JP2006269827A - 電気化学素子電極用組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】高容量と低内部抵抗を両立した電気化学素子を与える電気化学素子電極用組成物、該電極用組成物を用いて製造される電気化学素子用電極およびその製造方法、ならびに静電容量が大きく、内部抵抗の小さい電気二重層キャパシタを提供する。
【解決手段】ポリマー(A)、セルロース誘導体、および電極活物質を含んでなる電気化学素子電極用組成物において、前記ポリマー(A)のガラス転移温度(Tg)が50℃以下であり、さらに硝酸塩を含有することを特徴とする電気化学素子電極用組成物を用いる。該電気化学素子電極用組成物を、集電体に塗布し、100〜250℃で加熱処理する工程を有する製造方法により電気化学素子用電極を製造する。
【選択図】なし
【解決手段】ポリマー(A)、セルロース誘導体、および電極活物質を含んでなる電気化学素子電極用組成物において、前記ポリマー(A)のガラス転移温度(Tg)が50℃以下であり、さらに硝酸塩を含有することを特徴とする電気化学素子電極用組成物を用いる。該電気化学素子電極用組成物を、集電体に塗布し、100〜250℃で加熱処理する工程を有する製造方法により電気化学素子用電極を製造する。
【選択図】なし
Description
本発明は一次電池、二次電池およびキャパシタなどのエネルギーの貯蔵や変換を行うことが出来る電気化学素子(以下、単に「電気化学素子」という。)の電極の製造に好適な電気化学素子電極用組成物に関する。また本発明は該電極用組成物を用いて製造される電気化学素子用電極およびその製造方法、ならびに該電極を有する電気二重層キャパシタに関する。
近年、電子機器の発展に伴い、小型で軽量、且つエネルギー密度が高く、更に繰り返し充放電が可能な電気化学素子の開発が行われている。中でも、エネルギー密度の高いリチウムイオン二次電池は、その特性を活かして携帯電話やノート型パーソナルコンピュータなどの分野で急速に需要が拡大している。また、寿命が長く、大電流が得られる電気二重層キャパシタは、メモリバックアップ電源として近年急速に需要が伸びている。また、電気二重層キャパシタは電気自動車用電源等の大容量を必要とされる用途への適用も注目されている。さらに、金属酸化物や導電性高分子の表面の酸化還元反応を利用するレドックスキャパシタもその容量の大きさから注目を集めるようになってきている。
これら電気化学素子に用いられる電極は、一般に、塗料状の電極用組成物を集電体に塗布・乾燥するか、またはシート状の電極組成物を集電体に導電性接着剤を用いて接合させ製造される。塗料状の電極用組成物は、電極活物質と、バインダーおよび/または増粘剤として作用するポリマーと、必要に応じ添加される導電付与材とを、水または有機溶媒に混合分散させて得られる。特に、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体は、バインダーとして作用するとともに、増粘剤としても作用し、電極用組成物を集電体に均一に塗布するために好適な粘度に調整する働きを有するため、電極用組成物の材料として広範に用いられている。
例えば、特定の組成、粒子径およびガラス転移点を有する共重合体をバインダーとして含み、カルボキシメチルセルロースを増粘剤として含む電極用組成物を用いて電極を製造することが提案されている(特許文献1参照)。
また、ブタジエン共重合体およびカルボキシメチルセルロースをバインダーとして含む電極用組成物を用いて電極を製造することも提案されている(特許文献2参照)。電極を製造する際は、電極層を均一化し、かつ電極密度を高めるためにプレスを行うのが通常であるが、本文献によれば、このような電極用組成物を用いることで、加圧により電極密度を向上できるとされている。
しかしながら、本発明者の検討によると、これらの文献に記載の電極用組成物を用いて電極を製造しても、所望の密度を有する電極層を得ることは困難であった。また、電極層の密度が高くなっても得られる電気化学素子は容量が小さく、また内部抵抗が高くなる傾向があった。これは、セルロース誘導体を用いると電極組成物の塗布は容易になるが、乾燥後に、電極層の柔軟性が低下するため、プレスしても電極層中で各成分が均一に充填されない場合があること、およびセルロース誘導体は一般に不導体であるため、プレスにより電極層中でセルロース誘導体が占める体積が相対的に増えることで、導電性が低下するためと推測される。
そこで本発明は、高容量と低内部抵抗を両立した電気化学素子を与える電気化学素子電極用組成物を提供することを目的とする。また本発明は、該電極用組成物を用いて製造される電気化学素子用電極およびその製造方法、ならびに静電容量が大きく、内部抵抗の小さい電気二重層キャパシタを提供することを目的とする。
