JP2006264198A - 熱交換器用クラッド材およびその製造方法、ならびに熱交換器用管体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 低温ろう付が可能で、かつ耐食性および加工性に優れた熱交換器用クラッド材を提供する。
【解決手段】熱交換器用クラッド材(1)(2)は、アルミニウムまたはその合金からなる心材(10)の一面側に、銅またはその合金からなる第1銅層(11)がクラッドされ、さらにこの第1銅層(11)上にアルミニウムまたはその合金からなる第1アルミニウム層(12)がクラッドされてなる。そして、このクラッド材(1)(2)を、第1アルミニウム層(12)を外側にして管状に仮成形し、加熱し、加熱により形成されたAl−Cu系合金ろう材で管体(4)にろう付し、ろう付された管体(4)の外面にAl−Cu系合金ろう材層および第1銅層を残存させる。
【選択図】 図2
【解決手段】熱交換器用クラッド材(1)(2)は、アルミニウムまたはその合金からなる心材(10)の一面側に、銅またはその合金からなる第1銅層(11)がクラッドされ、さらにこの第1銅層(11)上にアルミニウムまたはその合金からなる第1アルミニウム層(12)がクラッドされてなる。そして、このクラッド材(1)(2)を、第1アルミニウム層(12)を外側にして管状に仮成形し、加熱し、加熱により形成されたAl−Cu系合金ろう材で管体(4)にろう付し、ろう付された管体(4)の外面にAl−Cu系合金ろう材層および第1銅層を残存させる。
【選択図】 図2
Description
この発明は、ろう付によって製作される熱交換器の構成部材、特にろう付性、耐食性を要求される部材材料として好適に用いられるクラッド材およびその製造方法、ならびにこのクラッド材を用いた熱交換器用管体およびその製造方法に関する。
アルミニウム材を低温域でろう付するために、Al−Si−Zn−Cu合金やAl−Cu−Zn−Si系合金からなる低温ろう材を用いる技術は既に知られている。しかし、前記低温ろう材は加工性が悪く、クラッド圧延が困難であり、ブレージングシートの皮材として用いることは困難であった(例えば、非特許文献1)。
このため、Si、Cu、Zn含有量を規定することによって加工性を改善したブレージングシートが提案されている(特許文献1参照)。
特開平11−179589号公報
田中哲、土公武宜、鹿野浩、大原伸昭、「Al−Cu−Zn−Si粉末ろう材を塗布した3003合金のろう付性試験とろう付過程の観察」、軽金属学会第100回春期大会公演概要、第209〜210頁、2001年
しかしながら、Al−Si−Cu−Zn系合金もしくはAl−Si−Zn−Cu系合金のろう材では融点が高いために560℃以下(特に520℃以下)でのろう付が困難であり、Al−Cu−Zn−Si系の合金では加工性が悪いという問題点があった。さらに、前記ろう材をクラッドしたブレージングシートを管体に成形してろう付した場合、ろう材中にCuが多量に含有されているために犠牲腐食層として働かず、管体の板厚方向への孔食が発生し易いという問題点があった。
本発明は、上述した背景技術に鑑み、低温ろう付が可能で、かつ耐食性および加工性に優れた熱交換器用クラッド材およびその製造方法を提供し、さらにこのクラッド材を用いた熱交換器用管体およびその製造方法、ならびに熱交換器の提供を目的とする。
即ち、本発明の熱交換器用クラッド材は下記〔1〕〜〔5〕に記載の構成を有する。
〔1〕 アルミニウムまたはその合金からなる心材の一面側に、銅またはその合金からなる第1銅層がクラッドされ、さらにこの第1銅層上にアルミニウムまたはその合金からなる第1アルミニウム層がクラッドされてなることを特徴とする熱交換器用クラッド材。
〔2〕 前記心材の他面側に、銅またはその合金からなる第2銅層がクラッドされ、さらにこの第2銅層上にアルミニウムまたはその合金からなる第2アルミニウム層がクラッドされてなる前項1に記載の熱交換器用クラッド材。
〔3〕 第1アルミニウム層と第1銅層の厚さの比が1:1〜1:100である請求項1または2に記載の熱交換器用クラッド材。
