JP2006268264A - 建物設備仕様決定支援システム - Google Patents
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Abstract
【課題】 主要設備の発注時期と付帯設備の発注時期とのずれに起因する付帯設備の再設計や再施工を防止する。
【解決手段】 建物設備仕様決定支援システム1は、建物コンテンツを入力する入力手段2と、建物コンテンツに基づいて主要設備の利用度を計算する主要設備利用度計算手段3と、建物コンテンツを実現可能な主要設備推奨仕様を格納する主要設備推奨仕様格納手段4と、主要設備利用度計算結果に基づいて主要設備の推奨仕様のテーブルから特定の設置場所に対する特定の主要設備を選定する主要設備選定手段5と、主要設備を建物に設置するための各種の付帯設備に関する設計情報を格納する設計情報格納手段6と、選定された特定主要設備に対応する特定の付帯設備を設計情報から選定する付帯設備選定手段7と、選定された特定の主要設備および特定の付帯設備を設備仕様情報として出力する設備仕様情報出力手段8と、主要設備利用度計算結果、設計情報、設備仕様情報を表示可能な表示手段9と、を備える。
【選択図】 図1
【解決手段】 建物設備仕様決定支援システム1は、建物コンテンツを入力する入力手段2と、建物コンテンツに基づいて主要設備の利用度を計算する主要設備利用度計算手段3と、建物コンテンツを実現可能な主要設備推奨仕様を格納する主要設備推奨仕様格納手段4と、主要設備利用度計算結果に基づいて主要設備の推奨仕様のテーブルから特定の設置場所に対する特定の主要設備を選定する主要設備選定手段5と、主要設備を建物に設置するための各種の付帯設備に関する設計情報を格納する設計情報格納手段6と、選定された特定主要設備に対応する特定の付帯設備を設計情報から選定する付帯設備選定手段7と、選定された特定の主要設備および特定の付帯設備を設備仕様情報として出力する設備仕様情報出力手段8と、主要設備利用度計算結果、設計情報、設備仕様情報を表示可能な表示手段9と、を備える。
【選択図】 図1
Description
本発明は、建物設備仕様決定支援システムに関し、特に、エレベータ、給湯室、共同トイレ、洗面室などの各種の設備の仕様を建物の設計段階で最適に配置決定することを支援する建物設備仕様決定支援システムに関する。
例えば、オフィスビルや共同集合住宅等の建物を建築する際には、施主、総合建設会社(いわゆる、ゼネコン)、建築設計事務所、実際の施工業者等の種々の立場の関係者が建築の計画から完成までの間に従事している。建築費用のコストは、このような建物の計画から完成までの全てから計算されるものであるので、計画から完成までの全ての局面でコストを低減できることが望ましいことになる。
ところで、多くの場合、施主が建物の建築を計画すると、まず、専門の建築設計事務所を訪れて、土地の広さや建物の規模(床面積や階数等)を明確にした上で、全体的な基本計画の設計図を作成し、その後に、基本計画に基づいて総合建設会社等の施工者が建築費用の見積りを行なっている。多くの建物においては、その建物に設置する各種の設備の費用や、原材料費用、建築期間と人件費等を1つひとつ計算して概略的な建築費用を算出してから建築予算と比較しながら各種の設備のサイズやグレードを決定している。
このような建物の建築に当たって、建物の基本計画から各種の設備の設置が決定され、それらの各種設備の詳細を基本計画に沿って決定していく際に、最初に見積りを取った設備が実際の施工の直前になってその仕様を変更したり、経費が大幅に変更になったりすることは、建設工事の遅滞や予算の大幅な変更を招くことになるために、あまり好ましいことではない。そこで、建物の基本計画が決定された後に、細かい設備の概略的な施工が決定される際に、一旦決定された設備の仕様が頻繁に変更されることのないように、なるべく迅速かつ正確に建物の設備仕様を決定することを支援できる現実感のある建物設備仕様決定支援システムが望まれていた。
上記建物の各種の設備の1つとして、例えばエレベータがあり、このエレベータ設備の建物への仕様決定は、異なる階を貫くエレベータの昇降路を必要とするようにエレベータ設備の規模が大掛かりなものであることから、一旦決定された設備の仕様に変更が生じた場合、建設工事の進捗度と建設費用に与える影響が甚大であった。そのため、本願の出願人は、[特許文献1]により、エレベータを新規に設置する場合にその仕様の設定を容易かつ確実に行なうことができ、ユーザおよびエレベータメーカ双方の労力を軽減すると共に、ユーザの希望条件が充分に取り入れられるようにした「エレベータの新規設置仕様設定支援システム」を提案している。