本発明者は鋭意検討した結果、バインダーとなるポリマー、セルロース誘導体、および電極活物質を含んでなる電気化学素子電極用組成物において、バインダーとして特定の範囲のガラス転移温度を有するポリマーを用い、さらに硝酸塩を含有せしめることで、上記の目的を達成できることを見出し、この知見に基づき本発明を完成させるに至った。
かくして本発明の第一によれば、ポリマー(A)、セルロース誘導体、および電極活物質を含んでなる電気化学素子電極用組成物において、前記ポリマー(A)のガラス転移温度(Tg)が50℃以下であり、さらに硝酸塩を含有することを特徴とする電気化学素子電極用組成物が提供される。
前記ポリマー(A)はアクリレート系エラストマーであることが好ましい。
また、前記セルロース誘導体はカルボキシメチルセルロースの塩であることが好ましい。
前記硝酸塩は、硝酸アンモニウムであることが好ましい。
前記ポリマー(A)はアクリレート系エラストマーであることが好ましい。
また、前記セルロース誘導体はカルボキシメチルセルロースの塩であることが好ましい。
前記硝酸塩は、硝酸アンモニウムであることが好ましい。
本発明の第二によれば、前記の電気化学素子電極用組成物を、集電体に塗布し、100〜250℃で加熱処理する工程を有する電気化学素子用電極の製造方法が提供される。前記加熱処理は、遠赤外線放射によることが好ましい。
本発明の第三によれば、前記の製造方法により得られる電気化学素子用電極が提供される。
該電気化学素子用電極は、電気二重層キャパシタ用であることが好ましい。
本発明の第四によれば、前記の電気化学素子用電極を有する電気二重層キャパシタが提供される。
本発明の第三によれば、前記の製造方法により得られる電気化学素子用電極が提供される。
該電気化学素子用電極は、電気二重層キャパシタ用であることが好ましい。
本発明の第四によれば、前記の電気化学素子用電極を有する電気二重層キャパシタが提供される。
本発明の電気化学素子電極用組成物を用いて電極を製造すると、電極密度が大きく、かつ結着力が強い電極が得られる。該電極はエネルギーの貯蔵や変換を行うことが出来る電気化学素子に用いられる。中でも、静電容量が大きくかつ内部抵抗が小さい電気二重層キャパシタを得ることができるので、特に電気二重層キャパシタ用の電極として好適である。
1)電気化学素子電極用組成物
本発明の電気化学素子電極用組成物(以下、単に「電極用組成物」とも言う。)は、ポリマー(A)、セルロース誘導体、および電極活物質を含んでなる電気化学素子電極用組成物であって、前記ポリマー(A)のガラス転移温度(Tg)が50℃以下であり、さらに硝酸塩を含有することを特徴とする。
本発明の電気化学素子電極用組成物(以下、単に「電極用組成物」とも言う。)は、ポリマー(A)、セルロース誘導体、および電極活物質を含んでなる電気化学素子電極用組成物であって、前記ポリマー(A)のガラス転移温度(Tg)が50℃以下であり、さらに硝酸塩を含有することを特徴とする。
本発明で用いるポリマー(A)のTgは、50℃以下、好ましくは−100〜0℃である。ポリマー(A)のTgがこの範囲であると、少量の使用で結着性に優れ、また、電極形成時にプレスにより電極密度を高めることが容易である。
ポリマー(A)はTgがこの範囲のポリマーであれば特に限定されず、例えば、共役ジエン、不飽和カルボン酸エステル、不飽和カルボン酸、芳香族ビニル化合物、α−オレフィン、およびα,β−不飽和ニトリル化合物などの単量体の単独重合体または共重合体が挙げられる。また、ポリマー(A)はこれらの単量体と、非共役の炭素−炭素二重結合を複数有する単量体とを共重合させて架橋ポリマーとしたものであってもよい。中でも、ポリマー(A)としては、ブタジエンおよびイソプレンなどの共役ジエンを重合して得られる単量体単位を通常30重量%以上、好ましくは40重量%以上含有するジエン系エラストマー;アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルを重合して得られる単量体単位を通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上含有するアクリレート系エラストマー;などが好ましく、耐熱性が高く、かつ得られる電気化学素子の内部抵抗を小さくできるとの観点から、アクリレート系エラストマーがより好ましい。
