JP2006262834A - 核酸の塩基配列の決定方法及び該方法に基づく核酸の塩基配列解析装置 - Google Patents

核酸の塩基配列の決定方法及び該方法に基づく核酸の塩基配列解析装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 原理的に単一の核酸分子の塩基配列を、該核酸鎖を増幅することなく、高い確度で、直接的にその塩基配列を決定することが可能な手法の提供。
【解決手段】 解析対象の一本鎖の核酸分子を基板上に固定した上で、走査型プローブ顕微鏡を利用し、
(I)探針を用いて、該一本鎖核酸分子の核酸鎖に沿って、塩基の形状を解析する工程;
(II)標準核酸が形成された探針を用いて、該一本鎖核酸分子の核酸鎖に沿って、各塩基と標準核酸との相互作用の有無を解析する工程;
(III)前記2つの工程で得たれる結果に基づき、該一本鎖核酸分子の核酸鎖に沿って、存在している塩基の種類を特定し、当該核酸鎖の塩基配列を決定する工程;
からなる方法である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、核酸の塩基配列を決定する方法、ならびに該塩基配列決定方法に基づく、核酸の塩基配列を決定するための測定装置に関する。より具体的には、DNAまたはRNAなどの一本鎖核酸分子を対象として、走査型プローブ顕微鏡を利用して、前記一本鎖核酸分子の塩基配列を決定する方法、および、前記塩基配列決定方法の実施に適合する構成を具えた走査型プローブ顕微鏡型測定装置に関する。
DNAの塩基配列を決定する代表的な手法として、化学的方法によるマクサム・ギルバート法(Maxam・Gilbert法)や、酵素的方法によるサンガー法(Sanger法)が知られている。
マクサム・ギルバート法では、対象の一本鎖DNAの末端に標識を施し、塩基に特異的な化学反応を用いて、核酸鎖を切断し、その切断産物を電気泳動で分離する。分離された、末端に標識を有する切断産物の塩基長を測定し、その切断部位において切断を受けた塩基種の情報に基づき、全体の塩基配列の情報を再構築する。しかしながら、各切断産物の産生量が少ないため、感度が低い点、また、一連の化学的処理では、危険な化学試薬を使用する等の点から、現在では極稀に利用されるのみである。
一方、サンガー法は、対象の一本鎖DNAを鋳型として、DNAポリメラーゼによる修復合成を利用して、プライマーの3’末端に様々な長さの核酸鎖の伸長がなされたフラグメントを合成する。また、この種々の伸長鎖長の3’末端は、各塩基に特異的な標識を付された塩基で終端されている。各フラグメントを電気泳動で分離し、その塩基長を測定し、同時に、その3’末端の標識を付された塩基の種類を、該各塩基に特異的な標識を利用して特定する。各フラグメントの塩基長、その3’末端の塩基種類の情報に基づき、プライマーの3’末端に伸長されている核酸鎖の塩基配列を再構築する。すなわち、鋳型の一本鎖DNAと相補的な配列を有する増幅産物の塩基配列を決定することにより、それと相補的な鋳型の一本鎖DNAの塩基配列は決定される。また、RNAに対しては、通常、RNAを鋳型として、予め逆転写酵素を利用して、相補的な塩基配列を有するcDNAを合成する。次いで、このcDNAを鋳型として、前記の手法に基づき、該cDNAの塩基配列を決定することで、それと相補的なRNAの塩基配列が決定される。
サンガー法は、対象の一本鎖DNAを鋳型として、DNAポリメラーゼによって増幅される産物を利用するため、一般に、マクサム・ギルバート法よりも、検出感度が高いため、測定対象(鋳型)の一本鎖DNA自体の量が少なくてすむという利点がある。この利点から、サンガー法は、現状最も広く利用されている、RNA,DNAの塩基配列の決定手法である。
前記二種の解析手法は、化学的反応と電気泳動法に基づく塩基長分離の分析を組み合わせた解析法であるが、それとは異なる分析手段を採用する、走査型トンネル顕微鏡(以下STM)や原子間力顕微鏡(以下AFM)に代表される、走査型プローブ顕微鏡(以下SPM)技術を応用する解析法も提案され、利用も進められている。
STMは、鋭い導電性の探針を試料の表面に接近させて、試料と探針との間に流れるトンネル電流を測定しつつ、探針と試料とを相対的に二次元に走査させることで、試料の表面形状に関して、原子スケールの二次元的な情報を取得することができる。
AFMでは、カンチレバー状の探針を試料表面に接触あるいは接近させることで、試料と探針間の原子間力を測定しつつ、探針と試料とを相対的に二次元に走査させることで、試料の表面形状に関して、二次元的な二次元的な情報を取得することができる。
