JP2006255987A - ポリベンゾイミダゾール系樹脂成形用素材、樹脂成形体、切削加工方法、および切削粉の再利用方法 - Google Patents

ポリベンゾイミダゾール系樹脂成形用素材、樹脂成形体、切削加工方法、および切削粉の再利用方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2006255987A
JP2006255987A JP2005074382A JP2005074382A JP2006255987A JP 2006255987 A JP2006255987 A JP 2006255987A JP 2005074382 A JP2005074382 A JP 2005074382A JP 2005074382 A JP2005074382 A JP 2005074382A JP 2006255987 A JP2006255987 A JP 2006255987A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
pbi
molding
cutting
surface layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2005074382A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4707422B2 (ja
Inventor
Masao Araki
正夫 荒木
Juichi Ikebe
寿一 池辺
Osamu Ito
修 伊藤
Makoto Murata
誠 村田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TOKAI ELECTRO CHEMICAL CO
Tokai Denka Kogyo KK
Original Assignee
TOKAI ELECTRO CHEMICAL CO
Tokai Denka Kogyo KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TOKAI ELECTRO CHEMICAL CO, Tokai Denka Kogyo KK filed Critical TOKAI ELECTRO CHEMICAL CO
Priority to JP2005074382A priority Critical patent/JP4707422B2/ja
Publication of JP2006255987A publication Critical patent/JP2006255987A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4707422B2 publication Critical patent/JP4707422B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Processing And Handling Of Plastics And Other Materials For Molding In General (AREA)
  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

