JP2006249177A - 熱硬化性樹脂組成物、その硬化物、電子回路基板用樹脂組成物、これを用いた電子回路基板、及び新規シアン酸エステル樹脂 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物、その硬化物、電子回路基板用樹脂組成物、これを用いた電子回路基板、及び新規シアン酸エステル樹脂 Download PDF

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Abstract

【課題】 耐熱性と誘電特性に優れるシアン酸エステル樹脂を含有する熱硬化性樹脂組成物、その硬化物、該組成物を用いた電子回路基板用樹脂組成物、これを用いた電子回路基板、及び新規シアン酸エステル樹脂を提供すること。
【解決手段】 下記式
【化1】
Figure 2006249177

〔Ar〜Arは芳香族骨格、R〜Rはアルキル基、アルコキシ基、フェニル基、アミノ基またはハロゲン原子、R〜R12は水素原子或いはアルキル基、アルコキシ基またはフェニル基、Xは直接結合、アルキレン鎖、オキシアルキレン鎖、カルボニル基、エーテル結合、チオエーテル結合、またはスルホニル基、n〜nは0〜10で、且つ0.1≦(n+n+n+n)≦10である。〕
で表される芳香族シアン酸エステル樹脂を含有する熱硬化性樹脂組成物、その硬化物、該組成物を用いた電子回路基板用樹脂組成物、これをマトリックス樹脂として用いた電子回路基板、及び新規シアン酸エステル樹脂。
【選択図】 なし

Description

本発明は、優れた耐熱性と誘電特性が求められる電子回路基板用のマトリックス樹脂、半導体封止材料、樹脂注型材料、接着剤、ビルドアップ基板用層間絶縁材料、絶縁塗料等のコーティング材料等の原料として好適に用いることができる熱硬化性樹脂組成物、その硬化物、該熱硬化性樹脂組成物を用いる電子回路基板用樹脂組成物、該電子回路基板用組成物をマトリックス樹脂として用いた電子回路基板、及び新規シアン酸エステル樹脂に関する。
近年、電子工業や通信、コンピューターなどの分野において使用される周波数はギガヘルツ帯のような高周波領域になりつつある。このような高周波領域で用いられる電気用積層板などの絶縁層には低誘電率、低誘電正接の材料が求められている。このため各種の低誘電率、低誘電正接樹脂が開発されてきた。中でもシアン酸エステル樹脂は熱硬化性樹脂として、硬化後の耐熱性と誘電率、誘電正接の誘電特性に優れている。代表的なシアン酸エステル樹脂としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)誘導体であるビスフェノールA型シアン酸エステル樹脂が知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、該化合物を含む従来のシアン酸エステル樹脂組成物では、一般に電子回路基板のマトリックス樹脂として用いられるエポキシ樹脂組成物、ポリエステル樹脂組成物、フェノール樹脂組成物、ポリイミド樹脂組成物等に比べては、耐熱性と高周波領域とくにギガヘルツ帯での誘電特性のバランスに優れるものの、現在では一層優れる耐熱性と誘電特性が要求されており、満足されるレベルではない。
特開2002−069156(第2−5頁)
本発明の課題は、耐熱性と高周波領域とくにギガヘルツ帯での誘電特性に優れるシアン酸エステル樹脂を含有する熱硬化性樹脂組成物、その硬化物、該組成物を用いた電子回路基板用樹脂組成物、これをマトリックス樹脂として用いた電子回路基板、及び新規シアン酸エステル樹脂を提供することにある。
本発明者はこの様な課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記一般式(1)で表される芳香族シアン酸エステル樹脂(a)を含有する熱硬化性樹脂組成物を用いた硬化物が、耐熱性と高周波領域とくにギガヘルツ帯での誘電特性に優れ、特に該熱硬化性樹脂組成物は電子回路基板用のマトリックス樹脂として好適に用いることができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)
Figure 2006249177
〔式中、Ar、Ar、Ar、Arは各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族骨格(但し、置換基は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいアミノ基、カルボキシル基、ニトロ基またはハロゲン原子である。)であり、R、R、R、Rは各々独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいアミノ基またはハロゲン原子であり、R、R、R、R、R、R10、R11、R12は各々独立に、水素原子或いは置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基または置換基を有していてもよいフェニル基であり、Xは直接結合、置換基を有していてもよいアルキレン鎖、置換基を有していてもよいオキシアルキレン鎖、カルボニル基、エーテル結合、チオエーテル結合、またはスルホニル基であり、n、n、n、nは繰り返し数の平均で、各々独立に0〜10であって、且つ0.1≦(n+n+n+n)≦10である。〕
で表される芳香族シアン酸エステル樹脂(a)を含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物、及びその硬化物を提供するものである。
更に本発明は、該熱硬化性樹脂組成物を用いた電子回路基板用樹脂組成物、これをマトリックス樹脂として用いた電子回路基板をも提供するものである。
