JP2006253723A - ウエハー保持体用測温装置及びウエハー保持体 - Google Patents

ウエハー保持体用測温装置及びウエハー保持体 Download PDF

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益宏 夏原
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Abstract

【課題】 優れた温度測定精度を有すると共に、温度測定素子が破損してもウエハー保持体全体を交換する必要のないウエハー保持体の測温装置、及びそれを用いたウエハー保持体を提供する。
【解決手段】 有底筒状体11の有底部11a内に温度測定素子1を挿入し、有底部11aの少なくとも外表面をウエハー保持体3のウエハー加熱面と反対側の裏面又は裏面に設けた凹部に接触させると共に、有底筒状体11の他端側の筒状部11bと反応容器4の間をO−リング5で気密封止する。有底筒状体11とウエハー保持体3の接触面積は10mm以上、互いの接触面の平行度は100μm以下、又は接触面の面粗度はRaで5μm以下が好ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、半導体製造装置に使用するウエハー保持体の測温装置、及びそれを用いたウエハー保持体に関するものである。
従来から、例えばCVD装置、プラズマCVD装置等の半導体製造装置においては、皮膜形成などの処理を施すべきウエハーを保持して均一加熱するために、熱伝導率の高いセラミックス等の無機質絶縁材料から形成され、且つ内部に抵抗発熱体を埋設したウエハー保持体(セラミックスヒータとも言う)が使用されている。
このウエハー保持体は、抵抗発熱体に印加する電圧や電流量を変えて加熱温度を制御するために、抵抗発熱体に接続された複数の電極端子をウエハー加熱面以外の面に露出して設け、この電極端子と外部電源等とをリードで接続している。また、このウエハー保持体自体の温度を制御するために、熱電対等の温度測定素子がウエハー保持体のウエハー加熱面以外の面に露出して設けてある。
近年、ウエハーが大口径になるに伴い、半導体装置製品の歩留まり向上のために、ウエハー保持体のウエハー加熱面における温度管理が厳しく要求されるようになってきている。そのためには、ウエハー加熱面の温度を均一で且つ正確に制御することが必要であり、抵抗発熱体の出力を制御するための温度測定を行う温度測定素子の測定精度が重要になってきている。
しかしながら、半導体製造装置の反応容器内においては、反応ガスの投入や排気等による圧力の変動によって温度測定素子周囲のガス分子の挙動が変化し、熱移動の様態が大幅に変わるため、正確な温度測定が困難であった。また、温度測定素子を設置する位置がウエハー加熱面より離れている場合、測定温度と実際のウエハー温度が乖離し、温度勾配が顕著になって、場合によってはウエハーが熱応力で破損する事態を招くことがあった。
これに対し、例えば特許第2525974号公報や特公平7−91653号公報には、一定の圧力に保たれている無機質絶縁材料の中空シースをウエハー保持体に気密に接合し、その中空シース内に熱電対を気密に収納することによって、熱電対への反応容器内の圧力変動の影響をなくし、温度測定精度を向上させることが提案されている。
また、例えば特開2001−244049号公報、特開2001−85143号公報及び特開2001−85144号公報では、ウエハー加熱面の反対側から加熱面に向けて熱電対を挿入する有底孔をウエハー保持体に設け、その有底孔の底を発熱体より相対的にウエハー加熱面に近くすることによって、測定温度とウエハー温度との乖離を防ぐことを提案している。更に、この熱電対は、有底孔内にロウ材で接合した後樹脂封止されるか、有底孔内に耐熱性樹脂やセラミックス等の絶縁材を充填して固定されている。
特許第2525974号公報 特公平7−91653号公報 特開2001−244049号公報 特開2001−85143号公報 特開2001−85144号公報
