JP2006265916A - 耐震補強構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 基礎部分への取付けを強固なものとすることにより、強い直下型地震に対しても、十分な耐引抜力が得られる耐震補強構造体を提供する。
【解決手段】 基礎X、土台Y、柱Zの外壁側にそれぞれ取り付け可能なように、所要の位置に少なくとも基礎貫通用ボルト孔1a、土台取付用ボルト孔1c、柱取付用ボルト孔1dが穿設された第1補強部材1と、所要の位置に基礎内側ボルト孔2aが穿設され、前記基礎貫通用ボルト孔1aと前記基礎Xと前記基礎内側ボルト孔2aを共に挿通するボルト6及びそのナット7により、前記基礎Xの内側に取り付ける第2補強部材2と、を備えた耐震補強構造体Tを用いる。
【効果】 基礎Xへの取付けが強固となり、強い直下型地震に対しても十分な耐引抜力が得られる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、建築構造物の基礎、土台、柱の間の結合を補強する耐震補強構造体に関するものである。
コンクリート製の基礎の上に木製の土台を固着するとともに、土台の上面にほぞ穴を刻設し、柱に突設したほぞを前記ほぞ穴に嵌合させた構成の建築構造物が多く存在する。地震の多い我が国では、例えば、図12の(a)に示すように、柱の間に補強部材Aを交差させるなど、横揺れ対策が講じられている。
ところが、直下型地震では、地震が発生すると、先ずP波が到達し、縦揺れを引き起こすため、建物全体が上方向に押し上げられる。その際、基礎、土台、柱の間の結合が弱いと、図12(b)に示すように、ほぞ抜けBが生じてしまう。その後、遅れてS波が到達し、横揺れを起こすと、ほぞ抜けBが生じた柱は元の位置に戻らず、図12(c)に示すように1階の柱が倒壊し、2階部分の重さによって1階部分が押し潰されてしまうという被害が生じてしまう。
そこで、従来より、建築構造物の基礎、土台、柱の間の結合を補強する耐震補強構造体が提案されている。
特開2003−184316号公報
例えば、上記特許文献には、基礎固定金物と躯体固定金物で構成され、既設木造住宅の基礎、土台、柱に取付けることによって、ほぞ抜けによる倒壊を防止するように構成された耐震補強金物が開示されている。
しかしながら,上記した従来の耐震補強金物は、基礎固定金物を基礎に固定する手段がアンカーボルトによるものであったため、1995年に発生した阪神大震災クラスの強い直下型地震におけるほぞ抜けの引抜力を想定すると、十分な耐引抜力が確保されているとはいえないものであった。
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、特に、基礎部分への取付けを強固なものとすることにより、強い直下型地震に対しても、十分な耐引抜力が得られる耐震補強構造体を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するため、本発明の耐震補強構造体は、
基礎の上に土台が固定され、前記土台の上に柱が固定される建築構造物を補強する耐震補強構造体であって、
前記基礎、土台、柱の外壁側にそれぞれ取り付け可能なように、所要の位置に少なくとも基礎貫通用ボルト孔、土台取付用ボルト孔、柱取付用ボルト孔が穿設された第1補強部材と、
所要の位置に基礎内側ボルト孔が穿設され、前記基礎貫通用ボルト孔と前記基礎と前記基礎内側ボルト孔を共に挿通するボルト及びそのナットにより、前記基礎の内側に取り付ける第2補強部材と、
を備えたことを最も主要な特徴とする。
本発明によれば、第1補強部材と第2補強部材の間で基礎を挟持し、両部材を挿通するボルト及びそのナットで締め付けて固定することができるから、特に、基礎部分への取付けが強固となり、強い直下型地震に対しても十分な耐引抜力が得られる。
本発明の耐震補強構造体は、
基礎の上に土台が固定され、前記土台の上に柱が固定される建築構造物を補強する耐震補強構造体であって、
前記基礎、土台、柱の外壁側にそれぞれ取り付け可能なように、所要の位置に少なくとも基礎貫通用ボルト孔、土台取付用ボルト孔、柱取付用ボルト孔が穿設された第1補強部材と、