【課題】 ロッドや板状体より任意の形状に切削加工する場合の切削加工性に優れ、寸法精度や寸法安定性に優れ、また、簡易な方法でPBI系樹脂切削粉の再利用をPBI系樹脂のもつ高強度、耐熱性などの本来の優れた性質を低下させることなく再利用できる。
【解決手段】 PBI系樹脂材料を加熱圧縮成形して得られるPBI系樹脂成形用素材であって、PBI系樹脂材料の加熱圧縮成形後に、表面層が除去され、また、PBI系樹脂材料を加熱圧縮成形する成形工程と、加熱圧縮された成形体を切削加工する切削工程とを備え、上記成形工程後に表面層を除去する表面層除去工程を有する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、ロッドや板状体として提供されるポリベンゾイミダゾール(以下、PBIと略称する)系樹脂成形用素材、該素材から得られるPBI系樹脂成形体、PBI系樹脂成形体の切削加工方法、該切削加工方法で発生する切削粉の再利用方法に関する。
PBI樹脂は、ポリイミド樹脂とともに有機樹脂の中では耐熱性に優れ、その成形体は400℃以上の荷重たわみ温度およびガラス転移温度を有し、力学特性もアルミニウムと同等の引張強度を有している。
このPBI樹脂は、ポリイミド樹脂と同様に成形は困難であり、一般的には加熱圧縮成形でロッドや板状体に圧縮成形された成形用素材を切削加工して最終製品となる場合が多い。
PBI系樹脂のロッドや板状体の製造方法としては、成形助剤としてのPBIプレポリマーとPBI重合体からなる混合物に十分な熱と圧力を与えて成形する方法(特許文献1)、圧縮プレスの圧力条件を段階的に変更する方法(特許文献2)、PBI樹脂を実質的に酸素と接触させないで加熱圧縮する方法(特許文献3)等が知られている。
しかしながら、ロッドや板状体より任意の形状に切削加工する場合、PBI系樹脂はチッピングが生じやすく、表面を平坦に切削することが困難であるという問題がある。チッピングは切削刃がPBI系樹脂表面で切削時に跳ね返る現象であり、切削対象物の表面が極めて硬いときに生じ易い現象である。
上述したように、PBI樹脂は成形体の表面硬度が高く、表面切削時にチッピングが生じるため寸法安定性に優れた樹脂成形体を得ることが困難であるという問題がある。
また、PBI樹脂は樹脂粉末材料の入手が困難であることから、工業的に利用する場合、その価格が極めて高価であり、切削加工で発生する切削加工粉の再利用が必須である。
しかしながら、切削加工粉をバージンの成形材料と同様な条件で成形すると、得られる樹脂成形体はボロボロと砕けて成形することができない。また、PBI系樹脂切削粉の再利用方法に関する文献がない。
米国特許第3,340,325号公報 特開平10−156847号公報 国際公開 WO 01/066329号公報
本発明はこのような問題に対処するためになされたもので、ロッドや板状体より任意の形状に切削加工する場合の切削加工性に優れた樹脂成形用素材、該素材から得られるPBI系樹脂成形体、寸法精度や寸法安定性に優れたPBI系樹脂成形体の切削加工方法、該切削加工方法で発生する切削粉を再利用して、PBI系樹脂が有する高耐熱性、耐摩耗性などの本来の優れた性質を低下させることなく再利用する方法の提供を目的とする。
本発明のPBI系樹脂成形用素材は、PBI系樹脂材料を加熱圧縮成形して得られるPBI系樹脂成形用素材であって、PBI系樹脂材料の加熱圧縮成形後に、表面層が除去されてなることを特徴とする。
上記除去される表面層の厚さは4mmをこえる厚さであることを特徴とする。
本発明のPBI系樹脂成形体の切削加工方法は、PBI系樹脂材料を加熱圧縮成形する成形工程と、加熱圧縮された成形体を切削加工する切削工程とを備え、上記成形工程後に表面層を除去する表面層除去工程を有することを特徴とする。
本発明のPBI系樹脂切削粉の再利用方法は、PBI系樹脂成形体の切削加工により発生する樹脂切削粉の再利用方法であって、原樹脂成形体の表面層を除去する表面層除去工程と、該表面層が除去された樹脂成形体を切削加工することで得られる切削粉を成形材料として成形する工程とを有することを特徴とする。
本発明者は、PBI系樹脂成形用素材であるロッドや板状体より任意の形状に切削加工する場合、チッピングが生じやすい現象について研究したところ、PBI系樹脂成形用素材は、その内部に比較して表面層の硬度が高く、脆いことを見い出した。
PBI樹脂は、テトラアミン化合物のジアミン成分と、酸ハロゲン化物またはエステルなどのジカルボン酸誘導体とが縮合反応しアミド結合を形成し、次いで隣接するアミノ基とアミド結合とが再び縮合反応し形成されたイミダゾール環を分子内に有する。PBI樹脂を加熱圧縮成形すると、上記縮合反応時の未反応物により、圧縮成形時の熱履歴により、または成形後の経時変化等により、成形体表面に熱劣化、架橋反応等が生じる。その結果、加熱圧縮成形後のPBI樹脂体表面は硬度が高く、脆いものになりやすいことが考えられた。