DNAは、アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)の4種類の塩基から構成されており、各塩基は、分子形状が異なっている。予め、SPM技術で測定して、各塩基部分の構造形状を認識しておく。一本鎖DNA分子について、その核酸鎖に沿って、存在している塩基の構造形状に関して、SPM技術で測定して、原子スケールの二次元的な情報を取得する。この二次元的な情報と、認識された各各塩基部分の構造形状とを対比することで、塩基の種類が特定される。従って、一本鎖DNA分子について、その核酸鎖に沿って測定された結果から、逐次的に塩基配列の情報を得ることが可能になる。
また、DNA分子を構成する各塩基は、水溶液中で、その相補的な塩基と、A−T,G−Cの塩基対を形成する特徴を利用し、一本鎖DNA分子に対して、水溶液中で、特定の塩基を作用させ、塩基対を形成させた後、この特定の塩基により塩基対が形成されたDNA分子の形状と元のDNA分子の形状を、SPM技術を応用して観測し、比較することで、塩基対の形成された部位を特定する手法が提案されている(特許文献1)。アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)の4種類の塩基について、順次この操作を繰り返すと、対象の一本鎖DNA上、それと相補的なチミン(T)、アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)が存在する部位が特定され、それらの情報を統合することで、DNAの塩基配列を決定する方法が開示されている。
特許第3368934号公報
マクサム・ギルバート法やサンガー法は、化学的反応、酵素反応と電気泳動法に基づく塩基長分離の分析を組み合わせた解析法であり、実際に、測定されるものは、原試料のDNA分子やRNA分子自体ではなく、化学的反応、酵素反応によって、調製される核酸断片である。すなわち、原試料のDNA分子やRNA分子自体を直接観測することにより、その塩基配列を決定する方法ではなく、核酸分子の塩基配列の特性を利用して、間接的に塩基配列の特定に必要な情報を入手する解析方法である。また、化学的反応、酵素反応によって、調製される核酸断片を測定するため、一定水準の測定感度を達成する上では、ある程度の核酸量が必要である。従って、原試料の核酸が少量である場合、その核酸を鋳型として、PCR法(ポリメラーゼチェイン反応:Polymerase Chain Reaction)による増幅を行う必要がある。通常、このPCR法を利用する増幅産物(二次試料)の調製を行う、前処理操作を設ける測定手順が採用されている。なお、PCR法を利用して、増幅産物を調製する際には、PCR用プライマーが必要であり、かかるPCR用プライマーの塩基配列を設計する上で利用される、部分的な塩基配列情報が必須である。
それに対して、SPM技術を応用した塩基配列の解析手法は、DNA分子自体を測定対象とし、その核酸鎖を構成する塩基の種類を特定する、直接的な塩基配列の決定手法である。STM法自体は、個々の原子に関して、その位置の識別も可能であり、塩基の分子構造自体を特定にも適用可能な高い分解能を有する測定方法である。但し、STM法を適用する場合、試料に導電性が必要であるため、DNAの観察を行う場合、必ずしも適当な手段とはいえない。一方、AFMは、非導電性試料の観察にも利用可能であるが、その分解能は、STMよりも劣るため、AFMの観察単独で、核酸鎖を構成している、個々の塩基について、その種類を特定することは困難である。
上述する特許第3368934号公報(特許文献1)に開示される手法では、一本鎖DNA試料を溶液中に浸して、その核酸鎖を構成する塩基に対して、A−T,C−Cの塩基対形成を利用して、特定の塩基を付加した上で、SPM技術を利用して、特定の塩基が付加されている塩基部位の形状変化を観察している。この特定の塩基が塩基対形成に伴って、結合されている塩基部位の位置情報から、核酸鎖全体の塩基配列を決定する方法である。すなわち、A,T,C,Gの4種の塩基に関して、各塩基が塩基対形成する塩基部位の位置情報を測定する必要があり、同じ塩基配列を有するDNA断片を複数個用意する必要がある。換言するならば、PCR増幅反応を利用して、予め同じ塩基配列を有するDNA断片からなる二次試料を準備する必要がある。また、特定の塩基との塩基対形成は、溶液中での処理が必要である。その観点では、原試料のDNAを用いて、直接的に塩基配列を決定する手法とは言えないものである。
従って、採取された原試料のDNAを用いて、直接的にその塩基配列を決定する手法の提案が望まれている。
本発明は、前記課題を解決するもので、本発明の目的は、原理的に単一の核酸分子の塩基配列を、該核酸鎖を増幅することなく、高い確度で、直接的にその塩基配列を決定することが可能な手法を提供することにある。
