JP2006255822A - 繊維切断刃及びそれを具備する切断装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ガラス繊維の切断工程で安定した品位の切断加工を実現することのできるガラス繊維用切断刃と、この切断刃を備えたガラス繊維切断装置を提供する。
【解決手段】本発明の繊維用切断刃10は、超硬合金製の刃部10aとこれを支持する炭素工具鋼製の基体部10bとを有し、刃部10aを構成する超硬合金中の質量百分率表示によるタングステンカーバイド(WC)の含有率に対するコバルト(Co)の含有率の比が、0.05から0.25の範囲である。また本発明のガラス繊維用切断装置は、前記のガラス繊維用切断刃10を備えるものであって、複数のガラス繊維用切断刃を同軸円筒面位置で放射状に配設した構造の切断刃支持部を有する。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の繊維用切断刃10は、超硬合金製の刃部10aとこれを支持する炭素工具鋼製の基体部10bとを有し、刃部10aを構成する超硬合金中の質量百分率表示によるタングステンカーバイド(WC)の含有率に対するコバルト(Co)の含有率の比が、0.05から0.25の範囲である。また本発明のガラス繊維用切断装置は、前記のガラス繊維用切断刃10を備えるものであって、複数のガラス繊維用切断刃を同軸円筒面位置で放射状に配設した構造の切断刃支持部を有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、ガラス繊維の製造工程で使用される繊維切断刃とそれを具備した切断装置に関する。
各種用途に使用されているガラス繊維製品は、一般に以下のようにして製造されている。即ち、所定組成となるように調合されたガラス原料を高温に加熱して溶融状態とした後に均質な状態とし、白金製ブッシング装置の底部に設けられた複数のノズルより熔融ガラスを引き出して連続したモノフィラメントとした後に紡糸して、水スプレーで急速冷却し、更に各種の集束剤を被覆して数百から数千本を集束することでストランドを形成した後にワインダーで巻き取り、ケーキと呼ばれる粗糸巻きにされて各種用途に使用されている。
ガラス繊維製品として、例えばガラスチョップドストランド(切断糸ともいう)は、前記したケーキからストランドを解除して引き揃えた後に、ロービングカッター等の各種の切断装置を使用して連続的に所定長に切断することで製造されている。このチョップドストランドは、分散装置に供給されてチョップドストランドマットやペーパー、テープ等に加工されるか、あるいはFRTP(Fiberglass Reinforced Thermoplastics)、FRP(Fiberglass Reinforced Plastics)、GRC(Glassfiber Reinforced Cement)等の各種の複合材料を形成する骨材(あるいは、フィラー、添加材、補強材、補強剤等とも呼ばれる)として使用されている。
このような連続したガラスストランドから安定した品位を有するガラスチョップドストランドを切断加工する上で、使用される切断刃は切断装置で最も重要な構成部材である。そのため、切断刃については、これまで各種の発明が行われ、その性能の向上が計られてきた。例えば特許文献1では、ガラスストランドを切断する際に切断刃が圧接するゴムロールの強度を増加するため、ゴムロールの材質を複合材料としたものが考案されている。また特許文献2では、図4に示すように刃部1と基体部2のビッカース硬度の比率を限定することによって刃先の磨耗を少なくして長時間に亘って使用可能になるという発明が行われている。また、特許文献3では、刃部1と基体部2とを接合層3を介して接合した繊維切断刃の刃部長さと基体部長さの比率とを限定することによって刃の破損を抑止することができるという発明が開示されている。さらに、特許文献4では、刃部1と基体部2の溶接による残留歪を緩和する構造についての発明も開示されている。また、特許文献5では、刃部1のビッカース硬度をさらに向上させて2000以上とし、特許文献6では高い硬度を有する刃部1との接合が容易となる基体部2についての発明が開示されている。
