JP2006266213A - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 硫黄被毒処理終了後、NOx吸蔵還元触媒に流入する排気空燃比をリーン空燃比に復帰させる際における排出ガス特性の改善を図ることが可能な、内燃機関の排気浄化装置を提供する。
【解決手段】 NOx吸蔵還元触媒と、NOx吸蔵還元触媒の温度を検出する温度検出手段と、NOx吸蔵還元触媒に流入する排気空燃比をリッチ空燃比にしつつNOx吸蔵還元触媒温度を上昇させる硫黄被毒回復処理を実行し、NOx吸蔵還元触媒がNOxとともに吸蔵した硫黄酸化物をNOx吸蔵還元触媒から放出させる硫黄被毒回復制御手段とを、備えた内燃機関の排気浄化装置であって、硫黄被毒回復制御手段は、硫黄被毒回復処理終了後、NOx吸蔵還元触媒温度が予め定めた温度まで低下するまでNOx吸蔵還元触媒に流入する排気空燃比を理論空燃比に保持し、その後排気空燃比をリーン空燃比に復帰させる、ことを特徴とする内燃機関の排気浄化装置を提供する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、内燃機関の排気浄化装置、特に、NOx吸蔵還元触媒を備えた排気浄化装置に関する。
近年、燃費率向上および排出ガス規制に対応すべく、内燃機関をリーン空燃比で運転する希薄燃焼内燃機関(以下、リーンバーンエンジンと称す)の実用化が図られている。リーンバーンエンジンにおいては、リーン空燃比運転時における三元触媒のNOxに対する浄化能力の制限から、三元触媒を使用するだけでは、リーン空燃比運転時における排気中のNOxを十分に浄化できないという問題があり、この問題を解決すべく、排気系にNOx吸蔵還元触媒を備えた排気浄化装置の開発が展開されている。
NOx吸蔵還元触媒は、流入する排気空燃比がリーン空燃比のときに排気中のNOxを吸収、吸着もしくはその両方により吸蔵し、流入する排気空燃比がリッチ空燃比あるいは理論空燃比(以下、ストイキとも称す)であるときに、吸蔵したNOxを放出する役割を果たすものである。放出されたNOxは、排気中の還元成分(HC、CO、H2)により還元浄化せしめられる。
このようなNOx吸蔵還元触媒を備えた排気浄化装置によれば、排気空燃比がリーン空燃比で運転されているときに、排気中のNOxをNOx吸蔵還元触媒に吸蔵させることにより排気中からNOxを除去し、排気空燃比がリッチ空燃比あるいはストイキで運転されているときにNOx吸蔵還元触媒からNOxを放出し、排気中の還元成分を用いて放出されたNOxを還元浄化することにより、排気中のNOxが大気に放出されることを防止できる。
しかしながら、このようなNOx吸蔵還元触媒を用いた排気浄化装置においては、燃料中の硫黄成分に起因するNOx吸蔵還元触媒のNOx吸蔵能力の低下、いわゆる硫黄被毒が問題となる。
内燃機関の燃料、例えばガソリンや軽油などの燃料には、硫黄成分が含有している場合が多く、この場合、燃焼後の排気中には、SO2やSO3などの硫黄酸化物(SOx)が含まれることになる。排気中にSOxが存在すると、NOx吸蔵還元触媒は、NOxの吸蔵を行う一方で排気中のSOxの吸蔵も行うことが知られている。
NOx吸蔵還元触媒に吸蔵されたSOxは安定していて分解しづらく、NOx吸蔵還元触媒が排気中のNOxを吸蔵し且つ還元浄化することができる温度領域では、NOx吸蔵還元触媒から脱離しないことが明らかにされている。
このため、NOx吸蔵還元触媒が、排気中のNOxを吸蔵し且つ還元浄化することができる温度領域、例えば、300℃〜450℃の温度領域で、SOxを含有する排気に対して使用される場合、NOxの吸蔵および還元浄化が行われる一方で、NOx吸蔵還元触媒にはSOxが分解されず残存する。従って、時間が経過するにつれてNOx吸蔵還元触媒内のSOx量が増大することになり、かくして、時間が経過するにつれてNOx吸蔵還元触媒が吸蔵することができるNOx量が低下することになり、いわゆる硫黄被毒(またはS被毒)の問題が生じる。
一方で、NOx吸蔵還元触媒温度を上昇させることで、例えば、NOx吸蔵還元触媒温度を600℃以上に上昇させることで、NOx吸蔵還元触媒に吸蔵されたSOxを熱分解させ放出させることができることが明らかにされている。
そこで、NOx吸蔵還元触媒を備える排気浄化装置においては、硫黄被毒を解消する一つの方法として、NOx吸蔵還元触媒に流入する排気空燃比をリッチ空燃比にしつつNOx吸蔵還元触媒温度を上昇させる、硫黄被毒回復処理が適用されている。該硫黄被毒回復処理により、NOx吸蔵還元触媒に吸蔵されたSOxを熱分解し、この熱分解されたSOxのNOx吸蔵還元触媒への再吸蔵を防止しつつNOx吸蔵還元触媒からSOxを放出することが可能となる。
例えば、特開2002−256858号明細書においては、NOx吸蔵還元触媒を備え且つ硫黄被毒回復処理が適用されている内燃機関の排気浄化装置が示されており、NOx吸蔵還元触媒からSOxを放出させるべくNOx吸蔵還元触媒温度を上昇させる方法として、点火時期を制御することが示されている。具体的には、点火時期を遅角させることで、NOx吸蔵還元触媒に流入する排気ガスの温度を上昇させ、硫黄被毒回復処理に適した温度領域になるまで、NOx吸蔵還元触媒温度を上昇させることが記載されている。
