JP2006272375A - サブマージアーク溶接用溶融型フラックス及びその製造方法 - Google Patents

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圭人 石▲崎▼
Shigeki Nishiyama
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Abstract

【課題】 耐ポックマーク性が優れ、溶接金属中の拡散性水素量を低減することができるサブマージアーク溶接用溶融型フラックス及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 フラックス組成を、全質量あたりのSi化合物の含有量をSi換算値で[T.Si](質量%)、Al化合物の含有量をAl換算値で[T.Al](質量%)、Mg化合物の含有量をMg換算値で[T.Mg](質量%)、Ti化合物の含有量をTi換算値で[T.Ti](質量%)としたとき、下記数式により与えられる[A]が16.0乃至32.0質量%であると共に、下記数式により与えられる[B]が1.8乃至10.0となるようにする。そして、このフラックスを製造する際は、原料の融液をガラス状に凝固させた後粉砕し、500℃以上で且つ結晶化温度以下の温度下で焼成する。
Figure 2006272375

【選択図】 なし

Description

本発明は、高張力鋼をサブマージアーク溶接する際に使用されるサブマージアーク溶接用溶融型フラックス及びその製造方法に関する。
高張力鋼は、圧力容器及び水圧鉄管等の種々の用途で使用されている。しかしながら、近時、このような高張力鋼の溶接構造物の大型化に伴い、薄板化による使用鋼材量の削減を可能にするため、溶接構造物の更なる高強度化及び高靱性化が進められている。また、その製造工程においても、工程数低減によるコストダウン及び作業効率の向上を目的として、溶接時の予熱時間の低減及び予熱フリー化が求められている。これらを実現するためには、溶接金属部の拡散性水素量を従来よりも低減することが有効である。
一般に、高張力鋼の溶接構造物を製造する場合は、サブマージアーク溶接が利用されている。その際使用される溶接用溶融型フラックスは、原料粉を溶解した融液を凝固させた後粉砕したガラス状の粉末であり、耐吸湿性が良好で、フラックス中に含まれる水分量がボンドフラックスよりも少ないという特徴がある。しかしながら、この溶融型フラックスにも、溶接構造物の更なる高強度化及び高靱性化を実現するための高塩基性化、及び溶接時の予熱時間の低減及び予熱フリー化を実現するための低水素化が求められている。
溶融型フラックスを低水素化する方法に関しては、従来から検討されており、例えば、550℃以上で且つ結晶化温度以下で焼成すること(特許文献1参照)、SiO、CaO、CaFの複合成分を含み、粉砕後に少なくとも1回、650℃以上の温度に15分間以上保持すること(特許文献2参照)等が提案されている。
特開昭53−73439号公報 特公平5−20196号公報
しかしながら、前述の従来の技術には以下に示す問題点がある。前述の特許文献1及び2では、フラックスの焼成温度を規定しているが、フラックスの焼成温度を特許文献1及び2で規定している範囲にしても、フラックス成分系によっては、ポックマークが発生して溶接作業性が劣化するという問題点がある。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、耐ポックマーク性が優れ、溶接金属中の拡散性水素量を低減することができるサブマージアーク溶接用溶融型フラックス及びその製造方法を提供することを目的とする。
本願第1発明に係るサブマージアーク溶接用溶融型フラックスは、フラックス全質量あたりのSi化合物の含有量をSi換算値で[T.Si](質量%)、Al化合物の含有量をAl換算値で[T.Al](質量%)、Mg化合物の含有量をMg換算値で[T.Mg](質量%)、Ti化合物の含有量をTi換算値で[T.Ti](質量%)としたとき、下記数式1により与えられる[A]が16.0乃至32.0質量%であると共に、下記数式2により与えられる[B]が1.8乃至10.0である組成を有し、原料の融液をガラス状に凝固させた後粉砕し、500℃以上で且つ結晶化温度以下の温度下で焼成されたものであることを特徴とする。
Figure 2006272375
Figure 2006272375
