JP2006243526A - 表示装置、画素駆動方法 - Google Patents

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哲郎 山本
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勝秀 内野
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Abstract

【課題】nチャネルTFTによる画素回路において高品質な画像表示を可能とするとともに、コストダウンや歩留まり向上を可能とする。
【解決手段】画素回路は、有機EL素子1と、容量C1,C2と、nチャネル薄膜トランジスタT1〜T6で構成する。そして有機EL素子駆動トランジスタT5のゲート・ソース間に容量C2を持たせて経時劣化を補正する。即ち、容量によるブートストラップ機能(特性変動補償機能)を備え、電流駆動型の有機EL素子のI−V特性が経時変化しても、発光輝度を一定に保持する。また、駆動トランジスタT5のゲートを、トランジスタT2を介して固定電源Vofsに接続し、さらにトランジスタT4をオフとしてソースをフローティング状態とすることで、駆動トランジスタT5の閾値電圧Vthを容量C1,C2に充電する。さらに駆動トランジスタT5のゲートに信号線DTLからの入力電圧をカップリングさせる。
【選択図】図2

Description

本発明は、信号線と所要数の走査線が交差する部分に形成される画素回路がマトリクス状に配置されている画素アレイを有する表示装置であって、特に発光素子として有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)を用いた表示装置に関する。
特開2004−133240
有機EL素子を画素に用いた画像表示装置が開発されている。有機EL素子は自発光素子であることから、例えば液晶ディスプレイに比べて画像の視認性が高く、バックライトが不要であり、応答速度が速いなどの利点を有する。又、各発光素子の輝度レベル(階調)はそれに流れる電流値によって制御可能である(いわゆる電流制御型)。
有機ELディスプレイにおいては、液晶ディスプレイと同様、その駆動方式として単純マトリクス方式とアクティブマトリクス方式とがある。前者は構造が単純であるものの、大型且つ高精細のディスプレイの実現が難しいなどの問題がある為、現在はアクティブマトリクス方式の開発が盛んに行なわれている。この方式は、各画素回路内部の発光素子に流れる電流を、画素回路内部に設けた能動素子(一般には薄膜トランジスタ:TFT)によって制御するものである。
図12に一般的なアクティブマトリクス型有機EL表示装置のブロック図を示す。
この表示装置は、画素回路100がm×nのマトリクス状に配列された画素アレイ部103、水平セレクタ101、ライトスキャナ102、水平セレクタ101により選択され輝度情報に応じた信号が供給される信号線DTL1、DTL2・・・、ライトスキャナ102により選択駆動される走査線WSL1、WSL2・・・を有する。
図13には、図12に示した画素回路100の最も単純な構成例を示している。図示するように、この画素回路100は、nチャネルTFTによるサンプリングトランジスタTs、保持容量C10、pチャネルTFTによる駆動トランジスタTd、有機EL素子1を有する。この画素回路100は、信号線DTLと走査線WSLとの交差部に配され、信号線DTLはサンプリングトランジスタTsのドレインに接続され、走査線WSLはサンプリングトランジスタTsのゲートに接続されている。
駆動トランジスタTd及び有機EL素子1は、電源電位Vccと接地電位GNDの間で直列に接続されている。すなわち駆動トランジスタ1のソースが電源電位Vccに接続される一方、有機EL素子(発光素子)1のカソードが接地電位GNDに接続されている。一般に有機EL素子1は整流性がある為ダイオードの記号で表わしている。一方、サンプリングトランジスタTs及び保持容量C10は、駆動トランジスタTdのゲートに接続されている。駆動トランジスタTdのゲート・ソース間電圧をVgsで表わしている。
この画素回路100では、まず走査線WSLを選択状態とし、信号線DTLに信号を印加すると、サンプリングトランジスタTsが導通して信号が保持容量C10に書き込まれる。保持容量C10に書き込まれた信号電位が駆動トランジスタTdのゲート電位となる。走査線WSLを非選択状態とすると、信号線DTLと駆動トランジスタTdとは電気的に切り離されるが、駆動トランジスタTdのゲート電位Vgsは保持容量C10によって安定に保持される。そして電源電位Vccから接地電位GNDに向かって駆動電流が駆動トランジスタTd及び有機EL素子1を流れる。
