JP2003053693A - 繊維用切断刃及びその製造方法、繊維切断装置、並びにガラスチョップドストランド - Google Patents

繊維用切断刃及びその製造方法、繊維切断装置、並びにガラスチョップドストランド

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JP2003053693A
JP2003053693A JP2002099632A JP2002099632A JP2003053693A JP 2003053693 A JP2003053693 A JP 2003053693A JP 2002099632 A JP2002099632 A JP 2002099632A JP 2002099632 A JP2002099632 A JP 2002099632A JP 2003053693 A JP2003053693 A JP 2003053693A
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fiber cutting
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JP2002099632A
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Masanori Matsubara
正典 松原
Masakazu Tominaga
昌和 冨永
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Nippon Electric Glass Co Ltd
Original Assignee
Nippon Electric Glass Co Ltd
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Publication date
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    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P40/00Technologies relating to the processing of minerals
    • Y02P40/50Glass production, e.g. reusing waste heat during processing or shaping
    • Y02P40/57Improving the yield, e-g- reduction of reject rates

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  • Manufacture, Treatment Of Glass Fibers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ビッカース硬度がHv.2000以上の超硬
合金から刃部が形成され、炭素工具鋼から基体部が形成
されても、刃部と基体部とが良好に一体接合され、優れ
た耐摩耗性を有するため、長時間の使用に耐える繊維用
切断刃を提供する。 【構成】 刃部1aと基体部1bとはニッケル合金層1
cを介して接合され、この合金層の幅方向の長さt1は
1.0mm、合金層の断面方向の長さt2は1.2mm
である。刃部1aの表面上には、ニッケル薄膜層1a’
が形成され、その表面下にはニッケル拡散層1a’’が
形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、繊維用切断刃に関
し、特にガラス繊維を一定の長さに切断するのに適した
切断刃に関する。
【0002】
【従来の技術】ガラス繊維の製造は、溶融ガラスを、ブ
ッシング底部に形成された多数のノズルから引き出し
て、連続した細いガラスフィラメントとして紡出し、こ
れを水スプレーで冷却し、さらに、サイジング剤を表面
にコーティングして、数百本乃至数千本集束することに
よりガラスストランドとし、ガラスストランドをワイン
ダーで巻取ってケーキと称される粗糸巻を形成する。巻
取られたガラスストランドは、撚糸工程を経てヤーンと
して、あるいは合糸工程を経てガラスロービングとし
て、それぞれ長繊維のまま使用されるほか、チョップ工
程を経て一定の長さのガラスチョップドストランドとし