前記ジエン系エラストマーとしては、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、カルボキシ変性されていてもよいスチレン・ブタジエン共重合体、およびアクリロニトリル・ブタジエン共重合体ならびにこれらの水素化物などが挙げられる。
前記アクリレート系エラストマーとしては、例えば、アクリル酸2−エチルヘキシル・メタクリル酸・アクリロニトリル共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル・メタクリル酸・メタクリロニトリル共重合体、アクリル酸ブチル・アクリロニトリル共重合体、アクリル酸ブチル・アクリル酸共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル・スチレン・メタクリル酸共重合体、およびアクリル酸ブチル・メタクリル酸メチル・メタクリル酸共重合体などが挙げられる。
前記アクリレート系エラストマーとしては、例えば、アクリル酸2−エチルヘキシル・メタクリル酸・アクリロニトリル共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル・メタクリル酸・メタクリロニトリル共重合体、アクリル酸ブチル・アクリロニトリル共重合体、アクリル酸ブチル・アクリル酸共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル・スチレン・メタクリル酸共重合体、およびアクリル酸ブチル・メタクリル酸メチル・メタクリル酸共重合体などが挙げられる。
また、ポリマー(A)として、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ビニルアルコールと不飽和カルボン酸またはその塩もしくはその無水物との共重合体などのポリビニルアルコール類も用いることができる。
ポリマー(A)の使用量は、本発明の電極用組成物を用いて製造される電気化学素子の種類に応じ適宜選択されるが、後述の電極活物質100重量部に対し、通常0.1〜20重量部である。とりわけ、電気二重層キャパシタに用いる場合のポリマー(A)の使用量は、電極活物質100重量部に対し、好ましくは0.2〜5重量部、より好ましくは0.5〜3重量部である。また、リチウムイオン二次電池の正極に用いる場合のポリマー(A)の使用量は、電極活物質100重量部に対し、好ましくは0.5〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部である。
本発明で用いられるセルロース誘導体は、セルロースの水酸基の少なくとも一部をエーテル化またはエステル化した化合物であり、水溶性のものが好ましい。本発明で用いられるセルロース誘導体は、通常、ガラス転移点を有さない。
具体的には、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。また、これらの塩も用いることができる。塩としては、アンモニウム塩およびアルカリ金属塩が挙げられる。中でも、カルボキシメチルセルロースの塩が好ましく、カルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩が特に好ましい。
具体的には、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。また、これらの塩も用いることができる。塩としては、アンモニウム塩およびアルカリ金属塩が挙げられる。中でも、カルボキシメチルセルロースの塩が好ましく、カルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩が特に好ましい。
カルボキシメチルセルロースの塩のエーテル化度は、好ましくは0.5〜2、より好ましくは0.5〜1.5である。なお、ここでエーテル化度とは、セルロースのグルコース単位あたりに3個含まれる水酸基が、平均で何個エーテル化されているかを表す値である。エーテル化度がこの範囲であると、電気化学素子電極用組成物の安定性が高く、固形分の沈降や凝集が生じにくい。また、カルボキシメチルセルロースの塩の、1重量%水溶液の粘度は、好ましくは10〜10,000mPa・s、より好ましくは10〜6,000mPa・sである。1重量%水溶液の粘度がこの範囲であると,固形分濃度が高く、流動性の良い電気化学素子電極用組成物を得ることができる。
セルロース誘導体を用いることにより、電極用組成物の塗工性や流動性が向上する。セルロース誘導体の使用量は、本発明の電極用組成物を用いて製造される電気化学素子の種類に応じ適宜選択されるが、電極活物質に対して通常0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部である。
