JP2006264339A - 低硬度ロールの製法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ベースロールの研磨工程が不要(研磨レス)で、寸法精度が良好な状態での脱型が可能である離型性に優れた低硬度ロールの製法の製法を提供する。
【解決手段】軸体1とベース層からなるベースロールと、表層4とを備えた低硬度ロールの製法であって、特定のポリマー成分を用いて静摩擦係数が0.1〜0.8の表層用材料を調製する工程と、予めロール成形用金型21の内周面に上記表層用材料を塗布して表層4を形成する工程と、上記表層4を形成した金型21内に軸体1をセットし上記表層4と軸体1の空隙部に、特定のゴム成分を含有するベース層用材料を注型して、静摩擦力が2N/cm以上50N/cm未満のベースロールを作製する工程と、上記ベースロールと表層4とを金型21から脱型する工程とを有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、低硬度ロールの製法に関するものであり、詳しくは現像ロール、帯電ロール、転写ロール、トナー供給ロール、給紙ロール等の電子写真機器用部材に用いられる低硬度ロールの製法に関するものである。
電子写真機器用部材に用いられる現像ロール等のロールは、将来の高画質化の要求に対応するため、ベースロールの低硬度化が図られている。また、ベースロール表面へのゴミ、紙粉、トナー等の付着を防止するため、ベースロールの表面に表層を形成した2層以上の構成の低硬度ロールが一般に用いられている。
しかしながら、ベースロールを低硬度化するに従いベースロール表面の粘着性が増加するため、ベースロールを金型から脱型する際の離型性に劣る。そのため、ベースロールの寸法精度が悪くなるとともに、ベース層用材料の材料ロスが生じる等の問題がある。そこで、従来は、ベースロールを金型から脱型した後に、ベースロール表面を研磨してベースロール表面の寸法精度を上げた後、その表面に表層用材料をコーティング等により表層を形成して低硬度ロールを製造していた。そのため、ベースロールの研磨工程が必要になり、生産性に劣るという難点があった。このように、従来の製法では、寸法精度が良好な状態での脱型が不可能であり、寸法精度を上げるためのベースロールの研磨工程が必要であるという難点があった。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、ベースロールの研磨工程が不要(研磨レス)で、寸法精度が良好な状態での脱型が可能である離型性に優れた低硬度ロールの製法の提供をその目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明の低硬度ロールの製法は、軸体の外周面にベース層が形成されてなるベースロールと、このベースロールの外周面に形成される表層とを備えた低硬度ロールの製法であって、ポリマー成分として、ウレタン系ポリマー、アクリル系ポリマー、フッ素系ポリマーおよびポリエステル系ポリマーからなる群から選ばれた少なくとも一つを用い、静摩擦係数が0.1〜0.8の表層用材料を調製する工程と、予めロール成形用金型の内周面に上記表層用材料を塗布して表層を形成する工程と、上記表層を形成した金型内に軸体をセットし上記表層と軸体の空隙部に、発泡性ゴムおよび液状ゴムの少なくとも一方を含有するベース層用材料を注型して、静摩擦力が2N/cm以上50N/cm未満のベースロールを作製する工程と、上記ベースロールと表層とを金型から脱型する工程とを有するという構成をとる。
すなわち、本発明者らは、ベースロールの研磨工程が不要(研磨レス)で、寸法精度が良好な状態での脱型が可能である離型性に優れた低硬度ロールの製法について鋭意研究を重ねた。そして、まず、表層用材料の塗布工程に着目し、予め金型の内周面に表層を形成し、ついで、表層を形成した金型内に軸体をセットし、その表面にベース層を形成すると、ベース層と金型とが直接接することがないため、金型離型性に優れるとともに、ベース層用材料の材料ロスもなくなることを突き止めた。そして、この金型離型性の更なる向上を図るため研究開発を重ねた結果、上記表層用材料のポリマー成分として特定のものを選択し、静摩擦係数を特定の範囲に設定するとともに、上記ベース層用材料のゴム成分として特定のものを選択し、得られるベースロールの静摩擦力を特定の範囲に設定すると、金型から脱型する際の離型性が良好となるとともに、トナーや紙粉等の付着もなくなり画質がさらに良好となることを見いだし、本発明に到達した。