特開2002−256858号明細書
上述したような硫黄被毒回復処理が適用されているNOx吸蔵還元触媒を備えるリーンバーンエンジンにおける課題の一つとして、NOx吸蔵還元触媒のNOx吸蔵能力に起因する、硫黄被毒回復処理終了後、NOx吸蔵還元触媒に流入する排気空燃比をリーン空燃比に復帰させる際における排出ガス特性の悪化、が考えられる。
硫黄被毒回復処理状態においては、NOx吸蔵還元触媒からの熱分解によるSOxの放出をもたらすべく、NOx吸蔵還元触媒温度は、NOx吸蔵還元触媒が排気中のNOxを吸蔵し且つ還元浄化することができる温度領域(例えば、300℃〜450℃)よりも、相当に高く設定される(、例えば600℃〜700℃に設定される)ことになる。そのため、硫黄被毒回復処理終了後すぐに、NOx吸蔵還元触媒に流入する排気空燃比がリーン空燃比へと切り替えられる場合、NOx吸蔵還元触媒が排気中のNOxを吸蔵することができる温度領域にNOx吸蔵還元触媒温度が低下するまでの間、NOx吸蔵還元触媒により排気中のNOxを吸蔵することができず、排出ガス特性の悪化をもたらす可能性がある。
特許文献1においては、上述した課題、すなわち、NOx吸蔵還元触媒のNOx吸蔵能力に起因する、硫黄被毒回復処理終了後、NOx吸蔵還元触媒に流入する排気空燃比をリーン空燃比に復帰させる際における排出ガス特性の悪化、に対する改善方策については記載されていない。
特許文献1においても同様であるが、NOx吸蔵還元触媒を備えた排気浄化装置に関する他の文献においては、リーン空燃比運転状態から硫黄被毒回復処理状態への切り替えの際における、燃費の向上やトルク低下分の補充方策などについての提案の記載は見られるが、硫黄被毒回復処理後、リーン空燃比運転状態へと復帰させる際の、排出ガス特性の改善についての提案は十分に示されていないと考える。
本発明は、上記の課題に鑑み、NOx吸蔵還元触媒を備えた排気浄化装置であって、硫黄被毒処理終了後、NOx吸蔵還元触媒に流入する排気空燃比をリーン空燃比に復帰させる際の、排出ガス特性の改善を図ることが可能な、排気浄化装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明によれば、内燃機関の排気通路に配置した、流入する排気空燃比がリーン空燃比のときに排気中のNOxを吸収、吸着もしくはその両方により吸蔵し、流入する排気空燃比が理論空燃比またはリッチ空燃比のときに吸蔵したNOxを排気中の還元成分を用いて還元浄化するNOx吸蔵還元触媒と、前記NOx吸蔵還元触媒の温度を検出する温度検出手段と、前記NOx吸蔵還元触媒に流入する排気空燃比をリッチ空燃比にしつつ前記NOx吸蔵還元触媒温度を上昇させる硫黄被毒回復処理を実行し、前記NOx吸蔵還元触媒がNOxとともに吸蔵した硫黄酸化物をNOx吸蔵還元触媒から放出させる硫黄被毒回復制御手段とを、備えた内燃機関の排気浄化装置であって、前記硫黄被毒回復制御手段は、前記硫黄被毒回復処理終了後、前記NOx吸蔵還元触媒温度が予め定めた温度まで低下するまで前記NOx吸蔵還元触媒に流入する排気空燃比を理論空燃比に保持し、その後排気空燃比をリーン空燃比に復帰させる、ことを特徴とする内燃機関の排気浄化装置が提供される。
すなわち、請求項1の発明では、硫黄被毒回復制御手段により、硫黄被毒回復処理終了後、NOx吸蔵還元触媒温度が予め定めた温度まで低下するまで、NOx吸蔵還元触媒に流入する排気空燃比を理論空燃比に保持し、その後、排気空燃比をリーン空燃比に復帰する制御を行う。
NOx吸蔵還元触媒が硫黄被毒回復処理直後の高温状態にあるときに、NOx吸蔵還元触媒に流入する排気空燃比をリーン空燃比に制御しても、NOx吸蔵還元触媒は、排気中のNOxを吸蔵することはできない。NOx吸蔵還元触媒に流入する排気空燃比がリーン空燃比であるとき、NOx吸蔵還元触媒温度が排気中のNOxを吸蔵することができる温度領域まで低下してからでないと、NOx吸蔵還元触媒は、排気中のNOxを吸蔵することはできない。
しかしながら、NOx吸蔵還元触媒は、ストイキで排気中のNOx、CO、HCの三成分を同時に浄化する三元触媒としての機能を有する。よって、NOx吸蔵還元触媒に流入する排気空燃比をストイキにすることで、NOx吸蔵還元触媒を三元触媒として機能させることができ、NOx吸蔵還元触媒が硫黄被毒回復処理終了直後の高温状態にあるときにおいても、NOx吸蔵還元触媒により排気中のNOxを浄化させることが可能となる。
従って、当該硫黄被毒回復制御手段により、硫黄被毒回復処理後、NOx吸蔵還元触媒に流入する排気空燃比をリーン空燃比に復帰する際に、NOx吸蔵還元触媒温度が予め定めた温度まで低下するまでの間、NOx吸蔵還元触媒に流入する排気空燃比を理論空燃比に保持する本発明の内燃機関の浄化装置によれば、硫黄被毒回復処理終了後、NOx吸蔵還元触媒に流入する排気空燃比をリーン空燃比に復帰させる際の排出ガス特性の改善を図ることが可能となる。