てFRTPやGRC(ガラス繊維強化セメントの略称)
等に使用されている。
【0003】上記チョップ工程で、ガラスストランドの
切断に使用される繊維切断装置としては、一般に、図3
に示すような装置が使用されている。この装置は、複数
の切断刃1を等間隔で放射状に取り付けたカッターロー
ラ2と、外周面にゴムを装着したゴムローラ3とを備え
てなり、カッターローラ2とゴムローラ3との間にガラ
スストランドGを送り込むことによって所定の長さ(例
えば1.5〜12mm)に切断するようにしている。
【0004】従来、この種のカッターローラ2に取り付
ける切断刃1としては、耐衝撃性に優れているという理
由から、焼入れ焼き戻しを施し、Hv.800程度のビ
ッカース硬度を有する炭素工具鋼の先端を研磨して刃付
け加工を施したものが一般に使用されている。しかしな
がら、このような炭素工具鋼からなる切断刃1は、使用
時間の経過とともに刃部が磨耗して切れなくなる。特に
ガラス繊維は、有機繊維等に比べて硬いため、刃部の摩
耗が激しく、切断刃を数時間毎に交換する必要があり、
これが生産効率を低下させる原因となっていた。
【0005】また、従来から耐磨耗性に優れている金属
として超硬合金が知られており、超硬合金は磨耗しても
研磨すれば再使用が可能といった長所を有するが、耐衝
撃性の点では劣るという欠点がある。このため、超硬合
金で作製した切断刃1をカッターローラ2に取り付けた
切断装置で、カッターローラ2を高速回転させた際に、
切断刃1に過大な衝撃荷重が加わると、折損して飛散す
る虞れがあるため、カッターローラ2の回転を低速にし
なければならず、これが生産効率の向上にとって障害と
なっていた。
【0006】上記の問題に対処するために、本出願人
は、特開平11−123693号において、刃部が超硬
合金から形成され、基体部が焼入れ焼戻しを施した炭素
工具鋼から形成され、刃先と基体部がニッケル合金層を
介して接合されてなる繊維用切断刃を提案している。
【0007】上記の繊維用切断刃は、図4に示すよう
に、刃部1aが超硬合金で形成されているため耐磨耗性
に優れ、また、基体部1bが焼入れ焼戻しを施した炭素
工具鋼で形成されているため耐衝撃性に優れており、繊
維の切断時に基体部1bが振動を吸収するため刃部1a
の折損を抑えることができる。さらに、この繊維用切断
刃1は、刃部1aと基体部1cとがニッケル合金層1c
を介して接合されており、このニッケル合金層1cは、
ニッケルが炭素工具鋼及び超硬合金に溶け込んだもので
あり、刃部1aの材料である超硬合金の熱膨張係数に近
似した熱膨張係数を有しているため、刃部1aと基体部
1bとの接合部の残留応力が小さくなり、接合部に変形
が発生せず高い強度を実現することができるといった長
所を備えている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記の繊維用切断刃
は、刃部が超硬合金から形成されてなるため、耐摩耗性
に優れ、長時間に亘って使用することが可能であるが、
生産性を向上させるためにより一層高い摩耗性を有する
切断刃の開発が求められている。刃部が超硬合金からな
り、基体部が炭素工具鋼からなる切断刃の耐摩耗性をさ
らに向上させるためには、刃部の材料である超硬合金の
硬度を高くすれば良い。しかしながら刃部にビッカース
硬度がHv.2000以上の極めて高い硬度を有する超
硬合金を用いる場合、刃部を炭素工具鋼からなる基体部
と接合する際に、両者の間にニッケル(Ni)を配して
レーザを照射して高温加熱を行うと、熱衝撃のために刃
部と基体部との接合部を基点として超硬合金の内部に向
かって亀裂や破損が生じやすいという問題がある。
【0009】つまり、ビッカース硬度がHv.2000
以上の高硬度の超硬合金は、耐摩耗性には優れている
が、炭素工具鋼との接合が難しいため、実用化には至っ
ていない。
【0010】本発明は上記問題に鑑みてなされたもので
あって、その目的とするところは、ビッカース硬度がH
v.2000以上の超硬合金から刃部が形成され、炭素
工具鋼から基体部が形成されても、刃部と基体部とが良
好に一体接合され、優れた耐摩耗性を有するため、長時
間の使用に耐える繊維用切断刃を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の繊維用切断刃
は、表面下にニッケルの拡散層が形成された超硬合金か
らなる刃部と、炭素工具鋼からなる基体部が、合金層を
