JP2006256242A - 発泡成形用の金型及び発泡成形方法 - Google Patents

発泡成形用の金型及び発泡成形方法 Download PDF

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Abstract

【課題】比較的低い圧力にて気体を供給しても弁体が開弁して成形品を脱型することができると共に、成形品の外面に弁体の押し痕が付くことが防止された発泡成形用の金型及び発泡成形方法を提供する。
【解決手段】下型3のキャビティ面に気体吹込口4が設けられている。下型3に、気体吹込口4に連通するシリンダボア5bを有するシリンダ5が取り付けられている。シリンダボア5b内に受圧部材6が上下方向に進退自在に収容されている。受圧部材6はコイルスプリング8によって上方へ付勢されている。受圧部材6に弁体9が連結されている。弁体6はシリンダボア5b内から気体吹込口4に挿入されている。シリンダボア5bのうち受圧部材6と気体吹込口4との間の空間に空気が導入されると、空気圧により受圧部材6が押し下げられ、これに伴って弁体6が退動して気体吹込口4が開放する。
【選択図】図2

Description

本発明は、ウレタンフォーム等の発泡成形品を製造するための金型に係り、特に成形品の脱型を効率良く行うことができる金型に関する。また、本発明は、この金型を用いた発泡成形方法に関するものである。
硬質ポリウレタンフォームを成形する場合、上型及び下型よりなる金型の該下型内にウレタン原料液を供給し、型締めして発泡させ、固化(キュア)後に型開きして脱型を行う。
この脱型を容易に行うことができるようにした発泡成形用の金型として、特開2004−261969号公報には、下型の底面に、成形品を押し上げるための気体吹込口が設けられると共に、気体非供給時(発泡成形時)には該気体吹込口を閉鎖しており、気体供給時(脱型時)にはこの気体の圧力によって該気体吹込口を開放するように開弁動作する弁体が設けられた金型が記載されている。
同号公報では、気体非供給時には、該弁体は下型のキャビティの内側から気体吹込口の周縁部に着座して該気体吹込口を閉鎖している。該弁体は、スプリングによって着座方向に付勢されている。気体供給時には、該弁体の裏面に気体圧が作用して該弁体がキャビティの内側へ浮き上がり、気体吹込口が開放される。
同号公報の金型を用いて発泡成形品の製造を行うに当っては、まず、気体非供給状態即ち弁体によって気体吹込口が閉鎖された状態にて下型キャビティ内にウレタン原料を供給し、型締めして発泡させる。
キュア終了後、型開きして気体吹込口に気体を供給する。この気体の供給により、弁体が開弁動作して該気体吹込口が開放され、キャビティの底面と成形品との間に気体が吹き込まれる。これにより、成形品が押し上げられ、脱型される。
脱型後、気体の供給を停止すると、弁体がスプリングの付勢力によって気体吹込口に着座し、該気体吹込口が閉鎖される。その後、次の成形サイクルに移行する。
特開2004−261969号公報
上記特開2004−261969号公報の発泡成形用の金型にあっては、弁体は、キャビティ内の成形品を押し上げつつ該キャビティの底面から浮上するようにして開弁する。このように成形品の重量及び成形品のキャビティ内面への付着力等による反力に抗して弁体を開弁させるためには、高圧力の気体を供給する必要がある。
なお、弁体の径を大きくして気体からの受圧面積を大きくすることにより、弁体開弁時の要求気体圧を緩和させることも考えられる。しかしながら、弁体の径を大きくすると、弁体の配置の自由度が著しく低下すると共に、成形品の外面にこの弁体の跡が大きく転写されて美観が損なわれる。従って、該弁体の径はできるだけ小さい方が望ましい。
また、同号公報の発泡成形用の金型にあっては、脱型時に押し上げられた弁体が成形品に食い込み、成形品の外面に弁体の押し痕が付くおそれがある。