このとき駆動トランジスタTd及び有機EL素子1に流れる電流Idsは、駆動トランジスタTdのゲート・ソース間電圧Vgsに応じた値となり、有機EL素子1はその電流値に応じた輝度で発光する。
つまりこの画素回路100の場合、保持容量C10に信号線DTLからの信号電位を各込むことによって駆動トランジスタTdのゲート印加電圧を変化させ、これにより有機EL素子1に流れる電流値をコントロールして発色の階調を得る。
pチャンネルTFTによる駆動トランジスタTdのソースは電源Vccに接続されており、常に飽和領域で動作するように設計されているので、駆動トランジスタTdは次の式1に示した値を持つ定電流源となる。
Ids=(1/2)・μ・(W/L)・Cox・(Vgs−Vth)2・・・(式1)
但し、Idsは飽和領域で動作するトランジスタのドレイン・ソース間に流れる電流、μは移動度、Wはチャネル幅、Lはチャネル長、Coxはゲート容量、Vthはトランジスタの閾値電圧を表している。
この式1から明らかな様に、飽和領域ではトランジスタのドレイン電流Idsはゲート・ソース間電圧Vgsによって制御される。図12に示した駆動トランジスタTdは、Vgsが一定に保持される為、定電流源として動作し、有機EL素子1を一定の輝度で発光させることができる。
ここで図14に、有機EL素子の電流−電圧(I−V)特性の経時変化を示す。実線で示す曲線が初期状態時の特性を示し、破線で示す曲線が経時変化後の特性を示している。一般的に、有機EL素子のI−V特性は、図示するように時間が経過すると劣化してしまう。そして図13の画素回路100においては、有機EL素子1の経時変化とともに、駆動トランジスタTdのドレイン電圧が変化してゆく。ところが図13の画素回路100では上記のようにゲート・ソース間電圧Vgsが一定であるので、有機EL素子1には一定量の電流が流れ、発光輝度は変化しない。つまり安定した階調制御ができる。
ところで図13に示した画素回路100は、pチャネル型の駆動トランジスタTdを用いて構成されているが、nチャネル型のTFTにより構成することができれば、TFT作成において従来のアモルファスシリコン(a−Si)プロセスを用いることが可能になる。これにより、TFT基板の低コスト化が可能となり、開発が期待されている。
図15は、図13に示した画素回路100のpチャネルTFTである駆動トランジスタTdをnチャネルTFTに置き換えた構成を示す回路図である。図示する様に、この場合の画素回路100は、nチャネル型のTFTとしてサンプリングトランジスタTs、駆動トランジスタTd、保持容量C10、有機EL素子1で構成されている。
この画素回路100では、駆動トランジスタTdのドレイン側が電源電位Vccに接続され、ソースは有機EL素子1のアノードに接続されており、ソースフォロワ回路を形成している。
ところが、このように駆動トランジスタTdをnチャネルTFTに置き換えた場合は、ソースが有機EL素子1に接続されてしまうため、図14に示したような有機EL素子1の経時変化とともにゲート・ソース間電圧Vgsが変化してしまう。これにより、有機EL素子1に流れる電流量が変化し、その結果発光輝度は変化してしまう。つまり適切な階調制御ができなくなる。
ここで、nチャネルの駆動トランジスタが有機EL素子1の経時変化の影響を受けない回路として、図16に示す回路が考えられている。
この画素回路100は、有機EL素子1、サンプリングトランジスタTs、駆動トランジスタTd、保持容量C20、トランジスタTgを備え、保持容量C20が駆動トランジスタTdのゲート・ソース間に接続されている。また、トランジスタTgは駆動トランジスタTdのソースノードと接地電位の間をオン/オフする。トランジスタTgはドライブスキャナ103によって駆動される走査線DSLがゲートラインとされ、走査線DSLの電位によってオン/オフ制御される。
この図16の画素回路100では、図17(a)の等価回路に示すように、サンプリングトランジスタTsをオンとし、信号線DTLからの入力信号電圧Vinを容量C20に書き込む時間に、トランジスタTgをオンすることで駆動トランジスタTdのソース電位を接地レベルに設定し、容量C20に充電される電圧を入力信号電圧Vinに確定させる。そして書き込みが終了した後、有機EL素子1の発光期間において、図17(b)のようにトランジスタTgをオフする。トランジスタTgがオフされることで、駆動トランジスタTdのソース電位は上昇し、有機EL素子1に電流Idsが流れ始める。
この場合、駆動トランジスタTdのソース電位の変動に関わらず、ゲート・ソース間には容量C20があるため、ゲート・ソース間の電位差は常に電圧Vinである。また、駆動トランジスタTdは飽和領域で動作しているので、この駆動トランジスタTdは定電流源となり、流れる電流値Idsはゲート・ソース間電圧Vgsによって上記式1で示された値となる。
