JP2006249665A - Pcケーブルの緊張・定着接続方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】老朽化等したPCケーブル取替え時またはPCケーブルを新たに敷設して橋桁を補修・補強する時の緊張・定着接続方法を提供する。
【解決手段】外ケーブル方式を採用した桁橋の複数本のPCケーブルの取替え時または
複数本のPCケーブルを新たに敷設して橋桁を補修・補強する時の緊張・定着にあたって、PCケーブルの左右両端の固定部位を橋桁の端部とし、左右のPCケーブルの緊張・定着接続部を桁端の内方に設け、当該緊張・定着接続部において、前記複数本のPCケーブルの撚り線端末部を定着板の左右の一方側からジャッキにより全数同時にまたは数本毎に分割して緊張し、クサビによりその定着板に定着固定する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、PCケーブルの緊張・定着接続方法および定着接続具に関する。
従来、各種の橋梁において、自動車、鉄道等の荷重を直接支持するコンクリート製の橋桁には支点間で常時大きな曲げモーメントが作用することから、T桁、箱桁、トラス、中空床版、版桁等のコンクリート躯体にPCケーブルを外ケーブル方式で敷設してプレストレスを導入することによって橋桁の建設を可能とし、また支点間の距離を長くすることが行なわれている。
図1は本発明の実施の形態に係る外ケーブル方式を採用した桁橋およびそのPCケーブル取替え時の接続部の説明図、(イ)は正面視断面図、(ロ)は矢視A−A図、(ハ)は矢視B−B図であり、図1は同時に桁橋中央部の緊張・定着接続部を除けば、従来例の外ケーブル方式を採用した桁橋の説明図でもある。
図1を参照しながら従来例の外ケーブル方式の桁橋について説明する。100は外ケーブル方式の桁橋であり、水平方向に張出部を有する上面と両側面と下面とからなる箱断面をなす橋桁10が左右(長手)方向に結合され両端の横桁11、111が橋台17を支持点として敷設されている。14は中間隔壁であり、中央に連絡孔141が設けられている。142は橋桁の下面に設けられた検査孔であり、検査・点検時に検査員が橋桁10の内部に立入るために使用される。12、121は左右の桁端に設けられた定着板である。
PCケーブルは一端が、例えば左側の桁端の定着板12に定着具を使用して定着固定され、他端が2つの中間隔壁14の貫通孔143を挿通して、右端の胸壁171および盛土172が積上げられる前に、横桁111の外方において油圧ジャッキによって緊張され定着具を使用して定着板121に定着固定される。PCケーブルは定着板12、121と2つの中間隔壁14の貫通孔143の縁部を支持点として緊張されている。
下記特許文献1には、外ケーブル方式の単純PC桁(1)で上フランジ(2)と下フランジ(3)がウエブ(4)で結合されたコンクリート躯体の両端部が支点(6)で支持されたもの(図6(b)(d))。また複数の主桁(13)を横桁兼用定着壁(16)を介して一体化して構築した外ケーブル方式の単純PC橋(15)(図7)。さらに、外ケーブル方式の単純PC箱桁(18)で、上床版(19)と下床版(20)が両側版(21)で連結され内部が中空の箱桁が構築されていて、PC箱桁(18)の端部が支点(6)で支持されたもの(図9)等各種の外ケーブル方式の桁橋が示されている。
特開2004−270178号公報
上記PCケーブルは老朽化等の原因により、相当期間の経過後には、補修のために取替えを行なう場合があるが、PCケーブルの緊張・定着接続部を最初の桁端において行おうとすると、現に道路や鉄道として使用されている桁橋の桁端の外側、即ち橋台・胸壁とその背面部分に、大きな作業空間が必要になる。
しかしながら、この作業空間が橋梁の建設時に設けられていない所が多いのが実情である。橋台・胸壁の背面部にPCケーブルの取替え作業に必要な、作業機器を持ち込み、緊張定着等の作業のできる作業孔を設けることは工期が長くなり費用が嵩むほか、この橋台・胸壁の背面部は強度・剛性の高い胸壁部と構造上不連続な部位であるため、路面の沈下が大きくなり車両や列車の走行時の安全性や乗心地に悪影響を及ぼすという問題がある。上記特許文献1に示されている各種の外ケーブル方式の桁橋においてもPCケーブルの緊張・定着接続部は、いずれも桁端において行われている。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、PCケーブルの取替え時およびPCケーブルを新たに敷設して橋桁を補修・補強する時に、道路や鉄道の路面へ悪影響を及ぼさぬように、橋台・胸壁の背面部には必要最小限の作業人孔のみを設け、作業機器の持ち込みや緊張定着等の作業は桁端内方で行なうこととするPCケーブルの緊張・定着接続方法および定着接続具を提供することにある。
上記課題を達成するための第1の発明は、外ケーブル方式を採用した桁橋のPCケーブルの取替え時またはPCケーブルを新たに敷設して橋桁を補修・補強する時の緊張・定着接続方法であって、PCケーブルの左右両端の固定部位を橋桁の端部とし、左右のPCケーブルの緊張・定着接続部を桁端の内方に設け、当該緊張・定着接続部においてPCケーブルを緊張し、定着接続することを特徴とするPCケーブルの緊張・定着接続方法である。
第2の発明は、第1の発明において、前記外ケーブル方式を採用した桁橋のPCケーブルの取替え時のPCケーブルの左右両端の固定部位を取替え前の元の橋桁の端部としたことを特徴とするPCケーブルの緊張・定着接続方法である。
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記左右のPCケーブルの緊張・定着接続部が中央部の橋桁の内部空間であることを特徴とするPCケーブルの緊張・定着接続方法である。
第4の発明は、第1乃至3の発明において前記PCケーブルの緊張・定着接続作業がPCケーブルの1本ずつを緊張し、定着接続具に定着接続することを特徴とするPCケーブルの緊張・定着接続方法である。
第5の発明は、第1乃至3の発明において、前記PCケーブルの緊張・定着接続作業がPCケーブルの2本ずつを緊張し、定着板に定着接続することを特徴とするPCケーブルの緊張・定着接続方法である。
第6の発明は、第1乃至3の発明において、前記PCケーブルの緊張・定着接続作業が複数本のPCケーブルを接続するものであって、左右一方のPCケーブルの全数を円板状の定着板の中心部に定着接続し、他方のPCケーブルを前記一方のPCケーブルの全数を定着接続した定着板の中心部の外側に位置する略円周上に、かつ1列に緊張し、定着接続することを特徴とするPCケーブルの緊張・定着接続方法である。
第7の発明は、PCケーブルを定着固定するクサビと該クサビの後部端面で押圧するスプリングを収容し該スプリングの他端面を支持するスプリング受け部を備えた2個の外筒と、該2個の外筒を両端に結合する円筒状の接続部材と、からなるPCケーブルの自動定着接続具であって、前記接続部材の円筒状の外面にはその軸方向に長孔が設けられ、該接続部材の一方の端部内面から該接続部材の他端に位置する前記長孔の開口端にかけて略円弧を形成するガイド面が設けられ、前記2個の外筒の一方ではPCケーブルの端部を自動定着し、前記2個の外筒の他方ではPCケーブルの端部を自動定着する機能を有し、PCケーブルの端部を前記外筒内に押込むと、PCケーブルの端部が前記ガイド面に沿ってガイドされ、前記接続部材の外部に押出されることを特徴とする自動定着接続具である。
