JP2006246621A - 回転電機のコア、その製造方法、及び埋込磁石型モータ - Google Patents
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Abstract
【課題】円形コアとティースコアとを容易に安定して固定させることができ、更にそれら間の磁気抵抗を安定して小さくすることができる回転電機のコアを提供する。
【解決手段】ステータコア3は、周方向に複数の係合凹部11aが形成される環状コア11と、係合凹部11aに係合される被係合凸部12aと被係合凸部12aから径方向に延びるティース部12bとを有するティースコア12とを備える。係合凹部11a及び被係合凸部12aは、それらが嵌め合わされた際に隙間Sが形成されるように設定されている。隙間Sには、磁性粉体を含んだ接着剤21が多層状態となるように充填される。
【選択図】 図4
【解決手段】ステータコア3は、周方向に複数の係合凹部11aが形成される環状コア11と、係合凹部11aに係合される被係合凸部12aと被係合凸部12aから径方向に延びるティース部12bとを有するティースコア12とを備える。係合凹部11a及び被係合凸部12aは、それらが嵌め合わされた際に隙間Sが形成されるように設定されている。隙間Sには、磁性粉体を含んだ接着剤21が多層状態となるように充填される。
【選択図】 図4
Description
本発明は、巻線が巻装される回転電機のコア、その製造方法、及び埋込磁石型モータに関するものである。
従来、回転電機のコアとしては、埋込磁石型モータにおけるステータのコアであって、略円筒状の円形コアと、その円形コアの内周面に接着されるティース部を有したティースコアとを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。このコアでは、独立した状態の(円形コアに固定されていない)ティースコアのティース部に巻線を巻装し、その後、円形コアに接着することにより、最終的に周方向に隣り合うことになる他のティース部が邪魔になることなく、それぞれのティース部に巻線を容易に巻装することができる。よって、このような回転電機のコアでは、巻線の占積率を高くすることができる。又、上記回転電機のコア(特許文献1参照)では、円形コアを磁気回路の一部として利用することで回転電機全体の小型化を図ることができる。
特開平11−275781号公報
しかしながら、上記回転電機のコアでは、円形コアの内周面にティースコアを単に接着剤で接着しているのみなので、その接着面が剥がれたり、該接着面での磁気抵抗が大きくなったりするという虞があった。尚、このことはモータ効率を低下させる原因となる。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、円形コアとティースコアとを容易に安定して固定させることができ、更にそれら間の磁気抵抗を安定して小さくすることができる回転電機のコア、その製造方法、及び埋込磁石型モータを提供することにある。
請求項1に記載の発明では、周方向に複数の係合部が形成される円形コアと、前記係合部に係合される被係合部と該被係合部から径方向に延びるティース部とを有するティースコアとを備えた回転電機のコアであって、前記係合部及び前記被係合部は、それらが嵌め合わされた際に隙間が形成されるように設定され、前記隙間には、磁性粉体を含んだ接着剤が充填された。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の回転電機のコアにおいて、前記円形コア及び前記ティースコアは、それぞれ板材を軸方向に積層してなり、前記磁性粉体を含んだ接着剤は、軸方向に多層状態とされた。
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の回転電機のコアにおいて、前記磁性粉体を含んだ接着剤における各層間には、絶縁物が配設された。
請求項4に記載の発明では、請求項2又は3に記載の回転電機のコアにおいて、前記磁性粉体を含んだ接着剤における各層間の境目を、前記板材の軸方向中央部に配置した。
請求項4に記載の発明では、請求項2又は3に記載の回転電機のコアにおいて、前記磁性粉体を含んだ接着剤における各層間の境目を、前記板材の軸方向中央部に配置した。
請求項5に記載の発明では、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の回転電機のコアにおいて、前記係合部及び前記被係合部の少なくとも一方の前記隙間を構成する面には、前記接着剤を流入させるための案内溝が形成された。