これにより有機EL素子1の経時変化に伴って、駆動トランジスタTdのソース電位が変化したとしても、容量C20によってゲート・ソース間電位が一定に保たれているので、有機EL素子1に流れる電流は変わらず、その発光輝度も一定に保たれる。
ところが、薄膜トランジスタ(TFT)は一般的に移動度μや閾値電圧Vthのバラツキが大きいのが特徴である。しかも閾値電圧Vthは上記式1から明らかなように、電流Idsに対して2乗で影響する。そのために、駆動トランジスタTdのゲートに同じ電圧が印加されても、画素ごとに電流値は駆動トランジスタの閾値電圧Vthによって大きくばらついてしまう。つまり画素毎に発光輝度がばらついてしまい、均一な画質を得ることができず、高品質な画像表示が実現できないという課題があった。
そこで本発明では、nチャネルTFTによる画素回路を用いても、高品質な画像表示が可能であり、かつ構成を効率化できる表示装置、画素駆動方法を提供することを目的とする。
本発明の表示装置は、信号線と所要数の走査線が交差する部分に形成される画素回路がマトリクス状に配置された画素アレイを有する表示装置である。各画素回路は、有機エレクトロルミネッセンス素子と、第1,第2の容量と、nチャネル薄膜トランジスタによる第1,第2,第3,第4,第5,第6のトランジスタとを備える。そして上記第1のトランジスタの一端は上記信号線に接続され、上記第1のトランジスタの他端と上記第5のトランジスタのゲートとの間に上記第1の容量が接続され、上記第5のトランジスタのドレインが電源電位に接続され、上記第5のトランジスタのソースは上記第6,第4のトランジスタを介して上記有機エレクトロルミネッセンス素子に接続され、上記第5のトランジスタのゲートと固定電位との間に上記第2のトランジスタが接続され、上記第5のトランジスタのゲートと上記第6,第4のトランジスタの接続点との間に上記第2の容量が接続され、上記第6,第4のトランジスタの接続点と上記第1のトランジスタの他端との間に上記第3のトランジスタが接続される。ここで上記第1,第2,第3,第4,第6のトランジスタは、それぞれ対応する走査線によってオン/オフ制御されるとともに、上記第5のトランジスタは、そのゲート・ソース間電圧に応じた電流を上記有機エレクトロルミネッセンス素子に流すように構成されている。
またこの画素回路においては、上記第1,第4のトランジスタをオフとし、上記第2,第3,第6のトランジスタをオンとすることで、上記第1,第2の容量に、上記第5のトランジスタの閾値電圧が充電される。
また上記第1,第4のトランジスタをオンとし、上記第2,第3,第6のトランジスタをオフとすることで、上記信号線の信号電位を上記第1のトランジスタと上記第1の容量の接続点に入力し、該接続点の電圧変化量を、上記第1,第2の容量によるカップリング量で、上記第5のトランジスタのゲートにカップリングさせる。
また上記固定電位は、上記電源電位とする。
本発明の画素駆動方法は、上記構成の表示装置の画素回路における画素駆動方法であり、上記第1,第4のトランジスタをオフとし、上記第2,第3,第6のトランジスタをオンとすることで上記第1,第2の容量に上記第5のトランジスタの閾値電圧を充電させるステップと、上記第1,第4のトランジスタをオンとし、上記第2,第3,第6のトランジスタをオフとすることで、上記信号線の信号電位を上記第1のトランジスタと上記第1の容量の接続点に入力し、該接続点の電圧変化量を、上記第1,第2の容量によるカップリング量で、上記第5のトランジスタのゲートにカップリングさせるステップと、上記第5のトランジスタが、そのゲート・ソース間電圧に応じた電流を上記有機エレクトロルミネッセンス素子に流して発光させるステップとを備える。
即ち本発明では画素回路は、有機EL素子と、第1,第2の容量と、第1〜第6のnチャネル薄膜トランジスタで構成されている。
そして有機EL素子に対する駆動トランジスタである第5のトランジスタのゲート・ソース間に容量を持たせることで、有機EL素子の経時劣化を補正する。即ち、容量によるブートストラップ機能(特性変動補償機能)を備えるようにし、電流駆動型の有機EL素子のI−V特性が経時変化しても、発光輝度を一定に保持する。
また、駆動トランジスタ(第5のトランジスタ)のゲートを、第2のトランジスタを介して固定電源に接続し、さらに第4のトランジスタをオフとしてソースをフローティング状態とすることで、駆動トランジスタ(第5のトランジスタ)の閾値電圧を容量に充電する。さらに駆動トランジスタ(第5のトランジスタ)のゲートに信号線からの入力電圧をカップリングさせる。以上の動作により、駆動トランジスタの閾値電圧のバラツキを抑え、ユニフォーミティのよい画質を得る。
本発明によれば、有機EL素子のI−V特性が経時変化しても、輝度劣化の無いソースフォロワー出力が実現でき、また駆動トランジスタの閾値電圧変動によっても安定して有機EL素子を駆動できるため、nチャネルTFTによる画素回路を用いた表示装置として、表示画像の高画質化を実現できる。
