JP2006262850A - バター水分制御方法、又はチャーニングシリンダー回転数制御方法及びその装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 連続式バター製造におけるチャーニングシリンダー回転数を制御する方法であって、クリーム成分である全固形分、水分、乳脂肪分の少なくともいずれか1つの数値と、工程中のクリーム冷却温度、クリーム熟成時間、製造時クリーム温度、クリーム供給量の夫々の数値と、目標とするバター水分値を入力値として、ニューラルネットワークを用いて、連続式バター製造機のチャーニングシリンダー回転数を出力値として得て、チャーニングシリンダー回転数を設定する。
【選択図】 図1
Description
しかし、これらの因子の関係は、一定の関係式で表せるものではなく、その関係は非線形で、互いに関係し合っている複雑なものである。そこで、従来は完成品の品質を測定し、その状況に応じて、品質に影響する上記諸因子を、製造者の経験に基づいて変更し、再度品質を確認するという、いわゆるフィードバック方式での操業管理が行われていた。
この方式により目標とする高品質のバターを得ようとすると、製造者個人の経験と試行錯誤によるために精度が悪く、目標値に到達するまでにかなりの時間を要し、市場の需要に応じて毎日の生産量を増減させる現状の製造現場において、生産コストを下げる場合などに大きな問題点となっていた。
しかし、従来、連続式バター製造の方法ではないが、一般的に一定の関係式で表せない、互いに非線形に関係する多くの因子を用いて目標とする値を得る手段として、ニューラルネットワークを用いることは、下記特許文献にあるように公知である。
このような状況を鑑み、本発明は、実際の連続式バター製造の工程で使用することができる、ニューラルネットワークを用いた、連続式バター製造における制御方法及び制御装置を提供することを課題とする。
本件の第4の発明(請求項4の発明)は、ニューラルネットワークが入力層と中間層と出力層からなり、中間層のユニット数が4であることを特徴とする請求項2記載の連続式バター製造における連続式バター製造機のチャーニングシリンダー回転数制御方法である。
本件の第6の発明(請求項6の発明)は、クリームの水分又は乳脂肪分の計量手段と、クリーム冷却器に設けたクリーム温度検出センサーと、クリーム熟成時間の計測タイマーと、熟成終了後のクリーム温度検出センサーと、ワーキング後のバター水分値の計量手段と、過去のデータを用いて作成されたニューラルネットワークモデルを収納した記憶装置と、ニューロユニットを組み込んだ計算装置と、チャーニングシリンダー制御部を備え、これら計量手段及び検出センサーから得られる値を計算装置のニューロユニットに入力し、これら入力値と記憶装置のニューラルネットワークモデルとから得られる計算装置による計算結果を、チャーニングシリンダー制御部の入力値としてチャーニングシリンダー回転数を制御することを特徴とするチャーニングシリンダー回転数制御装置である。
本件の第8の発明(請求項8の発明)は、ニューロユニットが、入力層と、ユニット数が4の中間層と、出力層から成ることを特徴とする請求項6記載のチャーニングシリンダー回転数制御装置である。
風味は、原料乳、及び原料乳から製造されたクリームの組成により大きく影響されるが、その後の製造工程における、脂肪球の大きさや分布、酸度や水分含量にも影響される。展延性や硬さも同様である。脂肪球の大きさや分布は、チャーニングとワーキングによって大きく変動する。またチャーニングとワーキングの条件によりバター水分値も変動する。
本発明者らは、これら多くの非線形に関係する因子について、検討を重ねた結果、クリームと連続式バター製造機が与えられた場合、最終製品である所望のバター水分値と、その水分値が得られるようにチャーニングシリンダーの運転条件を制御することにより、安定したバターの連続製造ができることを見いだした。
また、ニューラルネットワークが非線形の関係にある多因子の数値を入力して、一つの値を出力して得ることは良く知られているとはいえ、実際には、出力層と入力層とを関係させる中間層を何層とするかにより、計算量が大きくなる。
これらの制約条件下で実製造に使用することができる、ニューラルネットワークに入力する因子と、ニューラルネットワークの中間層のユニット数について検討を進めた。
クリーム成分(X)としては、全固形分、水分、乳脂肪分があるが、これらの中の一つを実際の入力値として使用すれば良いことが分かった。
ニューラルネットワークは、実験又は実際の製造から、所望のバター水分値と、クリーム成分(X)と、製造条件であるクリーム冷却温度(T1)、クリーム熟成時間(t)、製造時クリーム温度(T2)、クリーム供給量(F)、及びチャーニングシリンダー回転数(R)の数値セットからなる学習用データを準備し、クリーム成分(X)、クリーム冷却温度(T1)、クリーム熟成時間(t)、製造時クリーム温度(T2)、クリーム供給量(F)の数値をニューラルネットワークの入力層に入力し、出力値であるチャーニングシリンダー回転数(R)が得られるように、中間層の結合の重みを繰り返し調整する。
図2は、本発明を実施する手順を示したものである。
