搬送ローラ71が紙幣搬送方向と反対方向(図中時計方向)へ回転することにより、板ばね87の自由端が逆回転規制車85の切欠き86に係合し、搬送ローラ71の回転を規制する。このとき、搬送ローラ71が初期位置に位置決めされるように構成されており、これら逆回転規制車85と板ばね87とが、搬送ローラ71を初期位置に位置決めする位置決め手段88を形成している。
次に、このような構成において、紙幣識別装置2において真札と判定された紙幣9を紙幣収納部3に搬送する動作を説明する。予め、電磁ソレノイド50には通電されていない状態になっており、ロッド50aは図6(A)に示すように前進し、第1の紙幣搬送手段11の第1ないし第3のピンチローラ25〜27が図8(A)に示すように駆動ベルト24に対接している。また、搬送ローラ71の溝80が案内凸条体14の表面と一致した図9に示す初期位置に位置している。
この状態で、紙幣挿入口10から紙幣9が挿入され、図示を省略したセンサによって紙幣9が検知されると、第1のモータ20が正方向に駆動する。したがって、挿入された紙幣9は駆動ベルト24と第1のピンチローラ25とによって厚み方向が挟持され、紙幣挿入口10に挿入された状態の姿勢を保持されたままで矢印A方向に搬送される。このとき、紙幣9の下端が案内凸条体14に当接し案内凸条体14に案内されて矢印A方向に搬送される。
さらに、紙幣9が駆動ベルト24と第1のピンチローラ25とによって矢印A方向に搬送されることにより、搬送ローラ71の溝80が案内凸条体14の表面と一致した図9に示す初期位置に位置しているため、紙幣9は、下端部9aが搬送ローラ71の溝80の開口端81から溝80内に進入し、下端が溝80に当接した状態で矢印A方向に搬送される。紙幣9の前端が第2のピンチローラ26に達すると、紙幣9はこの第2のピンチローラ26および第1のピンチローラ25と駆動ベルト24とによって矢印A方向に搬送される。紙幣9の前端が第3のピンチローラ27に達すると、紙幣9はこの第3のピンチローラ27および第2のピンチローラ26ならびに第1のピンチローラ25と駆動ベルト24とによって矢印A方向に搬送される。
さらに、紙幣9が矢印A方向に搬送され、紙幣9の後端が第1のピンチローラ25から外れた状態(図1において符号9Aで示す位置)を、図示を省略したセンサによって検知されることにより、第1のモータ20の駆動が停止し、紙幣9の搬送が停止する。この符号9Aで示す位置は、紙幣識別装置2によって紙幣9の真贋が識別される識別位置であって、この識別位置に位置付けられた紙幣9Aの矢印A−B方向の両端のそれぞれは、搬送ローラ71の両端から矢印A方向の外側または矢印B方向の外側に位置している。このように、第1の紙幣搬送手段11によって第1の紙幣搬送路8内を搬送される紙幣9は、搬送ローラ71の周部に設けた溝80によって矢印A方向に案内される。このため、第1の紙幣搬送路8中を搬送される紙幣9は斜行が規制されるから、紙幣識別装置2によって誤識別されることなく真贋が識別されるとともに斜行による紙幣詰まりを防止することもできる。
紙幣識別装置2によって紙幣9の真贋が識別され、紙幣9が真札であると識別されると、電磁ソレノイド50に通電がなされる。電磁ソレノイド50に通電がなされることにより、揺動子51を介して第1の揺動レバー52は軸64Aを中心として図5中時計方向に回動するから、ホルダー43Aが、図8(B)に示すように軸45を中心として反時計方向に回動するため、第2のピンチローラ26が駆動ベルト24から離間する。
第1の揺動レバー52が回動することにより、同時に第2の揺動レバー54が伝達部材53を介して軸64Bを中心として時計方向に回動するから、ホルダー43Bが、図8(B)に示すように軸45を中心として反時計方向に回動するため、第3のピンチローラ27が駆動ベルト24から離間する。このように、1個の電磁ソレノイド50の駆動によって、伝達部材53を介して2個のピンチローラ26,27を駆動ベルト24に対して接離させるようにしたものである。したがって、紙幣搬送方向(矢印A−B方向)に離間した複数個(本実施例では2個)のピンチローラ26,27によって、紙幣9を矢印A方向に搬送することができる。このため、紙幣9のように搬送方向の寸法が大きく、かつ極めて剛性の小さい搬送物を斜行させずに安定した姿勢によって搬送することができるので、紙幣識別装置2での紙幣9の誤識別や紙幣詰まりを防止することができる。また、複数個のピンチローラ26,27を伝達部材53を介して1個の電磁ソレノイド50によって作動させることができるため、構造の簡素化を図ることができるとともに部品点数を削減できるから製造コストの低減を図ることができる。