また、それにより、トランジスタを全てnチャンネルTFTで構成し、現状のアノード・カソード電極を用いたままで、ソースフォロワーが可能となり、アノード接続のできる回路構成を実用化できる。このため一般的なアモルファスシリコンのプロセスを導入することが可能となり、低コスト化が促進できる。
また駆動トランジスタの閾値電圧のバラツキのキャンセルが容易に行えるため、画素ごとの電流値のバラツキを低減することができ、均一な画質を得ることができる。
さらには、画素回路内での電源ライン数を削減できる。例えば固定電位と電源電位の2つの電源ラインのみとできる。或いは固定電位として電源電位を用いれば電源電位のみの1つの電源ラインとすることができる。これによって低コスト化、高歩留まり化、高精細化が促進できる。
以下、本発明の表示装置の実施の形態を、次の順序で説明する。
[1.実施の形態の表示装置構成]
[2.第1の実施の形態の画素回路]
[3.第2の実施の形態の画素回路]
[4.実施の形態の電源ライン数削減効果]
[1.実施の形態の表示装置構成]

図1で実施の形態の表示装置の構成を説明する。
本例の表示装置は後述するように、発光素子である有機EL素子の特性変動及び駆動トランジスタの閾値電圧変動に対する補償機能を備えた画素回路を含むものである。
図1に示すように、この表示装置は、画素回路10がm行×n列のマトリクス状に配列された画素アレイ部20、水平セレクタ11、第1ドライブスキャナ12、第2ドライブスキャナ13、ライトスキャナ14、第1AZスキャナ15、第2AZスキャナ16を備える。
また水平セレクタ11により選択され、輝度情報に応じた映像信号を画素回路10に対する入力信号として供給する信号線DTL1、DTL2・・・が、画素アレイ部20に対して列方向に配されている。信号線DTL1、DTL2・・・は、画素アレイ部20においてマトリクス配置された画素回路10の列数分だけ配される。
また画素アレイ部20に対して、行方向に走査線WSL−1,WSL−2・・・、走査線DSL1−1,DSL1−2・・・、走査線DSL2−1,DSL2−2・・・、走査線AZL1−1,AZL1−2・・・、走査線AZL2−1,AZL2−2・・・、が配されている。これらの走査線はそれぞれ、画素アレイ部20においてマトリクス配置された画素回路10の行数分だけ配される。
走査線WSL(WSL−1,WSL−2・・・)はライトスキャナ14により選択駆動される。
走査線DSL1(DSL1−1,DSL1−2・・・)は第1ドライブスキャナ12により選択駆動される。
走査線DSL2(DSL2−1,DSL2−2・・・)は第2ドライブスキャナ13により選択駆動される。
走査線AZL1(AZL1−1,AZL1−2・・・)は第1AZスキャナ15により選択駆動される。
走査線AZL2(AZL2−1,AZL2−2・・・)は第2AZスキャナ16により選択駆動される。
第1ドライブスキャナ12、第2ドライブスキャナ13、ライトスキャナ14、第1AZスキャナ15、第2AZスキャナ16は、それぞれ入力されるスタートパルスspとクロックckを基準として、設定された所定のタイミングで各走査線に選択パルス(走査パルス)を与える。
[2.第1の実施の形態の画素回路]

このような表示装置における画素回路10の構成例を図2で説明する。
図2では簡略化のため、信号線DTLと、走査線WSL,DSL1,DSL2,AZL1,AZL2が交差する部分に配される1つの画素回路10のみを示している。
この画素回路10は、発光素子である有機EL素子1と、2個の容量C1、C2と、6個のnチャネル薄膜トランジスタT1,T2,T3,T4,T5,T6とで構成されている。以下では、特にトランジスタT1をサンプリングトランジスタT1、トランジスタT5を駆動トランジスタT5と呼ぶ。トランジスタT2,T3,T4,T6についてはそれぞれスイッチングトランジスタと記す。
サンプリングトランジスタT1は、ゲートが走査線WSLに接続されている。
サンプリングトランジスタT1のソース/ドレインの一方は信号線DTLに接続され、他方は容量C1の一端に接続されている。
なお、サンプリングトランジスタT1と容量C1の接続点をノードNAとする。
容量C1の他端は、駆動トランジスタT5のゲートに接続される。なお、駆動トランジスタT5のゲートノードをノードNBとする。
駆動トランジスタT5のゲート(ノードNB)は、スイッチングトランジスタT2を介して固定電位Vofsに接続される。
スイッチングトランジスタT2のゲートは走査線AZL1に接続されている。
駆動トランジスタT5のドレインは電源電位Vccに接続されている。
また駆動トランジスタT5のソースは、スイッチングトランジスタT6,T4を介して有機EL素子1のアノードに接続されている。
