JP2006266506A - 円筒ころ軸受及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】外輪と内輪とのあいだに含油ポリマー部材を容易に、しかも完全に充填し、シール性と潤滑性に優れた円筒ころ軸受を提供する。
【解決手段】円筒ころ1と、該円筒ころ1が内嵌される孔状のポケット2を有して当該円筒ころ1を保持する保持器3と、該保持器3の外周側または内周側にあって上記円筒ころ1の転がり面を形成する外輪4及び内輪5とを備え、上記保持器3のポケット2とポケット2とのあいだの柱部14には、径方向に貫通する連絡部10が形成され、上記保持器3の外周側または内周側の何れか一方から含油ポリマー部材9の原料が注入されてその一部が上記連絡部10を介して他方に流入することにより、上記外輪4と上記内輪5とのあいだに充填された含油ポリマー部材9の原料が、上記保持器3と一体化するように固形化してなる含油ポリマー部材9が設けられていること特徴とする円筒ころ軸受。
【選択図】図3
【解決手段】円筒ころ1と、該円筒ころ1が内嵌される孔状のポケット2を有して当該円筒ころ1を保持する保持器3と、該保持器3の外周側または内周側にあって上記円筒ころ1の転がり面を形成する外輪4及び内輪5とを備え、上記保持器3のポケット2とポケット2とのあいだの柱部14には、径方向に貫通する連絡部10が形成され、上記保持器3の外周側または内周側の何れか一方から含油ポリマー部材9の原料が注入されてその一部が上記連絡部10を介して他方に流入することにより、上記外輪4と上記内輪5とのあいだに充填された含油ポリマー部材9の原料が、上記保持器3と一体化するように固形化してなる含油ポリマー部材9が設けられていること特徴とする円筒ころ軸受。
【選択図】図3
Description
本発明は、円筒ころ軸受に関するものである。さらに詳しくは、保持器に向けて延設される一対の案内つばと、保持器のあいだの隙間が小さいような円筒ころ軸受に関し、シール性および潤滑性が良好な円筒ころ軸受に関する。
図4および図5に基づいて、円筒ころ軸受の一例を説明する。図4は図5のシール部材31を外した状態の平面図であり、図5は図4のA−A部断面図である。この円筒ころ軸受は、円筒ころ1と、ポケット20を有するリングプレート状の保持器30と、外輪4および内輪5と、外輪4の側の一対の案内つば6と、内輪5側に嵌め込まれたシール部材31を備えている。
ところで、外輪4と内輪5のあいだの空間S1、S2には、グリースなどの流動性のある潤滑剤ではなくて、近年では、固形化された含油ポリマー部材が充填される傾向にある。含油ポリマー部材は、円筒ころ軸受の使用時の遠心力や熱によって潤滑成分が徐々に滲み出る結果として潤滑性を発揮するので、円筒ころ軸受の回転時に潤滑成分が飛散するおそれがなく、長時間に渡って潤滑成分を補給する必要がないという利点を有している。
この含油ポリマー部材は、超高分子量ポリエチレンと潤滑油とを混合してえられる液状、半固体状の混合物を加熱処理したものである(特許文献1〜3等参照)。図4および図5に示される円筒ころ軸受では、案内つば6と保持器30の外周面30aとのあいだの隙間S4から空間S1に、内輪5と保持器4の内周面30bとのあいだの隙間S5から空間S2に、それぞれ含油ポリマー部材部材の原料を注入し、完全に充填したあと、軸受とともに原料樹脂の融点以上に加熱し次いで冷却することにより得られる。
特開昭54−22415号公報
特公昭63−23239号公報
特公平3−67559号公報
しかしながら、図4および図5に示される円筒ころ軸受では、内輪5側の空間2には、隙間S5から容易に含油ポリマー部材の原料を注入することができるが、一方で、外輪4側には、一対の案内つば6が保持器30に向かって延設されており、隙間S4がとても小さいので、この隙間S4からの含油ポリマー部材の原料の注入が困難であり、また、この小さな隙間S4にも完全に充填されなければ、図5に示されるようなシール部材31をしても、シール部部材31と案内つば6の内周面6bとが摺動するため、隙間S3からの水などの異物の侵入を防止できないという問題がある。
本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、外輪と内輪とのあいだに含油ポリマー部材を容易に、しかも完全に充填することができる円筒ころ軸受であって、シール性および潤滑性の優れた円筒ころ軸受を提供することである。