介して接合されてなることを特徴とする。
【0012】また本発明の繊維用切断刃の製造方法は、
刃部の表面上にメッキによりニッケルの薄膜層を形成し
た後、熱処理することによって刃部の表面下にニッケル
の拡散層を形成した後、該刃部と炭素工具鋼からなる基
体部とを接合することを特徴とする。
【0013】さらに本発明の繊維切断装置は、複数の切
断刃を放射状に取り付けたカッターローラと、外周面に
ゴムを装着したゴムローラを備えてなり、前記切断刃
は、表面下にニッケルの拡散層が形成された超硬合金か
らなる刃部と、炭素工具鋼からなる基体部が、合金層を
介して接合されてなることを特徴とする。
【0014】また本発明のガラスチョップドストランド
は、複数の切断刃を放射状に取り付けたカッターローラ
と、外周面にゴムを装着したゴムローラを備えてなる繊
維切断装置であって、前記切断刃は、表面下にニッケル
の拡散層が形成された超硬合金からなる刃部と、炭素工
具鋼からなる基体部が、合金層を介して接合されてなる
繊維切断装置によって製造されてなることを特徴とす
る。
【0015】本発明の繊維用切断刃において、刃部の材
料である超硬合金は、金属元素炭化物と金属とを焼結さ
せた極めて硬い合金であり、一般に、WC−Co系、W
C−TaC−Co系、WC−TiC−Co系、WC−T
iC−TaC−Co系の超硬合金が知られている。また
本発明で使用される超硬合金は、7質量%以下のコバル
トをバインダとして含むタングステンカーバイドの微粒
を焼結させて得られるものであり、例えば95質量%の
タングステンカーバイド粉末と、5質量%のコバルト粉
末とを配合し焼成した後、HIP(Hot Isost
atics Press)処理して所定の寸法形状に仕
上げることによって作製される。こうして得られる超硬
合金は、ビッカース硬度がHv.2000以上となる。
【0016】また本発明の繊維用切断刃は、刃部の表面
下にニッケルの拡散層が形成されているため、耐熱衝撃
性が向上する。すなわち一般にビッカース硬度がHv.
2000以上の超硬合金は、バインダであるコバルト
(Co)成分の含有量が極めて少なく、また主成分であ
るタングステンカーバイド(WC)の粒径が過度に小さ
いため、脆化しやすい。このような超硬合金は耐熱性に
劣り、高温に曝されると熱衝撃に抗しきれずに亀裂が入
りやすくなる。しかしながら、その表面下にニッケルを
拡散させることにより、超硬合金の脆性を緩和して靱性
を向上させることができ、熱衝撃に抗して亀裂が生じに
くくなる。
【0017】本発明において、刃部の表面下にニッケル
の拡散層を形成する方法は、特に制限されず、例えば刃
部の表面上にメッキによりニッケルの薄膜層を形成した
後、熱処理することによって刃部の表面下にニッケルを
拡散させる方法が採られる。このように刃部の表面にメ
ッキによりニッケルの薄膜層を形成するメッキ法による
と、ニッケルの拡散層を安定して形成することができる
が、刃部の材料である超硬合金は不導電体であるため、
電解メッキ法は不向きであり、ニッケル基を含むメッキ
液に刃部を浸漬させて、刃部の表面にニッケルの薄膜層
を形成する無電解メッキ法(化学メッキ法)が適してい
る。また刃部の表面下にニッケルを拡散させる際、空気
雰囲気中で刃部を熱処理すると、高温により超硬合金に
含まれるコバルトが揮発してバインダの含有量が減少
し、ニッケルの薄膜層と刃部との接着性が低下するた
め、真空雰囲気中で熱処理するのが望ましい。
【0018】本発明の基体部を形成する炭素工具鋼は、
炭素を含有する鉄に焼入れ焼戻しを施したものであり、
耐衝撃性に優れている。具体的には、SK−5、SK−
2等が使用でき、これらの熱膨張係数は、25〜200
℃の温度域において100〜120×10-7/℃であ
る。
【0019】本発明では、刃部と基体部を接合する合金
層が、ニッケル合金層又はコバルト合金層であることが
好ましい。つまり刃部と基体部の間にニッケル又はコバ
ルトを配置し、これを溶接すると、ニッケルやコバルト
が炭素工具鋼及び超硬合金に溶け込み、一体化する。特
にニッケル合金層は、超硬合金の熱膨張係数に近似した
熱膨張係数を有するため、残留応力が発生し難く、また
超硬合金のニッケル拡散層と結合しやすいため、刃部と
強固に接合し、しかも材料費が安価であり、加工性にも
優れているため好適である。
【0020】本発明の繊維用切断刃の厚さは0.3〜
4.5mmであることが好ましい。切断先の厚さが0.
