JP2006264388A - 歩行者用エアバッグ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】インフレーターの出力増加を抑えることができて、かつ、膨張を完了させたエアバッグにより、歩行者の巻き込みを防止可能な歩行者用エアバッグ装置を提供すること。
【解決手段】本発明の歩行者用エアバッグ装置は、車両の前輪6の前方側における車体の下面側に、車体と路面との間で膨張可能なエアバッグ48を収納させて構成されている。エアバッグ48は、インフレーターの作動時に、歩行者の前方側からの巻き込みを防止可能に、膨張可能とされている。エアバッグ48が、膨張完了時に車幅方向の両端付近となる位置に配設されて車体と路面との間で膨張を完了させる柱状膨張部55・55と、柱状膨張部55間を連結するとともに、可撓性を有したシート状とされて、車体と路面との間を閉塞可能なように、車幅方向に沿って配設されるカバー部59と、から構成されている。
【選択図】図10
【解決手段】本発明の歩行者用エアバッグ装置は、車両の前輪6の前方側における車体の下面側に、車体と路面との間で膨張可能なエアバッグ48を収納させて構成されている。エアバッグ48は、インフレーターの作動時に、歩行者の前方側からの巻き込みを防止可能に、膨張可能とされている。エアバッグ48が、膨張完了時に車幅方向の両端付近となる位置に配設されて車体と路面との間で膨張を完了させる柱状膨張部55・55と、柱状膨張部55間を連結するとともに、可撓性を有したシート状とされて、車体と路面との間を閉塞可能なように、車幅方向に沿って配設されるカバー部59と、から構成されている。
【選択図】図10
Description
本発明は、車両の前輪の前方側における車体の下面側に、膨張可能なエアバッグを収納させ、作動時、歩行者の前方側からの巻き込みを防止可能に、エアバッグを膨張させる構成の歩行者用エアバッグ装置に関する。
従来、車両に搭載する歩行者用エアバッグ装置では、後輪側の車体下面と路面との間に膨張したエアバッグを配設させる構成のものがあった(例えば、特許文献1参照)。
特開平7−277114号公報
従来の歩行者用エアバッグ装置では、1つの袋状のエアバッグを、車体下面と路面との間のスペースを埋めるように展開膨張させる構成であった。特に、エアバッグ装置を車両の前輪側に配設させる場合、路面に転倒している歩行者の車体前端部下面側への巻き込みを防止するために、エアバッグを、下面側を路面と接触させるように、膨張させることが望ましい。しかし、従来の歩行者用エアバッグ装置のごとく、大型のタイヤを装着させたトラックに搭載させる場合、車体の下面と路面との間のスペースが大きいことから、エアバッグの容量も大きくなり、エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーターとして、出力の大きなものを使用する必要が生じていた。
本発明は、上述の課題を解決するものであり、インフレーターの出力増加を抑えることができて、かつ、膨張を完了させたエアバッグにより、歩行者の巻き込みを防止可能な歩行者用エアバッグ装置を提供することを目的とする。
本発明に係る歩行者用エアバッグ装置は、車両の前輪の前方側における車体の下面側に、車体と路面との間で膨張可能なエアバッグと、エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーターと、を収納させて構成され、インフレーターの作動時に、歩行者の前方側からの巻き込みを防止可能に、エアバッグを膨張させる構成の歩行者用エアバッグ装置であって、
エアバッグが、
インフレーターからの膨張用ガスを内部に流入させて膨張可能な構成とされるとともに、膨張完了時に少なくとも車幅方向の両端付近となる位置に配設されて、車体と路面との間で膨張を完了させる構成の柱状膨張部と、
可撓性を有したシート状とされて、膨張用ガスを流入させない構成とされるとともに、柱状膨張部の膨張完了時において、柱状膨張部間を連結して、車体と路面との間を閉塞可能なように、車幅方向に沿って配設されるカバー部と、
から構成されていることを特徴とする。
エアバッグが、
インフレーターからの膨張用ガスを内部に流入させて膨張可能な構成とされるとともに、膨張完了時に少なくとも車幅方向の両端付近となる位置に配設されて、車体と路面との間で膨張を完了させる構成の柱状膨張部と、