請求項6に記載の発明では、請求項5に記載の回転電機のコアにおいて、前記案内溝は、前記係合部及び前記被係合部の少なくとも一方の前記隙間を構成する面に、磁性粉体を含んだテープが配設されることで形成された。
請求項7に記載の発明では、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の回転電機のコアにおいて、前記円形コア及び前記ティースコアは、それぞれ板材を軸方向に積層してなり、前記板材の軸方向の表面には、前記隙間に連通する導入溝が形成された。
請求項8に記載の発明では、周方向に複数の係合部が形成される円形コアと、前記係合部に係合される被係合部と該被係合部から径方向に延びるティース部とを有するティースコアとを備えた回転電機のコアの製造方法であって、前記係合部及び前記被係合部は、それらが嵌め合わされた際に隙間が形成されるように設定し、前記隙間に、磁性粉体を含んだ接着剤を充填する充填工程を備えた。
請求項9に記載の発明では、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の回転電機のコアを備え、前記円形コアは、略円筒状の環状コアであって、前記ティースコアの前記ティース部は、前記環状コアから径方向内側に延びるものであって、前記コアの内側には、永久磁石を有するロータが回転可能に支持された埋込磁石型モータを要旨とする。
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、予め独立した状態の(円形コアに固定されていない)ティースコアのティース部に巻線を巻装することで、最終的に周方向に隣り合うことになる他のティース部が邪魔になることなく、それぞれのティース部に巻線を容易に巻装することができる。又、円形コアには周方向に複数の係合部が形成され、ティースコアは前記係合部に係合される被係合部を有するため、円形コアとティースコアとを安定して(強固に)固定させることができる。更に、前記係合部及び前記被係合部は、それらが嵌め合わされた際に隙間が形成されるように設定されるため、それらを嵌め合わせる組み付け作業が容易となる。しかも、前記隙間には、磁性粉体を含んだ接着剤が充填されるため、該部分での磁気抵抗が小さくなり、円形コアを磁気回路の一部として安定して利用することができる。
請求項1に記載の発明によれば、予め独立した状態の(円形コアに固定されていない)ティースコアのティース部に巻線を巻装することで、最終的に周方向に隣り合うことになる他のティース部が邪魔になることなく、それぞれのティース部に巻線を容易に巻装することができる。又、円形コアには周方向に複数の係合部が形成され、ティースコアは前記係合部に係合される被係合部を有するため、円形コアとティースコアとを安定して(強固に)固定させることができる。更に、前記係合部及び前記被係合部は、それらが嵌め合わされた際に隙間が形成されるように設定されるため、それらを嵌め合わせる組み付け作業が容易となる。しかも、前記隙間には、磁性粉体を含んだ接着剤が充填されるため、該部分での磁気抵抗が小さくなり、円形コアを磁気回路の一部として安定して利用することができる。
請求項2に記載の発明によれば、前記円形コア及び前記ティースコアは、それぞれ板材を軸方向に積層してなるため(軸方向に電流が流れ難くなるため)、それぞれにおいて渦電流損を低減することができる。しかも、磁性粉体を含んだ接着剤においても軸方向に多層状態とされるため(軸方向に電流が流れ難くなるため)、該部分においても渦電流損を低減することができる。
請求項3に記載の発明によれば、磁性粉体を含んだ接着剤における各層間には、絶縁物が配設されるため、各層間の絶縁効果が高くなり、渦電流損を低減することができる。
請求項4に記載の発明によれば、磁性粉体を含んだ接着剤における各層間の境目が、板材の軸方向中央部に配置される、言い換えると、板材同士の境目には接着剤が配置される(板材同士の境目と接着剤同士の境目が軸方向に一致しない)ため、各板材及び接着剤の軸方向の結合力が強くなる。
請求項4に記載の発明によれば、磁性粉体を含んだ接着剤における各層間の境目が、板材の軸方向中央部に配置される、言い換えると、板材同士の境目には接着剤が配置される(板材同士の境目と接着剤同士の境目が軸方向に一致しない)ため、各板材及び接着剤の軸方向の結合力が強くなる。
請求項5に記載の発明によれば、前記係合部及び前記被係合部の少なくとも一方の前記隙間を構成する面には、前記接着剤を流入させるための案内溝が形成されるため、接着剤が流れ込まないといったことを回避でき、接着剤を容易に充填することができる。