前述した目的を達成するために、本発明のうちで請求項1記載の発明は、円筒ころと、該円筒ころが内嵌される孔状のポケットを有して当該円筒ころを保持する保持器と、該保持器の外周側または内周側にあって前記円筒ころの転がり面を形成する外輪及び内輪と、該外輪または内輪のうちの何れか一方に、円筒ころの両端面を案内するために保持器に向けて隙間が小さくなるように延設される一対の円環形状の案内つばと、前記外輪と前記内輪とのあいだに充填され、前記保持器と一体化するように固形化された含油ポリマー部材とからなり、前記保持器のポケットとポケットのあいだの柱部に径方向に貫通する連通部を設けてなることを特徴としている。保持器に設けられた連絡部によって、外輪側の転がり面と円筒ころとのあいだにできる空間と、内輪側の転がり面と円筒ころとのあいだにできる空間とが連絡するので、保持器とのあいだにできる隙間が大きい方(案内つばがない方)の側面側から容易に含油ポリマー部材の原料を注入することができる。また、この充填は円筒ころと転がり面とのあいだのみならず、案内つばと保持器のあいだの小さな隙間にも完全に成され、保持器と案内つばとが直に対向することがなく、シール性が良好である。
本発明は、保持器に径方向に貫通する連絡部を設けたことにより、内輪側の広い隙間側からのみ含油ポリマー部材の原料を注入すれば、容易に、しかも外輪側の案内つばと保持器とのあいだの狭い空間にも隙間なく、完全に充填できるものである。したがって、シール性および潤滑性が良好であり、シール部材を必要とせず、部品点数を少なくすることができ、製造に係わる装置も大掛かりなものを必要としないのでコストを小さくすることができる。
さらに、連絡部により、含油ポリマー部材の体積が増大して油分量が増大するとともに、外輪側と内輪側で油分が循環するので、長期間潤滑性を維持することができ、耐久性が向上する。
さらに、外輪側と内輪側とで含油ポリマー部材が連結しているので、含油ポリマー部材の強度が向上する。
本発明の実施の形態を、図示例とともに説明する。図1および図2は、含油ポリマー部材が充填されていない状態の本発明の円筒ころ軸受の一部切欠斜視説明図および平面図であり、図3は、図2のX−X部断面図であり、含油ポリマー部材9が充填された状態を示している。
図1に示されるように、本発明の円筒ころ軸受は、円筒ころ1、円筒ころ1が内嵌されるポケット2を有する保持器3、外輪4、内輪5、案内つば6、および、含油ポリマー部材9(図3参照)を備えている。なお、円筒ころ1、ポケット2、保持器3、外輪4、内輪5、および案内つば6は、図4および図5に示される従来例のものと同じであるので、同符号を示している。本発明の円筒ころ軸受は、保持器3が径方向に貫通する連絡部10を有していることに特徴がある。
円筒ころ1は、外輪4および内輪5と同じく、一般にころがり軸受として使用される軸受鋼から形成される。また、円筒ころ1は、保持器3に形成された孔状のポケット2に回転自在に内嵌されており、保持器3によって、外輪4と内輪5が形成する軌道内に保持されており、転がり面7、8に転がり接触する。
外輪4および内輪5は、一般にころがり軸受として使用される軸受鋼から形成される。また、外輪4は、一対の円環形状の案内つば6を有している。案内つば6は、円筒ころ1の両端面を案内するものであり、外輪4が形成する転がり面7の両端から、保持器3に向けて延設されている。この案内つば6は、その内径が保持器3の外径よりもわずかに大きくされた円環板状のものであり、図示例では、外輪4と一体的に形成されているが、別体に形成してもよい。
保持器3は、円筒ころ1を互いに接触させないように、一定間隔に保つように保持するものである。図1〜図3に示される保持器4は、ソリッド保持器(モミ抜保持器)とよばれるものであり、機械構造用炭素鋼、高力黄銅および銅合金などの金属からなる素材を削りだして形成されることが好ましい。そして、ポケット2が形成された本体12と、ポケット2を閉じるための蓋体13とをリベット11で一体化してなる。
連絡部10は、保持器3のポケット2とポケット2のあいだの柱部14に設けられる。すなわち、図2に示されるように、隣合う円筒ころ1同士と、転がり面7とのあいだの空間S1 、および転がり面8とのあいだの空間S2とが、互いに連絡し合うように設けられる。また、ポケット2の形状および保持器3の強度を確保しうる形状および大きさに、連絡部10は形成される。したがって、図示例のように、リベット11を横切るような矩形の貫通孔のほか、円形の貫通孔、またはポケット2側に接する切欠などが可能である。また、図3に示されるように、ほぼ中央に一個設けるほか、上下または左右に2個、など適宜の場所に複数個設けるようにしてもよい。この連絡部10は、ポケット2と同様に、ブローチ加工による打ち抜き、および放電加工など、従来公知の方法で形成することができる。
