JP2006247525A - 排ガス浄化触媒 - Google Patents

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Abstract

【課題】 低温時でも優れたNOx浄化性能をもつ排ガス浄化触媒を提供する。
【解決手段】 本発明の排ガス浄化触媒1は、担体基材10と、担体基材10に形成され、イオン性のアルカリ金属元素およびイオン性のアルカリ土類金属元素のうち少なくとも1種をもつ複合酸化物からなるNOx吸蔵材を含み、貴金属を含まない第一触媒層11と、第一触媒層11上に形成され、貴金属を含み該複合酸化物を含まない第二触媒層12と、を有することを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、自動車等の内燃機関から排出される排ガスを浄化する排ガス浄化用触媒に関するものであり、詳しくは、窒素酸化物(NOx)を効果的に浄化する排ガス浄化触媒に関する。
自動車分野において、リーンバーンエンジンの使用の拡大が図られる中、リーン領域でNOxの排出を低減できるNOx吸蔵還元触媒が実用化されている。一般的なNOx吸蔵還元触媒は、アルミナ等の担体に貴金属およびアルカリ金属元素やアルカリ土類金属元素(NOx吸蔵材)を担持させたものである。リーン状態では、貴金属上でNOxを酸化し、隣接するNOx吸蔵材と結合して硝酸塩を形成することにより、NOxを吸蔵する。一方、ストイキ〜リッチ状態では、硝酸塩が分解されて気相に放出されたNOxを貴金属上で還元性ガスと反応させて、または、放出される前に硝酸塩を分解して、窒素に還元する。NOxの吸蔵と還元とを繰り返すことにより、NOxが浄化される。
上記の原理に基づきNOxを浄化する触媒としては、たとえば、特許文献1や特許文献2に記載の排ガス浄化触媒がある。特許文献1の排ガス浄化触媒は、MgO・Al2 3 などの複合酸化物にカリウム等のNOx吸蔵材元素を担持したA触媒と、Al2 3 などの担体に貴金属を担持したB触媒と、が共存した構成である。また、特許文献2の排ガス浄化触媒は、Al2 3 粒子表面にMgO・Al2 3 等の複合酸化物層が形成された担体に、カリウム等のNOx吸蔵材元素と、貴金属と、が担持されている。
ところで、NOx吸蔵還元触媒には、NOxの吸蔵・還元を良好に行える温度範囲(約300℃〜500℃)があり、低温である程、NOx浄化性能が低下する傾向がある。低温でのNOx浄化性能には、Pt等の貴金属の活性が大きく影響するが、特許文献1および特許文献2に記載の排ガス浄化触媒では、貴金属がNOx吸蔵材元素の近傍に存在するため、貴金属の活性が低下しやすい。たとえば、NOx吸蔵材元素であるアルカリ金属元素やアルカリ土類金属元素は、高温の排ガス中で溶解して移動するため、貴金属を被覆して、貴金属の活性を低下させることがある。また、アルカリ金属元素やアルカリ土類金属元素は、アルミナ等の無機酸化物と反応するため、無機酸化物の比表面積が低下し、貴金属の分散性が低下することもある。その結果、耐久後の触媒性能、特に、低温時のNOx浄化性能が低下するという問題がある。
特開2000−140638号公報 特開2000−300985号公報
本発明は、上記問題点に鑑み、低温時でも優れたNOx浄化性能をもつ排ガス浄化触媒を提供することを目的とする。
本発明の排ガス浄化用触媒は、担体基材と、該担体基材に形成され、イオン性のアルカリ金属元素およびイオン性のアルカリ土類金属元素のうち少なくとも1種をもつ複合酸化物からなるNOx吸蔵材を含み、貴金属を含まない第一触媒層と、該第一触媒層上に形成され、貴金属を含み該複合酸化物を含まない第二触媒層と、を有することを特徴とする。
本発明の排ガス浄化触媒によれば、アルカリ金属元素やアルカリ土類金属元素をもつNOx吸蔵材と、貴金属と、が各層に分離して担持されているため、両者が直接的に接触しない。また、構成上、アルカリ金属元素やアルカリ土類金属元素を担持する必要がない(後に詳説)ため、アルカリ成分の移動が抑制される。その結果、貴金属の活性の低下が抑制される。したがって、本発明の排ガス浄化触媒は、低温時のNOx浄化性能に寄与する貴金属の活性が向上し、低温時(約200℃〜300℃)においても優れたNOx浄化性能を有する。