更に本発明は、下記一般式(2)
Figure 2006249177
〔式中、Ar、Ar、Ar、Arは各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族骨格(但し、置換基は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいアミノ基、カルボキシル基、ニトロ基またはハロゲン原子である。)であり、R、R、R、Rは各々独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいアミノ基またはハロゲン原子であり、R、R、R、R、R、R10、R11、R12は各々独立に、水素原子或いは置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基または置換基を有していてもよいフェニル基であり、Xは直接結合、置換基を有していてもよいアルキレン鎖、置換基を有していてもよいオキシアルキレン鎖、カルボニル基、エーテル結合、チオエーテル結合、またはスルホニル基であり、n、n、n、nは繰り返し数の平均で、各々独立に0〜10であって、且つ0.1≦(n+n+n+n)≦10である。〕
で表されることを特徴とする芳香族シアン酸エステル樹脂をも提供するものである。
本発明によれば、高周波領域とくにギガヘルツ帯での誘電特性に優れたシアン酸エステル樹脂を含有する熱硬化性樹脂組成物、その硬化物、該組成物を用いた電子回路基板用樹脂組成物、これをマトリックス樹脂として用いた電子回路基板を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いる芳香族シアン酸エステル樹脂(a)は、下記一般式(1)
Figure 2006249177
〔式中、Ar、Ar、Ar、Arは各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族骨格(但し、置換基は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいアミノ基、カルボキシル基、ニトロ基またはハロゲン原子である。)であり、R、R、R、Rは各々独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいアミノ基またはハロゲン原子であり、R、R、R、R、R、R10、R11、R12は各々独立に、水素原子或いは置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基または置換基を有していてもよいフェニル基であり、Xは直接結合、置換基を有していてもよいアルキレン鎖、置換基を有していてもよいオキシアルキレン鎖、カルボニル基、エーテル結合、チオエーテル結合、またはスルホニル基であり、n、n、n、nは繰り返し数の平均で、各々独立に0〜10であって、且つ0.1≦(n+n+n+n)≦10である。〕
で表される化合物であり、本発明の芳香族シアン酸エステル樹脂である。
前記芳香族シアン酸エステル樹脂(a)は、各々のシアン酸エステル基(OCN基)に対してパラ位同士で結合されたビスフェノール類(ビフェノール類)構造を基本骨格として、各々のシアン酸エステル基に対して存在する4個のオルソ位の水素原子が置換基によって置換され、且つ、各々のシアン酸エステル基に対して存在する4個のメタ位の水素原子のうち、少なくとも1個の水素原子が脂肪族炭化水素基を介して芳香族骨格に置換された構造である。
これらの中でも、前記一般式(1)中のR、R、R、Rが同一でも異なっていても良い炭素数1〜4のアルキル基であることが、得られる硬化物の耐熱性と難燃性に優れる点及び原料入手が容易である点から好ましく、特にメチル基であることがより好ましい。
また、前記一般式(1)中のAr、Ar、Ar、Arが同一でも異なっていても良いアルキル基を置換基として有していてもよいベンゼン骨格であることが、得られる硬化物の耐熱性に優れる点から好ましく、特に炭素数1〜6のアルキル基を置換基として有していてもよいベンゼン骨格であることがより好ましい。
更に、前記一般式(1)中のR、R、R、R、R、R10、R11、R12が水素原子であることが、得られる硬化物の耐熱性や機械的強度に優れる点から好ましい。
尚、前記一般式(1)中のAr、Ar、Ar、Ar、R、R、R、R、R、R10、R11、R12が、繰り返し単位ごとに同一であっても異なっていても良い。また、特にn、n、n、nが1〜3であることが、得られる成形体の物性バランスに優れる点から好ましいものである。
前記一般式(1)で表される芳香族シアン酸エステル樹脂(a)としては、例えば、下記一般式(3)
Figure 2006249177
(式中、n、n、n、nは繰り返し数の平均で、各々独立に0〜10であって、且つ0.1≦(n+n+n+n)≦10である。)
で表されるものが挙げられる。
この化合物の構造は、シアン酸エステル基に対してメタ位の関係にある4箇所中、少なくとも1箇所がベンジル基で置換されていることを意味するものである。また該置換基中のベンジル基は必ずしも1個ではなく、2個以上のベンジル基が連結していてもよいことを意味する。すなわち、前記一般式(3)で表される芳香族シアン酸エステル樹脂は、ベンジル基の置換個数が異なる複数種類構造物の混合物であっても良い。例えるならば下記構造式、
Figure 2006249177
で表されるような化合物が種々含まれる混合体であっても良い。
前記芳香族シアン酸エステル樹脂(a)の製造方法としては、特に限定されるものではないが、目的とするシアン酸エステル樹脂のシアン酸エステル基がヒドロキシ基で置き換わった下記一般式(4)
Figure 2006249177