〔4〕 第1アルミニウム層はAl−Si系合金またはAl−Zn系合金からなる前項1〜3のいずれか1項に記載の熱交換器用クラッド材。
〔5〕 第1アルミニウム層を構成するアルミニウムまたはその合金は、心材を構成するアルミニウムまたはその合金よりも融点が低いものである前項1〜4のいずれか1項に記載の熱交換器用クラッド材。
また、本発明の熱交換器用クラッド材の製造方法は〔6〕に記載の構成を有する。
〔6〕 アルミニウムまたはその合金からなる心材の少なくと一面側に、銅またはその合金からなる第1銅層を重ね、さらに前記第1銅層上にアルミニウムまたはその合金からなる第1アルミニウム層を重ねてこれらをクラッドし、その後400〜520℃で0.5〜30時間の熱処理を施すことを特徴とする熱交換器用クラッド材の製造方法。
本発明の熱交換器用管体の製造方法は下記〔7〕〜〔9〕に記載の構成を有する。
〔7〕 前項1〜5のいずれか1項に記載された熱交換器用クラッド材を、第1アルミニウム層を外側にして管状に仮成形して加熱し、加熱により形成されたAl−Cu系合金ろう材で管体にろう付し、ろう付された管体の外面にAl−Cu系合金ろう材層および第1銅層を残存させることを特徴とする熱交換器用管体の製造方法。
〔8〕 430〜560℃でろう付する前項7に記載の熱交換器用管体の製造方法。
〔9〕 仮成形した管体の継ぎ目を下方に向けてろう付する前項7または8に記載の熱交換器用管体の製造方法。
また、本発明の熱交換器用管体は下記〔10〕〔11〕に記載の構成を有する。
〔10〕 前項7〜9のいずれか1項に記載された方法により製造されたことを特徴とする熱交換器用管体。
〔11〕 前記管体は熱交換チューブである前項10に記載の熱交換器用管体。
また、本発明の熱交換器の製造方法は下記〔12〕に記載の構成を有する。
〔12〕 前項1〜5のいずれか1項に記載された熱交換器用クラッド材を、第1アルミニウム層を外側にして管状の熱交換用チューブに仮成形し、仮成形した熱交換用チューブとフィンとを交互に重ねて仮組みし、加熱して熱交換チューブを管体にろう付するとともに熱交換用チューブとフィンとをろう付し、ろう付後の熱交換用チューブの外面側に第1銅層を残存させることを特徴とする熱交換器の製造方法。
〔1〕の発明に係る熱交換器用クラッド材は、心材の一面側に第1銅層と第1アルミニウム層が重ねてクラッドされたものであるから、一面側を外側にして管状に仮成形し、ろう付加熱すると、第1アルミニウム層および第1銅層の外側の部分が低温域で溶融してAl−Cu系合金ろう材となり、継ぎ目が接合されて管体となる。また、管体の外側にはAl−Cu系合金ろう材と第1銅層が一部が残存し、Al−Cu系合金ろう材が犠牲腐食層となって管体の耐食性を向上させる。また、第1銅層、第1アルミニウム層は、それ自体の加工性が良好であるため、良好にクラッドされかつ管状への仮成形も良好に行うことができる。
〔2〕の発明によれば、心材の他面側からも継ぎ目にろう材が供給されるため、ろう材量が不足することなく良好にろう付することができる。また、管体の内部に仕切部を配置する場合に、仕切部を管体の内壁にろう付することができる。
〔3〕の発明によれば、継ぎ目に適正量のろう材を供給できるとともに、心材表面に適正量の銅層を残存させて犠牲腐食層を形成できる。
〔4〕の発明によれば、適正なろう付温度が得られる。
〔5〕の発明によれば、低温ろう付を容易かつ確実に達成できる。
〔6〕の発明にかかる熱交換器用クラッド材の製造方法によれば、剥離強度の高いクラッド材を製造でき、ひいては管体への成形を良好に行うことができる。
〔7〕の発明に係る熱交換器用管体の製造方法によれば、ろう付によって管体の表面に犠牲腐食層が形成されるため、耐食性に優れた管体を製造できる。
〔8〕の発明によれば、特に耐食性に優れた管体を製造できる。
〔9〕の発明によれば、確実にろう材を継ぎ目に誘導することができる。
〔10〕の発明の管体は、外面に犠牲腐食層が形成されているため、優れた耐食性を有するものである。
