JP2006247794A - 操作装置と、操作子の動作調節方法と、そのためのプログラム - Google Patents

操作装置と、操作子の動作調節方法と、そのためのプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】操作子に適度な操作反力を再現する汎用性の高い技術を提供する。
【解決手段】操作装置は、操作子と、操作力を検出する操作力検出手段と、操作子の速度を検出する速度検出手段と、検出した操作子の速度に、検出した操作力に起因する加速度と単位時間から計算される速度変化量を加味することによって、第1速度を算出する第1速度算出手段と、算出した第1速度と反対向きの反対力を設定する反対力設定手段と、算出した第1速度に、設定した反対力に起因する加速度と単位時間から計算される速度変化量を加味することによって、第2速度を算出する第2速度算出手段と、操作子の速度を算出した第2速度に調節するアクチュエータとを備えている。反対力設定手段は、算出した第1速度が所定速度以下のときに、第1速度を単位時間でゼロに減じる加速度から計算する力を、反対力に設定することを特徴とする。
【選択図】図4

Description

本発明は、人によって操作される操作子の動作を、アクチュエータ等によって調節する技術に関する。特に、人が操作子に加えている操作力等から、操作子に実現する目標運動を計算し、操作子の運動をアクチュエータ等によって調節する技術に関する。
自動車のパワーステアリング装置や、重量物の搬送作業を補助する装置のように、人が操作する操作子の動作をアクチュエータによって調節し、人の操作を補助する装置が開発されている。この種の技術では、人が操作子に加えている操作力と、結果的に実現される操作子の運動との間に、
M・a+D・v+K・(p−po)=f ・・・(1)
の関係が成立していると、人は良好な操作感を得えられ、操作性が向上することが知られている。ここで、aは操作子の加速度ベクトル、vは操作子の速度ベクトル、pは操作子の位置ベクトル、poは定数ベクトルである。Mは操作子の加速度に対する比例係数(比例マトリクス)であり、操作子に再現される慣性係数(慣性マトリクス)に相当する。Dは操作子の速度に対する比例係数(比例マトリクス)であり、操作子に再現される粘性係数(粘性マトリクス)に相当する。Kは操作子の位置に対する比例係数(比例マトリクス)であり、操作子に再現される剛性係数(剛性マトリクス)に相当する。poは定数ベクトルであり、剛性特性の平衡位置を示す位置ベクトルである。fは人による操作力ベクトルである。上記の(1)式の比例係数M、D、Kを調整することによって、操作感を調整することができる。上記の(1)式を満たすように操作子の動作を調整する技術は、インピーダンス制御と呼ばれる良く知られた技術である。
インピーダンス制御を活用した技術が開発されている。特許文献1の作業補助装置では、重量物を支持する可動体と、その可動体を動かすアクチュエータを備えており、作業者が可動体に加える操作力と、結果的に実現される重量物の運動との間に、上記(1)式が成立するようにアクチュエータの出力を調節する。
特許文献1は、重量物の搬送作業を複数の作業段階に大別し、重量物を細かに移動させる位置決め時には、加速度に対する比例係数Mを小さくする一方、速度に対する比例係数Dを大きくすることが有効であることを報告している。
特開2001−75649号公報
人が操作子に加えている操作力等から、先に示した(1)式の関係を満たす操作子の目標運動を計算し、操作子の運動をアクチュエータ等によって調節する方式であると、人の僅かな手ぶれに操作子が敏感に応答し、人の手ぶれを増幅してしまうこともある。細かな操作を行う際にはかえって操作感を悪化させてしまい、操作性が低下してしまう。
そこで特許文献1の技術では、物体を細かく移動させて位置を決定する段階では、速度に対する比例係数Dを大きくすることによって操作反力を増大するようにしている。しかしながらこの技術は、重量物の搬送作業が予め想定された複数の作業段階に大別できることに立脚しており、重量物の搬送作業のように一連の操作が比較的定まっている場合には有効であるが、他の様々な用途の操作子に適用するには汎用性に欠ける面がある。
本発明は、上記の問題を解決する。本発明は、操作子の操作性を向上する汎用性の高い技術を提供する。
本発明者は、先に示した(1)式の関係を満たすように操作子の運動を制御しても、良好な操作性が得られない理由を種々に研究した。
その結果、(1)式には自然界に存在する摩擦力が加味されておらず、摩擦力が存在しないという不自然な環境で操作するときの操作感が、操作子に与えられてしまうことにあることを認識した。例えば平面内の所定位置に物体を搬送して位置決めする場合、人は平面から物体に作用する摩擦力を考慮し、摩擦力を利用しながら物体を位置決めする。(1)式の関係を満たすように操作子の運動を制御する方式では、自然界に存在する摩擦力が加味されず、その自然な操作を再現することができない。
人の操作力等から操作子の目標運動を計算し、操作子の運動をアクチュエータ等によって調節する方式では、操作子の運動に摩擦力を再現することは難しい。従来は、摩擦力を排除する方向に向かって研究されており、摩擦力を再現するための研究は極めて少ない。
本発明者らは、自然で良好な操作性を得るためには、摩擦力を利用することが重要であることを認識し、あえて扱いにくい摩擦力を再現する課題に取り組むことによって、本発明を完成するに至った。