また、上記表面層を含んだ切削粉を圧縮成形により再成形した場合、ボロボロと砕けて成形品の形状を保つことができなかった。そこで、上記表面の性質に着目して、予め該表面層を取り除いた切削粉で圧縮成形を行なった結果、耐熱特性および表面硬度については元のPBI樹脂成形体と同程度の機械的強度を有する成形体が得られた。本発明はこのような知見に基づくものである。
本発明のPBI系樹脂成形用素材は、PBI系樹脂材料の加熱圧縮成形後に内部と特性が異なる表面層が除去されているので、切削加工用として寸法安定性に優れるPBI系樹脂成形体が得られる。
本発明のPBI系樹脂切削粉の再利用方法は、あらかじめ複雑な前処理を施す必要がなく、成形体の表面層を予め切削除去するだけでいいので簡易である。また、表面層除去した切削粉を圧縮成形するので、PBI系樹脂本来の高耐熱性用途に再利用可能である。
また、上記切削粉を原料としてPBI系樹脂成形体に圧縮成形する際、通常の熱硬化性樹脂原料の場合と基本的に同様の圧縮成形条件で成形可能であるので、新たな成形機の導入や、成形条件の探索、再生品の評価機器の導入を行なう必要がなく、既存の設備や成形条件を活用できる。
PBI系樹脂成形体としては、PBI樹脂単独の成形体、焼結体、PBI樹脂とポリイミド樹脂との混合体などが挙げられる。
PBI樹脂は、下記式(1)で表わされる芳香族PBI樹脂を好適に使用できる。
Figure 2006255987
芳香族PBI樹脂は、上記式(1)で表される繰り返し単位を有する樹脂であり、Rは芳香族環上互いにオルト位置にある一対のアミノ基2個を有する芳香族テトラアミンまたはその誘導体の残基であり、R’は芳香族ジカルボン酸またはその誘導体の残基である。そのような残基としては、フェニル基、ナフチル基、ジフェニル基、およびこれらがメチレン基、エーテル基、カルボニル基、スルホン基等の連結基で連結されている芳香族基が挙げられる。
好ましい芳香族PBI樹脂の具体的な例としては、ポリ-2,2'-(m-フェニレン)-5,5'-ジベンゾイミダゾール、ポリ-2,2'-(ジフェニレン-2'',2''')-5,5'-ジベンゾイミダゾール、ポリ-2,2'-(ジフェニレン-4'',4''')-5,5'-ジベンゾイミダゾール、ポリ-2,2'-(1''、1''、3''-トリメチルインダニレン)-3''、5''-p-フェニレン-5,5'-ジベンゾイミダゾール、2,2'-(m-フェニレン)-5,5'-ジベンゾイミダゾール/2,2'-(1''、1''、3''-トリメチルインダニレン)-3''、5''-p-フェニレン-5,5'-ジベンゾイミダゾール共重合体、2,2'-(m-フェニレン)-5,5'-ジベンゾイミダゾール/2,2'-(ジフェニレン-2'',2''')-5,5'-ジベンゾイミダゾール共重合体、ポリ-2,2'-(フリレン-2'',5'')-5,5'-ジベンゾイミダゾール、ポリ-2,2'-(ナフタレン-1''、6'')-5,5'-ジベンゾイミダゾール、ポリ-2,2'-(ナフタレン-2''、6'')-5,5'-ジベンゾイミダゾール、ポリ-2,2'-アミレン-5,5'-ジベンゾイミダゾール、ポリ-2,2'-オクタメチレン-5,5'-ジベンゾイミダゾール、ポリ-2,2'-(m−フェニレン)−ジイミダゾベンゼン、ポリ-2,2'-シクロヘキセニル-5,5'-ジベンゾイミダゾール、ポリ-2,2'-(m-フェニレン)-5,5'-ジ(ベンゾイミダゾール)エーテル、ポリ-2,2'-(m-フェニレン)-5,5'-ジ(ベンゾイミダゾール)サルファイド、ポリ-2,2'-(m-フェニレン)-5,5'-ジ(ベンゾイミダゾール)スルホン、ポリ-2,2'-(m-フェニレン)-5,5'-ジ(ベンゾイミダゾール)メタン、ポリ-2,2'-(m-フェニレン)-5,5'-ジ(ベンゾイミダゾール)プロパン2,2、ポリ-エチレン-1,2,2,2''-(m-フェニレン)-5,5'-ジ(ベンゾイミダゾール)エチレン-1,2、等が挙げられる。
これらの芳香族PBI樹脂のうちより好ましい重合体としては、ポリ-2,2'-(m-フェニレン)-5,5'-ジベンゾイミダゾールが挙げられる。
切削性向上のため、PBI樹脂に配合することのできる樹脂としては、ポリイミド樹脂が好ましく、芳香族ポリイミド樹脂が特に好ましい。芳香族ポリイミド樹脂は、下記式(2)で示す繰り返し単位を有する樹脂である。
Figure 2006255987
ここで、R1は芳香族テトラカルボン酸またはその誘導体の残基であり、R2は芳香族ジアミンまたはその誘導体の残基である。そのようなR1またはR2としては、フェニル基、ナフチル基、ジフェニル基、およびこれらがメチレン基、エーテル基、カルボニル基、スルホン基等の連結基で連結されている芳香族基が挙げられる。R1およびR2は、同一であっても異なっていてもよい。
芳香族テトラカルボン酸またはその誘導体の例としては、ピロメリット酸二無水物、2,2´,3,3´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン酸二無水物等が挙げられ、これらは単独あるいは混合して用いられる。