本発明者は、前記課題を解決すべく、鋭意検討を進めたところ、一本鎖DNAを構成する塩基と、A−T,C−Cの塩基対形成が可能な「相補的」な塩基とを近接させると、気相中においても、該塩基対の塩基間に見出される相互作用が引き起こされることを見出した。具体的には、一本鎖DNAを構成する塩基に対して、A,T,C,Gの4種の塩基のいずれかのみがn個連結してなるn−merDNA断片、An、Tn、Cn、Gnを近接させると、A−T,C−Cの塩基対形成過程に対応する、相互作用が引き起こされることを見出した。例えば、走査型プローブ顕微鏡において利用する、プローブ(探針)の先端に前記n−merDNA断片を結合させ、基板上に固定されている一本鎖DNAを構成する塩基に対して近接させると、前記相互作用が生じる。その際、原子間力の変化と同程度の変位が引き起こされ、利用している走査型プローブ顕微鏡の検出システムを利用することで、かかる変位を検出することが可能であることを見出した。すなわち、プローブ(探針)の先端に固定される、前記n−merDNA断片の塩基種類を変えると、それと「相補的」な塩基と近接させた場合にのみ、A−T,C−Cの塩基対形成過程に対応する、相互作用が引き起こされ、走査型プローブ顕微鏡の検出システムを利用することで、かかる相互作用の有無を検出することが可能であることを見出した。予め、基板上に固定されている、一本鎖DNA分子に関して、走査型プローブ顕微鏡、例えば、AFM(原子間力顕微鏡)を利用して、その核酸鎖に沿って、各塩基の存在する位置を特定しておき、同じ一本鎖DNA分子に対して、先端に前記n−merDNA断片を結合させたプローブ(探針)を用いて、各塩基の存在する位置の近傍を走査すると、A−T,C−Cの塩基対形成過程に対応する、相互作用の有無を検出することが可能であることを確認した。最終的に、該A,T,C,Gの4種の塩基がn個連結してなるn−merDNA断片、An、Tn、Cn、Gnを先端に結合したプローブ(探針)4種を用いて、相互作用の有無を測定した結果を総合すると、一本鎖DNA分子を構成する核酸鎖上の各塩基の種類を特定することができる。これらの知見に加え、上記の測定手法では、先端に前記n−merDNA断片を結合させたプローブ(探針)4種を使用して、同じ一本鎖DNA分子を測定するので、原理的に単一の核酸分子の塩基配列を、該核酸鎖を増幅することなく、高い確度で、直接的にその塩基配列を決定することが可能であることを検証し、本発明者は、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかる核酸の塩基配列の決定方法は、
走査型プローブ顕微鏡を応用して、基板上に固定された一本鎖核酸分子の塩基配列を決定する方法であって、
(I)探針を用いて、該一本鎖核酸分子の核酸鎖に沿って、塩基の形状を解析する工程;
(II)標準核酸が形成された探針を用いて、該一本鎖核酸分子の核酸鎖に沿って、各塩基と標準核酸との相互作用の有無を解析する工程;
(III)前記工程(I)、(II)で得たれる結果に基づき、該一本鎖核酸分子の核酸鎖に沿って、存在している塩基の種類を特定し、当該核酸鎖の塩基配列を決定する工程;
を有する
ことを特徴とする核酸の塩基配列の決定方法である。
本発明にかかる核酸の塩基配列の決定方法は、測定対象の一本鎖核酸分子は、基板上に固定した上で、走査型プローブ顕微鏡を利用して、
(I)探針を用いて、該一本鎖核酸分子の核酸鎖に沿って、塩基の形状を解析する工程;
(II)標準核酸が形成された探針を用いて、該一本鎖核酸分子の核酸鎖に沿って、各塩基と標準核酸との相互作用の有無を解析する工程;
(III)前記2つの工程で得たれる結果に基づき、該一本鎖核酸分子の核酸鎖に沿って、存在している塩基の種類を特定し、当該核酸鎖の塩基配列を決定する工程;
を採用しているので、採取された核酸分子試料をそのまま利用して、
原理的に単一の核酸分子の塩基配列を、高い確度で、直接的にその塩基配列を決定することが可能である。
以下に、本発明における好適な実施の形態に関して、説明する。
本発明にかかる核酸の塩基配列の決定方法では、一本鎖DNAを構成する塩基を特定する手段として、A−T,C−Cの塩基対形成が可能な、互いに「相補的」な二種の塩基を気相中で近接させた際に、該塩基対の塩基間に見出される相互作用が引き起こされるという現象を利用している。この塩基対の塩基間に見出される相互作用を、核酸鎖中に存在する塩基毎に検出するため、走査型プローブ顕微鏡の原子スケールの位置分解能を有するプローブ法を利用している。例えば、A,T,C,Gの4種の塩基について、各塩基がn個連結してなるn−merDNA断片、An、Tn、Cn、Gnを利用し、プローブ(探針)の先端に前記n−merDNA断片を結合させ、核酸鎖の塩基に対して、高い位置選択性で近接させることができる。基板上に固定されている、一本鎖DNAを構成する核酸鎖に沿って、先端に前記n−merDNA断片を結合させたプローブ(探針)を二次元的に走査させると、核酸鎖の各塩基に対して、「相補的」な塩基からなる、前記n−merDNA断片との相互作用の有無を検出できる。すなわち、この相互作用は、原子間力の変化と同程度の変位をプローブ(探針)に引き起こすので、利用している走査型プローブ顕微鏡の検出システムを利用することで、かかる変位を検出することが可能である。本発明の方法においては、最終的に、前述のA,T,C,Gの4種の塩基がn個連結してなるn−merDNA断片、An、Tn、Cn、Gnを先端に結合したプローブ(探針)4種を用いて、相互作用の有無を測定した結果を総合することで、一本鎖DNA分子を構成する核酸鎖上の各塩基の種類を特定している。