本発明は、上記の問題点を解消し、弁体の径を大きくすることなく、比較的低い圧力にて気体を供給しても弁体が開弁して成形品を脱型することができると共に、成形品の外面に弁体の押し痕が付くことが防止される発泡成形用の金型及び発泡成形方法を提供することを目的とする。
本発明(請求項1)の発泡成形用の金型は、上型及び下型を有し、該上型と下型とで囲まれるキャビティにて成形が行われる発泡成形用の金型であって、該下型に、成形品とキャビティ面との間に気体を供給して成形品を脱型させるための気体吹込口が設けられていると共に、気体非供給時には該気体吹込口を閉鎖しており、気体供給時には気体圧によって該気体吹込口を開放させるように開弁動作する弁体が設けられている発泡成形用の金型において、該気体圧によって前記キャビティから離隔する方向に退動する受圧部材が設けられており、前記弁体は、該気体吹込口に対し該キャビティと反対側から挿入されており、該受圧部材の退動によって該気体吹込口から退動して該気体吹込口を開放させるものであることを特徴とするものである。
請求項2の発泡成形用の金型は、請求項1において、前記気体吹込口に連通すると共に、前記受圧部材を収容した受圧部材収容室が設けられており、前記受圧部材は該受圧部材収容室内を進退自在となっており、該受圧部材に前記弁体が連結されており、該受圧部材と前記気体吹込口との間に気体を導入するように気体導入口が設けられていることを特徴とするものである。
請求項3の発泡成形用の金型は、請求項2において、前記受圧部材収容室は、前記下型に取り付けられたシリンダ内のシリンダボアであることを特徴とするものである。
請求項4の発泡成形用の金型は、請求項2又は3において、前記弁体を前記気体吹込口に挿入する方向に付勢する付勢部材が設けられていることを特徴とするものである。
請求項5の発泡成形用の金型は、請求項4において、気体非供給時には該弁体の先端面は下型のキャビティ面と面一となっていることを特徴とするものである。
本発明(請求項6)の発泡成形方法は、かかる本発明の発泡成形用の金型を用いた発泡成形方法であって、該下型内に原料を供給し、型締めした後、発泡させ、その後、上型を型開きし、次いで、気体を前記受圧部材に作用させて該受圧部材及び前記弁体を退動させ、前記気体吹込口から成形品と下型底面との間に気体を吹込んで成形品を脱型することを特徴とするものである。
請求項7の発泡成形方法は、請求項6において、成形品は硬質ウレタンフォームであることを特徴とするものである。
本発明の発泡成形用の金型を用いて発泡成形を行うに当っては、まず、気体吹込口が弁体によって閉鎖された状態で下型内に原料を供給し、型締めして発泡させ、キュア終了後に型開きし、次いで脱型用の気体を供給する。
本発明の発泡成形用の金型においては、弁体は気体吹込口に対しキャビティと反対側から挿入されている。気体を供給すると、この気体は受圧部材に作用して該受圧部材をキャビティから離隔する方向へ退動させる。そして、この受圧部材の退動により、弁体が気体吹込口から退動し、気体吹込口が開放する。
これにより、気体が気体吹込口からキャビティ面と成形品との間に吹き込まれ、成形品が押される。そこで、この成形品を下型から脱型する。
本発明の発泡成形用の金型にあっては、受圧部材を気体圧により退動させて弁体を開弁させるよう構成されているので、開弁時に弁体は成形品から反力を受けない。そのため、弁体の径を大きくすることなく、また気体圧を過度に高めることなく、開弁させることができる。
また、この弁体は、キャビティと反対側即ち成形品から離反するように退動して開弁するところから、本発明の金型によって製造された成形品には弁体の押し痕が付くことがない。
請求項2の態様にあっては、気体導入口へ気体を供給することにより、該受圧部材がキャビティから離隔する方向に退動する。この際、受圧部材に連結された弁体が該受圧部材と一体に退動して気体吹込口が開放する。