実開平05−96033号公報
特開2002−355788号公報
特開2002−361590号公報
特開2002−370192号公報
特開2003−53693号公報
特開2003−266370号公報
しかし、これまで行われてきた切断刃に関する発明だけでは充分なものとはなっていない。ガラス繊維の切断に使用される切断刃を作製する際に、基体部に刃部を溶接する溶接歩留まりが30%程度まで極端に低くなる場合がある。そこで、溶接時に発生する残留歪みに起因して切断刃の刃先部又は刃部の底部に生じる歪みを解消するために、刃の研磨において刃の底部を調整する作業を行うこと、あるいは刃側面を叩くことで金属素材中の転位の移動を起こさせて、歪みの緩和を計るといったことが対処的に行われてきた。しかしこのような対処的な方法では、切断刃の性能を安定したものとはできない。また、この切断刃の歪みは、大きいもので計測すると刃の長尺全長(300mm)当たりで0.35mmにもなる場合もあり、溶接性を安定なものとすることが望まれてきた。そして切断刃の歪みが大きいと、ガラス繊維の安定な切断を実現できる切断刃の寿命、すなわち耐用期間が短くなるため、このような点からも切断刃の歪みを低く抑制することが大きな問題となってきた。
本発明は、係る状況に鑑み、ガラス繊維の切断工程で安定した品位の切断加工を実現することのできるガラス繊維用切断刃と、該ガラス繊維用切断刃を備えたガラス繊維切断装置を提供することを課題とする。
すなわち、本発明のガラス繊維用切断刃は、超硬合金製の刃部と該刃部を支持する炭素工具鋼製の基体部とを有するガラス繊維用切断刃であって、前記刃部を構成する超硬合金中の質量百分率表示によるタングステンカーバイド(WC)の含有率に対するコバルト(Co)の含有率の比が、0.05から0.25の範囲であることを特徴とする。
ここで、超硬合金製の刃部と該刃部を支持する炭素工具鋼製の基体部とを有するガラス繊維用切断刃であって、前記刃部を構成する超硬合金中の質量百分率表示によるタングステンカーバイド(WC)の含有率に対するコバルト(Co)の含有率の比が、0.05から0.25の範囲であるとは、ガラス繊維を切断する用途で使用される切断刃が、0.5質量%から1.6質量%の炭素を含有する炭素工具鋼と呼称される鋼材を基体部とし、その基体部に接合されたタングステンカーバイドとコバルトよりなる超硬合金製の刃部について、その含有成分であるコバルトの質量含有率をタングステンカーバイドの質量含有率で除した値が、0.05から0.25の範囲内の値となることを表している。
ここで、刃部は文字通りガラス繊維に所定の剪断力を印加することでガラス繊維を切断するに適した形態となっているものであって、この機能を実現するものであるならば、どのような形態のもであっても支障はない。例えば刃部の形態は、刃先の片側のみにテーパー部を有する片刃であっても、両側にテーパー部を有する両刃(諸刃ともいう)であってもよく、さらに刃部の刃先に位置する切刃のテーパー部(または傾斜部)の傾斜形状を有する部位の刃軸面(刃の長尺方向の中心軸線を含む刃面に垂直な面)に対する傾斜状態について、刃軸に対して外側に凸形状である場合にナイフや包丁の呼称と同様にハマグリ型刃あるいはコンベックスグラインドと呼び、また一方側テーパー部も他方側テーパー部も刃軸に対して外側に凹形状である場合に内外R形状あるいはホローグラインドと呼び、さらにテーパー部が直線形状の場合に、ストレイトグラインドと呼ぶが、いずれの形態についてもガラス繊維を切断するという機能を実現することができるものであって、本発明で使用可能な形態である。
また、基体部については、焼き入れ焼き戻しの処理を施すことによって形成された適量の炭素(C)を含有する鋼材であって、硬度、熱膨張係数、ヤング率などの基体部に必要となる性質が適切なものであり、刃部と切断刃を駆動する切断装置の構成部材との間に介在するに相応しいものであるならば、使用することができる。
また本発明のガラス繊維用切断刃については、刃部の材質としてタングステンカーバイドとコバルトを含有するならば他の成分をさらに含有させることができる。例えば、WC−Co系、WC−TaC−Co系、WC−TiC−Co系、WC−TiC−TaC−Co系の超硬合金を使用することができる。