昇降機は昇降路に設置されてこの昇降路内を昇降動作するものであるから、昇降機の仕様と昇降路の仕様は互いに適合するものでなければならない。したがって、新築ビルに昇降機を設置する場合には、建物の設計並びに昇降路の設計・施工を担当する建設会社と昇降機据え付けを担当する昇降機メーカとの間で充分な打合せを事前に行ない、双方の仕様を適切に決定しておく必要がある。
この場合、昇降機の仕様を決定するに当たっては、建物の用途や交通量を重要なキーポイントとして、種々の制約・条件を考慮する必要がある。例えば、昇降路側の仕様について考えてみると、施工または保守・点検の容易化という観点からは充分なスペースを確保ことが望ましいが、建物の有効利用という観点からは、逆に昇降路のスペースを狭くすることが望まれる。このようなことから、双方の仕様を適切に決定することは容易なことではないことが分かる。特に、近年は昇降機の製品の種類や建築物の種別が多様化してきており、昇降機および昇降路の双方の仕様を適切に決定することは一層困難になってきている。ここで、昇降機の仕様については、[特許文献1]でも提案されているように、最近急速に発達してきているコンピュータおよびインターネットを活用することにより、適切に決定することが可能となってきている。
また、建築設計事務所と昇降機の製造販売業者との間での昇降機に関する仕様のやり取りを、建築設計事務所の利用者のパーソナルコンピュータ、インターネット回線および昇降機の製造販売業者のサーバとの間で行なうことを可能にする技術が[特許文献2]に開示されている。この[特許文献2]に係る技術によれば、建築設計事務所の利用者と昇降機の製造販売業者との間で、利用者の提示する所定の入力情報により、昇降機の製造販売業者の側で昇降機の交通計算および運行シミュレーションを行ない、これに基づいて当該建築に必要な昇降機設備仕様を得るようにしているので、建築設計事務所は、個々の建築物に合わせて昇降機の設備計画に必要な情報を取得することが可能となっている。
このような建物に設置される各種の設備としては、昇降機に限られず、例えば建物の複数の階を連絡するエスカレータや、建物の各階の所定位置に設けられる共同トイレや給湯室や、ビルの各階のゴミ集積場等に設けられるダストシュートや、これに近似する設備であって郵便物を上層階から下層階まで投函可能にして地下室等で一括して回収可能にした投函設備などの種々の設備が考えられ、これらの設備についても同様の問題は発生するものと考えられるが、この明細書においては、一旦仕様が決定されてしまうとその後の変更のためには多大な時間・労力・コストを必要とするエレベータの仕様決定を例にして説明する。
特開2003−171069号公報
特開2002−68610号公報
しかしながら、例えば昇降機等の主要設備を建物に設置する場合、先に建設会社が昇降路、配管用通路、排水管用通路、集塵路、投函用通路等のような建物に設置する付帯設備の施工を行ない、これらの付帯設備が完成した後に、例えばエレベータ、配管、排水管、ダストシュート、投函口や郵便物回収口などの主要設備の取り付けや据え付けを行なうことになるが、一般に施工主のこれらの主要設備の発注時期は建物全体の発注時期に比べて遅くなることが多いために、主要設備の発注時点では既に付帯設備の建設が開始されてしまう可能性がある。
このような場合に、付帯設備(例えば、昇降路、配管用通路、排水管用通路、集塵路、投函用通路等)の設計担当者が主要設備(例えば、エレベータ、配管、排水管、ダストシュート、投函口や郵便物回収口等)について充分な専門知識を有しており、建物の用途を加味した交通量(給水量、排水量、集塵量、郵便物量、供給量等)に基づいて、付帯設備の仕様を適切に決定していれば特に問題は生じないが、付帯設備の仕様と主要設備の仕様とが適合していないような場合には、付帯設備の設計または施工を始めからやり直したりせっかく決定された主要設備の仕様を諦めて新たな仕様を再検討したりしなければならないという問題がある。