本発明においては、焼成温度を500℃以上で且つ結晶化温度以下としているため、溶接金属中の拡散性水素量を低減することができる。また、上記数式1により表されるフラックス中のSi化合物、Al化合物、Mg化合物及びTi化合物の総量[A]を16.0乃至32.0質量%とすると共に、上記数式2により表されるSi化合物及びAl化合物の含有量と、Mg化合物及びTi化合物の含有量との比[B]を1.8乃至10.0としているため、溶融スラグの融点及び粘度を適性化することができ、ポックマークの発生及びビード蛇行を防止することができる。
また、このフラックスは、[T.Si]:10.0乃至17.0質量%、[T.Al]:1.0乃至7.0質量%、[T.Mg]:2.0乃至9.0質量%及び[T.Ti]:3.0質量%以下とすることもできる。これにより、ポックマーク及びビード蛇行の発生を防止する効果を高めることができる。
更に、Ca化合物及び/又はBa化合物を含有し、フラックス全質量あたりのCa化合物の含有量をCa換算値で[T.Ca](質量%)、Ba化合物の含有量をBa換算値で[T.Ba](質量%)としたとき、[T.Ca]+[T.Ba]が11.0乃至40.0質量%であってもよい。これにより、ポックマーク及びビード蛇行を発生させずに、溶接金属の靱性を向上させることができる。
更にまた、このフラックスは、F化合物を含有していてもよく、その場合、フラックス全質量あたりのF化合物の含有量をF換算値で[T.F](質量%)としたとき、[T.F]を2.5乃至10.0質量%とすることができる。これにより、ポックマークを発生させずに、溶接金属中の拡散性水素量を低減する効果を高めることができる。
本願第2発明に係るサブマージアーク溶接用溶融型フラックスの製造方法は、原料の融液をガラス状に凝固させた後粉砕し、500℃以上で且つ結晶化温度以下の温度下で焼成することにより、フラックス全質量あたりのSi化合物の含有量をSi換算値で[T.Si](質量%)、Al化合物の含有量をAl換算値で[T.Al](質量%)、Mg化合物の含有量をMg換算値で[T.Mg](質量%)、Ti化合物の含有量をTi換算値で[T.Ti](質量%)としたとき、下記数式3により与えられる[A]が16.0乃至32.0質量%であると共に、下記数式4により与えられる[B]が1.8乃至10.0である組成のフラックスを得ることを特徴とする。
Figure 2006272375
Figure 2006272375
本発明においては、焼成温度を500℃以上で且つ結晶化温度以下とし、更に、上記数式3により表されるフラックス中のSi化合物、Al化合物、Mg化合物及びTi化合物の総量[A]を16.0乃至32.0質量%とすると共に、上記数式4により表されるSi化合物及びAl化合物の含有量と、Mg化合物及びTi化合物の含有量との比[B]を1.8乃至10.0としているため、溶接金属中の拡散性水素量を低減しても、ポックマークの発生及びビード蛇行が発生しにくい溶融型フラックスを得ることができる。
このサブマージアーク溶接用溶融型フラックスの製造方法では、前記フラックスの組成を、[T.Si]:10.0乃至17.0質量%、[T.Al]:1.0乃至7.0質量%、[T.Mg]:2.0乃至9.0質量%及び[T.Ti]:3.0質量%以下とすることもできる。
また、前記フラックスは、Ca化合物及び/又はBa化合物を含有し、フラックス全質量あたりのCa化合物の含有量をCa換算値で[T.Ca](質量%)、Ba化合物の含有量をBa換算値で[T.Ba](質量%)としたとき、[T.Ca]+[T.Ba]を11.0乃至40.0質量%としてもよい。
更に、前記フラックスは、F化合物を含有していてもよく、その場合、フラックス全質量あたりのF化合物の含有量をF換算値で[T.F](質量%)としたとき、[T.F]を2.5乃至10.0質量%とすることができる。
本発明によれば、焼成温度、フラックス中のSi化合物、Al化合物、Mg化合物及びTi化合物の総量、並びにSi化合物及びAl化合物の含有量と、Mg化合物及びTi化合物の含有量との比を規定しているため、耐ポックマーク性が優れ、溶接金属中の拡散性水素量を低減することができる。
以下、本発明の実施の形態に係るサブマージアーク溶接用溶融型フラックスについて、添付の図面を参照して具体的に説明する。本実施形態の溶融型フラックスは、原料の融液をガラス状に凝固させた後粉砕し、500℃以上で且つ結晶化温度以下の温度下で焼成することにより作製されたサブマージアーク溶接用溶融型フラックスである。