〔式(4)中、Ar、Ar、Ar、Arは各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族骨格(但し、置換基は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいアミノ基、カルボキシル基、ニトロ基またはハロゲン原子である。)であり、R、R、R、Rは各々独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいアミノ基またはハロゲン原子であり、R、R、R、R、R、R10、R11、R12は各々独立に、水素原子或いは置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基または置換基を有していてもよいフェニル基であり、Xは直接結合、置換基を有していてもよいアルキレン鎖、置換基を有していてもよいオキシアルキレン鎖、カルボニル基、エーテル結合、チオエーテル結合、またはスルホニル基であり、n、n、n、nは繰り返し数の平均で、各々独立に0〜10であって、且つ0.1≦(n+n+n+n)≦10である。〕
で表される特定の構造を有するジヒドロキシ化合物(x)とハロゲン化シアン化合物などのシアン酸エステル前駆物質とを反応させて製造する方法が挙げられる。
前記ジヒドロキシ化合物(x)の水酸基当量としては、特に限定されるものではないが、150〜1,000g/eq.の範囲であることが、得られる硬化物の耐熱性や機械強度がより優れるシアン酸エステル樹脂(a)を提供できる点から好ましいものである
前記ジヒドロキシ化合物(x)の製造方法としては、例えば、下記一般式(5)
Figure 2006249177
〔式(5)中、R、R、R、Rは各々独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいアミノ基またはハロゲン原子であり、Xは直接結合、置換基を有していてもよいアルキレン鎖、置換基を有していてもよいオキシアルキレン鎖、カルボニル基、エーテル結合、チオエーテル結合またはスルホニル基である。〕
で表される2個のヒドロキシ基に対して4箇所のオルト位に置換基を有する2価フェノール化合物(x1)と、下記一般式(6)
Figure 2006249177
〔式(6)中、R、R、R、R、Rは各々独立して、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいアミノ基、カルボキシル基、ニトロ基、ハロゲン原子又は水素原子であり、R10、R11は各々独立して、水素原子或いは置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基又は置換基を有していてもよいフェニル基であり、Yはハロゲン原子、アルコキシ基、又は水酸基である。〕
で表される化合物、又は下記一般式(7)
Figure 2006249177
〔式(7)中、R12、R13、R14、R15、R16は各々独立して、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいアミノ基、カルボキシル基、ニトロ基、ハロゲン原子又は水素原子であり、R17、R18、R19は各々独立して、水素原子或いは置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基又は置換基を有していてもよいフェニル基である。〕
で表される化合物である芳香族系変性剤(x2)とを反応させることで得ることができる。
前記2価フェノール化合物(x1)として好ましいものは、例えば、Xが直接結合の場合、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェノール、3,3’−ジターシャリーブチル−5,5’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジオール、3,3’,5,5’−テトラターシャリーブチルビフェニル−4,4’−ジオール、3,3’,5,5’−テトラメトキシビフェニル−4,4’−ジオール、3,3’,5,5’−テトラブトキシビフェニル−4,4’−ジオール等が挙げられ、またXが置換基を有していてもよいアルキレン基の場合、3,3’,5,5’−テトラメチルビスフェノールA、3,3’,5,5’−テトラメチルビスフェノールF等が挙げられ、またXが置換基を有していてもよいフェニル基の場合、3,5,3”,5”−テトラメチル−[1,1’;4’,1”]ターフェニル−4,4”−ジオール等が挙げられ、またXが置換基を有していてもよいアミノ基の場合、4−[(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メチルアミノ]−2,6−ジメチルフェノール等が挙げられ、またXがカルボキシル基の場合、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルベンゾフェノン等が挙げられ、またXがエーテル結合の場合、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルジベンゾエーテル等が挙げられ、またXがチオ基の場合、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルジベンゾチオエーテル等が挙げられ、またXがスルフェニル基の場合、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルビスフェノールサルファイド等が挙げられ、またXがスルホニル基の場合、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルビスフェノールスルホン等が挙げられる。