このように、本発明の低硬度ロールの製法は、予めロール成形用金型の内周面に、特定のポリマー成分を用いて調製された、静摩擦係数が0.1〜0.8の表層用材料を塗布して表層を形成した後、上記表層を形成した金型内に軸体をセットし上記表層と軸体の空隙部に、特定の材料を選択し、得られるベースロールの静摩擦力が特定の範囲となるよう設定された、特殊なベース層用材料を注型してベースロールを作製するものである。そのため、金型からベースロールを脱型する際に、ベース層と金型とが直接接することがないため、金型離型性に優れるとともに、ベース層用材料の材料ロスもない。したがって、本発明によると、ベースロールの研磨工程が不要(研磨レス)で、寸法精度が良好な状態での脱型が可能である。しかも、トナーや紙粉等の付着がなくなり画質がさらに良好となる。
また、上記表層用材料として、特定の中空ビーズを含有するものを用いると、表層表面部のセル径を制御しやすくなり静摩擦係数の制御が可能となるために、金型からの表層の脱型がさらに容易となるとともに、トナーや紙粉等の付着もなくなり画質がさらに良好となる。
つぎに、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の低硬度ロールの製法について、図1に示すような、軸体1の外周面にベース層2が形成され、さらにこのベース層2の外周面に表層4が形成されてなる2層構造の低硬度ロールを例に説明する。なお、図において、3は軸体1の外周面にベース層2が形成されてなるベースロールを示す。
すなわち、まず、図2に示すように、低硬度ロールのベース層2の軸方向の長さに略等しい長さの円筒型21と、この円筒型21の両端を閉塞するキャップ22,23とから構成されたロール成形用金型を準備する。そして、上記円筒型21の内周面に予め表層用材料をコーティング等により均一に塗布して、表層4を形成する。つぎに、上記表層4を形成した円筒型21内に軸体1をセットした後、上記表層4と軸体1との空隙部24にベース層用材料を注型し、これを必要に応じて加熱硬化させて、軸体1の外周面にベース層2が形成されてなるベースロール3を作製する。その後、上記ベースロール3と表層4とを円筒型21から脱型する。このようにして、前記図1に示したような、軸体1の外周面にベース層2が形成され、さらにこのベース層2の外周面に表層4が形成されてなる低硬度ロールを得ることができる。
このようにして得られる低硬度ロールにおける各層の厚みは、ロールの用途により異なるが、上記ベース層2の厚みは、通常、0.5〜10mmであり、好ましくは2〜5mmである。また、上記表層4の厚みは、通常、0.5〜500μmであり、好ましくは10〜100μmである。
上記ベースロール3は、低硬度化の点から、ロードセルを用いて測定した0.25mm圧縮応力が0.0001〜0.5MPaの範囲が好ましく、特に好ましくは0.01〜0.2MPaである。また、上記低硬度ロール(表層付)は、低硬度化と非粘着性の点から、ロードセルを用いて測定した0.25mm圧縮応力が0.002〜0.8MPaの範囲が好ましく、特に好ましくは0.01〜0.2MPaである。なお、上記圧縮応力は、例えば、東洋精機社製のロードセルを用いて、直径5mmの円柱を押し付けることにより測定することができる。
上記ベース層用材料としては、ベースロール3の静摩擦力を所定の範囲に調整し得るものでなければならず、例えば、ウレタンゴム,エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合ゴム(EPDM)等の発泡性ゴムや、ブタジエンゴム,イソプレンゴム,ブタジエン−イソプレン共重合ゴム、シリコーンゴム等の液状ゴム等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
なお、上記ベース層用材料には、上記発泡性ゴムや液状ゴム等に加えて、発泡剤、発泡助剤、架橋剤、触媒、整泡剤、導電剤、帯電防止剤、界面活性剤、難燃剤、溶剤、酸化防止剤、反応遅延剤、充填剤、補強剤等を必要に応じて配合しても差し支えない。
そして、上記ベース層用材料を用いて得られるベースロール3の静摩擦力は、2N/cm以上50N/cm未満の範囲に設定しなければならず、より好ましくは2〜20N/cmの範囲である。すなわち、ベースロール3の静摩擦力が50N/cm以上であると、成形時の内圧による影響が大きく、表層の効果が発揮できないおそれがあるからである。
上記ベースロール3の静摩擦力は、例えば、つぎのようにして測定することができる。すなわち、無電解ニッケルめっきを行った材質がSUM22の鉄板を水平に保ち、その鉄板上にベースロール3を置き、ベースロール3の両端に100g荷重をかけ、回転しないように規制した状態で、軸方向に引いた時の荷重を測定して静摩擦力を求めることができる。