刃部を構成するタングステンカーバイド(WC)に対するコバルト(Co)の質量百分率による含有比が、0.05から0.25の範囲とすることについては、本発明者らが溶接時の切断刃の歪みの大小に影響する溶接性について、種々検討を行った中で、超硬合金におけるコバルトの含有量、特にタングステンカーバイドに対するコバルトの含有量が超硬合金との溶接性を左右することを見いだした。その比率を調査したところ、0.05から0.25の範囲内とすることで、溶接直後に溶接部位の割れや破損が生じることもなく、試験片による溶接確認評価試験によっても刃部の歪み量が小さくなり、さらにその再現性が認められた。即ち、タングステンカーバイドに対するコバルトの含有量の範囲を限定することで刃部の溶接性を著しく改善することができることが判明したのである。また、本発明のガラス繊維用切断刃では、刃部の溶接性を安定させるという点に加え、さらに切断刃の寿命を一層長期化するという点まで考慮すると、タングステンカーバイド(WC)に対するコバルト(Co)の質量百分率による含有比率が、0.10から0.24の範囲とすることが好適であって、さらに好ましくは0.11から0.23の範囲とすることである。
本発明のガラス繊維用切断刃は、公知の製造技術を適用することによって製造できるものであるが、例えば所定量のコバルトをバインダとして含むタングステンカーバイドの微粒を焼結させて得られるものである。具体的には、89.5質量%のタングステンカーバイド粉末と10.5質量%のコバルト粉末とを配合し焼成した後、HIP(Hot Isostatics Press)処理して所定の寸法形状に仕上げることによって作製される。こうして得られる超硬合金は、ビッカース硬度がHv.1800以上となっている。
また刃部と基体部の固着については、充分高い強度と安定した機能を実現できるものであるならばどのような構造で接合したものであってもよい。さらに、溶接方法や材料、器具等についても種々の方法を適宜選択することによって最良の方法を採用することができるものである。すなわち、直接の溶接であっても低融点金属箔等を介しての接合であってもよい。
このような構成とすることによって、例えば本発明のガラス繊維用切断刃をローラに取り付けて使用する際、カッターロールを高速回転させても、基体部が刃先に加わる振動を十分に吸収するため、刃先が折損することが少なく、例えばガラス繊維を切断する場合の切断効率を大幅に向上させることが可能である。
また、本発明のガラス繊維用切断刃は、上述に加えチョップドストランドの切断に供されるものであれば、高い寸法精度と整った切断面を有するガラスチョップドストランドを長期に亘り生産できるため好ましい。
ここで、チョップドストランドの切断に供されるものとは、本発明のガラス繊維用切断刃は、特にガラス長繊維を切断して得られるガラスチョップドストランドの切断加工用途で使用される切断刃として優れていることを意味している。
ここで、ガラスチョップドストランドであるならば、その切断長やガラス繊維の太さ等は特に限定されるものではない。またガラスチョップドストランドの材質についても特に限定されない。すなわち、具体的に示すならば、材質としてEガラス(無アルカリガラス組成)、Dガラス(低誘電率を実現するガラス組成)、ARガラス(耐アルカリ性ガラス組成)、Cガラス(耐酸性のアルカリ石灰を含有するガラス組成)、Mガラス(高弾性率を実現するベリリウムを含有するガラス組成)、Sガラス(高強度、高弾性率を実現するガラス組成)、Tガラス(高強度、高弾性率を実現するガラス組成)そしてHガラス(高誘電率を実現するガラス組成)といったものである。
本発明のガラス繊維用切断装置は、上記のガラス繊維切断刃を具備したことを特徴とする。
ここで、上記のガラス繊維切断刃を具備したとは、すなわち、上記したように超硬合金製の刃部と該刃部を支持する炭素工具鋼製の基体部とを有するガラス繊維用切断刃であって、前記刃部を構成する超硬合金中の質量百分率表示によるタングステンカーバイド(WC)の含有率に対するコバルト(Co)の含有率の比が、0.05から0.25の範囲であり、特にチョップドストランドの切断に適した切断刃を備えている装置であることを意味している。