芳香族系変性剤(x2)としては、前記一般式(6)又は前記一般式(7)で表されるものであり、例えば、前記一般式(6)で表される化合物として好ましいものは、Xがハロゲン原子の場合、ベンジルクロライド、ベンジルブロマイド、ベンジルアイオダイト、o−メチルベンジルクロライド、m−メチルベンジルクロライド、p−メチルベンジルクロライド、p−エチルベンジルクロライド、p−イソプロピルベンジルクロライド、p−tert−ブチルベンジルクロライド、p−シクロヘキシルベンジルクロライド、p−フェニルベンジルクロライド、5−クロロメチルアセナフチレン、2−ナフチルメチルクロライド、7−メチル−2−ナフチルメチルクロライド及びこれらの核置換異性体、α−メチルベンジルクロライド、α,α−ジメチルベンジルクロライド等が挙げられ、Xがアルコキシ基の場合、炭素数1〜4のアルコキシ基であることが好ましく、ベンジルメチルエーテル、o−メチルベンジルメチルエーテル、m−メチルベンジルメチルエーテル、p−メチルベンジルメチルエーテル、p−エチルベンジルメチルエーテル及びこれらの核置換異性体、ベンジルエチルエーテル、ベンジルイソプロピルエーテル、ベンジルn−プロピルエーテル、ベンジルイソブチルエーテル、ベンジルn−ブチルエーテル、p−メチルベンジルメチルエーテル及びその核置換異性体等が挙げられ、Xが水酸基の場合、ベンジルアルコール、o−メチルベンジルアルコール、m−メチルベンジルアルコール、p−メチルベンジルアルコール、p−エチルベンジルアルコール、p−イソプロピルベンジルアルコール、p−tert−ブチルベンジルアルコール、p−シクロヘキシルベンジルアルコール、p−フェニルベンジルアルコール、2−ナフチルカルビノール、7−メチル−2−ナフチルカルビノール及びこれらの核置換異性体、α−メチルベンジルアルコール、α,α−ジメチルベンジルアルコール等が挙げられる。
又、前記一般式(7)で表される化合物として好ましいものは、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン等が挙げられる。
前記2価フェノール類(x1)と前記芳香族系変性剤(x2)との割合としては、得られる硬化物の物性バランスに優れる点から、前記2価フェノール類(x1)と芳香族系変性剤(x2)との比(x1)/(x2)が1/0.1〜1/10(モル比)であることが好ましく、特に前記比として1/0.1〜1/5であることが好ましい。
前記2価フェノール類(x1)と前記芳香族系変性剤(x2)との反応としては、酸触媒存在下で行うことが望ましい。使用可能な酸触媒としては、前記芳香族系変性剤(x2)の種類によっても異なるが、リン酸、硫酸、塩酸などの無機酸、シュウ酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、フルオロメタンスルホン酸などの有機酸、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、塩化第2錫、塩化第2鉄、ジエチル硫酸などのフリーデルクラフツ触媒を単独または併用して用いることができる。
また、酸触媒は目標とする変性率などにより、その種類及び使用量を選択すればよく、特に限定されるものではないが、例えば無機酸や有機酸の場合は2価フェノール類(x1)100重量部に対し、0.001〜5.0重量部、好ましくは0.01〜3.0重量部であり、フリーデルクラフツ触媒の場合は2価フェノール類(x1)1モルに対し、0.2〜3.0モル、好ましくは0.5〜2.0モル使用するのが好ましい。
前記芳香族系変性剤(x2)による反応は、用いる2価フェノール類(x1)に応じて、無溶媒下または均一溶液を形成する可溶性溶媒下に行うことができる。上記可溶性溶媒としては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのエチレングリコールやジエチレングリコールのモノ又はジエーテル、ジメチルホルムアミドやジメチルスルホキシドのような非プロトン性極性溶媒、クロロベンゼン、ニトロベンゼンなどを挙げることができる。また、これらの有機溶剤は単独で、あるいは数種類を混合して用いることが出来る。このような可溶性溶媒を使用することにより、安定的に芳香族系変性剤(x2)によって変性された変性ジヒドロキシ化合物(x)を得ることができる。
前記反応は無溶媒下、または前記可溶性溶媒下に、2価フェノール類(x1)と、前記芳香族系変性剤(x2)と、前記酸触媒を溶解させ、60〜180℃、好ましくは80〜160℃程度の温度で、1〜10時間程度維持することによって行うことができる。また、反応中に生成するハロゲン化水素、水、或いはアルコール類などを系外に分留管などを用いて留去することは、反応を速やかに行う上で好ましい。
また、得られるジヒドロキシ化合物(x)の着色が大きい場合は、それを抑制するために、酸化防止剤や還元剤を添加しても良い。酸化防止剤としては特に限定されないが、例えば2,6−ジアルキルフェノール誘導体などのヒンダードフェノール系化合物や2価のイオウ系化合物や3価のリン原子を含む亜リン酸エステル系化合物などを挙げることができる。還元剤としては特に限定されないが、例えば次亜リン酸、亜リン酸、チオ硫酸、亜硫酸、ハイドロサルファイトまたはこれら塩などが挙げられる。
反応終了後は、酸触媒を中和処理、水洗処理あるいは分解することにより除去し、抽出、蒸留などの一般的な操作により、目的とする変性ジヒドロキシ化合物(x)を分離することができる。中和処理や水洗処理は常法に従って行えばよく、なんら限定されるものではないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、トリエチレンテトラミン、アニリン等の塩基性物質を中和剤として用いることができる。