本発明の排ガス浄化触媒は、その一例を図1に模式的に示すように、担体基材10と、担体基材10に形成されNOx吸蔵材を含む第一触媒層11と、第一触媒層11上に形成され貴金属を含む第二触媒層12と、を有する。すなわち、本発明の排ガス浄化触媒は、リーン雰囲気時にNOxをNOx吸蔵材に吸蔵して、ストイキあるいはリッチ雰囲気時に吸蔵したNOxを還元するタイプの触媒である。
担体基材としては、従来から用いられているセラミックス製や金属製のハニカム状の構造体などを用いればよい。担体基材には、イオン性のアルカリ金属元素およびイオン性のアルカリ土類金属元素のうち少なくとも1種をもつ複合酸化物からなるNOx吸蔵材を含み、貴金属を含まない第一触媒層が形成される。
第一触媒層に含まれるNOx吸蔵材は、イオン性のアルカリ金属元素(たとえば、リチウム(Li+ )、ナトリウム(Na+ )、カリウム(K+ )、ルビジウム(Rb+ )、セシウム(Cs+ )、フランシウム(Fr+ ))およびアルカリ土類金属元素(たとえば、バリウム(Ba2+)、ベリリウム(Be2+)、マグネシウム(Mg2+)、カルシウム(Ca2+)、ストロンチウム(Sr2+))のうち少なくとも1種をもつ複合酸化物からなる。
この複合酸化物は、上記のアルカリ金属・アルカリ土類金属と無機金属酸塩をなすものであれば、特に限定はない。たとえば、複合酸化物は、チタン酸塩、アルミン酸塩、タングステン酸塩、珪酸塩、バナジウム酸塩、タンタル酸塩、およびジルコン酸塩、のうちの少なくとも1種であるのが望ましい。具体的には、K2 Ti4 9 、KAlO2 、K2 WO4 、K2 SiO3 、BaTiO3 、BaAl2 4 、KVO3 、K2 MoO4 、KNbO3 、KTaO3 、K2 ZrO3 等が挙げられる。
そして、上記複合酸化物は、アルカリ金属元素やアルカリ土類金属元素がイオン的に結合された塩であるため、NOx(特に、NO2 )と結合して容易に硝酸塩を形成する。つまり、上記複合酸化物は、それ自体がNOx吸蔵材として働く。一方、先に示した特許文献1や特許文献2に記載の複合酸化物(たとえばMgO・Al2 3 )には、共有結合性を帯びた結合力がはたらくため、複合酸化物に含まれるMgにNOx吸蔵能は無く、複合酸化物に更にNOx吸蔵材元素を担持しないことにはNOx吸蔵特性が発現しない。したがって、本発明で用いられる複合酸化物は、特許文献1や特許文献2に記載の複合酸化物とは大きく異なるものである。
また、第一触媒層は、NOx吸蔵材とともにAl2 3 等の無機酸化物を含んでもよい。第一触媒層を形成する際には、たとえば、NOx吸蔵材と、必要に応じてAl2 3 等を含むスラリーをウォッシュコートし、それを焼成すればよい。複合酸化物は、性能上、50wt%以上含まれるのが好ましい。この際、担体基材の単位体積当たりのNOx吸蔵材の担持量は、50〜200g/Lであるのが好ましい。
なお、本発明では、用いる複合酸化物がNOx吸蔵能をもつため、吸水担持などにより複合酸化物にアルカリ金属元素やアルカリ土類金属元素を担持する必要がない。したがって、触媒の使用中に移動して貴金属に悪影響を及ぼすアルカリ成分を排除できる。また、アルカリ成分を吸水担持する必要がないため、担体基材と第一触媒層との間に、移動抑制層などを形成する必要もない。
第一触媒層上には、貴金属を含み複合酸化物を含まない第二触媒層が形成される。すなわち、NOx吸蔵材と貴金属とが分離された状態で各層に含まれ、両者は直接的に接触しないため、アルカリ成分による貴金属の活性の低下が抑制される。したがって、本発明の排ガス浄化触媒は、低温時のNOx浄化性能に寄与する貴金属の活性が従来よりも向上し、低温時においても優れたNOx浄化性能を有する。
また、貴金属の活性の低下が抑制された結果、低温においてもNO→NO2 への酸化反応が良好に行われる。そして、貴金属を含む第二触媒層を第一触媒層の上側にしたことにより、第二触媒層で酸化されたNO2 が効率よく第一触媒層に供給される。NO2 は、本発明で用いられるNOx吸蔵材に吸蔵されやすいため、NOx吸蔵特性は著しく向上する。なお、貴金属を含む第二触媒層が上層に位置することにより、CO、HC成分の浄化も効率的に行われる。