本発明は、人の操作に追従して、操作子の動作を調節する操作装置に具現化することができる。この操作装置は、人が操作する操作子と、人が操作子に加えている操作力を検出する操作力検出手段と、操作子の速度を検出する速度検出手段と、速度検出手段で検出した操作子の速度に、操作力検出手段で検出した操作力に起因する加速度と単位時間から計算される速度変化量を加味することによって、第1速度を算出する第1速度算出手段と、第1速度算出手段で算出した第1速度と反対向きの反対力を設定する反対力設定手段と、第1速度算出手段で算出した第1速度に、反対力設定手段で設定した反対力に起因する加速度と単位時間から計算される速度変化量を加味することによって、第2速度を算出する第2速度算出手段と、操作子の速度を、第2速度算出手段で算出した第2速度に調節する速度調節手段とを備えている。反対力設定手段は、算出した第1速度が所定速度以下のときに、第1速度を単位時間でゼロに減じる加速度から計算される力を、反対力に設定することを特徴とする。
この装置では、人が操作子に加えている操作力から、その操作力に起因して生じるはずの加速度を算出する。この段階では、摩擦力を考慮しない。前記した(1)式から加速度aを解くことによって、操作力fに起因して生じるはずの加速度を算出することができる。例えば粘性力やばね力を考慮しなくてもよい場合であれば、[M・a=f]の式から加速度aを求めることができる。粘性力やばね力を加味する場合であれば、操作子の現在位置pや現在速度v等と併せて、前記した(1)式から加速度aを解くことができる。
加速度が判明すると、単位時間後の速度変化量を計算することができる。そして、検出した現在速度に、加速度から計算した速度変化量を加味することによって、単位時間後の速度を算出することができる。これが本装置で算出する第1速度である。この第1速度は、摩擦力を加味しないときの速度であり、従来のインピーダンス制御で算出する操作子の速度に対応する。なお、単位時間とは、例えば計算装置等の演算周期等に相当する。
この装置では、第1速度に基づいて、摩擦力に相当する反対力を設定する。反対力は第1速度と反対向きの力である。反対力の大きさは、操作子に再現する摩擦力に合わせて調整可能である。固定した値としてもよいし、第1速度に応じて変化させてもよい。ただし、算出された第1速度が小さいときの反対力を大きく設定してしまうと、後に算出する第2速度が第1速度に対して反転してしまう。摩擦力には物体を反対方向に移動させる作用はないことから、このような場合は第2速度がゼロと算出されなければならない。そこで、この装置では、第1速度が所定速度以下のときには、第1速度を単位時間でゼロに減じる加速度から計算される力を、反対力に設定する。即ち、第1速度が所定速度以下のときには、後に算出される第2速度がゼロとなるように、反対力を設定する。
反対力を設定すると、その反対力に起因して生じる加速度を算出することができる。ここでも、粘性力やばね力を考慮しなくてもよい場合には、[M・a=反対力]の式から加速度を求めることができる。反対力に起因する加速度が判明すると、単位時間後の速度変化量を計算することができる。そして、第1速度に、反対力に起因する速度変化量を加味することによって、単位時間後の速度を算出することができる。これが本装置で算出する第2速度であり、摩擦力による影響が加味された速度である。
最終的には、速度調節手段によって、操作子の速度を第2速度算出手段で算出した第2速度に調節する。操作子の運動に摩擦力が再現される。
この装置によると、操作子の運動に摩擦力を正しく再現することができる。操作子には自然な操作感が付与されることとなり、操作子の操作性を向上することが可能となる。作業段階を判別する必要がなく、様々な機械装置等の操作装置に採用することができる。
上記の操作装置では、操作子の運動に再現する摩擦力を速度の関数によって記憶している記憶手段が付加されていることが好ましい。この場合、反対力設定手段が前記第1速度と比較する前記所定速度が、速度ゼロに対して記憶手段が記憶している摩擦力に起因する加速度と単位時間から計算される速度変化量に等しいことが好ましい。
速度ゼロに対して記憶手段が記憶している摩擦力は、操作子の運動に再現する最大静止摩擦力に相当する。最大静止摩擦力に起因する加速度と単位時間から計算する速度変化量を、前記の所定速度に設定することよって、操作子の運動に静止摩擦力を正しく再現することができる。
反対力設定手段は、算出された第1速度が所定速度を超えるときには、記憶手段に記憶されている摩擦力に基づいて、反対力を設定することが好ましい。
例えば記憶手段が、すべての速度に対して一定の摩擦力を記憶している場合は、第1速度に対して記憶手段が記憶している摩擦力を、反対力に設定することができる。
それに対して、記憶手段が速度に対して変化する摩擦力を記憶している場合では、第1速度に対して記憶手段が記憶している摩擦力を反対力に設定してしまうと、第1速度が前記の所定速度となる前後において、設定される反対力が不連続に変化してしまう。
そのことから、例えば記憶手段が速度に対して変化する摩擦力を記憶している場合は、第1速度から前記所定速度を減じた速度に対して記憶手段が記憶している摩擦力を、反対力に設定することが好ましい。
あるいは、設定する反対力と、その反対力から算出される第2速度に対して記憶手段が記憶している摩擦力とが等しくなる関係を満たす反対力を、反対力に設定するのもよい。反対力と第2速度は相互に依存することから、例えば解析的計算を実行することによって設定すべき反対力を算出することができる。