〔11〕の発明の管体は、耐食性に優れた熱交換チューブである。
〔12〕の発明に係る熱交換器の製造方法によれば、仮成形した熱交換チューブの継ぎ目のろう付と、熱交換チューブとフィンとのろう付を同時に行うことができ、耐食性に優れた熱交換器を製造できる。
本発明は、熱交換器用管体の材料として心材の少なくとも一面側に銅層およびアルミニウム層が積層されたクラッド材を用い、このクラッド材の一面側を外側にして管状に成形し、管体にろう付するものである。
本発明において、管体の外側とは腐食環境にさらされる側であり、内側とは冷媒が流れる側とする。
図1Aおよび図1Bに、本発明に係る熱交換器用クラッド材(1)(2)の基本構成を示す。
熱交換器用クラッド材(1)は、心材(10)の一面側に、皮材として銅またはその第1銅層(11)と、アルミニウムまたはその第1アルミニウム層(12)が積層状にクラッドされている。前記熱交換器用クラッド材(1)は、図2に例示するように、第1アルミニウム層(12)を外側にして管状に仮成形し、両端面を突き合わせ、これを加熱して継ぎ目(13)をろう付することにより管体(4)となる。このろう付加熱において、第1アルミニウム層(12)と第1銅第(11)の第1アルミニウム層(12)側の部分は溶融してAl−Cu系合金ろう材となり、一部は継ぎ目(13)に誘導され、継ぎ目(13)に入り込んで接合に供される。このろう付においては、皮材として第1銅層(11)および第1アルミニウム層(12)がクラッドされているために、これらが融合してろう材の融点が降下し、560℃以下のろう付が可能となる。また、前記Al−Cu系合金ろう材は全部が継ぎ目(13)流れることはなく、溶融しなかった第1銅層(11)上に残存する。その結果、ろう付後の管体(4)は、心材(10)の外側に溶融しなかった第1銅層(11)の一部が存在し、さらにその外側にろう付によって形成されたAl−Cu系合金ろう材層が存在するものとなる。そして、前記Al−Cu系合金ろう材層は残存した第1銅層(11)の犠牲腐食層として働いて第1銅層(11)の腐食を防ぎ、ひいては管体(4)の板厚方向の腐食進行を抑制して管体(4)の耐食性を向上させる。また、第1銅層(11)上に残存したAl−Cu系合金ろう材は、管体(4)と他の部材とを接合するためのろう材として用いられる。
本発明の熱交換器用クラッド材は、図1Aに示すように、心材(10)の少なくとも一面側に第1銅層(11)と第1アルミニウム層(12)がクラッドされていれば管体(4)にろう付することができる。しかし、図1Bおよび図2に示すように、他面側にも、皮材として第2銅層(14)および第2アルミニウム層(15)をクラッドすることも好ましい。両面に皮材をクラッドすることにより、接合用金属量を増やしてろう不足によるろう付不良を確実に防止することができる。なお、他面側は管体(4)の内側となり外側のような高耐食性は必要とされないため、ろう付後に第2銅層(14)が心材(10)上に残存しなくても支障はなく、全部が溶融して継ぎ目(13)のろう付に供されても良い。
また、管体内に仕切部を配置すれば多孔管を製作することができ、管体の伝熱性能を向上させることができる。このような場合、心材(10)の他面側に第2銅層(14)および第2アルミニウム層(15)を有するクラッド材(2)を用いれば、これらの層によって仕切部を管体の内壁にろう付することができる。仕切部は管体と別の部材で製作しても良いし、管体を形成するクラッド材(2)で仕切部を成形しても良い。例えば、図3Aに示した管体(8)は、図2と同様の管体本体内に別途製作した波板形の仕切部(22)を挿入し、クラッド材(2)の他面側で仕切部(22)をろう付した多孔管である。また、図3Bは、クラッド材(2)を曲げ加工して突起(23)を形成し、さらに管状に成形して対向する突起(23)(23)をろう付することによって仕切部を形成した多孔管である。
前記熱交換器用クラッド材(1)(2)において、心材(10)、第1銅層(11)、第1アルミニウム層(12)は下記組成の材料を用いることが好ましい。