請求項6に記載の発明によれば、前記案内溝は、前記係合部及び前記被係合部の少なくとも一方の前記隙間を構成する面に、磁性粉体を含んだテープが配設されることで形成されるため、該部分での磁気抵抗を小さくしながら、容易に形成することができる。
請求項7に記載の発明によれば、前記板材の軸方向の表面には、前記隙間に連通する導入溝が形成されるため、接着剤を隙間に容易に充填することができる。
請求項8に記載の発明によれば、予め独立した状態の(円形コアに固定されていない)ティースコアのティース部に巻線を巻装することで、最終的に周方向に隣り合うことになる他のティース部が邪魔になることなく、それぞれのティース部に巻線を容易に巻装することができる。又、円形コアには周方向に複数の係合部が形成され、ティースコアは前記係合部に係合される被係合部を有するため、円形コアとティースコアとを安定して(強固に)固定させることができる。更に、前記係合部及び前記被係合部は、それらが嵌め合わされた際に隙間が形成されるように設定されるため、それらを嵌め合わせる組み付け作業が容易となる。しかも、前記隙間には、充填工程にて、磁性粉体を含んだ接着剤が充填されるため、該部分での磁気抵抗が小さくなり、円形コアを磁気回路の一部として安定して利用することができる。
請求項8に記載の発明によれば、予め独立した状態の(円形コアに固定されていない)ティースコアのティース部に巻線を巻装することで、最終的に周方向に隣り合うことになる他のティース部が邪魔になることなく、それぞれのティース部に巻線を容易に巻装することができる。又、円形コアには周方向に複数の係合部が形成され、ティースコアは前記係合部に係合される被係合部を有するため、円形コアとティースコアとを安定して(強固に)固定させることができる。更に、前記係合部及び前記被係合部は、それらが嵌め合わされた際に隙間が形成されるように設定されるため、それらを嵌め合わせる組み付け作業が容易となる。しかも、前記隙間には、充填工程にて、磁性粉体を含んだ接着剤が充填されるため、該部分での磁気抵抗が小さくなり、円形コアを磁気回路の一部として安定して利用することができる。
請求項9に記載の発明によれば、埋込磁石型モータにおいて、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の発明の効果を得ることができる。特に、この埋込磁石型モータでは、ティースコアのティース部が環状コアから径方向内側に延びるものであるため、ティース部の先端同士の間隔が狭くなるが、予め独立した状態の(環状コアに固定されていない)ティースコアのティース部に巻線を巻装することで、それぞれのティース部に巻線を容易に巻装することができるという効果が顕著となる。
請求項1〜7に記載の発明によれば、円形コアとティースコアとを容易に安定して固定させることができ、更にそれら間の磁気抵抗を安定して小さくすることができる回転電機のコアを提供することができる。
又、請求項8に記載の発明によれば、円形コアとティースコアとを容易に安定して固定させることができ、更にそれら間の磁気抵抗を安定して小さくすることができる回転電機のコアの製造方法を提供することができる。
又、請求項9に記載の発明によれば、円形コアとティースコアとを容易に安定して固定させることができ、更にそれら間の磁気抵抗を安定して小さくすることができる埋込磁石型モータを提供することができる。
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図1〜図4に従って説明する。図1〜図3に示すように、回転電機としての埋込磁石型モータは、ステータ1とロータ2とを備える。ステータ1は、全体的に略円筒状に形成され、コアとしてのステータコア3及び巻線4(図1中、一部のみ2点鎖線で図示、図3中、図示略)を備える。ロータ2は、ロータコア5及び永久磁石としての複数のV字永久磁石6(図3中、図示略)を備える。ロータコア5は、略円筒状に形成され、その中心孔に図示しない回転軸が嵌着され、ステータ1の内側に回転可能に支持される。V字永久磁石6は、ロータコア5の内部において周方向に複数配設され、一対の直方体の磁石が径方向内側に凸の略V字形状となるように配置されてなる。
前記ステータコア3は、円形コアとしての環状コア11と、放射状に配設される複数のティースコア12とを備える。