可撓性を有したシート状とされて、膨張用ガスを流入させない構成とされるとともに、柱状膨張部の膨張完了時において、柱状膨張部間を連結して、車体と路面との間を閉塞可能なように、車幅方向に沿って配設されるカバー部と、
から構成されていることを特徴とする。
本発明の歩行者用エアバッグ装置では、エアバッグに、膨張用ガスを流入させない構成のカバー部が配設されていることから、従来のごとく、1つの袋状のエアバッグを車体と路面との間を閉塞するように膨張させる構成のエアバッグ装置と比較して、エアバッグの膨張完了時の容積を、小さくすることができる。そのため、従来と比較して、インフレーターの出力増加を抑えることができる。
また、本発明の歩行者用エアバッグ装置では、柱状膨張部が、膨張完了時において、膨張完了時に少なくとも車幅方向の両端付近となる位置に配設される構成であるものの、柱状膨張部の間には、車体と路面との間を閉塞するように配設されるカバー部が、柱状膨張部間を連結するように車幅方向に沿って配設されていることから、エアバッグの膨張完了時において、仮に、歩行者が柱状膨張部間の部位に位置していても、カバー部が歩行者と干渉することとなり、歩行者の車体前端部下面(前輪)側への巻き込みを、防止することができる。
したがって、本発明の歩行者用エアバッグ装置では、インフレーターの出力増加を抑えることができて、かつ、膨張を完了させたエアバッグにより、歩行者の巻き込みを防止することができる。
また、上記構成の歩行者用エアバッグ装置において、エアバッグの膨張完了時に、カバー部を、柱状膨張部とともに、下端側を路面と接触させるように、配設させる構成とすれば、カバー部が車体下方の路面と接触する領域まで、上下に幅広く配設されることから、カバー部と路面との間に歩行者が侵入することを、一層、防止することができて、好ましい。
さらに、上記構成の歩行者用エアバッグ装置において、柱状膨張部を、カバー部の部位に、車幅方向に略沿ったテンションを発生させるように、膨張を完了させる構成とすれば、エアバッグの膨張完了時に、歩行者がカバー部と干渉した際に、カバー部がまくれ上がるのを防止することができて、歩行者の運動エネルギーが大きくとも、カバー部と路面との間に侵入することを、的確に防止することができる。
さらにまた、上記構成の歩行者用エアバッグ装置において、カバー部を、エアバッグの膨張完了時に、下端側を前方に位置させて上端側を後方に位置させるように、前後方向に沿って傾斜して配設させる構成としてもよく、このような構成とする場合にも、エアバッグの膨張完了時において、歩行者がカバー部と干渉した際に、歩行者がカバー部の上に載るような態様となって、カバー部が歩行者と干渉してまくれ上がるのを防止でき、カバー部と路面との間に歩行者が侵入することを、的確に防止することができる。
さらにまた、上記構成の歩行者用エアバッグ装置において、柱状膨張部を、車幅方向に沿って3個以上配設させる構成とし、
エアバッグの膨張完了時において、車幅方向における中央側に配設される中央側膨張部を、車幅方向の端部側に配設される端部側膨張部よりも、前方に位置させる構成として、
カバー部を、膨張完了時の中央側膨張部と端部側膨張部の前面側に、配設させた構成とすることが好ましい。
エアバッグの膨張完了時において、車幅方向における中央側に配設される中央側膨張部を、車幅方向の端部側に配設される端部側膨張部よりも、前方に位置させる構成として、
カバー部を、膨張完了時の中央側膨張部と端部側膨張部の前面側に、配設させた構成とすることが好ましい。
上記構成の歩行者用エアバッグ装置では、中央側膨張部と各端部側膨張部との間において、前面側に配設されるカバー部が、それぞれ、車幅方向の中央側を前方側に位置させ、端部側を後方側に位置させるように、傾斜して配設されることから、エアバッグの膨張完了時において、歩行者がカバー部と干渉した際に、車両が前進していても、傾斜して配設されるカバー部によって、歩行者を、車両から外れた領域に、移動させることができる。その結果、歩行者の巻き込みを確実に防止することができて、好ましい。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態の歩行者用エアバッグ装置Sは、図1〜4に示すように、車両としてのトラックVに搭載されるものであり、前輪6・6の前方側における車体(ボディ)1の前端部1aの下面側に、配設されている。なお、これらの前輪6・6は、制動可能で、かつ、操舵可能として、配設されている。また、図1・2に示す符号7の部材はフロントバンパ、符号8の部材はスポイラーであり、これらの部材は、図示しないブラケット等を利用して、ボディ1側のフレーム2に取り付けられている。フレーム2は、実施形態の場合、前後方向に略沿って配設されるもので、左右方向に沿った2箇所に、平行に配設されている。