有機EL素子1のカソードはカソード電位Vcatに接続される。
スイッチングトランジスタT6のゲートは走査線DSL1に接続される。
スイッチングトランジスタT4のゲートは走査線DSL2に接続される。
なおスイッチングトランジスタT6,T4の接続点をノードNDとし、また有機EL素子1のアノード点をノードNCとしている。
容量C2は、ノードNB、ND間に接続される。スイッチングトランジスタT6がオン状態にある場合、容量C2は駆動トランジスタT5のゲート・ソース間に接続されている状態となる。
またノードND,NA間にはスイッチングトランジスタT3が接続されている。
スイッチングトランジスタT3のゲートは走査線AZL2に接続される。
サンプリングトランジスタT1は走査線WSLの走査パルスによってオン/オフ制御される。サンプリングトランジスタT1がオンとされることで、信号線DTLからの入力信号VinがノードNAに入力される。
また駆動トランジスタT5は飽和領域で動作するように設計されており、スイッチングトランジスタT6,T4がオン状態にあるときに、駆動トランジスタT5は、そのゲート・ソース間電圧に応じた電流を有機EL素子1に流すように構成されている、
スイッチングトランジスタT2は走査線AZL1の走査パルスによってオン/オフされる。スイッチングトランジスタT2がオンとされることで、ノードNBが固定電位Vofsに接続される。
スイッチングトランジスタT3は走査線AZL2の走査パルスによってオン/オフされる。スイッチングトランジスタT3がオンとされることで、ノードNAとノードNDが接続される。
スイッチングトランジスタT4は走査線DSL2の走査パルスによってオン/オフされる。スイッチングトランジスタT4がオンとされることで、ノードNCとノードNDが接続される。
スイッチングトランジスタT6は走査線DSL1の走査パルスによってオン/オフされる。スイッチングトランジスタT6がオンとされることで、ノードNDと駆動トランジスタT5のソースが接続される。
この図2の画素回路10の構成において実行される動作を図3〜図7で説明する。
図3に走査線WSL、AZL1、AZL2、DSL2、DSL1のタイミングチャートを示している。これは上記構成からわかるように、それぞれサンプリングトランジスタT1、スイッチングトランジスタT2,T3,T4,T6のオン/オフタイミングとなる。またこの図3には、駆動トランジスタT5のゲート電圧(ノードNB)と、ノードNDの電圧の変化を示している。また、図4〜図7には各時点の等価回路を示している。
図3のタイミングチャートは、発光素子である有機EL素子1が発光駆動される1サイクル、つまり画像表示の1フレーム期間を表している。1フレーム期間は、有機EL素子1の非発光期間と発光期間から成り、例えば時点tm0が、前回の1フレームの終了タイミング、かつ今回の1フレームの開始タイミングとしている。
まず、時点tm0までの有機EL素子1の発光期間においては、走査線DSL1,DSL2がハイレベル、走査線WSL,AZL1,AZL2はローレベルとされており、従って図4(a)に示すように、スイッチングトランジスタT6,T4がオン、サンプリングトランジスタT1とスイッチングトランジスタT2,T3はオフとなっている。
駆動トランジスタT5は飽和領域で動作するように設計されているため、有機EL素子1に流れる電流Idsは、駆動トランジスタT5のゲート・ソース間電圧に応じて、上述した式1で示される値をとる。
時点tm0になり、1フレームの開始タイミングになると、走査線AZL1,AZL2がハイレベルとされ、図4(b)のようにスイッチングトランジスタT2,T3がオンとされる。これによって、駆動トランジスタT5のゲート電圧(ノードNB)は固定電位Vofsの電圧値に充電され、また駆動トランジスタT5のソース電圧とノードNAは同電位となる。なおスイッチングトランジスタT2,T3はどちらが先にオンしてもよい。
次に時点tm1では駆動トランジスタT5の閾値検出が開始される。このため走査線DSL2がローレベルとされ、図5(a)のようにスイッチングトランジスタT4がオフされる。
スイッチングトランジスタT4がオフとなることで、ノードNCの電圧は有機EL素子1の閾値電圧Vthelとなる。また、駆動トランジスタT5のソース電圧は図5(b)のように時間と共に緩やかに上昇していき、一定時間経過後、駆動トランジスタT5のゲート・ソース間電圧は、駆動トランジスタT5の閾値電圧Vthとなる。このとき、容量C1、C2にはともに閾値電圧Vthが充電される。即ち駆動トランジスタT5の閾値電圧が検出されたことになる。
この閾値電圧検出動作の後は、時点tm2で走査線AZL1がローレベルとされ、図6(a)のようにスイッチングトランジスタT2がオフとされる。スイッチングトランジスタT2がオフとなることで、駆動トランジスタT5のゲート電圧、ソース電圧は、閾値電圧Vthという電位差を保ったまま緩やかに上昇してゆく。この上昇は駆動トランジスタT5のソース電圧が電源電位Vccと同電位となったところで止まる。