また、[特許文献2]に記載された技術を用いる場合、昇降路等の付帯設備の納まりを検討するにあたり、入力時に昇降機等の主要設備の仕様と建物側の設計仕様である躯体寸法を入力する必要があり、出力形態として表示したときに相互の仕様に干渉し合う箇所がある場合には、干渉部分を強調表示するか、演算により干渉を回避して結果を表示する程度に留まっていた。このため、仕様の適合を再検討する際に同様の手順を必要としており仕様決定がなかなか進まないという問題があった。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、主要設備の発注時期と付帯設備の発注時期とのずれに起因する付帯設備の再設計や再施工を防止すると共に主要設備の再検討を不要とし、さらに、付帯設備の納まりの検討における主要設備の仕様と付帯設備の仕様との間の干渉に左右されることのない建物設備仕様決定支援システムを提供することを目的としている。
上記課題を解決するため、本発明の基本構成としての第1構成に係る建物設備仕様決定支援システムは、各種の主要設備を設置する建物に関連する情報としての建物コンテンツを入力する入力手段と、前記入力手段により入力された前記建物コンテンツに基づいて前記主要設備の利用者の利用度に関する種々の計算を行なう主要設備利用度計算手段と、前記主要設備を前記建物に設置するための各種の付帯設備に関する設計情報を格納する設計情報格納手段と、前記建物コンテンツを実現可能な前記主要設備の推奨仕様をテーブルとして格納する主要設備推奨仕様格納手段と、前記主要設備利用度計算手段により計算された主要設備利用度計算結果に基づいて前記主要設備推奨仕様格納手段に格納された前記主要設備の推奨仕様のテーブルから特定の設置場所に対する特定の主要設備を選定する主要設備選定手段と、前記主要設備選定手段により選定された前記特定の主要設備に対応する特定の付帯設備を前記設計情報格納手段から選定する付帯設備選定手段と、前記主要設備選定手段により選定された前記特定の主要設備および前記付帯設備選定手段により選定された前記特定の付帯設備をその建物に推奨される設備仕様情報として出力する設備仕様情報出力手段と、前記主要設備利用度計算手段により計算された前記主要設備利用度計算結果、前記設計情報格納手段に格納された前記設計情報、前記設備仕様情報出力手段から出力された前記設備仕様情報を表示可能な表示手段と、を備えることを特徴とする。
また、本発明の第2構成に係る建物設備仕様決定支援システムは、上記第1構成の建物設備仕様決定支援システムにおいて、前記入力手段を介して入力された所望の仕様選択入力に基づいて、前記主要設備推奨仕様格納手段に格納された複数の主要設備の仕様の中から推奨仕様を選択して前記主要設備選定手段に出力する仕様選択手段をさらに備えることを特徴とする。
また、本発明の第3構成に係る建物設備仕様決定支援システムは、上記第1または第2構成の建物設備仕様決定支援システムにおいて、前記主要設備利用度計算手段により計算された前記利用度計算結果に基づいて評価基準を予め設定して前記表示手段に表示すると共に、該評価基準に基づく判定を行なって、その判定結果が前記評価基準と比較して不適合の場合にさらに推奨選択肢を表示する評価基準設定手段をさらに備えることを特徴とする。
また、本発明の第4構成に係る建物設備仕様決定支援システムは、上記第1ないし第3の何れかの建物設備仕様決定支援システムにおいて、前記設計情報格納手段が前記建物の構成要素をさらに格納すると共に、前記付帯設備選定手段は前記入力手段を介して入力された前記建物コンテンツだけでは前記付帯設備の仕様を選定できないときに、前記設計情報格納手段に格納された前記建物の構成要素を選択する構成要素選択手段をさらに備えることを特徴とする。
また、本発明の第5構成に係る建物設備仕様決定支援システムは、上記第1ないし第4の何れかの建物設備仕様決定支援システムにおいて、前記主要設備は昇降機であり、前記付帯設備は前記建物に設けられる昇降路および該昇降路を構成する前記建物の構成要素であり、前記主要設備利用度計算は昇降機交通計算であることを特徴とする。
上記の構成を備える本発明によれば、建物に設置する主要設備(例えば、昇降機)に関する情報の代わりに、建物情報に基づいて適正な付帯設備(例えば、昇降路)の仕様を作成することができるので、従来のように付帯設備の仕様と建物の用途等の制約とを原因とする設備の不適合を防止することができ、本来設置すべきであった機種の主要設備を設置することが不可能となるような不都合な事態の発生を防止できる効果がある。また、交通計算(交通量に限らず、給水量、排水量、集塵量、郵便物量、供給量等の計算)等による評価が行なわれた後に、複数の仕様から最適な仕様を選択するために顧客の要望に合致する主要設備設置のための仕様の条件を入手することができる。
