JP2006256899A - 固結防止及び流動性を改良した硝酸マグネシウム組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 原料の硝酸マグネシウムの付着水分量に対応して、二酸化珪素、炭酸マグネシウム及び炭酸カルシウムからなる群より選ばれる1種又は2種以上を0.1〜25重量%の範囲で変量配合することによって、固結防止及び流動性を改良した硝酸マグネシウム組成物を得る。
【選択図面】 なし
Description
ガラス産業では、液晶用基板ガラス、光学ガラスなどの高品質ガラスの製造工程で、清澄剤(ガラス中の残存泡を少なくするために使用される薬剤)の機能を促進させるために必要な硝酸塩原料の一つとして、特に有用に使用されている。
しかしながら硝酸マグネシウムは、一般的に潮解性を有するため、硝酸マグネシウム製造後の保管及び輸送中に固結が起こりやすい。一般的に使用される25kg入り紙袋で国内輸送保管する場合、数日で固化が始まり、1週間後には何とか手でほぐせる程度に固結、1ヶ月後には袋を持ち上げ落下させても崩壊困難な程度に固化が進行する。特に、高温多湿の熱帯地方に海上輸送する場合は、輸送時間も長く、固化の防止が大きな問題となっている。
さらに、混合原料使用時、炉前貯蔵ホッパー内でブリッジを形成し原料の排出を阻害し、炉内への安定供給が乱れ、その結果液晶用基板ガラス、光学ガラス等の高品質を要求されるガラスの場合、品質不良、歩留まりの低下の一因となっている。
上記のように、硝酸マグネシウムの吸湿、潮解、固結は原料秤量装置の機械化、自動化を困難にし、これらを解決する為には特別の乾燥手段を必要とするなど経済的にマイナス面が大きい。
以上より固結しにくく、流動性が良く、べたつかない原料の硝酸マグネシウムが望まれている。
また、硫酸マグネシウムの場合には、乾燥等により結晶水量を減らし、低水和物とする方法が行われている。
一方、硝酸マグネシウムは、溶融急速冷却によっても結晶を含む水飴状となり、造粒及びフレーク化することが困難であり、約95℃で自己結晶水に溶解するため、低水和物とすることは困難である。また、硝酸マグネシウムは潮解性を有しているため、乾燥等により付着水分量を極力減らした場合でも、包装時等に空気中の水分を吸湿し、保存条件の変化、例えば、気温の変化により付着水への溶解、再結晶を繰り返し、固結を生じ、流動性が低下する。
また、特開平1−261484号公報のように、界面活性剤を用いた固結防止法が知られているが、有機物はガラスを製造する際、悪影響となるため配合することはできない。
すなわち、原料の硝酸マグネシウムの付着水分量が1重量%未満の場合には、二酸化珪素、炭酸マグネシウム及び炭酸カルシウムからなる群より選ばれる1種又は2種以上を0.1〜20重量%を配合することにより、固結防止、べたつき防止及び流動性を改良した硝酸マグネシウム組成物を得ることができた。
本発明で得られた硝酸マグネシウム組成物を、ガラス用原料、特に光学ガラス、液晶用基板ガラス原料に混合した場合、混合時間の短縮ができ、固結防止の効果を得ることができた。さらに、炉前ホッパー内でのブリッジ形成がなくなり、製造工程において作業性の改善を行うことができた。
(1)原料の硝酸マグネシウムの付着水分量に対応して、二酸化珪素、炭酸マグネシウム及び炭酸カルシウムからなる群より選ばれる1種又は2種以上を0.1〜25重量%の範囲で変量配合することによって、固結防止及び流動性を改良したことを特徴とする硝酸マグネシウム組成物。
(2)原料の硝酸マグネシウムの付着水分量が1%未満である場合に、二酸化珪素、炭酸マグネシウム及び炭酸カルシウムからなる群より選ばれる1種又は2種以上の配合量が0.1〜20重量%であることを特徴とする(1)の硝酸マグネシウム組成物。
(3)原料の硝酸マグネシウムの付着水分量が1〜5重量%である場合に、二酸化珪素、炭酸マグネシウム及び炭酸カルシウムからなる群より選ばれる1種又は2種以上の配合量が6〜25重量%であることを特徴とする(1)の硝酸マグネシウム組成物。