請求項2に記載の発明によれば、前記予め定めた温度は、前記NOx吸蔵還元触媒に流入する排気空燃比がリーン空燃比のときに前記NOx吸蔵還元触媒がNOxを吸蔵することができる温度である、ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置が提供される。
請求項3に記載の発明によれば、前記硫黄被毒回復制御手段は、前記硫黄被毒回復処理終了後、点火時期を進角させることにより、前記NOx吸蔵還元触媒温度を予め定めた温度まで低下させる、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の内燃機関の浄化装置が提供される。
すなわち、請求項3の発明では、硫黄被毒回復制御手段により、硫黄被毒回復処理後、点火時期が進角される。点火時期を進角させることで、NOx吸蔵還元触媒に流入する排気の温度を低下させることができ、NOx吸蔵還元触媒に流入する排気空燃比がリーン空燃比であるときにNOx吸蔵還元触媒が排気中のNOxを吸蔵することができる温度領域にまで、NOx吸蔵還元触媒温度を迅速に低下させることが可能となる。
これにより、硫黄被毒回復処理終了後の排出ガス特性を改善すべくNOx吸蔵還元触媒に流入する排気空燃比を理論空燃比とする期間の短縮化を図ることができる。
請求項4に記載の発明によれば、前記硫黄被毒回復制御手段は、前記硫黄被毒回復処理終了後、前記NOx吸蔵還元触媒温度を予め定められた温度まで低下させるべく点火時期が進角されている期間中、点火時期の設定を変更することによりノッキングを回避するノッキングコントロール制御あるいは該ノッキングコントロール制御による点火時期遅角学習を禁止する、ことを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の排気浄化装置が提供される。
すなわち、請求項4の発明では、硫黄被毒回復制御手段により、硫黄被毒回復処理後、点火時期が進角されている期間中、点火時期の設定を変更することによりノッキングを回避するノッキングコントロール制御、あるいは、該ノッキングコントロール制御による点火時期遅角学習が禁止される。
これにより、NOx吸蔵還元触媒温度を低下させるべく、点火時期を進角制御しているにもかかわらず、ノッキングを回避すべく点火時期を遅角制御しNOx吸蔵還元触媒温度を上昇させるような制御動作を防止することが可能となる。
各請求項の記載によれば、NOx吸蔵還元触媒を備える内燃機関の排気浄化装置であって、硫黄被毒回復処理後、NOx吸蔵還元触媒に流入する排気空燃比をリーン空燃比に復帰する際の、排出ガス特性の改善を図ることが可能な排気浄化装置を提供することが可能となる、共通の効果を奏する。
以下、添付図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本発明の排気浄化装置を自動車用のリーンバーンエンジン、特に複数の気筒を1気筒ごとに交互に角度をつけてV字状に並べたV型のリーンバーンエンジンに適用した場合の一実施形態の基本構成を示す模式図である。図1において、1は内燃機関本体、2は排気マニホルド、3は三元触媒、4は排気管、5はNOx吸蔵還元触媒、6は排気空燃比センサー(以下、排気A/Fセンサーと称す)、7は排気温度センサー、8はノッキングセンサー、をそれぞれ示している。
また、図1において、10はNOx吸蔵還元触媒温度検出手段、11はSOx吸蔵量検出手段、12はSOx放出量検出手段、13は硫黄被毒回復制御手段、14は点火時期制御手段、15はノッキングコントロール制御禁止手段、をそれぞれ示している。
まず、図1に示されたリーンバーンエンジンの基本構成要素となる内燃機関本体1、排気マニホルド2、三元触媒3、排気管4、NOx吸蔵還元触媒5、排気A/Fセンサー6、排気温度センサー7、ノッキングセンサー8、のそれぞれについて簡単に説明する。
内燃機関本体1は、負荷条件に応じて空燃比が変更されるが、その運転領域の大部分がストイキよりもリーンな空燃比で運転される、いわゆるリーンバーンエンジンである。本実施形態における内燃機関本体1はV型のエンジンとして示され、(図には示していないが)シリンダーは左右の各バンクに交互に振り分けて配置されている。また、本実施形態における内燃機関本体1には、ノッキングに固有の周波数の振動を検出するノッキングセンサー8が設けられている。このような内燃機関本体1は既知のものであり、その構成の詳細についてはここでは説明を省略する。尚、本発明を説明する上で本実施形態においては、内燃機関本体1は、V型のリーンバーンエンジンとして示されているが、例えば直列4気筒リーンバーンエンジンなど他の形式の内燃機関であってもよい。
内燃機関本体1からの排気の通路となる排気系には、排気マニホルド2、三元触媒3、排気管4およびNOx吸蔵還元触媒5が、それぞれ配置されている。また、NOx吸蔵還元触媒5の前後には、排気A/Fセンサー6が配置されている。更に、排気管4には、排気温度センサー7が配置されている。