上述するように、本発明にかかる核酸の塩基配列の決定方法は、
走査型プローブ顕微鏡を応用して、基板上に固定された一本鎖核酸分子の塩基配列を決定する方法であって、
(I)探針を用いて、該一本鎖核酸分子の核酸鎖に沿って、塩基の形状を解析する工程;
(II)標準核酸が形成された探針を用いて、該一本鎖核酸分子の核酸鎖に沿って、各塩基と標準核酸との相互作用の有無を解析する工程;
(III)前記工程(I)、(II)で得たれる結果に基づき、該一本鎖核酸分子の核酸鎖に沿って、存在している塩基の種類を特定し、当該核酸鎖の塩基配列を決定する工程;
を有する
ことを特徴とする核酸の塩基配列の決定方法であるが、その際、
前記工程(II)で使用される標準核酸が形成された探針は、
アデニン、チミン、グアニン、シトシンのいずれか1つの塩基のみによって構成される一本鎖DNA4種を、前記標準核酸として選択してなる、4種の標準核酸が形成された探針であることが好ましい。
さらには、前記工程(II)で使用される標準核酸が形成された探針は、
探針の先端表面に前記標準核酸を結合してなる形態を有し、
該探針自体は、前記工程(I)で使用される探針と、同一の材質、形状を有する形態とすることが望ましい。
加えて、本発明は、上述する本発明にかかる核酸の塩基配列の決定方法に基づいた、塩基配列の決定原理を採用している、核酸の塩基配列解析装置の発明をも併せて提供し、
すなわち、本発明にかかる核酸の塩基配列解析装置は、
走査型プローブ顕微鏡型測定機構を備える、基板上に固定された一本鎖核酸分子の塩基配列解析装置であって、
(I) 基板上に固定された一本鎖核酸分子について、探針を用いて、その核酸鎖に沿って、塩基の形状の解析を行い、核酸鎖に沿った各塩基の存在位置情報を二次元的画像化可能な情報として取得する機構;
(II) 基板上に固定された前記一本鎖核酸分子について、標準核酸が形成された探針を用いて、該一本鎖核酸分子の核酸鎖に沿って、各塩基と標準核酸との相互作用の有無の解析を行い、核酸鎖に沿った各塩基の存在位置における、標準核酸との相互作用の有無の情報を二次元的画像化可能な情報として取得する機構;
(III) 前記(I)、(II)の測定機構で取得される情報に基づき、該一本鎖核酸分子の核酸鎖に沿って、存在している各塩基の種類を特定し、当該核酸鎖の塩基配列を示す一次元的情報に変換する機構;
を有する
ことを特徴とする核酸の塩基配列解析装置である。かかる塩基配列解析装置においても、
前記(II)の機構で使用される標準核酸が形成された探針は、
アデニン、チミン、グアニン、シトシンのいずれか1つの塩基のみによって構成される一本鎖DNA4種を、前記標準核酸として選択してなる、4種の標準核酸が形成された探針であることが好ましい。
さらには、前記(II)の機構で使用される標準核酸が形成された探針は、
探針の先端表面に前記標準核酸を結合してなる形態を有し、
該探針自体は、前記工程(I)で使用される探針と、同一の材質、形状を有する形態が望ましい。一方、前記走査型プローブ顕微鏡型測定機構は、
原子間力顕微鏡の装置構成を有する測定機構である構成を採用することがより好ましい。
特には、本発明にかかる核酸の塩基配列解析装置では、
前記(II)の機構における、
各塩基と標準核酸との相互作用の有無の検出方式は、
前記標準核酸が形成された探針を装備するカンチレバーの変位を検出する形態であることが好ましい。

以下に、本発明をより詳細に説明する。
本発明にかかる核酸の塩基配列の決定方法は、
走査型プローブ顕微鏡を応用して、基板上に固定された一本鎖核酸分子を対象として、
(I)探針を用いて、該一本鎖核酸分子の核酸鎖に沿って、塩基の形状を解析する工程;
(II)標準核酸が形成された探針を用いて、該一本鎖核酸分子の核酸鎖に沿って、各塩基と標準核酸との相互作用の有無を解析する工程;
の二つの測定工程と、
(III)前記工程(I)、(II)で得たれる結果に基づき、該一本鎖核酸分子の核酸鎖に沿って、存在している塩基の種類を特定し、当該核酸鎖の塩基配列を決定する工程;
とで、構成されている。以下では、工程(I)〜(III)について、それぞれ説明を加える。
工程(I)は、SPMを利用して、基板上に固定されている一本鎖核酸の形状、特には、各塩基
の形状を、探針を用いて測定することで、核酸鎖上の各塩基に関して、その位置情報を二次元的に採取する工程である。
基板上に固定した上で、測定に供される核酸は、一本鎖核酸分子である限り、DNA、RNA、cDNAまたはゲノムDNA等のいずれの核酸分子であってもよい。基板上に固定されている一本鎖核酸を対象とする測定には、SPMを利用するため、基板自体は高い平面性を有する表面を有するものを利用することが好ましい。具体的には、劈開したグラファイト、劈開した雲母、劈開した雲母の表面上に金蒸着膜を形成した基板、シリコン基板等が利用できる。