上記表層用材料としては、静摩擦係数を所定の範囲にするために、ウレタン系ポリマー、アクリル系ポリマー、フッ素系ポリマー、ポリエステル系ポリマーが用いられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
上記ウレタン系ポリマーとしては、例えば、エーテル系、エステル系、脂肪族系ウレタンや、これらをシリコーン変性、フッ素変性したもの等があげられる。
上記アクリル系ポリマーとしては、例えば、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリヒドロキシメタクリレート、アクリルシリコーン系樹脂、アクリルフッ素系樹脂等があげられる。
上記フッ素系ポリマーとしては、例えば、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体、テトラフルオロプロパン−フッ化ビニリデン共重合体等があげられる。
上記ポリエステル系ポリマーとしては、例えば、ポリテレフタル酸エチレン、ポリテレフタル酸ブチレン等があげられる。
なお、上記表層用材料には、表面部のセル径制御のしやすさの点から、上記各ポリマーに加えて中空ビーズを配合することが好ましい。
上記中空ビーズとしては、例えば、マイクロビーズ、マイクロバルーン等があげられる。上記中空ビーズの平均粒径は、通常、5〜200μmの範囲であり、好ましくは15〜120μmである。
上記中空ビーズの配合割合は、上記各ポリマー100重量部(以下「部」と略す)に対して、10〜200部の範囲が好ましく、特に好ましくは30〜100部である。
また、上記表層用材料には、上記各ポリマー、中空ビーズに加えて、導電剤、架橋剤、溶剤、酸化防止剤、反応遅延剤、充填剤、補強剤等を必要に応じて配合しても差し支えない。
そして、上記表層用材料の静摩擦係数は、0.1〜0.8に設定する必要がある。すなわち、表層用材料の静摩擦係数が上記の範囲を外れると、金型からの表層の脱型が困難になるからである。
上記表層用材料の静摩擦係数は、例えば、静動摩擦係数計(協和界面化学社製)により、荷重100gで直径3mmの鋼球を用いて測定することができる。
なお、本発明の低硬度ロールの製法は、前記図1に示した2層構造のロールの製法に限定されるものではなく、ベース層と表層とを備えた2層以上の低硬度ロールであれば、いかなる構成のロールにも適用可能である。例えば、ベース層と表層との間に中間層を備えた3層構造のロールであっても製造可能である。また脱型した後の表層上にさらにコーティングや表面処理を行ってもよい。
そして、本発明の製法により得られる低硬度ロールは、例えば、電子写真機器用部材における現像ロール、帯電ロール、転写ロール、トナー供給ロール、給紙ロール等として好適に用いられる。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
〔実施例1〕
<表層用材料の調製>
シリコーン変性ウレタン樹脂(X22−2780、信越化学工業社製)100部に、アセチレンブラック(電気化学工業社製、デンカブラック)8部を配合し、これをロールを用いて混練して表層用材料(コーティング液)を調製した。
<現像ロールの作製>
まず、ロール成型用金型を準備し、この金型内周面に上記表層用材料(コーティング液)をコーティングして表層を形成した。一方、上記表層を形成した金型内に軸体である芯金(直径10mm、SUS304製)をセットした後、上記表層と芯金との空隙部に導電性シリコーンゴム(X34−935A/B、信越化学工業社製)を注型し、これを150℃×45分の条件で加熱してベースロールを作製した。そして、上記ベースロールと表層とを金型から脱型して、軸体の外周面に沿ってベース層(厚み5mm)が形成され、さらにその外周面に表層(厚み20μm)が形成されてなる現像ロールを作製した。
〔実施例2〕
<ベース層用材料の調製>
両末端にアリル基を有するポリイソブチレン(鐘淵化学工業社製、EPION600A)100部と、アセチレンブラック(電気化学工業社製、デンカブラック)10部と、架橋剤としてSiH化合物(鐘淵化学工業社製、CR−1)3部と、パラフィン系オイル(出光興産社製、ダイアナプロセスPW−380)50部とを配合し、ロールを用いて混練してベース層用材料を調製した。
<表層用材料の調製>