第1の発明は、外ケーブル方式を採用した桁橋のPCケーブルの取替え時またはPCケーブルを新たに敷設して橋桁を補修・補強する時の緊張・定着接続方法であって、PCケーブルの左右両端の固定部位を橋桁の端部とし、左右のPCケーブルの緊張・定着接続部を桁端の内方に設け、当該緊張・定着接続部においてPCケーブルを緊張し、定着接続することを特徴とするPCケーブルの緊張・定着接続方法であるから、橋台・胸壁の背面部にPCケーブルの敷設時に必要な作業機器を持ち込み、緊張・定着作業を可能とするような大きな作業孔を設けることなく、工期を短縮し、少ない費用で、老朽化した桁橋のPCケーブルの取替えまたはPCケーブルを新たに敷設する橋桁の補修・補強を可能とし、さらに路面の沈下による車両や列車の走行時の安全性や乗心地に悪影響を及ぼすことがないという効果がある。
第2の発明は第1の発明において、前記外ケーブル方式を採用した桁橋のPCケーブルの取替え時のPCケーブルの左右両端の固定部位を取替え前の元の橋桁の端部としたことを特徴とするPCケーブルの緊張・定着接続方法であるから、老朽化した桁橋のPCケーブルの取替えを一層簡便に行なうことができるという効果がある。
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記左右のPCケーブルの緊張・定着接続部が中央部の橋桁の内部空間であることを特徴とするPCケーブルの緊張・定着接続方法であるから、左右のPCケーブルの緊張・定着接続作業が容易であるという効果がある。特に中央部の橋桁内部で作業スペースが大きく、PCケーブルが水平の部位を選定して作業を行なう場合には特に効果が大きい。
第4の発明は、第1乃至3の発明において前記PCケーブルの緊張・定着接続作業がPCケーブルの1本ずつを緊張し、定着接続具に定着接続することを特徴とするものであり、第5の発明は、前記PCケーブルの緊張・定着接続作業がPCケーブルの2本ずつを緊張し、定着板に定着接続することを特徴とするものであるから、簡単な装置で簡易に左右のPCケーブルの緊張・定着作業ができるという効果がある。
第6の発明は、第1または第3の発明において、前記PCケーブルの緊張・定着接続の作業が複数本のPCケーブルを接続するものであって、左右一方のPCケーブルの全数を円板状の定着板の中心部に定着接続し、他方のPCケーブルを前記一方のPCケーブルの全数を定着接続したその定着板の中心部の外側に位置する略円周上に、かつ1列に緊張し、定着接続することを特徴とするPCケーブルの取替え時の緊張・定着接続方法であるであるから、短期間に同一部位において左右のPCケーブルの緊張・定着作業ができるという効果がある。特にPCケーブルの本数の多い場合に効果が大きい。
第7の発明は、PCケーブルを定着固定するクサビと該クサビの後部端面で押圧するスプリングを収容し該スプリングの他端面を支持するスプリング受け部を備えた2個の外筒と、該2個の外筒を両端に結合する円筒状の接続部材と、かび量が大きい場合には、ジャッキの盛替え毎に、PCケーブルを切断するという作業が不要となるので作業能率が向上する。PCケーブルの長さが長く、伸び量の大きい時に特に効果が大らなるPCケーブルの自動定着接続具であって、前記接続部材の円筒状の外面にはその軸方向に長孔が設けられ、該接続部材の一方の端部内面から該接続部材の他端に位置する前記長孔の開口端にかけて略円弧を形成するガイド面が設けられ、前記2個の外筒の一方ではPCケーブルの端部を自動定着し、前記2個の外筒の他方ではPCケーブルの端部を自動定着する機能を有し、PCケーブルの端部を前記外筒内に押込むと、PCケーブルの端部が前記ガイド面に沿ってガイドされ、前記接続部材の外部に押出されることを特徴とする自動定着接続具であるから、PCケーブルの定着接続具への挿入作業が容易であり、PCケーブルの伸きい。
PCケーブルの取替えを行なう場合、橋台・胸壁とその背面部分に、大きな作業空間が必要になるが、この作業空間が橋梁の建設時に設けられていない所が多く、橋台・胸壁の背面部にPCケーブルの取替え時に必要な、作業機器を持ち込み、緊張定着等の作業のできる作業孔を新たに設けることは工期が長くなり費用が嵩むほか、路面の沈下が大きくなり車両や列車の走行時の安全性や乗心地に悪影響を及ぼすという問題があるため、本実施の形態は、橋台・胸壁の背面部にPCケーブルの取替え時に必要とする大きな作業孔を設けることなく桁端内方で行なうことを特徴とするものである。
即ち、本発明の実施の形態に係る外ケーブル方式の桁橋は、従来の外ケーブル方式の桁橋が上記背景技術で説明した通り、一端が左側の桁端の定着板12に定着具を使用して定着固定され、他端が2つの中間隔壁14の貫通孔143を挿通して右側の定着板121に定着具を使用して定着固定されているのに対して、緊張・定着接続部13を桁端の内方に設けることを特徴とするものである。
橋台・胸壁の背面部には定着具を取替えPCケーブルをクサビを打込んで固定するに必要なだけの最小限の作業員用の作業孔(不図示)を設ける。
取替えを要するPCケーブルを除去した後、桁端部のコンクリートに設けられた定着板12、121は元のままとし、左右のPCケーブル15、16の端部を左右の桁端部の内側から外方へをそれぞれ挿通し定着具を使用して定着板12、121に定着固定する。
左右のPCケーブル15、16の緊張・定着接続部13は好ましくは桁橋の中央部かつ橋桁の中央においてPCケーブルが水平で、PCケーブルの緊張・定着接続に必要な機器の持ち込みや、作業員の入り込むスペースが充分取れる部位を選定するのがよい。またPCケーブルの緊張・定着接続にはジャッキ、定着接続具または定着板、クサビ等を使用して行なえばよい。
ただし、PCケーブルの接続部位は桁橋の中央部に限定されるものではない。桁端の内方であればよく、作業スペースの確保し易い場所を橋桁の構造により適宜選定すればよい。また橋桁の構造は箱型に限定されるものではなく、PCケーブルが橋桁の下部に配策されている場合には橋桁の下部に簡易のゴンドラを橋桁から懸架する等して橋桁の下部で行なってもよい。
上述の通り本実施の形態によれば、橋台・胸壁の背面部に大きな作業孔を設けることなく、PCケーブルの取替えを短い工期、少ない費用で実現しさらに橋台・胸壁の背面部の路面の沈下による自動車や鉄道の安全性や乗り心地に悪影響を及ぼすことがないという効果が得られる。
また、本実施の形態はPCケーブルの取替え時に適用できるのみならず、PCケーブルを使用した桁橋およびPCケーブルを使用しない橋桁の補修・補強にも適用することができる。
以下実施例に基いて詳細に説明する。
本実施例は、PCケーブルを1本引きジャッキで、1本ずつ緊張・定着接続してPCケーブルを取替える場合である。
図2は本発明の実施例1に係るPCケーブルの1本引きジャッキの正面図である。図3は図2の側面図であり、(イ)は矢視A-A図、(ロ)は矢視B-B図、(ハ)は矢視C-C図を示している。
図4は本発明の実施例1に係る左右のPCケーブル1本を相互に定着接続するための自動定着接続具の断面図であり、(イ)は従来の定着接続具の断面図、(ロ)はその変形型の断面図である。
図2または3において、ジャッキ装置20は公知の油圧ポンプで駆動される一対のシリンダ22、ピストン23、ロッド24を有し、シリンダ22の左端には一対のシリンダを所定の間隔に固定し、中央にクサビ21を取付ける円錐孔(下側に開口溝あり)を有する定着板27が設けられ、シリンダ22の右端には定着板27と平行に一対のシリンダを所定の間隔に取付けし、中央にケーブル26が挿通するU字状の切欠き部を付した固定板271が設けれている。さらに一対のロッド24の右端には定着板27、固定板271と平行にロッドの右端を所定の間隔に固定し、クサビ211を取付ける円錐孔(下側に開口溝あり)を有する定着板272が設けられている。またシリンダ22の両端部には油圧ポンプ(不図示)に接続される配管25、251が設けられている(図2、3)。定着板27、272は一対のシリンダ22、またはロッド24を所定の間隔に固定・保持する接続板の機能も有している。また定着板27、272の円錐孔は下側に開口溝が付されクサビをスライドしたときはその開口溝を通してPCケーブルの着脱が可能になっている。なお、上記のクサビ21、211(押圧スプリングおよびその押え板を省略)は自動定着機能を有するものである。