3mm未満であると強度が低下し、また、切断刃の厚さ
が4.5mmを超えると繊維の切断長を短くすることが
困難になる。実用上、切断刃のより好ましい厚さは、
0.3〜1.5mmである。
【0021】本発明の繊維用切断刃は、基体部の接合端
から他端までの長さ(基体部の幅)が、刃部の接合端か
ら刃先までの長さ(刃部の幅)の2〜5倍となるように
構成することが望ましい。その理由は、基体部の幅が、
刃部の幅の2倍未満であると、カッターローラを高速回
転させた際に基体部が振動を十分に吸収することが困難
となり、逆に5倍超であると、繊維用切断刃の取付寸法
による制限により刃部の幅が相対的に短くなり、刃部の
研磨代が少なくなるからである。
【0022】また本発明の繊維用切断刃は、合金層の幅
方向の長さが、合金層の断面方向の長さの0.7〜3.
5倍(好ましくは0.75〜2.5倍、より好ましくは
0.8〜2倍)となるように構成することが望ましい。
その理由は、合金層の幅方向の長さが、その断面方向の
長さの0.7倍未満であると、刃部1aと基体部1bと
の接合部の残留応力が大きくなりすぎて、接合部に変形
を生じ、強度が低下しやすくなり、逆に3.5倍を超え
ると、合金層の強度が低下しやすくなるからである。
尚、合金層の幅方向の長さは、表面部の長さで測定し、
また合金層の断面方向の長さは、両面の間隔で測定すれ
ば良い。
【0023】このように合金層の幅方向の長さが、合金
層の断面方向の長さの0.7〜3.5倍となるようにす
るためには、超硬合金からなる刃部と、炭素工具鋼から
なる基体部をニッケル箔又はコバルト箔を介して整合さ
せた後、その整合部をレーザー照射することによって、
刃部と基体部をニッケル合金層又はコバルト合金層で接
合すれば良い。基体部にニッケルを溶射する方法では、
ニッケルの付着状態が不安定となり、ニッケル合金層の
形状を制御することが困難であるが、基体部の一端にニ
ッケル又はコバルトからなる金属箔を整合し、金属箔に
刃部の後端を整合させた後、その整合部にレーザを照射
して加熱すると、ニッケル又はコバルトが、炭素工具鋼
の主成分である鉄と固溶すると共に、超硬合金に溶け込
むことによって合金層が形成され、金属箔の厚みを選択
することによって、合金層の寸法比を制御することが可
能となる。
【0024】本発明の繊維切断装置は、カッターローラ
の表面に上記の切断刃の複数本を放射状に取り付けたも
のであり、刃部の摩耗が少ないため、ガラス繊維のよう
な硬い繊維の切断に好適であり、しかもこの装置は、カ
ッターローラを高速回転させても、基体部が振動を十分
に吸収するため、刃先が折損することが少なく、ガラス
チョップドストランドの生産性を大幅に向上させること
が可能である。尚、カッターローラに対する切断刃の取
り付けは、各切断刃が等間隔となるようにすれば良い。
【0025】また本発明の繊維切断装置において、各切
断刃を近距離(例えば3mm間隔)で配置する場合、切
断刃同士が接触して徐々に摩耗し、破損することがある
が、切断刃の両面にゴム(例えば厚み0.2〜0.5m
m)等の緩衝材や金属製スペーサを取り付けると、切断
刃が破損し難くなるため好ましい。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の繊維用切断刃の実
施例を図面に基づき詳細に説明する。
【0027】図1は本発明の繊維用切断刃を示す説明図
であって、(A)は正面図を、(B)は(A)のY−Y
線断面図、(C)は(B)の要部拡大図である。
【0028】繊維切断刃1は、ビッカース硬度がHv.
2200である超硬合金により形成された刃部1a(肉
厚1.2mm、幅5mm)と、ビッカース硬度がHv.
800である炭素工具鋼(SK−5)により形成された
基体部1b(肉厚1.2mm、幅13mm)とを備えて
いる。刃部1aと基体部1bとはニッケル合金層1cを
介して接合され、この合金層の幅方向の長さt1は1.