また本発明のガラス繊維用切断装置は、複数のガラス繊維用切断刃を同軸円筒面位置で放射状に配設した構造切断刃支持部を有するものであれば、効率よくガラス繊維を切断することができるので好ましい。
そして、このガラス切断装置では、使用する切断刃の数や配設状態は、特に限定されない。例えば、ローラの周囲に最適な数だけこの切断刃を配設することによってカッターロールを形成し、好ましい回転数でカッターロールを回転させて使用することができる。また切断刃支持部はローラに限らず、切断刃を安定した状態で保持することが可能なものであれば、どのような方法であってもよい。
本発明のガラス繊維用切断装置は、ガラスストランドよりチョップドストランドを連続切断加工するに適した機能を有するものであるならば、さらに必要となる種々の付帯設備を配設することができる。例えば、連続的な切断加工を行うために複数の切断刃を等間隔にロール上に配設してカッターロールを形成し、その切断刃が順次ガラスストランドの所定箇所を適正に圧接することによって2つの対向するロール間に連続的に供給されるガラスストランドを切断し、所望の長さ寸法を有するガラスチョップドストランドを得ることもできる。また切断されたガラスチョップドストランドを集積、搬送する装置を使用することもできる。そしてこのような複数の切断刃を配設する構造としては、例えばゴムロールとそのゴムロールに圧切するカッターロールとを備え、このカッターロールに複数の切断刃を配設した構造が考えられる。このような構造を有する装置であれば、カッターロールに圧接するゴムロールの寸法や材質等は適宜選択することが可能であって、耐熱性や機械的な耐久度の高い材料を選択し、効率的な切断状態を維持できる寸法とすることが可能である。そしてカッターロールについても同様に充分に高い耐久性を有する構造となるものを採用することができれば支障はない。
また、カッターロールに圧接するゴムロールについては、その強度が充分実用に耐えるものとするため、ゴムロール中に必要に応じてガラス繊維、ガラスフレーク、有機繊維、ガラスビーズ、セラミックス繊維及びセラミック粒子の群の中から選ばれる少なくとも1以上の補強充填材を含有させることができる。
また本発明の繊維切断装置では、各切断刃を互いに近距離(例えば3mm間隔)で配置する場合、切断刃同士が接触する等して徐々に摩耗していき、破損することがある。そこで切断刃の両面にゴム(例えば厚み0.2mm〜0.5mm)等の緩衝材や金属製スペーサ等を取り付けると、切断刃が破損し難く、装置の耐久性を向上させることが可能となるため好ましい。
また、本発明のガラス繊維切断装置は、切断刃を有する切断機構の下部、あるいは側部に、切断されたチョップドストランドを捕集する構造を採用することにより、切断動作によって生成したガラスチョップドストランドを切断機構の系外に速やかに移動させて切断機構の連続動作を妨げないようにできるものである。このような構造としては、例えばベルトコンベヤによる搬送や気流による搬送ダクト等の採用が可能であり、設備の規模等に応じて必要とされるものを適宜採用することができる。
また、本発明のガラス繊維切断装置は、必要に応じて外形や長さ等の所定の基準を満足しない不良のガラスチョップドストランドや良品のガラスチョップドストランドに混入する不要な有機質、無機質の異物、ゴミ等を除去する機構を装置内に1以上組み込むことが可能である。このような機構を実現するためにレーザ等の光学的な計測装置を切断機構の前後に配設した構造とすることができるものである。
さらに、本発明のガラス繊維切断装置にストランドを供給する供給機構は、ストランドの切断機構が兼ねるものであってもよく、またストランドの切断機構とは別にストランド供給装置を本装置に配設するものであってもよい。
(1)以上のように、本発明のガラス繊維用切断刃は、超硬合金製の刃部と該刃部を支持する炭素工具鋼製の基体部とを有するガラス繊維用切断刃であって、前記刃部を構成する超硬合金中の質量百分率表示によるタングステンカーバイド(WC)の含有率に対するコバルト(Co)の含有率の比が、0.05から0.25の範囲であることを特徴とするものであるため、安定した溶接性を有し、刃歪みが抑制された状態となり、長時間に亘り高い切断性能を持続できるものである。