前述のように、フラックス粉末を500℃以上の温度で焼成することにより、溶接金属中の拡散性水素量を低減することができるが、焼成温度が結晶化温度を超えると、溶接金属中の拡散性水素量が増加するか又は低減効果が得られず、更に、ポックマークが多発する。このため、本実施形態の溶融型フラックスにおいては、500℃以上で且つ結晶化温度以下の温度下で焼成されている。フラックスの焼成温度が500℃未満の場合、溶接金属の拡散性水素量を低減する効果が十分に得られず、また、ポックマークが発生しやすくなる。一方、焼成温度が結晶化温度を超えると、フラックスが、耐吸湿性が良好なガラス質から耐湿性が低い結晶質へと変化し、これにより、フラックス中のCa、Ba及びF等の塩基性化合物が結晶化して水和物を生成しやすくなるため、溶接金属中の拡散性水素量を低減する効果が低下する。
なお、フラックスの結晶化温度は、その成分系により異なるが、示差熱分析により判断することができる。図1は横軸に温度をとり、縦軸に熱量をとって、フラックスの示差熱分析結果を示すグラフ図である。本実施形態の溶融型フラックスにおいては、図1に示す発熱ピークの立ち上がりの位置を結晶化温度としている。また、フラックスを焼成する際に、バッチ式焼成設備を使用する場合は、結晶化温度以上の雰囲気中に保持すると、フラックスは結晶化する。一方、回転式機キルン及びベルトコンベア式の焼成装置を使用する場合は、短時間であれば結晶化温度以上の雰囲気を通過しても、フラックスが結晶化しないことがあり、フラックスが結晶化していなければ、溶接金属中の拡散性水素量は増加しない。
フラックスの焼成温度を上記範囲とすることにより、溶接金属の低水素化を実現することはできるが、これだけでは、耐ポックマーク性の改善効果が不十分である。そこで、本発明者等は、焼成前後のフラックスを使用してサブマージアーク溶接を行い、その消費量を測定したところ、焼成後のフラックスの方が溶接時の消費量が少ないことが明らかになった。図1に示す示差熱分析の結果より、フラックス消費量低下の原因の1つとして、焼成後のフラックスは、焼成前のフラックスよりも吸熱量が多くなり、単位フラックス質量あたりのアークからの吸熱量が増加したためと考えられる。
溶接時には、溶接金属中のガスが溶融スラグに向かって浮上していくが、フラックスの消費量が少ないとスラグの厚さが薄くなり、溶接金属中のガスがスラグの上部に浮上しきれず、溶接金属とスラグとの界面に取り残されてポックマークが発生すると考えられる。このため、ポックマーク発生を抑制するためには、「ガス発生源となるフラックス中の水分量を少なくすること」、「ガス浮上を容易にするために溶融スラグの粘性を低くすること」、及び「溶融スラグの融点を低くしてガスが浮上可能な時間を確保すること」が有効である。
ここで、ガス発生源となるフラックス中の水分量を少なくすることは、前述の条件で焼成することにより実現することができる。また、「ガス浮上を容易にするために溶融スラグの粘性を低くすること」、及び「溶融スラグの融点を低くしてガスが浮上可能な時間を確保すること」に関して、溶融スラグの粘性及び融点を調節する場合に有効な成分としては、Si化合物、Al化合物、Mg化合物及びTi化合物が挙げられる。特に、Si化合物及びAl化合物は、溶融スラグの粘性に大きな影響を及ぼし、また、Mg化合物及びTi化合物は、溶融スラグの融点に大きな影響を及ぼす。
しかしながら、溶融スラグの粘性が低すぎると、溶融スラグが溶融金属を抑えるため、ビード形状を安定化することが難しくなり、ビード蛇行が発生しやすくなる。また、溶融スラグの融点が低すぎると、溶融スラグ量が増加すると共に、溶融スラグが凝固するまでに時間を要するため、溶融金属が安定せず、ビード形状が劣化する。即ち、溶融スラグの粘性及び融点の両方を低くすると、アーク熱により溶融するフラックスの量も増加し、耐ポックマーク性の改善には有効であるが、ビード形状が劣化してしまう。
そこで、本実施形態の溶融型フラックスにおいては、Si化合物、Al化合物、Mg化合物及びTi化合物の総量を規定すると共に、溶融スラグの粘性と融点とを適正化するため、溶融スラグの粘性に大きな影響を及ぼすSi化合物及びAl化合物の含有量と、溶融スラグの融点に大きな影響を及ぼすMg化合物及びTi化合物の含有量との比を規定している。具体的には、組成を、フラックス全質量あたりのSi化合物の含有量をSi換算値で[T.Si](質量%)、Al化合物の含有量をAl換算値で[T.Al](質量%)、Mg化合物の含有量をMg換算値で[T.Mg](質量%)、Ti化合物の含有量をTi換算値で[T.Ti](質量%)としたとき、下記数式5により与えられる[A]を16.0乃至32.0質量%とし、下記数式6により与えられる[B]を1.8乃至10.0としている。