前記手法で得られる変性ジヒドロキシ化合物(x)は、2価フェノール類(x1)のヒドロキシ基に対してメタ位の全部または一部にアリールアルキル基が導入された構造を有するものであって、アリールアルキル基部分も繰り返し単位を有する。従って、上記反応によって得られる変性ジヒドロキシ化合物(x)は、複数の構造を有する2種以上の混合物として得られるものである。前記手法によって得られた変性ジヒドロキシ化合物(x)は、混合物のまま各種用途に使用することができるが、必要に応じて、さらに蒸留やカラム処理等の分別操作を加え、単一の成分にすることも可能であり、あるいはより成分数の少ない混合物に分離することもでき、目的とする硬化物の物性等に応じて、適宜選択して用いることが好ましい。
前記で得られる変性ジヒドロキシ化合物(x)を用いて、例えば、塩化シアンや臭化シアンなどのハロゲン化シアン化合物と、トリエチルアミンなどのアミン類や、苛性ソーダなどのアルカリ類などの脱ハロゲン化水素剤の存在下で反応させることによって、本発明の芳香族シアン酸エステル樹脂(a)を得ることができる。その際、必要に応じて、アセトンやジエチルエーテルなどの有機溶媒を適当量使用しても構わない。反応温度は、副反応を抑制するために−10〜30℃の範囲に調整することが好ましく、反応で副生した塩類は水洗や濾過等で除去して精製することが好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、前記芳香族シアン酸エステル樹脂(a)を用いること以外に何ら制限されるものではないが、必要に応じて、前述の芳香族シアン酸エステル該樹脂(a)中のシアン酸エステル基が環状3量化してトリアジン骨格(シアヌレート構造)を形成したシアン酸エステルプレポリマー(b)を併用することも出来る。特に、熱硬化性樹脂組成物が後述する有機溶媒に溶解している場合、或いは後述のそれ以外の樹脂を併用している場合は、シアン酸エステルプレポリマー(b)が混合されていることが、相溶性が良好である点から好ましい。この場合、芳香族シアン酸エステル樹脂(a)とシアン酸エステルプレポリマー(b)との混合比率としては、該樹脂(a)と該プレポリマー(b)との混合物中の全シアン酸エステル基の5〜50モル%が環状3量化している様に混合することが、有機溶媒やそれ以外の樹脂との相溶性の面から特に好ましい。
前記環状3量化の方法としては特に限定されるものではないが、例えば、前記芳香族シアン酸エステル樹脂(a)の単量体を、例えば、100〜160℃で、必要に応じて有機溶媒を用い、触媒としてフェノール類或いはアミン化合物を用いて、0.5〜15時間反応させる方法が挙げられる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物としては、前記シアン酸エステル樹脂(a)或いはシアン酸エステルプレポリマー(b)を1種類で使用してもよく、また、2種類以上のシアン酸エステル樹脂(a)、シアン酸エステルプレポリマー(b)を混合使用しても良い。
また本発明の熱硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、その他の樹脂を併用しても良い。併用できるその他の樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ジアリルフタレート樹脂、スピロピラン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂や、フッ素樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンサルファイドなど熱可塑性樹脂を単独で、または2種以上の混合物として使用できる。の1種類以上の樹脂と混合して使用しても良い。これらの中でも、エポキシ樹脂とフェノール樹脂の具体例としては、後述する樹脂が挙げられる。
これらのその他の樹脂類を本発明の熱硬化性樹脂組成物に配合して使用する際の配合比に関しては特に限定されるものではないが、硬化時間を早める、または、プリプレグ用のマトリックス樹脂として使用し、プレスによって積層板を作製する際のプレス温度を下げる等の場合には、本発明の芳香族シアン酸エステル樹脂(a)、又は、芳香族シアン酸エステル樹脂(a)とシアン酸エステルプレポリマー(b)との合計100重量部に対して、その他の樹脂類を30重量部〜70重量部配合することが好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、例えば、170〜300℃で、必要に応じて触媒としてフェノール類或いはアミン化合物を用いて反応させることによって、成形硬化物を得ることができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物の使用用途としては、特に限定されるものではないが、積層板や電子回路基板等に用いられるプリプレグ等のマトリックス樹脂、その他高周波特性を必要とする注型材料、接着剤及び絶縁塗料等のコーティング材料等が挙げられ、これらの中でも、電子回路基板用のマトリックス樹脂に好適に用いることができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物をプリプレグのマトリックス樹脂として使用する場合は、例えば、該組成物とフェノール化合物、硬化触媒の混合物をこれらが可溶な溶媒に溶解したワニスを調製する方法が好ましい。このワニスを通常の方法で基材に含浸し乾燥し半硬化させることによって、プリプレグを得ることが出来る。