さらに、本明細書での前後・上下・左右の方向は、車両Vの直進状態を前方向とする基準として、車両Vの前後・上下・左右の方向と一致するように、対応させている。
歩行者用エアバッグ装置Sは、図1〜6に示すように、エアバッグ48、エアバッグ48に膨張用ガスを供給するインフレーター45、折り畳んだエアバッグ48とインフレーター45とを収納保持するケース16、及び、折り畳んだエアバッグ48の下面側を覆うカバー26、を備えて構成されている。
また、歩行者用エアバッグ装置Sは、歩行者の接近を検知する図示しないセンサをバンパ7の所定位置に配設させるとともに、このセンサからの信号を入力した図示しない制御装置が、歩行者と車両Vとの衝突を予測した際に、インフレーター45を作動させ、エアバッグ48に膨張用ガスを供給するように、構成されている。
インフレーター45は、実施形態の場合、左右方向に沿って複数(実施形態では3個)配設されている。各インフレーター45は、下端側に複数のガス吐出口45bを有した円柱状の本体部45aを備え、本体部45aの外周面には、略四角板状のフランジ部45cが突設されている。フランジ部45cには、エアバッグ48に形成される開口周縁とともにインフレーター45をケース16の天井壁部17に固定するためのリテーナ10のボルト10aを挿通させる取付孔45dが、形成されている。
ケース16は、下方を開口させた箱形状の板金製として、略水平方向に沿って配設される天井壁部17と、天井壁部17の外周縁の全周から下方に延びる筒状の側壁部23と、を備えて構成されている。実施形態の場合、ケース16は、左右方向の幅寸法を、左右両端側が前輪6・6の前方に位置するような寸法に、設定されている。また、天井壁部17の左右方向の中央付近となる位置には、円形に開口した複数(実施形態の場合、3個)の挿入孔18が、左右方向に沿って並設されている。各挿入孔18には、それぞれ、インフレーター45の円柱状の本体部45aが、上方から挿入されている。各挿入孔18の周縁には、それぞれ、4個ずつの取付孔19が、上下方向に貫通されている。これらの取付孔19には、各インフレーター45を天井壁部17の上面側から取り付け、また、エアバッグ48に設けられた各インフレーター45に対応する開口51の周縁52を、天井壁部17の下面側から取り付けて、周縁52からの膨張用ガスの漏れを防止するためのリテーナ10の各ボルト10aが、挿通されることとなる。
なお、各リテーナ10は、インフレーター45の本体部45aを挿通可能な孔を備えた略四角環状として、四隅に上方へ延びるボルト10aを設けて構成されている。そして、リテーナ10は、ボルト10aと、ボルト10aに締結されるナット11と、を利用して、エアバッグ48の開口51の周縁52とインフレーター45とを、天井壁部17に固定させる役目を果たしている。
さらに、天井壁部17の前後両縁側には、エアバッグ45の開口51の前後両側に配設される取付片部57を、天井壁部17の下面側に固定するための複数の取付孔20が、形成されている。各取付孔20には、取付片部57の各取付孔57aとともに、ボルト13が挿通され、そして、ボルト13にナット14が締結されることにより、エアバッグ48の取付片部57が、天井壁部17に固定されることとなる(図5参照)。
また、天井壁部17の挿入孔18の左右両側における前後両縁側には、ケース16をフレーム2に固定するための4個の取付孔21が、形成されている。各取付孔21には、ボルト22が挿通され、このボルト22をフレーム2に固着されたナット2aに締結されることにより、ケース16がボディ1側のフレーム2に固定されることとなる。