(4)各種ガラス原料であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかの硝酸マグネシウム組成物。
(5)硼珪酸ガラス原料であることを特徴とする(4)の硝酸マグネシウム組成物。
(6)光学ガラス原料であることを特徴とする(4)又は(5)の硝酸マグネシウム組成物。
(7)液晶用基板ガラス原料であることを特徴とする(4)又は(5)の硝酸マグネシウム組成物。
同様に改良剤の炭酸マグネシウムは、一般的に見かけ比重の差で重質と軽質に分類されるが、いずれでも良く、適宜選択し使用できる。
さらに、炭酸カルシウムは、製法により重質と軽質に分類されるが、いずれでも良く、適宜選択し使用できる。
すなわち、原料の硝酸マグネシウムの付着水分量が1重量%未満である場合、二酸化珪素、炭酸マグネシウム及び炭酸カルシウムの配合量は0.1〜20重量%の範囲が必要であり、硝酸マグネシウムの付着水分量が1〜5重量%である場合には、二酸化珪素、炭酸マグネシウム及び炭酸カルシウムの配合量は6〜25重量%が必要である。
グループA(比較例1〜比較例3)は、付着水分の異なる(0.8〜4重量%)硝酸マグネシウムの固結状態及び安息角を評価した。
硝酸マグネシウム(付着水量:0.8%)のみを14.8×10cm(厚さ:50μm)のポリエチレン袋に200g充填し、1.3N/cm2の加重を加え、1ヶ月後に固結防止効果の評価を行った。また、流動性の評価には、パウダテスター(ホソカワミクロン製)を使用し、安息角を測定した。
硝酸マグネシウム(付着水量:2%)のみをポリエチレン袋に詰め、比較例1と同様の評価を行った。
硝酸マグネシウム(付着水量:4%)のみをポリエチレン袋に詰め、比較例1と同様の評価を行った。
硝酸マグネシウム999.5g(付着水分量:0.8%)に炭酸マグネシウム0.5gを配合し(配合比率:0.05重量%)、万能混合機で10分間混合し、比較例1と同様の評価を行った。
硝酸マグネシウム950g(付着水分量:2%)に炭酸マグネシウム50gを配合し(配合比率:5重量%)、万能混合機で10分間混合し、比較例1と同様の評価を行った。
硝酸マグネシウム999.5g(付着水分量:0.8%)に二酸化珪素0.5gを配合し(配合比率:0.05重量%)、万能混合機で10分間混合し、比較例1と同様の評価を行った。
硝酸マグネシウム950g(付着水分量:2%)に二酸化珪素50gを配合し(配合比率:5重量%)、万能混合機で10分間混合し、比較例1と同様の評価を行った。
硝酸マグネシウム999.5g(付着水分量:0.8%)に炭酸カルシウム0.5gを配合し(配合比率:0.05重量%)、万能混合機で10分間混合し、比較例1と同様の評価を行った。
硝酸マグネシウム950g(付着水分量:2%)に炭酸カルシウム50gを配合し(配合比率:5重量%)、万能混合機で10分間混合し、比較例1と同様の評価を行った。
硝酸マグネシウム750g(付着水分量:2%)にアルミナ100gを配合し(配合比率:10重量%)、万能混合機で10分間混合し、比較例1と同様の評価を行った。
硝酸マグネシウム750g(付着水分量:2%)にメタ珪酸アルミン酸マグネシウム100gを配合し(配合比率:10重量%)、万能混合機で10分間混合し、比較例1と同様の評価を行った。
上記の実施試験結果を表1にまとめた。
なお、固結状態を示す符号は下記の通りとする。
○:塊無し
△:塊があるが手でほぐれる
×:塊があり、容易に手でほぐれない
−:流動性がないため安息角を測定することが困難
「安息角」は、小さいほど流動性が良いことを表すが、硝酸マグネシウム組成物は安息角が小さいと作業環境によっては吸湿しべたつき、安息角が高いと、粉塵が発生するため42度程度が望ましい。
同じ紙袋入り硝酸マグネシウム(単体)25kg入り紙袋(内装:ポリエチレン)内装原料40袋を8袋/段×5段に積み重ね、同一条件にて併置し、固結状態を比較した。
結果を表2に示す。
○:塊無し
