JP2006243450A - 三次元画像表示方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 従来の三次元画像表示方法では実現されなかった、あらゆる方向から観察することができ、背景との融合が可能であり、且つ自然な三次元画像を表示する。
【解決手段】 不可視領域に励起波長を有し、可視領域に発光波長を有する発光性物質を含有する透明樹脂薄板を所定速度で回転させることにより投影空間を形成し、前記発光性物質の励起光を、回転する前記透明樹脂薄板の位置と同期させて照射することにより、前記投影空間に所定の画像を描く。励起光は紫外光であるため、観察されない。回転数を上げることにより、至って簡単に動画化を行うこともできる。発光波長及び励起波長の組合せが異なる複数の発光性物質を含有する透明樹脂薄板を用いることにより、カラー化を図ることも可能である。投影空間を形成するために、薄板を振動させてもよい。
【選択図】 図1
【解決手段】 不可視領域に励起波長を有し、可視領域に発光波長を有する発光性物質を含有する透明樹脂薄板を所定速度で回転させることにより投影空間を形成し、前記発光性物質の励起光を、回転する前記透明樹脂薄板の位置と同期させて照射することにより、前記投影空間に所定の画像を描く。励起光は紫外光であるため、観察されない。回転数を上げることにより、至って簡単に動画化を行うこともできる。発光波長及び励起波長の組合せが異なる複数の発光性物質を含有する透明樹脂薄板を用いることにより、カラー化を図ることも可能である。投影空間を形成するために、薄板を振動させてもよい。
【選択図】 図1
Description
本発明は、所定の空間に三次元画像や三次元動画を表示するための装置、及びその方法に関する。なお、本願においていう「画像」には、従来技術を除き、特に断りのない場合には「動画」も含まれるものとする。
従来より、立体画像や立体動画を表示することを目的とする数々の方法が考案されてきた。これらの種類は多岐に渡るが、大別すると以下の3方式に分類することが可能である。
(1)2眼ステレオ表示方式
水平方向に両目の間隔だけ異なる視差を有する二枚の平面画像を観察者の両目に同時に見せることにより立体感を与える方式。二眼式のぞきめがね、パララクス・ステレオグラム、レンティキュラ板二眼式画像などをはじめとする、数多くの方法が存在している。
水平方向に両目の間隔だけ異なる視差を有する二枚の平面画像を観察者の両目に同時に見せることにより立体感を与える方式。二眼式のぞきめがね、パララクス・ステレオグラム、レンティキュラ板二眼式画像などをはじめとする、数多くの方法が存在している。
この方式は、平面画像は基本的には被写体を特定の一方向から観察した情報しか有さないため、観察者が移動して観察位置を変化させても見え方が変化しない、いわゆる一点透視投影画像方式である。
視差方向数を増やし、運動視差を設けることにより、観察者が観察位置を変化させるとその位置に応じて見え方が変化する多眼方式も、この2眼ステレオ表示方式に分類される。しかし、眼の輻輳(眼球を内側に寄せる運動)と調節(水晶体による焦点を合わせる運動)とに矛盾が生じるために、再生像が不自然となり、観察者が眼疲労を引き起こしやすいという欠点がある。
視差方向数を増やし、運動視差を設けることにより、観察者が観察位置を変化させるとその位置に応じて見え方が変化する多眼方式も、この2眼ステレオ表示方式に分類される。しかし、眼の輻輳(眼球を内側に寄せる運動)と調節(水晶体による焦点を合わせる運動)とに矛盾が生じるために、再生像が不自然となり、観察者が眼疲労を引き起こしやすいという欠点がある。
(2)体積表示方式
所定の空間内で高速移動する二次元スクリーンに画像を次々と投影し、残像効果により奥行きを持った三次元画像を知覚させる方式(例えば、特許文献1など)。この方式は、さらに、光散乱曲面回転方式、平面光源列走査方式、奥行き面サンプリング方式などに分類することが可能である。
二次元スクリーンの移動速度がちらつきを感じない程度に十分に高速ならば、眼の輻輳と調節に矛盾が生じないため、画像の見え方は自然であり、眼疲労も発生しない。また、投影する画像を変化させることによって、動画を描くこともできる。
しかしこの方式においては、二次元スクリーンが不透明であるため、立体像と背景とを同一化することができず、自由度の高い表現に限界がある。
所定の空間内で高速移動する二次元スクリーンに画像を次々と投影し、残像効果により奥行きを持った三次元画像を知覚させる方式(例えば、特許文献1など)。この方式は、さらに、光散乱曲面回転方式、平面光源列走査方式、奥行き面サンプリング方式などに分類することが可能である。
二次元スクリーンの移動速度がちらつきを感じない程度に十分に高速ならば、眼の輻輳と調節に矛盾が生じないため、画像の見え方は自然であり、眼疲労も発生しない。また、投影する画像を変化させることによって、動画を描くこともできる。