また、ケース16の側壁部23の下端には、略水平方向の外方へ延びるフランジ部23aが形成されており、このフランジ部23aに、図示しないクリップやボルト等の固定手段を利用して、カバー26が固定されている。カバー26は、合成樹脂等から形成されて、ケース16の下端側における側壁部23で囲まれた開口16aを覆うように配設されて、ケース16内に収納されたエアバッグ48が下方の路面GL側に膨張して突出できるように、エアバッグ48に押されて破断し、そして、前後方向両側に開くように、配設されている。なお、カバー26は、両開きでなく、後方側や前方側へ片開きで開くように構成してもよい。
エアバッグ48は、図7・8に示すように、可撓性を有したシート材から形成されるもので、内部に膨張用ガスを流入させて膨張可能とされる膨張部49と、膨張用ガスを流入させない構成のカバー部59と、から構成されている。
膨張部49は、ポリエステル糸やポリアミド糸等からなる織布から構成されるもので、実施形態の場合、膨張完了時に、ケース16の下部側において左右方向(車幅方向)の略全域にわたって配設される横膨張部50と、横膨張部50の左右両端側(車幅方向の両端付近)において、横膨張部50から下方に突出するように配設される柱状膨張部55・55と、から構成されている。横膨張部50は、膨張完了時の形状を略円柱状として、左右方向に略沿って配設されるとともに、路面GLとの間に隙間を設けるように、配設されるもので、実施形態の場合、横膨張部50は、膨張完了時における上下方向の幅寸法を、カバー26から路面GLまでの距離の1/2程度とするように、構成されている。各柱状膨張部55は、膨張完了時の形状を略球形とするとともに、膨張完了時の下面55a側を、路面GLと接触させるように、構成されている。
横膨張部50の左右方向の中央付近には、各インフレーター45を挿入させるための3個の円形のガス流入用開口51が形成されるとともに、各開口51の周縁52には、各リテーナ10のボルト10aを挿通させる取付孔53が形成されている。各柱状膨張部55は、横膨張部50の左右両端近傍と連通されており、横膨張部50を介して、インフレーター45からの膨張用ガスを流入させる構成である。また、横膨張部50は、膨張完了時の上面側における前後両縁側に配設される複数の取付片部57により、ケース16の天井壁部17に固定される構成である。取付片部57は、横膨張部50の上面側における前後両縁側において、それぞれ、左右方向に沿った5箇所に、前方側と後方側とに突出するように、配設されている。各取付片部57は、帯状とされて、先端側に、ボルト13を挿通可能な取付孔57aを備えている。
カバー部59は、膨張部49と同様に、ポリエステル糸やポリアミド糸等からなる織布から構成されて、実施形態の場合、長手方向を左右方向に略沿わせた長方形状とされて、エアバッグ48の膨張完了時における上端側を横膨張部の下面側に結合させ、左右両端側を各柱状膨張部55・55に結合させている。実施形態の場合、カバー部59は、エアバッグ48の膨張完了時において、図9・10に示すごとく、上端59a側を横膨張部50の後端近傍に位置させ、下端59b側を柱状膨張部55の前端近傍に位置させて、下端59b側を前方に位置させ上端59a側を後方に位置させるように、前後方向に沿って傾斜して配設されている。また、カバー部59は、エアバッグ48の膨張完了時に、下端59b側を路面GLと接触させるように、構成されている。すなわち、実施形態のエアバッグ48では、エアバッグ48の膨張完了時において、膨張部49と路面GLとの間にできる隙間を、閉塞するように、カバー部59が配設されることとなる。
また、実施形態のエアバッグ48では、横膨張部50の内部に、膨張用ガスを各柱状膨張部55まで迅速に供給できるように、整流布60を配設させている(図7・8参照)。整流布60は、エアバッグ48と同様に、ポリエステル糸やポリアミド糸等からなる織布から構成されるもので、開口51や取付孔53に対応する位置に、同形状の開口60aと貫通孔60bとが、配設されている。そして、この整流布60は、各リテーナ10とナット11とによって、エアバッグ48の開口周縁52とともに、ケース16の天井壁部17に取り付けられている。
さらに、実施形態のエアバッグ48では、車両搭載状態で膨張を完了させた際、前輪6・6の制動と操舵を可能に前輪6・6と路面GLとの接触状態を維持させ、かつ、歩行者の巻き込みを防止可能に、各柱状膨張部55の下面55aを路面GLに圧接させる内圧を確保して、路面GLと前輪6・6の前方側における車体1の前端部1aの下面との間を塞いで膨張するように、設定されている。