この基板表面上への一本鎖核酸分子の固定方法は、該一本鎖核酸の構造が変質しない手法であれば、特に限定されるものではない。通常は、一本鎖核酸を所定濃度含有する溶液を、基板上に滴下し、溶媒を蒸散させ、固着する方法や、一本鎖核酸を所定濃度含有する溶液内に基板ごと浸漬させ、基板表面に吸着させる方法などが利用できる。
基板表面に固定化した一本鎖核酸の形状をSPMを用いて解析する。一本鎖核酸自体は、電導性を示さないので、通常、AFMによる形状測定法が利用される。AFMは、接触型、非接触型、タッピング型(デジタルインスツルメント社の登録商標)等、幾つかの方式があるが、一本鎖核酸に関して、その核酸鎖に沿って、その形状を観測し、塩基の存在位置を特定できれば、いずれの方式を使用してもよい。その際、使用されるプローブ(探針)には、一般的なシリコン・プローブ、窒化シリコン・プローブ、カーボンナノチューブ等のプローブが、広く用いられている。加えて、導電性の有する基板上に固定されている一本鎖核酸分子に対しては、場合によっては、STMによる観察も可能である。
なお、基板表面に固定化した一本鎖核酸の形状、具体的には、核酸鎖に沿って、各塩基の存在位置を二次元的に測定可能であれば、直接的に形状を観察する以外のSPMの派生技術を応用することも可能である。
続いて、工程(II)では、予め、工程(I)において取得した、基板上に固定されている一本鎖核酸の形状情報、特には、その核酸鎖に沿って、各塩基の存在位置に基づいて、標準核酸が形成された探針を、前記一本鎖核酸を構成する各塩基の存在位置に近接させ、該塩基と標準核酸との間における相互作用の有無を測定する。
各塩基との間で、相互作用の有無を測定する際に利用する、前記標準核酸には、アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)の4種の塩基のうち、いずれか一種類の塩基のみが連結してなるDNA断片;例えば、A,T,C,Gの4種の塩基がn個連結してなるn−merDNA断片、An、Tn、Cn、Gnを利用する。この標準核酸を、探針の先端表面に結合させた、「標準核酸が形成された探針」を利用し、予め、判明している各塩基の存在位置に近接させ、該塩基と標準核酸との間における相互作用の有無を測定する。
この「標準核酸が形成された探針」を利用し、該塩基と標準核酸との間における相互作用の有無を測定する過程では、その位置選択精度は、前記工程(I)における精度と同等である必要がある。そのため、標準核酸を結合させる探針は、少なくとも、AFMで用いられている探針の先端と同程度の鋭さを有するものを利用する。従って、「標準核酸が形成された探針」の調製に利用される探針は、前記工程(I)において使用される探針と、同一の材質、形状を有するものを用いることが好ましい。その際、探針の先端は、より先鋭なものとすることが可能である。
該塩基と標準核酸との間における相互作用の有無を検出する手段としては、AFMにおいて、原子間力の変化に伴った探針位置の変位を検出する手段を利用することができる。代表的な手法としては、AFMでも利用されている、フォースカーブの手法が好適に応用できる。すなわち、プローブ探針の背面にレーザーを照射し、その反射光をフォトダイオード等の光検出器で検出する検出システムを利用する。プローブ探針を装備したカンチレバーの変位は、その背面に照射されているレーザー光の反射角を変化させる。カンチレバーの変位が無い状態では、反射されたレーザー光は、光検出器、通常分割(通常は上下2分割)したフォトダイオードに対して、各分割に均等に入射する状態に調整しておく。一方、カンチレバーが変位すると、反射されたレーザー光の光入射位置は、いずれかの分割に偏りを有するものとなり、各分割間のフォトダイオード出力差として検出される。
「標準核酸が形成された探針」の先端を、判明している各塩基の存在位置に近接させた際、相互作用が存在すると、カンチレバーの変位を引き起こす。この変位を検出し、相互作用の有無を解析する。
例えば、A,T,C,Gの4種の塩基がn個連結してなるn−merDNA断片、An、Tn、Cn、Gnをそれぞれ固定している「標準核酸が形成された探針」4種を用いて、各「標準核酸が形成された探針」によって、順次、4種のDNA断片との相互作用の有無を解析する。

工程(III)においては、前記工程(I)、(II)で得たれる結果に基づき、該一本鎖核酸分子の核酸鎖に沿って、存在している塩基の種類を、下記の判定基準に従って、特定する。
前記n−merDNA断片、An、Tn、Cn、Gnをそれぞれ固定している「標準核酸が形成された探針」4種を用いて、これら4種のDNA断片との相互作用の有無を解析した結果を比較する。その際、工程(I)で得たれる結果、核酸鎖に沿って、特定されている塩基の存在位置において、(i)その塩基がアデニン(A)である場合、