一般に、ウエハー保持体の温度測定に用いる熱電対等の温度測定素子は、限られたスペースに収めなければならないため、細径のものが使用されている。このため、装置自体に加わる衝撃やウエハー保持体加熱時の熱衝撃によって、温度測定素子が非常に破損しやすいという問題があった。
この事情は上記各公報に記載された従来のウエハー保持体の測温装置でも同じであり、ウエハー保持体に接合された温度測定素子や中空シースが衝撃により破損しやすかった。また、温度測定素子や中空シースはウエハー保持体に接合固定されているため、その一部に破損等の欠陥が生じると、ウエハー保持体全体を交換しなければならず、そのため部品交換の作業が大掛かりになるばかりか、コストの大幅な上昇を招いていた。
本発明は、このような従来の事情に鑑み、優れた温度測定精度を有すると共に、温度測定素子等が破損しても、ウエハー保持体全体を交換する必要のないウエハー保持体の測温装置、及びそれを用いたウエハー保持体を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明が提供するウエハー保持体用測温装置は、反応容器内に設置され、抵抗発熱体を有するウエハー保持体の温度を測定するための装置であって、一端を閉じた有底筒状体の有底部内に温度測定素子を挿入し、該有底筒状体の有底部の少なくとも外表面をウエハー保持体のウエハー加熱面と反対側の表面又は該表面に設けた凹部に接触させることを特徴とする。
上記本発明のウエハー保持体用測温装置においては、好ましくは、有底筒状体とウエハー保持体の接触面積が10mm以上であること、又は有底筒状体とウエハー保持体の互いの接触面の平行度が100μm以下であること、あるいは有底筒状体とウエハー保持体の各接触面の面粗度がRaで共に5μm以下であることを特徴とする。
上記本発明のウエハー保持体用測温装置については、有底筒状体の他端側の筒状部を、反応容器との間で気密封止することが好ましい。また、この有底筒状体の内部が反応容器内部の雰囲気の影響を受けない場合は、有底筒状体内に挿入された温度測定素子を、有底筒状体の有底部の内表面に機械的に押し付けることが好ましい。また、有底筒状体の内部が反応容器内部の雰囲気の影響を受ける場合には、温度測定素子の先端部が、有底筒状体の有底部の内表面に接合、あるいは埋設されていることが望ましい。これにより、温度測定に際し、雰囲気による影響を受けなくなる。
上記本発明のウエハー保持体用測温装置では、反応容器内が真空又は減圧雰囲気のとき、筒状部他端を反応容器外に延長して有底筒状体内を大気圧とすることにより、有底筒状体をウエハー保持体に押し付けることができる。有底筒状体の有底部をウエハー保持体に螺合により固定すること、あるいは有底筒状体の有底部又は筒状部をウエハー保持体にネジで固定することができる。しかし、特許第2644660号公報に記載のように、熱電対先端部に雄ネジを、また、ウエハー保持体のウエハー載置面と反対側の面に雌ネジをそれぞれ設けて、両者を螺合させて固定した場合、低い応力で雄ネジ部分とシース部分の境で折れてしまう。そこで、ネジを用いる場合、有底筒状体自身に雄ネジを設けるとネジ部が同様に破損してしまうので、有底筒状体自身には雄ネジを設けない方が好ましい。
上記本発明のウエハー保持体用測温装置においては、有底筒状体の一端側の有底部と他端側の筒状部とが、同一材質で一体に形成されているか、又は別材質で形成されて接合されていることを特徴とする。このとき、有底筒状体の有底部が熱伝導度100W/mK以上の材料からなり、且つ筒状部が熱伝導度10W/mK以下の材料からなることが好ましい。また、有底筒状体の有底部は窒化アルミニウム、炭化ケイ素、又はそれらの複合物からなることが好ましく、有底筒状体の筒状部は酸化アルミニウム、ムライト、又はそれらの複合物からなることが好ましい。
また、上記本発明のウエハー保持体用測温装置では、互いに接触しているウエハー保持体の接触面と有底筒状体の有底部の外表面との間に、熱伝導媒体としてガスを滞留させることができる。この熱伝導媒体のガス圧力が1300Pa以上であることが好ましい。更に、有底筒状体内に挿入する温度測定素子は、熱電対又はシース付き熱電対であることを特徴とする。