前記硬化触媒としてはイミダゾール類、第3級アミン、有機金属化合物等が挙げられる。これらの中でも、有機金属化合物が好ましく、例えばオクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛等が挙げられる。
前記フェノール化合物は硬化促進の目的で用いられるが、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等の各種ビスフェノール類やノニルフェノール等が挙げられる。
前記溶媒としては、熱硬化性樹脂組成物を溶解させられるものであれば特に限定されるものではないが、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類やトルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類、エタノール、メタノール、iso−プロピルアルコール等のアルコール類、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド等の単独あるいは混合溶媒が挙げられ、これらの中でも芳香族系溶媒およびアセトン、メチルエチルケトン等のケトン類が好ましい。
前記基材としては繊維状物質からなる基材が好ましく、例えば、ガラスクロス、ガラス不織布などのガラス基材、クラフト紙、リンター紙などの紙基材、アラミド不織布、アラミド織布などの合成繊維基材の単体または複合が挙げられる。
また必要に応じ、無機フィラーを混合しても良い。無機フィラーとしては、アルミナ、水酸化アルミ、クレー、タルク、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化チタン、溶融シリカ、ガラス粉、石英粉、シラスバルーン等を単独で混合しても良いし、2種類以上を混合使用してもよい。
また本発明における熱硬化性樹脂組成物を加熱溶解させて前記基材に含浸させてプリプレグを作製することもできる。この際、前記フェノール化合物と前記硬化触媒を加熱溶解した樹脂に配合することもできる。
前記熱硬化性樹脂組成物を本発明の電子回路基板用樹脂組成物に調製する場合は、芳香族シアン酸エステル樹脂(a)を必須成分とし、好ましくはシアン酸エステルプレポリマー(b)とを併用し、それ以外に必要に応じて、更に、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等を配合してもよい。また、前記プリプレグのマトリックス樹脂用として調製した熱硬化性樹脂組成物をそのまま本発明の電子回路基板用樹脂組成物として用いることもできる。この際の溶剤の使用量としては、電子回路基板用樹脂組成物100重量部中で通常10〜70重量部、好ましくは15〜65重量部、特に好ましくは30〜65重量部を占める量を用いる。なお、前記電子回路基板としては、例えば、プリント配線基板、プリント回路板、フレキシブルプリント配線板、ビルドアップ配線板等が挙げられる。
前記エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂型エポキシ樹脂、ビフェニル変性ノボラック型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、ブロム化フェノールノボラック型エポキシ樹脂などが挙げられ、これらの中でもビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましい。またこれらのエポキシ樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を混合してもよい。
またフェノール樹脂としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール付加型樹脂、フェノールアラルキル樹脂、クレゾールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、ビフェニル変性フェノールアラルキル樹脂、フェノールトリメチロールメタン樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂、アミノトリアジン変性フェノール樹脂等が挙げられる。またこれらのフェノール樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を混合してもよい。
前記フェノール樹脂の中でも、特に耐熱性が優れる点では、例えば、フェノールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂、フェノールトリメチロールメタン樹脂類が特に好ましく、耐湿性が優れる点では、フェノールアラルキル樹脂、クレゾールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、ビフェニル変性フェノールアラルキル樹脂が特に好ましく、難燃性が優れる点では、フェノールアラルキル樹脂、クレゾールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、ビフェニル変性フェノールアラルキル樹脂、アミノトリアジン変性フェノール樹脂が特に好ましい。
電子回路基板の作製手法は、様々な方法があり特に限定されるものではないが、例えば、(1)積層プレス法、(2)加圧連続製造法、(3)無圧連続製造法が挙げられる。これらのうち(1)及び(2)は、前記プリプレグのマトリックス樹脂として本発明の熱硬化性樹脂組成物を使用した方法と同様の手法でプリプレグを得た後、後述の方法で電子回路基板を得ることができる。