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る建物設備仕様決定支援システムの実施形態について詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の基本概念としての第1実施形態に係る建物設備仕様決定支援システムの構成を示すブロック図である。図1において、建物設備仕様決定支援システム1は、入力手段2と、主要設備利用度計算手段3と、主要設備推奨設備格納手段4と、主要設備選定手段5と、設計情報格納手段6と、付帯設備選定手段7と、設備仕様情報出力手段8および表示手段9と、を備える。入力手段2は、各種の主要設備を設置する建物に関連する情報としての建物コンテンツを入力する。この建物コンテンツは、その建物の用途や居住人口などの建物に関する一切の情報を含んでいる。
図1は、本発明の基本概念としての第1実施形態に係る建物設備仕様決定支援システムの構成を示すブロック図である。図1において、建物設備仕様決定支援システム1は、入力手段2と、主要設備利用度計算手段3と、主要設備推奨設備格納手段4と、主要設備選定手段5と、設計情報格納手段6と、付帯設備選定手段7と、設備仕様情報出力手段8および表示手段9と、を備える。入力手段2は、各種の主要設備を設置する建物に関連する情報としての建物コンテンツを入力する。この建物コンテンツは、その建物の用途や居住人口などの建物に関する一切の情報を含んでいる。
主要設備利用度計算手段3は、入力手段2により入力された前記建物コンテンツに基づいて主要設備の利用者の利用度に関する種々の計算を行なう。主要設備とは、建物に設置される各種の設備であって、具体的には、建物の異なる階を貫いて設けられた昇降路を昇降する箱形の運搬装置である昇降機、建物の複数階を連絡するエスカレータ、建物の各階の所定位置に設けられる共同トイレ、同じく給湯室、ビルの各階のゴミ集積場等に設けられるダストシュート、これと同様に郵便物を上層階から下層階まで投函可能にして地下室等で一括して回収可能にした投函設備などの種々の設備が考えられる。利用度計算は、昇降機であれば交通計算と呼ばれており、その建物の居住者がその主要設備を利用する頻度を計算したものである。
設計情報格納手段6は、主要設備を建物に設置するための各種の付帯設備に関する設計情報を格納する。付帯設備とは、昇降機の場合には昇降路に相当し、建物の各階を貫通して設けられる空間や、昇降機がスライドするレールの設置部や、ワイヤや重錘等の設備を案内したり固定したりする案内部や取付部などを含んでいる。換言すれば、付帯設備とは建設業者が建物に設置する昇降路、配管用通路、排水管用通路、集塵路、投函用通路等のような設備が考えられる。さらに、後で詳述するが、これらの付帯設備を建物に設置するためには建物の構成要素そのものがこれらの付帯設備の準ずる機能を果たす場合も考えられ得るので、建物そのものの構成要素を選定したり選択したりすることができることも有利である。
主要設備推奨仕様格納手段4は、建物コンテンツを実現可能な昇降機等の主要設備の推奨仕様をテーブルとして格納する。主要設備選定手段5と、主要設備利用度計算手段3により計算された主要設備利用度計算結果に基づいて主要設備推奨仕様格納手段4に格納された前記主要設備の推奨仕様のテーブルから特定の設置場所に対する特定の主要設備を選定する。また、付帯設備選定手段7は、主要設備選定手段5により選定された特定の主要設備に対応する特定の付帯設備を設計情報格納手段6から選定する。
設備仕様情報出力手段8は、主要設備選定手段5により選定された特定の主要設備および付帯設備選定手段7により選定された特定の付帯設備をその建物に推奨される設備仕様情報として出力する。表示手段9は、主要設備利用度計算手段3により計算された主要設備利用度計算結果、設計情報格納手段6に格納された設計情報、設備仕様情報出力手段8から出力された設備仕様情報を表示することができる。
また、本発明の第1実施形態に係る建物設備仕様決定支援システムは、上記基本構成において、入力手段2を介して入力された所望の仕様選択入力に基づいて、主要設備推奨仕様格納手段4に格納された複数の主要設備の仕様の中から推奨仕様を選択して主要設備選定手段5に出力する仕様選択手段10をさらに備えていても良い。
また、本発明の第1実施形態に係る建物設備仕様決定支援システムは、上記基本構成または仕様選択手段10を備える構成において、主要設備利用度計算手段3により計算された主要設備の利用度計算結果に基づいて評価基準を予め設定して表示手段9に表示すると共に、該評価基準に基づく判定を行なって、その判定結果が評価基準と比較して不適合の場合にさらに推奨選択肢を表示する評価基準設定手段11をさらに備えるようにしても良い。