Figure 2006272375
Figure 2006272375
以下、本実施形態の溶融型フラックスの成分組成における数値限定理由について説明する。
[A]:16.0乃至32.0質量%
Si化合物の換算含有量、Al化合物のAl換算含有量、Mg化合物のMg換算含有量及びTi化合物のTi換算含有量の総量、即ち、上記数式5により与えられる[A]が16.0質量%未満であると、溶融スラグの粘性及び融点が低くなりすぎてビード形状が蛇行する。一方、[A]が32.0質量%を超えると、粘性及び融点が高くなりすぎて、ポックマークが発生する。よって、本実施形態の溶融型フラックスにおいては、[A]を16.0乃至32.0質量%とする。
[B]:1.8乃至10.0
Si化合物のSi換算含有量及びAl化合物のAl換算含有量の総量と、Mg化合物のMg換算含有量及びTi化合物のTi換算含有量の総量との比、即ち、上記数式6により与えられる[B]が1.8未満であると、粘性と融点とのバランスが、融点を高める方に移動するため、発生ガスがスラグ中を浮上するための時間が十分に得られず、ポックマークが発生する。一方、[B]が10.0を超えると、粘性と融点とのバランスが粘性を高める方に移動するため、発生ガスがスラグ中を浮上しにくくなり、ポックマークが発生する。よって、本実施形態の溶融型フラックスにおいては、[B]を1.8乃至10.0とする。
また、本実施形態の溶融型フラックスにおいては、Si化合物のSi換算含有量[T.Si]を10.0乃至17.0質量%、Al化合物のAl換算含有量[T.Al]を1.0乃至7.0質量%、Mg化合物のMg換算含有量[T.Mg]を2.0乃至9.0質量%、及びTi化合物のTi換算含有量[T.Ti]を3.0質量%以下とすることが望ましい。
SiO等のSi化合物は、溶融フラックスの基本成分であり、スラグの粘性及び融点を調節する効果がある。しかしながら、Si化合物含有量、即ち、[T.Si]が10.0質量%未満の場合、スラグの粘性が不足し、ビード蛇行が発生しやすくなることがある。一方、[T.Si]が17.0質量%を超えると、スラグの粘性が高くなり、ポックマークが発生しやすくなる。よって、[T.Si]は10.0乃至17.0質量%とすることが好ましい。なお、[T.Si]は14.0質量%以下とすることがより好ましい。これにより、他の成分の調整範囲が広がり、溶接作業性が良好で且つ高塩基性のフラックスを設計しやすくなる。
Al及びAlF等のAl化合物は、Siと同様にスラグの粘性及び融点を調節する効果がある。しかしながら、そのAl換算含有量、即ち、[T.Al]が1.0質量%未満であると、スラグの粘性が不足し、ビード蛇行が発生しやすくなることがある。一方、[T.Al]が7.0質量%を超えると、スラグの粘性が高くなり、ポックマークが発生しやすくなる。よって、[T.Al]は、1.0乃至7.0質量%とすることが好ましい。
MgO及びMgF等のMg化合物もスラグの粘性及び融点を調節する効果がある。しかしながら、そのMg換算含有量、即ち、[T.Mg]が2.0質量%未満であると、スラグの融点が低くなり、ビード蛇行が生じやすくなることがある。一方、[T.Mg]が9.0質量%を超えると、スラグの融点が高くなり、ポックマークが発生しやすくなることがある。よって、[T.Mg]は、2.0乃至9.0質量%とすることが好ましい。
TiO等のTi化合物は、スラグの粘性及び融点を調節する効果があり、特に、融点付近で融点を急激に高める成分であるため、必ずしも添加する必要はないが、ビードの安定性及び靭性向上を目的に添加する場合がある。しかしながら、そのTi換算含有量、即ち、[T.Ti]が3.0質量%を超えると、スラグの融点が高くなり、ポックマークが発生しやすくなることがある。よって、[T.Ti]は、3.0質量%とすることが好ましい。
更に、本実施形態の溶融型フラックスにおいては、Ca化合物及び/又はBa化合物を含有していてもよく、その場合、フラックス全質量あたりのCa化合物の含有量をCa換算値で[T.Ca](質量%)、Ba化合物の含有量をBa換算値で[T.Ba](質量%)としたとき、[T.Ca]+[T.Ba]を11.0乃至40.0質量%とすることが好ましい。