この実施形態の歩行者用エアバッグ装置Sでは、車両Vの歩行者との衝突を予測した際、図示しない制御装置が、インフレーター45に作動信号を入力することから、インフレーター45のガス吐出口45bから膨張用ガスが吐出される。そのため、ケース16に収納されていたエアバッグ48が、図1・2の二点鎖線や図9・10の実線で示すように、膨張して、カバー26を押し開いてケース16の開口16aから下方へ突出し、膨張を完了させて、路面GLと前輪6・6の前方側における車体1の前端部1aの下面との間を塞いで、各柱状膨張部55の下面55a側を路面GLに圧接させることとなる。
そして、実施形態の歩行者用エアバッグ装置Sでは、エアバッグ48に、膨張用ガスを流入させない構成のカバー部59が配設されていることから、従来のごとく、1つの袋状のエアバッグを車体と路面との間を閉塞するように膨張させる構成のエアバッグ装置と比較して、エアバッグ48の膨張完了時の容積を、小さくすることができる。そのため、従来と比較して、インフレーター45の出力増加を抑えることができる。
また、実施形態の歩行者用エアバッグ装置Sでは、柱状膨張部55・55が、膨張完了時において、膨張完了時に少なくとも車幅方向の両端付近となる位置に配設される構成であるものの、柱状膨張部55・55の間には、車体1の前端部1aと路面GLとの間を閉塞するように配設されるカバー部59が、柱状膨張部55・55間を連結するように車幅方向に沿って配設されていることから、エアバッグ48の膨張完了時において、仮に、歩行者が柱状膨張部55・55間の部位に位置していても、カバー部59が歩行者と干渉することとなり、歩行者の車体前端部1a下面(前輪6)側への巻き込みを、防止することができる。
したがって、実施形態の歩行者用エアバッグ装置Sでは、インフレーター45の出力増加を抑えることができて、かつ、膨張を完了させたエアバッグ48により、歩行者の巻き込みを防止することができる。
また、実施形態の歩行者用エアバッグ装置Sでは、エアバッグ48の膨張完了時に、カバー部59の下端59bが、柱状膨張部55の下面55aとともに、路面GLと接触するように配設される構成である。すなわち、実施形態の歩行者用エアバッグ装置Sでは、カバー部56が、車体下方の路面GLと接触する領域まで、上下に幅広く配設されることから、カバー部59と路面GLとの間に歩行者が侵入することを、一層、防止することができて、好ましい。勿論、このような点を考慮せず、かつ、カバー部が、柱状膨張部間に位置する歩行者と干渉可能な構成であれば、エアバッグの膨張完了時に、カバー部の下端と路面との間に隙間が配設される構成としてもよい。
さらにまた、実施形態の歩行者用エアバッグ装置Sでは、カバー部59が、図9に示すごとく、エアバッグ48の膨張完了時に、下端59b側を前方に位置させて上端59a側を後方に位置させるように、前後方向に沿って傾斜して配設されることから、エアバッグ48の膨張完了時において、歩行者がカバー部59と干渉した際に、歩行者がカバー部59の上に載るような態様となり、カバー部59が歩行者と干渉してまくれ上がるのを防止できて、カバー部59と路面GLとの間に歩行者が侵入することを、的確に防止することができる。勿論このような点を考慮しなければ、図9に二点鎖線で示すごとく、カバー部59を、膨張完了時のエアバッグ48の前後方向の略中央において、上下方向に略沿うように、配設させる構成としてもよい。
なお、実施形態のエアバッグ装置Sでは、膨張完了時に車幅方向の両端付近に配設される柱状膨張部55・55が、左右方向に沿って配設される横膨張部50により相互に連通されている構成であるが、本発明を適用可能なエアバッグの構成はこれに限られるものではなく、例えば、図11〜13に示すごとく、それぞれ、別体として構成される柱状膨張部64・64の間をカバー部で連結させた構成のエアバッグ63を使用してもよい。