また、本発明の第亜実施形態に係る建物設備仕様決定支援システムは、上記基本構成、仕様選択手段10、評価基準設定手段11を備える構成の何れかにおいて、設計情報格納手段6が建物に関する構成要素の情報をさらに格納すると共に、付帯設備選定手段7は入力手段9を介して入力された建物コンテンツだけでは付帯設備の仕様を選定できないときに、設計情報格納手段6に格納された建物の構成要素に関する情報を選択する構成要素選択手段12をさらに備えることを特徴とする。
また、本発明の第1実施形態に係る建物設備仕様決定支援システムは、上記基本構成または仕様選択手段10、評価基準設定手段11、構成要素選択手段12の何れかを備える構成の何れかにおいて、主要設備は昇降機であり、付帯設備は前記建物に設けられる昇降路および該昇降路を構成する建物の構成要素であり、主要設備利用度計算は昇降機交通計算により行なう昇降路仕様決定支援システムであっても良い。
[第2実施形態]
上記基本構成としての第1実施形態に係る建物設備仕様決定支援システムのより具体的な実施形態として、ある建物に昇降機を設置する際に昇降路の仕様決定を支援する第2実施形態に係る昇降路仕様決定支援システムについて図2ないし図9を参照しながら詳細に説明する。図2ないし図9において、図1と同一または相当する構成要素は同一符号を用いている。
上記基本構成としての第1実施形態に係る建物設備仕様決定支援システムのより具体的な実施形態として、ある建物に昇降機を設置する際に昇降路の仕様決定を支援する第2実施形態に係る昇降路仕様決定支援システムについて図2ないし図9を参照しながら詳細に説明する。図2ないし図9において、図1と同一または相当する構成要素は同一符号を用いている。
図2において、第2実施形態の昇降路仕様決定支援システム1は、入力手段2と交通計算手段3と、記憶装置4と、昇降機選定手段5と、昇降路建物要素選定手段12と、建物構成要素格納手段6と、昇降路設備選定手段7と、昇降路納まり検討手段13と、昇降路仕様提示手段8と、表示手段9とを備えている。
入力手段2は、建物コンテンツを入力するために操作者が操作する例えばキーボード、マウス等である。交通計算手段3は、入力手段2より入力された建物コンテンツと推奨仕様の昇降機対応テーブルを格納する記憶装置4に記憶されている推奨仕様とからその仕様の昇降機に関する交通計算を行なう。記憶装置4と、入力された建物コンテンツと記憶装置4に記憶された推奨仕様テーブルとを対応させて推奨すべき昇降機を計算する交通計算手段3とにより、主要設備選定手段としての昇降機選定手段5が構成されている。
建物構成要素格納手段6と、昇降路建物要素選定手段12とにより付帯設備選定手段としての昇降路設備選定手段7が構成されている。昇降路建物要素選定手段12は、第1実施形態における構成要素選択手段に相当している。昇降機選定手段5と昇降路設備選定手段7とのそれぞれの選定出力は、昇降路納まり検討手段13により、その納まり具合が検討され、検討結果に問題がなければ、昇降路仕様提示手段8が昇降路仕様を提示して、表示手段9に表示する。
上記構成を有する第2実施形態の昇降路仕様決定支援システム1の動作について、図3のフローチャートを用いて説明する。まず、操作者が入力手段2を操作することにより、建物用途、居住人口等の所定の建物コンテンツが入力される(ステップS1)。ここで、昇降路についての所定建物コンテンツには、例えば、昇降路構造の種別(鉄筋コンクリート造、鉄骨造、プレキャストコンクリート造等の種別)、昇降路有効幅・奥行き、基礎寸法、柱寸法、梁寸法、壁厚、ピット深さ、オーバーヘッド、各階階高、床厚、壁・油化し上げ代等がある。また、昇降機の所定建物コンテンツには、例えば、昇降機の用途、積載量、定員、停止階数、かご意匠、乗り場意匠、オペレーション仕様等がある。なお、操作者は、これらの所定建物コンテンツを全て入力する必要はなく、意図的にある情報を入力しないことにより、その情報を演算結果として得るようにすることも可能である。
具体的には、図4に示す入力画面14が表示手段9に表示されて、図5に示すキーボード15やマウス16等の入力手段2を用いて入力画面14の建物コンテンツの入力項目を1つずつ入力すべきか否か判断し、入力すべき場合にはその項目を選択して次の個別入力画面(図示せず)を参照しながら入力を行なう。