含油ポリマー部材9は、外輪4と内輪5のあいだの空間S1およびS2に充填され、保持器3と一体化する。含油ポリマー部材9としては、潤滑油を含むポリマー部材、たとえば、超高分子量ポリエチレンと鉱物油などの潤滑油を混合したもの(特公昭63−23239号公報参照)、ナフテン系潤滑油を含浸させた超高分子量ポリエチレン(特公平3−67559号公報参照)、油とポリメチルペンテンからなる組成物(特公昭54−22415号公報参照)など、従来公知のものが適用される。
含油ポリマー部材9の形成には、図3に示されるような、型15(2点鎖線参照)を用いて、まず、型15で軸受の側面の一方を塞ぎ、流動性の原料を内輪5と保持器3のあいだの広い方の隙間S5側から注入する。原料は、連絡部10を通って、空間S2からS1側に流入し、案内つば6の内周面6bと保持器3の外周面とのあいだの狭い隙間S4にも完全に充填される。その後、もう1つの型で軸受のもう一方の側面も完全に塞ぎ、軸受ごと内部の原料を、原料樹脂の融点以上に加熱し、ついで冷却する。このようにして得られた含油ポリマー部材9は固体であり、保持器3と一体化しており、ともに、外輪4および内輪5に対して相対的に回転をする。含油ポリマー部材9は回転をしながら、遠心力や熱によって潤滑成分を徐々に滲み出させる。
本発明では、前述のように、連絡部10を形成したことにより、含油ポリマー部材9の、完全充填が容易となる。つまり、図4および図5に示される従来例のように、隙間S4と隙間S5の両方から原料を注入するのではなくて、広い方の隙間S5からのみ原料を注入すれば、連絡部10を通して、空間S2から空間S1へも容易に原料が流れ込むのである。したがって、わざわざ狭い隙間S4から原料を注入するために必要であった真空装置などが必要なく、コストも少なくなる。
また、含油ポリマー部材9は、案内つば6の内周面6bとのあいだの狭い隙間にも完全に充填されるので優れたシール性を有する。また、案内つば6の内周面6bにも潤滑成分が供給され、潤滑性にも優れる。
さらに、連絡部10の部分だけ、体積が増すので、含有する油分量も増大し、さらに長期間の潤滑性の維持が可能である。
また、外輪4側の空間S1は、内輪5側の空間S2に比べると小さくて薄く、連絡部10がない従来例のばあいでは、この空間S1で固形化された含油ポリマー部材は分断されて独立してしまうため、油分量が少なく耐久性が良くないばかりか、強度も小さかった。しかしながら、本発明では、連絡部10によって空間S1とS2が独立せず連絡するので、この間で油の循環が可能であり、体積の小さい方の含油ポリマー部材に含有される油分量に寿命が左右されることなく、前述の油分量の増加とともに、良好な潤滑性を実現することができ、また、強度も向上する。
また、本実施例では、外輪4側に一対の案内つば6があるばあいを例として説明したが、内輪5側に案内つばがあるばあいも同様に、本発明を適用することができる。
1 円筒ころ
2 ポケット
3 保持器
4 外輪
5 内輪
6 案内つば
7、8 転がり面
9 含油ポリマー部材
10 連絡部
14 柱部
2 ポケット
3 保持器
4 外輪
5 内輪
6 案内つば
7、8 転がり面
9 含油ポリマー部材
10 連絡部
14 柱部
Claims (3)
- 円筒ころと、
該円筒ころが内嵌される孔状のポケットを有して当該円筒ころを保持する保持器と、
該保持器の外周側または内周側にあって前記円筒ころの転がり面を形成する外輪及び内輪とを備え、
前記保持器のポケットとポケットとのあいだの柱部には、径方向に貫通する連絡部が形成され、
前記保持器の外周側または内周側の何れか一方から含油ポリマー部材の原料が注入されてその一部が前記連絡部を介して他方に流入することにより、前記外輪と前記内輪とのあいだに充填された含油ポリマー部材の原料が、前記保持器と一体化するように固形化してなる含油ポリマー部材が設けられていること特徴とする円筒ころ軸受。 - 円筒ころと、
該円筒ころが内嵌される孔状のポケットを有して当該円筒ころを保持する保持器と、