その後、時点tm3で走査線DSL2をハイレベルとし、図6(b)のようにスイッチングトランジスタT4をオン状態とする。スイッチングトランジスタT4をオンとすることで駆動トランジスタT5のソース電圧とノードNAは有機EL素子1の閾値電圧Vthelまで下降する。そのとき、駆動トランジスタT5のゲート電圧(ノードNB)はVthel+Vthという値となる。
次に、時点tm4に走査線AZL2をローレベルとしてスイッチングトランジスタT3をオフとし、また時点tm5に走査線DSL1をローレベルとしてスイッチングトランジスタT6をオフとする。
さらに時点tm6に、走査線WSLをハイレベルとしてサンプリングトランジスタT1をオンとする。これによって時点tm6〜tm7は、図7(a)に示すようになり、信号線DTLからの信号Vinの書込期間となる。
すなわちこのとき、ノードNAに信号線DTLからの信号電圧Vinが入力され、このノードNAの電圧変化量を、駆動トランジスタT5のゲートにカップリングさせる。
このカップリング量ΔVは、容量C1、C2、有機EL素子1の寄生容量C3及び駆動トランジスタT5の寄生容量CTFTによって、式2のように決定される(図7(b))。
ΔV={C1/(C1+((C2+CTFT)・C3)/(C2+CTFT+C3))}(Vin−Vthel) ・・・式2
ここで寄生容量C3が容量C1、C2に比べて非常に大きければ、駆動トランジスタT5のゲートへのカップリング量はC1、C2のみによって決定される。
時点tm7に走査線WSLをローレベルとしてサンプリングトランジスタT1をオフとし、書込動作を終了させた後は、時点tm8において走査線DSL1をハイレベルとしてスイッチングトランジスタT6をオンする。
このとき駆動トランジスタT5のゲート・ソース間電圧は容量C2によって一定に保たれるので、駆動トランジスタT5は一定電流Idsを有機EL素子1に流す。これによってノードNBの電位はEL素子にIdsという電流が流れる電圧まで上昇し、有機EL素子1は発光する。
本実施の形態の画素回路10の動作は以上のようになるが、この画素回路10においても、有機EL素子1は発光時間が長くなるとそのI−V特性は変化してしまう。そのためノードNBの電位も変化する。しかしながら、駆動トランジスタT5のゲート・ソース間電圧は容量C2によって一定値に保たれているので有機EL素子1に流れる電流は変化しない。よって有機EL素子1のI−V特性が劣化しても、一定電流Idsが常に流れ続け、有機EL素子1の輝度が変化することはない。
また、駆動トランジスタT5のゲートをスイッチングトランジスタT2をオンとすることで固定電位Vofsに接続し、スイッチングトランジスタT4をオフとして駆動トランジスタT5のソースをフローティング状態として、容量C1、C2に駆動トランジスタT5の閾値電圧を充電する。そしてさらに駆動トランジスタT5のゲートに入力電圧Vinをカップリングさせる。この動作により、駆動トランジスタT5の閾値電圧のバラツキを抑え、ユニフォーミティのよい画質を得ることができる。
これらのことから、本実施の形態によれば、画素回路10にnチャンネルTFTを用いた表示装置として、表示画像の高画質化を実現できる。
また、それにより、トランジスタを全てnチャンネルTFTで構成し、現状のアノード・カソード電極を用いたままで、ソースフォロワーが可能となり、アノード接続のできる回路構成を実用化できる。このため一般的なアモルファスシリコンのプロセスを導入することが可能となり、低コスト化が促進できる。
[3.第2の実施の形態の画素回路]

図8に第2の実施の形態としての画素回路10を示す。
基本的には第1の実施の形態の画素回路10と同様の回路であり、その動作も同様であるが、この場合、図示するように、電源電位Vccとは独立した固定電位Vofsは用意されず、駆動トランジスタT5のゲートに対してスイッチングトランジスタT2を介して接続する固定電位を、電源電位Vccとしている。
つまり、本例では、固定電位を画素内の電源電圧と共通化している。この構成によれば、画素内の電源ラインの数を最小、つまり電源電位Vccラインのみとすることができる。
[4.実施の形態の電源ライン数削減効果]

ところで、上記第1の実施の形態の場合は、画素回路内に配設される電源ラインは、固定電位Vofsと電源電位Vccの2本のラインとなる。また第2の実施の形態の場合は電源電位Vccのラインのみの1本となる。これにより画素に対する配線レイアウト上の利点、つまり画素回路上に配するライン数の削減効果を得ることができる。これについて説明する。なおカソード電位Vcatは、画素回路内に配設されるものではない。