排気マニホルド2は、内燃機関本体1に連結され、内燃機関本体1内に配置されている各気筒からの排気を1本の排気管4に送り込む役割を果たすものである。
排気マニホルド2と排気管4との間に配置された三元触媒3は、主として、エンジン始動時のストイキ運転時における排気中の有害な成分を浄化する役割を果たすものである。
排気A/Fセンサー6は、排気管4を通過する排気中の空燃比を検出するものであり、本実施形態においては、NOx吸蔵還元触媒5の前後にそれぞれ配置され、NOx吸蔵還元触媒5の前後における排気空燃比を検出する役割を果たす。
排気温度センサー7は、排気管4を通過する排気の温度を検出するものであり、本実施形態においては、NOx吸蔵還元触媒5の内燃機関本体1に近い上流側に配置され、NOx吸蔵還元触媒5に流入する排気の温度を検出する役割を果たすものである。
次に、図1に示された本発明の一実施形態となる内燃機関の排気浄化装置が有する各構成要素について説明する。
図1に示された実施形態における内燃機関の排気浄化装置は、主として、NOx吸蔵還元触媒5、NOx吸蔵還元触媒温度検出手段10、SOx吸蔵量検出手段11、SOx放出量検出手段12および硫黄被毒回復制御手段13から構成される。また、硫黄被毒回復制御手段13は点火時期制御手段14を有し、該点火時期制御手段14はノッキングコントロール制御禁止手段15を有する。
NOx吸蔵還元触媒5は、内燃機関本体1からの排気空燃比がリーン空燃比であるときに、排気中のNOxを吸収、吸着もしくはその両方により吸蔵することで排気中からNOxを除去し、内燃機関本体1からの排気空燃比がリッチ空燃比あるいはストイキであるときに、吸蔵したNOxを放出する機能を有する。放出されたNOxは、排気に含まれる還元成分となる炭化水素HC、一酸化炭素CO等と反応して還元浄化せしめられる。
このようにNOx吸蔵還元触媒5は、該NOx吸蔵還元触媒5に流入する排気空燃比がリーン空燃比であるときに排気中のNOxを吸蔵する一方で、NOx吸蔵還元触媒5に流入する排気中にSOxが含まれている場合には、NOxと同様にSOxも吸蔵することが知られている。内燃機関本体1に供給される燃料中には硫黄成分が含まれていることが多く、この場合、NOx吸蔵還元触媒5に流入する排気中には硫黄分の燃焼により生じたSOxが含まれることになり、NOx吸蔵還元触媒5には、NOxばかりでなく、SOxも吸蔵されることになる。
NOx吸蔵還元触媒5に吸蔵されたSOxは、NOx吸蔵還元触媒5に吸蔵されたNOxと比較して、安定度が高く分解しづらく、NOx吸蔵還元触媒5が排気中のNOxを吸蔵し且つ還元浄化することができる温度領域内でNOx吸蔵還元触媒5が使用されるかぎり、NOx吸蔵還元触媒5に吸蔵されたSOxは分解されずにNOx吸蔵還元触媒5に残存することが知られている。従って、NOx吸蔵還元触媒5が排気中のNOxを吸蔵し且つ還元浄化することができる温度領域内でNOx吸蔵還元触媒5が使用されるかぎり、時間が経過するにつれて、NOx吸蔵還元触媒5内のSOx量は増大し、その結果、NOx吸蔵還元触媒5が排気中から吸蔵することができるNOx量は低下することになる。
しかるに、NOx吸蔵還元触媒5の温度を所定の温度以上に、例えば600℃以上に上昇させることで、NOx吸蔵還元触媒5に吸蔵されたSOxを熱分解し、NOx吸蔵還元触媒5から脱離することができることも知られている。また、NOx吸蔵還元触媒5から脱離されたSOxは、NOx吸蔵還元触媒5に流入する排気空燃比をリッチ空燃比にすることで、NOx吸蔵還元触媒5に再吸蔵されることなく放出せしめられる。
硫黄被毒回復制御手段13は、このことに基づいて、NOx吸蔵還元触媒に流入する排気空燃比をリッチ空燃比にしつつ、NOx吸蔵還元触媒温度を上昇させる硫黄被毒回復処理を実行する機能を有する。
また、NOx吸蔵還元触媒5が硫黄被毒回復処理直後の高温状態にあるときには、NOx吸蔵還元触媒5に流入する排気空燃比をリーン空燃比に制御しても、NOx吸蔵還元触媒5は、排気中のNOxを吸蔵することはできない。NOx吸蔵還元触媒温度が排気中のNOxを吸蔵することができる温度領域まで低下してから、NOx吸蔵還元触媒5に流入する排気空燃比をリーン空燃比にすることで、NOx吸蔵還元触媒5による排気中のNOxの吸蔵が可能となる。
しかしながら、NOx吸蔵還元触媒に流入する排気空燃比を理論空燃比にすることで、NOx吸蔵還元触媒5を三元触媒として機能させることができる。これにより、NOx吸蔵還元触媒5が硫黄被毒回復処理終了直後の高温状態にあるときにおいても、NOx吸蔵還元触媒5により排気中のNOxを浄化させることが可能となる。
このことに基づいて、硫黄被毒回復制御手段13は更に、硫黄被毒回復処理終了後、NOx吸蔵還元触媒温度が予め定められた温度に低下するまで、NOx吸蔵還元触媒5に流入する排気空燃比をストイキに保持し、その後、排気空燃比をリーン空燃比に復帰させる機能を有する。
点火時期制御手段14は、硫黄被毒回復制御手段13の一構成要素となる。本点火時期制御手段14は、硫黄被毒回復制御手段13により、硫黄被毒回復処理終了後、NOx吸蔵還元触媒5に流入する排気空燃比をリーン空燃比に復帰させる際において、NOx吸蔵還元触媒5の温度降下を促進する役割を果たすものである。具体的には、点火時期制御手段14は、NOx吸蔵還元触媒温度の低下をもたらすべく、点火時期を進角させる機能を有する。