芳香族ジアミンまたはその誘導体の例としては、4,4´−ジアミノジフェニルエーテル、3,3´−ジアミノジフェニルスルホン、4,4´−ジアミノジフェニルメタン、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミンなどのジアミン類またはジイソシアネート類が挙げられる。
本発明で使用できるPBI系樹脂には、ポリエーテルエーテルケトン樹脂あるいはフェノール樹脂なども配合できる。PBI系樹脂における芳香族PBI樹脂の混合割合は30重量%以上、好ましくは50重量%以上、最も好ましくは100重量%である。芳香族PBI樹脂単独の場合に、耐熱、耐機械的性質に優れる。なお、芳香族PBI樹脂が30重量%未満では、得られる成形体の耐熱および耐摩耗の効果が低くなる。
また、PBI系樹脂には、グラファイトなどの導電性充填材、ガラスなどの補強材、炭素繊維(CF)、ガラス繊維(GF)などの繊維状補強材を配合できる。好ましいのは無充填の芳香族PBI樹脂である。
PBI樹脂材料の加熱圧縮成形は、成形品内部にボイド・密度ムラの発生を抑える方法であれば特に制限はない。好適な加熱圧縮成形の一例として図1に示す方法が挙げられる。図1はPBI樹脂材料の加熱圧縮成形における温度、圧力条件を示す図である。図1において横軸は時間であり、上のグラフの縦軸は温度であり、下のグラフの縦軸は外部より金型の上型板に加えられる圧力である。
(1)室温以上に予め加熱された金型のキャビティ内に乾燥後のPBI樹脂粉末を投入する充填工程と、
(2)該PBI樹脂粉末をキャビティ内に密に充填した後、該充填後の体積よりも密になるように金型に第1次圧力を印加して、該第1次圧力を保持しながら100℃以上、樹脂の2次転移点未満に加熱し、その温度および圧力を所定時間保持する予備加熱工程と、
(3)その温度を保持したまま、第1次圧力以上の第2次圧力を所定時間加え、次いで第1次圧力に戻した後にPBI樹脂の2次転移点以上にPBI樹脂粉末を加熱する加熱工程と、
(4)該加熱工程の温度を保持したまま第3次圧力を所定時間印加する加熱加圧工程と、
(5)金型のキャビティ内の温度を連続的に降下させるとともに、その温度降下が開始された後に第3次圧力を段階的に降下させる降熱降圧工程とを含む加熱圧縮成形方法であることが好ましい。
以下、各工程の詳細について説明する。
金型のキャビティ内にPBI樹脂粉末を投入する。
圧縮成形用金型は投入前、予め 100〜450℃に、好ましくは 150〜300℃に予熱しておくことが好ましい。予熱により、PBI樹脂粉末に素早く熱が伝わり、PBI成形体製造工程全体の処理時間を短縮することが可能となる。この予熱は、金型を強制空気対流のオーブン中に置くことにより、あるいは金型に内蔵されたヒータ等により実施できる。
金型に投入されたPBI樹脂粉末は突き固めを施すことが好ましい。突き固めは、例えば金型内のPBI樹脂粉末を好ましくはPBI成形体製の突き棒で均一に突く操作によりなされ、PBI樹脂粉末がキャビティ内に密に充填される。
次いで、金型の上型板をキャビティに充填されたPBI樹脂粉末上に重ねる。投入されたPBI樹脂粉末が少ない場合、補助板を重ねることができる。次に、予備加熱処理の前にPBI樹脂粉末をプレスすることによりPBI樹脂粉末粒子間に存在する空気を系外へ追い出すことができる。この時のプレス圧は、充填後の体積よりも僅かに密になるように、例えば充填後のPBI樹脂粉末の体積が成形後の製品の 1.3 倍程度の体積となる圧力を印加する。具体的には、上型板の自重を 5 分間程度かけることによりなされる。この圧力を第1次圧力とする。
予備加熱工程は、第1次圧力を保持しながら 100 ℃以上、かつ投入されたPBI樹脂の2次転移点未満に加熱し、その温度および圧力を所定時間保持する。予備加熱工程においては、第1次圧力は大気圧より僅かに高い圧力であればよく、あるいは大気圧の状態であってもよい。大気圧の状態に保持すると金型内のキャビティの体積を一定に保持することができる。
具体的に予熱加熱温度は 100〜450 ℃、好ましくは 150〜300 ℃である。この温度までの昇温中は、PBI樹脂粉末に金型への圧力は僅かにしか印加されていないため、発生ガス、低分子量ガス、あるいはPBI分解ガス等が発生した場合、当該ガスは容易に金型の間隙を通って系外へ排出される。このため、従来のPBI成形体に見られたようなボイドの残存を激減させることができる。この昇温処理は、金型に内蔵したヒ−タ−、その他この程度の加熱が可能な加熱手段を用いて行なわれる。この場合、次の加熱工程および加熱加圧工程を考慮して、プレス機が併設された金型で行なうと有利である。昇温処理の所要時間は、好ましくは 90〜150 分間である。
100〜450 ℃の予熱加熱温度に達した後、加熱工程に移る前に、加圧せずに金型をその温度で 5〜100 分間保持することが好ましい。これにより、昇温処理中に発生するPBIの分解ガスが十分に排出され、成形体内に残ることを防ぐことができる。
なお、充填工程および予備加熱工程を同時に行なうことができる。その場合、例えば、約 200 ℃程度に予め予熱された金型を準備して、この金型内に投入されたPBI樹脂粉末を均一に上記方法にて充填し、上型板の自重程度の圧力を印加する。