表示装置構成を図1で説明したが、画素アレイ部20には、実際には画素回路10としてR(赤)、G(緑)、B(青)のそれぞれに対応した画素回路が配される。
即ち図9に示すように、赤画素回路10R、緑画素回路10G、青画素回路10Bの組で1つのカラー画素ユニットとなり、このカラー画素ユニットがマトリクス状に配置される。
図9には、このようなカラー画素ユニットに対する信号線と走査線のみを示している。即ち走査線としては、各行毎に、上述した走査線WSL(WSL−1,WSL−2・・・)、走査線DSL1(DSL1−1,DSL1−2・・・)、走査線DSL2(DSL2−1,DSL2−2・・・)、走査線AZL1(AZL1−1,AZL1−2・・・)、走査線AZL2(AZL2−1,AZL2−2・・・)が配置される。従って1つのカラー画素ユニット単位で見れば、5本の走査線が画素回路に対して配設される。
一方、列方向のラインとしては、信号線DTL(DTL1,DTL2・・・)が配設されるが、1つの画素回路10R、10G、10Bにつきそれぞれ信号線DTLr、DTLg、DTLbが配設されるため、1つのカラー画素ユニット単位で見れば3本の信号線が設けられることになる。
ここで、図10(a)に参考例としての画素回路30を示す。この画素回路10は本出願人の先の出願にかかる画素回路であり、有機EL素子1と、nチャネルTFTとしてのトランジスタT11、T12,T13,T14,T15と、容量C20とにより構成される。この画素回路30は、トランジスタT11〜T14がそれぞれ所定の走査線でオン/オフ制御される。電源ラインとしては、電源電位Vcc、固定電位Vofs、固定電位Vssの3本が必要とされる。
この場合、1つの画素回路30に対しては、図10(b)のように行方向に4本の走査線(ゲートライン)が配設され、列方向には、信号線DTLと、3本の電源ラインが配設される。つまり4本の横ラインと4本の縦ラインが設けられる。
すると、図9のようにR、G、Bの各画素回路から成るカラー画素ユニット単位で考えると、4本の横ラインと、4×3=12本の縦ラインが設けられることになる。つまり1つのカラー画素ユニットに対して4+12=16本のラインが配設される。
これに対して上記第1,第2の実施の形態の場合のライン数は図11のようになる。
まず第1の実施の形態の場合、1つの画素回路10に対しては、図11(a)のようにトランジスタT1、T2,T3,T4,T6に対するゲートラインが横ラインとして設けられ、また縦ラインとしては、信号線DTLと、電源電位Vcc及び固定電位Vofsとしての2本の電源ラインが設けられる。
すると、1つのカラー画素ユニット単位でみると、5本の横ラインと、3×3=9本の縦ラインが設けられることになる。つまり1つのカラー画素ユニットに対して5+9=14本のラインが配設される。
さらに第2の実施の形態の場合、1つの画素回路10に対しては、図11(b)のように、トランジスタT1、T2,T3,T4,T6に対するゲートラインが横ラインとして設けられ、また縦ラインとしては、信号線DTLと、電源電位Vccラインが設けられる。
すると、1つのカラー画素ユニット単位でみると、5本の横ラインと、2×3=6本の縦ラインが設けられることになる。つまり1つのカラー画素ユニットに対して5+6=11本のラインが配設される。
このことからわかるように、本実施の形態では電源ライン数を削減できることで、RGB画素ユニット単位で配設ライン数を効果的に削減でき、特に第2の実施の形態の場合は、そのライン数削減効果は高い。
配設すべきライン数が少なくできることで、画素アレイ部20としてのレイアウトの自由度の拡大や、表示装置としての低コスト化、高歩留まり化、さらには高精細化が促進できる。
本発明の実施の形態の表示装置のブロック図である。 第1の実施の形態の画素回路の回路図である。 実施の形態の画素回路の動作の説明図である。 実施の形態の動作説明のための等価回路図である。 実施の形態の動作説明のための等価回路図とソース電圧変化の説明図である。 実施の形態の動作説明のための等価回路図である。 実施の形態の動作説明のための等価回路図である。 第2の実施の形態の画素回路の回路図である。 実施の形態の画素の構成の説明図である。 参考例の画素回路のライン数の説明図である。 実施の形態の画素回路のライン数の説明図である。 従来の有機EL表示装置のブロック図である。 従来の有機EL表示装置の画素回路の回路図である。 有機ELの経時変化の説明図である。 従来の有機EL表示装置の画素回路の回路図である。 有機ELの経時変化に対応する画素回路の回路図である。 有機ELの経時変化に対応する画素回路の動作の説明図である。
符号の説明
1 有機EL素子、10 画素回路、11 水平セレクタ、12 第1ドライブスキャナ、13 第2ドライブスキャナ、14 ライトスキャナ、15 第1AZスキャナ、16 第2AZスキャナ、C1,C2 容量、T1 サンプリングトランジスタ、T2,T3、T4,T6 スイッチングトランジスタ、T5 駆動トランジスタ、WSL,DSL1,DSL2,AZL1,AZL2 走査線、DTL 信号線