本発明で用いる硝酸塩としてはナトリウム塩、カリウム塩、アルミニウム塩、およびマグネシウム塩などの金属塩、ならびにアンモニウム塩などが挙げられる。中でも、加熱処理により揮発し、電極製造時に除去できるのでアンモニウム塩、すなわち硝酸アンモニウムが好ましい。
硝酸塩は、一種単独で、または二種以上を併用して用いることができる。硝酸塩の使用量は、セルロース誘導体100重量部に対して通常0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜1重量部である。
硝酸塩は、一種単独で、または二種以上を併用して用いることができる。硝酸塩の使用量は、セルロース誘導体100重量部に対して通常0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜1重量部である。
本発明で用いる電極活物質は、本発明の電極用組成物を用いて製造される電極の種類に応じ適宜選択される。例えば、電気二重層キャパシタの電極に用いられる電極活物質は、電気二重層を形成し得る細孔を有する炭素の同素体であり、その比表面積は30m2/g以上、好ましくは500〜5,000m2/g、より好ましくは1,000〜3,000m2/gである。このような炭素の同素体の具体例としては活性炭、ポリアセン、カーボンウィスカ及びグラファイト等が挙げられ、活性炭が好ましい。これらの炭素の同素体は粉末状または繊維状のものが好ましい。活性炭としては、フェノール系、レーヨン系、アクリル系、ピッチ系、ヤシガラ系、またはハードウッド(メイプルウッド)系等の活性炭が挙げられる。また、黒鉛類似の微結晶炭素を有しその微結晶炭素の相間距離が拡大された非多孔性炭素も電極活物質として用いることができる。このような非多孔性炭素は、多層グラファイト構造の微結晶が発達した易黒鉛化炭を700〜850℃で乾留し、次いで苛性アルカリと共に800〜900℃で熱処理し、さらに必要に応じ加熱水蒸気により残存アルカリ成分を除くことで得られる。電極活物質の粒子径は好ましくは0.1〜100μm、より好ましくは1〜20μm、さらに好ましくは3〜8μmであり、このような範囲であるとキャパシタ用電極の薄膜化が容易で、静電容量も高く、充放電時の短絡が避けられ、高温保存特性が優れるので好ましい。
また、レドックスキャパシタの電極に使用される活物質としては、RuO2、などの金属酸化物が挙げられる。
また、レドックスキャパシタの電極に使用される活物質としては、RuO2、などの金属酸化物が挙げられる。
リチウムイオン二次電池の正極用の電極活物質としては、LiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiMn2O4、LiFePO4、LiFeVO4などのリチウム含有複合金属酸化物;TiS2、TiS3、非晶質MoS3などの遷移金属硫化物;Cu2V2O3、非晶質V2O−P2O5、MoO3、V2O5、V6O13などの遷移金属酸化物;が例示される。さらに、ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレンなどの導電性高分子を用いることもできる。電気伝導性の乏しい鉄含有酸化物は炭素源となる物質の存在下に還元焼成することにより、炭素を含有する電極活物質として用いてもよい。
また、リチウムイオン二次電池の負極用の電極活物質としては、例えば、アモルファスカーボン、グラファイト、天然黒鉛、メゾカーボンマイクロビーズ(MCMB)、およびピッチ系炭素繊維などの炭素質材料;ポリアセン等の導電性高分子;などが挙げられる。
本発明の電極用組成物は、導電付与材を含有することが好ましい。導電付与材としては、アセチレンブラックおよびケッチェンブラックなどのカーボンブラック;気相成長カーボン繊維;カーボンナノチューブ;等の導電性カーボンを使用することができる。導電付与材を用いることにより、電極活物質同士の電気的接触を向上させることができ、リチウムイオン二次電池に用いる場合に放電レート特性を改善したり、電気二重層キャパシタに用いる場合の内部抵抗を低減し、かつ容量密度を高くすることができる。導電付与材は、機械的改質法により電極活物質の表面に付着させて用いてもよい。導電付与材の使用量は、電極活物質100重量部に対して通常0〜20重量部、好ましくは1〜10重量部である。