本発明は、また、上記したいずれかのウエハー保持体用測温装置を装着したことを特徴とするウエハー保持体を提供するものである。
本発明によれば、反応容器内のガス圧力の変動による影響をなくして優れた温度測定精度を有すると同時に、温度測定素子が破損してもその素子だけを交換することができ、ウエハー保持体全体を交換する必要のないウエハー保持体の測温装置を提供することができる。従って、この温度測定装置を用いたウエハー保持体は、温度測定素子破損時の部品交換が容易でコストの上昇を招かず、しかも大口径のウエハーを保持加熱する場合であっても、ウエハー加熱面の温度を均一且つ正確に制御することができる。
本発明においては、半導体製造装置の反応容器内に設置され、ウエハーを載置して加熱するウエハー保持体の温度を測定する測温装置について、一端を閉じた有底筒状体内に温度測定素子を挿入したうえで、この有底筒状体の一端側にある有底部の外表面を、ウエハー保持体のウエハー加熱面と反対側の表面に接触させるか、又はその表面に設けた凹部に挿入して接触させる。
例えば、本発明の測温装置の一具体例は、図1に示すように、有底筒状体11の一端側の有底部11a内に温度測定素子1を挿入する。抵抗発熱体2を埋設したウエハー保持体3には、そのウエハー加熱面と反対側の表面に凹部を形成し、この凹部内に有底筒状体3の有底部11aを着脱自在に挿入して、有底部11aの少なくとも外表面をウエハー保持体3に接触させる。
尚、図1の具体例ではウエハー保持体3に設けた凹部内に有底筒状体3の有底部11aを挿入したが、このような凹部を設けることなく、有底筒状体3の有底部11aの外表面をウエハー保持体3のウエハー加熱面と反対側の表面に直接接触させることもできる。
有底筒状体の他端側は筒状部からなり、例えば図1に示すように、この有底筒状体11の筒状部11bの他端側は反応容器4との間でO−リング5等により気密封止することが好ましい。これにより、反応ガスの投入や排気等による反応容器4内の圧力変動があっても、温度測定素子1の周囲のガス分子の挙動が変化することがなくなり、正確な温度測定が可能となる。ただし、筒状部の他端側と反応容器との間を気密封止する以外にも、有底筒状体の筒状部の他端端面自体を気密封止しても同様の効果が得られる。また、筒状部の他端側と反応容器との間を気密封止しても、有底筒状体自体に気密性がなく、有底筒状体の内部が反応容器内部の雰囲気の影響を受ける場合は、温度測定素子の先端を有底筒状体の有底部の内表面に低融点ガラス等で埋設しても同様の効果が得られる。
本発明の有底筒状体について、図1の具体例では一端側の有底部11aと他端側の筒状部11bとが同じ材質で一体的に形成したものを示したが、図2に示すように、有底部12aと筒状部12bをそれぞれ別の材質で形成し、低融点ガラス等を用いて接合することにより一体化したものでも良い。
本発明の測温装置における有底筒状体とウエハー保持体との接触状態に関しては、例えば図1を参照すると、一般に反応容器4内は真空又は減圧雰囲気である一方、有底筒状体11は他端を反応容器4の外に延長して大気に開放すれば、有底筒状体11の内部が大気圧となっていることから、有底筒状体11はウエハー保持体3に押し付けられ、両者を確実に接触させることができる。
また、有底筒状体とウエハー保持体を更に確実に接触させるためには、両者を機械的に固定しても良い。機械的な固定方法としては、有底筒状体の有底部又は筒状部を、ウエハー保持体にネジで固定することが可能である。例えば図3に示すように、有底筒状体14の有底部14aの外表面にネジ穴を設け、且つウエハー保持体3のウエハー加熱面から凹部内又は反対側表面に貫通したネジ穴を形成して、これらのネジ穴に捻じ込んだネジ20により、有底筒状体14をウエハー保持体3に固定することができる。
また、例えば図4に示すように、有底筒状体15の有底部15aの一端側にフランジ部17を設け、このフランジ部17及びウエハー保持体3のウエハー加熱面と反対側表面又はその表面の凹部側にネジ穴を形成して、ネジ21により有底筒状体15をウエハー保持体3に固定することができる。更には、例えば図5に示すように、有底筒状体16の筒状部16bの一端側にフランジ部18を設け、このフランジ部18及びウエハー保持体3のウエハー加熱面と反対側表面にネジ穴を形成し、ネジ22により有底筒状体16をウエハー保持体3に固定することも可能である。尚、ネジの材質は金属でも無機質材料でも良い。