加熱工程は、上記予熱加熱温度を保持したまま、第1次圧力以上の第2次圧力を所定時間加え、次いで第1次圧力に圧力を戻した後にPBI樹脂の2次転移点以上にPBI樹脂粉末を加熱する工程である。
第2次圧力は 10〜100 kg/cm2 が好ましい。また、印加時間は 5〜30 分間が好ましい。第2次圧力および時間がこの範囲より小さい場合、上記分解ガス等のガス抜きが不十分となり、樹脂粉末の充填が密にならない。またこの範囲をこえる場合、後述する加熱加圧工程でのガス抜きが不十分となる。
第2次圧力を所定時間印加して、次いで第1次圧力に圧力を戻した後に、その第1次圧力を保持して金型の昇温を開始する。昇温速度は金型の大きさ、原料の量によるが、通常 15〜200 分間、好ましくは30〜100 分間の範囲の時間にPBI樹脂の2次転移点以上、例えば 400〜600℃の温度に加熱する。さらに第1次圧力を保持したまま到達した 400〜600℃の温度に 5〜100 分間、好ましくは 10〜50 分間保持する。この条件を保持することにより、上記分解ガス等のガス抜きがより十分になる。なお、PBI樹脂であるポリ-2,2'-(m-フェニレン)-5,5'-ジベンゾイミダゾールのガラス転移点は 427℃である。
加熱加圧工程は、上記加熱工程の温度を保持したまま第3次圧力を所定時間印加する工程である。
第3次圧力は 400〜700 kg/cm2 、好ましくは 450〜600 kg/cm2 である。また、印加時間は 15〜200 分間が好ましい。第3次圧力および時間がこの範囲より小さい場合、PBI成形体にボイドが発生したり、焼成不良が発生したりする。その結果、機械的強度が低下する。この範囲をこえるとPBI成形体の表面酸化現象や焼けが発生する。
なお、加熱加圧工程における金型は、上型板の温度を下型板の温度よりも高く設定することが好ましい。キャビティ内で上昇気流を発生させガス抜けが良好になる。
降熱降圧工程は、上記加熱加圧工程の圧力を保持したまま、キャビティ内の温度を連続的に降下させ、その後に第3次圧力を段階的に降下させる工程である。降熱開始時に圧力を保持しないとPBI成形体にヒケやボイドが発生する。
キャビティ内の温度が約 350 ℃に低下したら圧力を段階的に降下させる。好ましくは2段階に別けて降下させる。また各段階に保持する時間は数分間の短い時間であってもよい。また、成形体の取り出し温度は 290〜350 ℃の範囲であることが好ましい。350 ℃以上をこえるとPBI成形体にヒケが発生し、290 ℃未満ではワレが発生する。
なお、成形工場の雰囲気温度によっては、成形体の焼けすぎを防止するために、金型温度を一旦 250 ℃程度に低下させた後、再度 350 ℃程度に昇温させて取り出すことができる。
上記加熱圧縮成形工程はPBI樹脂単独の場合について説明したが、PBI樹脂に他の樹脂が配合された場合、予備加熱工程、加熱工程、加熱加圧工程、および降熱降圧工程を経る方法であれば、ボイド・密度ムラのないPBI系樹脂の成形体が得られる。なお、その際の各条件は、PBI樹脂に混合された他の樹脂の種類、配合量によってそれぞれ決定される。
金型より取り出されたPBI系樹脂成形体の表面層を除去することにより、PBI系樹脂成形用素材が得られる。
表面層除去は、機械的切削が好ましく、例えばダイヤモンド系切削工具などを用いて行なう。
上記加熱圧縮成形方法で金型より取り出した立方体(幅 320 mm×長さ 320 mm×厚さ 35 mm)のPBI樹脂体(PBI樹脂単独)より、幅 10 mm×長さ 130 mm×厚さ 1 mm の試験片を切り出した。切り出す位置は、表面からの深度を 1 mm 刻みで切り出した。表面を含んで表面から 1 mm 深さまでを試験片No1として、深度 7 mm から 8 mm までを試験片No8とした。これらの試験片について、反り特性および表面硬度を測定した。反り特性は試験片を表面平坦な試験台に静置して 0.1 mm の隙間ゲージが入る場合を「NG(不良)」、隙間ゲージが入らない場合を「OK(良好)」とした。表面硬度はロックウエル硬度試験機(アカシ社製、測定条件;Aスケール)を用いて測定した。反り特性の結果を表1に、表面硬度の結果を図2にそれぞれ示す。図2において、硬度は任意座標であり、表面からの深度は黒皮除去深さで表し、図中の数字は試験片番号を表す。
Figure 2006255987
表1および図2に示すように、表面層から厚さが4mmをこえると反り特性が良好になり、また表面硬度が低くなり、その値に不連続性が見られた。この結果、切削除去される表面層の厚さが4mmをこえる厚さであれば、寸法安定性に優れたPBI樹脂成形用素材が得られることが分かった。また、PBI樹脂成形体としても、加熱圧縮成形後表面層の厚さを4mmをこえる厚さまで切削除去することで寸法安定性に優れる。
本発明のPBI系樹脂切削粉の再利用方法は、高価である樹脂成形体において、その切削加工後の切削粉を再成形することにより有効利用する方法である。本発明の再利用方法を図3を参照して説明する。図3は、再利用方法のフローチャートを示す図である。