環状コア11は、略円筒状に形成され、その内周面に周方向に複数の係合部としての係合凹部11aが形成されている。詳しくは、係合凹部11aは、図1に示すように、軸方向から見て径方向内側に向かうほど両側面の間隔が小さくなる形状に形成されている。又、係合凹部11aは、環状コア11の軸方向一端(図2中、上端)から他端側(図2中、下端近傍)まで形成されている。この環状コア11は、図4に示すように、板材としての環状板材13,14を軸方向に多数積層してなる。尚、環状板材13,14は、係合凹部11aに対応した凹部が形成された環状板材13と、凹部が形成されていない環状板材14との2種類がある。又、図2では、環状板材13,14による各層間の境目を省略して図示している。
環状コア11は、略円筒状に形成され、その内周面に周方向に複数の係合部としての係合凹部11aが形成されている。詳しくは、係合凹部11aは、図1に示すように、軸方向から見て径方向内側に向かうほど両側面の間隔が小さくなる形状に形成されている。又、係合凹部11aは、環状コア11の軸方向一端(図2中、上端)から他端側(図2中、下端近傍)まで形成されている。この環状コア11は、図4に示すように、板材としての環状板材13,14を軸方向に多数積層してなる。尚、環状板材13,14は、係合凹部11aに対応した凹部が形成された環状板材13と、凹部が形成されていない環状板材14との2種類がある。又、図2では、環状板材13,14による各層間の境目を省略して図示している。
ティースコア12は、前記係合凹部11aに係合される被係合部としての被係合凸部12aと該被係合凸部12aから径方向に延びるティース部12bとを有する。詳しくは、被係合凸部12aは、前記係合凹部11aと軸方向に嵌め合わされて径方向及び周方向に係合すべく、軸方向から見て径方向外側に向かうほど両側面の間隔が大きくなる形状に形成されている。又、ティース部12bは、係合凹部11aと被係合凸部12aとが嵌め合わされた状態(ティースコア12が環状コア11に固定された状態)で、環状コア11から径方向内側に延びるように形成されている。このティースコア12は、図4に示すように、板材としてのティース板材15を軸方向に多数積層してなる。尚、図2では、ティース板材15による各層間の境目を省略して図示している。又、本実施の形態では、環状板材13,14及びティース板材15の板厚が同じに設定されている。
そして、前記係合凹部11a及び前記被係合凸部12aは、それらが嵌め合わされた際に隙間S(図4参照)が形成されるように設定されている。言い換えると、係合凹部11a及び被係合凸部12aは、製造誤差等が生じても(それぞれ大きさがばらついても)、それらを嵌め合わせる(軸方向に挿入する)際の作業が阻害されないように、予め隙間Sが生じるように設定されている。尚、図4では、視覚的に分かり易くするために隙間Sを誇張して模式的に図示し、図1〜図3では、隙間Sが図示されていない。
そして、図4に示すように、前記隙間Sには、充填工程によって、磁性粉体を含んだ接着剤21が充填されている。詳しくは、本実施の形態の磁性粉体を含んだ接着剤21は、軸方向に多層状態となるように配設されている。尚、ここで言う多層状態とは、完全に独立した別体同士によるもののみに限定されず、同一素材で一体物となっていても軸方向の電流の流れを阻害することができる境目が形成されている状態のものを含んでいる。即ち、本実施の形態では、磁性粉体を含んだ接着剤21を1つの層に対応した分だけ充填して固化させる工程を繰り返す(固化させた後、1つの層に対応した分だけ充填する)ことで、電流の流れを阻害することができる境目を形成し、軸方向に多層状態としている。又、図4では、上記のようにして形成される境目を実線にて図示している。又、本実施の形態では、磁性粉体を含んだ接着剤21における各層間の境目を、環状板材13及びティース板材15毎の軸方向中央部に配置している。言い換えると、環状板材13同士及びティース板材15同士の境目に接着剤21が配置されるように(環状板材13同士及びティース板材15同士の境目と接着剤21同士の境目が軸方向に一致しないように)設定されている。
上記のように構成されるステータコア3は、予め独立した状態(ティースコア12が環状コア11に固定されていない状態)でティースコア12のティース部12bに図示しないインシュレータを介して巻線4が(集中巻きにて)巻装され、その後、ティースコア12が環状コア11に固定されて製造される。そして、環状コア11を磁気回路の一部として利用している。又、本実施の形態の環状コア11は、埋込磁石型モータのハウジングをも構成している。
次に、上記実施の形態の特徴的な作用効果を以下に記載する。