本発明の測温装置においては、また、温度測定素子が有底筒状体の有底部の内表面に確実に接触していることが望ましい。そのためには、この有底筒状体の内部が反応容器内の雰囲気の影響を受けない場合は、有底筒状体内に挿入された温度測定素子を、バネ等を用いて有底筒状体の有底部の内表面に機械的に押し付けることが好ましい。また、有底筒状体の有底部内に温度測定素子の先端部外径と同じ内径の凹所を更に設け、この凹所に温度測定素子の先端部を嵌合するようにしても良い。また、この有底筒状体の内部が反応容器内の雰囲気の影響を受ける場合は、温度測定素子の先端部が、有底筒状体の有底部の内表面に低融点ガラス等で接合、あるいは埋設されていることが望ましい。これにより、温度測定に際し、雰囲気による影響を受けなくなる。
尚、有底筒状体内に挿入する温度測定素子としては、熱電対、シース付き熱電対、白金測温抵抗体、サーミスタ等を用いることができる。熱電対に関しては、JIS
C 1602(1980)に挙げられるように、K、R、B、S、E、J、Tの各型があるが、シース付きも含めて、K型の熱電対が望ましい。
上記した構造を有する本発明におけるウエハー保持体の測温装置では、温度測定素子を挿入した有底筒状体がウエハー保持体に対して着脱自在に接触しているので、温度測定素子が破損した場合にも有底筒状体と温度測定素子をウエハー保持体から容易に取り外すことができ、破損した温度測定素子の部品交換が極めて容易である。しかも、有底筒状体自体に気密性がある場合、有底筒状体と反応容器とを気密封止することで、一方、有底筒状体自体に気密性がない場合、温度測定素子の先端部を有底筒状体の有底部の内表面に低融点ガラス等で接合又は埋設することで、それぞれ反応容器内のガス圧力の変動に影響されることがなくなるため、温度の測定精度が優れている。
しかしながら、有底筒状体の有底部の外表面とウエハー保持体との接触状態によっては、その間に僅かな空隙が生じやすい。この空隙に反応容器内雰囲気の反応ガスが存在すると、反応容器内の反応ガスの投入や排気等による圧力の変動で熱移動の様態が変化し、温度の測定精度が低下することがある。
そこで、このような場合の温度測定精度の低下を防ぐために、鋭意研究開発を行った結果、有底筒状体とウエハー保持体の接触面において、その平行度並びに面粗度が重要であることが分った。即ち、有底筒状体とウエハー保持体の互いの接触面の平行度が100μm以下であること、及び/又は有底筒状体とウエハー保持体の両接触面の面粗度がRaで共に5μm以下であることが好ましい。
有底筒状体とウエハー保持体の互いの接触面における平行度又は面粗度を上記範囲に規定することによって、有底筒状体の有底部の外表面とウエハー保持体との密着性を高めることができ、反応容器内に反応ガスの投入や排気等による圧力の変動があっても、温度測定を安定して行うことができる。接触面における平行度又は面粗度が上記範囲外では、反応容器内の圧力変動により温度が数℃変化し、測定精度が低下する場合がある。
また、上記したように、気密封止された反応容器内は真空又は減圧雰囲気であるときに、有底筒状体の他端を大気に開放すれば内部が大気圧となるから、有底筒状体はウエハー保持体に押し付けられ、両者の接触面の密着性が向上する。更に、上記し且つ図3〜図5に示すように、ネジ等の機械的な手段を用いて接触面に圧力を加えることによっても、両者の接触面の密着性を向上させ、測定精度の低下を防ぐことができる。
更には、温度測定素子を有底筒状体の有底部の内表面に確実に接触させることが望ましく、この方法によっても測定精度を向上させることができる。具体的には、温度測定素子をバネ等を用いて有底筒状体の有底部の内表面に機械的に押し付けたり、温度測定素子の先端部を有底筒状体の有底部の内表面に接合又は埋設したりすることによって、測定精度の向上を図ることが可能である。