請求項3の通り、下型にシリンダを取り付け、このシリンダ内のシリンダボアを受圧部材収容室とすることにより、弁体開弁機構を下型に容易に設けることができると共に、その交換等も迅速に行うことが可能となる。
請求項4の通り、弁体を気体吹込口に挿入する方向へ付勢する付勢部材を設けることにより、気体の供給停止後、弁体が自動的に閉弁するようになるので、成形作業効率が向上する。
請求項5の通り、気体非供給時には弁体の先端面が下型の底面と面一となるよう構成することにより、成形品の外面にこの弁体の跡が付くことが防止される。
請求項7の通り、本発明は硬質ウレタンフォームよりなる成形品の製造に好適であるが、これに限定されない。
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。第1図(a),(b),(c)は実施の形態に係る発泡成形用の金型及びそれを用いた発泡成形方法を説明する断面図である。第2図(a),(b)はそれぞれ閉弁時及び開弁時の気体吹込機構を示す断面図である。なお、以下の説明において、上下方向とは図の上下方向である。
この金型1は、上型2及び下型3を備えている。この実施の形態では、上型2は回動装置(図示略)を介して下型3に対し起倒方向回動可能とされているが、これに限定されるものではない。
下型3のキャビティ面には、適宜の角度の抜きテーパーが設けられている。この下型3のキャビティ底面に気体吹込口4が設けられている。
この実施の形態では、下型3の下側にシリンダ5が取り付けられている。該シリンダ5は、軸心線方向を上下方向として配設されている。詳しくは、該シリンダ5の上端側には雄ねじ部5aが設けられており、下型3には、この雄ねじ部5aが螺合する雌ねじ孔3aが穿設されている。該雌ねじ孔3aは、下型3のキャビティ面と下面(下型3の外面)とを連通している。シリンダ5は、該雄ねじ部5aが雌ねじ孔3aに螺じ込まれることにより下型3に固着され、該下型3のキャビティ面から下方に延在している。なお、該雄ねじ部5aは、このシリンダ5の上端面が下型3のキャビティ面と面一となるように雌ねじ孔3aに螺じ込まれている。
この実施の形態では、該シリンダ5の上端面に前記気体吹込口4が形成されている。
ただし、シリンダ5の配置はこれに限定されない。シリンダ5は他の箇所(例えば下型3の側面等)に取り付けられてもよく、キャビティ面が曲面や傾斜面、垂直面等になっている場合には、該キャビティ面の延在方向に応じてこれと面直になるよう角度を付けて取り付けられてもよい。
また、シリンダ5の取付構造も、上記の螺じ込みによる取付構造に限定されない。例えば、図示は省略するが、下型3にシリンダ5の差し込み穴を設け、この差し込み穴にシリンダ5を差し込んだ後、該シリンダ5を後端側から押さえ付けて下型3に固定するようにしてもよい。本発明では、このように、着脱が容易で、該シリンダ5内に配置された弁体等に不具合が生じたときに速やかに交換することが可能な取付構造によりシリンダ5を下型3に取り付けることが望ましい。
気体吹込口4は、シリンダ5の内部のシリンダボア5bと連通している。これらの気体吹込口4とシリンダボア5bとは同軸状に配置されている。該気体吹込口4はシリンダボア5bよりも小径であり、該気体吹込口4とシリンダボア5bとの段差面は、上方に向って徐々に窄まるテーパ形状となっている。
該シリンダボア5b内には、受圧部材(ピストン)6が収容されている。即ち、この実施の形態では、該シリンダボア5bが受圧部材収容室である。該受圧部材6は、このシリンダボア5b内を上下方向に進退自在となっている。受圧部材6には、該受圧部材6の側周面とシリンダボア5bの内周面との間をシールするパッキン6aが装着されている。ただし、このパッキン6aは省略されてもよい。
この受圧部材6の下端面には、後述のコイルスプリング8の上端が係合する凹部(符号略)が形成されている。