所要の位置に基礎内側ボルト孔が穿設され、前記基礎貫通用ボルト孔と前記基礎と前記基礎内側ボルト孔を共に挿通するボルト及びそのナットにより、前記基礎の内側に取り付ける第2補強部材と、
を備えたものである。
本発明において、第1及び第2補強部材の形状は限定されるものではなく、取付け箇所や必要とされる機能に応じて、例えば、矩形、台形、直角三角形、L字形、T字形、その他任意の形の中から、最適な形状を選択して用いることができる。
また、第1補強部材と第2補強部材は、1対1の関係になくても良い。例えば、1つの第1補強部材に対して、2つ以上の第2補強部材を基礎の内側に取付けるように構成しても良い。また、第1補強部材は、例えば1枚の金物で構成しても良いが、必要に応じて、2枚以上の金物をボルトナットで締め合わせて一体化したものを用いたり、2枚以上の金物の間に高剛性ばねを介在させたものを用いても良い。
以下、本発明の耐震補強構造体の実施の形態を、添付図面に基づいてさらに詳細に説明する。図1は、第1実施例の耐震補強構造体の第1補強部材を示した図であり、(a)は正面図(b)は側面図である。図2は、第1実施例の耐震補強構造体の第1補強部材の他の一例を示した図であり、(a)は正面図(b)は側面図である。図3は、第1実施例の耐震補強構造体の第2補強部材を示した図であり、(a)は正面図(b)は側面図(c)は締め合わせの際に介在させる座金を示した図である。図4は、第1実施例の耐震補強構造体を建築構造物のコーナー部分に取付けた状態を示した図であり、(a)は側面図(b)は断面図である。図5は、図4(a)を上方向から見た図、図6は、図4(b)の拡大図である。
図1において、1は、厚さ6mmの1枚の鉄板を加工して構成される第1補強部材を示している。第1実施例は、建物のコーナー部分を補強する耐震補強構造体であり、矩形状の柱取付部11及び土台取付部12と、略三角形状の基礎取付部13を備えている。柱取付部11及び土台取付部12の寸法は幅44mm、長さ445mmで、基礎取付部13の寸法は、幅260mm、長さ250mmである。柱取付部11には、直径12mmの柱取付用ボルト孔1dが3個、土台取付部12には同サイズの土台取付用ボルト孔1cが1個穿設されている。また、基礎取付部13には、3個の基礎貫通用ボルト孔1aと2個の基礎取付用ボルト孔1bが形成されている。
図1(b)に示すように、土台取付部12と基礎取付部13の間には、S字状に曲げられた段差吸収部14を設けている。このようにすることで、図1(b)の例では、既設住宅の基礎部分に約10mm程度の出張りが存在しても、その段差を吸収して取り付けることができる。
第1補強部材1は、図2の第1補強部材10とセットで使用され、建物のコーナー部の外壁側を2方向から補強する。図2の第1補強部材10は、図1の第1補強部材1と左右対称形でほぼ同様の構成であるが、柱取付用ボルト1dと基礎取付用ボルト1bを設ける位置が異なっている。このように、第1補強部材1,10において、柱取付用ボルト1dと基礎取付用ボルト1bの穿設位置を互いに干渉しない位置としたので、建物のコーナー部において直行する2面からボルトを打ち込んだ際、ボルトが接触するのを確実に避けることができる。
図3において、2は、基礎の内側に取り付ける第2補強部材を示している。第1実施例では、第2補強部材2は、略三角形の金物で構成され、図1及び図2の基礎貫通用ボルト1aに対応する位置に基礎内側ボルト孔2aが3個穿設されている。なお、第2補強部材2は、同じ金物を裏返して使用することにより、第1補強部材1,10の何れにも対応可能なものとすることができる。
図4及び図5は、第1実施例の耐震補強構造体Tを建物のコーナー部に取付けた状態を示した図である。第1補強部材1,10は、柱取付部11を柱Zに、土台取付部12を土台Yに、基礎取付部13を基礎Xにあてがい、先ず、柱取付用ボルト孔1d、土台取付用ボルト孔1cからコーチボルト4,5を、基礎取付用ボルト孔1bからアンカーボルト6aを打ち込むことにより固定される。
続いて、基礎Xの内側から、第2補強部材2をあてがい、外壁側から基礎貫通用ボルト孔1aと基礎Xを貫通可能な長さのボルト6bを挿入する。そして、基礎内側ボルト孔2aから基礎Xに埋め込んだボルト6bの雄ねじ部を突出させ、この雄ネジ部にナット7を締め込む。これで、耐震補強構造体Tの取り付けは終了し、基礎Xに対して、土台Yと柱Zが強固に結合される。特に、従来と比べると、基礎Xの部分への取付が強固なものとなっているから、直下型地震の強い縦揺れでもほぞ抜けを防ぐことができる。