また、本発明の測温装置では、有底筒状体の有底部とウエハー保持体との間に僅かな空隙が残りやすく、この空隙に反応ガスが存在すると、温度測定素子の先端部をウエハー保持体に直接接触させた場合と比較して、存在する反応ガスの分だけ熱容量が大きくなるため、温度測定時の応答性が低下する傾向がある。
そこで、温度測定時の応答性を向上させる対策として、有底筒状体とウエハー保持体との接触面積を10mm以上とすることが望ましい。両者の接触面積を大きくすることで、空隙に存在する反応ガスの分だけ熱容量が大きい場合であっても、温度測定時の応答性の低下を防ぐことができる。しかし、接触面積が10mm未満の場合には、反応ガスの熱容量が大きくなり過ぎるため、温度測定素子の先端部をウエハー保持体に直接接触させた場合と比較して、温度測定の応答性が悪くなる。
また、ウエハー保持体と接触する有底筒状体が高熱伝導度の無機質材料又は金属材料である場合には、上記空隙に存在する反応ガスの分だけ熱容量が大きくても、温度測定の応答性が悪くならない。具体的には、有底筒状体の少なくともウエハー保持体に接触する有底部が100W/mK以上の熱伝導度を有するとき、従来の温度測定素子の先端部をウエハー保持体に直接接触させた場合と比較して、温度測定の応答性が低下することはない。
このような高熱伝導度の材料として、無機質材料では窒化アルミニウム、炭化ケイ素、又はそれらの複合物が好ましく、また、金属材料ではW、Mo、Al、Cu、Ag、Auが好ましい。また、上記無機質材料と金属材料とを組み合わせても良い。例えば、ウエハー保持体と無機質材料からなる有底筒状体との間に、上記金属材料の薄い板や箔をウエハー保持体又は有底筒状体の有底部のいずれか片方に接合するか、若しくは両者の間に噛み込ませても良い。
一方、有底筒状体の他端側の筒状部については、熱伝導度が低い無機質材料からなる方がウエハー保持体の熱が筒状部を通して逃げないため、有底部に熱が溜まりやすくなり、温度測定の応答性が低下しない。従って、有底筒状体の筒状部の熱伝導度は10W/mK以下であることが好ましい。このような熱伝導度を有する材料としては、ムライト、酸化アルミニウム、又はそれらの複合物等が好ましい。
更に、ウエハー保持体の接触面と有底筒状体の有底部の外表面との間に、熱伝導媒体としてガスを滞留させることにより、温度測定の応答性の低下を防ぐこともできる。この場合、熱伝導媒体のガスの圧力は1300Pa以上であることが望ましく、1300Pa未満では熱伝導媒体としての役割を果たせない。
上記した本発明の測温装置を装着したウエハー保持体は、大口径のウエハーを保持加熱する場合であっても、ウエハー加熱面の温度を良好な応答性の下に精度良く測定して、均一且つ正確に制御することができる。しかも、温度測定素子は有底筒状体と共にウエハー保持体から着脱可能であるから、温度測定素子が破損しても交換が極めて容易であり、ウエハー保持体そのものを交換する必要がないため、コストの上昇をなくすことができる。尚、ウエハー保持体自体については従来と同様であって良い。
[実施例1]
AlN粉末100重量部に対して、焼結助剤として0.5重量部のYを添加し、更に所定量の有機バインダを加え、ボールミル混合法により混合した後、スプレードライにより造粒した。この造粒粉末を一軸成形プレスにより成形し、焼結後に直径350mm×厚さ10mmとなる寸法の円板状成形体2枚を得た。また、同じAlN粉末を、同じ焼結助剤組成で、更に有機バインダ、分散剤、溶剤を加えて混錬した後、押出し成形して、焼結後に外径10mm×内径8mm×長さ8mmの円筒状部分と外径10mm×厚さ(長さ)2mmの円柱状部分とからなる寸法の有底部状成形体を作製した。
これらの円板状成形体と有底部状成形体を、温度900℃の窒素雰囲気中で脱脂し、更に窒素雰囲気中にて温度1900℃で5時間焼結した。得られたAlN焼結体の熱伝導度は、いずれも170W/mKであった。これらのAlN焼結体の全表面をダイヤモンド砥粒で研磨して、2枚のウエハー保持体用の円板状素材と有底筒状体用の有底部とを得た。