A−T塩基対の形成に対応する相互作用である、Tnを固定している「標準核酸が形成された探針」によって測定される相互作用が、特異的に検出される;
(ii)その塩基がチミン(T)である場合、
T−A塩基対の形成に対応する相互作用である、Anを固定している「標準核酸が形成された探針」によって測定される相互作用が、特異的に検出される;
(iii)その塩基がグアニン(G)である場合、
G−C塩基対の形成に対応する相互作用である、Cnを固定している「標準核酸が形成された探針」によって測定される相互作用が、特異的に検出される;
(iv)その塩基がシトシン(C)である場合、
C−G塩基対の形成に対応する相互作用である、Gnを固定している「標準核酸が形成された探針」によって測定される相互作用が、特異的に検出される。
上記の判定基準(i)〜(iv)の何れに対応するか、核酸鎖に沿って、特定されている各塩基について、順次決定すると、当該核酸鎖の塩基配列に相当する、一次元情報が得られる。

本発明にかかる核酸の塩基配列解析装置は、上述する本発明にかかる核酸の塩基配列の決定方法に基づいた、塩基配列の決定原理を採用している、核酸の塩基配列解析装置である。
すなわち、走査型プローブ顕微鏡型測定機構を備え、基板上に固定された一本鎖核酸分子を対象とする測定が可能となっている。また、上記工程(I)〜(III)の操作に対応して、
(I) 基板上に固定された一本鎖核酸分子について、探針を用いて、その核酸鎖に沿って、塩基の形状の解析を行い、核酸鎖に沿った各塩基の存在位置情報を二次元的画像化可能な情報として取得する機構;
(II) 基板上に固定された前記一本鎖核酸分子について、標準核酸が形成された探針を用いて、該一本鎖核酸分子の核酸鎖に沿って、各塩基と標準核酸との相互作用の有無の解析を行い、核酸鎖に沿った各塩基の存在位置における、標準核酸との相互作用の有無の情報を二次元的画像化可能な情報として取得する機構;
(III) 前記(I)、(II)の測定機構で取得される情報に基づき、該一本鎖核酸分子の核酸鎖に沿って、存在している各塩基の種類を特定し、当該核酸鎖の塩基配列を示す一次元的情報に変換する機構;
を具えた全体構成を採用している。その際、各(I)〜(III)の機構は、対応する工程(I)〜(III)の操作において、好適とされる態様に適合する、構成を選択すると、好適な態様の装置となっている。
以下に、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。以下に示す具体例は、本発明にかかる最良の実施形態の一例ではあるが、本発明はかかる具体的形態に限定されるものではない。

(実施例1)
(走査型プローブ顕微鏡観察用のDNA固定用基板の調製)
10mm×10mmの正方形の平面形状を有する天然マイカ(ニラコ社製)を用いて、その面に平行に劈開して、清浄な劈開面を作製した。次いで、劈開作業時に付着する破片等を、窒素ガスでブローして、除去し、マイカ基板として使用した。
用意したマイカ基板を、基板加熱が可能な真空蒸着装置内にセットして、蒸着室内を1×10-4Pa程度まで真空排気した。その後、マイカ基板を600℃で5時間程度アニールした。次いで、アニール処理済みマイカ基板の表面に、真空蒸着法により、金被覆層の形成した。真空蒸着装置付属の水晶振動子型の膜厚計で蒸着膜厚をモニターし、金被覆層の膜厚が、およそ10nmになるように調整した。引き続き、表面に金被覆層を設けたマイカ基板を550℃で5時間程度アニールして、DNA試料固定用の基板とした。
(基板表面へのDNA固定)
本実施例では、測定確度の検証を行う目的で、下記する既知の塩基配列(配列番号:1)を有する、塩基長20塩基の一本鎖DNAを使用した。該一本鎖DNAを所定濃度含む溶液を用意し、上で作製したDNA固定用基板表面の金被覆層上に滴下し、放置乾燥することにより、該金被覆層上に一本鎖DNAを固定し、解析用の試料とした。
3’− GACAATTAATAAATGGCGAA − 5’ (配列番号:1)
工程(I)として、固定されている一本鎖DNAの形状情報、すなわち、核酸鎖に沿って、塩基の存在する位置情報を取得するため、カーボンナノチューブ・プローブを用いて、非接触型モードの原子間力顕微鏡で、解析用試料を観察して、一本鎖DNAの形状を二次元画像化した。
一方、工程(II)で使用する標準核酸付きプローブとして、
カーボンナノチューブの先端に、アデニン(A)のみが20塩基連結された標準核酸鎖A20を結合した標準プローブA、
カーボンナノチューブの先端に、チミン(T)のみが20塩基連結された標準核酸鎖T20を結合した標準プローブB、
カーボンナノチューブの先端に、グアニン(G)のみが20塩基連結された標準核酸鎖G20を結合した標準プローブC、
カーボンナノチューブの先端に、シトシン(C)のみが20塩基連結された標準核酸鎖C20を結合した標準プローブD、
以上4種類の標準プローブを用意した。