該シリンダボア5bの下端にはストッパ7が螺着されている。このストッパ7には、該受圧部材6の下側の空間を外部と連通する通気孔7aが設けられている。ただし、この通気孔7aは省略されてもよい。
これらの受圧部材6とストッパ7との間に、該受圧部材6を上方へ付勢するコイルスプリング8が配置されている。該コイルスプリング8の下端はストッパ7の上面に当接し、上端側は受圧部材6の前記凹部に係合している。
なお、図示はしないが、シリンダボア5bの内周面には、受圧部材6がこのコイルスプリング8からの付勢力により上方へ向って移動し、所定高さに到達すると、それ以上の該受圧部材6の上方への移動を停止させるストッパが設けられている。該ストッパは、例えば該受圧部材6に当接して該受圧部材6の移動を停止させる突起や段差により構成されるが、これに限定されない。
この受圧部材6に弁体9が連結されている。この実施の形態では、該弁体9は、直径が気体吹込口4の内径と同等かそれよりも若干小さいロッド状のものであり、該気体吹込口4と同軸状に上下方向に配設され、下端が該受圧部材6の上面に連なっている。図示の通り、受圧部材6は弁体9よりも径が大きい。
この弁体9は、第2図(b)から第2図(a)のように受圧部材6がシリンダボア5b内を上方へ移動することにより、上端が該シリンダボア5b内から気体吹込口4に挿入され、該気体吹込口4を閉鎖する。また、第2図(a)から第2図(b)のように受圧部材6が下方へ移動することにより、該弁体9もこれと一体に気体吹込口4からシリンダボア5b内へ退動して該気体吹込口4を開放する。
この実施の形態では、第2図(a)の通り、受圧部材6が上方移動限まで(前記ストッパに当接するまで)上方移動した状態にあっては、気体吹込口4に内嵌した弁体9の上端面は下型3の底面と面一となる。
シリンダ5の側面には、シリンダボア5b内に気体を導入するための気体導入口10が設けられている。この気体導入口10は、シリンダボア5b内のうち上方移動限に位置する受圧部材6と気体吹込口4との間の空間に連通するよう配置されている。
この気体導入口10に、コンプレッサや蓄圧タンク等の給気装置(図示略)からの給気管11が接続されている。なお、この実施の形態では、気体として空気が供給される。
この金型1を用いた成形品の成形手順について次に説明する。
弁体9が気体吹込口4を閉鎖している第1図(a)(及び第2図(a))の状態において金型1の内面に離型剤を塗布する。次いで下型3内にウレタン等の原料液を供給し、上型2の型締め後、第1図(b)の如く発泡させる。キュア終了後、第1図(c)の通り上型2を型開きし、給気管11からシリンダボア5b内に空気を送り込む。
この空気は、シリンダボア5b内のうち上方移動限に位置する受圧部材6と気体吹込口4との間の空間に導入される。この空気の圧力により、該受圧部材6がコイルスプリング8の付勢力に抗して押し下げられ、これに伴って弁体9も気体吹込口4からシリンダボア5b内に退動し、気体吹込口4が開放される。この結果、空気がシリンダボア5bを経由して該気体吹込口4から下型3のキャビティ面と成形品20との間に吹き込まれ、成形品20が押し上げられる。そこで、成形品20を下型3から脱型する。
この脱型後に空気の供給を停止すると、コイルスプリング8の付勢力によって受圧部材6が押し上げられ、これに伴って弁体9がシリンダボア5b内から気体吹込口4に内嵌して該気体吹込口4が閉鎖され、第1図(a)の状態に復帰する。そこで、次の成形サイクルに移行する。
この金型1にあっては、弁体9は、下型3のキャビティと反対側即ち成形品20から離反する方向に退動して開弁するものであり、成形品20を押し上げるものではない。そのため、弁体9は成形品20から反力を受けることはなく、この弁体9の開弁に際し受圧部材6に作用させるべき空気圧は、コイルスプリング8の付勢力に抗して該受圧部材6を押し下げるに足る程度であれば足り、比較的低い空気圧で弁体9を開弁させることができる。
この結果、コンプレッサ等の給気装置として比較的低出力の安価なものを用いることが可能となる。