本発明の電極用組成物は、本発明の効果を損なわない範囲でポリマー(A)およびセルロース誘導体以外のポリマーを含有していてもよい。具体的には、アクリロニトリルやメタクリロニトリルなどのα,β−エチレン性不飽和ニトリル化合物の単独重合体;α,β−エチレン性不飽和ニトリル化合物およびそれと共重合可能な単量体との共重合体樹脂;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリペンタフルオロプロピレンのようなフッ素樹脂;ポリアクリル酸ナトリウム、変性ポリアクリル酸などのポリカルボン酸類;酸化スターチ;リン酸スターチ;カゼイン;各種変性デンプン;などが挙げられる。これらのポリマーの含有量は、ポリマー(A)に対し、好ましくは50重量%以下、より好ましくは20重量%以下である。
本発明の電極用組成物は、さらに水を含んでいてもよく、上記の各成分が水に溶解または分散されたスラリー状であることが好ましい。本発明の電極用組成物をスラリー状で用いる場合の固形分濃度は、通常20〜70重量%、好ましくは30〜50重量%である。
本発明のスラリー状の電極用組成物は、水および前記の各成分を、混合機を用いて混合して製造できる。混合機としては、ボールミル、サンドミル、顔料分散機、擂潰機、超音波分散機、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、およびホバートミキサーなどを用いることができる。また、電極活物質と導電性付与材とを擂潰機、プラネタリーミキサー、ヘンシェルミキサー、およびオムニミキサーなどの混合機を用いて先ず混合し、次いでバインダー組成物を添加して均一に混合する方法も好ましい。この方法を採ることにより、容易に均一な電極用組成物を得ることができる。
本発明の電極用組成物を用いて、湿式成形または乾式成形により集電体上に電極層を形成し、電気化学素子用電極を得ることができる。湿式成形は、具体的には、前記のスラリー状の電極用組成物を集電体に塗布し、乾燥して集電体上に電極層を形成する方法である。また、乾式成形は、前記の湿式成形に対する概念であり、少なくとも本発明のバインダーと電極活物質とを混合して混合物を得る工程と、得られた混合物をシート状の電極層に成形する工程とを含む。乾式成形において、前記混合物は少量の水または有機溶媒を成形助剤として含んでいてもよいが、成形する工程での該混合物の固形分濃度は、通常70重量%超、好ましくは80重量%以上である。乾式成形の方法としては、具体的には、押出し成形法、ロール圧延法、粉体成形法、加圧成形法などが挙げられる。
2)電気化学素子用電極の製造方法
本発明の電気化学素子用電極の製造方法は、上記本発明の電極用組成物を、集電体に塗布し、100〜300℃で加熱処理する工程を有する。
集電体は、導電性を有しかつ電気化学的に耐久性のある材料であれば特に制限されないが、耐熱性を有するとの観点から、例えば、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、ステンレス、チタン、タンタル、金、白金などの金属材料が好ましい。中でも、リチウムイオン二次電池の正極用としてはアルミニウムが特に好ましく、負極用としては銅が特に好ましい。また、電気二重層キャパシタの電極用としてはアルミニウムおよび白金が特に好ましい。集電体の形状は特に制限されないが、厚さ0.001〜0.5mm程度のシート状のものが好ましい。
本発明の電気化学素子用電極の製造方法は、上記本発明の電極用組成物を、集電体に塗布し、100〜300℃で加熱処理する工程を有する。
集電体は、導電性を有しかつ電気化学的に耐久性のある材料であれば特に制限されないが、耐熱性を有するとの観点から、例えば、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、ステンレス、チタン、タンタル、金、白金などの金属材料が好ましい。中でも、リチウムイオン二次電池の正極用としてはアルミニウムが特に好ましく、負極用としては銅が特に好ましい。また、電気二重層キャパシタの電極用としてはアルミニウムおよび白金が特に好ましい。集電体の形状は特に制限されないが、厚さ0.001〜0.5mm程度のシート状のものが好ましい。
電極用組成物の集電体への塗布方法は特に制限されない。例えば、ドクターブレード法、ディップ法、リバースロール法、ダイレクトロール法、グラビア法、エクストルージョン法、ハケ塗り法などの方法が挙げられる。スラリー状の電極用組成物の粘度は、塗工機の種類や塗工ラインの形状によっても異なるが、通常100〜100,000mPa・s、好ましくは、1,000〜50,000mPa・s、より好ましくは5,000〜20,000mPa・sである。
電極用組成物の塗布量も特に制限されないが、加熱処理後に形成される電極層の厚さが、通常、0.005〜5mm、好ましくは0.01〜2mmになる量が一般的である。
電極用組成物の塗布量も特に制限されないが、加熱処理後に形成される電極層の厚さが、通常、0.005〜5mm、好ましくは0.01〜2mmになる量が一般的である。