しかしこの方式においては、二次元スクリーンが不透明であるため、立体像と背景とを同一化することができず、自由度の高い表現に限界がある。
(3)空間像再生方式
被写体からの光線・光波そのものを再生する方式。実物を観察するのと同じ効果を得ることができる。ホログラフィ方式、キノフォーム方式、光線再生法、インテグラル・フォトグラフィ(IP:Integral Photography)などがある。
この方式は、上記(1)、(2)の方式と比較して、最も自然な立体像を表示することが可能な方法であるが、一般に、視野角や再生画像の奥行き長と、分解能とが相反関係にある。その他、例えば、再生像が不鮮明であったり、カラー化が困難(ホログラフィ方式)であるとか、広い視野角、大きな飛び出し感、高い分解能を同時に実現することが困難であったり(光線再生法)、像の見え方の自然さの改良が期待される(IP方式)など、課題も存在している。
被写体からの光線・光波そのものを再生する方式。実物を観察するのと同じ効果を得ることができる。ホログラフィ方式、キノフォーム方式、光線再生法、インテグラル・フォトグラフィ(IP:Integral Photography)などがある。
この方式は、上記(1)、(2)の方式と比較して、最も自然な立体像を表示することが可能な方法であるが、一般に、視野角や再生画像の奥行き長と、分解能とが相反関係にある。その他、例えば、再生像が不鮮明であったり、カラー化が困難(ホログラフィ方式)であるとか、広い視野角、大きな飛び出し感、高い分解能を同時に実現することが困難であったり(光線再生法)、像の見え方の自然さの改良が期待される(IP方式)など、課題も存在している。
上記のような従来技術の有する課題に鑑み、本発明に係る三次元画像表示装置は、以下に挙げる特長を全て兼ね備えた、従来存在しなかった三次元画像表示技術を提供することを目的とする。
(1)観察時に眼の輻輳と調節との矛盾が存在しない、自然な三次元画像を表示する。
(2)全立体角から三次元画像を観察することが可能。
(3)三次元画像のカラー化、動画化が可能。
(4)三次元画像と背景とが融合可能。
(5)三次元画像が鮮明で、分解能が高い。
(1)観察時に眼の輻輳と調節との矛盾が存在しない、自然な三次元画像を表示する。
(2)全立体角から三次元画像を観察することが可能。
(3)三次元画像のカラー化、動画化が可能。
(4)三次元画像と背景とが融合可能。
(5)三次元画像が鮮明で、分解能が高い。
上記課題を解決するために成された本発明に係る三次元画像表示装置は、不可視領域に励起波長を有し、可視領域に発光波長を有する発光性物質を含有する透明樹脂薄板と、前記透明樹脂薄板を所定の速度で回転させる回転機構と、回転する前記樹脂薄板によって形成される投影空間に所定の画像を描くために、前記発光性物質の励起光を、回転する前記透明樹脂薄板の位置と同期させて照射する励起光照射機構と、を備えることを特徴とする。
本発明に係る三次元画像表示装置による三次元画像の表示方法について、本装置の概略構成図である図1に基づき説明する。本発明の三次元画像表示装置は、不可視領域に励起波長を有し、可視領域に発光波長を有する発光性物質に対して所定の不可視領域波長の励起光を入射すると、所定の可視光領域波長での発光が得られることを利用し、三次元空間内の任意の点を発光させることにより、任意の画像を描画するものである。
まず、発光性物質を一様に含有した透明樹脂薄板1を用意する。この透明樹脂薄板1に対して励起光が入射されると、励起光が入射された箇所(発光点)において、発光性物質が発光する。正確には、透明樹脂薄板1は所定の厚みを当然に有しているため、透明樹脂薄板1の表面においてのみならず、厚み方向(内部)においても、励起光によって励起される全ての発光性物質が発光する。
図2は、薄板1の発光状態を示す図である。励起光の入射なし、全面入射、一点入射を行った場合のそれぞれの発光状態が示されている。このように、入射する励起光の大きさを適宜調節することによって、透明樹脂薄板1上の発光点12の大きさを変化させることができる。
このような透明樹脂薄板1を図示せぬ回転機構により所定の速度で回転させることによって、投影空間10を形成する。薄板1が所定の速度で回転している時、この投影空間10内のある一点においては、所定の時間間隔毎に透明樹脂薄板1が通過する。この薄板1の位置と励起光2の入射とを同期し、且つ、入射する励起光2の位相を制御することによって、投影空間10において任意の点を発光させることができる。
ある瞬間には、投影空間10において、発光点12は透明樹脂薄板1上にのみ存在するが、透明樹脂薄板1の回転速度が大きく、且つ、その回転に伴って励起光の同期が適切に行われていれば、投影空間10内において発光点12が連続して視認され、立体的な三次元画像30が観察される。ここにおいて、画像30の形状を次々と変化させることにより、三次元動画を描くことができる。ただし、自然な三次元動画として認識されるためには、一般的なフレームレートから考慮して、透明樹脂薄板1の回転数が一秒間に30回転程度かそれ以上とするのが望ましい。なお、本発明に係る発光性物質として希土類錯体を用いる場合、その発光寿命は一般には600μsec程度であるため、回転数が100Hz程度にまで上昇したとしても、発光点12が尾を引いたように観察されてしまうことはない。