0mm、合金層の断面方向の長さt2は1.2mmであ
る。刃部1aの表面上には、ニッケル薄膜層1a’が形
成され、その表面下にはニッケル拡散層1a’’が形成
されている。
【0029】上記の繊維用切断刃1は、次のようにして
作製した。
【0030】まず、平均粒径が0.7μmで95質量%
のタングステンカーバイド(WC)粉末と、5質量%の
コバルト(Co)粉末とを配合し、焼成した後、HIP
処理を行うことによって、板状の超硬合金からなる刃部
材1’を作製する。
【0031】この刃部材1’の表面を研磨した後、図2
(A)に示すように、塩化ニッケル30質量%、次亜リ
ン酸ナトリウム10質量%、ヒドロ基酢酸ナトリウム5
0質量%等からなるメッキ液4に浸漬させ、刃部材1’
の表面に厚さ10μmのニッケル薄膜層1a’を形成す
る。
【0032】次に図2(B)に示すように、このニッケ
ル薄膜層1a’を形成した刃部材1’を熱処理用治具
(図示省略)に収納して真空熱処理炉5内に導入し、真
空雰囲気中で約1100℃の温度で約1時間保持する。
この熱処理により、刃部材1’の表面に設けられたニッ
ケル薄膜層1a’中のニッケル原子の一部が刃部材1’
の材料である超硬合金中に拡散して、刃部材1’の表面
下にニッケル拡散層1a’’が形成される。
【0033】また、0.8質量%の炭素(C)を含有
し、焼入れ焼戻しを施した炭素工具鋼を刃部の形状に合
わせて加工することによって、図2(C)に示すような
基体部1bを形成する。
【0034】次に図2(D)(E)に示すように、刃部
材1’の端面と基体部1bの端面との間に、厚さ約0.
3mmのニッケル箔Nを配して突き合わせ、基体部1b
の先端近傍にYAGレーザを照射する。このYAGレー
ザの照射によって、基体部1bが加熱されて高温に達す
ると、基体部1bからの熱伝導によって基体部1bの端
面に接触しているニッケル箔Nが加熱され溶融される。
また溶融されたニッケル箔Nから熱伝導を受けて刃部材
1’が加熱され、刃部材1’の表面下に形成されたニッ
ケル拡散層1a’’と、ニッケル箔Nのニッケルとが容
易に融合して刃部材1’とニッケル箔Nとが一体的に接
合される。この時、ニッケル箔Nのニッケルは、基体部
1bを形成する炭素工具鋼に含まれる鉄と反応して、基
体部1bの表層に局部的にニッケル合金層1cを形成す
る。またニッケル箔Nのニッケルは、超硬合金にも溶け
込み、ニッケル拡散層1a’’と結合する。このニッケ
ル合金層1cの熱膨張係数は、30〜300℃の温度域
において40〜47×10 -7/℃であり、刃部1aの材
料である超硬合金の熱膨張係数(25〜200℃の温度
域において45×10-7/℃)に近似しているため、刃
部材1’と基体部1bとの接合部に残留する熱応力が小
さく、接合部に変形を生じることなく刃部材1’と基体
部1bが強固に接合される。
【0035】刃部材1’と基体部1bとを接合した後、
刃部材1’の表面のニッケル薄膜層1a’を研削するこ
とによって除去し、さらに刃部材1’の先端に刃付け加
工を施すことによって刃部1aを形成し、図2(F)に
示すような切断刃1が得られる。
【0036】こうして得られた切断刃1の複数枚を、図
3に示すようにカッターローラ2の周囲に等間隔で放射
状に取付けて繊維用切断装置とした。この繊維用切断装
置を用いて、カッターローラ2を周速度500m/分で
回転させ、ガラスストランドGを3mmの長さに切断し
たところ、約100時間が経過しても刃部1aに切断性
能の低下は見られず、問題なく使用することができた。
【0037】これに対し、比較例として、上記と同様の
ビッカース硬度がHv.2200の超硬合金からなり、
表面処理を施していない刃部材と、ビッカース硬度がH
v.800の焼入れ焼戻しを施した炭素工具鋼からなる
基体部とを準備し、ニッケル箔を間に配して刃部の一端
と基体部の一端を突き合わせ、基体部の先端近傍にYA
Gレーザを照射して加熱したところ、刃部と基体部との
接合部を起点として、刃部に向かって亀裂が入って破損