第二触媒層に用いられる貴金属としては、Pt、Rh、Pd等が好ましい。第二触媒層を形成する方法としては、たとえば、あらかじめ無機酸化物に貴金属を担持し、貴金属が担持された無機酸化物を含むスラリーをウォッシュコートすればよい。無機酸化物としては、アルミナ、シリカ、チタニア、セリア、ジルコニア、あるいは、これらの複数種からなるセリア−ジルコニア固溶体などを用いることができる。この際、担体基材の単位体積当たりの第二触媒層の担持量は、50〜200g/Lであるのが好ましい。
なお、本発明の排ガス浄化触媒は、上記の実施の形態に限定されるものではない。たとえば、本発明の排ガス浄化触媒の効果を損なわない程度であれば、他の機能を追加するために必要に応じて別の物質を添加してもよい。
以下、本発明の排ガス浄化触媒の実施例を比較例とともに具体的に説明する。
担体基材として、直径30mm、長さ50mmのモノリス担体(容量35cc)を準備した。また、NOx吸蔵材として、市販のK2 Ti4 9 、KAlO2 、K2 WO4 、K2 SiO3 、BaTiO3 およびBaAl2 4 、また、以下の方法により調整したMgO・Al2 3 を準備した。
[MgO・Al2 3 の調製]
酢酸マグネシウム4水和物38重量部とアルミニウムイソプロポキシド72重量部およびイソプロピルアルコール400重量部を混合(モル比でMg:Al=1:2)し、攪拌しながら80℃で約2時間環流した。そこへ、60重量部の脱イオン水を滴下して加水分解を完結させ、さらに80℃で2時間環流を続け、その後放冷した。次に、ロータリーエバポレータを用いて湯浴上で溶媒を除去し、さらに室温で24時間自然乾燥させた後、大気中850℃で5時間焼成し、MgO・Al2 3 の組成の複合酸化物を得た。
また、以下の方法により、Ptを担持したAl2 3 (Pt/Al2 3 )およびPtを担持したMgO・Al2 3 (Pt/MgO・Al2 3 )を調製した。
[Pt/Al2 3 の調製]
市販のAl2 3 粉末に所定濃度のジニトロジアンミン白金水溶液を所定量含浸し、5時間攪拌した後、蒸発乾固させ、その後、300℃にて焼成し、Ptを0.07g担持したAl2 3 粉末を得た。
[Pt/MgO・Al2 3 の調製]
MgO・Al2 3 粉末に所定濃度のジニトロジアンミン白金水溶液を所定量含浸し、5時間攪拌した後、蒸発乾固させ、その後、300℃にて3時間大気中で焼成し、Ptを0.07g担持したMgO・Al2 3 粉末を得た。
[実施例1]
2 Ti4 9 粉末と、Al2 3 粉末と、を所定量の純水と混合し、ミリングしてスラリーを調製した。モノリス担体にスラリーをウォッシュコートし、120℃で乾燥後500℃で2時間焼成し、第一触媒コート層(下層)を形成した。コート量は、K2 Ti4 9 が2.2g、Al2 3 が3gであった。また、同様にして、Pt/Al2 3 が4gとなるように、第一触媒コート層上に第二触媒コート層(上層)を形成し、実施例1の排ガス浄化触媒を得た。
[実施例2]
2 Ti4 9 をKAlO2 1gに変更した他は、実施例1と同様にして実施例2の排ガス浄化触媒を得た。
[実施例3]
2 Ti4 9 をK2 WO4 1.7gに変更した他は、実施例1と同様にして実施例3の排ガス浄化触媒を得た。
[実施例4]
2 Ti4 9 をK2 SiO3 0.8gに変更した他は、実施例1と同様にして実施例4の排ガス浄化触媒を得た。
[実施例5]
2 Ti4 9 をBaTiO3 2.4gに変更した他は、実施例1と同様にして実施例5の排ガス浄化触媒を得た。
[実施例6]
2 Ti4 9 をBaAl2 4 2.7gに変更した他は、実施例1と同様にして実施例6の排ガス浄化触媒を得た。
[比較例1]
第一触媒コート層を形成せず、Pt/Al2 3 のコート量が7gとなるように第二触媒コート層を形成し、さらに、酢酸カリウムを用いてKを1.03g吸水担持したほかは、実施例1と同様にして比較例1の排ガス浄化触媒を得た。
[比較例2]
2 Ti4 9 粉末と、Pt/Al2 3 粉末と、を所定量の純水と混合し、ミリングしてスラリーを調製した。モノリス担体にスラリーをウォッシュコートし、120℃で乾燥後500℃で2時間焼成し、触媒コート層を形成して比較例2の排ガス浄化触媒を得た。コート量は、K2 Ti4 9 が2.2g、Al2 3 が7gであった。