工程(I)で得られた形状情報に従って、標準プローブAを用いて、該標準プローブAと一本鎖
DNAの塩基存在位置との間の距離を変化させながら、両者間の相互作用の有無を、核酸鎖に沿って、各塩基位置について、順次測定を行った。引き続き、同じ一本鎖DNAに対して、標準プローブB、標準プローブC、標準プローブDを用いて、同様の手順で、各標準プローブと塩基間の相互作用の有無を、核酸鎖に沿って、各塩基位置について、順次測定を行った。すなわち、工程(I)で決定された、一本鎖DNAの核酸鎖に沿った、塩基存在位置に対して、4種類の標準プローブA〜Dに結合されている、標準核酸鎖A20〜標準核酸鎖C20を近接させた際、相互作用の有無を反映する、4種の二次元画像化された情報が取得された。

続いて、工程(I)で得られた形状情報、工程(II)で得られた4種類の標準プローブA〜Dと
の相互作用の有無に関する測定の結果を、相互に比較しつつ、詳細に解析する。
基板上に固定されている一本鎖DNAにおいて、その核酸鎖の3’末端から、6、7、10、14番目の塩基の部位では、標準プローブAに対してのみ、特異的な相互作用が発生していることが判明した。すなわち、その核酸鎖の3’末端から、6、7、10、14番目の塩基は、A−T間に特徴的な相互作用に示しており、チミンであると判断された。
また、該核酸鎖の3’末端から、2、4、5、8、9、11〜13、19、20番目の塩基の部位では、標準プローブBに対してのみ、特異的な相互作用が発生していることが判明した。すなわち、該核酸鎖の3’末端から、2、4、5、8、9、11〜13、19、20番目の塩基は、T−A間に特徴的な相互作用に示しており、アデニンであると判断された。
該核酸鎖の3’末端から、3、17番目の塩基の部位では、標準プローブCに対してのみ、特異的な相互作用が発生していることが判明した。すなわち、該核酸鎖の3’末端から、3、17番目の塩基が、G−C間に特徴的な相互作用に示しており、シトシンであると判断された。
解析対象の一本鎖DNAは、工程(I)で得られた形状情報から、その核酸鎖は、20塩基で構
成されている点は判明しており、上述する結果から、該核酸鎖の3’末端から、1、15、16番目の塩基は、T,A,C以外の塩基、すなわち、グアニンであると推断された。実際に、該核酸鎖の3’末端から、1、15、16番目の塩基の部位では、標準プローブDに対してのみ、特異的な相互作用が発生していることが判明し、前記の推断結果と一致した。
以上の解析結果から、基板上に固定されている一本鎖DNAについて、その核酸鎖は、20塩基で構成されている点が確認され、また、該核酸鎖の3’末端から、20番目の塩基の部位に至る、全ての塩基の種類が特定された。また、決定された塩基配列は、上記の配列(配列番号:1)と合致している。

(実施例2)
本実施例では、同一塩基が連続する部分においても、塩基毎の測定確度は影響を受けないことの検証を行う目的で、下記する既知の塩基配列(配列番号:2)を有する、塩基長20塩基の一本鎖DNAを使用した。該一本鎖DNAを所定濃度(1〜0.1μg/ml)含む溶液を用意し、上で作製したDNA固定用基板表面の金被覆層上に滴下し、放置乾燥することにより、該金被覆層上に一本鎖DNAを固定し、解析用の試料とした。
3’− TTTTTTTTTTCCCCCCCCCC − 5’ (配列番号:2)
工程(I)として、固定されている一本鎖DNAの形状情報、すなわち、核酸鎖に沿って、塩基の存在する位置情報を取得するため、カーボンナノチューブ・プローブを用いて、非接触型モードの原子間力顕微鏡で、解析用試料を観察して、一本鎖DNAの形状を二次元画像化した。
一方、工程(II)で使用する標準核酸付きプローブとして、実施例1と同様に、標準プローブA〜Dの4種類の標準プローブを用意した。
解析対象の一本鎖DNAは、工程(I)で得られた形状情報から、その核酸鎖は、20塩基で構
成されている点は判明しており、その形状情報に従って、標準プローブAを用いて、該標準プローブAと一本鎖DNAの塩基存在位置との間の距離を変化させながら、両者間の相互作用の有無を、核酸鎖に沿って、各塩基位置について、順次測定を行った。その結果、該核酸鎖の3’末端から、1〜10番目の塩基の部位まで、連続して、A−T間に特徴的な相互作用が観測された。すなわち、該核酸鎖の3’末端から、1〜10番目の塩基は、何れもチミンであると判断された。次いで、標準プローブCを用いて、該標準プローブCと一本鎖DNAの塩基存在位置との間の距離を変化させながら、両者間の相互作用の有無を、核酸鎖に沿って、各塩基位置について、順次測定を行った。その結果、該核酸鎖の3’末端から、11〜20番目の塩基の部位まで、連続して、G−C間に特徴的な相互作用が観測された。すなわち、該核酸鎖の3’末端から、11〜20番目の塩基は、何れもシトシンであると判断された。
上述する、標準プローブA、標準プローブCを用いた測定結果が得られた時点で、解析対象の一本鎖DNAを構成する20塩基について、それらの塩基種類に関して、十分な確度の判断を下すに足りる測定結果が得られた。すなわち、工程(I)で得られた形状情報、標準プローブA、Cとの