本発明は、人が操作する操作子の動作を調節する方法にも具現化することができる。この方法では、人が操作子に加えている操作力を検出する操作力検出工程と、操作子の速度を検出する速度検出工程と、速度検出工程で検出した操作子の速度に、操作力検出工程で検出した操作力に起因する加速度と単位時間から計算される速度変化量を加味することによって、第1速度を算出する第1速度算出工程と、第1速度算出工程で算出した第1速度と反対向きの反対力を設定する反対力設定工程と、第1速度算出工程で算出した第1速度に、反対力設定工程で設定した反対力に起因する加速度と単位時間から計算される速度変化量を加味することによって、第2速度を算出する第2速度算出工程と、操作子の速度を第2速度算出工程で算出した第2速度に調節する工程とを備える。そして、反対力設定工程では、算出された第1速度が所定速度以下のときに、第1速度を単位時間でゼロに減じる加速度から計算される力を、反対力に設定することを特徴とする。
この方法によると、操作子の運動に摩擦力が作用する物体の運動を再現することができる。操作子には自然な操作感が付与されることとなり、操作子の操作性を向上することが可能となる。作業段階を判別する必要がなく、様々な機械装置等の操作装置に採用することができる。
本発明はまた、人が操作する操作子の動作を速度調節手段によって調節する操作装置が備える電子計算機に実行させるプログラムに具現化することができる。このプログラムは、人が操作子に加えている操作力を入力する処理と、操作子の速度を入力する処理と、入力した操作子の速度に、入力した操作力に起因する加速度と単位時間から計算される速度変化量を加味することによって、第1速度を算出する第1速度算出処理と、第1速度算出処理で算出した第1速度と反対向きの反対力を設定する反対力設定処理と、第1速度算出処理で算出した第1速度に、反対力設定処理で設定した反対力に起因する加速度と単位時間から計算される速度変化量を加味することによって、第2速度を算出する第2速度算出処理と、速度調節手段を制御して操作子の速度を第2速度算出処理で算出した第2速度に調節する処理とを実行させるプログラムである。そして、反対力設定処理では、算出された第1速度が所定速度以下のときに、第1速度を単位時間でゼロに減じる加速度から計算する力を、反対力に設定することを特徴とする。
このプログラムを用いることによって、操作子の運動に摩擦力が作用する物体の運動を再現することができる。操作子には自然な操作感が付与されることとなり、操作子の操作性を向上することが可能となる。作業段階を判別する必要がなく、様々な機械装置等の操作装置に採用することができる。
本発明により、操作感が良好な操作装置を具現化することが可能となる。作業段階を判別して係数を切換える必要がなくなる。
本発明を実施するための好適な形態を説明する。
(形態1) 作業支援装置は、作業者が操作する操作子と、操作子をx方向に変位させる第1アクチュエータと、操作子をy方向に変位させる第2アクチュエータと、操作子をz方向に変位させる第3アクチュエータを備えている。第1アクチュエータと第2アクチュエータと第3アクチュエータは、操作子の位置や速度や加速度を調節することができる。
(形態2) 作業支援装置は、作業者が操作子に加えている力を測定する力覚センサを備えている。その力覚センサは、作業者が操作子に加えている力を、x方向、y方向、z方向、およびx軸周り方向、y軸周り方向、z軸周り方向の6方向の力に区別して検出することができる。
本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
図1は、作業者による重量物の搬送作業を補助する装置(以下、作業補助装置と略す)2の全体像を示している。図2は、作業補助装置2の電気構成を示している。
図1、図2に示す作業補助装置2は、自動車の製造現場において、自動車のインストルメントパネル(以下、インパネと略す)400を、自動車のボディ(図示せず)内に組み付ける工程で利用される。この工程における作業者は、インパネ400を自動車ボディ内に搬送し、位置決めし、自動車ボディに固定する作業を行う。作業者は、インパネ400を作業補助装置2に固定し、作業補助装置2を介してインパネ400の搬送と位置決めを行う。詳しくは後述するが、作業補助装置2は、人が操作子4に加える操作に追従して、操作子4の動作をアクチュエータによって調節する。その結果、作業者は、インパネ400よりも軽量な物体を搬送するときの力で、インパネ400を搬送することができる。
図1に示すように、作業補助装置2は、一対の固定レール8a、8bと、その固定レール8a、8bの長手方向に沿ってスライド可能な第1可動体10と、その第1可動体10の長手方向に沿ってスライド可能な第2可動体20と、その第2可動体20の長手方向に沿ってスライド可能な第3可動体30を備えている。以下、固定レール8a、8bの長手方向をx方向とし、第1可動体10の長手方向をy方向とし、第2可動体20の長手方向をz方向とする。x方向とy方向とz方向は互いに略直交している。また、第3可動体30には、インパネ400を支持可能なインパネ支持体40が取り付けられている。インパネ支持体40には、インパネ400を脱着可能に固定するための固定部46等が設けられている。作業補助装置2では、所定の可動空間内を第3可動体30が自由に移動できるように構成されており、インパネ支持体40を介して支持しているインパネ400を自由に移動させることができるように構成されている。
図1、図2に示すように、作業補助装置2は、第1可動体10をx方向に沿ってスライドさせる第1アクチュエータ12、第2可動体20をy方向に沿ってスライドさせる第2アクチュエータ22、第3可動体30をz方向に沿ってスライドさせる第3アクチュエータ32を備えている。
作業補助装置2は、第3可動体30に固定された力覚センサ6と、力覚センサ6に設けられている操作子4を備えている。作業者は、作業補助装置2を介してインパネ400を搬送する際に、操作子4を操作してインパネ400を搬送する。力覚センサ6は、作業者が操作子4に加えている操作力を検出する。力覚センサ6は、作業者の操作力をx方向、y方向、z方向、およびx軸周り方向、y軸周り方向、z軸周り方向の6方向の力に区別して検出することができる。