片方の円板状素材の表面に、W粉末に焼結助剤とエチルセルロース系のバインダを添加混錬したスラリーを用いて抵抗発熱体回路を印刷し、900℃の窒素雰囲気中で脱脂した後、1850℃で1時間加熱して焼き付けた。他方の円板状素材上には、接合用のガラスにエチルセルロース系のバインダを添加混練したスラリーを塗布し、900℃の窒素雰囲気中で脱脂した。この2枚の円板状素材を接合用ガラス面と抵抗発熱体面とで重ね合わせ、ズレ防止のために5kg/cmの荷重をかけた状態で、1800℃で2時間加熱して接合することにより、内部に抵抗発熱体が埋設されたAlN製のウエハー保持体を作製した。
このウエハー保持体のウエハー加熱面の反対側表面(裏面)に、抵抗発熱体に接続されるWの電極端子を接合し、更に外部電源に電気的に接続される電力供給用の引出線を接続した。この電極端子と引出線を熱伝導度1W/mKのムライト焼結体からなる絶縁管内に収納した後、絶縁管の一端面にB−Si系ガラスを塗布してウエハー保持体の裏面にあてがい、ズレ防止のために50g/cmの荷重をかけた状態で、800℃で1時間加熱して接合した。
このウエハー保持体のウエハー加熱面の裏面に、内径10mm×深さ10mmの熱電対挿入用の凹部を設けた。一方、AlN製の外径10mm×内径8mm×高さ10mmの有底部の筒状他端縁に、外径10mm×内径8mm×長さ100mmのムライト焼結体からなる筒状部を、B−Si系ガラスを用いて接合し、AlN製の有底部とムライト製の筒状部からなる有底筒状体を作製した。この有底筒状体の有底部内に、直径2mmのSUS製シース付きのK型熱電対を挿入し、上記ウエハー保持体の熱電対挿入用の凹部に挿入した。
更に、外径10mm×内径8mm×長さ100mmのムライト焼結体のパイプからなり、両端にフランジを設けた略円筒状の支持部材を作製した。この略円筒状支持部材の他端側のフランジを反応容器内に固定し、一端側のフランジ上にウエハー保持体を接合することなく載置した。ウエハー保持体の裏面に接合され且つ電極端子と引出線を収納した絶縁管の他端側、及びその裏面の凹部に挿入され且つ熱電対が挿入接触された有底筒状体の他端側は、それぞれ反応容器の底部との間で全てO−リングを用いて気密封止した。
ウエハー保持体の温度測定装置として、上記のごとく有底筒状体に挿入したSUS製シース付きK型熱電対をウエハー保持体の裏面凹部に挿入接触させた試料aと共に、同じウエハー保持体を用いて、SUS製シース付きのK型熱電対をそのままウエハー保持体の裏面凹部に挿入接触させた試料b、及びムライト製筒状体内に気密封止されたSUS製シース付きK型熱電対をムライト製筒状体ごとウエハー保持体の裏面凹部に接合した試料cを用意した。
上記の試料a〜cの温度測定装置を備えた各ウエハー保持体について、それぞれの反応容器内を真空にし、ウエハー保持体を設定温度500℃まで加熱した。その状態で、内圧1気圧までNガスを投入し、再度10−2Pa以下に真空引きする操作を10回繰り返し、それぞれの操作時における各ケースモニター温度の平均振れ幅を測定した。Nガスの投入と排気に際しては、ウエハー保持体自体の温度変化をなくすため、ウエハー載置面に熱容量の大きい材質の円板状ブロックを載せた。得られた結果を下記表1に示した。
Figure 2006253723
表1の結果から分るように、有底筒状体に挿入したSUS製シース付きのK型熱電対を用いた本発明の試料aは、SUS製シース付きのK型熱電対をそのままウエハー保持体の裏面凹部に接触させた試料bが極めて大きな平均温度振れ幅であるのに対し、ウエハー保持体に接合したムライト製筒状体内に気密封止され、反応容器の圧力変動を全く受けないSUS製シース付きのK型熱電対の試料cとほぼ同等の、極めて優れた平均温度振れ幅が得られた。
次に、熱電対としてシース無しとSUS製シース付きの各K型熱電対を用い、これらを上記有底筒状体の有底部内に挿入したうえで、各熱電対と有底筒状体との接触状態を変化させた。即ち、試料Aは有底部の内表面に熱電対をバネで押し付けて接触させ、試料Bでは同じ底部内周面に熱電対をガラス接合した。また、試料Cは有底部に凹所を設けて熱電対を挿入したうえバネで押し付けて接触させ、試料Dでは同じ凹所に熱電対を挿入したうえでガラス接合した。