ノッキングコントロール制御禁止手段15は、点火時期制御手段14の一構成要素となる。ノッキングコントロール制御禁止手段15は、点火時期制御手段14により点火時期が進角制御されている期間中、点火時期の設定を変更することによりノッキングを回避するノッキングコントロール制御あるいは該ノッキングコントロール制御による点火時期遅角学習を禁止する機能を有する。本実施形態においては、内燃機関本体1に設けられたノッキングセンサー8の情報に基づく点火時期制御が禁止される。
NOx吸蔵還元触媒温度検出手段10は、NOx吸蔵還元触媒5の温度を推定する機能を有する。NOx吸蔵還元触媒温度は、例えば、NOx吸蔵還元触媒5の内燃機関本体1に近い上流側に配置された排気温度センサー7により検出された温度情報に基づいて推定される。この場合、NOx吸蔵還元触媒温度検出手段10は、排気温度センサー7を主要素として構成されることになる。ただし、例えば、NOx吸蔵還元触媒5と排気温度センサー7との間には多少の隔たりがあり、この隔たりにおける温度勾配等を推定すべく、回転負荷、空燃比、熱伝達係数、触媒反応速度等のパラメータを用いて補正が行われることになり、これらの各情報を検出する各要素もまた、当該NOx吸蔵還元触媒温度検出手段10の構成要素となる。
また、NOx吸蔵還元触媒温度検出手段10は、硫黄被毒回復制御手段13に、NOx吸蔵還元触媒5の温度の検出情報を伝達可能に構成されている。
SOx吸蔵量検出手段11は、流入する排気によりNOx吸蔵還元触媒5に吸蔵されたSOx量を推定する機能を有する。例えば、SOx吸蔵量は、燃料中の硫黄成分の濃度および消費燃料量から推定されうる。この場合、SOx吸蔵量検出手段11は、燃料中の硫黄成分の濃度および消費燃料量のそれぞれを検出する要素を主要素として構成されることになる。
また、SOx吸蔵量検出手段11は、硫黄被毒回復制御手段13に、NOx吸蔵還元触媒5に吸蔵されたSOx量の検出情報を伝達可能に構成されている。
SOx放出量検出手段12は、硫黄被毒回復制御手段13による硫黄回復被毒処理によりNOx吸蔵還元触媒5から放出あるいは脱離されたSOx量を推定する機能を有する。例えば、NOx吸蔵還元触媒5からのSOx放出量は、NOx吸蔵還元触媒温度および排気空燃比から推定されうる。この場合、SOx放出量検出手段12は、NOx吸蔵還元触媒温度および排気空燃比のそれぞれを検出する要素を主要素として構成されることになる。排気空燃比の検出には、排気A/Fセンサー6が使用され、NOx吸蔵還元触媒温度の検出には、NOx吸蔵還元触媒温度検出手段10が使用されうる。
また、SOx放出量検出手段12は、硫黄被毒回復制御手段13に、NOx吸蔵還元触媒5から放出されたSOx量の検出情報を伝達可能に構成されている。
上述した各構成要素を有する本実施形態の内燃機関の排気浄化装置の作用効果について以下に説明する。
図2は、本排気浄化装置が組み入れられた図1に示すリーンバーンエンジンで実行される硫黄被毒回復制御の制御ルーチンの一実施形態を示すフローチャート図である。
図3は、図2に示す硫黄被毒回復制御の制御ルーチンの全体にわたる、NOx吸蔵還元触媒5の温度推移の示す図である。
図2に示す操作では、まず、NOx吸蔵還元触媒5に対する硫黄被毒回復処理の必要性の有無が判断され、硫黄被毒回復処理が必要と判断された場合、硫黄被毒回復処理が実行される。そして、硫黄被毒回復処理後、NOx吸蔵還元触媒温度が予め定められた温度まで低下するまで、NOx吸蔵還元触媒5に流入する排気空燃比がストイキに保持され、その後排気空燃比がリーン空燃比に復帰される。
以下に各ステップの詳細について説明する。
まず、ステップ21では、内燃機関本体1が現在リーン空燃比運転(リーン運転とも称す)状態であるか否か、すなわち、NOx吸蔵還元触媒5に流入する排気空燃比がリーン空燃比であるか否かの判断がなされる。NOx吸蔵還元触媒5に流入する排気空燃比がリーン空燃比であるか否かの判断は、例えば、NOx吸蔵還元触媒5の前後に配置された排気A/Fセンサー6からの情報に基づいて判断される。
NOx吸蔵還元触媒5における硫黄被毒は、NOx吸蔵還元触媒5に流入する排気空燃比がリーン空燃比であるときに発生するものであり、リーン空燃比運転中でないときには硫黄被毒回復制御を行う必要性はなく、本制御ルーチンは終了される。
続くステップ22においては、内燃機関本体1がリーン空燃比運転状態である場合において、NOx吸蔵還元触媒5に対する硫黄被毒回復要求の有無、すなわち、NOx吸蔵還元触媒5に吸蔵されたSOxの放出の必要性があるか否かの判断がなされる。NOx吸蔵還元触媒5からのSOx放出の必要性の有無については、NOx吸蔵還元触媒5に吸蔵されたSOx量に基づいて、NOx吸蔵還元触媒5のNOx吸蔵能力が所定値まで低下したか否かを判断することにより決定される。その際、NOx吸蔵還元触媒5に吸蔵されたSOx量は、SOx吸蔵量検出手段11により、例えば、燃料中の硫黄成分の濃度および消費燃料量から推定される。