(1)予め独立した状態の(環状コア11に固定されていない)ティースコア12のティース部12bに巻線4を巻装することで、最終的に周方向に隣り合うことになる他のティース部12bが邪魔になることなく、それぞれのティース部12bに巻線4を容易に巻装することができる。特に、本実施の形態のような埋込磁石型モータでは、ティースコア12のティース部12bが環状コア11から径方向内側に延びるものであり、ティース部12bの先端同士の間隔が狭くなるため、上記効果は顕著となる。よって、巻線4の占積率を容易に高くすることができる。
(1)予め独立した状態の(環状コア11に固定されていない)ティースコア12のティース部12bに巻線4を巻装することで、最終的に周方向に隣り合うことになる他のティース部12bが邪魔になることなく、それぞれのティース部12bに巻線4を容易に巻装することができる。特に、本実施の形態のような埋込磁石型モータでは、ティースコア12のティース部12bが環状コア11から径方向内側に延びるものであり、ティース部12bの先端同士の間隔が狭くなるため、上記効果は顕著となる。よって、巻線4の占積率を容易に高くすることができる。
又、環状コア11には周方向に複数の係合凹部11aが形成され、ティースコア12は係合凹部11aに係合される被係合凸部12aを有するため、環状コア11とティースコア12とを安定して(強固に)固定させることができる。
更に、係合凹部11a及び被係合凸部12aは、それらが嵌め合わされた際に隙間Sが形成されるように設定されるため、それらを嵌め合わせる組み付け作業が容易となる。
しかも、隙間Sには、充填工程によって、磁性粉体を含んだ接着剤21が充填されるため、該部分での磁気抵抗が小さくなり、環状コア11を磁気回路の一部として安定して利用することができる。よって、埋込磁石型モータの小型化を図りながら、モータ効率を高く安定させることができる。
しかも、隙間Sには、充填工程によって、磁性粉体を含んだ接着剤21が充填されるため、該部分での磁気抵抗が小さくなり、環状コア11を磁気回路の一部として安定して利用することができる。よって、埋込磁石型モータの小型化を図りながら、モータ効率を高く安定させることができる。
(2)環状コア11及びティースコア12は、それぞれ環状板材13,14及びティース板材15を軸方向に積層してなるため(軸方向に電流が流れ難くなるため)、それぞれにおいて渦電流損を低減することができる。しかも、磁性粉体を含んだ接着剤21においても軸方向に多層状態とされるため(軸方向に電流が流れ難くなるため)、該部分においても渦電流損を低減することができる。よって、モータ効率を高くすることができる。
(3)磁性粉体を含んだ接着剤21を1つの層に対応した分だけ充填して固化させる工程を繰り返すことで、電流の流れを阻害することができる境目を形成するようにしたため、容易に磁性粉体を含んだ接着剤21を多層状態とすることができる。
(4)磁性粉体を含んだ接着剤21における各層間の境目を、環状板材13及びティース板材15毎の軸方向中央部に配置している。言い換えると、環状板材13同士及びティース板材15同士の境目に接着剤21が配置されるように設定されているため、環状板材13及びティース板材15と接着剤21との軸方向の結合力が強くなる。よって、ステータコア3が強固となる。
上記実施の形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施の形態では、磁性粉体を含んだ接着剤21を1つの層に対応した分だけ充填して固化させる工程を繰り返すことで、磁性粉体を含んだ接着剤21を多層状態としたが、図5に示すように、磁性粉体を含んだ接着剤21における各層間に、絶縁物22を配設して多層状態としてもよい。即ち、この例では、磁性粉体を含んだ接着剤21と(溶融した)絶縁物22とを交互に充填し、固化させている。このようにすると、磁性粉体を含んだ接着剤21の各層間に電流が流れ無くなるので、該部分において渦電流損を低減することができる。
・上記実施の形態では、磁性粉体を含んだ接着剤21を1つの層に対応した分だけ充填して固化させる工程を繰り返すことで、磁性粉体を含んだ接着剤21を多層状態としたが、図5に示すように、磁性粉体を含んだ接着剤21における各層間に、絶縁物22を配設して多層状態としてもよい。即ち、この例では、磁性粉体を含んだ接着剤21と(溶融した)絶縁物22とを交互に充填し、固化させている。このようにすると、磁性粉体を含んだ接着剤21の各層間に電流が流れ無くなるので、該部分において渦電流損を低減することができる。