該保持器の外周側または内周側にあって前記円筒ころの転がり面を形成する外輪及び内輪と、
該外輪または内輪のうちの何れか一方に、円筒ころの両端面を案内するために保持器に向けて隙間が小さくなるように延設される一対の円環形状の案内つばと、
前記保持器のポケットとポケットとのあいだの柱部に貫通して、前記外輪と前記保持器とのあいだの隙間と、前記内輪と前記保持器とのあいだの隙間とを連通させる連絡部と、
前記保持器の外周側または内周側の何れか一方から含油ポリマー部材の原料が注入されてその一部が前記連絡部を介して他方に流入することにより、前記外輪と前記保持器とのあいだの隙間、前記内輪と前記保持器とのあいだの隙間、前記案内つばと前記保持器とのあいだの隙間及び前記連絡部のすべてに充填された含油ポリマー部材の原料が、固形化してなる含油ポリマー部材と
からなることを特徴とする円筒ころ軸受。 - 円筒ころと、
該円筒ころが内嵌される孔状のポケットを有して当該円筒ころを保持する保持器と、
該保持器の外周側または内周側にあって前記円筒ころの転がり面を形成する外輪及び内輪と、
該外輪または内輪のうちの何れか一方に、円筒ころの両端面を案内するために保持器に向けて隙間が小さくなるように延設される一対の円環形状の案内つばと、
前記保持器のポケットとポケットとのあいだの柱部に貫通して、外輪と保持器とのあいだの隙間と、内輪と保持器とのあいだの隙間とを連通させる連絡部と
を設けた円筒ころ軸受の前記保持器と、前記案内つばを有さない前記外輪または前記内輪とのあいだの隙間から、含油ポリマー部材の原料を注入し、前記連絡部を介して前記案内つばと前記保持器とのあいだの隙間へ流入させ、充填して固形化することにより、前記外輪と前記保持器とのあいだの隙間、前記内輪と前記保持器とのあいだの隙間、前記案内つばと前記保持器とのあいだの隙間、及び、前記連絡部の全てに充填されて固形化してなる含油ポリマー部材を形成することを特徴とする円筒ころ軸受の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006156287A JP2006266506A (ja) | 2006-06-05 | 2006-06-05 | 円筒ころ軸受及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006156287A JP2006266506A (ja) | 2006-06-05 | 2006-06-05 | 円筒ころ軸受及びその製造方法 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP34246596A Division JPH10169659A (ja) | 1996-12-05 | 1996-12-05 | 円筒ころ軸受 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006266506A true JP2006266506A (ja) | 2006-10-05 |
Family
ID=37202688
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006156287A Pending JP2006266506A (ja) | 2006-06-05 | 2006-06-05 | 円筒ころ軸受及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2006266506A (ja) |
-
2006
- 2006-06-05 JP JP2006156287A patent/JP2006266506A/ja active Pending
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
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A131 | Notification of reasons for refusal |
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A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080414 |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20080617 |