図4(イ)に示す定着具30は公知の定着接続具であり、2個の外筒35を背中合わせにして外面に雄ねじの設けられた円筒形状の接続部材32を使用して接続されており、外筒35のそれぞれの内部には2〜3に分割されたクサビ31とそのクサビの後部端面で押圧するスプリング34と、そのスプリングの他端を保持するスプリングの受け部材33が収納され、PCケーブル36を左右から差し込むときはスプリング34が収縮してクサビ31が径方向に広がりPCケーブル36の先端の挿入を可能にするが、反対にPCケーブル36を外方向に引張るときにはクサビ31の内面とPCケーブル36の外表面との摩擦力によってクサビ31は外側に引かれ内径が縮小して、クサビ31の内面でPCケーブルを把持して拘束する。
図4(ロ)に示す定着接続具301は、図4(イ)に示した定着接続具30の外筒351の端部に円錐部を設けて、PCケーブル36の外筒351への挿入作業を容易にしたものであり、その他の構成は図(イ)に示した定着接続具30と同一である。
次に、図2において、左右のPCケーブルを1本引きジャッキ装置20で緊張・定着する作業方法およびその動作について説明する。
図2において、まず左側からPCケーブル26の先端を定着板27のクサビ用の円錐孔中心から挿入し、ジャッキのシリンダ22の中央部まで挿通し、クサビ21の自動定着機能により、PCケーブル26を定着板27に固定し、PCケーブル26の先端を定着接続具30(または301、以下同じ)の一端に押込んで、クサビ31の自動定着機能によりPCケーブルの先端部と定着接続具30とを接続固定する(定着接続具30にPCケーブル26を接続・固定した後に定着板27の円錐孔の下側の開口溝からPCケーブルを嵌入し、その後クサビ21で固定してもよい)。この状態で定着板27、固定板271に接続しているアーム(不図示)で定着接続具30をその軸心が定着板27、272、固定板271の孔の中心を結ぶ軸心と一致するようにして固定する。
次に、右側の定着板272の円錐孔中心からPCケーブル261の先端を挿通し先端が固定板271のU字状の切欠き部を通過するところまで押込み、クサビ211の自動定着機能により定着板272に固定する。
続いて、油圧ポンプ(不図示)を作動させてロッド24を収縮させて、PCケーブル261を左側に引寄せ、途中でPCケーブル261の先端部を定着接続具30に自動定着接続させたときに、丁度所定の緊張力となるように、PCケーブルの先端位置をカットオフマシーンで切断除去し、調整してから引寄せ定着する。
一回目の引寄せ作業で、PCケーブル26、261の緊張力が所定の値に達しない場合には、ジャッキを盛替え、再度PCケーブルの先端を所要の緊張力を導入するに必要な位置になるように切断調整して第2回目、必要に応じ第3回目以降の引寄せ作業を行なう。
所定の緊張量に達したら、ジャッキの油圧を解き、定着板27、272に取付けられているクサビ21、211を取外し、定着接続されたPCケーブル26、261とジャッキ装置20を分離する。以上の作業を繰返し複数本のPCケーブルの緊張・定着接続を行なう。この場合、定着接続部が同じ位置で重なり合わないように、PCケーブルの軸方向にずらして行ない、PCケーブルと定着接続具との干渉部位には弾性体のプロテクタを介挿するのが好ましい。また図4(ロ)に示した定着接続具を使用すると、PCケーブルの挿入部が円錐形状であるので、定着接続具30の固定時またはPCケーブルの緊張作業時にPCケーブルの先端が位置ずれしても、PCケーブルの先端部コーナが円錐の最大径内にある限り定着・接続が可能となる。
実施例1の方法により、橋台・胸壁の背面部に大きな作業孔を設けることなくPCケーブルの取替え作業を行なうことができる。
本実施例は、PCケーブル1本を緊張・定着接続させる定着接続具に関するものである。
図5は、本実施例2に係るPCケーブル1本を緊張・定着接続させる定着接続具の説明図であり、(イ)は正面図、(ロ)は下面図である。図5において、60は定着接続具であり、中央の接続部材62と両端の外筒65、651からなり、接続部材62は鋼管または棒鋼を加工し、中空部621が設けられた円筒形状をなし、両端部には外周に雄ネジが設けられた小径部625が設けられ、一端(図右側)には小径部625に続いて内径を縮小した挿通孔622が設けられ、小径部625の内面には後述のスプリング受け部として機能する拡径部624が設けられ、さらに中央部下面には軸方向に長孔623が設けられている(図(ロ))。
左側の外筒65の端部内面には接続部材62の端部外周に設けられた雄ネジと螺合する雌ネジが設けられ、内部には2から3個に分割されたクサビ61と、そのクサビ61の後部端面を押圧するスプリング64とが収容されており、また左側の外筒65にはスプリング64の他端を保持するスプリング受け部材63が接続部材62の開口端に嵌入されている。右側の外筒651の端部内面には接続部材62の端部外周に設けられた雄ネジと螺合する雌ネジが設けられ、内部にはクサビ611と、そのクサビ611の後部端面を押圧するスプリング641が収納されており、上述の拡径部624がスプリング641の他端を保持している。両端のクサビ61、611はともに自動定着機能を有している。
67は、鋼または鋳鋼製のPCケーブルのガイドであり、大きな円弧面671とそれに直交する方向にPCケーブルの軸直角方向のずれを規制する円弧面またはV字状面を有し、一端に長孔623の端部に引掛けてそのずれを防止するためのフック部672が形成されている。次に本定着接続具を使用して緊張・定着する作業方法およびその動作について説明する。ジャッキは実施例1の説明で使用したものと同様の一本引きジャッキ(図2)を使用する。
図2を参照して、まず定着接続具60をジャッキの2本のシリンダ22間で左端を定着板27に接して配置し、左側からPCケーブル26の先端を定着板27のクサビ用の円錐孔中心から挿入し、さらにPCケーブル26の先端を定着接続具60の左側の外筒65に押込んでPCケーブル26をクサビ61の自動定着機能により定着接続具60の一端に固定するとともに、定着板27のクサビ21の自動定着機能によりPCケーブル26を定着板27に固定する(定着接続具60にPCケーブル26を接続・固定した後に定着板27の円錐孔の下側の開口溝からPCケーブルを嵌入し、その後クサビ21を取付け固定してもよい)。
次に、右側の定着板272の円錐孔中心からにPCケーブル261の先端を挿通し先端が固定板271のU字状の切欠き部を通過させ定着接続具60の右側の外筒651に押込んで、PCケーブル261の先端が少なくとも長孔623から目視できるところまで挿通させるか、またはPCケーブル26、261の初期のたるみがなくなるまで挿通して、クサビ611の自動定着機能により定着接続具60に固定するとともにクサビ211の自動定着機能により定着板272に固定する。
続いて、定着接続具60の左端が油圧ジャッキの定着板27の右端面と当接していることを確認した後油圧ポンプ(不図示)を作動させてロッド24を収縮させて、PCケーブル261を左側に引寄せPCケーブルを緊張する。引寄せられたPCケーブル261はガイド67でガイドされながら長孔623から送り出される。第1回目の引寄せ作業で、PCケーブル26、261の緊張量が所定の値に達しない場合には、ジャッキを盛替えて第2回目、必要に応じ第3回目以降の引寄せ作業を行なう。