入力手段2により上記所定の建物コンテンツが入力されると、昇降機選定手段5の交通計算手段3は、入力された建物コンテンツ情報を記憶装置4に格納されている推奨仕様の対応テーブルの建物コンテンツに対応させて推奨すべき昇降機の仕様を選定する(ステップS2)と共に、入力された建物コンテンツ情報を格納手段6に格納されている建物構成要素の情報に当て嵌めて昇降路の建物構成要素を選定手段12により選定することにより昇降路設備選定手段7が昇降路の設備を選定する(ステップS3)。ここで、格納手段6に格納されている建物構成要素に関する設計情報には、例えば、昇降路に関する設置候補となり得る昇降機の構成機器に関するデータ(巻上機用モータの型式、ガバナの型式、カウンタウエイトのサイズ、レールサイズ等がある)、機器選定ルール、アリアランスルールなどがある。昇降機選定手段5は上記の選定を機器選定ルールにしたがって行なう。
昇降機の仕様の例としては、図6に示すような画面17に用途、乗員、ドア形式等の種々のデータが記載されたものが考えられ、この昇降機仕様は、図2の記憶装置4に格納されているものを操作者が希望することにより表示画面23に表示させることもできる。交通計算手段3による交通計算の結果は、図7(a)に示すように、交通計算結果表示18として表示手段9に表示させることができ、交通計算手段3が最適なものと判断した順番に結果1から例えば結果13のように表示され、この中から操作者が結果1の詳細なデータを参照したい場合には、表示画面18の結果1の項目をクリックすることにより結果1の具体的なデータ19を表示させることもできる。
S3により選定された昇降路をその建物に適合させるには、建物構成要素を入力しておく必要もある。図8は、これらの建物構成要素を選択するための表示画面26を示しており、図8(a)の表示画面20aには、建物構成要素としての柱、梁、壁、床、基礎、小部材等につき個別の項目を選択することにより表示手段9にこれらの構成要素を表示させることもできる。例えば、柱を選択すると、図8(b)の柱表示画面20bのように種々の柱の具体的な構成を表示することができる。また、梁を選択すると、図8(c)に示すように数種類の貼り梁表示画面20cが表示される。また、壁を選択すると、図8(d)に示すように壁表示画面20dを具体的に表示することができる。また、基礎を選択すると、図8(e)に示すように基礎構造を示す基礎表示画面20eを表示できる。さらに、図8(a)の建物構成要素の表示画面20aから建物テンプレートの項目を選択することにより、図8(f)に示すように、幾つかの構成テンプレートの表示画面20fを表示することも可能である。このようにして、ステップS3の建物構成要素の選定を具体的に行なうことができる。
次いで、エレベータの仕様選定と構成要素の選定とにより選定された昇降機の構成機器を昇降路内に配置して、その納まり具合を検討することができる(ステップS4)。昇降路内への昇降機の配置は、まず、選定された昇降機の数に応じて、図9に示すように、各階におけるホールと昇降路の配置とを決定する。例えば、昇降機の設置台数が4台と決定し、その仕様が2台の12人乗り昇降機21と、2台の17人乗り昇降機22に決定された場合に、図9(a)に示す配置24のように、ホール23を中心にして両側に2人用の昇降機21と3人用の昇降機22とを対向させるようにして、略々正方形の昇降機設置スベースを確保するようにしても良いし、図9(b)に示す配置25のように、長尺な廊下のようなホール23を設けてその片側に2人用の昇降機21を2台続けて配置して、さらに3人用の2台の昇降機22を続けて配置するようにしても良い。ホールを含めて昇降機の設置スペースの概略的な形状がどのようなものであるかにより、設置すべき昇降機の仕様が同じであっても図9(a)のような配置24と図9(b)のような配置25が考えられる。昇降機および昇降路の選定は、これらの納まり具合を考慮して具体的な配置も含めて行なわれている。
納まり具合が検討されて、具体的な配置が決定されると、実際に設置される昇降機の仕様が選択される(ステップS5)。すなわち、選定された昇降路に対して具体的な昇降機のかごの位置を決定し、この決定したかごの位置に対して、昇降機のかごおよびその他の構成機器を機器配置ルールにしたがって配置する。このようにして、第2実施形態に係る昇降路仕様決定支援システムによる昇降路の仕様が決定される。
[第3実施形態]
上記第2実施形態は、第1実施形態の支援システムに比べるとより具体的な構成を有しているが、本発明はこれらの実施形態の構成に限定されず、第2実施形態の交通計算手段3は、より具体的な構成を有していても良く、図10および図11を用いて、この具体的な構成について第3実施形態に係る昇降路仕様決定支援システムを用いて説明する。