(2)また本発明のガラス繊維用切断刃は、チョップドストランドの切断に供されるものであるならば、切断品位のばらつきの少ないチョップドストランドを加工することができ、複合材料等へと使用した場合に設計性能を確実に実現することのできる素材となるものである。
(3)また本発明のガラス繊維用切断装置は、前記に記載のガラス繊維用切断刃を具備したものであれば、耐用期間の長い繊維用切断刃を備えた装置となるのでガラス繊維の切断加工工程で安定した切断品位を有する加工品を生み出し続けることを可能とし、長期に亘り切断不良品を発生しにくい状態とすることができ、製造管理上の種々の手間を削減することができるものである。
(4)さらに本発明のガラス繊維用切断装置は、複数のガラス繊維用切断刃を同軸円筒面位置で放射状に配設した構造の切断刃支持部を有するものであるならば、特にチョップドストランドの加工に最適な加工装置として有効に使用することが可能となるものである。
以下に本発明の繊維切断刃とその繊維切断刃を使用するガラス繊維切断装置について、実施例に基づいて説明する。
図1に本発明のガラス繊維用切断刃の一例を示す。この切断刃10は、刃部10aと基体部10bよりなり、刃部10aと基体部10bとは、溶接拡散層10cを介して接合されている。この切断刃10の刃部10aは、厚さ寸法が0.2mm〜10mm、幅寸法1mm〜15mmであり、その先端部が諸刃形状の外形を有している。そしてこの刃部の材質は、コバルト(Co)16質量%、タングステンカーバイド84質量%よりなる超硬合金であって、タングステンカーバイド(WC)に対するコバルト(Co)の質量百分率による含有比率が、0.19であり、そのビッカース硬度はHv.1600〜2400である。また基体部10bについては、厚さ寸法が0.2mm〜10mm、幅寸法7mm〜35mmであって、その材質は炭素(C)含有率が1.0質量%〜1.4質量%を有する炭素工具鋼である。刃部10aと基体部10bとの間には、両者を溶接する際に使用した接合材料による拡散層10cが形成されていて、刃部10aと基体部10cとを堅固に結合している。
この切断刃10は、以下の手順で作製することができる。まず平均粒径0.03μm〜1.2μmのうち適するタングステンカーバイド(WC)を84質量%相当量と16質量%のコバルト粉末(すなわちタングステンカーバイド(WC)に対するコバルト(Co)の質量百分率による含有比率が、0.19となる)とを調合して焼成した後に、HIP処理を行うことによって、板形状を有する超硬合金からなる刃部10aの材料を作製する。
一方、1.2質量%の炭素(C)を含有し、焼入れ焼戻しを施した板形状の炭素工具鋼を刃部10の形状に合わせて加工し、切断刃10の基体部10bを形成する。
次に刃部10aの端面と基体部10bの端面との間に、厚さ寸法が0.05mm〜0.9mmのうち適する接合用の金属材料箔を配して突き合わせた状態として保持し、基体部10bの先端近傍にレーザ照射を行う。このレーザ照射によって、基体部用材料が加熱されて高温状態に達すると、基体部材料側からの熱伝導によって基体部用材料の端面に当接している金属材料箔が加熱されて溶融状態となる。そして溶融された金属材料箔から熱伝導を受けて刃部材が加熱され、刃部材と接合材料箔とが一体的に接合され、接合材料拡散層10cが形成される。この時、金属材料箔の接合した材料は、基体部10bを形成する炭素工具鋼に含まれる鉄と反応して、基体部の表層に局所的に接合材料合金層を形成する。また金属材料箔の接合した材料は、超硬合金中へも溶け込み、接合材料の拡散層10cと結合する。この接合材料の合金層の線熱膨張係数は、30℃〜300℃の温度範囲において41×10-7/K〜45×10-7/Kであり、刃部10aの材料である超硬合金の線熱膨張係数(25℃〜200℃の温度範囲において45×10-7/K)に近似しているため、刃部材と基体部材との接合部に残留する熱応力が小さくなり、接合部に変形を生じることなく刃部材と基体部が強固に接合される。そして刃部材の先端に刃付け加工等を施すことによって鋭利な形状の刃部を形成し、切断刃10が得られる。