また、弁体9が気体吹込口4から退くように開弁動作することにより、この金型1によって製造された成形品20には弁体9の押し痕が付くことがない。
第3図は別の実施の形態に係る発泡成形用の金型の気体吹込口付近の断面図である。なお、第3図(a)は閉弁時を示し、第3図(b)は開弁時を示している。
この実施の形態では、弁体9Aは、閉弁時に気体吹込口4に差し込まれる上端部9aの直径が該気体吹込口4の直径と同等となっており、それよりも下端側(受圧部材6側。ただし、第3図では受圧部材6は図示略。)が、該上端部9aよりも若干大径となっている。なお、該上端部9aと該上端部9aよりも下端側とは同軸となっている。この上端部9aと該上端部9aよりも下端側との間の段差面9bは、前記気体吹込口4とシリンダボア5bとの間の段差面5c(なお、第2図では符号略。)と同一のテーパ角度を有するテーパ面となっている。
この実施の形態にあっては、第3図(b)から第3図(a)の如く弁体9Aが上方へ移動して上端部9aがシリンダボア5b内から気体吹込口4に差し込まれ、その上面がキャビティ面と面一になる位置に達すると、該段差面9a,5c同士が当接し、該弁体9Aの上方への移動が停止する。すなわち、この実施の形態では、該段差面9aが弁体9Aのストッパを構成している。また、これらの段差面9a,5c同士が密着することにより、気体吹込口4がシールされる。
この実施の形態のその他の構成は前述の第1,2図の実施の形態と同様となっており、第3図において第1,2図と同一の符号は同一の部分を示している。
本発明では、気体吹込口の形状及び閉弁時に該気体吹込口に差し込まれる弁体上端(先端)部の形状に特に制限はなく、それぞれ、前述の第1〜3図以外の形状であってもよい。
第4図は気体吹込口及び弁体上端部の他の構成例を示す、金型の該気体吹込口付近の断面図である。なお、第4図(a)は閉弁時を示し、第4図(b)は開弁時を示している。
この実施の形態における気体吹込口4’は、内周面がシリンダボア5b側から下型3のキャビティ側に向って窄まるテーパ面となっている。また、この実施の形態では、閉弁時に該気体吹込口4’に差し込まれる弁体9Bの上端部9a’の外周面も、この気体吹込口4’の内周面と同一のテーパ角度にて該キャビティ側に向って先細となるテーパ面となっている。
なお、この弁体9Bにおいても、該上端部9a’とそれよりも下端側との間に段差面9bが形成されており、該段差面9bは、気体吹込口4’とシリンダボア5bとの段差面5cと同一のテーパ角度にてキャビティ側に向って窄まるテーパ面となっている。該気体吹込口4’の内周面及び該上端部9a’の外周面のテーパ角度(気体吹込口4’及び上端部9a’の軸心線と各々の該内周面及び外周面との交叉角度)は、段差面5c,9bのテーパ角度(該軸心線と段差面5c,9bとの交叉角度)よりも小さなものとなっている。
この実施の形態のその他の構成は前述の第3図の実施の形態と同様であり、同一符号は同一部分を示している。
このように、気体吹込口4’の内周面及び弁体上端部9a’の外周面をキャビティ側に向って窄まるテーパ面とすることにより、閉弁時における両者の間の密閉性が良好なものとなる。
もちろん、本発明においては、気体吹込口の形状及び弁体上端部の形状はこれ以外であってもよい。
第5図は異なる実施の形態に係る金型の気体吹込機構を示す断面図である。なお、第5図(a)は閉弁時を示し、第5図(b)は開弁時を示している。
この実施の形態でも、下型3にシリンダ5Aが取り付けられ、そのシリンダボア5b’内に弁体9Aと受圧部材6Aとが収容されている。図示の通り、このシリンダ5Aの上端面に気体吹込口4が設けられており、シリンダ5Aは、該上端面がキャビティ底面と面一状となるように設置されている。なお、弁体9Aは、前述の第3図の実施の形態のものと同様の構成を有している。