なお、PCケーブル261のガイド67によるガイドの方向は図5に示した下方に限定されるものではなく、作業場所の周囲の条件により適宜左方、右方または上方にすればよい。またガイドは固定式にすることもできる。
所定の緊張量に達したら、ジャッキの油圧を解き、定着板27、272に取付けられているクサビ21、211を取外し、定着接続されたPCケーブル26、261とジャッキ装置20を分離し、長孔623から押出されたPCケーブル261は接続部材62の中空部621内に収まる適切な位置で切断し切断部662を除去し、ガイド67を取外してPCケーブル261の端部を接続部材62の中空部621に収め、中空部621のPCケーブルに防食対策を施す。以上の作業を繰返し複数本のPCケーブルの緊張・定着接続を行なう。この場合、定着接続部が同じ位置で重なり合わないように、ケーブルの軸方向にずらして行ない、PCケーブルと定着接続具との干渉部位には弾性体のプロテクタを介挿するのが好ましい。本実施例2に係る定着接続具を使用すると、右側のPCケーブル261の定着接続具60への挿入作業が容易となり、ジャッキの盛替え毎に、PCケーブルを切断するという作業が不要となるので作業能率が向上する。PCケーブルの長さが長く、伸び量の大きい時に特に効果が大きい。
実施例2の方法によっても、橋台・胸壁の背面部に大きな作業孔を設けることなくPCケーブルの取替え作業を行なうことができる。
本実施例は1本引きジャッキ2台と1個の定着板を使用して、PCケーブル2本ずつを緊張・定着接続してPCケーブルを取替える場合である。
図6は本発明の実施例3に係る1本引きジャッキを2個使用し、PCケーブル2本を組にして緊張・定着接続させる場合の説明図であり、公知の1本引きジャッキ1台を取り付けた場合を示し、他の1台の図示は省略している。なおクサビ41、42は自動定着式ではなく通常の定着方式となっている。
本実施例3においては、まず右側の2本のPCケーブル46を定着板44にクサビ41により定着固定し、左側の2本のPCケーブル45を定着板44にクサビ42により定着固定し、その後PCケーブル45の先端に1本引きのジャッキ43を2台取付ける。
次に、1本引きジャッキ43の2台が均等なストロークになるように油圧を掛けて緊張すると、左右のPCケーブル45、46が同時に緊張され、クサビ42により定着板44に固定され、PCケーブル2本ずつの緊張定着を1本引きジャッキ2台を使用して行なうことができる。この作業の繰返しにより複数本のPCケーブルの緊張・定着接続作業を効率よく行うことができる。PCケーブルの本数が奇数本の場合は、最後の1本の緊張・定着接続作業は実施例1の1本引きジャッキによる緊張・定着接続作業を行えばよい。なおジャッキ43は右側のPCケーブル46の先端に取付けてPCケーブルの緊張を行ってもよい。
実施例3の方法によっても、橋台・胸壁の背面部に大きな作業孔を設けることなくPCケーブルの取替え作業を行なうことができる。
本実施例は複数の1本引きジャッキと円板状の1個の定着板を使用して、PCケーブルの複数本を一体として緊張・定着接続してPCケーブルを取替える場合である。
図7は実施例4に係るPCケーブルの複数本を一体としジャッキの複数台を使用して緊張・定着接続させる場合の説明図、図8は図7の矢視A―Aであり、公知の1本引きジャッキを1台取付けた場合を示し、他の油圧ジャッキの図示は省略し、またクサビ51、52は自動定着式ではなく通常の定着方式となっている。
本実施例においては、まず定着板54の中心部にクサビ52によりPCケーブル55の全本数を固定する。
そして、左側のPCケーブル56を右側のPCケーブルの全本数を定着した定着板54の外側にクサビ51を使用して固定保持し、外側のケーブル56の先端に1本引きのジャッキ53を複数個、定着板54の中心に対して力学的にバランスするように取付けて緊張・定着接続を行なう。この場合隣接するPCケーブルに取付けるジャッキ53が干渉しないように、所定の大きさの円周上に配置することが必要となる。この緊張・定着接続作業で所定の緊張力の得られない場合には、所定の緊張力が得られるまでジャッキを操作して引寄せ作業を行う。所定の緊張力が得られたら油圧ジャッキの油圧を解き、油圧ジャッキを取外し未緊張のPCケーブル56の先端に取外した油圧ジャッキ53を取付け、先程と同様の緊張作業を行い総てのPCケーブルの緊張作業を完了させる(第1ステップ)。
第1ステップの作業の終了した段階においては、既に緊張したPCケーブル56は右側(内側)のPCケーブル55の伸びによって、緊張力が緩和しているため、第1ステップで緊張されたPCケーブルに重ねて緊張作業を行う(第2ステップ)。第2ステップでも右側(内側)のPCケーブル55の伸びによって緊張力が緩和するため必要に応じ第3ステップ以降の緊張作業を繰返し必要な緊張力を確保する。上記のステップの回数を減らすには、各ステップにおける1度に使用できる油圧ジャッキの台数を多くし、油圧ジャッキの組替え回数を少なくすればよく、第1ステップで、全本数を緊張することができる時は、第2ステップ以降の緊張作業は不要となる。
実施例4の方法によっても、橋台・胸壁の背面部に大きな作業孔を設けることなくPCケーブルの取替え作業を行なうことができる。
本実施例は老朽化した桁橋を、新たにPCケーブルを敷設して、補修・補強する場合であり、橋台・胸壁の背面部にPCケーブルを緊張・定着接続する作業スペースのない場合である。
図9は本発明の実施例5に係る従来の桁橋にPCケーブルを新たに敷設して補修・補強する場合の説明図であり、(イ)は正面図、(ロ)は矢視A-A図、(ハ)は矢視B-B図である。本図は従来の桁橋に定着用ブロック19、定着板18、181、PCケーブル貫通孔144を設け左右のPCケーブル151、161のそれぞれの端部を定着具を使用して定着板18、181に固定した後、中間隔壁の内部空間に緊張・定着接続部13を設けて老朽化した桁橋を補修・補強したものであり、その他の桁橋の構成は同じであり改造の必要はない。次に、補修・補強の作業方法およびその動作について説明する。
PCケーブルの緊張作業の前に、まず左右桁端の側壁内面に定着用ブロックと中間隔壁14(本実施例では中間隔壁の数は2)にPCケーブルの貫通孔144を設ける。
次に、左右のPCケーブルの一端をブロック19の定着板18、181に橋桁の内側から外方(左右方向)に向けて挿通し、定着具(不図示)を使用して固定し、左右のPCケーブル151、161の他端を中間隔壁の貫通孔144にそれぞれ挿通し、桁橋および橋桁中間部に位置する緊張・定着接続部13にて緊張定着する。
緊張・定着接続部13における緊張定着作業は、上記実施例1による1本引きジャッキで1本ずつ緊張定着してもよいし、実施例3による1本ジャッキ2台と1個の定着板を使用して、PCケーブル2本ずつを緊張・定着接続してもよいし、また実施例4による1本引きジャッキと円板状の1個の定着板を使用してPCケーブルの複数本を一体として緊張・定着接続してもよい。
緊張・定着接続部13はPCケーブルの取替え時と同様に桁橋および橋桁の中央部に限定されるものでなく、桁端の内方であればよく、作業スペースの確保し易い場所を橋桁の構造により適宜選定すればよい。また橋桁の構造は箱型に限定されるものではなく、PCケーブルが橋桁の下部に配策されている場合には橋桁の下部に簡易のゴンドラを橋桁から懸架する等して橋桁の下部で行なってもよい。
なお、定着用ブロック19、中間隔壁のPCケーブル貫通孔144が既に設けられている場合にはそれを使用すればよく、この場合にはそれらを新たに設ける作業は不要となる。