上記第2実施形態は、第1実施形態の支援システムに比べるとより具体的な構成を有しているが、本発明はこれらの実施形態の構成に限定されず、第2実施形態の交通計算手段3は、より具体的な構成を有していても良く、図10および図11を用いて、この具体的な構成について第3実施形態に係る昇降路仕様決定支援システムを用いて説明する。
図10において第3実施形態の昇降機仕様決定支援システム1における交通計算手段3は、昇降機選定手段31と、構成機器配置手段32と、クリアランス値付与手段33と、必要領域演算仮決定手段36と、適正必要領域出力手段38とを備え、主に建物に昇降機を設置する場合の昇降機と昇降路との間のクリアランスの調整を行なうことを主要な目的とするものである。昇降機選定手段31は、入力手段2によって入力された建物コンテンツや設置すべき昇降機の必要情報に基づいて1つの昇降機の機種を選定する。構成機器配置手段32は、昇降機選定手段31により選定された昇降機に関する構成機器を昇降路(付帯設備)内に設置したときの配置情報を提供する。
クリアランス値付与手段33は、推奨仕様記憶手段4と設計情報格納手段6とにそれぞれ格納された昇降機の推奨仕様のかごや構成機器のデータと昇降路および建物に関するデータとに基づいてクリアランス値設定手段34により予め設定されたクリアランス値を付与する。クリアランス値付与手段33より出力されたクリアランス値に基づいて、干渉有無判定手段35が干渉の有無を判定して必要領域演算手段36に判定結果を出力する。必要領域演算仮決定手段36は、クリアランス値付与手段33により付与されたクリアランス値が確保されるように、選定した昇降機を昇降路に設置するのに必要な領域を演算してこれを必要領域として仮決定する。
仕様調整手段37は、昇降機選定手段31、構成機器配置手段32、クリアランス値付与手段33、干渉有無判定手段35、および必要領域演算仮決定手段36のそれぞれの出力に関して適正な出力が得られるまで必要な回数だけデータのやり取りを行なって昇降機および昇降路の仕様設定の調整を行なっている。適正必要領域出力手段38は、必要領域演算仮決定手段36より出力された必要領域を設計情報格納手段6の格納データにより再度確認した上で適正必要領域を設備仕様情報出力手段8へと出力する。
図11(a)(b)(c)は、干渉有無判定手段35が昇降機および昇降路スペースのクリアランス値からその昇降機を設置した場合に干渉が生じているか否かを判定する場合を示す昇降機および昇降路の横断面図である。図11(a)において、昇降機設備40は建物41の昇降機42を設置する場合を示しており、図において、昇降機42には、建物41の昇降機設置スペース内に取り付けられたガイドレール43がスライド可能に設けられており、構成機器の1つとして重錘44を備えている。破線45は昇降機の設置のためのクリアランスであり、重錘44用のクリアランス46も必要とされている。なお、符号47は、建物41における柱である。
図11(a)の配置によれば、昇降機42の本体用のクリアランス45は充分に確保されているが、重錘44用のクリアランス46が建物41の構成部分(梁)と干渉してしまうので、図10の干渉判定手段35は干渉が生じているものと判定する。この干渉が生じているとの判定により、交通計算手段3は再度全ての計算をやり直して昇降機が設置スペース内に納まるように、仕様調整手段37により仕様調整を行なう。この第3実施形態の仕様調整においては、建物41の柱47が昇降機42の出入り口に対して圧迫感を与えている点を解消できるように、図11(b)に示すように、柱47を昇降機42の背面側に移動すると共に昇降機42の背面に重錘44用のクリアランス46との間で干渉を生じないようにスペース48を確保している。このように、仕様を調整することにより、この昇降機42は図11(b)の配置での設置が可能となる。
また、柱47を昇降機42の背面に移動させると共に図11(a)では干渉が生じていた昇降機42の側面にスペース48を確保するようにして重錘44用のクリアランス46を付与するようにする仕様調整もあり、この状況が図11(c)に示されている。図11(c)では、重錘44葉のクリアランス46は、昇降機42の側部側に確保されたスペース48に納まるように設定されており、干渉が生じない仕様調整であれば、図11(b)の配置であっても図11(c)の配置であっても何れのものでも適用することが可能である。第3実施形態の支援システムにおいては、交通計算手段3により交通計算を行なう際に、特に昇降機の周囲の構成機器を含めた設置用クリアランスの確保を考慮しながら、昇降機の配置を支援している。
1 建物設備仕様決定支援システム