なお、基礎Xの内側から第2補強部材2を取付ける作業は、家屋内で床板や畳を上げることにより問題なく行うことができる。また、図6は、図4(b)の要部を拡大すると共に、より望ましい実施形態を示した図である。先ず、外壁側にはモルタルM等の厚みがあるから、この部分を保護するために、コーチボルト4,5を打ち込む際は、図3(c)に示すような、環状の座金3を介在させることが望ましい。なお、図示しないが、モルタルM等の厚みが図6のものよりも厚い場合に対応するために、座金3の厚みは1mm用、2mm用、3mm用の3種類程度を準備しておくことが望ましい。なお、それに応じて、段差吸収部14の設計も変化させる必要がある。また、第1補強部材1と第2補強部材2を締め合わせる際には、ナット7の内側にワッシャ8を介在させる。また、地震が発生した際の衝撃を緩和させるため、第2補強部材2と基礎Xの間には、図6に示すような、ゴム製の衝撃吸収層9を介在させることが望ましい。
次に、建物の壁面中間部へ適用するのに適した第2実施例の耐震補強構造体を、図7〜図11に基づいて詳細に説明する。図7は、第2実施例の耐震補強構造体の第1補強部材を示した図であり、(a)は正面図(b)は側面図である。図8は、第2実施例の耐震補強構造体の第2補強部材を示した図であり、(a)は正面図(b)は側面図(c)は他の一例の正面図である。図9は、第2実施例の耐震補強構造体を建物の壁面中間部に取付けた状態を示した図であり、(a)は側面図(b)は断面図である。図10は、図9(a)を上方向から見た図、図11は、基礎取付部の内側に障害物が無い場合における取付例を示す図である。
図7において、100は、厚さ6mmの1枚の鉄板を加工して構成される第1補強部材を示している。第2実施例は、建物の壁面中間部を補強する耐震補強構造体であり、矩形状の柱取付部101及び土台取付部102と、略五角形状の基礎取付部103を備えている。柱取付部101及び土台取付部102の寸法は幅44mm、長さ445mmで、基礎取付部103の寸法は、幅270mm、長さ250mmである。柱取付部101には、直径12mmの柱取付用ボルト孔100dが3個、土台取付部102には同サイズの土台取付用ボルト孔100cが1個穿設されている。また、基礎取付部103には、基礎貫通用ボルト孔100aが左右両端に2個ずつ形成されている。
土台取付部102と基礎取付部103の間には、図7(b)に示すように、S字状に曲げられた段差吸収部104を設けている。このようにすることで、図7(b)の例では、既設住宅の基礎部分に約10mm程度の出張りが存在しても、その段差を吸収して取り付けることができる。
図8は、基礎Xの内側に取り付ける第2補強部材20,200を示している。第2実施例では、図7の第1補強部材100の基礎取付部103の左右に存在する基礎貫通用ボルト孔100aにそれぞれ対応するように、図8(a)(b)に示すような縦長の四角形状の金物を2枚使用しても良いし、必要に応じて、図8(c)に示すように、基礎内側ボルト孔20aが左右両端に2個ずつ穿設された横長の四角形状の第2補強部材200を用いても良い。
図9及び図10は、第2実施例の耐震補強構造体Tを建物の壁面中央部に取付けた状態を示した図である。第1補強部材100は、柱取付部101を柱Zに、土台取付部102を土台Yに、基礎取付部103を基礎Xにあてがった状態で、先ず、柱取付用ボルト孔100d、土台取付用ボルト孔100cからコーチボルト4,5を打ち込むことにより固定される。
続いて、基礎Xの内側から、第2補強部材20をあてがい、外壁側から基礎貫通用ボルト孔100aと基礎Xを貫通可能な長さのボルト6を挿入する。そして、基礎内側ボルト孔20aから基礎Xに埋め込んだボルト6の雄ねじ部を突出させ、この雄ネジ部にナット7を締め込む。これで、耐震補強構造体Tの取り付けは終了し、基礎Xに対して、土台Yと柱Zが強固に結合される。また、特に、従来と比べると、基礎Xへの取付が強固なものとなっているから、直下型地震の強い縦揺れでもほぞ抜けを防ぐことができる。