前記心材(10)は、アルミニウムまたはその合金である限り限定されず、周知の熱交換器構成材料を適宜使用できる。例えば、JIS 1000系のアルミニウム合金、微量のCu、Mnを添加したアルミニウム合金、JIS 3000系のアルミニウム合金を推奨できる。なお、心材(10)の厚さは限定されず、周知の熱交換器用材料と同等の厚さとすれば良い。具体的には、0.1〜1mmが好ましい。
第1銅層(11)の組成は、銅またはその合金である限り限定されず、純銅、または耐食性に影響を及ばさない範囲で諸元素が添加された銅合金を任意に用いることできる。添加元素としては、Sn,Ni,Mn,Al,Pb,Fe,Zn,P等が挙げられる。好ましい添加量は、例えば、Pでは0.1質量%以下である。また、心材(10)または第1アルミニウム層(12)との接合面における酸化物生成の抑制効果が大きく優れた接合力が得られる点で無酸素銅もしくはリン脱酸銅が好ましい。
第1アルミニウム層(12)の組成は、アルミニウムまたはその合金である限り特に限定されず、純アルミニウム、または諸元素が添加されたアルミニウム合金をを任意に用いることできる。添加元素としては、例えばFe、Si、Zn、Cu、Mn、Cr、Zr、Ni、Mg、Sn、In、Tiなどが挙げられる。特に好ましい添加元素はSiおよびZnであり、ろう付温度を下げることができる点で好ましい。具体的には、Si:6〜15質量%を含有するAl−Si系合金、あるいは、Zn:5〜20質量%を含有するAl−Zn系合金を推奨できる。また、添加する元素は1種類ではなく、必要に応じて複数の元素を添加しても良い。
また、第1アルミニウム層(12)を構成するアルミニウムまたはその合金は、心材(10)を構成するアルミニウムまたはその合金よりも融点が低いものを用いることが好ましい。融点差のある材料を用いることにより、低温ろう付を容易かつより確実に達成することができる。好ましい融点差は30℃以上である。
前記第1アルミニウム層(12)および第1銅層(11)の厚さは限定されないものの、第1アルミニウム層(12)が第1銅層(11)よりも厚くなると、第1アルミニウム層(12)を十分に溶融させるように加熱すると第1銅層(11)も溶融し、ろう付後に防食に必要とされる量の第1銅層(11)を残存させることが困難となるため、第1アルミニウム層(12)の厚さは第1銅層(11)と同等または第1銅層(11)よりも薄いことが好ましい。一方、第1アルミニウム層(12)の厚さが第1銅層(11)に対して過度に薄くなると、ろう材量が不足してろう付が困難になる。以上により、第1アルミニウム層(12)と第1銅層(11)の厚さの比(Al:Cu)は1:1〜1:100の範囲に設定されていることが好ましい。特に好ましい厚さの比(Al:Cu)は1:1.25〜1:50である。また、ろう材量を確保するために、第1アルミニウム層(12)の厚さは0.005〜0.3mmの範囲が好ましい。また、防食効果を確保するために、ろう付後に0.003〜0.3mmの厚さの銅層が残存していることが好ましい。
前記心材(10)の他面側にクラッドされる第2銅層(14)および第2アルミニウム層(15)の組成は、上述した第1銅層(11)および第1アルミニウム層(12)の組成に準じる。また、他面側においては、ろう付後に銅層を残存させる必要がないため、第2アルミニウム層(15)と第2銅層(14)の厚さの比は上記範囲を超えても良い。また、心材(10)の両面でアルミニウム層および銅層の組成や厚さ、これらの比率を等しくする必要はなく、異なっていても良い。
本発明の熱交換器用クラッド材(1)(2)は、周知のクラッド材の製造と同様に、心材および各層の材料を順次重ね合わせ、これらを所要厚さとなるように圧延することによって製作することができる。第1および第2アルミニウム層(12)(15)および銅層(11)(14)は、従来のAl−Si−Zn−Cu合金ろう材やAl−Cu−Zn−Si系合金ろう材に比べると加工性が良いので、心材(10)と各層(11)(12)(14)(15)は良好にクラッドされ一体化させることができる。