電極用組成物を集電体に塗布後、加熱処理を行う。加熱処理の温度は、100〜300℃、好ましくは120〜250℃である。加熱処理の時間は、通常10分〜100時間、好ましくは20分〜20時間である。加熱処理により、電極中の水性媒体を完全に除去することができるが、加熱処理に先立ち、100℃未満で乾燥を行ってもよい。乾燥方法としては例えば温風、熱風、低湿風による乾燥、真空乾燥、(遠)赤外線や電子線などの照射による乾燥法が挙げられる。中でも、遠赤外線の照射による乾燥法が好ましい。
また、本発明の電極用組成物は、硝酸塩を含有していることで、加熱処理によりセルロース誘導体の少なくとも一部が分解すると推測される。セルロース誘導体が分解することにより、得られる電極の内部抵抗が小さくなり、電極密度の高密度化が可能になる。
本発明の電気化学素子用電極の製造方法においては、プレスを行うことが好ましい。プレスは、加熱処理の前に行ってもよいし、加熱処理の後でもよい。プレスを行うことにより、表面が平滑で均一な電極を得ることができる。また、加熱処理後にプレスを行うと、電極密度を容易に高めることができるので好ましい。プレス方法は、金型プレスやロールプレスなどの方法が挙げられる。プレス温度は特に限定されず、加熱してプレスしてもよいが、通常は室温でよい。
3)電気化学素子用電極
本発明の電気化学素子用電極は、上記本発明の電気化学素子用電極の製造方法により得られるものである。本発明の電気化学素子用電極は、好ましくは電気二重層キャパシタ用電極またはリチウムイオン二次電池用電極として用いられる。
本発明の電気化学素子用電極は、上記本発明の電気化学素子用電極の製造方法により得られるものである。本発明の電気化学素子用電極は、好ましくは電気二重層キャパシタ用電極またはリチウムイオン二次電池用電極として用いられる。
4)電気二重層キャパシタ
本発明の電気二重層キャパシタは、上記本発明の電気二重層キャパシタ用電極を有する。電気二重層キャパシタは、上記の電極や電解液、セパレータ等の部品を用いて、常法に従って製造することができる。具体的には、例えば、セパレータを介して二枚の電極を重ね合わせ、これをキャパシタ形状に応じて巻く、折るなどして容器に入れ、容器に電解液を注入して封口して製造できる。
本発明の電気二重層キャパシタは、上記本発明の電気二重層キャパシタ用電極を有する。電気二重層キャパシタは、上記の電極や電解液、セパレータ等の部品を用いて、常法に従って製造することができる。具体的には、例えば、セパレータを介して二枚の電極を重ね合わせ、これをキャパシタ形状に応じて巻く、折るなどして容器に入れ、容器に電解液を注入して封口して製造できる。
電解液は、特に限定されないが、電解質を有機溶媒に溶解した非水電解液が好ましい。電解質としては、従来より公知のものがいずれも使用でき、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート、トリエチルモノメチルアンモニウムテトラフルオロボレート、およびテトラエチルアンモニウムヘキサフルオロフォスフェートなどが挙げられる。
これらの電解質を溶解させる溶媒(電解液溶媒)も、一般的に電解液溶媒として用いられるものであれば特に限定されない。具体的には、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネートおよびブチレンカーボネートなどのカーボネート類;γ−ブチロラクトンなどのラクトン類;スルホラン類;アセトニトリルなどのニトリル類;が挙げられ、これらは単独または二種以上の混合溶媒として使用することができる。中でも、耐電圧が高いのでカーボネート類が好ましい。電解液の濃度は通常0.5モル/リットル以上、好ましくは0.8モル/リットル以上である。
また、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートなどのイオン性液体も電解液として用いることができる。
また、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートなどのイオン性液体も電解液として用いることができる。
セパレータとしては、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィン製の微孔膜または不織布;一般に電解コンデンサ紙と呼ばれるパルプを主原料とする多孔質膜;など公知のものを用いることができる。また、無機セラミック粉末と結着剤とを溶剤に分散させ、電極層上に塗布、乾燥してセパレータを形成してもよい。セパレータに代えて固体電解質あるいはゲル電解質を用いてもよい。また、容器等の他の材料については通常の電気二重層キャパシタに用いられるものをいずれも使用できる。