・上記実施の形態の係合凹部11a及び被係合凸部12aの少なくとも一方において、隙間Sを構成する面に、磁性粉体を含んだ接着剤21を流入させるための案内溝を形成してもよい。例えば、図6(a)(b)に示すように、ティースコア12における被係合凸部12aの前記隙間Sを構成する面に、磁性粉体を含んだテープ23を配設することで案内溝24を形成してもよい。即ち、テープ23は、微小な厚みを有し(図6(a)中、厚みは図示せず)、配設されない部分がテープ23表面に対して結果的に凹状となることで案内溝24が形成されている。又、この例のテープ23は、一対で構成され、案内溝24が軸方向に沿って形成されるとともに周方向にジグザグ状に形成されるように配設されている。また、この例のジグザグ状は、前記環状板材13及びティース板材15に対応して(1枚毎に傾きが変化するように)設定されている(図6(b)参照)。
このようにすると、案内溝24に対応した部分で磁性粉体を含んだ接着剤21が流れ易くなり、磁性粉体を含んだ接着剤21が隙間Sに流れ込まないといったことを回避でき、磁性粉体を含んだ接着剤21を容易に充填することができる。又、この例の案内溝24は、磁性粉体を含んだテープ23が配設されることで形成されるため、該部分での磁気抵抗を小さくしながら、容易に形成することができる。更に、この例の案内溝24は、軸方向に沿って形成されるとともに周方向にジグザグ状に形成され、軸方向に電流が流れ難くなるため、該部分においても渦電流損を低減することができる。尚、勿論、案内溝24の形状や形成方法は、この例に限定されず、変更してもよい。
・上記実施の形態の環状コア11における環状板材13の(軸方向の)表面に、図7(a)(b)に示すように、外部(径方向外側)から前記隙間Sに連通する導入溝25を形成してもよい。このようにすると、導入溝25を介して(例えば導入溝25にノズルを差し込んで)、隙間Sに磁性粉体を含んだ接着剤21を容易に充填することができる。
・上記実施の形態では、環状コア11及びティースコア12は、それぞれ環状板材13,14及びティース板材15を軸方向に積層してなるとしたが、これに限定されず、他の方法にて形成されるもの(例えば磁性粉体を焼結した焼結コア)としてもよい。
・上記実施の形態では、磁性粉体を含んだ接着剤21は軸方向に多層状態とされるとしたが、これに限定されず、軸方向に層(電流の流れを阻害することができる境目)がない均一な状態としてもよい。
・上記実施の形態では、磁性粉体を含んだ接着剤21における各層間の境目を、環状板材13及びティース板材15の軸方向中央部に配置したが、これに限定されず、環状板材13同士及びティース板材15同士の境目と接着剤21同士の境目が軸方向に一致するように配置(設定)してもよい。
・上記実施の形態の係合凹部11a及び被係合凸部12aは、互いに係合して互いを固定するための形状であれば、共に他の形状の係合部及び被係合部に変更してもよい。例えば、係合凹部11aを係合凸部とし、被係合凸部12aを被係合凹部としてもよい。
・上記実施の形態では、埋込磁石型モータに具体化したが、周方向に複数の係合部が形成される円形コアと、係合部に係合される被係合部と該被係合部から径方向に延びるティース部とを有するティースコアとを備えたものであれば、他の回転電機のコアに具体化してもよい。
上記各実施の形態から把握できる技術的思想について、以下にその効果とともに記載する。
(イ)請求項5又は6に記載の回転電機のコアにおいて、前記案内溝は、軸方向に沿って形成されるとともに、周方向にジグザグ状に形成されたことを特徴とする回転電機のコア。このようにすると、案内溝は、軸方向に沿って形成されるとともに、周方向にジグザグ状に形成され、軸方向に電流が流れ難くなるため、該部分においても渦電流損を低減することができる。
(イ)請求項5又は6に記載の回転電機のコアにおいて、前記案内溝は、軸方向に沿って形成されるとともに、周方向にジグザグ状に形成されたことを特徴とする回転電機のコア。このようにすると、案内溝は、軸方向に沿って形成されるとともに、周方向にジグザグ状に形成され、軸方向に電流が流れ難くなるため、該部分においても渦電流損を低減することができる。
(ロ)請求項2に記載の回転電機のコアの製造方法であって、前記磁性粉体を含んだ接着剤を1つの層に対応した分だけ充填して固化させる工程を繰り返すことで、軸方向に多層状態とすることを特徴とする回転電機のコアの製造方法。このようにすると、容易に磁性粉体を含んだ接着剤を多層状態とすることができる。