2 入力手段
3 主要設備利用度計算手段
4 主要設備推奨仕様格納手段
5 主要設備選定手段
6 設計情報格納手段
7 付帯設備選定手段
8 設備仕様情報出力手段
9 表示手段(画面)
10 仕様選択手段
11 評価基準設定手段
12 構成要素選択手段
2 入力手段
3 主要設備利用度計算手段
4 主要設備推奨仕様格納手段
5 主要設備選定手段
6 設計情報格納手段
7 付帯設備選定手段
8 設備仕様情報出力手段
9 表示手段(画面)
10 仕様選択手段
11 評価基準設定手段
12 構成要素選択手段
Claims (5)
- 各種の主要設備を設置する建物に関連する情報としての建物コンテンツを入力する入力手段と、
前記入力手段により入力された前記建物コンテンツに基づいて前記主要設備の利用者の利用度に関する種々の計算を行なう主要設備利用度計算手段と、
前記建物コンテンツを実現可能な前記主要設備の推奨仕様をテーブルとして格納する主要設備推奨仕様格納手段と、
前記主要設備利用度計算手段により計算された主要設備利用度計算結果に基づいて前記主要設備推奨仕様格納手段に格納された前記主要設備の推奨仕様のテーブルから特定の設置場所に対する特定の主要設備を選定する主要設備選定手段と、
前記主要設備を前記建物に設置するための各種の付帯設備に関する設計情報を格納する設計情報格納手段と、
前記主要設備選定手段により選定された前記特定の主要設備に対応する特定の付帯設備を前記設計情報格納手段から選定する付帯設備選定手段と、
前記主要設備選定手段により選定された前記特定の主要設備および前記付帯設備選定手段により選定された前記特定の付帯設備をその建物に推奨される設備仕様情報として出力する設備仕様情報出力手段と、
前記主要設備利用度計算手段により計算された前記主要設備利用度計算結果、前記設計情報格納手段に格納された前記設計情報、前記設備仕様情報出力手段から出力された前記設備仕様情報を表示可能な表示手段と、
を備えることを特徴とする建物設備仕様決定支援システム。 - 前記入力手段を介して入力された所望の仕様選択入力に基づいて、前記主要設備推奨仕様格納手段に格納された複数の主要設備の仕様の中から推奨仕様を選択して前記主要設備選定手段に出力する仕様選択手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の建物設備仕様決定支援システム。
- 前記主要設備利用度計算手段により計算された前記利用度計算結果に基づいて評価基準を予め設定して前記表示手段に表示すると共に、該評価基準に基づく判定を行なって、その判定結果が前記評価基準と比較して不適合の場合にさらに推奨選択肢を表示する評価基準設定手段をさらに備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の建物設備仕様決定支援システム。
- 前記設計情報格納手段が前記建物の構成要素をさらに格納すると共に、前記付帯設備選定手段は前記入力手段を介して入力された前記建物コンテンツだけでは前記付帯設備の仕様を選定できないときに、前記設計情報格納手段に格納された前記建物の構成要素を選択する構成要素選択手段をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかに記載の建物設備仕様決定支援システム。
- 前記主要設備は昇降機であり、前記付帯設備は前記建物に設けられる昇降路および該昇降路を構成する前記建物の構成要素であり、前記主要設備利用度計算は昇降機交通計算であることを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れかに記載の建物設備仕様決定支援システム。
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---|---|---|---|
JP2005083625A JP2006268264A (ja) | 2005-03-23 | 2005-03-23 | 建物設備仕様決定支援システム |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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2005
- 2005-03-23 JP JP2005083625A patent/JP2006268264A/ja active Pending
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