この実施の形態では、該シリンダボア5b’は、上段側(気体吹込口4側)の気体供給室5dと、下段側の受圧部材収容室5eとを有している。該気体供給室5dは、上端側が気体吹込口4に連通し、下端側が受圧部材収容室5eに連通している。該受圧部材収容室5eの下端側は底蓋7により閉鎖されている。これらの気体吹込口4、気体供給室5d及び受圧部材収容室5eは互いに同軸状に形成されている。図示の通り、該気体供給室5dは気体吹込口4よりも大径となっており、受圧部材収容室5eは該気体供給室5dよりも大径となっている。
なお、この実施の形態でも、気体吹込口4と気体供給室5dとの段差面5c及び弁体9Aの上端部9aとそれよりも下端側との段差面9aは、互いに同一のテーパ角度にてキャビティ側へ向って窄まるテーパ面となっている。
この実施の形態では、気体導入口10は該気体供給室5dに連通している。
受圧部材6Aは、該受圧部材収容室5e内を上下方向に進退自在となっている。この受圧部材6Aと前記底蓋7との間に、該受圧部材6Aを上方へ付勢するコイルスプリング8が蓄力状態にて配置されている。この実施の形態では、前記気体導入口10を介して気体供給室5dに気体(空気)が導入されると、この気体の圧力が受圧部材収容室5e内の受圧部材6Aの上面に作用し、該受圧部材6Aがコイルスプリング8の付勢力に抗して下方へ移動する。この受圧部材6Aは気体供給室5d及び弁体9Aよりも大径である。
弁体9Aは、気体供給室5dよりも小径であり、受圧部材6Aの上面中央から該気体供給室5d内に向って該気体供給室5dと同軸状に立設されている。受圧部材6Aがコイルスプリング8に押されて上昇することにより、該弁体9Aの上端部9aが気体供給室5d内から気体吹込口4に差し込まれて気体吹込口4を閉鎖する。また、気体供給室5e内に気体が導入されて受圧部材6Aが下降することにより、該上端部9aが気体吹込口4から気体供給室5d内に退動して該気体吹込口4を開放する。
なお、この実施の形態でも、該上端部9aの上面がキャビティ底面と面一になるまで弁体9A及び受圧部材6Aが上昇すると、前記段差面9b,5c同士が当接し、該弁体9A及び受圧部材6Aの上昇が停止する。即ち、この実施の形態でも、該段差面9b,5cが弁体9A及び受圧部材6Aの上方移動のストッパを構成している。また、これらの段差面9b,5c同士が密着することにより、気体吹込口4がシールされる。
この実施の形態では、受圧部材6Aに、該受圧部材6A及び弁体9Aの下方への移動量(気体吹込口4からの後退量)を制限するストッパ6bが設けられている。該ストッパ6bは、この実施の形態では、受圧部材6Aの下面中央から下方へ突出した突起状のものであり、コイルスプリング8は、このストッパ6bを取り巻くように配設されている。
このストッパ6bは、気体吹込口4が所定の開度となるまで受圧部材6A及び弁体9Aが下方へ移動すると、その下端面が底蓋7の上面中央に当接して該受圧部材6A及び弁体9Aの下方への移動を停止させる。
この実施の形態のその他の構成は前述の実施の形態と同様であり、同一符号は同一部分を示している。
なお、受圧部材及び弁体の気体吹込口からの後退量を制限するストッパの構成はこれに限定されるものではない。このストッパの他の構成例を第6図に示す。なお、第6図(a)は閉弁時における気体吹込口付近の断面図であり、第6図(b)は開弁時における気体吹込口付近の断面図である。
この実施の形態では、受圧部材収容室5e内に配置された受圧部材6Bの下面の周縁部から下方へ向って円筒形脚状のストッパ6b’が立設されている。この実施の形態では、この円筒形ストッパ6b’の内側にコイルスプリング8の上端側が配置されている。この実施の形態のその他の構成は前述の第5図の実施の形態と同様となっている。
この実施の形態にあっても、気体吹込口4が所定の開度となるまで受圧部材6B及び弁体9Aが下方へ移動すると、ストッパ6b’の下端面が底蓋7の上面の周縁部に当接して該受圧部材6B及び弁体9Aの下方への移動を停止させる。