クラッド後は熱処理を施すことも好ましい。熱処理により、アルミニウム層(12)(15)と銅層(11)(14)との境界部、あるいは心材(10)と銅層(11)(14)との境界部に金属間化合物が生成、成長し、強度が高まって剥離強度が高まり、ひいては管状に仮成形するための曲げ加工時等にクラッド割れを防止する効果がある。熱処理条件は、400℃〜520℃に0.5〜30時間保持することが好ましい。400℃未満では金属間化合物の生成、成長が起こりにくいために剥離強度の向上効果が少なく、520℃を越える高温で熱処理を施すと、アルミニウム層(12)(15)が溶融してしまうおそれがあるためである。また、熱処理時間が0.5時間未満の場合は、熱処理が短すぎるために金属間化合物の生成、成長が起こりにくいために剥離強度の向上が少なく、30時間を越えると、金属間化合物が成長し過ぎるために、逆に剥離強度が低下するためである。特に好ましい熱処理温度は450〜500℃であり、特に好ましい処理時間は1〜20時間である。
本発明の熱交換器用クラッド材は、管状に仮成形し継ぎ目をろう付して管体とする。管体形状や管状への成形方法は何ら限定されず、ロール成形、プレス加工等を例示できる。また、継ぎ目構造は、図2に例示した端面の突き合わせに限定するものではなく、端部を重ねても良い。さらに端部を重ねる場合、平板状のクラッド材の端部を重ねる他、クラッド材の両端部に互いに係合する係合部を設けて接合しても良い。図3Cに例示した管体(5)では、クラッド材(6)の一端部にクラッド材(6)の厚さ方向に突出する2つの係合用突起(20)(20)を形成するとともに、他端部にクラッド材(6)の厚さ方向に1つの係合用突起(21)を形成し、突起(20)(21)(20)をかみ合わせるように係合させたものである。このように端部を重ねたり突起をかみ合わせることにより、管体の横断面における接合長さが拡大され、継ぎ目強度を向上させることができる。また、ろう付後に管体の継ぎ目に樹脂を塗布することにより、継ぎ目における耐食性を向上させることができる。
また、ろう付時には管体の継ぎ目を下方に向けて加熱することが好ましい。図2に例示した管体(4)の場合は、管体(4)を90°回転させて継ぎ目(13)が下側となるようにする。このような姿勢でろう付すれば、下方に流れたろう材が確実に継ぎ目(13)に誘導され、確実に良好にろう付される。
管体にろう付する際のろう付温度は特に限定されないが、皮材として銅層とアルミニウム層とをクラッドしたことにより低温域でのろう付が可能となり、430〜560℃の範囲を推奨できる。ろう付温度が430℃未満では温度が低すぎるためろう付ができず、560℃を越える範囲ではろう付温度が高すぎるために、ろう材の侵食によるエロージョンが発生するおそれがある。特に好ましいろう付温度は460〜540℃である。
本発明の熱交換器用管体の種類は限定されず、熱交換チューブまたはヘッダーを例示でき、特に熱交換チューブを推奨できる。
本発明の熱交換器用クラッド材は、熱交換チューブやヘッダーとして単独でろう付して管体に形成することができる。また、仮成形物として熱交換チューブやヘッダーを作製し、仮成形した熱交換チューブとフィンとを交互に重ね、あるいはさらに熱交換チューブの端部にヘッダーを連通状態に接続するように仮組みし、この仮組物を加熱して、管体形成と熱交換チューブ、フィン、ヘッダーの接合を同時に行うこともできる。
表1に示す実施例1〜7において、図1Bに示す、心材(10)の両面に第1および第2銅層(11)(14)を積層し、さらのにその外側に第1および第2アルミニウム層(12)(15)を積層した、5層構造のクラッド材(2)を作製した。
前記心材(10)の組成は各例で共通とし、Al−Mn系合金(融点650℃)を用いた。また、前記第1および第2銅層(11)(14)として、無酸素銅を用いた。また、前記第1および第2アルミニウム層(12)(15)として、純度99%のAl(融点650℃)、Si:10質量%を含み、残部Alおよび不可避不純物からなるAl−Si合金(融点580℃)、Zn:10質量%を含み、残部Alおよび不可避不純物からなるAl−Zn合金(融点620℃)のいずれかを用いた。