次いで、この切断刃10について、その溶接性を調査するために上述した2種類の材質について溶接試験片を作製し、溶接後に溶接部表面の割れやクラック等の欠陥が発生しないか目視によって調査したところ、その良品率は98%となり、従来の溶接品位を大幅に改善できる品位となることが確認することができた。
また、この切断刃10の切断刃の歪みを図2のような計測部位について歪み量Lを計測したところ、従来は切断刃の歪みの量が、長尺全長長さ(300mm)当たり0.35mm発生する場合があったが、本発明のガラス繊維用切断刃10の場合には、10検体についての計測がいずれも歪み量は0.05mm以下となり、切断刃10の歪みが著しく小さな値となっていることを確認することができた。
次いで、この切断刃を使用して構成されたガラス繊維用切断装置について説明する。ガラス繊維用切断装置の具体例として、ガラスチョップドストランドの切断加工装置を説明するため、その構成の要部について図3に示す。
本発明のガラス繊維用切断刃10を予め複数枚作製し、これらのガラス繊維用切断刃10を等間隔にカッターロール20の周囲に放射状に配設した。この装置40は、回転軸を中心に回転自在のカッターロール20と、このカッターロール20の切断刃の刃先にガラスストランドGを給糸するためのゴムロール30とが必要となる構成である。そしてカッターロール20とゴムロール30の回転速度は、それぞれ任意に調整できる仕様となっている。
この装置40を使用して、カッターロール20を周速度500m/分で回転させることによってEガラス組成を有する連続したガラスストランドを長さ寸法3mmのガラスチョップドストランドに切断加工し続けたところ、120時間経過した後も切断加工の能力に目だった変化は認めがたく、従来では不可能であった長時間に亘って良好な切断機能を維持し続けることとなった。
次いで実施例1と同様の構成で、刃部の材質が、コバルト(Co)10質量%、タングステンカーバイド90質量%よりなる超硬合金であって、タングステンカーバイド(WC)に対するコバルト(Co)の質量百分率による含有比率が、0.11となる切断刃について、やはり実施例1と同様の組成の炭素工具鋼への溶接試験を実施したところ、その刃歪みの計測値は、10検体について長尺全長長さ(300mm)当たり0.07mm以下となり、実施例1と同様に高い溶接安定性を実現できるものであることを確認することができた。
以上のように本発明のガラス繊維用切断刃を搭載するガラス繊維用切断装置は、長時間に亘り安定した切断能を有するものであって、各種用途に利用されるガラス繊維の切断加工工程にとって重要な装置である。
本発明はガラス繊維を対象としているが、セラミックス繊維等の他の脆性繊維等にも適用可能である。
10 ガラス繊維用切断刃
1、10a 刃部
2、10b 基体部
10c 拡散層
20 カッターロール
30 ゴムロール
40 切断装置
G ガラスストランド
L 切断刃の歪み量
1、10a 刃部
2、10b 基体部
10c 拡散層
20 カッターロール
30 ゴムロール
40 切断装置
G ガラスストランド
L 切断刃の歪み量
Claims (4)
- 超硬合金製の刃部と該刃部を支持する炭素工具鋼製の基体部とを有するガラス繊維用切断刃であって、
前記刃部を構成する超硬合金中の質量百分率表示によるタングステンカーバイド(WC)の含有率に対するコバルト(Co)の含有率の比が、0.05から0.25の範囲であることを特徴とするガラス繊維用切断刃。 - チョップドストランドの切断に供されることを特徴とする請求項1に記載のガラス繊維用切断刃。
- 請求項1または請求項2に記載のガラス繊維用切断刃を具備したことを特徴とするガラス繊維用切断装置。
- 複数のガラス繊維用切断刃を同軸円筒面位置で放射状に配設した構造の切断刃支持部を有することを特徴とする請求項3に記載のガラス繊維用切断装置。
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