作業補助装置2は、図2に示すように、第1可動体10のx方向の位置を検出する第1位置センサ16と、第2可動体20のy方向の位置を検出する第2位置センサ26と、第3可動体30のz方向の位置を検出する第3位置センサ36を備えている。操作子4は第3可動体30に固定されおり、操作子4のx方向位置は第1位置センサ16で検出され、y方向位置は第2位置センサ26で検出され、z方向位置は第3位置センサ36で検出される。
作業補助装置2は、第1アクチュエータ12と第2アクチュエータ22と第3アクチュエータ32の動作を制御する制御ユニット60を備えている。
図2に示すように、制御ユニット60は、第1アクチュエータ12を制御する第1ドライバ14と、第2アクチュエータ22を制御する第2ドライバ24と、第3アクチュエータ32を制御する第3ドライバ34を備えている。また、各ドライバ14、24、34に指令を与える処理部62と、処理部62に接続している操作パネル64と、処理部62に接続している記憶部66等を備えている。処理部62は電子計算機を備えている。作業者は操作パネル64を操作して、処理部62への指示を入力したり、演算パラメータを調整したりする。また操作パネル64は、処理部62から作業者への情報を表示する。
記憶部66は、処理部62が後述する処理を実行する際に用いるプログラムや、処理部62が後述する処理を実行する際に用いる演算パラメータ等を記憶している。記憶部66は、例えば前記した(1)式の加速度aに対する比例係数(慣性係数)Mや、速度vに対する比例係数(粘性係数)Dや、位置pに対する比例係数(剛性係数)K等を記憶している。また、操作子4の運動に再現する摩擦力Fの大きさと速度vの関係を記述する摩擦力関数φを記憶している。これらの演算パラメータ等は、作業者が操作パネル64を利用して予め教示しておくとともに、必要に応じて調整することもできる。作業者が操作パネル64から入力した演算パラメータ等は、処理部62を介して記憶部66に記憶される。
ここで、摩擦力Fと速度vの関係を記述する摩擦力関数φについて説明する。図3に、摩擦力関数φの4つの例を示す。なお、図3に示す摩擦力関数φは、摩擦力Fの大きさ|F|と速度vの大きさ|v|の関係のみを記述している。異方性を持たない摩擦力を操作子4の運動に再現する場合は、摩擦力Fの大きさFをで足りる。操作子4の運動に異方性を持つ摩擦力を再現する場合には、向きを持つ速度vに対して摩擦力Fを記述する摩擦力関数φを用意するとよい。
図3(a)に示す摩擦力関数φは、φ(|v|)=Fcである。この摩擦力関数φは、任意の速度vの大きさ|v|に対して、摩擦力Fの大きさ|F|が定数Fcであることを示している。操作子4の運動に、動摩擦力と最大静止摩擦力が等しい摩擦力(いわゆるクーロン摩擦力)を再現する場合には、図3(a)に示す摩擦力関数φを用いるとよい。
図3(b)に示す摩擦力関数φは、|v|=0のときにφ(|v|)=Fsであり、|v|>0のときにφ(|v|)=Fcであることを示している。この摩擦力関数φは、最大静止摩擦力が定数Fsであり、動摩擦力が定数Fcであることを示している。操作子4の運動に、動摩擦力と最大静止摩擦力が異なる摩擦力を再現する場合には、図3(b)に示す摩擦力関数φを用いるとよい。
図3(c)に示す摩擦力関数φは、
φ(|v|)=Fc+D・|v| ・・(2)
である。この摩擦力関数φは、速度vの大きさ|v|に比例して、反対力Fの大きさ|F|が増大することを示している。操作子4の運動に、速度に比例して増大する摩擦力を再現する場合には、図3(c)に示す摩擦力関数φを用いるとよい。このような摩擦力は、例えば摩擦面に潤滑油が介在する場合に生じる摩擦力に相当する。
図3(d)に示す摩擦力関数φは、φ(|v|)=Fc−(Fs+Fc)・exp(−(|v|/Vs)δ)である。この摩擦力関数φは、速度vの大きさ|v|に比例して、反対力Fの大きさ|F|が減少することを示している。操作子4の運動に、速度に比例して減少する摩擦力を再現する場合には、図3(d)に示す摩擦力関数φを用いるとよい。このような摩擦力は、例えば摩擦面に潤滑油が介在しており、速度の増加によって潤滑油膜が厚くなる場合に生じる摩擦力に相当する。なお、上式のVsやδは所定のパラメータであり、実験等によって求めることができるものである。
処理部62には、力覚センサ6が接続されている。処理部62は、力覚センサ6の出力信号から、作業者が操作子4に加えている操作力fを検出する。
処理部62には、第1位置センサ16と第2位置センサ26と第3位置センサ36が接続されている。処理部62は、各位置センサ16、26、36の出力信号から、操作子4の位置p:(x,y,z)を検出することができる。また処理部62は、操作子4の位置pの経時変化から、操作子4の速度v:(dx/dt,dy/dt,dz/dt)や、操作子4の加速度a:(dx/dt,dy/dt,dz/dt)を計算によって検出することができる。操作子4とインパネ400は相対的に固定されているので、操作子4の位置p、操作子4の速度v、操作子4の加速度aのそれぞれは、インパネ400の位置、インパネ400の速度、インパネ400の加速度に対応する。
制御ユニット60の処理部62は、作業者が操作子4に加えている操作力fや、操作子4の位置pや、操作子4の速度v等を検出し、記憶している演算パラメータを用いて操作子4に与えるべき力τを逐次計算し、各ドライバ14、24、34に教示する。各ドライバ14、24、34は、教示された力τに基づいて、各アクチュエータ12、22、32の動作を調節する。以下、第1アクチュエータ12が出力する力をτxとし、第2アクチュエータ22が出力する力をτyとし、第3アクチュエータ32が出力する力をτzとする。作業補助装置2は、作業者が操作子4に加えている力を補完するように動作し、操作子4と共にインパネ400を移動させる。慣性係数Mの値をインパネ400の質量よりも小さく設定することで、作業者はインパネ400よりも軽量な物体を搬送しているときの力で、インパネ400を搬送することができる。