上述の通り、老朽化した桁橋をPCケーブルを新たに敷設して、補修・補強する場合にも、桁橋の中間部に緊張・定着接続部を設けることにより、橋台・胸壁の背面部に大きな作業孔を設けることなく、工期の短縮、費用の節減を可能にして、PCケーブルの敷設作業を行なうことができ、橋台・胸壁の背面部の路面の沈下による自動車や鉄道の安全性、や乗り心地への悪影響を防止することができる。
なお、上記実施例3、4、5においては定着板にクサビを固定するための円錐状孔を設ける方式について説明したが、定着板に円錐孔を設けないで、公知のスリーブ方式の定着具を使用することもできる。
また、上記の実施例において被覆ケーブルを用いる場合に、定着接続具または定着板の近傍でケーブルの被服を除去した部分に防食カバーを設ける記載を省略したが、初期のPCケーブル取付け時と同様に防食カバーを設けることができる。
本発明の実施の形態に係る外ケーブル方式を採用した桁橋およびそのPCケーブル取替え時の接続部の説明図であり、(イ)は正面図、(ロ)は矢視A−A図、(ハ)は矢視B−B図である。なお本図は桁橋中央部の緊張・定着部を除けば従来例の外ケーブル方式の桁橋の説明図をも兼ねている。 本発明の実施例1に係るPCケーブルの1本引きジャッキの正面図である。 図2の定着板部の側面図であり、(イ)は矢視A-A図、(ロ)は矢視B-B図、(ハ)は矢視C-C図である。 本発明の実施例1に係る1本のPCケーブルを定着接続するための定着接続具の断面図であり、(イ)は公知の定着接続具の断面図、(ロ)はその変形型の断面図である。 本発明の実施例2に係るPCケーブル1本を緊張・定着接続させる定着接続具の説明図であり、(イ)は正面図、(ロ)は下面図である。 本発明の実施例3に係る1本引きジャッキを2台使用し、PCケーブル2本を組にして緊張・定着接続させる場合の説明図である。 本発明の実施例4に係るPCケーブルの複数本を一体とし、ジャッキを複数台を使用して緊張・定着接続させる場合の場合の説明図である。 図7の矢視A−A図である。 本発明の実施例5に係る従来の桁橋にPCケーブルを新たに敷設して補修・補強する場合の説明図であり、(イ)は正面図、(ロ)は矢視A-A図、(ハ)は矢視B-
符号の説明
100、200・・・桁橋(外ケーブル式)
10、101・・・橋桁
11、111・・・横桁
12、121・・・定着板(桁端)
13・・・緊張・定着接続部
14・・・中間隔壁
141・・・連絡孔
142・・・検査孔
143、144・・・貫通孔
15、16、151、161・・・PCケーブル
17・・・橋台
171・・・胸壁
172・・・盛土
18、181・・・定着板
19・・・ブロック(定着用)
20・・・1本引きジャッキ装置
21、211・・・クサビ
22・・・シリンダ
23・・・ピストン
24・・・ロッド
25、251・・・配管
26、261・・・PCケーブル
27、272・・・定着板
271・・・固定板
30、301・・・定着接続具(1本引き)
31・・・クサビ
32・・・接続部材(スリーブ)
33・・・スプリング受け部材
34・・・スプリング
35、351・・・外筒
36・・・PCケーブル
40・・・2本引き定着装置
41、42・・・クサビ
43・・・ジャッキ
44・・・定着板
45、46・・・PCケーブル
50・・・マルチ定着装置
51、52・・・クサビ
53・・・ジャッキ
54・・・定着板
55、56・・・PCケーブル
60・・・定着接続具
61、611・・・クサビ
62・・・接続部材
621・・・中空部
622・・・挿通孔
623・・・長孔
624・・・拡径部
625・・・小径部
63・・・スプリング受け部材
64、641・・・スプリング
65、651・・・外筒
66、661・・・PCケーブル
662・・・切断部(PCケーブル)
67・・・ガイド
671・・・円弧面
672・・・フック部
本発明は、PCケーブルの緊張・定着接続方法に関する
従来、各種の橋梁において、自動車、鉄道等の荷重を直接支持するコンクリート製の橋桁には支点間で常時大きな曲げモーメントが作用することから、T桁、箱桁、トラス、中空床版、版桁等のコンクリート躯体にPCケーブルを外ケーブル方式で敷設してプレストレスを導入することによって橋桁の建設を可能とし、また支点間の距離を長くすることが行なわれている。
図1は本発明の実施の形態に係る外ケーブル方式を採用した桁橋およびそのPCケーブル取替え時の接続部の説明図、(イ)は正面視断面図、(ロ)は矢視A−A図、(ハ)は矢視B−B図であり、図1は同時に桁橋中央部の緊張・定着接続部を除けば、従来例の外ケーブル方式を採用した桁橋の説明図でもある。
図1を参照しながら従来例の外ケーブル方式の桁橋について説明する。100は外ケーブル方式の桁橋であり、水平方向に張出部を有する上面と両側面と下面とからなる箱断面をなす橋桁10が左右(長手)方向に結合され両端の横桁11、111が橋台17を支持点として敷設されている。14は中間隔壁であり、中央に連絡孔141が設けられている。142は橋桁の下面に設けられた検査孔であり、検査・点検時に検査員が橋桁10の内部に立入るために使用される。12、121は左右の桁端に設けられた定着板である。
PCケーブルは一端が、例えば左側の桁端の定着板12に定着具を使用して定着固定され、他端が2つの中間隔壁14の貫通孔143を挿通して、右端の胸壁171および盛土172が積上げられる前に、横桁111の外方において油圧ジャッキによって緊張され定着具を使用して定着板121に定着固定される。PCケーブルは定着板12、121と2つの中間隔壁14の貫通孔143の縁部を支持点として緊張されている。
下記特許文献1には、外ケーブル方式の単純PC桁(1)で上フランジ(2)と下フランジ(3)がウエブ(4)で結合されたコンクリート躯体の両端部が支点(6)で支持されたもの(図6(b)(d))。また複数の主桁(13)を横桁兼用定着壁(16)を介して一体化して構築した外ケーブル方式の単純PC橋(15)(図7)。さらに、外ケーブル方式の単純PC箱桁(18)で、上床版(19)と下床版(20)が両側版(21)で連結され内部が中空の箱桁が構築されていて、PC箱桁(18)の端部が支点(6)で支持されたもの(図9)等各種の外ケーブル方式の桁橋が示されている。
特開2004−270178号公報
上記PCケーブルは老朽化等の原因により、相当期間の経過後には、補修のために取替えを行なう場合があるが、PCケーブルの緊張・定着接続部を最初の桁端において行おうとすると、現に道路や鉄道として使用されている桁橋の桁端の外側、即ち橋台・胸壁とその背面部分に、大きな作業空間が必要になる。
しかしながら、この作業空間が橋梁の建設時に設けられていない所が多いのが実情である。橋台・胸壁の背面部にPCケーブルの取替え作業に必要な、作業機器を持ち込み、緊張定着等の作業のできる作業孔を設けることは工期が長くなり費用が嵩むほか、この橋台・胸壁の背面部は強度・剛性の高い胸壁部と構造上不連続な部位であるため、路面の沈下が大きくなり車両や列車の走行時の安全性や乗心地に悪影響を及ぼすという問題がある。上記特許文献1に示されている各種の外ケーブル方式の桁橋においてもPCケーブルの緊張・定着接続部は、いずれも桁端において行われている。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、PCケーブルの取替え時およびPCケーブルを新たに敷設して橋桁を補修・補強する時に、道路や鉄道の路面へ悪影響を及ぼさぬように、橋台・胸壁の背面部には必要最小限の作業人孔のみを設け、作業機器の持ち込みや緊張定着等の作業は桁端内方で行なうこととするPCケーブルの緊張・定着接続方法を提供することにある。