これらのデータは、ニューラルネットワークへの入力用に、0と1の間の数値になるように最小値と最大値の間で比例変換し、標準化したものである。
実施例では、入力層1、中間層1、出力層1の3階層型のニューラルネットワークをモデリングに使用した。ニューラルネットワークの形成には、典型的なアルゴリズムの一つであるバックプロパゲーション(逆誤差伝搬)アルゴリズムを採用した。また、このニューラルネットワークは最急降下法によりネットワークの結合荷重を調節するデルタ則に基づいている。
また、中間層のユニット数は4とした。
ユニット数を変えることにより、ニューラルネットワークによる予測値と実測値の間の相関(精度)が変化するが、本発明の場合は、中間層のユニット数を4とすることで、実用的な精度と計算時間が得られるものとなった。
その結果を、図3に示した。評価用データに対する予測値と実測値の相関係数は0.970、予測値と実測値の回転数差は最大で40rpmであり、精度良くチャーニングシリンダー回転数を予測することができた。
また、表4に、評価用データのチャーニングシリンダー回転数と、ニューラルネットワークモデルで計算した回転数のRMS誤差と相関係数を示した。
連続式バター製造機のワーキング部には、マイクロ波、赤外線、近赤外線などを応用した市販の水分計が設置され、測定データは逐次インターフェースを通じてニューロユニットに送られる。
記憶装置に蓄積された過去のデータを用いて作成したニューラルネットワークモデルを用い、その時のバター水分値、クリーム成分(X)、クリーム冷却温度(T1)、クリーム熟成時間(t)、製造時クリーム温度(T2)、クリーム供給量(F)のデータセットから目標水分値に合致した最適チャーニングシリンダー回転数を計算する。この予測値は制御ユニットに送信され、モータ駆動部でチャーニングシリンダー回転数を制御する。このように、連続式バター製造は本発明を用いることにより、熟練者、非熟練者に関係なく、迅速にしかも安定して自動的に行うことができる。
Claims (8)
- 連続式バター製造におけるバター水分を制御する方法であって、クリーム成分のうち、全固形分、水分、乳脂肪分の少なくともいずれか1つの数値と、工程中でのクリーム冷却温度、クリーム熟成時間、製造時クリーム温度、クリーム供給量の夫々の数値に基づいて、ニューラルネットワークを用いて、連続式バター製造機のチャーニングシリンダー回転数、又はせん断速度を予測することにより、バター水分値を安定化することを特徴とするバター水分制御方法。
- 連続式バター製造機におけるチャーニングシリンダー回転数を制御する方法であって、クリーム成分のうち、全固形分、水分、乳脂肪分の少なくともいずれか1つの数値と、工程中でのクリーム冷却温度、クリーム熟成時間、製造時クリーム温度、クリーム供給量の夫々の数値と、目標とするバター水分値を入力値として、ニューラルネットワークを用いて、連続式バター製造機のチャーニングシリンダー回転数を出力値として得て、チャーニングシリンダー回転数を設定することを特徴とする連続式バター製造における連続式バター製造機のチャーニングシリンダー回転数制御方法。
- ニューラルネットワークが入力層と中間層と出力層からなり、中間層のユニット数が1であることを特徴とする請求項2記載の連続式バター製造における連続式バター製造機のチャーニングシリンダー回転数制御方法。
- ニューラルネットワークが入力層と中間層と出力層からなり、中間層のユニット数が4であることを特徴とする請求項2記載の連続式バター製造における連続式バター製造機のチャーニングシリンダー回転数制御方法。
- バター水分値を検出するセンサーと、前記センサーからの入力値、クリーム成分である全固形分、水分、乳脂肪分の少なくともいずれか1つの数値と、工程中でのクリーム冷却温度、クリーム熟成時間、製造時クリーム温度、クリーム供給量の学習用データに基づいて、ニューラルネットワークを形成し、連続式バター製造機のチャーニングシリンダー回転数、又はせん断速度を予測するニューロユニットから構成されることを特徴とするバター水分制御装置。
- クリームの水分又は乳脂肪分の計量手段と、クリーム冷却器に設けたクリーム温度検出センサーと、クリーム熟成時間の計測タイマーと、熟成終了後のクリーム温度検出センサーと、ワーキング後のバター水分値の計量手段と、過去のデータを用いて作成されたニューラルネットワークモデルを収納した記憶装置と、ニューロユニットを組み込んだ計算装置と、チャーニングシリンダー制御部を備え、これら計量手段及び検出センサーから得られる値を計算装置のニューロユニットに入力し、これら入力値と記憶装置のニューラルネットワークモデルとから得られる計算装置による計算結果を、チャーニングシリンダー制御部の入力値としてチャーニングシリンダー回転数を制御することを特徴とするチャーニングシリンダー回転数制御装置。
- ニューロユニットが、入力層と、ユニット数が1の中間層と、出力層から成ることを特徴とする請求項6記載のチャーニングシリンダー回転数制御装置。
- ニューロユニットが、入力層と、ユニット数が4の中間層と、出力層から成ることを特徴とする請求項6記載のチャーニングシリンダー回転数制御装置。
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