△:塊があるが手でほぐれる
×:塊があり、容易に手でほぐれない
また、べたつき状態を示す符号は下記の通りとする。
○:べたつきが無い
×:べたついている
硝酸マグネシウムのみの紙袋入り原料は、1週間経過後で開袋後べたつきが見られた。2週間経過後から少し固まりが発生し、3週間経過後には紙袋の半分以上が固まっていた。1ヶ月経過後には、袋全体が固まり、袋を持ち上げ落下させる等の衝撃なしに袋からの排出はできなかった。
炭酸マグネシウム10重量%配合したものは1ヶ月経過後も固結しなかった。また、べたつきも発生しなかった。
25kg紙袋入りの状態でも炭酸マグネシウム10%配合による固結防止、べたつき防止の効果が確認された。
炭酸マグネシウム20重量部、硝酸マグネシウム182重量部を電子秤で秤量後10mm目開きの篩を通し、万能混合機で10分間予備混合した。次に同様な手順で先の硝酸マグネシウム及び炭酸マグネシウム混合物202重量部に、ケイ砂1000重量部、ソーダ灰282重量部、芒硝60重量部、石灰石213重量部、炭酸カルシウム81重量部、長石40重量部、コークス4重量部をロッキングミキサーに投入し、10分間、本混合した。これより5点サンプリングを行い、硝酸性窒素の測定より混合度を確認した。また、14.8×10cm(厚さ:50μm)のポリエチレン袋に200g充填し、1.3N/cm2の加重を加え、1ヶ月後に固結防止効果の評価を行った。
また流動性の評価には、パウダテスター(ホソカワミクロン製)を使用し、安息角を測定した。
建材用板ガラス類似組成:予備混合無し、10分間本混合
ケイ砂1000重量部、ソーダ灰282重量部、芒硝60重量部、石灰石213重量部、炭酸カルシウム81重量部、炭酸マグネシウム20重量部、硝酸マグネシウム182重量部、長石40重量部、コークス4重量部を電子秤で秤量後10mm目開きの篩を通し、ロッキングミキサーで10分間本混合した。これより5点サンプリングを行い、硝酸性窒素の測定より混合度を確認した。
建材用板ガラス類似組成:予備混合無し、20分間本混合
ケイ砂1000重量部、ソーダ灰282重量部、芒硝60重量部、石灰石213重量部、炭酸カルシウム81重量部、炭酸マグネシウム20重量部、硝酸マグネシウム182重量部、長石40重量部、コークス4重量部を電子秤で秤量後10mm目開きの篩を通し、ロッキングミキサーで20分間、本混合した。これより5点サンプリングを行い、硝酸性窒素の測定より混合度を確認した。
建材用板ガラス類似組成:予備混合無し、30分間本混合
ケイ砂1000重量部、ソーダ灰282重量部、芒硝60重量部、石灰石213重量部、炭酸カルシウム81重量部、炭酸マグネシウム20重量部、硝酸マグネシウム182重量部、長石40重量部、コークス4重量部を電子秤で秤量後10mm目開きの篩を通し、ロッキングミキサーで30分間、本混合した。これより5点サンプリングを行い、硝酸性窒素の測定より混合度を確認した。また、固結、流動性の評価は実施例47と同様の評価を行った。
以上の結果を表3に示す。
固結状態を示す符号は下記の通りとする。
○:塊無し
△:塊があるが手でほぐれる
上記のように、建材用板ガラス類似組成の場合も硝酸マグネシウムに炭酸マグネシウムを適量配合した原料を使用することで固結の防止、流動性を向上することができ、かつ、混合時間を低減することが出来た。
炭酸マグネシウム5重量部、硝酸マグネシウム50重量部を電子秤で秤量後10mm目開きの篩を通し、万能混合機で10分間予備混合した。次に先の硝酸マグネシウム及び炭酸マグネシウム混合物55重量部、ケイ砂500重量部、無水硼酸170重量部、アルミナ130重量部、炭酸マグネシウム15重量部、炭酸カルシウム90重量部、硝酸ストロンチウム30重量部、三酸化アンチモン10重量部を同様な手順でロッキングミキサーに投入し、10分間、本混合した。これより5点サンプリングを行い、アルミナの測定より混合度を確認した。