表面層除去工程2において、樹脂成形体1の表面層を、該成形体1の切削加工前に予め除去する。具体的には樹脂成形体1の表面を表面層の層厚分切削除去する。切削は上記方法を用いることができる。表面層厚さは、加熱圧縮成形における熱履歴などにより異なるため、PBI系樹脂成形体1毎に適切な厚さで表面層を切削除去する。好ましくは表面層の厚さを4mmをこえる厚さまで切削除去する。
表面層を除去する目的は、上述したように、樹脂成形体1の表面層に存在する機械的強度、耐熱性の劣化を招く樹脂の末端基の酸化物、脱水素化物、架橋物および熱分解樹脂等を除去することにより、再利用のための熱履歴を経ても樹脂成形体が本来保有する分子量、機械的強度および耐熱性の低下を抑制することにある。
次に切削加工工程3において、表面層が除去された樹脂成形体1を、半導体製造装置部品、電子・電気機器部品、絶縁部品などとして利用するため、これらの用途形状に合せて切削加工する。該切削加工工程3によって表面層を含まないPBI系樹脂成形体1の切削粉4が得られる。
最後に圧縮成形工程6において、該切削粉4を圧縮成形金型に充填し、所定の温度・圧力で圧縮成形を行ない新たな樹脂成形体1’を得る。なお、切削性向上などの必要に応じて該切削粉4にポリイミド樹脂5を配合した後圧縮成形を行なう。
上記手順により得られた樹脂成形体1’は、元のPBI系樹脂成形体1と同等の機械的強度および耐熱性を有するので、半導体製造装置部品、電子・電気機器部品、絶縁部品などの用途に再利用可能である。なお、このときも表面層を切削除去して最終製品とすることが好ましい。
実施例1
このPBI樹脂粉末(クラリアントジャパン(株)製) 6 kg を 200℃に予熱した 320 mm×320 mm×35 mmの金型に密に充填し、金型の上型板の自重をかけ 20 分間 200℃に保持した。
その後、650 トン油圧プレスにより 100 kg/cm2 で加圧縮し、樹脂をさらに密に充填した。この後、プレスの上ラムを密に充填した位置に固定し、圧を解除し、金型の上型板の自重のみとした。
外部から圧力を加えない状態で内蔵ヒータにより金型プレス内の原料樹脂を 470℃に 2 時間かけて昇温した。次いで、470℃で 30 分間保持した後、金型を 600 kg/cm2に加圧し、470℃で 3 時間保持した。その後、温度を下げ始めて、427℃を下回った時に加圧力を 350 kg/cm2 にした。さらに、金型温度が約 300℃になったところでPBI成形体を金型より取り出した。
この縦 320 mm×横 320 mm×厚さ 35 mm のPBI板状体の各表面をダイヤモンド製切削工具により 5 mm の厚さ分切削除去して、縦 310 mm×横 310 mm×厚さ 25 mm のPBI樹脂成形用素材を得た。
得られたPBI樹脂成形用素材を用いて、複数個の半導体製造装置部品を製造したが各製品共、切削加工後に旋盤などの治具から取り外す際に反り変形が生じず均一な特性を示した。
実施例2〜実施例7
実施例1の半導体製造装置部品製造の際に生成した切削粉と、PBIバージン粉末(購入時の粉末であり、加熱圧縮成形工程を経ていない粉末)と、ポリイミド樹脂粉末とを表2に示す割合で配合して、実施例1に示す形状および条件で加熱圧縮成形後、表面層を 5 mm の厚さ分切削除去して、樹脂成形用素材を得た。この素材の評価を、引張り試験(JISK7113)、表面硬度試験(JISK7202)、荷重たわみ試験(JISK7207)、切削性評価試験を行なった。結果を表2に示す。
比較例1〜比較例4
実施例1において、加熱圧縮成形後、表面層を取り除かないで切削加工を行なった切削粉を原料とした。圧縮成形条件は実施例1と同様である。なお、比較例1はバージン材である。
各比較例について実施例1と同様の試験を行なった。結果を表2に示す。
Figure 2006255987
実施例2〜4では比較例1のバージン材のみを材料とした成形体とほぼ同等の耐熱性および表面硬度を有していた。表面層を取り除かない比較例2では成形できずにボロボロと砕けた。比較例3および比較例4については、ポリイミド樹脂あるいはバージン材の添加に伴い、成形することはできたが、バージン材のみの特性に比較して遥か及ばない特性であった。
本発明のPBI系樹脂成形用素材は、PBI系樹脂材料の加熱圧縮成形後に、表面層が除去されてなるので、寸法安定性、耐熱性、絶縁性などに優れたPBI成形体が得られる。
また、本発明の熱硬化性樹脂切削粉の再利用方法によって得られた成形体は、上記成形体と同等の機械的強度、耐熱性、絶縁性などを有するので、半導体製造装置部品、液晶製造装置部品、ガラス製造治具・部品、電子・電気機器部品、絶縁部品、断熱部品の原材料として好適に利用できる。
PBI系樹脂材料の加熱圧縮成形における温度、圧力条件を示す図である。 表面硬度の測定結果を示す図である。 本発明の再利用方法のフローチャート図を示す。
符号の説明
1 樹脂成形体
2 表面層除去工程
3 切削加工工程
4 切削粉
5 ポリイミド樹脂
6 圧縮成形工程