前記電子回路基板の作製方法を詳細に説明するならば、(1)積層プレス法は、熱硬化性樹脂組成物を含浸し、溶剤除去後、半硬化しプリプレグを通常の方法でプレス熱板間にセットして上下に金属箔を配して加熱加圧硬化させることによって両面金属張積層板を製造するものである。(2)加圧連続積層法は、紙管に連続的に巻取ったプリプレグと金属箔を用いることにより、積層板を得るものである。(3)無圧連続積層法は、連続的に繰り出される複数の基材に対して、加熱溶解した熱硬化性樹脂組成物を連続的に含浸した後、これらの含浸基材を金属箔と連続的に積層し、硬化させることによって金属張積層板を得るものである。
また本発明の熱硬化性樹脂組成物を接着剤や塗料等のコーティング材料として使用する場合は、該組成物を溶融してコーティングしても良いし、該組成物を前記溶剤に溶解したものを通常の方法でコーティングした後、溶剤を乾燥除去させ硬化させても良い。この際、必要に応じて、前記硬化触媒を使用してもよい。また、前記の無機フィラー等を混合しても良い。
次に本発明を実施例、比較例により具体的に説明する。
実施例1(2価ヒドロキシ化合物の合成−1)
温度計、滴下ロート、冷却管、分留管、撹拌器を取り付けたフラスコに4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル242g(1.0モル)、ベンジルアルコール432g(4.0モル)を仕込み、室温下、窒素を吹き込みながら撹拌した。メタンスルホン酸10gを添加した。その後、発熱に注意しながら油浴中で150℃まで加熱し、分留管を用いて生成する水分を抜き出した後、更に5時間反応させた。反応終了後、更にメチルイソブチルケトン1400gを加え、溶解後、分液ロートに移した。次いで洗浄水が中性を示すまで水洗後、有機層から溶媒を加熱減圧下に除去し、褐色固体579gを得た。FD−MSチャートの結果より、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニルの分子量(Mw:242)に、ベンジル基分(Mw:90)が1個(M=332)、2個(M=422)、3個(M=512)、4個(M=602)、5個(M=692)、6個(M=782)、・・・付いたピークが確認され、またアセチル化法による水酸基当量の測定では305g/eq.(理論値301g/eq.)が得られたことから、下記式
Figure 2006249177
(式中、n、n、n、nは繰り返し数の平均値を示し、各々独立に0〜10であって、且つN(=n+n+n+n)は約4である。)
で表されるジヒドロキシ化合物(x−1)であることが確認された。
次に滴下ロート、温度計、攪拌装置、加熱装置、冷却還流管を取り付けた4つ口フラスコに窒素ガスを流しながら、上記で合成したジヒドロキシ化合物(x−1)301gと臭化シアン106g(1.0モル)を仕込みアセトン1000gに溶解させた後、−3℃に冷却した。次に、トリエチルアミン111g(1.1モル)を滴下ロートに仕込み、攪拌しながらフラスコ内温が10℃以上にならない様な速度で滴下した。滴下終了後、2時間10℃以下の温度下で攪拌し、生じた沈澱を濾過により除いた後、大量の水に注ぎ再沈した。これを塩化メチレンで抽出し、水洗処理後に乾燥処理して褐色固体320gを得た。この化合物のIRスペクトルは2260cm−1(シアネートエステル基)の吸収を示し、かつ水酸基の吸収は示さず、またマススペクトルは、M=382、M=472、M=562、M=652…のピークを示したことから、下記式
Figure 2006249177
(式中、n、n、n、nは繰り返し数の平均値を示し、各々独立に0〜10であって、且つN(=n+n+n+n)は約4である。)
で表される芳香族シアン酸エステル樹脂(a−1)であることが確認された。
実施例2
ベンジルアルコールを216g(2.0モル)に変更した以外は、実施例1と同様にして、Nが約2のジヒドロキシ化合物(x−2)413gが得られた。これのアセチル化法による水酸基当量は、213g/eq.(理論値211g/eq.)であった。次いでジヒドロキシ化合物として前記で得られた(x−2)を211g用いる以外は実施例1と同様にして、褐色固体225gを得た。実施例1と同様にして同定分析した結果、Nが約2の芳香族シアン酸エステル樹脂(a−2)であることが確認された。
実施例3〜4及び比較例1
実施例1〜2で得られた芳香族シアン酸エステル樹脂(a−1)、(a−2)と、比較としてビスフェノールA(BPA)型シアン酸エステル樹脂(以下、BPA−DCEと略記する。)とを160℃で1時間加熱した後、これを金型に流し込んで200℃で2時間、250℃で3時間加熱硬化させて5mm厚のシアン酸エステル樹脂の硬化物を作製した。この硬化物を用いて、ガラス転移温度(DMA)と誘電特性(1GHz)を測定した結果を表1に示す。
Figure 2006249177
実施例5〜6及び比較例2 (シアン酸エステルプレポリマーの合成とそれを用いた銅張積層板の作製と物性評価)
攪拌装置、加熱装置、冷却還流管が付いた4つ口フラスコに実施例1のシアン酸エステル樹脂(a−1)300gとシクロヘキサンノン150gを仕込み、窒素ガスを流しながら、150℃で10時間加熱攪拌して、シアン酸エステル基が35モル%環状3量化して、トリアジン骨格を形成したシアン酸エステルプレポリマーを含有するワニスを合成した。該ワニス100重量部に対してオクチル酸亜鉛0.1重量部を加え、ガラスクロスに含浸し、100℃で5分間乾燥後、150℃で10分加熱処理して、樹脂含有率50重量%のプリプレグを得た。該プリプレグを7枚重ね、その両側に厚さ18μmの電解銅箔2枚を置き、加熱プレス機にはさんで加熱加圧し、1.6mm厚の両面銅張積層板を得た。この時のプレス条件は180℃で2時間、圧力は20kg/cmであった。この積層板を220℃で2時間アフターキュアした後、銅箔をエッチングにより取り除いて積層板物性測定用のサンプルを作製した。同様にしてシアン酸エステル樹脂(a−2)、及びビスフェノールA型シアン酸エステル樹脂を用いたシアン酸エステルプレポリマーを含有するワニスを合成し、それらを用いた両面銅張積層板を作製した。この積層版を用いて、ガラス転移温度(DMA)と誘電特性(1GHz)を測定した結果を表2に示す。