テトラフルオロプロパン−フッ化ビニリデン共重合体(エルフアトケムジャパン社製、カイナーSL)100部をメチルエチルケトン(MEK)500部に溶解し、アセチレンブラック(電気化学工業社製、デンカブラック)8部を分散して表層用材料(コーティング液)を調製した。
<帯電ロールの作製>
まず、ロール成型用金型を準備し、この金型内周面に上記表層用材料(コーティング液)をコーティングして表層を形成した。一方、上記表層を形成した金型内に軸体である芯金(直径10mm、SUS304製)をセットした後、上記表層と芯金との空隙部に上記ベース層用材料を注型し、これを150℃×45分の条件で加熱してベースロールを作製した。そして、上記ベースロールと表層とを金型から脱型して、軸体の外周面に沿ってベース層(厚み5mm)が形成され、さらにその外周面に表層(厚み12μm)が形成されてなる帯電ロールを作製した。
〔実施例3〕
<ベース層用材料の調製>
両末端にアリル基を有するポリプロピレングリコール(鐘淵化学工業社製、サイリルACX009A)100部と、アセチレンブラック(電気化学工業社製、デンカブラック)10部と、架橋剤としてSiH化合物(鐘淵化学工業社製、サイリルACX004C)5部とを配合し、ロールを用いて混練してベース層用材料を調製した。
<表層用材料の調製>
テトラフルオロプロパン−フッ化ビニリデン共重合体(エルフアトケムジャパン社製、カイナーSL)50部と、ポリエチルアクリレート50部とをメチルエチルケトン(MEK)500部に溶解し、アセチレンブラック(電気化学工業社製、デンカブラック)8部を分散して表層用材料(コーティング液)を調製した。
<転写ロールの作製>
まず、ロール成型用金型を準備し、この金型内周面に上記表層用材料(コーティング液)をコーティングして表層を形成した。一方、上記表層を形成した金型内に軸体である芯金(直径10mm、SUS304製)をセットした後、上記表層と芯金との空隙部に上記ベース層用材料を注型し、これを150℃×45分の条件で加熱してベースロールを作製した。そして、上記ベースロールと表層とを金型から脱型して、軸体の外周面に沿ってベース層(厚み5mm)が形成され、さらにその外周面に表層(厚み15μm)が形成されてなる転写ロールを作製した。
〔実施例4〕
<ベース層用材料の調製>
ポリオールであるポリプロピレングリコール(三洋化成社製、分子量3000)100部を、80℃にて1時間真空脱泡した後、ポリイソシアネートである4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)〔日本ポリウレタン工業社製、ミリオネートMT〕23部を添加し、窒素雰囲気下にて80℃で3時間反応させ、末端にNCO基を有するウレタンプレポリマーを作製した。このウレタンプレポリマー100部に対し、アセチレンブラック(電気化学工業社製、デンカブラック)10部と、可塑剤としてジオクチルフタレート(DOP)30部を添加混合した後、1,4ブタンジオール3部とトリメチロールプロパン2部を添加混合して、ベース層用材料を調製した。
<表層用材料の調製>
ポリウレタン系エラストマー(日本ポリウレタン工業社製、ニッポランDN5980)100部をメチルエチルケトン(MEK)500部に溶解し、アセチレンブラック(電気化学工業社製、デンカブラック)8部を分散して表層用材料(コーティング液)を調製した。
<給紙ロールの作製>
まず、ロール成型用金型を準備し、この金型内周面に上記表層用材料(コーティング液)をコーティングして表層を形成した。一方、上記表層を形成した金型内に軸体である芯金(直径10mm、SUS304製)をセットした後、上記表層と芯金との空隙部に上記ベース層用材料を注型し、これを150℃×45分の条件で加熱してベースロールを作製した。そして、上記ベースロールと表層とを金型から脱型して、軸体の外周面に沿ってベース層(厚み5mm)が形成され、さらにその外周面に表層(厚み20μm)が形成されてなる給紙ロールを作製した。
〔実施例5〕
<ベース層用材料の調製>
エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)〔住友化学工業社製、エスプレン532〕100部に、ステアリン酸1部、酸化亜鉛5部、アセチレンブラック(電気化学工業社製、デンカブラック)40部、パラフィンオイル(出光社製、ダイアナプロセスPW380)100部、TAIC3部、パーヘキサ25B40を6部混合して、ベース層用材料を調製した。
<表層用材料の調製>