Claims (5)

  1. ポリベンゾイミダゾール系樹脂材料を加熱圧縮成形して得られるポリベンゾイミダゾール系樹脂成形用素材であって、
    前記加熱圧縮成形後に、表面層が除去されてなることを特徴とするポリベンゾイミダゾール系樹脂成形用素材。
  2. 前記表面層の厚さが4mmをこえる厚さであることを特徴とする請求項1記載のポリベンゾイミダゾール系樹脂成形用素材。
  3. ポリベンゾイミダゾール系樹脂成形用素材を切削加工して得られるポリベンゾイミダゾール系樹脂成形体であって、前記成形用素材が前記請求項1または請求項2記載のポリベンゾイミダゾール系樹脂成形用素材であることを特徴とするポリベンゾイミダゾール系樹脂成形体。
  4. ポリベンゾイミダゾール系樹脂材料を加熱圧縮成形する成形工程と、加熱圧縮された成形体を切削加工する切削工程とを備えてなるポリベンゾイミダゾール系樹脂成形体の切削加工方法であって、
    前記成形工程後に表面層を除去する表面層除去工程を有することを特徴とするポリベンゾイミダゾール系樹脂成形体の切削加工方法。
  5. ポリベンゾイミダゾール系樹脂成形体の切削加工により発生する樹脂切削粉の再利用方法であって、
    原樹脂成形体の表面層を除去する表面層除去工程と、該表面層が除去された樹脂成形体を切削加工することで得られる切削粉を成形材料として成形する工程とを有することを特徴とするポリベンゾイミダゾール系樹脂切削粉の再利用方法。
JP2005074382A 2005-03-16 2005-03-16 ポリベンゾイミダゾール系樹脂成形用素材、切削加工方法、および切削粉の再利用方法 Expired - Fee Related JP4707422B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005074382A JP4707422B2 (ja) 2005-03-16 2005-03-16 ポリベンゾイミダゾール系樹脂成形用素材、切削加工方法、および切削粉の再利用方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005074382A JP4707422B2 (ja) 2005-03-16 2005-03-16 ポリベンゾイミダゾール系樹脂成形用素材、切削加工方法、および切削粉の再利用方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006255987A true JP2006255987A (ja) 2006-09-28
JP4707422B2 JP4707422B2 (ja) 2011-06-22