[比較例3]
Pt/MgO・Al2 3 粉末を所定量の純水と混合し、ミリングしてスラリーを調製した。モノリス担体にスラリーをウォッシュコートし、120℃で乾燥後500℃で2時間焼成し、第一触媒コート層を形成した。また、同様にして、Pt/Al2 3 粉末を用い、第一触媒コート層上に第二触媒コート層を形成した。その後、さらに、酢酸カリウムを用いてKを1.03g吸水担持し、比較例3の排ガス浄化触媒を得た。この触媒のPtの担持量は、実施例1の排ガス浄化触媒のPtの担持量と同じとした。また、MgO・Al2 3 およびAl2 3 のコート量は、それぞれ3.5gであった。
なお、比較例3で用いたMgO・Al2 3 粉末は、アルカリ土類金属(Mg)を含む複合酸化物であるが、それ自体はNOx吸蔵能を有しないため、Kを吸水担持させている。
表1に、実施例および比較例の排ガス浄化触媒の構成をまとめて示す。
Figure 2006247525
[評価]
実施例1〜6、比較例1および比較例2の排ガス浄化触媒を、空気中750℃10時間の熱耐久を実施した後、触媒活性試験として、モデルガス反応装置を用い、入りガス温度200℃でのリーンNOx吸蔵量を測定した。測定結果を図2に示す。
また、実施例1および比較例3の各排ガス浄化触媒を、空気中750℃5時間の熱耐久を実施した後、触媒活性試験として、モデルガス反応装置を用い、入りガス温度200℃でのリーンNOx吸蔵量を測定した。測定結果を図3に示す。
図2によれば、NOx吸蔵材と貴金属とを第一触媒コート層と第二触媒コート層とに分離した実施例1〜実施例6の排ガス浄化触媒は、200℃におけるNOx吸蔵量が、いずれも1000μmol/catを超える高いNOx吸蔵能を示した。この結果は、NOx吸蔵材と貴金属とを二層に分離して担持したため、低温でのPtの活性の低下が抑制され、また、第二触媒コート層から第一触媒コート層へNOx吸蔵材が吸蔵しやすいNO2 が効率よく供給されたことによる。
また、図3によれば、NOx吸蔵材としてK2 Ti4 9 を用いた実施例1の排ガス浄化触媒は、MgO・Al2 3 にKを担持したNOx吸蔵材を用いた比較例3の排ガス浄化触媒よりも、200℃におけるNOx吸蔵能に優れた。比較例3では、担持されたKが、耐久中または評価中に排ガス中の水分等により触媒コート層内を容易に移動して、Ptの活性を低下させたと考えられる。また、Kがモノリス担体へ固溶し、NOx吸蔵材の容量が低下したこともNOx吸蔵能の低下の原因の一つである。
なお、比較例3の排ガス浄化触媒は、高温のNOx吸蔵能に優れる触媒である。
本発明の排ガス浄化触媒の一例を示す模式図(右図)、および、本発明の排ガス浄化触媒の構成を模式的に示す部分拡大断面図(左図)である。 実施例および比較例の各排ガス浄化触媒に関し、200℃におけるNOx吸蔵量を示すグラフである。 実施例1および比較例3の各排ガス浄化触媒に関し、200℃におけるNOx吸蔵量を示すグラフである。

Claims (3)

  1. 担体基材と、
    該担体基材に形成され、イオン性のアルカリ金属元素およびイオン性のアルカリ土類金属元素のうち少なくとも1種をもつ複合酸化物からなるNOx吸蔵材を含み、貴金属を含まない第一触媒層と、
    該第一触媒層上に形成され、貴金属を含み該複合酸化物を含まない第二触媒層と、
    を有することを特徴とする排ガス浄化触媒。
  2. 前記複合酸化物は、無機金属酸塩である請求項1記載の排ガス浄化触媒。
  3. 前記複合酸化物は、チタン酸塩、アルミン酸塩、タングステン酸塩、珪酸塩、バナジウム酸塩、タンタル酸塩、およびジルコン酸塩、のうちの少なくとも1種である請求項2記載の排ガス浄化触媒。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2011118047A1 (ja) * 2010-03-24 2011-09-29 トヨタ自動車株式会社 排ガス浄化用触媒

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