上記課題を達成するための第1の発明は、外ケーブル方式を採用した桁橋の複数本のPCケーブルの取替え時または複数本のPCケーブルを新たに敷設して橋桁を補修・補強する時の緊張・定着接続方法であって、PCケーブルの左右両端の固定部位を橋桁の端部とし、左右のPCケーブルの緊張・定着接続部を桁端の内方に設け、該緊張・定着接続部において、前記複数本のPCケーブルの撚り線端末部を定着板の左右の一方側からジャッキにより全数同時にまたは数本毎に分割して緊張し、該定着板にクサビ定着・接続することを特徴とするPCケーブルの緊張・定着接続方法である。
第2の発明は第1の発明において、前記外ケーブル方式を採用した桁橋の複数本のPCケーブルの取替え時のPCケーブルの左右両端の固定部位を取替え前の元の橋桁の端部としたことを特徴とするPCケーブルの緊張・定着接続方法
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記左右のPCケーブルの緊張・定着接続部が中央部の橋桁の内部空間であることを特徴とするPCケーブルの緊張・定着接続方法である。
第4の発明は、第1乃至3の発明において、前記定着板が角柱状をなし、前記左右のPCケーブルがそれぞれ2本で構成され、該定着板の一方側からジャッキにより、前記2本のPCケーブルを緊張し、該定着板にクサビ定着・接続することを特徴とするPCケーブルの緊張・定着接続方法である。
第5の発明は、第1乃至3の発明において、前記定着板が円板状をなし、前記左右一方のPCケーブルの全数を円板状の定着板の中心部に定着接続し、他方のPCケーブルを前記一方のPCケーブルの全数を定着接続したその外側に位置する略円周上に、かつ1列に配置し、該外側に配置したケーブルの撚り線端末部を全数同時にまたは数本毎に分割して緊張し、該定着板にクサビ定着・接続することを特徴とするPCケーブルの緊張・定着接続方法である。
第1の発明は、外ケーブル方式を採用した桁橋の複数本のPCケーブルの取替え時または複数本のPCケーブルを新たに敷設して橋桁を補修・補強する時の緊張・定着接続方法であって、PCケーブルの左右両端の固定部位を橋桁の端部とし、左右のPCケーブルの緊張・定着接続部を桁端の内方に設け、該緊張・定着接続部において、前記複数本のPCケーブルの撚り線端末部を定着板の左右の一方側からジャッキにより全数同時にまたは数本毎に分割して緊張し、該定着板にクサビ定着・接続することを特徴とするPCケーブルの緊張・定着接続方法であるから、橋台・胸壁の背面部にPCケーブルの敷設時に必要な作業機器を持ち込み、緊張・定着作業を可能とするような大きな作業孔を設けることなく、工期を短縮し、少ない費用で、老朽化した桁橋のPCケーブルの取替えまたはPCケーブルを新たに敷設する橋桁の補修・補強を可能とし、さらに路面の沈下による車両や列車の走行時の安全性や乗心地に悪影響を及ぼすことがないという効果がある。特にクサビ定着・接続式であるから、ケーブルの長さが長く緊張力によるケーブルの伸び量の大きいときでも、緊張量が制限されることなく、ジャッキの盛替えにより所定の緊張力を容易に付与することができる。
第2の発明は第1の発明において、前記外ケーブル方式を採用した桁橋の複数本のPCケーブルの取替え時のPCケーブルの左右両端の固定部位を取替え前の元の橋桁の端部としたことを特徴とするPCケーブルの緊張・定着接続方法であるから、老朽化した桁橋のPCケーブルの取替えを一層簡便に行なうことができるという効果がある。
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記左右のPCケーブルの緊張・定着接続部が中央部の橋桁の内部空間であることを特徴とするPCケーブルの緊張・定着接続方法であるから、左右のPCケーブルの緊張・定着接続作業が容易であるという効果がある。特に中央部の橋桁内部で作業スペースが大きく、PCケーブルが水平の部位を選定して作業を行なう場合には特に効果が大きい。
第4の発明は、第1乃至3の発明において、前記定着板が角柱状をなし、前記左右のPCケーブルがそれぞれ2本で構成され、該定着板の一方側からジャッキにより、前記2本のPCケーブルを緊張し、該定着板にクサビ定着・接続することを特徴とするPCケーブルの緊張・定着接続方法であるから、簡単な装置で簡易に左右のPCケーブルの緊張・定着作業ができるという効果がある。
第5の発明は、第1または第3の発明において、前記定着板が円板状をなし、前記左右一方のPCケーブルの全数を円板状の定着板の中心部に定着接続し、他方のPCケーブルを前記一方のPCケーブルの全数を定着接続したその外側に位置する略円周上に、かつ1列に配置し、該外側に配置したケーブルの撚り線端末部を全数同時にまたは数本毎に分割して緊張し、該定着板にクサビ定着・接続することを特徴とするPCケーブルの緊張・定着接続方法であるから、短期間に同一部位において左右のPCケーブルの緊張・定着作業ができるという効果がある。特にPCケーブルの本数の多い場合に効果が大きい。
PCケーブルの取替えを行なう場合、橋台・胸壁とその背面部分に、大きな作業空間が必要になるが、この作業空間が橋梁の建設時に設けられていない所が多く、橋台・胸壁の背面部にPCケーブルの取替え時に必要な、作業機器を持ち込み、緊張定着等の作業のできる作業孔を新たに設けることは工期が長くなり費用が嵩むほか、路面の沈下が大きくなり車両や列車の走行時の安全性や乗心地に悪影響を及ぼすという問題があるため、本実施の形態は、橋台・胸壁の背面部にPCケーブルの取替え時に必要とする大きな作業孔を設けることなく桁端内方で行なうことを特徴とするものである。
即ち、本発明の実施の形態に係る外ケーブル方式の桁橋は、従来の外ケーブル方式の桁橋が上記背景技術で説明した通り、一端が左側の桁端の定着板12に定着具を使用して定着固定され、他端が2つの中間隔壁14の貫通孔143を挿通して右側の定着板121に定着具を使用して定着固定されているのに対して、緊張・定着接続部13を桁端の内方に設けることを特徴とするものである。
橋台・胸壁の背面部には定着具を取替えPCケーブルをクサビを打込んで固定するに必要なだけの最小限の作業員用の作業孔(不図示)を設ける。
取替えを要するPCケーブルを除去した後、桁端部のコンクリートに設けられた定着板12、121は元の位置とし、左右のPCケーブル15、16の端部を左右の桁端部の内側から外方へをそれぞれ挿通し定着具を使用して定着板12、121に定着固定する。
左右のPCケーブル15、16の緊張・定着接続部13は好ましくは桁橋の中央部かつ橋桁の中央においてPCケーブルが水平で、PCケーブルの緊張・定着接続に必要な機器の持ち込みや、作業員の入り込むスペースが充分取れる部位を選定するのがよい。またPCケーブルの緊張・定着接続にはジャッキ、定着接続具または定着板、クサビ等を使用して行なえばよい。
ただし、PCケーブルの接続部位は桁橋の中央部に限定されるものではない。桁端の内方であればよく、作業スペースの確保し易い場所を橋桁の構造により適宜選定すればよい。また橋桁の構造は箱型に限定されるものではなく、PCケーブルが橋桁の下部に配策されている場合には橋桁の下部に簡易のゴンドラを橋桁から懸架する等して橋桁の下部で行なってもよい。
上述の通り本実施の形態によれば、橋台・胸壁の背面部に大きな作業孔を設けることなく、PCケーブルの取替えを短い工期、少ない費用で実現しさらに橋台・胸壁の背面部の路面の沈下による自動車や鉄道の安全性や乗り心地に悪影響を及ぼすことがないという効果が得られる。
また、クサビ定着・接続式であるから、ケーブルの長さが長く緊張力によるケーブルの伸び量の大きいときでも、緊張量が制限されることなく、ジャッキの盛替えにより所定の緊張力を容易に付与することができる。