SOx吸蔵量検出手段11により推定されたNOx吸蔵還元触媒5に吸蔵されたSOx量に基づいて、硫黄被毒回復処理の実行の必要性がないと判断された場合には、そのままリーン空燃比運転状態が継続される。
SOx吸蔵量検出手段11により推定されたNOx吸蔵還元触媒5に吸蔵されたSOx量に基づいて、硫黄被毒回復処理の実行の必要性があると判断された場合には、続くステップ23からステップ26において、硫黄被毒回復制御手段13による、NOx吸蔵還元触媒5に対する硫黄被毒回復処理が実行され、図3中の符号31で示される期間の温度推移が、本ステップ21からステップ26にわたる制御ルーチンが実行される期間のNOx吸蔵還元触媒5の温度推移に該当する。
まず、ステップ23においては、NOx吸蔵還元触媒5に流入する排気の目標空燃比がリーン空燃比からストイキに設定変更され、且つ、点火時期が通常運転時よりも遅角制御される。これにより、NOx吸蔵還元触媒5に流入する排気の温度が上昇され、NOx吸蔵還元触媒5の第一段階の昇温がなされる。
NOx吸蔵還元触媒5が排気中のNOxを吸蔵し且つ還元浄化することができる温度領域(図3において、NOx吸蔵還元要求温度と称す)は、約300℃〜約450℃である。それに対して、NOx吸蔵還元触媒に吸蔵されたSOxを熱分解してNOx吸蔵還元触媒5から放出させることができる温度領域(図3において、硫黄脱離要求温度と称す)は、約600℃〜約700℃であり、NOx吸蔵還元要求温度に比べて相当に高い。
そのため、硫黄被毒回復処理を行うべく、NOx吸蔵還元要求温度から硫黄脱離要求温度まで、急激にNOx吸蔵還元触媒温度を上昇させるためには、大幅なエネルギーの投入が必要となり、各運転状態間のトルク段差によるドライブアビリティの悪化がもたらされる可能性がある。
そこで、本実施形態においては、リーン空燃比運転状態から硫黄被毒回処理状態へと移行する際に、NOx吸蔵還元触媒温度を急激に上昇させるのではなく、2段階に分けて上昇させることで、各運転状態間のトルク段差によるドライブアビリティの悪化を緩和することを可能としている。本ステップ23におけるNOx吸蔵還元触媒5の昇温は、その第一段階の昇温に該当する。
続くステップ24においては、ステップ23にて設定されたストイキ運転状態および点火時期の遅角制御が、NOx吸蔵還元触媒5の第一段階の昇温が安定するまで継続される。そして、NOx吸蔵還元触媒温度検出手段10の検出情報に基づき、NOx吸蔵還元触媒5の第一段階の昇温が終了したと判断された後、ストイキ運転状態および点火時期の遅角制御が中止される。
また、点火時期が遅角制御されている期間中、内燃機関本体1に設けられたノッキングセンサー8によるノッキングコントロール制御(KCS制御)あるいは該ノッキングコントロール制御による点火時期遅角学習が禁止される。
ノッキングコントロール制御とは、ノッキングを抑制するために行われる制御であり、通常、点火時期を遅角制御するものである。このような点火時期の遅角制御は、一般的に、点火時期が必要以上に遅角されて燃費や排出ガス特性等の悪化を防止すべく、ノッキングの発生が検出されると、各運転状態における基本点火時期から徐々に点火時期の遅角補正量を制御する。また、ノッキングコントロール制御による点火時期遅角学習とは、各運転領域により実行されたノッキングコントロール制御よる遅角補正量を学習し、再び同様の運転領域となった時に、学習された遅角補正量に基づいて、最適な必要遅角量を推定し、より迅速にノッキングを抑制するものである。
NOx吸蔵還元触媒温度を上昇させる期間中においては、好適には、点火時期は安定した遅角制御がなされることがよく、ノッキングコントロール制御をすべく点火時期を変動させることは、NOx吸蔵還元触媒温度の安定した上昇を妨げる可能性がある。そのため、NOx吸蔵還元触媒温度を上昇させるべく点火時期が遅角制御されている期間中においては、ノッキングを抑制するための点火時期制御は禁止されることが好ましい。
続くステップ25においては、NOx吸蔵還元触媒5の第二段階の昇温、すなわち、NOx吸蔵還元触媒5からのSOxの放出が可能な温度領域にまでNOx吸蔵還元触媒温度を上昇させるべく、また、NOx吸蔵還元触媒5に流入する排気空燃比をストイキよりもリッチな空燃比にすべく、内燃機関本体1の各バンクが適当な空燃比に設定され、また、点火時期が、設定された空燃比に応じて設定される。
V型のリーンバーンエンジンとして示された本実施形態の内燃機関本体1においては、例えば、右バンクからの排気空燃比をリッチ空燃比に設定し、左バンクからの排気空燃比をリーン空燃比に設定することにより、それぞれの排気をNOx吸蔵還元触媒5で反応させることで、NOx吸蔵還元触媒に流入する排気空燃比をストイキよりもリッチな空燃比にしつつNOx吸蔵還元触媒温度を上昇させることが可能となる。これにより、NOx吸蔵還元触媒5に吸蔵されたSOxを熱分解し、NOx吸蔵還元触媒5に再吸蔵させることなく、NOx吸蔵還元触媒5から脱離することが可能となる。