CaO及びCaF等のCa化合物並びにBaO及びBaF等のBa化合物は、塩基性成分であり、靭性を向上させるために有効な成分であり、また、粘性及び融点を低下させる成分でもある。しかしながら、Ca化合物のCa換算含有量とBa化合物のBa換算含有量との和、即ち、[T.Ca]+[T.Ba]が11.0質量%未満の場合、スラグの粘性及び融点が高くなりすぎ、ポックマークが発生しやすくなることがある。一方、[T.Ca]+[T.Ba]が40.0質量%を超えると、スラグの粘性及び融点が低くなりすぎ、ビード蛇行が生じやすくなることがある。
更にまた、本実施形態の溶融型フラックスは、F化合物を含有していてもよく、その場合、フラックス全質量あたりのF化合物の含有量をF換算値で[T.F](質量%)としたとき、[T.F]が2.5乃至10.0質量%であることが好ましい。本実施形態の溶融型フラックスに添加されるF化合物としては、前述のCaF、BaF、AlF及びMgFに加えて、NaF、LiF及びKF等がある。このようなF化合物は、アーク熱により分解してガスを発生させるため、水素分圧が下がり、溶接金属の拡散性水素を低減する効果がある。しかしながら、そのF換算含有量、即ち、[T.F]が2.5質量%未満の場合、溶接金属中の拡散性水素量が高くなる傾向がある。一方、[T.F]が10.0質量%を超えると、発生ガス量が多くなりすぎるため、ポックマークが発生しやすくなることがある。
なお、本実施形態の溶融型フラックスにおけるその他の成分としては、ZrO、FeO、NaO、KO、B、Cr、V、P及びS等がある。
以下、本発明の実施例の効果について、本発明の範囲から外れる比較例と比較して説明する。先ず、原料の融液をガラス状に凝固させた後粉砕し、バッチ式の焼成炉を使用して下記表1に示す焼成温度で1時間焼成し、下記表1に示す組成の溶融型フラックスを作製した。なお、下記表1に示す残部は、NaO、KO、B、Cr、V、P及びS等のSi化合物、Al化合物、Mg化合物、Ti化合物、Ca化合物及びBa化合物以外の成分の量、並びにSi化合物、Al化合物、Mg化合物、Ti化合物、Ca化合物及びBa化合物に含まれる酸素の量である。また、下記表1には、示差熱分析により求めた各フラックスの結晶化温度を併せて示す。各フラックスの結晶化の判断は、発熱ピークが認められた場合を「結晶化していない」とし、発熱ピークが認められなかった場合を「結晶化した」とした。
Figure 2006272375
図2(a)は4電極溶接における電極配置を示す模式図であり、図2(b)はその際の開先形状を示す断面図である。次に、図2(b)に示すように、下記表2に示す成分組成(JIS規格 G3106 SM490A)で板厚が20mm、開先12の角度が70°である1対の供試鋼板11を、下記表3に示す組成のワイヤ(JIS規格 Z3351 YS−S6、直径4.0mm)並びに上記表1に示す組成のフラックスを使用し、下記表4、図2(a)に示す条件で、4電極サブマージアーク溶接法による両面1層溶接を行い、溶接作業性(ビード蛇行及びポックマーク)及び溶接金属中の拡散性水素量について評価した。なお、本実施例においては、前述の方法で溶接する前に、供試鋼板11の2nd側を、JIS規格 Z3312 YGW11のワイヤ(直径1.2mm)を使用し、電流を260A、電圧を32V、溶接速度を50cm/分とし、シールドガスはCOを使用して仮付溶接している。このため、得られた溶接継手の2nd側には、仮付溶接部13が形成されている。また、下記表3における「tr.」は検出限界以下であることを示す。
Figure 2006272375
Figure 2006272375
Figure 2006272375
以下、各項目の評価基準について説明する。なお、各供試鋼板の溶接長は1.5mとし、1st側及び2nd側のどちらか一方でも基準を満たさなかった場合は×とした。ビード蛇行については、溶接線の振れ幅が1.5mm以下の場合を◎、1.6乃至3.0mmの場合を○、3.0mm未満の場合を×とした。また、ポックマークについては、発生しなかった場合を◎、溶接長1mあたり1個以下の場合を○、溶接長1mあたり1個よりも多い場合を×とした。なお、ビード蛇行及びポックマークは、1st側及び2nd側のどちらかでも判断基準がクリアできなければ×とした。これらの評価結果を下記表5にまとめて示す。
Figure 2006272375