次に、図4を参照して、作業補助装置2の動作の流れについて説明する。図4は、処理部62が実行する処理の流れを示すフローチャートである。処理部62は、記憶部66に記憶されている処理プログラムを実行することによって、図4に示す処理フローを実行する。処理部62は、図4に示す処理を、単位時間Δt毎に繰り返し実行する。なお、以下に説明する処理では、速度vに対する比例係数(粘性係数)Dと、位置pに対する比例係数(剛性係数)Kにゼロを設定し、図3(a)に例示した摩擦力関数φを用いるものとする。
ステップS2では、各位置センサ16、26、36の出力信号に基づいて、操作子4の位置p(t)を検出する。以下、時刻tにおける操作子4の位置をp(t)と記述し、そのときの操作子4のxyz座標を、(px(t),py(t),pz(t))と記述する。
ステップS4では、操作子4の速度vを検出する。詳しくは、操作子4の位置pの経時変化から操作子4の速度v(t)を検出する。操作子4の位置pの経時変化は、例えば今回の動作サイクルのステップS2で計算した操作子4の位置p(t)と、前回の動作サイクルで計算した操作子4の位置p(t−Δt)と、単位時間Δtから求めることができる。以下、時刻tにおける操作子4の速度をv(t)と記述し、そのx方向、y方向、z方向の各成分を、vx(t)、vy(t)、vz(t)とする。
ステップS6では、力覚センサ6の出力信号に基づいて、作業者が操作子4に加えている操作力を検出する。処理部64は、作業者が操作子4に加えている操作力のなかで、少なくともx方向と、y方向と、z方向の成分を区別して検出する。以下、作業者が操作子4に加えている操作力をf(t)と記述し、そのx方向、y方向、z方向の各成分を、fx(t)、fy(t)、fz(t)と記述する。
ステップS8では、第1加速度ac(t)を算出する。この第1加速度ac(t)は、ステップS6で検出した操作力f(t)を、操作子4に擬制する質量Mの物体に加えたときに、その物体に生じる加速度である。第1加速度ac(t)は、前記した(1)式に基づいて、例えば次式から計算することができる。
ac(t)=(f(t)−D・v(t)−K・(p−po))/M
即ち、xyz方向の各成分acx(t)、acy(t)、acz(t)は、次式で計算することができる。
acx(t)=(fx(t)−D・vx(t)−K・(px−po))/M
acy(t)=(fy(t)−D・vy(t)−K・(py−po))/M
acz(t)=(fz(t)−D・vz(t)−K・(pz−po))/M
ここでは、速度vに対する比例係数(粘性係数)Dおよび位置pに対する比例係数(剛性係数)Kにゼロを設定しているので、上式の粘性項D・v(t)や剛性項K・(p−po)はゼロとなる。
ステップS10では、ステップS4で検出した操作子4の速度v(t)に、ステップS8で算出した第1加速度ac(t)から生じる単位時間Δt後の速度変化量を加味することによって、第1速度vc(t)を算出する。第1速度vc(t)は、例えば次式から計算することができる。
vc(t)=v(t)+ac(t)・Δt
即ち、xyz方向の各成分vcx(t)、vcy(t)、vcz(t)は、次式で計算することができる。
vcx(t)=vx(t)+acx(t)・Δt
vcy(t)=vy(t)+acy(t)・Δt
vcz(t)=vz(t)+acz(t)・Δt
この第1速度vc(t)は、ステップS6で検出した操作力f(t)を、速度v(t)で運動している質量Mの物体に加えたときに、その物体に単位時間Δt後に実現される速度である。第1速度vc(t)は、その物体に摩擦力が作用しない場合の速度である。
ステップS8で算出した第1加速度ac(t)や、ステップS10で算出した第1速度vc(t)は、従来のインピーダンス制御を用いて算出することができる。第1加速度ac(t)や第1速度vc(t)の算出は、前記した(1)式に基づいており、具体的な算出手法は上記の手法に限定されない。
続くステップS12、S14、S30の処理によって、反対力F(t)を設定する。反対力F(t)の向きは、ステップS10で算出した第1速度vc(t)と反対向きである。ここで設定する反対力F(t)によって、操作子4の運動に摩擦力に相当する力を再現する。
先ずステップS12では、第1速度vc(t)の大きさ|vc(t)|が、基準速度ε以下であるのか否かを判定する。この判定に用いられる基準速度εは、速度ゼロに対して摩擦力関数φが記述する摩擦力F=φ(0)に起因する加速度と単位時間Δtから計算する速度変化量である。即ち、
ε=(φ(0)・Δt)/M
となる。ここでは、φ(0)=Fcであることから、ε=(Fc・Δt)/Mとなる。この判定でイエスとなればステップS14へ進み、この判定でノーとなればステップS30へ進む。
ステップS14とステップS30では、反対力F(t)を設定する手法が異なる。即ち、第1速度vc(t)の大きさ|vc(t)|が基準速度ε以下であるのか否かによって、反対力F(t)を設定する手法を変更することとなる。
ステップS14では、設定する反対力F(t)を次式によって決定する。このとき、摩擦力関数φは使用しない。
F(t)=−M・vc(t)/Δt
即ち、xyz方向の各成分Fx(t)、Fy(t)、Fz(t)は、次式で計算することができる。
Fx(t)=−M・vcx(t)/Δt
Fy(t)=−M・vcy(t)/Δt
Fz(t)=−M・vcz(t)/Δt