このように熱電対を有底筒状体に接触させた状態で、ウエハー保持体を装着した反応容器内を真空にし、ウエハー保持体を設定温度500℃まで加熱した。その後、内圧1気圧までNガスを投入し、再度10−2Pa以下に真空引きする操作を10回繰り返し、それぞれの操作時における各ケースモニター温度の平均振れ幅を測定した。得られた結果を下記表2に示した。
Figure 2006253723
表2から、有底筒状体に熱電対を挿入接触させる方法としては、試料A及びCのようにバネ等で機械的に押し付けて接触させるよりも、試料B及びDのごとく低融点ガラス等を用いて熱電対の先端部を有底部に接合した方が、温度測定の精度が向上することが分る。
更に、上記のごとく本発明の有底筒状体に挿入したSUS製シース付きのK型熱電対において、ウエハー保持体と有底筒状体の接触面積、互いの接触面の平行度及び面粗度(Ra)をそれぞれ変化させた。それぞれの試料について、ウエハー保持体を装着した反応容器内を真空にし、ウエハー保持体を設定温度500℃まで加熱した後、内圧1気圧までNガスを投入し、再度10−2Pa以下に真空引きする操作を10回繰り返して、各ケースモニター温度の平均振れ幅を測定した。得られた結果を、下記表3に及び表4にそれぞれ示した。
Figure 2006253723
Figure 2006253723
上記表3に示すように、ウエハー保持体と有底筒状体の接触面積を10mm以上、互いの接触面の平行度100μm以下、及び接触面の面粗度(Ra)を5μm以下に設定した各試料では、平均温度振れ幅が0.1℃以下と極めて良好であった。一方、表4から分るように、接触面積、接触面の平行度、又は接触面の面粗度(Ra)いずれかを上記範囲外とした各試料では、平均温度触れ幅が0.2〜5℃と大きくなった。
[実施例2]
前記のAlN製の有底部とムライト製の筒状部とからなる有底筒状体において、その内部に熱電対を挿入し、熱電対の先端部を有底部に低融点ガラスで埋め込んだ温度測定装置を用いて、反応容器内に熱媒体ガスとしてNガスを流し、反応容器内圧力を変えて、加熱中のウエハー保持体の温度を測定した。このとき、予めウエハー載置面と反対側の面と上記有底部の接触部の距離を0.1mmにして測定を行った。
まず、反応容器内を10−2Pa以下まで真空引きし、その中に熱伝導媒体ガスとしてNガスを下記表5に示す圧力まで投入した。その後、再び反応容器内を10−2Pa以下まで真空引きした。これらの操作を10回繰り返した。そのときの各ケースモニター温度の平均振れ幅を測定した。この際、ウエハー保持体自身の温度変化をなくすために、ウエハー載置面に熱容量の大きな材質の円板状ブロックを載せた。得られた結果を表5に併せて示した。
Figure 2006253723
この結果から、反応容器内圧力が1300Pa以上の場合、平均温度触れ幅が0.1℃以下と極めて良好な結果が得られた。従って、上記のようにウエハー保持体の接触面と有底筒状体の有底部との間に、熱伝導媒体としてガスを滞留させることにより、温度測定の応答性が向上した。この場合、熱伝導媒体ガスの圧力は1300Pa以上であることが望ましい。1300Pa以下の場合、熱伝導媒体としての役割を果たせない。
本発明によるウエハー保持体用温度測定装置の具体例を示す要部の概略の断面図である。 本発明によるウエハー保持体用温度測定装置の別の具体例を示す要部の概略の断面図である。 本発明によるウエハー保持体用温度測定装置の別の具体例を示す要部の概略の断面図である。 本発明によるウエハー保持体用温度測定装置の別の具体例を示す要部の概略の断面図である。 本発明によるウエハー保持体用温度測定装置の別の具体例を示す要部の概略の断面図である。
符号の説明
1 熱電対
2 抵抗発熱体
3 ウエハー保持体
4 反応容器
5 O−リング
11、12、14、15、16 有底筒状体
11a、12a、14a、15a、16a 有底部
11b、12b、14b、15b、16b 筒状部
17、18 フランジ部
20、21、22 ネジ


Claims (18)