そして、第1アルミニウム層、第1銅層、心材、第2銅層、第2アルミニウム層となる平板を重ね、ワイヤーブラシでブラッシングしながら冷間圧延によりクラッドし、5層構造のクラッド材(2)を製作した。このクラッドにより、心材(10)の厚さは0.3mmとなり、第1および第2アルミニウム層(12)(15)、第1および第2銅層(11)(14)の厚さは表1に示すものとなった。また、アルミニウム層と銅層の厚さの比(Al:Cu)は表1に示すとおりである。
次に、実施例1〜3、5〜7のクラッド材について、表1に示す条件で熱処理を施した。
比較例1においては、実施例と同じ組成で厚さ0.3mmの心材の両面に、ろう材として、Cu:20質量%、Zn:20質量%、Si:5質量%を含有し、残部Alおよび不可避不純物からなるAl−Cu−Zn−Si合金粉末を樹脂とともに、0.05mmの厚さに塗布した。
比較例2においては、実施例と同じ心材の両面に、皮材として、Si:10質量%、Zn:5質量%、Cu:5質量%を含有し、残部Alおよび不可避不純物からなるAl−Si−Zn−Cu合金をクラッドし、3層構造のクラッド材を作製した。クラッド材における心材の厚さは0.3mm、各面の皮材の厚さは0.05mmである。
上述した実施例および比較例で作製した各クラッド材をロール成形により曲げ加工し、図2に示す扁平状チューブ(4)に仮成形した。実施例4のクラッド材は他の実施例のクラッド材よりも若干剥離強度が低かったが、支障なく管状に仮成形することができた。また、全ての実施例のクラッド材は比較例1,2よりも剥離強度が高く加工性が良好であった。
そして、図4に示すように、仮成形した扁平状チューブ(4)とJIS A3000系合金からなるフィン(7)とを交互に重ねて熱交換器のコア部を仮組みし、加熱炉内に、仮組みしたコア部をチューブ(4)の継ぎ目(13)を下方に向けて置き、低融点のセシウム系フラックスを用いて表1に示す条件でろう付した。ろう付品は、いずれもチューブ(4)の継ぎ目(13)が良好に接合され、またチューブ(4)とフィン(7)も良好に接合されていた。。
製作した各ろう付品に対し、下記の方法で耐食性試験およびろう付性試験を行った。評価結果を表1に併せて示す。
(耐食性試験)
ASTM−G85−A3に規定されたSWAAT試験を実施し、チューブの耐食性を調べた。腐食試験液として、ASTM D1141による人工海水に酢酸を添加してpH3に調製した液を用い、この腐食試験液を0.5時間噴霧−湿潤1.5時間を1サイクルとし、このサイクルを400時間実施するものとした。
(耐食性試験)
ASTM−G85−A3に規定されたSWAAT試験を実施し、チューブの耐食性を調べた。腐食試験液として、ASTM D1141による人工海水に酢酸を添加してpH3に調製した液を用い、この腐食試験液を0.5時間噴霧−湿潤1.5時間を1サイクルとし、このサイクルを400時間実施するものとした。
そして、上記腐食試験後のチューブを観察し、以下の基準で評価した。
○:腐食深さが第1銅層に達していないもの、あるいは第1銅層で止まっているもの
△:腐食深さが100〜150μmであるもの
×:孔食が発生したもの
(ろう付性)
ろう付後のチューブ(4)を観察し、以下の基準で評価した。
○:エロージョンが殆ど確認できないもの
△:エロージョンが発生し、第1銅層が存在するものの部分的に深く侵食されているもの
×:エロージョンが発生し、穴が貫通したもの、または第1銅層が消失したもの
○:腐食深さが第1銅層に達していないもの、あるいは第1銅層で止まっているもの
△:腐食深さが100〜150μmであるもの
×:孔食が発生したもの
(ろう付性)
ろう付後のチューブ(4)を観察し、以下の基準で評価した。
○:エロージョンが殆ど確認できないもの
△:エロージョンが発生し、第1銅層が存在するものの部分的に深く侵食されているもの
×:エロージョンが発生し、穴が貫通したもの、または第1銅層が消失したもの