上式のマイナスの符号は、反対力F(t)と第1速度vc(t)が反対向きであることを示している。上式で決定される反対力F(t)は、第1速度vc(t)を単位時間Δtでゼロに減じる加速度(−vc(t)/Δt)から計算する力(−M・vc(t)/Δt)である。換言すれば、第1速度vc(t)が基準速度ε=(Fc・Δt)/M以下であるときは、後のステップS16で算出する第2速度がゼロとなるように、反対力F(t)を設定する。
一方、ステップS30では、反対力F(t)を摩擦力関数φに基づいて設定する。ここでは、摩擦力関数φに第1速度vc(t)を代入して、設定する反対力F(t)を決定する。
F(t)=−sgn(vc(t))・φ(|vc(t)|)
=−sgn(vc(t))・Fc
上式のsgn(vc(t))は符号関数である。−sgn(vc(t))は、反対力F(t)と第1速度vc(t)が反対向きであることを示している。図4では、簡単化のためにマイナスの符号によって代用する。
即ち、xyz方向の各成分Fx(t)、Fy(t)、Fz(t)は、次式で計算することができる。
Fx(t)=−Fc・vcx(t)/|vc(t)|
Fy(t)=−Fc・vcy(t)/|vc(t)|
Fz(t)=−Fc・vcz(t)/|vc(t)|
以上の処理において、処理部62は、操作力f(t)と操作子4の現在速度v(t)に基づいて第1速度vc(t)算出する。次いで、第1速度vc(t)に基づいて反対力F(t)を設定する。即ち、処理部62は、操作力f(t)と操作子4の現在速度v(t)の両者に基づいて、反対力F(t)を設定する。
ステップS16では、第2加速度ad(t)を算出する。この第2加速度ad(t)は、ステップS14、30で設定した反対力F(t)を、質量Mの物体に加えたときに、その物体に生じる加速度である。第2加速度ad(t)は、例えば次式から計算することができる。
ad(t)=F(t)/M
即ち、xyz方向の各成分adx(t)、ady(t)、adz(t)は、次式で計算することができる。
adx(t)=Fx(t)/M
ady(t)=Fy(t)/M
adz(t)=Fz(t)/M
ステップS18では、ステップS10で算出した第1速度vc(t)に、ステップS16で算出した第2加速度ad(t)から生じる単位時間Δt後の速度変化量を加味することによって、第2速度vd(t)を算出する。この第2速度vd(t)は、第1速度vc(t)で運動している質量Mの物体に摩擦力F(t)が作用したときに、その物体の単位時間Δt後に実現される速度である。第2速度vd(t)は、例えば次式を用いて計算することができる。
vd(t)=vc(t)+ad(t)・Δt
即ち、xyz方向の各成分vdx(t)、vdy(t)、vdz(t)は次式で計算することができる。
vdx(t)=vcx(t)+adx(t)・Δt
vdy(t)=vcy(t)+ady(t)・Δt
vdz(t)=vcz(t)+adz(t)・Δt
反対力F(t)がステップS14の処理によって設定されている場合には、このステップS18で算出する第2速度vd(t)がゼロとなる。
ステップS20では、操作子4の目標とする位置pd(t)を算出する。目標位置pd(t)は、操作子4の現在位置p(t)に、第2速度vd(t)と単位時間Δtから計算する変位量を加味した位置である。目標位置pd(t)は、例えば次式を用いて計算することができる。
pd(t)=p(t)+vd(t)・Δt
即ち、xyz方向の各成分pdx(t)、pdy(t)、pdz(t)は次式で計算することができる。
pdx(t)=px(t)+vdx(t)・Δt
pdy(t)=py(t)+vdy(t)・Δt
pdz(t)=pz(t)+vdz(t)・Δt
ステップS22では、処理部62が各ドライバ14、24、34に動作指令を実行する。処理部62は、操作子4の速度v(t+Δt)がステップS18で計算した第2速度vd(t)に変化するとともに、操作子4の位置p(t+Δt)がステップS20で計算した目標位置pd(t)に変化するように、各ドライバ14、24、34に動作指令を与える。このとき処理部62は、いわゆる比例微分(PD)制御を用いる。即ち、各アクチュエータ12、22、32が出力する力τ(t)を、目標位置pd(t)と実際位置p(t)の偏差と、その偏差の変化率に応じて調節する。その位置偏差の変化率は、目標速度vd(t)と実際速度v(t)の偏差に等しい。即ち、
τ(t)=α・(pd(t)−p(t))+β・(vd(t)−v(t))
となる。ここで、αとβは所定の制御パラメータであり、適宜調整することができる。各アクチュエータ12、22、32の出力は、次式で表すことができる。
τx(t)=α・(pdx(t)−px(t))+β・(vdx(t)−vx(t))
τy(t)=α・(pdy(t)−py(t))+β・(vdy(t)−vy(t))
τz(t)=α・(pdz(t)−pz(t))+β・(vdz(t)−vz(t))
ステップS22の処理を完了した後、再びステップS2へ戻り、以上の処理を単位時間Δt毎に繰り返し実行する。
なお、ステップS8では、粘性項D・v(t)を加味して第1加速度ac(t)を算出したが、粘性項D・v(t)は、前出の(2)式に示すように、摩擦力φ(|v|)に含めることもできる。
また、ステップS10で第1速度vc(t)を算出する際には、操作子4の現在速度(検出値)v(t)に換えて、前回の動作サイクルで計算した目標速度vd(t−Δt)を用いてもよい。さらに、ステップS20で目標位置pd(t)を算出する際には、操作子4の現在位置(検出値)p(t)に換えて、前回の動作サイクルで計算した目標位置pd(t−Δt)を用いてよい。
以上の処理によって、作業者が操作子4に加えた操作に追従して、操作子4の動作がアクチュエータ12、22、32によって調節される。