尚、各バンクの空燃比は、リッチ空燃比あるいはリーン空燃比に制御されることになるが、その制御は好適には、NOx吸蔵還元触媒5の前後に設けられた排気A/Fセンサー6のそれぞれの検出情報に基づいて、メインフィードバック制御およびサブフィードバック制御が行われる。
ステップ26においては、ステップ25において設定された空燃比および点火時期に基づいた硫黄被毒回復処理制御が実行され、NOx吸蔵還元触媒5からSOxが放出される。その際、NOx吸蔵還元触媒5から放出されたSOx量は、SOx放出量検出手段12により、例えば、NOx吸蔵還元触媒5の温度および排気の空燃比と時間に基づいて推定される。そして、NOx吸蔵還元触媒5からのSOx放出(硫黄脱離)が終了したと判断された場合に、硫黄被毒回復処理が中止される。具体的には、硫黄被毒回復制御手段13が、SOx吸蔵量検出手段11およびSOx放出量検出手段12からの検出情報に基づいて、NOx吸蔵還元触媒5からのSOx放出が終了したか否かの判定を行い、NOx吸蔵還元触媒5からのSOx放出が終了したと判断されると、硫黄被毒回復処理を終了する。
尚、上述したステップ23からステップ26の各ステップを実行するあたり必要となるNOx吸蔵還元触媒5の温度情報は、NOx吸蔵還元触媒温度検出手段10により推定され、この温度情報を硫黄被毒回復制御手段13が受けて、ステップ23からステップ26にわたる硫黄被毒回復制御が実行される。
続くステップ27からステップ29においては、硫黄被毒回復制御手段13による、硫黄被毒回復処理終了からリーン空燃比運転状態への復帰する際の制御ルーチンが実行され、図3中の符号32で示される期間の温度推移が、本ステップ27からステップ29にわたる制御ルーチンが実行される期間のNOx吸蔵還元触媒5の温度推移に該当する。
まず、ステップ27においては、硫黄被毒回復処理終了後、硫黄被毒回復制御手段13により、NOx吸蔵還元触媒5に流入する排気の目標空燃比がストイキに設定され、リーン空燃比運転禁止設定すなわち硫黄被毒回復処理終了後すぐにリーン空燃比運転状態に移行されることが禁止される。また、点火時期制御手段14により点火時期が通常運転時よりも進角制御される。
硫黄被毒回復終了直後の高温状態で、NOx吸蔵還元触媒5に流入する排気空燃比がリーン空燃比されると、NOx吸蔵還元触媒5により、排気中のNOxを吸蔵することはできず、排出ガス特性の悪化がもたらされる。
本ステップ27においては、硫黄被毒回復処理終了後すぐに、NOx吸蔵還元触媒5に流入する排気空燃比をリーン空燃比に復帰させることを禁止し、まず、NOx吸蔵還元触媒5に流入する排気空燃比をストイキに設定する。これにより、NOx吸蔵還元触媒5を三元触媒として機能させることができ、硫黄被毒回復処理直後の高温状態においても、排気中のNOxを浄化することが可能となる。
また、本ステップ27においては、硫黄被毒回復制御手段13の一構成要素となる点火時期制御手段14により、点火時期が通常よりも進角制御される。点火時期を進角制御させることで、NOx吸蔵還元触媒5に流入する排気の温度を低下させることができ、NOx吸蔵還元触媒が排気中のNOxを吸蔵することができる温度領域にまで、NOx吸蔵還元触媒温度を迅速に低下させることが可能となる。
続くステップ28においては、硫黄被毒回復制御手段13により、ステップ27にて設定されたストイキ運転状態および点火時期の進角制御が、NOx吸蔵還元触媒温度が予め定めた温度に低下するまで、好適には、流入する排気空燃比がリーン空燃比であるときにNOx吸蔵還元触媒5がNOxを吸蔵することができる温度領域に低下するまで継続される。そして、NOx吸蔵還元触媒温度検出手段10によるNOx吸蔵還元触媒5の温度情報に基づき、NOx吸蔵還元触媒5が予め定めた温度まで低下して安定したと判断された後、ストイキ運転状態および点火時期の進角制御が中止され、また、リーン空燃比運転禁止設定も解除される。尚、硫黄被毒回復処理終了後のストイキ運転状態を中止するか否かの判断基準として予め定められる温度は、設計仕様条件や使用環境条件などにより適当に決定されてよい。
硫黄被毒回復処理終了後、NOx吸蔵還元触媒5がNOxを吸蔵し且つ還元浄化することができる温度領域に低下するまで、NOx吸蔵還元触媒5に流入する排気空燃比がストイキに保持されることにより、排気中のNOxは、硫黄被毒回復処理終了からリーン空燃比運転状態に復帰されるまでの間にわたり、NOx吸蔵還元触媒5を三元触媒として機能させることができ、排出ガス特性を改善することが可能となる。
また、本ステップ28においては、硫黄被毒回復制御手段13により、点火時期が進角制御される期間中、点火時期制御手段14の一構成要素となるノッキングコントロール制御禁止手段15により、内燃機関本体1に設けられたノッキングセンサー8によるノッキングコントロール制御(KCS制御)あるいは該ノッキングコントロール制御による点火時期遅角学習が禁止される。上述したようにノッキングコントロール制御は、通常、点火時期を遅角制御することにより行われ、また、ノッキングコントロール制御による点火時期遅角学習は、運転状態に応じた最適な必要遅角量を推定し、より迅速にノッキングを抑制するものである。NOx吸蔵還元触媒温度を低下させる間においては、点火時期は進角制御される必要があり、ノッキングコントロール制御をすべく点火時期を遅角制御させることは、NOx吸蔵還元触媒温度の低下を妨げる可能性がある。そのため、NOx吸蔵還元触媒温度を低下させるべく点火時期が進角制御される間においては、ノッキングコントロール制御するための点火時期制御は禁止されることが好ましい。