Claims (5)

  1. 信号線と所要数の走査線が交差する部分に形成される画素回路がマトリクス状に配置された画素アレイを有する表示装置であって、
    各画素回路は、有機エレクトロルミネッセンス素子と、第1,第2の容量と、nチャネル薄膜トランジスタによる第1,第2,第3,第4,第5,第6のトランジスタとを備え、
    上記第1のトランジスタの一端は上記信号線に接続され、
    上記第1のトランジスタの他端と上記第5のトランジスタのゲートとの間に上記第1の容量が接続され、
    上記第5のトランジスタのドレインが電源電位に接続され、
    上記第5のトランジスタのソースは、上記第6,第4のトランジスタを介して上記有機エレクトロルミネッセンス素子に接続され、
    上記第5のトランジスタのゲートと固定電位との間に上記第2のトランジスタが接続され、
    上記第5のトランジスタのゲートと、上記第6,第4のトランジスタの接続点との間に上記第2の容量が接続され、
    上記第6,第4のトランジスタの接続点と、上記第1のトランジスタの他端との間に上記第3のトランジスタが接続され、
    上記第1,第2,第3,第4,第6のトランジスタは、それぞれ対応する走査線によってオン/オフ制御されるとともに、
    上記第5のトランジスタは、そのゲート・ソース間電圧に応じた電流を上記有機エレクトロルミネッセンス素子に流すように構成されている、
    ことを特徴とする表示装置。
  2. 上記第1,第4のトランジスタをオフとし、上記第2,第3,第6のトランジスタをオンとすることで、上記第1,第2の容量に、上記第5のトランジスタの閾値電圧が充電されることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
  3. 上記第1,第4のトランジスタをオンとし、上記第2,第3,第6のトランジスタをオフとすることで、上記信号線の信号電位を上記第1のトランジスタと上記第1の容量の接続点に入力し、該接続点の電圧変化量を、上記第1,第2の容量によるカップリング量で、上記第5のトランジスタのゲートにカップリングさせることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
  4. 上記固定電位は、上記電源電位であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
  5. 信号線と所要数の走査線が交差する部分に形成される画素回路がマトリクス状に配置された画素アレイを有する表示装置であって、
    各画素回路は、有機エレクトロルミネッセンス素子と、第1,第2の容量と、nチャネル薄膜トランジスタによる第1,第2,第3,第4,第5,第6のトランジスタとを備え、
    上記第1のトランジスタの一端は上記信号線に接続され、
    上記第1のトランジスタの他端と上記第5のトランジスタのゲートとの間に上記第1の容量が接続され、
    上記第5のトランジスタのドレインが電源電位に接続され、
    上記第5のトランジスタのソースは、上記第6,第4のトランジスタを介して上記有機エレクトロルミネッセンス素子に接続され、
    上記第5のトランジスタのゲートと固定電位との間に上記第2のトランジスタが接続され、
    上記第5のトランジスタのゲートと、上記第6,第4のトランジスタの接続点との間に上記第2の容量が接続され、
    上記第6,第4のトランジスタの接続点と、上記第1のトランジスタの他端との間に上記第3のトランジスタが接続され、
    上記第1,第2,第3,第4,第6のトランジスタは、それぞれ対応する走査線によってオン/オフ制御される表示装置における画素駆動方法として、
    上記第1,第4のトランジスタをオフとし、上記第2,第3,第6のトランジスタをオンとすることで、上記第1,第2の容量に、上記第5のトランジスタの閾値電圧を充電させるステップと、
    上記第1,第4のトランジスタをオンとし、上記第2,第3,第6のトランジスタをオフとすることで、上記信号線の信号電位を上記第1のトランジスタと上記第1の容量の接続点に入力し、該接続点の電圧変化量を、上記第1,第2の容量によるカップリング量で、上記第5のトランジスタのゲートにカップリングさせるステップと、
    上記第5のトランジスタが、そのゲート・ソース間電圧に応じた電流を上記有機エレクトロルミネッセンス素子に流して発光させるステップと、
    を備えることを特徴とする画素駆動方法。
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