以下に、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本実施例における部および%は、特に断りがない限り重量基準である。
実施例および比較例中の試験および評価は以下の方法で行った。
実施例および比較例中の試験および評価は以下の方法で行った。
(1)ガラス転移温度(Tg)
ポリマー(A)として用いた重合体のTgは、示差走査型熱量計(DSC)を用いて毎分5℃で昇温して測定した。
(2)電極密度
電極を5cm×5cmに切り出してその重量および厚さを測定し、集電体の重量および厚さをそれぞれ差し引いて算出される電極層の密度(g/cm3)として求めた。
ポリマー(A)として用いた重合体のTgは、示差走査型熱量計(DSC)を用いて毎分5℃で昇温して測定した。
(2)電極密度
電極を5cm×5cmに切り出してその重量および厚さを測定し、集電体の重量および厚さをそれぞれ差し引いて算出される電極層の密度(g/cm3)として求めた。
(3)電極のピール強度
電極を塗布方向が長辺となるようにして長さ100mm、幅25mmの長方形に切り出して試験片とし、電極層面を上にして固定する。試験片の電極層表面にセロハンテープ(JIS Z1522に規定されるもの)を貼り付けた後、セロハンテープの一端を垂直方向に引張り速度50mm/分で引張って剥がしたときの応力を測定した。測定を3回行い、その平均値を求めてこれをピール強度とした。ピール強度が大きいほど電極層の集電体への結着力が大きいことを示す。
電極を塗布方向が長辺となるようにして長さ100mm、幅25mmの長方形に切り出して試験片とし、電極層面を上にして固定する。試験片の電極層表面にセロハンテープ(JIS Z1522に規定されるもの)を貼り付けた後、セロハンテープの一端を垂直方向に引張り速度50mm/分で引張って剥がしたときの応力を測定した。測定を3回行い、その平均値を求めてこれをピール強度とした。ピール強度が大きいほど電極層の集電体への結着力が大きいことを示す。
(4)電気二重層キャパシタの静電容量および内部抵抗
電気二重層キャパシタについて、25℃において、10mAの定電流で2.7Vまで10分間充電を行い、その後0Vまで、1mAの一定電流で放電を行った。得られた充放電曲線より静電容量を求め、電極の重量から集電体の重量を引いて得られる電極層の重量で除して、電極層の単位重量あたりの静電容量を求めた。また、内部抵抗は、充放電曲線より社団法人電子情報技術産業協会が定める規格RC−2377の計算方法に従って算出した。
電気二重層キャパシタについて、25℃において、10mAの定電流で2.7Vまで10分間充電を行い、その後0Vまで、1mAの一定電流で放電を行った。得られた充放電曲線より静電容量を求め、電極の重量から集電体の重量を引いて得られる電極層の重量で除して、電極層の単位重量あたりの静電容量を求めた。また、内部抵抗は、充放電曲線より社団法人電子情報技術産業協会が定める規格RC−2377の計算方法に従って算出した。
実施例1
エーテル化度が0.6で1%水溶液の粘度が30mPa・sであるカルボキシメチルセルロースアンモニウム塩10部をイオン交換水490部に溶解し、ここに硝酸アンモニウム0.02部および導電性付与材としてアセチレンブラック(デンカブラック粉状:電気化学工業社製)50部を添加し、プラネタリーミキサーを用いて混合分散して固形分濃度10.9%の導電性付与材分散液を得た。
エーテル化度が0.6で1%水溶液の粘度が30mPa・sであるカルボキシメチルセルロースアンモニウム塩10部をイオン交換水490部に溶解し、ここに硝酸アンモニウム0.02部および導電性付与材としてアセチレンブラック(デンカブラック粉状:電気化学工業社製)50部を添加し、プラネタリーミキサーを用いて混合分散して固形分濃度10.9%の導電性付与材分散液を得た。
得られた導電性付与材分散液55部、電極活物質として平均粒径5μmで比表面積が2000m2/gの活性炭粉末100部、アクリレート系エラストマーの40%水分散液5部およびエーテル化度が0.6で1%水溶液の粘度が900mPa・sであるカルボキシメチルセルロースアンモニウム塩1部に適当量の水を加え、プラネタリーミキサーを用いて混合分散してスラリー状の電極用組成物を得た。なお、アクリレート系エラストマーとしては、アクリル酸2−エチルヘキシル85部、スチレン12部およびメタクリル酸3部を乳化重合して得られる、Tgが−40℃の共重合体を用いた。