テトラフルオロプロパン−フッ化ビニリデン共重合体(エルフアトケムジャパン社製、カイナーSL)100部をメチルエチルケトン(MEK)500部に溶解し、アセチレンブラック(電気化学工業社製、デンカブラック)8部を分散して表層用材料(コーティング液)を調製した。
<現像ロールの作製>
まず、ロール成型用金型を準備し、この金型内周面に上記表層用材料(コーティング液)をコーティングして表層を形成した。一方、上記表層を形成した金型内に軸体である芯金(直径10mm、SUS304製)をセットした後、上記表層と芯金との空隙部に上記ベース層用材料を注型し、これを150℃×45分の条件で加熱してベースロールを作製した。そして、上記ベースロールと表層とを金型から脱型して、軸体の外周面に沿ってベース層(厚み5mm)が形成され、さらにその外周面に表層(厚み34μm)が形成されてなる現像ロールを作製した。
〔実施例6〕
<ベース層用材料の調製>
エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)〔三井化学社製、EPT4010〕100部に、ステアリン酸1部、亜鉛華6部、炭酸カルシウム(ホワイトンSB)50部、アセチレンブラック(電気化学工業社製、デンカブラック)12部、パラフィンオイル(出光社製、ダイアナプロセスPW380)30部、硫黄1部、ノクセラーDM1部、サンセラーTT2部、セルマイクANを10部混合して、ベース層用材料を調製した。
<表層用材料の調製>
ポリウレタン系エラストマー(日本ポリウレタン工業社製、ニッポランDN5980)100部をメチルエチルケトン(MEK)500部に溶解し、アセチレンブラック(電気化学工業社製、デンカブラック)8部を分散して表層用材料(コーティング液)を調製した。
<現像ロールの作製>
まず、ロール成型用金型を準備し、この金型内周面に上記表層用材料(コーティング液)をコーティングして表層を形成した。一方、上記表層を形成した金型内に軸体である芯金(直径10mm、SUS304製)をセットした後、上記表層と芯金との空隙部に上記ベース層用材料を注型し、これを150℃×45分の条件で加熱してベースロールを作製した。そして、上記ベースロールと表層とを金型から脱型して、軸体の外周面に沿ってベース層(厚み5mm)が形成され、さらにその外周面に表層(厚み20μm)が形成されてなる現像ロールを作製した。
〔実施例7〕
<ベース層用材料の調製>
ポリオールであるポリオキシプロピレン(三井化学社製、EP550N)100部に、導電剤であるカーボンブラック(ケッチェンブラックインターナショナル社製、ケッチェンブラックEC)1.6部を加えて混合し、その後、発泡剤として水を1.8部、整泡剤として界面活性剤(日本ユニカー社製、L5466)0.2部、硬化触媒としてトリエチレンジアミン(花王社製)0.2部を添加混合してプレミックスポリオールを得た。これにポリイソシアネート(三井化学社製、TDI−100)を当量比でポリオール/ポリイソシアネート=110となるように添加混合し、ベース層用材料を調製した。
<表層用材料の調製>
ポリウレタン系エラストマー(日本ポリウレタン工業社製、ニッポランDN5980)100部をメチルエチルケトン(MEK)500部に溶解し、アセチレンブラック(電気化学工業社製、デンカブラック)8部と、マイクロビーズ(日本フィライト社製、エクスパンセル092DU120、平均粒径120μm)30部とを分散して表層用材料(コーティング液)を調製した。
<トナー供給ロールの作製>
まず、ロール成型用金型を準備し、この金型内周面に上記表層用材料(コーティング液)をコーティングして表層を形成した。一方、上記表層を形成した金型内に軸体である芯金(直径10mm、SUS304製)をセットした後、上記表層と芯金との空隙部に上記ベース層用材料を注型し、これを60℃×30分の条件で加熱してベースロールを作製した。そして、上記ベースロールと表層とを金型から脱型した。その後、表層表面を研磨し表面にマイクロビーズを露出させ表層表面を凹凸構造にした。このようにして、軸体の外周面に沿ってベース層(厚み5mm)が形成され、さらにその外周面に表層(厚み20μm)が形成されてなるトナー供給ロールを作製した。
〔実施例8〕
<ベース層用材料の調製>
実施例7と同様にして、ベース層用材料を調製した。
<中間層用材料の調製>
可溶性ナイロン(帝国化学社製、EF30T)100部と、アセチレンブラック(電気化学工業社製、デンカブラック)10部をメタノール500部に溶解した状態で混合し、さらにメラミン架橋剤(ユーラミンT−34)20部と、マイクロビーズ(日本フィライト社製、エフスパンセル092DU120、平均粒径120μm)30部を添加して、中間層用材料を調製した。