エアバッグ63は、図11・12に示すごとく、2個の柱状膨張部64・64と、柱状膨張部64間を連結するカバー部69と、から構成されている。各柱状膨張部64は、膨張完了時に、前輪6の前方側に配設されるもので、膨張完了時の形状を軸方向を左右方向に沿わせた略三角柱形状とされている。各柱状膨張部64は、膨張完了時の上端側の部位64aに、ガス流入用の開口65と、リテーナを取り付けるための取付孔66と、を配設させて構成されている。また、各柱状膨張部64における膨張完了時の上端側の部位64aには、前述のエアバッグ48と同様に、ケースに固定させるための取付片部67が、前後両縁側において、それぞれ、前方側と後方側とに突出するように配設されている。
カバー部69は、ポリエステル糸やポリアミド糸等からなる織布から構成されており、断面略U字形状とされて、柱状膨張部64・64相互を、前面側と後面側と下面側との部位で連結するように、配設されている。すなわち、実施形態の場合、柱状膨張部64は、上端側の部位64aを除いた略全域において、カバー部69により、相互に連結されている。また、カバー部69の上端側の部位69aにも、取付片部70が、前後両縁側において、それぞれ、前方側と後方側とに突出するように複数個配設されている。そして、実施形態のエアバッグ63は、柱状膨張部64の下面64bとカバー部69の下面69bとを、ともに、路面GLと接触させるようにして、膨張を完了させる構成とされている。
エアバッグ装置として、図11〜13のエアバッグ63を使用する場合にも、膨張完了時に歩行者と干渉することとなるカバー部69の前面側の部位69cが、下端側を前方に位置させて上端側を後方に位置させるように、前後方向に沿って傾斜して配設されることから、エアバッグ63の膨張完了時において、歩行者がカバー部69の前面側の部位69cと干渉した際に、歩行者がこの前面側の部位69cの上に載るような態様となり、カバー部69と路面GLとの間に歩行者が侵入することを、的確に防止することができる。そして、実施形態のエアバッグ63では、エアバッグ63全体が、膨張完了時に、軸方向を左右方向に沿わせた略三角柱形状となり、各柱状膨張部64の下面64bと、カバー部69の長方形状の下面69bと、から構成される広い部位で、路面GLと接触することとなる。そのため、歩行者がカバー部69と干渉し、前面側部位69cがまくれ上がっても、下面69bが引き上げられ、一部をまくれ上げさせ、かつ、残部を路面GLに接触させた状態の下面69b側で歩行者を拘束できることから、歩行者がカバー部69(エアバッグ63)と路面GLとの間に侵入しがたく、歩行者の巻き込みを、一層的確に防止することができる。
さらに、エアバッグ72として、図14に示すごとく、それぞれ別体として構成される3個の柱状膨張部73・73・73と、各柱状膨張部73間を連結するように配設されるカバー部78と、から構成されるものを使用してもよい。
図14のエアバッグ72における各柱状膨張部73は、膨張完了時の形状を略球形状とされて、それぞれ、膨張完了時の上端側の部位73aに、ガス流入用の開口74と、リテーナを取り付けるための取付孔75と、を配設させて構成されている。そして、実施形態の場合、中央側に配設される中央側膨張部73Aが、車幅方向の端部側に配設される端部側膨張部73B・73Bよりも、前方側となる位置に、配設されている。各端部側膨張部73Bは、膨張完了時に、各前輪6の前側近傍となる位置に、配設されている。また、各柱状膨張部73における膨張完了時の上端側の部位73aには、前述のエアバッグ48・63と同様に、ケースに固定させるための取付片部76が、前後両縁側において、それぞれ、前方側と後方側とに突出するように配設されている。
カバー部78は、ポリエステル糸やポリアミド糸等からなる織布から構成されており、各柱状膨張部73の前面側の部位において、各柱状膨張部73相互を連結するように、配設されている。実施形態のエアバッグ72においても、各柱状膨張部73とカバー部78とは、エアバッグ72の膨張完了時に、それぞれ、下面73b側(下端78a側)を路面GLと接触させるように配設される構成である。
なお、このような構成のエアバッグ72を使用した歩行者用エアバッグ装置では、図15に示すごとく、エアバッグ72を収納するケース16Aは、左右方向に沿って配設される中央側部位16bと、中央側部位16bの左右両側において、車幅方向(左右方向)の端部側を後方側に位置させるように傾斜して配設される左側・右側部位16c・16dとから構成されることとなり、ケース16Aの開口16aを覆うカバー26Aも、ケース16Aに合わせて、車幅方向(左右方向)の端部側を後方に位置させるように、平面視において屈曲して構成されている。