2…ロータ、3…ステータコア(コア)、6…V字永久磁石(永久磁石)、11…環状コア(円形コア)、11a…係合凹部(係合部)、12…ティースコア、12a…被係合凸部(被係合部)、13,14…環状板材(板材)、15…ティース板材(板材)、21…磁性粉体を含んだ接着剤、22…絶縁物、23…テープ、24…案内溝、25…導入溝、S…隙間。
Claims (9)
- 周方向に複数の係合部が形成される円形コアと、
前記係合部に係合される被係合部と該被係合部から径方向に延びるティース部とを有するティースコアと
を備えた回転電機のコアであって、
前記係合部及び前記被係合部は、それらが嵌め合わされた際に隙間が形成されるように設定され、
前記隙間には、磁性粉体を含んだ接着剤が充填されたことを特徴とする回転電機のコア。 - 請求項1に記載の回転電機のコアにおいて、
前記円形コア及び前記ティースコアは、それぞれ板材を軸方向に積層してなり、
前記磁性粉体を含んだ接着剤は、軸方向に多層状態とされたことを特徴とする回転電機のコア。 - 請求項2に記載の回転電機のコアにおいて、
前記磁性粉体を含んだ接着剤における各層間には、絶縁物が配設されたことを特徴とする回転電機のコア。 - 請求項2又は3に記載の回転電機のコアにおいて、
前記磁性粉体を含んだ接着剤における各層間の境目を、前記板材の軸方向中央部に配置したことを特徴とする回転電機のコア。 - 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の回転電機のコアにおいて、
前記係合部及び前記被係合部の少なくとも一方の前記隙間を構成する面には、前記接着剤を流入させるための案内溝が形成されたことを特徴とする回転電機のコア。 - 請求項5に記載の回転電機のコアにおいて、
前記案内溝は、前記係合部及び前記被係合部の少なくとも一方の前記隙間を構成する面に、磁性粉体を含んだテープが配設されることで形成されたことを特徴とする回転電機のコア。 - 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の回転電機のコアにおいて、
前記円形コア及び前記ティースコアは、それぞれ板材を軸方向に積層してなり、
前記板材の軸方向の表面には、前記隙間に連通する導入溝が形成されたことを特徴とする回転電機のコア。 - 周方向に複数の係合部が形成される円形コアと、
前記係合部に係合される被係合部と該被係合部から径方向に延びるティース部とを有するティースコアと
を備えた回転電機のコアの製造方法であって、
前記係合部及び前記被係合部は、それらが嵌め合わされた際に隙間が形成されるように設定し、
前記隙間に、磁性粉体を含んだ接着剤を充填する充填工程を備えたことを特徴とする回転電機のコアの製造方法。 - 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の回転電機のコアを備え、
前記円形コアは、略円筒状の環状コアであって、
前記ティースコアの前記ティース部は、前記環状コアから径方向内側に延びるものであって、
前記コアの内側には、永久磁石を有するロータが回転可能に支持されたことを特徴とする埋込磁石型モータ。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2005058986A JP2006246621A (ja) | 2005-03-03 | 2005-03-03 | 回転電機のコア、その製造方法、及び埋込磁石型モータ |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7372184B2 (en) * | 2004-08-25 | 2008-05-13 | Lg Electronics Inc. | Stator of motor |
JP2011244675A (ja) * | 2010-05-21 | 2011-12-01 | Ihi Corp | 分割型ステータの製造方法及び分割型ステータ |
TWI420785B (zh) * | 2010-03-04 | 2013-12-21 | Mitsubishi Electric Corp | 旋轉電機及旋轉電機之製造方法 |
JP2015136228A (ja) * | 2014-01-17 | 2015-07-27 | 三菱電機株式会社 | 積層鉄心、固定子、積層鉄心の製造方法、固定子の製造方法 |
-
2005
- 2005-03-03 JP JP2005058986A patent/JP2006246621A/ja active Pending
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