  1. 反応容器内に設置され、抵抗発熱体を有するウエハー保持体の温度を測定するための装置であって、一端を閉じた有底筒状体の有底部内に温度測定素子を挿入し、該有底筒状体の有底部の外表面をウエハー保持体のウエハー加熱面と反対側の表面又は該表面に設けた凹部に接触させることを特徴とするウエハー保持体用測温装置。
  2. 有底筒状体とウエハー保持体の接触面積が10mm以上であることを特徴とする、請求項1に記載のウエハー保持体用測温装置。
  3. 有底筒状体とウエハー保持体の互いの接触面の平行度が100μm以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のウエハー保持体用測温装置。
  4. 有底筒状体とウエハー保持体の各接触面の面粗度がRaで共に5μm以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のウエハー保持体用測温装置。
  5. 有底筒状体の他端側の筒状部を、反応容器との間で気密封止することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のウエハー保持体用測温装置。
  6. 有底筒状体内に挿入された温度測定素子を、有底筒状体の有底部の内表面に機械的に押し付けることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のウエハー保持体用測温装置。
  7. 温度測定素子の先端部が有底筒状体の有底部の内表面に接合又は埋設されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のウエハー保持体用測温装置。
  8. 温度測定素子の先端部と有底筒状体の有底部の内表面とを低融点ガラスで接合又は埋設することを特徴とする、請求項7に記載のウエハー保持体用測温装置。
  9. 反応容器内が真空又は減圧雰囲気のとき、筒状部他端を反応容器外に延長して有底筒状体内を大気圧とすることにより、有底筒状体をウエハー保持体に押し付けることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載のウエハー保持体用測温装置。
  10. 有底筒状体の有底部又は筒状部がウエハー保持体にネジで固定されていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載のウエハー保持体用測温装置。
  11. 有底筒状体の一端側の有底部と他端側の筒状部とが、同一材質で一体に形成されているか、又は別材質で形成されて接合されていることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載のウエハー保持体用測温装置。
  12. 有底筒状体の有底部が熱伝導度100W/mK以上の材料からなり、且つ筒状部が熱伝導度10W/mK以下の材料からなることを特徴とする、請求項11に記載のウエハー保持体用測温装置。
  13. 有底筒状体の有底部が、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、又はそれらの複合物からなることを特徴とする、請求項12に記載のウエハー保持体用測温装置。
  14. 有底筒状体の筒状部が、酸化アルミニウム、ムライト、又はそれらの複合物からなることを特徴とする、請求項12又は13に記載のウエハー保持体用測温装置。
  15. 互いに接触しているウエハー保持体の接触面と有底筒状体の有底部の外表面との間に、熱伝導媒体としてガスを滞留させることを特徴とする、請求項1〜14のいずれかに記載のウエハー保持体用測温装置。
  16. 熱伝導媒体のガス圧力が1300Pa以上であることを特徴とする、請求項15に記載のウエハー保持体用測温装置。
  17. 有底筒状体内に挿入する温度測定素子は、熱電対又はシース付き熱電対であることを特徴とする、請求項1〜16のいずれかに記載のウエハー保持体用測温装置。
  18. 請求項1〜17のいずれかのウエハー保持体用測温装置を装着したことを特徴とするウエハー保持体。


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