上記構成のエアバッグ72を使用した歩行者用エアバッグ装置では、中央側膨張部73Aと各端部側膨張部73B・73Bとの間において、各柱状膨張部73A・73Bの前面側を連結するように配設されるカバー部78が、エアバッグ72の膨張完了時に、図16に示すごとく、それぞれ、車幅方向の中央78b側を前方側に位置させ、端部78c側を後方側に位置させるように、傾斜して配設されることから、エアバッグ72の膨張完了時において、歩行者がカバー部78と干渉した際に、車両が前進していても、傾斜して配設されるカバー部78によって、歩行者を、車両から外れた領域に、移動させることができる。その結果、歩行者の巻き込みを確実に防止することができて、好ましい。
さらにまた、エアバッグ84として、図17に示すように、下端85a側を車幅方向に沿って拡開させるように膨張を完了させる構成の2つの柱状膨張部85・85と、柱状膨張部85間を連結するように配設されるカバー部86と、から構成されるものを使用してもよい。このような構成のエアバッグ84では、各柱状膨張部85が、相互に離隔するように斜め下方に向かって突出することとなり、膨張完了時のカバー部86の下端86a付近の部位に、各柱状膨張部85の膨張に伴って、車幅方向(左右方向)に沿ったテンションが発生することとなる。そのため、エアバッグ84の膨張完了時に、歩行者がカバー部86と干渉した際に、カバー部86がまくれ上がるのを防止することができて、歩行者の運動エネルギーが大きくとも、カバー部86と路面GLとの間に侵入することを、的確に防止することができる。
なお、実施形態のエアバッグ48・63・72・84では、カバー部59・69・78・86として、柱状膨張部55・64・73・85と同様にポリエステルやポリアミド糸等からなる織布から構成されるものが使用されているが、カバー部を構成する材料はこれに限られるものではなく、例えばネット状のシート部材や、合成樹脂製のフィルム状の部材等を使用して、カバー部を構成してもよい。
1…車体、
1a…前端部、
6…前輪、
16…ケース、
45…インフレーター、
48…エアバッグ、
51…開口、
55…柱状膨張部、
59…カバー部、
GL…路面、
V…車両、
S…歩行者用エアバッグ装置。
1a…前端部、
6…前輪、
16…ケース、
45…インフレーター、
48…エアバッグ、
51…開口、
55…柱状膨張部、
59…カバー部、
GL…路面、
V…車両、
S…歩行者用エアバッグ装置。
Claims (5)
- 車両の前輪の前方側における車体の下面側に、前記車体と路面との間で膨張可能なエアバッグと、該エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーターと、を収納させて構成され、前記インフレーターの作動時に、歩行者の前方側からの巻き込みを防止可能に、前記エアバッグを膨張させる構成の歩行者用エアバッグ装置であって、
前記エアバッグが、
前記インフレーターからの膨張用ガスを内部に流入させて膨張可能な構成とされるとともに、膨張完了時に少なくとも車幅方向の両端付近となる位置に配設されて、前記車体と前記路面との間で膨張を完了させる構成の柱状膨張部と、
可撓性を有したシート状とされて、前記膨張用ガスを流入させない構成とされるとともに、前記柱状膨張部の膨張完了時において、前記柱状膨張部間を連結して、前記車体と前記路面との間を閉塞可能なように、車幅方向に沿って配設されるカバー部と、
から構成されていることを特徴とする歩行者用エアバッグ装置。 - 前記エアバッグの膨張完了時に、前記カバー部が、前記柱状膨張部とともに、下端側を前記路面と接触させるように、配設されることを特徴とする請求項1に記載の歩行者用エアバッグ装置。
- 前記柱状膨張部が、前記カバー部の部位に、車幅方向に略沿ったテンションを発生させるように、膨張を完了させる構成であることを特徴とする請求項1又は2に記載の歩行者用エアバッグ装置。
- 前記カバー部が、前記エアバッグの膨張完了時に、下端側を前方に位置させて上端側を後方に位置させるように、前後方向に沿って傾斜して配設されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の歩行者用エアバッグ装置。