図5、図6を参照して、作業者が操作子4を操作したときに、操作子4に実現される運動について説明する。図5、図6に示す各グラフでは、横軸が操作子4の速度を示しており、縦軸が反対力Fを示している。各グラフには、操作子4の現在速度v(t)と、操作力fを加味した第1速度vc(t)と、第1速度vc(t)に基づいて設定される反対力F(t)と、反対力F(t)を加味した第2速度vd(t)が示されている。
図5(a)は、静止している操作子4(現在速度v(t)=0)に、作業者がFcよりも大きな操作力fを加えた場合を示している。これは、例えば作業者が操作子4を操作して、インパネ400を搬送し始めるときに相当する。この場合、ステップS10で算出される第1速度vc(t)が、ステップS12の判定基準速度ε=Fc・Δt/Mよりも大きくなる。第1速度vc(t)、反対力F(t)、第2速度vd(t)は、図5(a)に示す関係となり、静止していた操作子4が動き出すこととなる。
図5(b)は、静止している操作子4(現在速度v(t)=0)に、作業者がFc以下の操作力fを加えた場合を示している。これは、例えば作業者が操作子4を保持してインパネ400を静止させているときに、手振れを起こしているときに相当する。この場合、ステップS10で算出される第1速度vc(t)が、ステップS12の判定基準速度ε=Fc・Δt/M以下となる。第1速度vc(t)、反対力F(t)、第2速度vd(t)は、図5(b)に示す関係となり、操作子4は静止し続けることとなる。
操作子4が静止している場合、操作力fがFcを超えると操作子4は動き出し、操作力fがFc以下であると操作子4は静止し続ける。操作子4の運動に、最大静止摩擦力がFcである静止摩擦力が再現される。作業者の手ぶれ等が増幅されることもない。
図6(a)(b)は、移動している操作子4に、作業者が操作子4を制動する方向に操作力fを加えた場合を示している。図6(a)は、加えた操作力fが小さい場合であって、ステップS10で算出される第1速度vc(t)が、ステップS12のおける判定基準速度ε=Fc・Δt/Mよりも大きくなる場合を示している。この場合、第1速度vc(t)、反対力F(t)、第2速度vd(t)は、図6(a)に示す関係となり、操作子4は移動し続けることとなる。
図6(b)は、加えた操作力fが大きい場合であって、ステップS10で算出される第1速度vc(t)が、ステップS12のおける判定基準速度ε=Fc・Δt/M以下となる場合を示している。この場合、第1速度vc(t)、反対力F(t)、第2速度vd(t)は、図6(b)に示す関係となり、移動している操作子4が静止することとなる。図6(b)に示すように、反対力F(t)がFcに比して制限されているので、第2速度vd(t)が第1速度vc(t)に対して反転することがない。
操作子4が移動している場合、操作力fの大きさによって、操作子4が移動し続ける場合と、操作子4が静止する場合がある。操作子4が移動し続ける場合では、操作子4の運動に、動摩擦力が再現される。操作子4が静止する場合では、静止摩擦力が再現されて、操作子4は安定して静止する。
以上のように、操作子4の運動には、静止摩擦力と動摩擦力が正しく再現される。操作子4には自然な操作感が付与されることとなり、作業者はインパネ400の位置決め作業等がやりやすくなる。
上記では、図3(a)に示す摩擦力関数φを用いる場合を説明したが、図3に示す他の摩擦力関数φを用いる場合も同様である。操作子4の運動に、摩擦力関数φが記述する摩擦力を再現することができる。
ただし、図3(c)(d)の摩擦力関数φのように、速度に応じて増減変化する摩擦力関数φを用いる場合には、次に説明する処理を付加することが好ましい。
図7(a)に示すように、例えば図3(d)に示す摩擦力関数φを用いる場合では、第1速度vcが判定基準速度ε=(Fc・Δt)/Mの前後となるときに、設定される反対力Fが不連続となってしまう。第1速度に対して反対力Fが不連続に設定されると、算出される第2速度vdも不連続となってしまう。その結果、操作子4の速度が不連続に変化することとなり、操作子4に不自然な運動が再現されてしまう。従って、第1速度vcが判定基準速度ε=(Fc・Δt)/Mよりも大きく、第1速度vcと摩擦力関数φから反対力Fを設定する場合(図4のステップS30)には、摩擦力関数φを修正して用いるようにするとよい。図7(b)に示すように、摩擦力関数φを速度軸方向に移動量Δvだけ平行移動することによって、第1速度に対して反対力Fが連続的に変化するようになる。この修正した摩擦力関数φを、修正摩擦力関数φと呼ぶこととする。修正摩擦力関数φは、次式で表すことができる。
φ(vc)=φ(vc−Δv)
例えば上記の移動量Δvには、判定基準速度ε=(Fc・Δt)/Mを設定することができる。この場合、例えば摩擦力関数φから修正摩擦力関数φを用意し、第1速度vcと修正摩擦力関数φから反対力Fを設定することができる。あるいは、第1速度vcから判定基準速度ε=(Fc・Δt)/Mを減じた速度と摩擦力関数φから反対力Fを設定するようにしてもよい。
あるいは、修正摩擦力関数φを、
φ(vc)=F s.t. F=φ(vc+F・Δt/M)
と定義してもよい。上式は、第1速度vcと修正摩擦力関数φから定める反対力Fが、結果的に算出される第2速度(vc+F・Δt/M)と摩擦力関数φから定まる反対力Fに等しいことを示している。即ち、第2速度vdと摩擦力関数φから反対力Fを設定することを意味している。この場合、上式に対して解析的計算を実行することによって、設定すべき反対力Fを求めることができる。
上記に例示した修正摩擦力関数φを用いることによって、第1速度に対して連続的に変化する反対力Fを設定することが可能となり、操作子4が不自然な挙動を示すことを抑止することができる。なお、例えば図3(a)に示す摩擦力関数φのように、摩擦力Fが速度に応じて変化しない場合であっても、修正摩擦力関数φを用いることは可能である。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