尚、点火時期制御手段14による点火時期の進角制御は、硫黄被毒回復処理終了後のNOx吸蔵還元触媒温度の低減を段階的に行うべく適当に設定されてよく、これにより、各運転状態間のトルク段差によるドライブアビリティの悪化を緩和することも可能となる。
続くステップ29においては、NOx吸蔵還元触媒温度が予め定められた温度にまで低下した後、硫黄被毒回復制御手段13により、NOx吸蔵還元触媒5に流入する排気空燃比がリーン空燃比に復帰される。また、ノッキングコントロール制御禁止手段15によるノッキングコントロール制御の禁止が解除される。
以上、図2および図3を参照して、本発明にかかる排気浄化装置による硫黄被毒回復制御の制御ルーチンの一実施形態を述べてきたが、本発明にかかる内燃機関の排気浄化装置において最も留意されるべき特徴は、硫黄被毒回復制御手段13により、硫黄被毒処理終了後、NOx吸蔵還元触媒5に流入する排気空燃比をリーン空燃比に復帰させる際、NOx吸蔵還元触媒温度が予め定められた温度に低下するまで、NOx吸蔵還元触媒5に流入する排気空燃比が理論空燃比に保持されることである。これにより、硫黄被毒回復制御状態からリーン空燃比運転状態へ復帰する際の、排出ガス特性の悪化の改善を図ることが可能となる。
本発明の排気浄化装置を自動車用の希薄燃焼内燃機関、特にV型のリーンバーンエンジンに適用した場合の一実施形態の基本構成を示す模式図である。 図2は、本排気浄化装置が組み入れられた図1に示す内燃機関で実施しうる硫黄被毒回復制御の制御ルーチンの一実施形態を示すフローチャート図である。 図3は、図2に示す硫黄被毒回復制御の制御ルーチンの全体、すなわちステップ21からステップ29にわたる、NOx吸蔵還元触媒5の温度推移の示す図である。
符号の説明
1 内燃機関本体
2 排気マニホルド
3 三元触媒
4 排気管
5 NOx吸蔵還元触媒
6 排気A/Fセンサー
7 排気温度センサー
8 ノッキングセンサー
10 NOx吸蔵還元触媒温度検出手段
11 SOx吸蔵量検出手段
12 SOx放出量検出手段
13 硫黄被毒回復制御手段
14 点火時期制御手段
15 ノッキングコントロール制御禁止手段

Claims (4)

  1. 内燃機関の排気通路に配置した、流入する排気空燃比がリーン空燃比のときに排気中のNOxを吸収、吸着もしくはその両方により吸蔵し、流入する排気空燃比が理論空燃比またはリッチ空燃比のときに吸蔵したNOxを排気中の還元成分を用いて還元浄化するNOx吸蔵還元触媒と、
    前記NOx吸蔵還元触媒の温度を検出する温度検出手段と、
    前記NOx吸蔵還元触媒に流入する排気空燃比をリッチ空燃比にしつつ前記NOx吸蔵還元触媒温度を上昇させる硫黄被毒回復処理を実行し、前記NOx吸蔵還元触媒がNOxとともに吸蔵した硫黄酸化物をNOx吸蔵還元触媒から放出させる硫黄被毒回復制御手段とを、備えた内燃機関の排気浄化装置であって、
    前記硫黄被毒回復制御手段は、前記硫黄被毒回復処理終了後、前記NOx吸蔵還元触媒温度が予め定めた温度まで低下するまで前記NOx吸蔵還元触媒に流入する排気空燃比を理論空燃比に保持し、その後排気空燃比をリーン空燃比に復帰させる、ことを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
  2. 前記予め定めた温度は、前記NOx吸蔵還元触媒に流入する排気空燃比がリーン空燃比のときに前記NOx吸蔵還元触媒がNOxを吸蔵することができる温度である、ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  3. 前記硫黄被毒回復制御手段は、前記硫黄被毒回復処理終了後、点火時期を進角させることにより、前記NOx吸蔵還元触媒温度を予め定めた温度まで低下させる、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の内燃機関の浄化装置。
  4. 前記硫黄被毒回復制御手段は、前記硫黄被毒回復処理終了後、前記NOx吸蔵還元触媒温度を予め定められた温度まで低下させるべく点火時期が進角されている期間中、点火時期の設定を変更することによりノッキングを回避するノッキングコントロール制御あるいは該ノッキングコントロール制御による点火時期遅角学習を禁止する、ことを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の排気浄化装置。
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