する現象が認められ、切断刃の作製にも到らなかった。
【0038】尚、本実施例では、ガラス繊維を切断する
例を挙げたが、本発明はこれに限定されるものではな
く、これ以外の各種繊維、例えばアラミド繊維や炭素繊
維等にも適用できることは言うまでもない。また本発明
におけるビッカース硬度は、JIS Z2251に準じ
て測定したものである。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の繊維用切
断刃は、刃部が極めて高い硬度の超硬合金からなり、刃
部の表面下にニッケルの拡散層が形成され、刃部の靱性
が向上すると共に、接合材のニッケルを介して刃部と基
体部とが一体化して強固に接合しているため、刃部の耐
摩耗性が大幅に向上して長時間の使用に耐え、しかも容
易には折損しないという利点を有する。
【0040】また本発明の繊維切断装置は、切断刃の刃
部の摩耗が少ないため、ガラス繊維のような硬い繊維の
切断に好適であり、ガラスチョップドストランドの生産
性を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の繊維用切断刃を示す説明図であって、
(A)は正面図、(B)は(A)のY−Y線断面図、
(C)は(B)の要部拡大図である。
【図2】本発明の繊維用切断刃を作製する工程を示す説
明図であって、(A)は刃部材の表面にニッケル薄膜層
を形成する工程の説明図、(B)はニッケル薄膜層が形
成された刃部を熱処理してニッケル拡散層を形成する工
程の説明図、(C)〜(F)は刃部と基体部とを接合す
る工程の説明図である。
【図3】繊維切断装置を示す概略説明図である。
【図4】従来の繊維用切断刃を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 繊維用切断刃 1b 刃部 1’ 刃部材 1a’ ニッケル薄膜層 1a’’ ニッケル拡散層 1b 基体部 1c ニッケル合金層 2 カッターローラ 3 ゴムローラ 4 メッキ液 5 真空熱処理炉 N ニッケル箔 G ストランド

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面下にニッケルの拡散層が形成された
    超硬合金からなる刃部と、炭素工具鋼からなる基体部
    が、合金層を介して接合されてなることを特徴とする繊
    維用切断刃。
  2. 【請求項2】 超硬合金のビッカース硬度がHv.20
    00以上であることを特徴とする請求項1記載の繊維用
    切断刃。
  3. 【請求項3】 合金層が、ニッケル合金層又はコバルト
    合金層であることを特徴とする請求項1又は2記載の繊
    維用切断刃。
  4. 【請求項4】 超硬合金からなる刃部の表面上にメッキ
    によりニッケルの薄膜層を形成した後、熱処理すること
    によって刃部の表面下にニッケルの拡散層を形成した
    後、該刃部と炭素工具鋼からなる基体部とを接合するこ
    とを特徴とする繊維用切断刃の製造方法。
  5. 【請求項5】 複数の切断刃を放射状に取り付けたカッ
    ターローラと、外周面にゴムを装着したゴムローラを備
    えてなり、前記切断刃は、表面下にニッケルの拡散層が
    形成された超硬合金からなる刃部と、炭素工具鋼からな
    る基体部が、合金層を介して接合されてなることを特徴
    とする繊維切断装置。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の繊維切断装置によって製
    造されてなることを特徴とするガラスチョップドストラ
    ンド。
JP2002099632A 2001-06-06 2002-04-02 繊維用切断刃及びその製造方法、繊維切断装置、並びにガラスチョップドストランド Pending JP2003053693A (ja)

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