JP4099342B2 - ガラスストランド切断装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、ガラスストランド切断装置に関し、特にガラス繊維を一定の長さに切断するのに適したガラスストランド切断装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ガラス繊維の製造は、溶融ガラスをブッシング底部に形成された多数のノズル孔から引き出して連続した細いフィラメントとして紡出し、水スプレーで冷却し、さらにサイジング剤(集束剤)をコーティングして数百本〜数千本を集束することによりストランドとなし、これをワインダーで巻き取ってケーキと呼ばれる粗糸巻を形成している。そしてこの後、撚糸工程を経てヤーンとしたり、合糸工程を経てロービングとすることによって、長繊維のままで使用される場合の他、チョップ工程を経て一定の長さの短繊維に切断することによってチョップドストランド(切断糸)としてFRTPやGRC(ガラス繊維強化セメント)等に使用されている。
【0003】
上記チョップ工程で使用されている切断装置は、図3に示すように、切断刃(1)を等間隔で放射状に取り付けたカッターローラ(2)と、外周面にゴムを装備させたゴムローラ(3)との間にストランド(4)を送り込んで切断させるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来よりカッターローラ(2)に取り付ける切断刃(1)としては、耐衝撃性に優れているという理由から、一般に焼き入れした炭素工具鋼(焼き入れ硬度Hv.800程度)を研磨したものが使用されている。しかしながらこのような炭素工具鋼からなる切断刃(1)は、使用経過と共に刃先が摩耗し、切れなくなるため、定期的に交換する必要がある。そのため切断刃(1)を数時間毎に交換する必要があり、これが生産性の低下の主な原因となっている。
【0005】
また従来より耐摩耗性に優れた金属としては超硬合金が知られており、超硬合金は摩耗しても、研磨して再利用することが可能であるが、耐衝撃性に劣るという欠点がある。そのため超硬合金から切断刃(1)を作製し、これをカッターローラ(2)に取り付け、カッターローラ(2)を高速回転させた際、切断刃(1)に衝撃荷重が加わると、折損、飛散しやすくなるため、100m/分程度の低速でカッターローラ(2)を回転させなければならず、やはり生産性の向上を図ることができない。
【0006】
そこで本出願人は、特願平7−319670号において、刃先が超硬合金から形成され、基体部が超硬合金と近似した熱膨張係数を有する金属から形成され、両者を溶接してなる繊維用切断刃を提案している。
【0007】
この繊維用切断刃は、刃先の摩耗が少なく、刃先に比べて基体部の耐衝撃性も高く、しかも刃先と基体部を溶接する際の熱応力が小さいが、超硬合金と近似した熱膨張係数を有する金属(例えば42%Ni)は、十分な強度を有していないため、カッターローラを高速回転させた際、振動により局部的な摩耗が発生し、折損することがあった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、刃先の摩耗が少なく、基体部が十分な耐衝撃性を有し、しかも刃先と基体部を溶接しても、溶接する際の熱応力が小さいガラスストランド用切断刃を、カッターローラに取り付けてなり、生産性の向上を図ることが可能なガラスストランド切断装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のガラスストランド切断装置は、複数の切断刃を等間隔で放射状に取り付けたカッターローラと、外周面にゴムを装着したゴムローラを備えてなり、前記切断刃が、超硬合金から形成された刃先と、焼き入れ、焼き戻しした炭素工具鋼から形成された基体部からなり、刃先と基体部がニッケル合金層を介して接合され、該ニッケル合金層が、レーザー溶接によってニッケルが炭素工具鋼に溶け込んだものであり、30〜300℃の温度範囲で、40〜47×10-7/℃の熱膨張係数を有することを特徴とする。
【0010】
【作用】
本発明のガラスストランド切断装置は、切断刃の刃先が超硬合金から形成されてなるため、耐摩耗性に優れており、また切断刃の基体部が、高い耐衝撃性と強度を有する焼き入れ、焼き戻しした炭素工具鋼から形成されてなるため、繊維を切断する際の衝撃を基体部が吸収し、超硬合金の破損を防止することが可能である。
【0011】
またこの切断刃は、刃先と基体部がニッケル合金層を介して接合され、このニッケル合金層は、ニッケルが炭素工具鋼に溶け込んだものであり、超硬合金の熱膨張係数に近似した熱膨張係数を有しているため、残留応力が発生し難い。
【0012】
本発明において、切断刃の刃先を形成する超硬合金とは、金属元素炭化物粉末と金属粉末を配合して焼結した極めて硬い合金のことである。一般にWC−Co系、WC−TaC−Co系、WC−TiC−Co系、WC−TiC−TaC−Co系の合金が広く知られており、これらの熱膨張係数は、25〜200℃の温度範囲で48〜62×10-7/℃である。
【0013】
また切断刃の厚みは、0.3〜4.5mmであることが好ましい。すなわち厚みが0.3mmより小さいと、強度が低下しやすく、また4.5mmより大きいと、繊維の切断長を短くすることが困難となるからである。
【0014】
さらにこのような切断刃の複数枚を近距離で配置した状態で使用する場合、切断刃同志が接触して徐々に摩耗し、破損することがあるが、本発明の切断刃の両面にゴム(厚み0.05〜1mm)等の緩衝材を貼り付けたり、焼き付けると、切断刃同志が接触しても破損し難くなるため好ましい。
【0015】
次に本発明で使用する切断刃を作製する方法を説明する。
【0016】
まず刃先となる板状の超硬合金と、基体部となる板状の焼き入れ、焼き戻しした炭素工具鋼を準備し、炭素工具鋼の所定箇所にニッケルを溶射等の方法で被覆した後、その被覆部と超硬合金の一端を整合させた状態でレーザー溶接する。これによってニッケルと炭素工具鋼が局部的な合金を形成する。このニッケル合金は、超硬合金の熱膨張係数に近似した熱膨張係数を有するため、溶接時に発生する熱応力が小さく、刃先と基体部とを強固に接合する機能を有する。