得られた電極用組成物を厚さ20μmのアルミニウム箔にドクターブレードを用いて塗布し、60℃で20分乾燥し、次いで120℃で20分加熱処理した後、ロールプレスを行い、さらに150℃で6時間減圧下に加熱処理して厚さ120μmの電気二重層キャパシタ用電極を得た。得られた電極の電極密度およびピール強度を表1に示す。
上記で得られた電極を、直径12mmの円形に切り抜いた。この2枚の電極の電極層面を対向させ、直径16mm、厚さ35μmの円形レーヨン系多孔膜からなるセパレータを挟んだ。これをステンレス鋼製スペーサと共にステンレス鋼製のコイン型外装容器(直径20mm、高さ1.8mm、ステンレス鋼厚さ0.25mm)内に収納し、空気が残らないように電解液を含浸させた後に密閉して電気二重層キャパシタを製造した。なお、電解液としては、トリエチルモノメチルアンモニウムテトラフルオロボレートをプロピレンカーボネートに1.8モル/リットルの濃度で溶解させた溶液を用いた。また、加熱処理後の電極の保管およびキャパシタの組み立ては、露点温度−60℃のドライルームで行った。得られた電気二重層キャパシタの静電容量および内部抵抗を表1に示す。
実施例2
実施例1で得られた導電性付与材分散液55部、電極活物質として高純度活性炭粉末100部、アクリレート系エラストマーの40%水分散液5部およびエーテル化度が0.6で1%水溶液の粘度が900mPa・sであるカルボキシメチルセルロースアンモニウム塩0.5部に適当量の水を加え、プラネタリーミキサーを用いて混合分散してスラリー状の電極用組成物を得た。なお、活性炭粉末およびアクリレート系エラストマーは、実施例1と同じものを用いた。得られた電極用組成物を用いて実施例1と同様にして電気二重層キャパシタ用電極および電気二重層キャパシタを得た。得られた電極および電気二重層キャパシタについて、各特性を測定した。結果を表1に示す。
実施例1で得られた導電性付与材分散液55部、電極活物質として高純度活性炭粉末100部、アクリレート系エラストマーの40%水分散液5部およびエーテル化度が0.6で1%水溶液の粘度が900mPa・sであるカルボキシメチルセルロースアンモニウム塩0.5部に適当量の水を加え、プラネタリーミキサーを用いて混合分散してスラリー状の電極用組成物を得た。なお、活性炭粉末およびアクリレート系エラストマーは、実施例1と同じものを用いた。得られた電極用組成物を用いて実施例1と同様にして電気二重層キャパシタ用電極および電気二重層キャパシタを得た。得られた電極および電気二重層キャパシタについて、各特性を測定した。結果を表1に示す。
比較例1
硝酸アンモニウムを用いない他は実施例1と同様にして電気二重層キャパシタ用電極および電気二重層キャパシタを得た。得られた電極および電気二重層キャパシタについて、各特性を測定した。結果を表1に示す。
硝酸アンモニウムを用いない他は実施例1と同様にして電気二重層キャパシタ用電極および電気二重層キャパシタを得た。得られた電極および電気二重層キャパシタについて、各特性を測定した。結果を表1に示す。
表1に示すように、実施例1および2の電極用組成物を用いて製造した電極は電極密度が大きく、かつ電極層の集電体への結着力が強いことが分かる。そして該電極を用いると、静電容量が大きくかつ内部抵抗が小さい電気二重層キャパシタが得られた。
Claims (8)
- ポリマー(A)、セルロース誘導体、および電極活物質を含んでなる電気化学素子電極用組成物において、前記ポリマー(A)のガラス転移温度(Tg)が50℃以下であり、さらに硝酸塩を含有することを特徴とする電気化学素子電極用組成物。
- ポリマー(A)がアクリレート系エラストマーである、請求項1記載の電気化学素子電極用組成物。
- セルロース誘導体がカルボキシメチルセルロースの塩である、請求項1または2記載の電気化学素子電極用組成物。
- 硝酸塩が硝酸アンモニウムである、請求項1〜3のいずれかに記載の電気化学素子電極用組成物。
- 請求項1に記載の電気化学素子電極用組成物を、集電体に塗布し、100〜300℃で加熱処理する工程を有する電気化学素子用電極の製造方法。
- 請求項5に記載の製造方法により得られる電気化学素子用電極。
- 電気二重層キャパシタ用である請求項6に記載の電気化学素子用電極。
- 請求項7に記載の電気化学素子用電極を有する電気二重層キャパシタ。
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-
2005
- 2005-03-24 JP JP2005087084A patent/JP2006269827A/ja active Pending
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