なお、基礎取付部103の内側の中央に障害物がある場合は、左右2枚の第2補強部材20を用いて図10のように取付けるが、基礎取付部103の内側に障害物がない場合には、1枚ものの第2補強部200を用いれば良い。図11は、1枚で構成された第2補強部200を用いた場合の取付例を示したものである。
本発明は、上記第1実施例、第2実施例を組み合わせることにより最も最適な効果を得ることができる。例えば、一般的な木造家屋では、第1実施例の耐震補強構造体を4つのコーナー部に適用し、中間の壁部分には4乃至8個の第2実施例の耐震補強構造体を適用することが望ましい。また、第1補強部材及び第2補強部材の材質と厚さは特に限定されないが、十分な耐引抜力を得るためには、ステンレスであれば4mm以上、鉄であれば5mm以上の金物を用いることが望ましい。
なお、本発明は上記第1実施例、第2実施例に限らず、請求項に記載された技術的思想の範囲内で、適宜実施の形態を変更しても良いことはいうまでもない。例えば、柱取付用ボルト孔の数は実施例に示したものに限らず、必要に応じて4個以上設けても良い。土台取付用ボルト孔、基礎取付用ボルト孔、基礎貫通用ボルト孔に関しても同様であり、取付部分の面積や状態等に応じて、適宜必要な数のボルト孔を設けることができる。
本発明の耐震補強構造体は、建築物の種類を問わず取り付け可能であり、既設住宅への取り付けに適したものであるが、新築住宅にも適用可能なものである。
第1実施例の耐震補強構造体の第1の補強部材の一例を示す図であり、(a)は正面図(b)は側面図である。 第1実施例の耐震補強構造体の第1の補強部材の他の例を示す図であり、(a)は正面図(b)は側面図である。 第1実施例の耐震補強構造体の第2の補強部材の一例を示す図であり、(a)は正面図(b)は側面図(c)はワッシャーを示した図である。 第1実施例の耐震補強構造体を建築構造物のコーナー部分に取付けた状態を示す図であり、(a)は側面図(b)は断面図である。 図4(a)を上方向から見た図である。 図4(b)の要部を拡大すると共に、より望ましい実施形態を示した図である。 第2実施例の耐震補強構造体の第1補強部材を示す図であり、(a)は正面図(b)は側面図である。 第2実施例の耐震補強構造体の第2補強部材の一例を示す図であり、(a)は正面図(b)は側面図(c)は他の一例の正面図である。 第2実施例の耐震補強構造体を建物の壁面中間部に取付けた状態を示す図であり、(a)は側面図(b)は断面図である。 図9(a)を上方向から見た図である。 基礎取付部の内側に障害物が無い場合における取付例を示す図である。 地震発生時の家屋の状態を説明する図であり、(a)は横揺れの状態を、(b)は縦揺れによるほぞ抜けが生じた状態を、(c)は1階部分が倒壊した状態を示す図である。
符号の説明
T 耐震補強構造体
1 第1補強部材
1a 基礎貫通用ボルト孔
1c 土台取付用ボルト孔
1d 柱取付用ボルト孔
2 第2補強部材
2a 基礎内側ボルト孔
6 ボルト
7 ナット
X 基礎
Y 土台
Z 柱

Claims (1)

  1. 基礎の上に土台が固定され、前記土台の上に柱が固定される建築構造物を補強する耐震補強構造体であって、
    前記基礎、土台、柱の外壁側にそれぞれ取り付け可能なように、所要の位置に少なくとも基礎貫通用ボルト孔、土台取付用ボルト孔、柱取付用ボルト孔が穿設された第1補強部材と、
    所要の位置に基礎内側ボルト孔が穿設され、前記基礎貫通用ボルト孔と前記基礎と前記基礎内側ボルト孔を共に挿通するボルト及びそのナットにより、前記基礎の内側に取り付ける第2補強部材と、
    を備えたことを特徴とする耐震補強構造体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008121235A (ja) * 2006-11-10 2008-05-29 Misawa Homes Co Ltd 連結金具および基礎と柱の連結構造
JP2009167740A (ja) * 2008-01-18 2009-07-30 Uehara:Kk 耐震補強構造

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