【0017】
このようにして刃先と基体部を接合した後、超硬合金の所定箇所に刃付け加工を施すことによって切断刃が得られる。
【0018】
【実施例】
以下、本発明のガラスストランド切断装置を実施例に基づいて詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明で使用するガラスストランド用切断刃(1)の正面図、図2は、図1におけるA−A線断面図を示すものである。
【0020】
この切断刃(1)は、25〜200℃の温度範囲で57×10-7/℃の熱膨張係数を有する超硬合金(WC+10%Co 硬度Hv.1700)から形成された刃先(1a)と、焼き入れ、焼き戻しを施し、20〜200℃の温度範囲で、112.5×10-7/℃の熱膨張係数を有する炭素工具鋼(SK−5、焼き入れ硬度Hv.500)から形成された基体部(1b)を備えており、刃先(1a)と基体部(1b)がニッケル合金層(1c)を介して接合されることによって構成されている。因にこのニッケル合金層(1c)は、30〜300℃の温度範囲で、40〜47×10-7/℃の熱膨張係数を有している。
【0021】
この切断刃(1)は、次のようにして作製した。
【0022】
まずCoをバインダーとして含むタングステンカーバイト(WC)の微粒を、HIP(Hot Isostatics Press)処理したものを焼成することによって板状の超硬合金を作製した。次いで焼き入れ、焼き戻しした炭素工具鋼を、超硬合金の形状に合わせて加工した。
【0023】
次いで炭素工具鋼の一端にニッケルを溶射することによって、0.2〜0.3mmの厚みでニッケルを被覆形成し、このニッケル層に超硬合金の一端を整合させた状態でYAGレーザーで溶接した後、超硬合金の所定箇所に刃付け加工を施した。
【0024】
こうして得られた切断刃(1)を使用し、これの多数個をカッターローラ(外径150mm)の周囲に、等間隔で放射状に取り付けた。またゴムローラとしては、周囲に所定厚のゴム(ウレタンゴム)が装着され、外径が300mmのものを使用した。
【0025】
このようなガラスストランド繊維切断装置を用いて、カッターローラを500m/分の速度で回転し、ガラスストランドを3mmの長さに切断したところ、40〜50時間にわたって使用することが可能であった。また刃先(1a)を研磨することにより、5回以上再利用することが可能であった。
【0026】
それに対し、超硬合金(W+10%Co 硬度Hv.1700)から形成された刃先と、42%Ni、残部鉄からなる基体部を、YAGレーザーで溶接した切断刃を作製し、それらの多数個を取り付けたカッターローラを用いて、同じ条件でガラスストランドを切断したところ、約30時間で切断刃の基体部が折損した。
【0027】
【発明の効果】
以上のように本発明のガラスストランド繊維切断装置は、カッターローラを高速回転させても、切断刃が折損することがなく、刃先と基体部を溶接しても熱応力が少ない。しかも刃先の摩耗が少なく、再研磨が可能であるため、生産性の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明で使用するガラスストランド用切断刃を示す正面図である。
【図2】 図1におけるA−A線概略断面図である。
【図3】 ガラス長繊維の切断装置を示す要部概略説明図である。
【符号の説明】
1 切断刃
1a 刃先
1b 基体部
1c 接合部
2 カッターローラ
3 ゴムローラ
4 ストランド
Claims (1)
- 複数の切断刃を等間隔で放射状に取り付けたカッターローラと、外周面にゴムを装着したゴムローラを備えてなり、前記切断刃が、超硬合金から形成された刃先と、焼き入れ、焼き戻しした炭素工具鋼から形成された基体部からなり、刃先と基体部がニッケル合金層を介して接合され、該ニッケル合金層が、レーザー溶接によってニッケルが炭素工具鋼に溶け込んだものであり、30〜300℃の温度範囲で、40〜47×10-7/℃の熱膨張係数を有することを特徴とするガラスストランド切断装置。
Priority Applications (1)
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JP2002082780A JP4099342B2 (ja) | 2002-03-25 | 2002-03-25 | ガラスストランド切断装置 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002082780A JP4099342B2 (ja) | 2002-03-25 | 2002-03-25 | ガラスストランド切断装置 |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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Publications (2)
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ID=19193376
Family Applications (1)
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JP2002082780A Expired - Lifetime JP4099342B2 (ja) | 2002-03-25 | 2002-03-25 | ガラスストランド切断装置 |
Country Status (1)
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2002
- 2002-03-25 JP JP2002082780A patent/JP4099342B2/ja not_active Expired - Lifetime
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