Figure 2006249177

Claims (15)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 2006249177
    〔式中、Ar、Ar、Ar、Arは各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族骨格(但し、置換基は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいアミノ基、カルボキシル基、ニトロ基またはハロゲン原子である。)であり、R、R、R、Rは各々独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいアミノ基またはハロゲン原子であり、R、R、R、R、R、R10、R11、R12は各々独立に、水素原子或いは置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基または置換基を有していてもよいフェニル基であり、Xは直接結合、置換基を有していてもよいアルキレン鎖、置換基を有していてもよいオキシアルキレン鎖、カルボニル基、エーテル結合、チオエーテル結合、またはスルホニル基であり、n、n、n、nは繰り返し数の平均で、各々独立に0〜10であって、且つ0.1≦(n+n+n+n)≦10である。〕
    で表される芳香族シアン酸エステル樹脂(a)を含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
  2. 更に、前記一般式(1)で示される芳香族シアン酸エステル樹脂(a)中のシアン酸エステル基(OCN基)が環状3量化してトリアジン骨格(シアヌレート構造)を形成したシアン酸エステルプレポリマー(b)を含有する請求項1記載の熱硬化性樹脂組成物。
  3. 前記一般式(1)中のR、R、R、Rが同一でも異なっていても良い炭素数1〜4のアルキル基である請求項1記載の熱硬化性樹脂組成物。
  4. 前記一般式(1)中のR、R、R、Rがメチル基である請求項1記載の熱硬化性樹脂組成物。
  5. 前記一般式(1)中のAr、Ar、Ar、Arが同一でも異なっていても良い炭素数1〜6のアルキル基を置換基として有していてもよいベンゼン骨格である請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. 前記一般式(1)中のR、R、R、R、R、R10、R11、R12が水素原子である請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6の何れか1項記載の熱硬化性樹脂組成物を硬化させて得られることを特徴とする硬化物。
  8. 請求項1〜6の何れか1項記載の熱硬化性樹脂組成物を含有することを特徴とする電子回路基板用樹脂組成物。
  9. 請求項8記載の電子回路基板用樹脂組成物をマトリックス樹脂として用いることを特徴とする電子回路基板。
  10. 下記一般式(2)
    Figure 2006249177
    〔式中、Ar、Ar、Ar、Arは各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族骨格(但し、置換基は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいアミノ基、カルボキシル基、ニトロ基またはハロゲン原子である。)であり、R、R、R、Rは各々独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいアミノ基またはハロゲン原子であり、R、R、R、R、R、R10、R11、R12は各々独立に、水素原子或いは置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基または置換基を有していてもよいフェニル基であり、Xは直接結合、置換基を有していてもよいアルキレン鎖、置換基を有していてもよいオキシアルキレン鎖、カルボニル基、エーテル結合、チオエーテル結合、またはスルホニル基であり、n、n、n、nは繰り返し数の平均で、各々独立に0〜10であって、且つ0.1≦(n+n+n+n)≦10である。〕
    で表されることを特徴とする芳香族シアン酸エステル樹脂。
  11. 前記一般式(2)中のR、R、R、Rが同一でも異なっていても良い炭素数1〜4のアルキル基である請求項10記載の芳香族シアン酸エステル樹脂。
  12. 前記一般式(2)中のR、R、R、Rがメチル基である請求項10記載の芳香族シアン酸エステル樹脂。
  13. 前記一般式(2)中のAr、Ar、Ar、Arが同一でも異なっていても良い炭素数1〜6のアルキル基を置換基として有していてもよいベンゼン骨格である請求項10記載の芳香族シアン酸エステル樹脂。
  14. 前記一般式(2)中のR、R、R、R、R、R10、R11、R12が水素原子である請求項10〜13の何れか1項記載の芳香族シアン酸エステル樹脂。
  15. 前記一般式(2)中のR、R、R、Rがメチル基であり、Ar、Ar、Ar、Arが同一でも異なっていても良い炭素数1〜6のアルキル基を置換基として有していてもよいベンゼン骨格であり、且つR、R、R、R、R、R10、R11、R12が水素原子である請求項10記載の芳香族シアン酸エステル樹脂。
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