ここで、電磁ソレノイド50に通電されることにより、図6(B)に示すように、揺動子51の被検知部59がセンサ61から外れ、ピンチローラ26,27が駆動ベルト24から離間したことをセンサ61によって検知すると、第2のモータ70が正方向に駆動する。この第2のモータ70の正方向への駆動により、搬送ローラ71が図9において反時計方向に回転を開始する。この回転により、搬送ローラ71の溝80内に臨んでいる紙幣9Aの下端部9aが、搬送ローラ71の回転に伴い搬送ローラ71の周部に添接するように折り曲げられ、図10に示すように、ピンチローラ72と搬送ローラ71とのそれぞれの周部に挟持される。したがって、さらに搬送ローラ71が回転することにより、紙幣9Aは、図11に示すように第1の紙幣搬送路8から第2の紙幣搬送路18内を矢印D方向に搬送され、図12に示すように紙幣収納部3に収納される。
紙幣9Aが紙幣収納部3に収納されたことを図示を省略したセンサが検知すると、第2のモータ70を逆方向に駆動する。この駆動により、搬送ローラ71が紙幣搬送方向と反対方向(図12中時計方向)へ回転し、搬送ローラ71が初期状態に位置する直前に第2のモータ70の駆動を停止し、搬送ローラ71の回転を停止させる。慣性によって搬送ローラ71がわずかに回転すると、板ばね87の自由端が、図9に示すように、逆回転規制車85の切欠き86に係合し、搬送ローラ71の回転を規制し、搬送ローラ71を初期位置で停止させる。
なお、本実施の形態においては、伝達部材53によって2個のピンチローラ26,27を駆動ベルト24から同時に接離させる構造としたが、必要に応じて3個以上のピンチローラを駆動ベルトに対して接離させる構造としてもよい。また、本実施の形態においては、第1の紙幣搬送手段11を構成するピンチローラ26,27を、第2の紙幣搬送手段12によって紙幣収納部3へ搬送する際に駆動ベルト24から離間させるようにしたが、搬送ローラ71と紙幣との摩擦力を増大させ、ピンチローラ72とによる紙幣に対する搬送力を大きくすることにより、必ずしもピンチローラ26,27を駆動ベルト24から離間させることなく、搬送ローラ71によって強制的に紙幣を紙幣収納部3に搬送するようにしてもよい。
本発明に係る紙幣搬送装置における第1ケースの正面図である。 図1におけるII-II 線断面図である。 図1における III矢視図である。 本発明に係る紙幣搬送装置における搬送ローラを示し、同図(A)は要部を拡大して示す正面図、同図(B)は側面図である。 本発明に係る紙幣搬送装置における第2ケースの正面図 図5におけるVI-VI 線断面図であって、同図(A)は電磁ソレノイドの非通電状態を示し、同図(B)は電磁ソレノイドの通電状態を示す。 図5におけるVII-VII 線断面図である。 図5におけるVIII-VIII 線断面図であって、同図(A)はピンチローラが駆動ベルトに対接している状態を示し、同図(B)はピンチローラが駆動ベルトから離間している状態を示す。 図1におけるIX-IX 線断面図であって、搬送ローラが初期位置に停止し搬送ローラの溝によって紙幣を案内している状態を示す。 図1におけるIX-IX 線断面図であって、搬送ローラとピンチローラとによって紙幣の下端部を挟持し搬送を開始した状態を示す。 図1におけるIX-IX 線断面図であって、搬送ローラとピンチローラとによって紙幣を搬送している状態を示す。 図1におけるIX-IX 線断面図であって、搬送ローラとピンチローラとによって紙幣を紙幣収納部へ搬送した状態を示す。
符号の説明
1…紙幣搬送装置、2…紙幣識別装置、3…紙幣収納部、8…第1の紙幣搬送路、9…紙幣、9A…真札、10…紙幣挿入口、11…第1の紙幣搬送手段、12…第2の紙幣搬送手段、18…第2の紙幣搬送路、20…第1のモータ、21…駆動ローラ、24…駆動ベルト、25,26,27,72…ピンチローラ、40…離間手段、41…駆動伝達手段、43A,43B…ホルダー、50…電磁ソレノイド、51…揺動子、52…第1の揺動レバー、53…伝達部材、54…第2の揺動レバー、70…第2のモータ、71…搬送ローラ、80…溝。

Claims (1)

  1. 紙幣を挿入する紙幣挿入口と、
    この紙幣挿入口から挿入された紙幣の真贋を識別する紙幣識別装置と、
    この紙幣識別装置まで前記紙幣挿入口から紙幣を搬送する第1の紙幣搬送手段と、
    この第1の紙幣搬送手段による搬送方向と直交する方向へ紙幣を搬送する第2の紙幣搬送手段と、
    この第2の紙幣搬送手段によって搬送された紙幣を収納する紙幣収納部とを備えた紙幣搬送装置において、
    前記第1の紙幣搬送手段を、この第1の紙幣搬送手段による紙幣の搬送方向に延在する駆動ベルトと、この駆動ベルトに対接し互いに第1の紙幣搬送手段による紙幣の搬送方向に離間する複数のピンチローラと、これらピンチローラのそれぞれを前記駆動ベルトから離間させる複数の離間手段とによって構成し、
    前記離間手段を駆動する1個の駆動手段と、この1個の駆動手段の駆動を前記各離間手段に伝達する伝達部材とを備えたことを特徴とする紙幣搬送装置。
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