もちろん、受圧部材及び弁体の気体吹込口からの後退量を制限するストッパの構成はこれ以外であってもよい。
上記の実施の形態は本発明の一例を示すものであり、本発明は図示以外の形態とすることも可能である。例えば、気体吹込口4は複数個設けられてもよい。また、気体吹込口4は下型の側面部分に設けられてもよい。
上記の実施の形態では、シリンダボア5b内に供給される空気圧とコイルスプリング8の付勢力とにより弁体9,9A及び受圧部材6を進退させる構成となっているが、弁体及び受圧部材の進退機構はこれに限定されない。ただし、上記実施の形態の弁体及び受圧部材の進退機構であれば、脱型用の空気で開弁動作をも行うため、脱型用及び開弁用の空気供給源を共通のものとすることができ、金型設備をコンパクトにすることが可能である。
実施の形態に係る発泡成形用の金型及び発泡成形方法を示す断面図である。 気体供給機構の断面図である。 実施の形態に係る発泡成形用の金型の気体吹込口付近の断面図である。 実施の形態に係る発泡成形用の金型の気体吹込口付近の断面図である。 実施の形態に係る発泡成形用の金型の気体供給機構の断面図である。 実施の形態に係る発泡成形用の金型の気体供給機構の断面図である。
符号の説明
1 金型
2 上型
3 下型
4,4’ 気体吹込口
5,5A シリンダ
5b,5b’ シリンダボア
6,6A,6B 受圧部材
6b,6b’ ストッパ
8 コイルスプリング
9,9A,9B 弁体
9a,9a’ 上端部
10 気体導入口

Claims (7)

  1. 上型及び下型を有し、該上型と下型とで囲まれるキャビティにて成形が行われる発泡成形用の金型であって、
    該下型に、成形品とキャビティ面との間に気体を供給して成形品を脱型させるための気体吹込口が設けられていると共に、
    気体非供給時には該気体吹込口を閉鎖しており、気体供給時には気体圧によって該気体吹込口を開放させるように開弁動作する弁体が設けられている発泡成形用の金型において、
    該気体圧によって前記キャビティから離隔する方向に退動する受圧部材が設けられており、
    前記弁体は、該気体吹込口に対し該キャビティと反対側から挿入されており、該受圧部材の退動によって該気体吹込口から退動して該気体吹込口を開放させるものであることを特徴とする発泡成形用の金型。
  2. 請求項1において、前記気体吹込口に連通すると共に、前記受圧部材を収容した受圧部材収容室が設けられており、
    前記受圧部材は該受圧部材収容室内を進退自在となっており、
    該受圧部材に前記弁体が連結されており、
    該受圧部材と前記気体吹込口との間に気体を導入するように気体導入口が設けられていることを特徴とする発泡成形用の金型。
  3. 請求項2において、前記受圧部材収容室は、前記下型に取り付けられたシリンダ内のシリンダボアであることを特徴とする発泡成形用の金型。
  4. 請求項2又は3において、前記弁体を前記気体吹込口に挿入する方向に付勢する付勢部材が設けられていることを特徴とする発泡成形用の金型。
  5. 請求項4において、気体非供給時には該弁体の先端面は下型のキャビティ面と面一となっていることを特徴とする発泡成形用の金型。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の発泡成形用の金型を用いた発泡成形方法であって、
    該下型内に原料を供給し、
    型締めした後、発泡させ、
    その後、上型を型開きし、次いで、気体を前記受圧部材に作用させて該受圧部材及び前記弁体を退動させ、前記気体吹込口から成形品と下型底面との間に気体を吹込んで成形品を脱型することを特徴とする発泡成形方法。
  7. 請求項6において、成形品は硬質ウレタンフォームであることを特徴とする発泡成形方法。
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