Family

ID=37095729

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005074382A Expired - Fee Related JP4707422B2 (ja) 2005-03-16 2005-03-16 ポリベンゾイミダゾール系樹脂成形用素材、切削加工方法、および切削粉の再利用方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4707422B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100983761B1 (ko) 2008-05-23 2010-09-24 엘에스전선 주식회사 고내열 절연 전선

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002187013A (ja) * 2000-12-18 2002-07-02 Kanazawa Inst Of Technology 工具及び切削加工方法

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002187013A (ja) * 2000-12-18 2002-07-02 Kanazawa Inst Of Technology 工具及び切削加工方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100983761B1 (ko) 2008-05-23 2010-09-24 엘에스전선 주식회사 고내열 절연 전선

Also Published As

Publication number Publication date
JP4707422B2 (ja) 2011-06-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN1064062C (zh) 成形用环氧树脂组合物和使用它的高电压设备用模压制品及其制法
CN101472723A (zh) 压塑开口环的方法
EP2520606A2 (en) Method for manufacturing a wholly aromatic polyimide resin having improved heat resistance and elongation properties in a high temperature range
JP2573036B2 (ja) ポリベンズイミダゾール焼結体とその製法
CN107109070A (zh) 成型材料、成型品和成型品的制造方法
US20100038824A1 (en) Circuit board carrier/solder pallet
US4668496A (en) Vitreous carbon
JP4707422B2 (ja) ポリベンゾイミダゾール系樹脂成形用素材、切削加工方法、および切削粉の再利用方法
CN114016286B (zh) 一种官能化氧化石墨烯电泳沉积修饰碳纤维的方法及其碳纤维复合材料
JP2019147876A (ja) 繊維強化熱可塑性樹脂プリプレグおよび成形体
US4626569A (en) Process for producing a molded product and the molded product produced thereby
Ghose et al. High temperature VARTM of phenylethynyl terminated imides
JP2018177946A (ja) フィラー高含有組成物及び成形体の製造方法
KR101252593B1 (ko) 전기 절연의 생성 및 절연된 제품
KR100825092B1 (ko) 고밀도 흑연 성형체의 제조방법
CN112143384B (zh) 石墨坩埚修补膏及石墨坩埚修补方法
Karger‐Kocsis et al. Use of hygrothermal decomposed polyester–urethane waste for the impact modification of epoxy resins
TW202140624A (zh) 成形體用芳香族聚醯亞胺粉體、使用其之成形體、及成形體之機械強度提昇方法
TW202202343A (zh) 纖維強化複合材之製造方法
US4624811A (en) Process for preparing a vitreous carbon
KR101832395B1 (ko) 탄소섬유 분말 소재의 제조방법, 이를 포함하는 탄소섬유 전극 및 이의 제조방법
JP7398311B2 (ja) 熱硬化樹脂成形体の損傷個所の修復方法
EP4163097A1 (en) Polyimide resin molded body and production method for same
JP6323394B2 (ja) フェロコークス原料の成型方法及びフェロコークスの製造方法
Cherkashina et al. Investigation of the effect of structuring methods on the change in residul stresses in polymer composite material

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080304

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20101125

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101130

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110127

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110222

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110315

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4707422

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees