JP2006255800A - ブレード保持体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 精密切削装置の回転軸に薄刃ブレードを装着する際に、薄刃ブレードとフランジとの間に介装されることにより、薄刃ブレードの安定的な保持を可能とするブレード保持体を提供する。
【解決手段】 リング状の薄刃ブレード5と、薄刃ブレード5を挟持しつつ回転軸4に固定するフランジ6との間に介装されるブレード保持体1であって、超硬合金あるいはサーメットで形成されるとともに、その厚さT1が0.3mm以下のリング状に形成されている。また、このブレード保持体1は、薄刃ブレード5とフランジ6とに密着する側面1aの表面粗さが3μm以下とされている。
【選択図】 図3

Description

本発明は、例えば電子材料や半導体製品などの精密切断や溝切り加工に用いられる薄刃ブレードを精密切削装置の回転軸に装着する際に、薄刃ブレードを挟持しつつ回転軸に固定するフランジと薄刃ブレードとの間に介装されて、薄刃ブレードを安定的に保持するブレード保持体に関する。
従来、電子材料や半導体製品等(被削材)の精密切断や溝切り加工には、リング状薄板の少なくとも外周縁に例えばダイヤモンド砥粒などを結合材で固結させた薄刃ブレードが使用されている。近年、被削材の精密切断や溝切り加工では、狭ピッチで切削を行うことが求められる場合が多々あり、この種の精密切断や溝切り加工に使用される薄刃ブレードは、その厚さが20〜30μmのものまで使用されている。このように非常に薄肉化した薄刃ブレードを軸線回りに高速回転させて被削材の精密切削を行う装置には、ダイサー等の精密切削装置が用いられている。この精密切削装置には、例えばモータなどの回転駆動手段に接続されて軸線回りに高速回転可能とされた回転軸が設けられており、この回転軸にリング状の薄刃ブレードが環装されて固定されることにより、薄刃ブレードの高速回転が可能とされている。
一般に、回転軸への薄刃ブレードの固定には、リング状で略皿状に形成された2つのフランジが用いられており、薄刃ブレードの軸線に直交する両側面がフランジによって挟持され、このフランジが回転軸に締結可能とされていることによって、薄刃ブレードが回転軸に固定される。薄刃ブレードを挟持固定する2つのフランジには、外周に軸線に直交する環状の平面が設けられており、2つのフランジは、この平面が薄刃ブレードを間にして対向するように回転軸に環装され、各平面が薄刃ブレードの両側面に面接触されつつ押圧されることによって、薄刃ブレードを挟持可能とされている。このように回転軸に固定された薄刃ブレードは、軸線に直交する中心線が被削材の表面に直交した状態で高速回転される。また、この薄刃ブレードは、被削材に対して軸線方向を保ちつつ相対移動されて外周縁が被削材に接触されつつ送り込まれ、さらに、軸線直交方向に所定の送り速度で相対移動されることによって、被削材を真直ぐに切削可能とされる(例えば、特許文献1参照。)。
特開平8−66859号公報
しかしながら、上記の回転軸への薄刃ブレードの固定は、2つのフランジのみで行われており、このとき、薄刃ブレードの側面に対してフランジの外周に形成された軸線に直交する平面のみが面接触されて挟持される。このため、両フランジを締め付け、薄刃ブレードを挟持するときの力が薄刃ブレードの側面に局所的に作用することとなり、フランジの締め付けによって、薄刃ブレードが曲がったり、ひだ状に波うったりしてしまうという問題があった。
このように、曲がった薄刃ブレードを用いて精密切削加工を行った場合には、被削材を真直ぐに切削することができないばかりか、バリの発生やチッピングの増加を招くという問題があった。また、例えば溝切り加工では、切削により画成される柱部分に曲がった薄刃ブレードの側面が当接して柱部分が折れてしまい、被削材が不良品とされるという問題があった。
さらに、曲がった薄刃ブレードを用いた場合には、摩擦接触されて被削材を切削する薄刃ブレードへの負荷が大きくなるため、薄刃ブレードが損耗されやすく、早い段階で薄刃ブレードの切削能力が低下してしまうという問題があった。この場合には、薄刃ブレードの交換頻度が多くなるため、経済性に問題が生じた。
また、2つのフランジで薄刃ブレードを挟持する場合には、薄刃ブレードの側面と面接触するフランジの平面が小面積であるため、単位面積あたりの力が大きく必要となる。例えば切削作業中に薄刃ブレードが被削材から大きな反力を受けて周方向にスリップしたりする場合もあるが、このような場合、薄刃ブレードは、小面積で且つ大きな力で挟持されている挟持部分で大きく損傷されてしまうという問題があった。
本発明は、上記事情を鑑み、精密切削装置の回転軸に薄刃ブレードを装着する際に、薄刃ブレードとフランジとの間に介装されることにより、薄刃ブレードの安定的な保持を可能とするブレード保持体を提供することを目的とする。
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
本発明のブレード保持体は、リング状の薄刃ブレードと、該薄刃ブレードを挟持しつつ回転軸に固定するフランジとの間に介装されるブレード保持体であって、超硬合金あるいはサーメットで形成されるとともに、その厚さが0.3mm以下のリング状に形成されている。
また、本発明のブレード保持体は、前記薄刃ブレードとフランジとに密着する側面の表面粗さが3μm以下とされていることが望ましい。
本発明のブレード保持体によれば、リング状に形成されたブレード保持体が薄刃ブレードとフランジとの間に介装されることによって、ブレード保持体の軸線に直交する側面を薄刃ブレードの軸線に直交する側面に面接触させることができる。また、超硬合金あるいはサーメットで形成されていることにより、ブレード保持体を剛性に優れたものとすることができる。これにより、フランジの挟持力を薄刃ブレードと面接触されるブレード保持体の側面全体で確実に伝達させることができるため、フランジのみで薄刃ブレードを挟持する場合と比較して、単位面積あたりの挟持力を小さくした状態で薄刃ブレードを保持することが可能となる。
また、ブレード保持体が高剛性とされているため、フランジの挟持力によってブレード保持体が変形することを防止でき、薄刃ブレードに曲げ変形を生じさせることなく保持させることができる。さらに、薄刃ブレードが高剛性材で保持されることによって、切削中の薄刃ブレードが曲がり変形を生じることを防止できる。
さらに、本発明のブレード保持体によれば、その厚さが0.3mm以下とされていることによって、フランジの挟持力を確実に薄刃ブレードに伝達させることが可能となるうえ、ブレード保持体の自重を小さくすることができるため、回転軸の回転を阻害することなく、薄刃ブレードを保持させることが可能となる。
また、本発明のブレード保持体によれば、薄刃ブレードとフランジとに密着する側面の表面粗さが3μm以下とされているとともに、単位面積あたりの挟持力を小さくした状態で薄刃ブレードを保持することができるため、切削時に薄刃ブレードが被削材から大きな反力を受けた場合においても薄刃ブレードをブレード保持体の間で外周方向に滑させて逃がすことができる。これにより、薄刃ブレードが大きく損傷されることを防止できる。
よって、本発明のブレード保持体によれば、薄刃ブレードの軸線に直交する中心線を確実に真直ぐにして、薄刃ブレードを回転軸に固定することができるため、被削材の切削精度を向上させることができる。また、薄刃ブレードを真直ぐに固定することができることによって、切削時の薄刃ブレードに生じる切削負荷を低減させることができ、薄刃ブレードの長寿命化を図ることが可能となる。
以下、図1から図3を参照し、本発明の一実施形態に係るブレード保持体1について説明する。
本実施形態のブレード保持体1は、図1から図2に示すように、例えば炭化タングステンを、コバルトを結合材として焼結した超硬合金材料もしくは、例えば炭化チタンや炭窒化チタンなどのチタン化合物をニッケルやコバルトなどで結合したサーメット材料で形成されたリング状のものである。これにより、このブレード保持体1は、ヤング率が500GaP以上で、且つ硬さがHRA(ロックウェル硬さ)80以上、さらに、破壊靭性値が6.0MN/m(3/2)以上のものとされている。また、ブレード保持体1は、軸線O1方向の厚さT1が0.3mm以下とされているとともに、軸線O1に直交する側面1aの表面粗さが3μm以下とされている。ここで、表面粗さとは、JIS B0601−1994に示された基準長さ毎の最低谷底から最大山頂までの高さで表される表面粗さ(Ry)を意味するものである。また、ブレード保持体1の内外径は、後述する回転軸4の径や薄刃ブレード5の径により適宜設定されるものである。
図3は、被削材2の精密切断または溝切り加工に用いられる精密切削装置3を示したものであり、図示せぬ駆動手段に接続されて軸線O2回りに回転可能とされた円柱棒状の回転軸4が備えられている。この回転軸4は、先端4aから駆動手段に接続される側に向けた一部の外面4bに螺刻が施され、この螺刻部分がネジ部4cとされている。また、この回転軸4には、1つのリング状薄板の薄刃ブレード5と、薄刃ブレード5を挟む2つのブレード保持体1と、薄刃ブレード5とブレード保持体1とを挟む2つのリング状で略皿状のフランジ6とが環装されている。ここで、薄刃ブレード5は、例えば電鋳薄刃ブレードのように、少なくとも外周縁5aに例えばダイヤモンド砥粒を結合材で固結させた砥粒層が形成されたものである。また、フランジ6には、外周側に軸線O2と直交する環状の平面6aが形成されている。
回転軸4に薄刃ブレード5を装着する際には、1つのフランジ6が、外周側に形成された平面6aを回転軸4の先端4a側に向けた状態で、内孔が回転軸4のネジ部4cに螺合されることにより固定される。ついで、一方のブレード保持体1、薄刃ブレード5、他方のブレード保持体1の順に、それぞれの内孔が回転軸4に挿通されて環装される。さらに、残ったフランジ6を、外周側に形成された平面6aが先行して取り付けられたフランジ6の平面6aと対向するように、内孔に回転軸4を挿通し環装する。最後に、回転軸4の先端4a側にナット7を取り付け、例えば2〜4Nm程度のトルクで締め付けを行う。これにより、薄刃ブレード5と2つのブレード保持体1とが両フランジ6の平面6aで挟持される。
このように薄刃ブレード5が精密切削装置3の回転軸4に固定された状態で、駆動手段を駆動し薄刃ブレード5を高速回転させる。また、軸線O2方向を保ちつつ回転軸4と被削材2とを相対移動させて、回転された薄刃ブレード5の刃先5aを被削材2に接触させつつ切り込ませる。予め定められた切り込み深さで薄刃ブレード5が被削材2に切り込まれた段階で、回転軸4と被削材2とを予め定められた送り速度で軸線O2直交方向に相対移動させ、これにより、被削材2が切削される。
ここで、ブレード保持体1の軸線O1に直交する側面1aと薄刃ブレード5の側面5bとが面接触されているため、フランジ6からの挟持力がブレード保持体1の側面1a全体で均一に分散されて薄刃ブレード5が保持される。よって、薄刃ブレード5は、ブレード保持体1と面接触する大きな面積に挟持力が作用され、変形を生じることなく回転軸4に固定される。また、ブレード保持体1が超硬合金もしくはサーメットで形成されているため、その剛性が非常に高いものとされており、厚さ寸法T1が0.3mm以下で形成されたブレード保持体1は、フランジ6で挟持されても変形を生じることのないものとされ、その挟持力を確実に薄刃ブレード5に伝達可能とされている。さらに、ブレード保持体1は、厚さ寸法T1が0.3mm以下で形成されていることにより、自重が小さなものとされ、回転軸4を駆動させた際に、例えば回転駆動に大きな負荷が生じることや、高速回転時に回転軸4のブレを生じさせるなど、回転駆動に支障をきたす恐れがないものとされている。
また、高速回転され、被削材2に切り込まれた薄刃ブレード5は、ブレード保持体1により保持されることで、被削材2の切削時に曲がり変形を生じることなく真直ぐに切削可能とされている。さらに、薄刃ブレード5がブレード保持体1で保持されることで、薄刃ブレード5と被削材2との切削抵抗が低減され、回転軸4を駆動させる電力負荷を低い状態に保つことが可能とされている。
したがって、上記のブレード保持体1によれば、精密切削装置3の回転軸4に薄刃ブレード5を装着する際に、薄刃ブレード5とフランジ6との間に介装されることで、フランジ6の挟持力を薄刃ブレード5と面接触する大きな面積で伝達することができる。これにより、挟持される際に、薄刃ブレード5に変形が生じることを防止することができ、且つ高速回転されて切削に供される際にも、薄刃ブレード5の変形を防止することができる。このため、薄刃ブレード5の直進性が向上され、バリやチッピングを生じさせることなく、被削材2を確実に真直ぐに切削することが可能となる。また、これに伴い、薄刃ブレード5と被削材2との切削抵抗が低減され、回転軸4を駆動させる電力負荷が低い状態で切削を行うことが可能となる。
さらに、ブレード保持体1は、厚さ寸法T1が0.3mm以下で形成されていることにより、その自重が小さなものとされており、これにより、回転軸4を駆動させた際に、例えば回転駆動に大きな負荷が生じることや、高速回転時に回転軸4のブレを生じさせるなど、回転駆動に支障をきたす恐れがないものとすることができる。また、厚さ寸法T1が0.3mm以下で形成された薄いブレード保持体1においても、超硬合金もしくはサーメットで形成されていることにより、その剛性を非常に高いものとすることができる。このため、フランジ6の平面6aとの小さな接触面積で挟持力が付加された場合においても変形を生じることがなく、その挟持力を確実に薄刃ブレード5に伝達することが可能となる。
さらに、ブレード保持体1は、その側面1aの表面粗さ(Ry)が3μmとされていることによって、切削作業中に薄刃ブレード5が被削材2から予期せぬ大きな反力を受けた場合においても薄刃ブレード5をブレード保持体1の間で外周方向に滑させて逃がすことができる。これにより、薄刃ブレード5が大きく損傷されることを回避することが可能となる。
なお、本発明は、上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、本実施形態では、精密切削装置3の回転軸4に、1つの薄刃ブレード5を固定して被削材2の切削を行うものとしたが、この限りではなく、回転軸4に複数の薄刃ブレード5を取り付けて、回転軸4を駆動し、薄刃ブレード5と被削材2とを相対移動させることで、同時に複数条の切断もしくは溝切り加工するものとされてもよいものである。このとき、複数の薄刃ブレード5は、それぞれがブレード保持体1により保持され、各ブレード保持体1は、薄刃ブレード5にフランジ6の挟持力を伝達して薄刃ブレード5を回転軸4に固定する役割に加え、切断もしくは溝切りのピッチを確保するためのスペーサとしての役割をも担うものとされる。また、フランジ6と薄刃ブレード5およびブレード保持体1は、回転軸4に形成されたネジ部4cにナット7が螺合されることによって挟持力が付与され、回転軸4に固定されるものとしたが、薄刃ブレード5がブレード保持体1に挟まれて保持されればよいものであるため、薄刃ブレード5を保持するブレード保持体1への力の付与方法が特に限定されるものではない。
以下に本発明の実施例1を図1から図5を参照して具体的に説明する。但し、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
本実施例は、例えば超音波診断装置に備えられる発振子用複合材(被削材)2の溝切り加工を行った一例を示すものである。この発振子用複合材2は、図4から図5に示すように、長さLが100mm、幅Wが20mm、厚さHが2.0mmの矩形薄板状を呈しており、セラミックまたはゴムのバッキング2aに、エポキシ樹脂2b、ポリイミド樹脂2c、銅配線2d、エポキシ樹脂2e、PZT(圧電セラミック)2f、エポキシ樹脂2g、ポリイミド樹脂2hがこの順に積層されて形成されたものである。本実施例では、この発振子用複合材2に、薄刃ブレード5によって幅(薄刃ブレード5の厚さT2)T2が30μmで、切り込み深さBが1.0mmの溝8と、幅T2が40μmで、切り込み深さBが1.5mmの溝8とを複数条で形成する。また、それぞれの溝8の間隔Pを0.3mmとして加工を行う。本実施例は、図3に示すように、ブレード保持体1を用いて薄刃ブレード5を回転軸4に固定した場合と、ブレード保持体1を用いずにフランジ6のみで薄刃ブレード5を回転軸4に固定した場合とによる加工の状態比較を行って、ブレード保持体1の優位性を明らかにするものである。
はじめに、使用したブレード保持体1について説明する。
本実施例で使用したブレード保持体1は、外径50mm、内径40mmのリング状に形成され、厚さT1が0.2mmとされている。また、薄刃ブレード5とフランジ6とに密着する側面1aの表面粗さ(Ry)が3μmとされている。
ついで、使用した薄刃ブレード5およびフランジ6について説明する。
薄刃ブレード5は、外径52mm、内径40mmのリング状に形成されており、厚さT2が30μmと40μmの2種類を用いている。また、それぞれの薄刃ブレード5は、粒度1500のダイヤモンド砥粒をニッケルなどの金属めっき相に分散させつつ電着させることによって形成した砥粒層を備えるものである。
また、薄刃ブレード5およびブレード保持体1を挟持するフランジ6は、外径49.2mmとされている。
ついで、発振子用複合材2の溝切り加工条件について説明する。
図3に示すような精密切削装置(株式会社東京精密製ダイサー)3を使用し、ここでは、薄刃ブレード5を環装した回転軸4の回転数を35000RPMとし、発振子用複合材2に対する送り速度(回転軸4の水平移動速度)を5.0mm/secとしている。また、切り込み深さBを、厚さT2が30μmの薄刃ブレード5では1.0mm、厚さT2が40μmの薄刃ブレード5では1.5mmとしている。さらに、切削時には、0.5l/minで冷却水の供給を行っている。
ついで、評価方法について説明する。
厚さT2が30μmと40μmの薄刃ブレード5を用い、切り込み深さBを1.0mmと1.5mmとして発振子用複合材2を切り込み、ブレード保持体1を用いた場合とフランジ6のみで薄刃ブレード5を固定した場合とにおける溝切り加工後の発振子用複合材2を観察する。この観察により、溝切り加工で画成される柱部2iの折れやバリの発生の有無を確認し、これら不具合の有無によって評価を行う。また、厚さT2が30μmの薄刃ブレード5を用いた場合では、柱部2iの折れ、バリの発生の有無に加え、薄刃ブレード5の破損が生じる限界加工ライン数を確認しその比較を行なっている。
ついで、上記の加工条件等で発振子用複合材2の溝切り加工を行った結果を、表1および表2に示す。
表1は、厚さT2が30μmの薄刃ブレード5を用いて発振子用複合材2の溝切り加工を行った結果を示しており、表2は、厚さT2が40μmの薄刃ブレード5を用いて溝切り加工を行った結果を示している。
この結果、表1に示すように、フランジ6のみで薄刃ブレード5を固定したCase1からCase3では、1.0mmの切り込み深さBで加工を行った際に、5.0mm/secの送り速度では早々に薄刃ブレード5に破損が生じてしまうことが確認された。このため、送り速度を変更して加工を行った結果、送り速度を3.0mm/secとしたCase3では、180ラインでやはり薄刃ブレード5が破損され、加工された発振子用複合材2にも溝曲がりや溝切り加工により画成される柱部2iの折れ、その周辺にバリの発生が確認された。さらに、送り速度を2.5mm/secとして加工を行ったCase2においても211ラインで薄刃ブレード5が破損され、加工された発振子用複合材2の状況もCase3と同様であった。一方、送り速度を2.0mm/secとしたCase1では、薄刃ブレード5の破損は認められないものの、加工された発振子用複合材2に溝曲がりや柱部2iの折れ、バリの発生が確認された。
これに対して、ブレード保持体1を取り付け溝切り加工を行ったCase4からCase7では、送り速度を2.0から5.0mm/secとした全てのケースにおいて、500ライン以上の加工を行っても薄刃ブレード5の損傷は認められなかった。また、加工された発振子用複合材2にも溝曲がりや柱部2iの折れ、バリの発生が全く認められない結果となった。
Figure 2006255800
ついで、表2に示すように、厚さT2が40μmの薄刃ブレード5を用いて溝切り加工を行った結果について説明する。フランジ6のみで薄刃ブレード5を固定し、送り速度2.5mm/secと3.0mm/secで加工を行ったCase2とCase3では、薄刃ブレード5の破損が認められた。また、送り速度を2.0mm/secとしたCase1では、薄刃ブレード5の破損は認められないものの、加工された発振子用複合材2に溝曲がりや柱部2iの折れ、バリの発生が確認された。
一方、ブレード保持体1を取り付け溝切り加工を行ったCase4からCase7では、厚さT2が30μmの薄刃ブレード5と同様に、送り速度を2.0から5.0mm/secとした全てのケースにおいて、500ライン以上の加工が可能で、薄刃ブレード5の損傷が全く認められなかった。さらに、加工された発振子用複合材2にも溝曲がりや柱部2iの折れ、バリの発生が認められない結果となった。
Figure 2006255800
ついで、薄刃ブレード5とフランジ6とに密着される側面1aの表面粗さ(Ry)が異なるブレード保持体1を用い、送り速度を3.0mm/sec(上記のCase5)として溝切り加工を行った結果を表3および表4に示す。ここで、表3は、厚さT2が30μmの薄刃ブレード5を用い、切り込み深さBを1.0mmとして発振子用複合材2の溝切り加工を行った結果を示している。また、表4は、厚さT2が40μmの薄刃ブレード5を用い、切り込み深さBを1.5mmとして溝切り加工を行った結果を示している。
この結果、表3に示すように、表面粗さ(Ry)が10μmおよび5μmのブレード保持体1で厚さT2が30μmの薄刃ブレード5を挟持させたCase5−1とCase5−2では、それぞれ216ラインと477ラインで薄刃ブレード5が破損され、加工された発振子用複合材2にも溝曲がりや柱部2iの折れ、バリの発生が確認された。一方、表面粗さが3μm、2μm、0.5μmのブレード保持体1を用いたCase5−3からCase5−5では、500ライン以上の加工を行った場合においても薄刃ブレード5の破損は認められず、加工された発振子用複合材2にも溝曲がりや柱部2iの折れ、バリの発生は認められなかった。
Figure 2006255800
一方、表4に示すように、表面粗さが10μmおよび5μmのブレード保持体1で厚さT2が40μmの薄刃ブレード5を挟持させたCase5−1とCase5−2では、ともに500ライン以上でも破損は認められないが、発振子用複合材2に溝曲がりや柱部2iの折れ、バリの発生が確認された。これに対して、表面粗さが3μm、2μm、0.5μmのブレード保持体1を用いたCase5−3からCase5−5では、全てのケースで薄刃ブレード5の破損は認められず、加工された発振子用複合材2にも溝曲がりや柱部2iの折れ、バリの発生は認められなかった。
Figure 2006255800
以上の結果から、薄刃ブレード5を精密切削装置3の回転軸4に固定する際、薄刃ブレード5とフランジ6との間に、ブレード保持体1を介装させることにより、好適な切削加工が可能になることが実証された。
また、ブレード保持体1の薄刃ブレード5とフランジ6とに密着される側面1aの表面粗さ(Ry)を3μm以下とすることにより、好適な切削加工が可能になることが実証された。
なお、本実施例では、ブレード保持体1によって厚さT2が30μmと40μmの薄刃ブレード5を保持し、切り込み深さBが1.0mmと1.50mmとなるように加工を行った結果を示して、ブレード保持体1の優位性を実証した。この一方で、本発明のブレード保持体1の優位性は、上記の内容についてのみ実証されるものではなく、本実施例で示した発振子用複合材2の加工を行う場合には、ブレード保持体1で厚さT2が80μm以下の薄刃ブレード5を保持し、薄刃ブレード5の厚さT2の10倍以上の切り込み深さBで加工を行っても同様の効果を得ることが可能である。
ついで、以下に本発明の実施例2を図1から図3を参照して説明する。但し、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
本実施例は、いわゆるアルチック(Al−TiC)と呼ばれる磁性材料(被削材)2の切断加工を行った一例を示すものである。本実施例は、実施例1と同様に、図3に示すブレード保持体1を用いて、薄刃ブレード5を回転軸4に固定した場合と、ブレード保持体1を用いずにフランジ6のみで薄刃ブレード5を回転軸4に固定した場合とによる加工の状態比較を行い、磁性材料2の切削加工におけるブレード保持体1の優位性を明らかにするものである。ここでは、厚さが1.2mmの薄板状に形成された磁性材料2を切断加工してブレード保持体1の優位性を実証している。
以下、本実施例で使用したブレード保持体1と薄刃ブレード5と磁性材料2の加工条件と評価方法について順に説明を行い、その結果を示すこととする。
はじめに、使用したブレード保持体1について説明する。
本実施例で使用したブレード保持体1は、外径94mm、内径40mmのリング状に形成され、厚さT1が0.3mmとされている。また、薄刃ブレード5とフランジ6とに密着する側面1aの表面粗さ(Ry)を3μmとしている。
ついで、使用した薄刃ブレード5およびフランジ6について説明する。
薄刃ブレード5は、外径100mm、内径40mmのリング状に形成されており、厚さT2が60μmと80μmの2種類を用いている。また、それぞれの薄刃ブレード5は、粒度1200のダイヤモンド砥粒を電着させることによって形成した砥粒層を備えるものである。
また、薄刃ブレード5およびブレード保持体1を挟持するフランジ6は、外径90mmとされている。
ついで、磁性材料2の切断加工条件について説明する。
図3に示すような精密切削装置(株式会社不二越製スライサー)3を使用し、ここでは、薄刃ブレード5を環装した回転軸4の回転数を15000RPMとし、磁性材料2に対する送り速度(回転軸4の水平移動速度)を100〜300mm/minとしている。また、切断加工時には、板状のフェライトベースを、グリコールフタレートを用いて磁性材料2に接着している。このフェライトベースは、切断加工時に磁性材料2がずれたり、加工後に個片化された磁性材料2が散乱ないようにするためのものである。切り込み深さBは、磁性材料2を完全に切断しつつ、フェライトベースベースが0.2mmの深さで切り込まれるまでとし、切削時には、1.0l/minで冷却水の供給を行っている。
ついで、評価方法について説明する。
厚さT2が60μmと80μmの薄刃ブレード5を用いて磁性材料2の切断加工を行い、ブレード保持体1を用いた場合とフランジ6のみで薄刃ブレード5を固定した場合とにおける切断加工後の磁性材料2を観察する。本実施例では、切断の直進性とチッピング発生状況を確認しており、直進性については、切断ラインの最大ずれ量を測定し、チッピングについては、発生したチッピングの最大深さの測定を行なっている。直進性およびチッピングともに、それぞれの測定結果の比較を行うことで評価を行なっている。
上記の加工条件等で磁性材料2の切断加工を行った結果を、表5および表6に示す。
表5は、厚さT2が60μmの薄刃ブレード5を用いて磁性材料2の切断加工を行った結果を示しており、表6は、厚さT2が80μmの薄刃ブレード5を用いて切断加工を行った結果を示している。
この結果、表5に示すように、フランジ6のみで薄刃ブレード5を固定し、送り速度をそれぞれ、100mm/min、150mm/min、200mm/minとしたCase1からCase3では、500m以上の切断加工を行っても薄刃ブレード5の破損は認められなかった。一方、切断加工の直進性については、最大ずれ量がCase1で2.5μm、Case2で3.5μm、Case3で5μmとなり、送り速度が大きくなるにつれて直進性が悪化することが確認された。また、チッピングについては、Case1からCase3の全てのケースで最大チッピング深さが10μmとなった。
これに対して、ブレード保持体1を取り付け、送り速度をそれぞれ、100mm/min、150mm/min、200mm/min、250mm/minとして切断加工を行ったCase4からCase7では、500mを超える切断加工を行っても薄刃ブレード5の破損は認められなかった。また、直進性については、最大ずれ量がCase4で1μm、Case5で1μm、Case6で1.5μm、Case7で1.5μmとなり、ブレード保持体1を用いることにより直進性が大きく改善されることが確認された。また、チッピングについても、最大チッピング深さがCase4で4μm、Case5で4μm、Case6で5μm、Case7で5μmとなり、フランジ6のみで薄刃ブレード5を固定したCase1からCase3と比較して、大きく改善されることが確認された。
Figure 2006255800
ついで、表6に示すように、厚さT2が80μmの薄刃ブレード5を用いて切断加工を行った結果について説明する。フランジ6のみで薄刃ブレード5を固定し、送り速度をそれぞれ、120mm/min、180mm/min、240mm/minとしたCase1からCase3では、厚さT2が60μmの薄刃ブレード5を用いた場合と同じ傾向を示し、500m以上の切断加工を行っても薄刃ブレード5の破損は認められない一方、直進性は、最大ずれ量がCase1で2.5μm、Case2で4μm、Case3で6μmとなり、送り速度が大きくなるにつれて直進性の悪化が認められた。また、最大チッピング深さは、Case1からCase3の全てのケースで、厚さT2が60μmの薄刃ブレード5を用いたときと同じ10μmであった。
これに対して、ブレード保持体1を取り付け、送り速度をそれぞれ、120mm/min、180mm/min、240mm/min、300mm/minとしたCase4からCase7では、500m以上の切断加工を行っても薄刃ブレード5の破損は認められなかった。また、直進性は、最大ずれ量がCase4で1μm、Case5で1μm、Case6で1μm、Case7で1.5μmとなり、厚さT2が60μmの薄刃ブレード5を用いた場合と同様、ブレード保持体1を用いることにより直進性が大きく改善されることが確認された。さらに、チッピングについても、最大チッピング深さがCase4で4μm、Case5で4μm、Case6で5μm、Case7で5μmとなり、大きく改善されることが確認された。
Figure 2006255800
ついで、表7に、薄刃ブレード5とフランジ6とに密着される側面1aの表面粗さ(Ry)が異なるブレード保持体1で、厚さT2が60μmの薄刃ブレード5を挟持させ、送り速度200mm/min(上記のCase6)として加工を行った結果を示す。
この結果、表面粗さ(Ry)が10μmおよび5μmのブレード保持体1を用いたCase6−1とCase6−2では、500m以上の切断加工を行っても薄刃ブレード5の破損は認められなかった。一方で、直進性については、最大ずれ量がCase6−1で10μm、Case6−2で6μmとなり、直進性が大きく損なわれる結果となった。また、チッピングについても、最大チッピング深さがCase6−1で10μm、Case6−2で8μmとなり、表面粗さが大きくなるに従ってチッピング状況が悪化することが確認された。
これに対して、表面粗さが3μm、2μm、0.5μmのブレード保持体1を用いたCase6−3からCase6−5では、最大ずれ量がCase6−3で2μm、Case6−4で1.5μm、Case6−5で1.5μmとなり、表面粗さが3μm以下の場合に優れた直進性を示すことが確認された。また、最大チッピング深さに関しても、Case6−3で6μm、Case6−4で5μm、Case6−5で4μmを示し、表面粗さが3μm以下の場合に優位となることが確認された。
Figure 2006255800
以上の結果から、薄刃ブレード5を精密切削装置3の回転軸4に固定する際、薄刃ブレード5とフランジ6との間に、ブレード保持体1を介装させることにより、磁性材料2を好適に加工できることが実証された。また、磁性材料2の加工においても、前述の発振子用複合材と同様、ブレード保持体1の側面1aの表面粗さを3μm以下とすることによりその効果が得られることが確認された。
なお、本実施例では、ブレード保持体1により厚さT2が60μmと80μmのそれぞれの薄刃ブレード5を保持して磁性材料2の切断加工を行った結果について説明を行い、その効果を実証した。一方で、ブレード保持体1の優位性は、上記の内容についてのみ実証されるものではなく、本実施例で示した磁性材料2の加工を行う場合には、ブレード保持体1で厚さT2が100μm以下の薄刃ブレード5を保持し、薄刃ブレード5の厚さT2の10倍以上の切り込み深さBの加工を行っても同様の効果を得ることが可能である。
ついで、以下に本発明の実施例3を図1から図3を参照して説明する。但し、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
本実施例は、セラミック材料と結合材との混合スラリーをシート状に流し伸ばして乾燥させたセラミックグリーンシート(被削材)2の切断加工を行った一例を示すものである。本実施例は、図3に示すブレード保持体1を用いて薄刃ブレード5を回転軸4に固定した場合と、ブレード保持体1を用いずにフランジ6のみで薄刃ブレード5を回転軸4に固定した場合とによる加工の状態比較を行い、セラミックグリーンシート2の切削加工におけるブレード保持体1の優位性を明らかにするものである。ここで、本実施例は、長さが100mm、幅が100mm、厚さが1.5mmの矩形薄板状を呈するセラミックグリーンシート2の加工を行いブレード保持体1の優位性を実証している。
以下、本実施例で使用したブレード保持体1と薄刃ブレード5とセラミックグリーンシート2の加工条件と評価方法について順に説明を行い、その結果を示すこととする。
はじめに、使用したブレード保持体1について説明する。
本実施例で使用したブレード保持体1は、外径52mm、内径40mmのリング状に形成され、厚さT1が0.2mmとされている。また、薄刃ブレード5とフランジ6とに密着する側面1aの表面粗さ(Ry)を3μmとしている。
ついで、使用した薄刃ブレード5およびフランジ6について説明する。
薄刃ブレード5は、外径58mm、内径40mmのリング状に形成されており、厚さT2が50μmと80μmの2種類を用いている。また、各薄刃ブレード5は、粒度700のダイヤモンド砥粒を電着させることによって形成した砥粒層を備えるものである。
さらに、薄刃ブレード5およびブレード保持体1を挟持するフランジ6は、外径48.8mmとされている。
セラミックグリーンシート2の切断加工条件について説明する。
切断加工には、図3に示すような精密切削装置(株式会社東京精密製ダイサー)3を使用した。ここでは、薄刃ブレード5を環装した回転軸4の回転数を30000RPMとし、セラミックグリーンシート2に対する送り速度(回転軸4の水平移動速度)を100〜400mm/minとしている。また、切断加工時には、ペット基材粘着テープをセラミックグリーンシート2に接着し、切断時にセラミックグリーンシート2を確実に保持させている。切り込み深さBは、セラミックグリーンシート2を完全に切断しつつ、ペット基材粘着テープが50μmの深さで切り込まれるまでとし、切削時には、1.5l/minで冷却水の供給を行っている。
ついで、評価方法について説明する。
厚さT2が50μmと80μmの薄刃ブレード5を用いてセラミックグリーンシート2を切断し、ブレード保持体1を用いた場合とフランジ6のみで薄刃ブレード5を固定した場合とにおける切断加工後のセラミックグリーンシート2を観察する。本実施例では、切断によってセラミックグリーンシート2がひだ状に波うつ切断部の蛇行状況と、切断によるミストの有無とを観察している。また、1つの薄刃ブレード5で切断加工を行うことができる限界切断長さの比較も行っている。
ここで、ミストとは、セラミックグリーンシートの切削に伴い発生するスラッジを意味するものである。例えば薄刃ブレード5が曲がった状態で加工を行った場合には、セラミックグリーンシート2の切削量が増加するうえ、切削に伴いスラッジが飛散されやすくなる。また、セラミックグリーンシート2の表面に飛散されたスラッジ(ミスト)が付着されて残存されやすくなる。これにより、加工後のセラミックグリーンシート2の表面を観察しミストの有無を確認することで切断加工の良否を評価することができる。よって、本実施例では、ミストの有無によってブレード保持体1を使用した場合と未使用の場合との加工の良否を評価している。
また、蛇行状況については、セラミックグリーンシート2の平面に対し蛇行して変形された切断部の最大変形量を測定し、ブレード保持体1を使用した場合と未使用の場合とのそれぞれの測定結果を比較することで評価している。
上記の加工条件等でセラミックグリーンシート2の切断加工を行った結果を、表8および表9に示す。
表8は、厚さT2が50μmの薄刃ブレード5を用いてセラミックグリーンシート2の切断加工を行った結果を示しており、表9は、厚さT2が80μmの薄刃ブレード5を用いて切断加工を行った結果を示している。
この結果、表8に示すように、フランジ6のみで薄刃ブレード5を固定し、送り速度をそれぞれ、100mm/min、200mm/min、300mm/minとしたCase1からCase3では、Case3において888mの切断長さに達した段階で、薄刃ブレード5の破損が確認された。また、Case2においても952mの切断長さで薄刃ブレード5の破損が確認された。Case1については、1000mを超えても薄刃ブレード5の破損が認められなかった。さらに、Case3とCase2では、切断部の最大変形量がそれぞれ17μmと13μmとなり、ともにミストの付着が認められた。Case1については、最大変形量が10μmと大きく変形しているものの、ミストの付着は認められなかった。
これに対して、ブレード保持体1を取り付け、送り速度をそれぞれ、100mm/min、200mm/min、300mm/min、400mm/minとして切断加工を行ったCase4からCase7では、全てのケースで1000m以上の切断加工を行っても薄刃ブレード5の破損は認められていない。一方、最大変形量についても、Case4で0μm、Case5で0μm、Case6で1μm、Case7で2μmとなり、ブレード保持体1を用いることで切断部の変形をほとんど生じさせずにセラミックグリーンシート2を切断できることが確認された。また、Case4からCase7の全てのケースでミストの付着が認められない結果となった。
Figure 2006255800
ついで、表9に示した、厚さT2が80μmの薄刃ブレード5を用いて切断加工を行った結果について説明する。フランジ6のみで薄刃ブレード5を固定し、送り速度をそれぞれ、100mm/min、200mm/min、300mm/minとしたCase1からCase3では、厚さT2が50μmの薄刃ブレード5を用いた場合と同様に、Case2およびCase3においてそれぞれ887m、614mの切断長さで薄刃ブレード5の破損が確認された。また、Case1では、1000m以上の切断加工を行っても薄刃ブレード5の破損は認められなかった。一方、最大変形量は、Case1で13μm、Case2で17μm、Case3で22μmとなり、送り速度を大きくすることにより変形が大きくなることが確認された。また、Case1からCase3の全てのケースでミストの付着が確認された。
これに対して、ブレード保持体1を取り付け、送り速度をそれぞれ、100mm/min、200mm/min、300mm/min、400mm/minとしたCase4からCase7では、Case4からCase6で最大変形量が0μmを示し、全く変形を生じることなくセラミックグリーンシート2を切断できることが確認された。Case7においても最大変形量が2μmと非常に小さな変形に抑えられていた。また、Case4からCase7の全てのケースでミストの付着は確認されなかった。
Figure 2006255800
ついで、表10に、薄刃ブレード5とフランジ6とに密着される側面1aの表面粗さ(Ry)が異なるブレード保持体1で、厚さT2が60μmの薄刃ブレード5を挟持させ、送り速度を200mm/minとしてセラミックグリーンシート2の切断加工を行った結果を示す。
この結果、表10に示すように、表面粗さ(Ry)が10μmおよび5μmのブレード保持体1を用いたCase8−1とCase8−2では、それぞれ112m、887mの切断長さにて薄刃ブレード5の破損が確認された。また、最大変形量は、ともに13μmとなり大きな変形を生じる結果となった。さらに、両ケースともにミストの付着が確認された。
一方、表面粗さが3μm、2μm、0.5μmのブレード保持体1を用いたCase8−3からCase8−5では、最大変形量がCase8−3で4μm、Case8−4で0μm、Case8−5で0μmとなり、表面粗さを3μm以下とした場合に優位であることが確認された。また、ミストについても、Case8−3で若干付着が認められるものの、Case8−4、Case8−5ともにミストが確認されなかった。
Figure 2006255800
以上の結果から、薄刃ブレード5とフランジ6との間に、ブレード保持体1を介装させることにより、セラミックグリーンシート2を好適に加工できることが実証された。また、ブレード保持体1の側面1aの表面粗さを3μm以下とすることによりセラミックグリーンシート2の切削加工が好適になることが確認された。
なお、本実施例では、ブレード保持体1により厚さT2が50μmと80μmのそれぞれの薄刃ブレード5を保持してセラミックグリーンシート2の切断加工を行った結果について説明を行い、その効果を実証した。一方で、ブレード保持体1の優位性は、上記の内容についてのみ実証させるものではなく、本実施例で示したセラミックグリーンシート2の加工を行う場合には、ブレード保持体1で厚さT2が100μm以下の薄刃ブレード5を保持する場合に同様の効果を得ることができる。
本発明の一実施形態に係るブレード保持体の平面図である。 図1に示したブレード保持体の断面図である。 図1のブレード保持体を用いて薄刃ブレードを装着した精密切削装置を示す図である。 実施例で示した被削材および精密切削装置の断面図である。 図4で示した被削材の側面図である。
符号の説明
1 ブレード保持体
1a 側面
2 被削材(発振子用複合材料、磁性材料、セラミックグリーンシート)
2i 柱部
3 精密切削装置
4 回転軸
4a 回転軸の先端
4b 回転軸の外面
4c 回転軸のネジ部
5 薄刃ブレード
5a 薄刃ブレードの外周縁(刃先)
5b 薄刃ブレードの側面
6 フランジ
6a フランジの平面
7 ナット
8 溝
O1 ブレード保持体の軸線
B 切り込み深さ
T1 ブレード保持体の厚さ寸法
T2 薄刃ブレードの厚さ寸法(溝の幅)
P 柱部の幅
L 被削材の長さ
W 被削材の幅
H 被削材の厚さ

Claims (2)

  1. リング状の薄刃ブレードと、該薄刃ブレードを挟持しつつ回転軸に固定するフランジとの間に介装されるブレード保持体であって、
    超硬合金あるいはサーメットで形成されるとともに、その厚さが0.3mm以下のリング状に形成されていることを特徴とするブレード保持体。
  2. 請求項1記載のブレード保持体において、
    前記薄刃ブレードとフランジとに密着する側面の表面粗さが3μm以下とされていることを特徴とするブレード保持体。

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