上記表5に示すように、本発明の実施例であるNo.1乃至28のフラックスは、溶接作業性が良好で、拡散性水素量も7ml/100g以下であった。一方、本発明の比較例であり、[A]が16.0質量%未満であるNo.29のフラックスは、ビード蛇行が生じた。また、[A]が32.0質量%を超えているNo.30のフラックスは、ポックマークが発生した。更に、[B]が1.8未満であるNo.31のフラックス及び[B]が10.0を超えているNo.32のフラックスでは、ポックマークが発生した。更にまた、焼成温度が500℃未満であるNo.33及びNo.35のフラックス、並びに焼成温度が結晶化温度を超えているNo.34及びNo.36のフラックスでは、拡散性水素量が7ml/100gを超えていた。
横軸に温度をとり、縦軸に熱量をとって、フラックスの示差熱分析結果を示すグラフ図である。 (a)は本発明の実施例における電極配置を示す図であり、(b)は開先形状を示す図である。
符号の説明
1;供試鋼板
2;開先
3;仮付溶接部

Claims (8)

  1. フラックス全質量あたりのSi化合物の含有量をSi換算値で[T.Si](質量%)、Al化合物の含有量をAl換算値で[T.Al](質量%)、Mg化合物の含有量をMg換算値で[T.Mg](質量%)、Ti化合物の含有量をTi換算値で[T.Ti](質量%)としたとき、下記数式により与えられる[A]が16.0乃至32.0質量%であると共に、下記数式により与えられる[B]が1.8乃至10.0である組成を有し、原料の融液をガラス状に凝固させた後粉砕し、500℃以上で且つ結晶化温度以下の温度下で焼成されたものであることを特徴とするサブマージアーク溶接用溶融型フラックス。
    Figure 2006272375
  2. [T.Si]:10.0乃至17.0質量%、[T.Al]:1.0乃至7.0質量%、[T.Mg]:2.0乃至9.0質量%及び[T.Ti]:3.0質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載のサブマージアーク溶接用溶融型フラックス。
  3. Ca化合物及び/又はBa化合物を含有し、フラックス全質量あたりのCa化合物の含有量をCa換算値で[T.Ca](質量%)、Ba化合物の含有量をBa換算値で[T.Ba](質量%)としたとき、[T.Ca]+[T.Ba]が11.0乃至40.0質量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載のサブマージアーク溶接用溶融型フラックス。
  4. F化合物を含有し、フラックス全質量あたりのF化合物の含有量をF換算値で[T.F](質量%)としたとき、[T.F]が2.5乃至10.0質量%であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のサブマージアーク溶接用溶融型フラックス。
  5. 原料の融液をガラス状に凝固させた後粉砕し、500℃以上で且つ結晶化温度以下の温度下で焼成することにより、フラックス全質量あたりのSi化合物の含有量をSi換算値で[T.Si](質量%)、Al化合物の含有量をAl換算値で[T.Al](質量%)、Mg化合物の含有量をMg換算値で[T.Mg](質量%)、Ti化合物の含有量をTi換算値で[T.Ti](質量%)としたとき、下記数式により与えられる[A]が16.0乃至32.0質量%であると共に、下記数式により与えられる[B]が1.8乃至10.0である組成のフラックスを得ることを特徴とするサブマージアーク溶接用溶融型フラックスの製造方法。
    Figure 2006272375
  6. 前記フラックスは、[T.Si]:10.0乃至17.0質量%、[T.Al]:1.0乃至7.0質量%、[T.Mg]:2.0乃至9.0質量%及び[T.Ti]:3.0質量%以下であることを特徴とする請求項5に記載のサブマージアーク溶接用溶融型フラックスの製造方法。
  7. 前記フラックスは、Ca化合物及び/又はBa化合物を含有し、フラックス全質量あたりのCa化合物の含有量をCa換算値で[T.Ca](質量%)、Ba化合物の含有量をBa換算値で[T.Ba](質量%)としたとき、[T.Ca]+[T.Ba]が11.0乃至40.0質量%であることを特徴とする請求項5又は6に記載のサブマージアーク溶接用溶融型フラックスの製造方法。
  8. 前記フラックスは、F化合物を含有し、フラックス全質量あたりのF化合物の含有量をF換算値で[T.F](質量%)としたとき、[T.F]が2.5乃至10.0質量%であることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載のサブマージアーク溶接用溶融型フラックスの製造方法。
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