<表層用材料の調製>
ポリウレタン系エラストマー(日本ポリウレタン工業社製、ニッポランDN5980)100部をメチルエチルケトン(MEK)500部に溶解し、アセチレンブラック(電気化学工業社製、デンカブラック)8部と、マイクロビーズ(日本フィライト社製、エクスパンセル092DU120、平均粒径120μm)30部とを分散して表層用材料(コーティング液)を調製した。
<トナー供給ロールの作製>
まず、ロール成型用金型を準備し、この金型内周面に上記表層用材料(コーティング液)をコーティングした後、100℃で30分間乾燥させることにより表層を形成した。つぎに、上記表層の内周面に上記中間層用材料をコーティングした後、150℃で30分間乾燥架橋させることにより中間層を形成した。一方、上記表層および中間層を形成した金型内に軸体である芯金(直径10mm、SUS304製)をセットした後、上記中間層と芯金との空隙部に上記ベース層用材料を注型発泡させてベースロールを作製した。そして、上記ベースロールと中間層と表層とを金型から脱型した。その後、表層表面を研磨し表面にマイクロビーズを露出させ表層表面を凹凸構造にした。このようにして、軸体の外周面に沿ってベース層(厚み5mm)が形成され、さらにその外周面に中間層(厚み20μm)が形成され、さらにその外周面に表層(厚み20μm)が形成されてなるトナー供給ロールを作製した。
〔実施例9〕
<表層用材料の調製>
実施例4と同様にして、表層用材料を調製した。
<現像ロールの作製>
まず、ロール成型用金型を準備し、この金型内周面に上記表層用材料をコーティングして表層を形成した。一方、上記表層を形成した金型内に軸体である芯金(直径10mm、SUS304製)をセットした後、上記表層と芯金との空隙部にCIM用シリコーン(信越シリコーン社製、X34−387)を注型し、これを150℃×45分の条件で加熱してベースロールを作製した。そして、上記ベースロールと表層とを金型から脱型して、軸体の外周面に沿ってベース層(厚み5mm)が形成され、さらにその外周面に表層(厚み20μm)が形成されてなる現像ロールを作製した。
〔実施例10〕
<ベース層用材料の調製>
ポリオール(三菱化学社製、マイテックTN2193)100部と、プレポリマー(三菱化学社製、GP512A)14部と、アセチレンブラック(電気化学工業社製、デンカブラック)10部を混合して、ベース層用材料を調製した。
<表層用材料の調製>
実施例1と同様にして、表層用材料を調製した。
<現像ロールの作製>
まず、ロール成型用金型を準備し、この金型内周面に上記表層用材料をコーティングして表層を形成した。一方、上記表層を形成した金型内に軸体である芯金(直径10mm、SUS304製)をセットした後、上記表層と芯金との空隙部に上記ベース層用材料を注型し、これを150℃×45分の条件で加熱してベースロールを作製した。そして、上記ベースロールと表層とを金型から脱型して、軸体の外周面に沿ってベース層(厚み5mm)が形成され、さらにその外周面に表層(厚み20μm)が形成されてなる現像ロールを作製した。
〔比較例1〕
特開平11−212352号公報に準じて、現像ロールを作製した。すなわち、まず、ポリオールであるポリオキシプロピレン(三井東圧化学社製、EP550N)〔分子量3100、官能基数3.0〕100部に、導電剤であるカーボンブラック(ケッチェンブラックインターナショナル社製、ケッチェンブラックEC)1.6部(最終製品中の含有量として1.3重量%)と、発泡剤である水1.8部と、整泡剤(日本ユニカー社製、界面活性剤L5466)0.2部と、硬化触媒(花王社製、トリエチレンジアミン)0.2部とを添加混合して、粘度粘度4800mPa・sのプレミックスポリオールを得た。つぎに、このプレミックスポリオールに、2,4−トルエンジイソシアネート(三井東圧化学社製、TDI−100)をポリオール/ポリイソシアネートの当量比で110となるように添加混合し、シャフトを挿入した金型に注入して、60℃のオーブン中で30分間加熱することにより、発泡と同時に円柱状に成形固化させた。その後脱型して、中心にシャフトを有する非導電性ポリウレタンフォーム成形体A(密度0.08g/cm3 )を得た。最後に、上記非導電性ポリウレタンフォーム成形体A(ベースロール)の表面部に、バインダーであるアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)に導電剤(グラファイト)を配合してなる水性コート剤(日本黒鉛工業社製、バニーハイトGL−1)を含浸させた後、80〜90℃の温度で充分に乾燥して表層(導電性コート層)を形成し、ポリウレタンフォームロールを得た。なお、水性コート剤は目標とする電気抵抗となるよう、水で希釈して使用した。