また、本実施の形態はPCケーブルの取替え時に適用できるのみならず、PCケーブルを使用した桁橋およびPCケーブルを使用していない橋桁の補修・補強にも適用することができる。
以下実施例に基いて詳細に説明する。
本実施例は1本引きジャッキ2台と1個の定着板を使用して、PCケーブル2本ずつを緊張・定着接続してPCケーブルを取替える場合である。
図2は本発明の実施例1に係る1本引きジャッキを2個使用し、PCケーブル2本を組にして緊張・定着接続させる場合の説明図であり、公知の1本引きジャッキ1台を取り付けた場合を示し、他の1台の図示は省略している。なおクサビ41、42は自動定着式ではなく通常の定着方式となっている。
本実施例1においては、まず右側の2本のPCケーブル46を定着板44にクサビ41により定着固定し、左側の2本のPCケーブル45を定着板44にクサビ42により定着固定し、その後PCケーブル45の先端に1本引きのジャッキ43を2台取付ける。
次に、1本引きジャッキ43の2台が均等なストロークになるように油圧を掛けて緊張すると、左右のPCケーブル45、46が同時に緊張され、クサビ42により定着板44に固定され、PCケーブル2本ずつの緊張定着を1本引きジャッキ2台を使用して行なうことができる。この作業の繰返しにより複数本のPCケーブルの緊張・定着接続作業を効率よく行うことができる。PCケーブルの本数が奇数本の場合は、最後の1本の緊張・定着接続作業は実施例1の1本引きジャッキによる緊張・定着接続作業を行えばよい。なおジャッキ43は右側のPCケーブル46の先端に取付けてPCケーブルの緊張を行ってもよい。
実施例3の方法によっても、橋台・胸壁の背面部に大きな作業孔を設けることなくPCケーブルの取替え作業を行なうことができる。
本実施例は複数の1本引きジャッキと円板状の1個の定着板を使用して、PCケーブルの複数本を一体として緊張・定着接続してPCケーブルを取替える場合である。
図3は実施例2に係るPCケーブルの複数本を一体としジャッキの複数台を使用して緊張・定着接続させる場合の説明図、図4は図3の矢視A―Aであり、公知の1本引きジャッキを1台取付けた場合を示し、他の油圧ジャッキの図示は省略し、またクサビ51、52は自動定着式ではなく通常の定着方式となっている。
本実施例においては、まず定着板54の中心部にクサビ52によりPCケーブル55の全本数を固定する。
そして、左側のPCケーブル56を右側のPCケーブルの全本数を定着した定着板54の外側にクサビ51を使用して固定保持し、外側のケーブル56の先端に1本引きのジャッキ53を複数個、定着板54の中心に対して力学的にバランスするように取付けて緊張・定着接続を行なう。この場合隣接するPCケーブルに取付けるジャッキ53が干渉しないように、所定の大きさの円周上に配置することが必要となる。この緊張・定着接続作業で所定の緊張力の得られない場合には、所定の緊張力が得られるまでジャッキを操作して引寄せ作業を行う。所定の緊張力が得られたら油圧ジャッキの油圧を解き、油圧ジャッキを取外し未緊張のPCケーブル56の先端に取外した油圧ジャッキ53を取付け、先程と同様の緊張作業を行い総てのPCケーブルの緊張作業を完了させる(第1ステップ)。
第1ステップの作業の終了した段階においては、既に緊張したPCケーブル56は右側(内側)のPCケーブル55の伸びによって、緊張力が緩和しているため、第1ステップで緊張されたPCケーブルに重ねて緊張作業を行う(第2ステップ)。第2ステップでも右側(内側)のPCケーブル55の伸びによって緊張力が緩和するため必要に応じ第3ステップ以降の緊張作業を繰返し必要な緊張力を確保する。上記のステップの回数を減らすには、各ステップにおける1度に使用できる油圧ジャッキの台数を多くし、油圧ジャッキの組替え回数を少なくすればよく、第1ステップで、全本数を緊張することができる時は、第2ステップ以降の緊張作業は不要となる。
実施例2の方法によっても、橋台・胸壁の背面部に大きな作業孔を設けることなくPCケーブルの取替え作業を行なうことができる。
本実施例は老朽化した桁橋を、新たにPCケーブルを敷設して、補修・補強する場合であり、橋台・胸壁の背面部にPCケーブルを緊張・定着接続する作業スペースのない場合である。
図5は本発明の実施例3に係る従来の桁橋にPCケーブルを新たに敷設して補修・補強する場合の説明図であり、(イ)は正面図、(ロ)は矢視A-A図、(ハ)は矢視B-B図である。本図は従来の桁橋に定着用ブロック19、定着板18、181、PCケーブル貫通孔144を設け左右のPCケーブル151、161のそれぞれの端部を定着具を使用して定着板18、181に固定した後、中間隔壁の内部空間に緊張・定着接続部13を設けて老朽化した桁橋を補修・補強したものであり、その他の桁橋の構成は同じであり改造の必要はない。次に、補修・補強の作業方法およびその動作について説明する。
PCケーブルの緊張作業の前に、まず左右桁端の側壁内面に定着用のブロック19と中間隔壁14(本実施例では中間隔壁の数は2)にPCケーブルの貫通孔144を設ける。
次に、左右のPCケーブルの一端をブロック19の定着板18、181に橋桁の内側から外方(左右方向)に向けて挿通し、定着具(不図示)を使用して固定し、左右のPCケーブル151、161の他端を中間隔壁の貫通孔144にそれぞれ挿通し、桁橋および橋桁中間部に位置する緊張・定着接続部13にて緊張定着する。
緊張・定着接続部13における緊張定着作業は、上記実施例1による1本引きジャッキ2台と1個の定着板を使用して、PCケーブル2本ずつを緊張・定着接続してもよいし、また実施例2による1本引きジャッキと円板状の1個の定着板を使用してPCケーブルの複数本を一体的に緊張・定着接続してもよい。
緊張・定着接続部13はPCケーブルの取替え時と同様に桁橋および橋桁の中央部に限定されるものでなく、桁端の内方であればよく、作業スペースの確保し易い場所を橋桁の構造により適宜選定すればよい。また橋桁の構造は箱型に限定されるものではなく、PCケーブルが橋桁の下部に配策されている場合には橋桁の下部に簡易のゴンドラを橋桁から懸架する等して橋桁の下部で行なってもよい。
なお、定着用ブロック19、中間隔壁のPCケーブル貫通孔144が既に設けられている場合にはそれを使用すればよく、この場合にはそれらを新たに設ける作業は不要となる。
上述の通り、老朽化した桁橋をPCケーブルを新たに敷設して、補修・補強する場合にも、桁橋の中間部に緊張・定着接続部を設けることにより、橋台・胸壁の背面部に大きな作業孔を設けることなく、工期の短縮、費用の節減を可能にして、PCケーブルの敷設作業を行なうことができ、橋台・胸壁の背面部の路面の沈下による自動車や鉄道の安全性、や乗り心地への悪影響を防止することができる。
なお、上記実施例1乃至3においては定着板にクサビを固定するための円錐状孔を設ける方式について説明したが、定着板に円錐孔を設けないで、公知のスリーブ方式の定着具を使用することもできる。
また、上記の実施例において被覆ケーブルを用いる場合に、定着接続具または定着板の近傍でケーブルの被服を除去した部分に防食カバーを設ける記載を省略したが、初期のPCケーブル取付け時と同様に防食カバーを設けることができる。
本発明の実施の形態に係る外ケーブル方式を採用した桁橋およびそのPCケーブル取替え時の接続部の説明図であり、(イ)は正面図、(ロ)は矢視A−A図、(ハ)は矢視B−B図である。なお本図は桁橋中央部の緊張・定着部を除けば従来例の外ケーブル方式の桁橋の説明図をも兼ねている。 本発明の実施例1に係る1本引きジャッキを2台使用し、PCケーブル2本を組にして緊張・定着接続させる場合の説明図である。 本発明の実施例2に係るPCケーブルの複数本を一体とし、ジャッキを複数台を使用して緊張・定着接続させる場合の説明図である。 図3の矢視A−A図である。 本発明の実施例3に係る従来の桁橋にPCケーブルを新たに敷設して補修・補強する場合の説明図であり、(イ)は正面図、(ロ)は矢視A-A図、(ハ)は矢視B-B図である。