- 前記柱状膨張部が、車幅方向に沿って3個以上配設される構成とされ、
前記エアバッグの膨張完了時において、車幅方向における中央側に配設される中央側膨張部が、車幅方向の端部側に配設される端部側膨張部よりも、前方に位置するように、構成され、
前記カバー部が、膨張完了時の前記中央側膨張部と前記端部側膨張部の前面側に、配設されていることを特徴とする請求項1に記載の歩行者用エアバッグ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005082033A JP2006264388A (ja) | 2005-03-22 | 2005-03-22 | 歩行者用エアバッグ装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005082033A JP2006264388A (ja) | 2005-03-22 | 2005-03-22 | 歩行者用エアバッグ装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006264388A true JP2006264388A (ja) | 2006-10-05 |
Family
ID=37200815
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005082033A Withdrawn JP2006264388A (ja) | 2005-03-22 | 2005-03-22 | 歩行者用エアバッグ装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2006264388A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102011121724A1 (de) * | 2011-12-20 | 2013-06-20 | GM Global Technology Operations LLC (n. d. Gesetzen des Staates Delaware) | Gassack für eine Personenschutzeinrichtung |
US20150008065A1 (en) * | 2013-07-04 | 2015-01-08 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Vehicle behavior control apparatus |
-
2005
- 2005-03-22 JP JP2005082033A patent/JP2006264388A/ja not_active Withdrawn
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102011121724A1 (de) * | 2011-12-20 | 2013-06-20 | GM Global Technology Operations LLC (n. d. Gesetzen des Staates Delaware) | Gassack für eine Personenschutzeinrichtung |
US9221411B2 (en) | 2011-12-20 | 2015-12-29 | GM Global Technology Operations LLC | Gasbag for a personal protection device |
US20150008065A1 (en) * | 2013-07-04 | 2015-01-08 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Vehicle behavior control apparatus |
US9156420B2 (en) * | 2013-07-04 | 2015-10-13 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Vehicle behavior control apparatus |
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