〔比較例2〕
特開平11−160999号公報に準じて、現像ロールを作製した。すなわち、まず、分子量2500のポリイソプレンポリオール(OH価:47.1)100部にアセチレンブラック2.85部を配合し、混合機を用いて混合してポリオール組成物を調製した。このポリオール組成物を減圧下に攪拌して脱泡した後、クルードMDI(NCO%:31.7)を13.33部加えて2分間攪拌し、ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)0.001部を加え、3分間攪拌した。つぎに、これを金属シャフトを配置し予め90℃に加熱した金型に注型し、90℃で12時間硬化させて金属シャフトの外周にベース層(導電性弾性層)を形成し、ローラを得た。つぎに、トルエン中にオイルフリーアルキッド樹脂およびメラミン樹脂をそれぞれ10重量%溶解し、さらに樹脂成分100部に対して10部のカーボンブラックを添加し分散せしめた塗料液中に、上記ローラを浸漬して引き上げ、これを100℃にて5時間加熱し、架橋硬化した表層(樹脂層)を持つ構造のローラを作製した。
〔比較例3〕
特開2000−98764号公報に準じて、現像ロールを作製した。
<ベース層(発泡層)の形成>
官能基数3.0、重量平均分子量5000のポリエーテルポリオールに、トリレンジイソシアネートを反応させて得られたイソシアネート基6.7重量%を有するプレポリマー100部に対し、1,4−ブタンジオール6.46部、シリコーン系界面活性剤2部、ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)0.003部およびアセチレンブラック2.2部を添加し、混合機を用いて2分間攪拌して発泡層用成形材料を調製した。つぎに、外径8mmのシャフトを金型内にセットし、金型温度を60℃に加熱した後、これに上記発泡層用成形材料を注入し、60℃で12時間加熱硬化させた。脱型後研磨処理し、外径15mmのポリウレタンフォームからなる発泡層を有するローラを得た。
<表層(無発泡層)の形成>
水酸基価47.1mgKOH/g、官能基数2.4のポリイソプレンポリオール100部に対し、アセチレンブラック3.1部を添加し、真空で30分間攪拌しながら減圧脱泡した後、イソシアネート基含有量が31.7重量%の粗製ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート12.7部およびジブチル錫ジラウレート(DBTDL)0.001部を添加し、減圧脱泡しながら3分間攪拌して、無発泡層用形成材料を調製した。つぎに、上記で得られた発泡層が形成されたローラを金型内にセットし、金型温度を60℃に加熱した後、これに60℃に加熱された上記無発泡層用形成材料(60℃粘度28Pa・s)を注入し、90℃で16時間加熱硬化させた。脱型後、外径が16mmになるように研磨処理し、発泡層と無発泡層とからなる2層構造の弾性層を有するローラを作製した。
〔比較例4〕
<ベース層用材料の調製>
エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)〔三井化学社製、EPT4010〕100部に、ステアリン酸1部、亜鉛華6部、炭酸カルシウム(ホワイトンSB)50部、アセチレンブラック(電気化学工業社製、デンカブラック)12部、脂肪酸アミド(ライオンアクゾ社製、アーモスリップCP)3部、硫黄1部、ノクセラーDM1部、サンセラーTT2部、セルマイクANを10部混合して、ベース層用材料を調製した。
<表層用材料の調製>
比較例1と同様にして、表層用材料を調製した。
<現像ロールの作製>
上記ベース層用材料および表層用材料を用いて、実施例1と同様にして現像ロールを作製した。
〔比較例5〕
<ベース層用材料の調製>
ポリプロピレングリコール(三井化学社製、DIOL3000)100部、イオン導電剤(日本カーリット社製、LR147)0.1部、MDI(三井化学社製、コマモネートM200)4部を添加して、ベース層用材料を調製した。
<表層用材料の調製>
比較例3と同様にして、表層用材料を調製した。
<現像ロールの作製>
上記ベース層用材料および表層用材料を用いて、実施例1と同様にして現像ロールを作製した。
このようにして得られた実施例品および比較例品の各ロールを用いて、下記の基準に従い、各特性の評価を行った。これらの結果を、後記の表1〜表3に併せて示した。なお、ベースロール表面の研磨工程の有無を併記した。