符号の説明
100、200・・・桁橋(外ケーブル式)
10、101・・・橋桁
11、111・・・横桁
12、121・・・定着板(桁端)
13・・・緊張・定着接続部
14・・・中間隔壁
141・・・連絡孔
142・・・検査孔
143、144・・・貫通孔
15、16、151、161・・・PCケーブル
17・・・橋台
171・・・胸壁
172・・・盛土
18、181・・・定着板
19・・・ブロック(定着用)
40・・・2本引き定着装置
41、42・・・クサビ
43・・・ジャッキ
44・・・定着板
45、46・・・PCケーブル
50・・・マルチ定着装置
51、52・・・クサビ
53・・・ジャッキ
54・・・定着板
55、56・・・PCケーブル
第1の発明は、外ケーブル方式を採用した桁橋の複数本のPCケーブルの取替え時または複数本のPCケーブルを新たに敷設して橋桁を補修・補強する時の緊張・定着接続方法であり、PCケーブルの左右両端の固定部位を橋桁の端部とし、左右のPCケーブルの緊張・定着接続部を桁端の内方に設け、前記複数本のPCケーブルの撚り線端末部を定着板の左右の一方側からジャッキにより全数同時にまたは数本毎に分割して緊張し、クサビにより該定着板に定着固定するPCケーブルの緊張・定着接続方法であって、前記定着板が厚板状をなし、前記左右のPCケーブルがそれぞれ2本で構成され、該定着板の一方側からジャッキにより、前記2本のPCケーブルを緊張し、クサビにより該定着板に定着固定することを特徴とするPCケーブルの緊張・定着接続方法である。
第2の発明は、外ケーブル方式を採用した桁橋の複数本のPCケーブルの取替え時または複数本のPCケーブルを新たに敷設して橋桁を補修・補強する時の緊張・定着接続方法であり、PCケーブルの左右両端の固定部位を橋桁の端部とし、左右のPCケーブルの緊張・定着接続部を桁端の内方に設け、前記複数本のPCケーブルの撚り線端末部を定着板の左右の一方側からジャッキにより全数同時にまたは数本毎に分割して緊張し、クサビにより該定着板に定着固定に定着固定するPCケーブルの緊張・定着接続方法であって、前記定着板が円板状をなし、前記左右一方のPCケーブルの全数を該円板状の定着板の中心部に定着接続し、他方のPCケーブルを前記一方のPCケーブルの全数を定着接続したその外側に位置する略円周上に、かつ1列に配置し、該外側に配置したケーブルの撚り線端末部を全数同時にまたは数本毎に分割して緊張し、クサビにより該定着板に定着固定することを特徴とするPCケーブルの緊張・定着接続方法である。
第1の発明は、外ケーブル方式を採用した桁橋の複数本のPCケーブルの取替え時または複数本のPCケーブルを新たに敷設して橋桁を補修・補強する時の緊張・定着接続方法であり、PCケーブルの左右両端の固定部位を橋桁の端部とし、左右のPCケーブルの緊張・定着接続部を桁端の内方に設け、前記複数本のPCケーブルの撚り線端末部を定着板の左右の一方側からジャッキにより全数同時にまたは数本毎に分割して緊張しクサビにより該定着板に定着固定するPCケーブルの緊張・定着接続方法であって、前記定着板が厚板状をなし、前記左右のPCケーブルがそれぞれ2本で構成され、該定着板の一方側からジャッキにより、前記2本のPCケーブルを緊張し、クサビにより該定着板に定着固定することを特徴とするPCケーブルの緊張・定着接続方法であるから、簡単な装置で、簡易に左右のPCケーブルの緊張・定着作業ができるという効果がある。
第2の発明は、外ケーブル方式を採用した桁橋の複数本のPCケーブルの取替え時または複数本のPCケーブルを新たに敷設して橋桁を補修・補強する時の緊張・定着接続方法であり、PCケーブルの左右両端の固定部位を橋桁の端部とし、左右のPCケーブルの緊張・定着接続部を桁端の内方に設け、前記複数本のPCケーブルの撚り線端末部を定着板の左右の一方側からジャッキにより全数同時にまたは数本毎に分割して緊張し、クサビにより該定着板に定着固定するPCケーブルの緊張・定着接続方法であって、前記定着板が円板状をなし、前記左右一方のPCケーブルの全数を該円板状の定着板の中心部に定着接続し、他方のPCケーブルを前記一方のPCケーブルの全数を定着接続したその外側に位置する略円周上に、かつ1列に配置し、該外側に配置したケーブルの撚り線端末部を全数同時にまたは数本毎に分割して緊張し、クサビにより該定着板に定着固定することを特徴とするPCケーブルの緊張・定着接続方法であるから、短期間に同一部位において左右のPCケーブルの緊張・定着作業ができるという効果がある。特にPCケーブルの本数の多い場合に効果が大きい。
また、クサビにより定着板に定着固定する方式であるから、ケーブルの長さが長く緊張力によるケーブルの伸び量の大きいときでも、緊張量が制限されることなく、ジャッキの盛替えにより所定の緊張力を容易に付与することができる。

Claims (7)

  1. 外ケーブル方式を採用した桁橋のPCケーブルの取替え時またはPCケーブルを新たに敷設して橋桁を補修・補強する時の緊張・定着接続方法であって、PCケーブルの左右両端の固定部位を橋桁の端部とし、左右のPCケーブルの緊張・定着接続部を桁端の内方に設け、当該緊張・定着接続部においてPCケーブルを緊張し、定着接続することを特徴とするPCケーブルの緊張・定着接続方法。
  2. 前記外ケーブル方式を採用した桁橋のPCケーブルの取替え時のPCケーブルの左右両端の固定部位を取替え前の元の橋桁の端部としたことを特徴とする請求項1に記載のPCケーブルの緊張・定着接続方法。
  3. 前記左右のPCケーブルの緊張・定着接続部が中央部の橋桁の内部空間であることを特徴とする請求項1または2に記載のPCケーブルの緊張・定着接続方法。
  4. 前記PCケーブルの緊張・定着接続作業がPCケーブルの1本ずつを緊張し、定着接続具に定着接続することを特徴とする請求項1乃至3に記載のPCケーブルの緊張・定着接続方法。
  5. 前記PCケーブルの緊張・定着接続作業がPCケーブルの2本ずつを緊張し、定着板に定着接続することを特徴とする請求項1乃至3に記載のPCケーブルの緊張・定着接続方法。
  6. 前記PCケーブルの緊張・定着接続作業が複数本のPCケーブルを接続するものであって、左右一方のPCケーブルの全数を円板状の定着板の中心部に定着接続し、他方のPCケーブルを前記一方のPCケーブルの全数を定着接続した定着板の中心部の外側に位置する略円周上に、かつ1列に緊張し、定着接続することを特徴とする請求項1乃至3に記載のPCケーブルの緊張・定着接続方法。
  7. PCケーブルを定着固定するクサビと該クサビの後部端面で押圧するスプリングを収容し該スプリングの他端面を支持するスプリング受け部を備えた2個の外筒と、
    該2個の外筒を両端に結合する円筒状の接続部材と、からなるPCケーブルの自動定着接続具であって、
    前記接続部材の円筒状の外面にはその軸方向に長孔が設けられ、該接続部材の一方の端部内面から該接続部材の他端に位置する前記長孔の開口端にかけて略円弧を形成するガイド面が設けられ、前記2個の外筒の一方ではPCケーブルの端部を自動定着し、前記2個の外筒の他方ではPCケーブルの端部を自動定着する機能を有し、PCケーブルの端部を前記外筒内に押込むと、PCケーブルの端部が前記ガイド面に沿ってガイドされ、前記接続部材の外部に押出されることを特徴とする自動定着接続具。
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