相互作用の有無に関する測定の結果から、該核酸鎖の3’末端から、1〜10番目の塩基は、チミンであり、11〜20番目の塩基は、シトシンであると判断でき、上記の配列(配列番号:2)と合致した。
残る標準プローブB、標準プローブDを用いた測定を省略しても、塩基配列の決定の確度には、全く影響を及ぼさないと判断された。
本例では、その点に関しても、実際に検証する目的で、標準プローブB、標準プローブDを用いた測定を敢えて行ったが、それ標準プローブにより引き起こされる、T−A間に特徴的な相互作用、C−G間に特徴的な相互作用は、観測されなかった。従って、実際に、残る標準プローブB、標準プローブDを用いた測定を省略しても、塩基配列の決定の確度には、全く影響を及ぼさないことが検証された。
本発明にかかる核酸の塩基配列の決定方法は、少量の核酸試料を対象として、その塩基配列を高い確度で決定することが求められる際、最も好適に利用される。
本発明にかかる核酸の塩基配列決定方法における、各工程を模式的に示す図である。
符号の説明
1 基板
2 核酸
3 プローブ(探針カンチレバー)
4 標準核酸

Claims (8)

  1. 走査型プローブ顕微鏡を応用して、基板上に固定された一本鎖核酸分子の塩基配列を決定する方法であって、
    (I)探針を用いて、該一本鎖核酸分子の核酸鎖に沿って、塩基の形状を解析する工程;
    (II)標準核酸が形成された探針を用いて、該一本鎖核酸分子の核酸鎖に沿って、各塩基と標準核酸との相互作用の有無を解析する工程;
    (III)前記工程(I)、(II)で得たれる結果に基づき、該一本鎖核酸分子の核酸鎖に沿って、存在している塩基の種類を特定し、当該核酸鎖の塩基配列を決定する工程;
    を有する
    ことを特徴とする核酸の塩基配列の決定方法。
  2. 前記工程(II)で使用される標準核酸が形成された探針は、
    アデニン、チミン、グアニン、シトシンのいずれか1つの塩基のみによって構成される一本鎖DNA4種を、前記標準核酸として選択してなる、4種の標準核酸が形成された探針である
    ことを特徴とする請求項1に記載の塩基配列の決定方法。
  3. 前記工程(II)で使用される標準核酸が形成された探針は、
    探針の先端表面に前記標準核酸を結合してなる形態を有し、
    該探針自体は、前記工程(I)で使用される探針と、同一の材質、形状を有する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の塩基配列の決定方法。
  4. 走査型プローブ顕微鏡型測定機構を備える、基板上に固定された一本鎖核酸分子の塩基配列解析装置であって、
    (I) 基板上に固定された一本鎖核酸分子について、探針を用いて、その核酸鎖に沿って、塩基の形状の解析を行い、核酸鎖に沿った各塩基の存在位置情報を二次元的画像化可能な情報として取得する機構;
    (II) 基板上に固定された前記一本鎖核酸分子について、標準核酸が形成された探針を用いて、該一本鎖核酸分子の核酸鎖に沿って、各塩基と標準核酸との相互作用の有無の解析を行い、核酸鎖に沿った各塩基の存在位置における、標準核酸との相互作用の有無の情報を二次元的画像化可能な情報として取得する機構;
    (III)前記(I)、(II)の測定機構で取得される情報に基づき、該一本鎖核酸分子の核酸鎖に沿って、存在している各塩基の種類を特定し、当該核酸鎖の塩基配列を示す一次元的情報に変換する機構;
    を有する
    ことを特徴とする核酸の塩基配列解析装置。
  5. 前記(II)の機構で使用される標準核酸が形成された探針は、
    アデニン、チミン、グアニン、シトシンのいずれか1つの塩基のみによって構成される一本鎖DNA4種を、前記標準核酸として選択してなる、4種の標準核酸が形成された探針である
    ことを特徴とする請求項4に記載の塩基配列解析装置。
  6. 前記(II)の機構で使用される標準核酸が形成された探針は、
    探針の先端表面に前記標準核酸を結合してなる形態を有し、
    該探針自体は、前記工程(I)で使用される探針と、同一の材質、形状を有する
    ことを特徴とする請求項4または5に記載の塩基配列解析装置。
  7. 前記走査型プローブ顕微鏡型測定機構は、
    原子間力顕微鏡の装置構成を有する測定機構である
    ことを特徴とする請求項4に記載の塩基配列解析装置。
  8. 前記(II)の機構における、
    各塩基と標準核酸との相互作用の有無の検出方式は、
    前記標準核酸が形成された探針を装備するカンチレバーの変位を検出する形態である
    ことを特徴とする請求項4に記載の塩基配列解析装置。
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