表1の結果より、各実施例のチューブは低温域で良好にろう付され、優れた耐食性を有するものであることを確認した。
本発明の熱交換器用クラッド材は、低温ろう付が可能で優れた耐食性を有するものであるから、腐食環境で使用される熱交換器材料として用いることができる。
1,2…熱交換器用クラッド材
4…熱交換チューブ(管体)
10…心材
11…第1銅層
12…第1アルミニウム層
13…継ぎ目
14…第2銅層
15…第2アルミニウム層
4…熱交換チューブ(管体)
10…心材
11…第1銅層
12…第1アルミニウム層
13…継ぎ目
14…第2銅層
15…第2アルミニウム層
Claims (12)
- アルミニウムまたはその合金からなる心材の一面側に、銅またはその合金からなる第1銅層がクラッドされ、さらにこの第1銅層上にアルミニウムまたはその合金からなる第1アルミニウム層がクラッドされてなることを特徴とする熱交換器用クラッド材。
- 前記心材の他面側に、銅またはその合金からなる第2銅層がクラッドされ、さらにこの第2銅層上にアルミニウムまたはその合金からなる第2アルミニウム層がクラッドされてなる請求項1に記載の熱交換器用クラッド材。
- 第1アルミニウム層と第1銅層の厚さの比が1:1〜1:100である請求項1または2に記載の熱交換器用クラッド材。
- 第1アルミニウム層はAl−Si系合金またはAl−Zn系合金からなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱交換器用クラッド材。
- 第1アルミニウム層を構成するアルミニウムまたはその合金は、心材を構成するアルミニウムまたはその合金よりも融点が低いものである請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱交換器用クラッド材。
- アルミニウムまたはその合金からなる心材の少なくと一面側に、銅またはその合金からなる第1銅層を重ね、さらに前記第1銅層上にアルミニウムまたはその合金からなる第1アルミニウム層を重ねてこれらをクラッドし、その後400〜520℃で0.5〜30時間の熱処理を施すことを特徴とする熱交換器用クラッド材の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載された熱交換器用クラッド材を、第1アルミニウム層を外側にして管状に仮成形して加熱し、加熱により形成されたAl−Cu系合金ろう材で管体にろう付し、ろう付された管体の外面にAl−Cu系合金ろう材層および第1銅層を残存させることを特徴とする熱交換器用管体の製造方法。
- 430〜560℃でろう付する請求項7に記載の熱交換器用管体の製造方法。
- 仮成形した管体の継ぎ目を下方に向けてろう付する請求項7または8に記載の熱交換器用管体の製造方法。
- 請求項7〜9のいずれか1項に記載された方法により製造されたことを特徴とする熱交換器用管体。
- 前記管体は熱交換チューブである請求項10に記載の熱交換器用管体。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載された熱交換器用クラッド材を、第1アルミニウム層を外側にして管状の熱交換用チューブに仮成形し、仮成形した熱交換用チューブとフィンとを交互に重ねて仮組みし、加熱して熱交換チューブを管体にろう付するとともに熱交換用チューブとフィンとをろう付し、ろう付後の熱交換用チューブの外面側に第1銅層を残存させることを特徴とする熱交換器の製造方法。
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US8663813B2 (en) * | 2010-03-31 | 2014-03-04 | Halcor Metal Works S.A. | Seamless composite metal tube and method of manufacturing the same |
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