また、混合原料1000kgをフレキシブルコンテナに入れ、上部に1トンの加重を載せて1ヶ月間エアコンの無い室内に放置し、固結の経過を評価した。また、流動性の評価には、パウダテスター(ホソカワミクロン製)を使用し、安息角を測定した。
硼珪酸ガラス(液晶用基板ガラス類似組成):予備混合無し、10分間本混合
ケイ砂500重量部、無水硼酸170重量部、アルミナ130重量部、炭酸カルシウム90重量部、硝酸ストロンチウム30重量部、三酸化アンチモン10重量部、炭酸マグネシウム20重量部、硝酸マグネシウム50重量部を上記と同様な手順でロッキングミキサーに投入し、10分間、本混合した。これより5点サンプリングを行い、アルミナの測定より混合度を確認した。
硼珪酸ガラス(液晶用基板ガラス類似組成):予備混合無し、20分間本混合
ケイ砂500重量部、無水硼酸170重量部、アルミナ130重量部、炭酸カルシウム90重量部、硝酸ストロンチウム30重量部、三酸化アンチモン10重量部、炭酸マグネシウム20重量部、硝酸マグネシウム50重量部を上記と同様な手順でロッキングミキサーに投入し、20分間、本混合した。これより5点サンプリングを行い、アルミナの測定より混合度を確認した。
硼珪酸ガラス(液晶用基板ガラス類似組成):予備混合無し、30分間本混合
ケイ砂500重量部、無水硼酸170重量部、アルミナ130重量部、炭酸カルシウム90重量部、硝酸ストロンチウム30重量部、三酸化アンチモン10重量部、炭酸マグネシウム20重量部、硝酸マグネシウム50重量部を上記と同様な手順でロッキングミキサーに投入し、30分間、本混合した。これより5点サンプリングを行い、アルミナの測定より混合度を確認した。
また、混合原料1000kgをフレキシブルコンテナに入れ、上部に1トンの加重を載せて上記実施例48と同一条件で1ヶ月間隣接放置し、固結の経過を比較評価し、流動性は実施例48と同様の評価を行った。
実施試験結果を表4にまとめた。
固結状態を示す符号は下記の通りとする。
○:固結無し
△:フレコン内部の表面層固結、手で掘れる。内部固結無し
×:表面、内部とも全体固結
上記のように、極めて固結しやすい硼珪酸ガラス配合原料(液晶用基板ガラス類似組成)の場合も硝酸マグネシウムに炭酸マグネシウムを適量配合した原料を使用することで、固結防止の効果が得ることが出来、また混合時間を低減できた。
Claims (7)
- 原料の硝酸マグネシウムの付着水分量に対応して、二酸化珪素、炭酸マグネシウム及び炭酸カルシウムからなる群より選ばれる1種又は2種以上を0.1〜25重量%の範囲で変量配合することによって、固結防止及び流動性を改良したことを特徴とする硝酸マグネシウム組成物。
- 原料の硝酸マグネシウムの付着水分量が1%未満である場合に、二酸化珪素、炭酸マグネシウム及び炭酸カルシウムからなる群より選ばれる1種又は2種以上の配合量が0.1〜20重量%であることを特徴とする請求項1の硝酸マグネシウム組成物。
- 原料の硝酸マグネシウムの付着水分量が1〜5重量%である場合に、二酸化珪素、炭酸マグネシウム及び炭酸カルシウムからなる群より選ばれる1種又は2種以上の配合量が6〜25重量%であることを特徴とする請求項1の硝酸マグネシウム組成物。
- 各種ガラス原料であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの硝酸マグネシウム組成物。
- 硼珪酸ガラス原料であることを特徴とする請求項4の硝酸マグネシウム組成物。
- 光学ガラス原料であることを特徴とする請求項4又は5の硝酸マグネシウム組成物。
- 液晶用基板ガラス原料であることを特徴とする請求項4又は5の硝酸マグネシウム組成物。
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JP2005075836A JP2006256899A (ja) | 2005-03-16 | 2005-03-16 | 固結防止及び流動性を改良した硝酸マグネシウム組成物 |
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