本実施例では、位置センサを用いることによって操作子の位置や速度を検出しているが、速度の検出には速度センサを別に用意してもよい。
操作子に擬制する質量は、操作子やその移動機構を含めた質量よりも小さく設定してもよい。それにより、軽すぎる操作子の操作感を改善することもできる。
アクチュエータの制御方式は、比例微分(PD)制御方式に限られず、他の制御方式を採用してもよい。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
作業補助装置の外観を示す図。 搬送作業補助装置の構成を示すブロック図。 摩擦力関数を例示する図。 処理部が実行する処理の流れを示すフローチャート。 静止している操作子に実現される運動を説明する図。 移動している操作子に実現される運動を説明する図。 修正摩擦力関数について説明する図。
符号の説明
2・・作業補助装置
4・・操作子
6・・力覚センサ
8a、8b・・固定レール
10、20、30・・第1、第2、第3可動体
12、22、32・・第1、第2、第3アクチュエータ
14、24,34・・第1、第2、第3ドライバ
16、26、36・・第1、第2、第3位置センサ
60・・制御ユニット
62・・処理部
400・・インパネ

Claims (7)

  1. 人が操作する操作子と、
    人が操作子に加えている操作力を検出する操作力検出手段と、
    操作子の速度を検出する速度検出手段と、
    速度検出手段で検出した操作子の速度に、操作力検出手段で検出した操作力に起因する加速度と単位時間から計算される速度変化量を加味することによって、第1速度を算出する第1速度算出手段と、
    第1速度算出手段で算出した第1速度と反対向きの反対力を設定する反対力設定手段と、
    第1速度算出手段で算出した第1速度に、反対力設定手段で設定した反対力に起因する加速度と単位時間から計算される速度変化量を加味することによって、第2速度を算出する第2速度算出手段と、
    操作子の速度を、第2速度算出手段で算出した第2速度に調節する速度調節手段とを備え、
    前記反対力設定手段は、算出した第1速度が所定速度以下のときに、第1速度を単位時間でゼロに減じる加速度から計算される力を、反対力に設定することを特徴とする操作装置。
  2. 操作子の運動に再現する摩擦力を速度の関数によって記憶している記憶手段が付加されており、
    前記反対力設定手段が前記第1速度と比較する前記所定速度が、速度ゼロに対して記憶手段が記憶している摩擦力に起因する加速度と単位時間から計算される速度変化量に等しいことを特徴とする請求項1の操作装置。
  3. 前記反対力設定手段は、前記第1速度が前記所定速度を超えるときに、第1速度に対して記憶手段が記憶している摩擦力を、反対力に設定することを特徴とする請求項2の操作装置。
  4. 前記反対力設定手段は、前記第1速度が前記所定速度を超えるときに、第1速度から前記所定速度を減じた速度に対して記憶手段が記憶している摩擦力を、反対力に設定することを特徴とする請求項2の操作装置。
  5. 前記反対力設定手段は、前記第1速度が前記所定速度を超えるときに、反対力とその反対力から算出される第2速度に対して記憶手段が記憶している摩擦力が等しくなる関係を満たす反対力を、反対力に設定することを特徴とする請求項2の操作装置。
  6. 人が操作する操作子の動作を調節する方法であり、
    人が操作子に加えている操作力を検出する操作力検出工程と、
    操作子の速度を検出する速度検出工程と、
    速度検出工程で検出した操作子の速度に、操作力検出工程で検出した操作力に起因する加速度と単位時間から計算される速度変化量を加味することによって、第1速度を算出する第1速度算出工程と、
    第1速度算出工程で算出した第1速度と反対向きの反対力を設定する反対力設定工程と、
    第1速度算出工程で算出した第1速度に、反対力設定工程で設定した反対力に起因する加速度と単位時間から計算される速度変化量を加味することによって、第2速度を算出する第2速度算出工程と、
    操作子の速度を第2速度算出工程で算出した第2速度に調節する工程とを備え、
    前記反対力設定工程では、算出された第1速度が所定速度以下のときに、第1速度を単位時間でゼロに減じる加速度から計算される力を、反対力に設定することを特徴とする操作子の動作調節方法。
  7. 人が操作する操作子の動作を速度調節手段によって調節するためのプログラムであり、電子計算機に以下の処理、即ち、
    人が操作子に加えている操作力を入力する処理と、
    操作子の速度を入力する処理と、
    入力した操作子の速度に、入力した操作力に起因する加速度と単位時間から計算される速度変化量を加味することによって、第1速度を算出する第1速度算出処理と、
    第1速度算出処理で算出した第1速度と反対向きの反対力を設定する反対力設定処理と、
    第1速度算出処理で算出した第1速度に、反対力設定処理で設定した反対力に起因する加速度と単位時間から計算される速度変化量を加味することによって、第2速度を算出する第2速度算出処理と、
    速度調節手段を制御して、操作子の速度を第2速度算出処理で算出した第2速度に調節する処理とを実行させるプログラムであって、
    前記反対力設定処理では、算出された第1速度が所定速度以下のときに、第1速度を単位時間でゼロに減じる加速度から計算される力を、反対力に設定することを特徴とするプログラム。
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