〔表層用材料の静摩擦係数〕
前述した通り、静動摩擦係数計(協和界面化学社製)により、荷重100gで直径3mmの鋼球を用いて測定した。
〔ベースロールの静摩擦力〕
無電解ニッケルめっきを行った材質がSUM22の鉄板を水平に保ち、その鉄板上にベースロールを置き、ベースロールの両端に100g荷重をかけ、回転しないように規制した状態で、軸方向に引いた時の荷重を測定して静摩擦力を求めた。
〔圧縮応力〕
東洋精機社製のロードセルを用いて、ベースロールおよびロール(表層付)の0.25mm圧縮応力を直径5mmの円柱を押し付けることにより測定した。
〔金型離型性〕
ロール(表層付)あるいはベースロールを金型から脱型する時の、離型性を評価した。なお、評価は、表層(あるいは中間層)とベースロール間での剥離がなく、ベースロールの破壊もなく、型に表層が残留することなく取り出せるものを○、表層とベースロール間での剥離、ベースロールの破壊、型から取り出す時に表層が残留する、のいずれかに当てはまるものを×とした。
〔現像特性〕
現像ロールをプリンター(OKI社製、MICROLINE400)に組み込み1週間放置した後、環境〔低温低湿(15℃×10%RH)、常温常湿(25℃×50%RH)、高温高湿(35℃×85%RH)〕および電圧(0.1V、100V)変動下で文字画像をプリントして、画像を目視評価した。そして、細線の途切れがなく、画像のかすれが見られないものを○、細線の途切れがあり、画像のかすれが見られるものを×として評価した。
〔帯電特性〕
上記現像特性に準じて、ハーフトーンの画像を目視評価した。そして、画像に帯電ロールのへこみによる濃度の高いすじがあるものを×、すじがないものを○として評価した。
〔転写特性〕
上記現像特性に準じて、トナーの紙への転写性を評価した。そして、細線の途切れがなく、画像のかすれが見られないものを○、細線の途切れがあり、画像のかすれが見られるものを×として評価した。
〔給紙特性〕
コピー用紙(A4サイズ)を100枚置き、その紙を給紙ロールで引っ張りその力をトルクゲージを用いて測定した。そして、トルクが4±0.5Nの範囲内のものを○、この範囲から外れたものを×として評価した。
〔トナー供給耐久性〕
トナー供給ロールをプリンター(OKI社製、MICROLINE400)に組み込み、5000枚プリントした後のトナー供給ロールの状態を観察した。そして、トナーの詰まりがなく、画像への影響がないものを○、トナーの詰まりがあり、べた黒画像の濃度がマクベス濃度で1.1以下になったものを×として評価した。
Figure 2006264339
Figure 2006264339
Figure 2006264339
上記表の結果から、すべての実施例品は、予め金型内周面に表層を形成しているため、金型離型性に優れ、現像特性、帯電特性、転写特性、給紙特性、トナー供給耐久性に優れていることがわかる。
これに対して、比較例1〜3品は、金型内周面に予め表層を形成していないため、金型離型性に劣り、現像特性に劣ることもわかる。また、比較例4,5品は、予め金型内周面に表層を形成しているものの、表層用材料の静摩擦係数およびベースロールの静摩擦力が所定の範囲から外れるため、金型離型性に劣り、現像特性に劣ることもわかる。
本発明の製法により得られた低硬度ロールの一例を示す断面図である。 本発明の製法の一例を示す断面図である。
符号の説明
1 軸体
4 表層
21 円筒型
24 空隙部

Claims (2)

  1. 軸体の外周面にベース層が形成されてなるベースロールと、このベースロールの外周面に形成される表層とを備えた低硬度ロールの製法であって、ポリマー成分として、ウレタン系ポリマー、アクリル系ポリマー、フッ素系ポリマーおよびポリエステル系ポリマーからなる群から選ばれた少なくとも一つを用い、静摩擦係数が0.1〜0.8の表層用材料を調製する工程と、予めロール成形用金型の内周面に上記表層用材料を塗布して表層を形成する工程と、上記表層を形成した金型内に軸体をセットし上記表層と軸体の空隙部に、発泡性ゴムおよび液状ゴムの少なくとも一方を含有するベース層用材料を注型して、静摩擦力が2N/cm以上50N/cm未満のベースロールを作製する工程と、上記ベースロールと表層とを金型から脱型する工程とを有することを特徴とする低硬度ロールの製法。
  2. 上記表層用材料が、平均粒径が5〜200μmの中空ビーズを含有している請求項1記載の低硬度ロールの製法。
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