なお、投影空間を形成するために、上記のように透明樹脂薄板1を回転させる代わりに、透明樹脂薄板1を所定の速度で振動させるという方法を採用することもできる。
以下、本発明の三次元画像表示装置の構成に関して説明する。
本発明に係る発光性物質は、励起波長が不可視領域に存在し、発光波長が可視領域に存在するような物質である。さらに、発光性物質は、それを含有する透明樹脂薄板が所定の光透過性を備えるような特性を備えている必要がある。
本発明では、発光性物質として、各種の希土類化合物や有機色素を利用することができる。また、希土類化合物のうち、希土類錯体を好適に使用することができる。
希土類錯体は、希土類イオンに、増感剤としての役割を担う配位子が配位している構成を有する物質である。励起光を受けると配位子が励起し、その励起状態からのエネルギー移動により、希土類イオンが発光する。希土類錯体の励起・発光波長特性は希土類錯体の構成によって決定されるため、設計自由度が高いというメリットがある。加えて、希土類錯体は発光強度が高いという長所も備えている。
本発明において上記のような発光性物質を用いることにより、以下に挙げるような点が達成される。
・発光が可視光である一方で、励起光が不可視の紫外領域に存在しているため、投影空間の外部より入射される励起光が観察されることがない。例えば、希土類錯体の一つであるEu(TTA)3Phenでは、励起光の波長が395nmであるのに対して、発光の波長が615nm(おおよそ赤色)である。
・発光が指向性を持たないため、あらゆる角度からの観察が可能である。
・励起波長及び発光波長が互いに異なる複数の発光性物質を混合することにより、励起光に応じた異なる色の発光を独立して得、制御することができる(詳細は後述)。従って、三原色に対応する発光特性を備えた発光性物質を用いることにより、容易にカラー化を図ることができる。
・発光性物質を樹脂に溶解させることにより透明薄板を得ることができる。従って、本発明に係る装置によって形成される投影空間は高い光透過性を備えることになり、この投影空間において描かれる三次元画像と、投影空間の背後に設定される背景とが融合して視認される。
・とりわけ、発光性物質として希土類錯体を用いた場合には、発光効率が高く、低濃度でも十分な発光強度を得ることができる。しかも、可視領域での吸収が低いため、薄板の透明度が一層向上する。
・発光が可視光である一方で、励起光が不可視の紫外領域に存在しているため、投影空間の外部より入射される励起光が観察されることがない。例えば、希土類錯体の一つであるEu(TTA)3Phenでは、励起光の波長が395nmであるのに対して、発光の波長が615nm(おおよそ赤色)である。
・発光が指向性を持たないため、あらゆる角度からの観察が可能である。
・励起波長及び発光波長が互いに異なる複数の発光性物質を混合することにより、励起光に応じた異なる色の発光を独立して得、制御することができる(詳細は後述)。従って、三原色に対応する発光特性を備えた発光性物質を用いることにより、容易にカラー化を図ることができる。
・発光性物質を樹脂に溶解させることにより透明薄板を得ることができる。従って、本発明に係る装置によって形成される投影空間は高い光透過性を備えることになり、この投影空間において描かれる三次元画像と、投影空間の背後に設定される背景とが融合して視認される。
・とりわけ、発光性物質として希土類錯体を用いた場合には、発光効率が高く、低濃度でも十分な発光強度を得ることができる。しかも、可視領域での吸収が低いため、薄板の透明度が一層向上する。
透明樹脂薄板1は、上記のような発光性物質を溶解させた、薄板状の光透過性を有する樹脂である。三次元画像と背景との融合を考慮すれば、光透過性はなるべく高い方が好ましいことはいうまでもないが、若干の色合いを有していたとしても(透明度が低くても)構わない。透明樹脂薄板1が含有する発光性物質の濃度は、一般に、増加するに従って線形的に発光強度も増加する傾向を有するため、この濃度を調節することによって発光強度を調節することが可能である。
透明樹脂薄板1は必ずしも平板状である必要はなく、任意の形状とすることができる。また、透明樹脂薄板1を形成する樹脂は、光透過性を有していればどのようなものを使用しても構わない。高い光透過性を有する樹脂の一例としては、アクリル樹脂がある。また、画像30の分解能を向上させるため、薄板1の厚みは、なるべく薄く形成することが望ましい。ただし、厚みが過度に薄いと、強度が低下してしまうだけでなく、発光強度もまた低下してしまう点に留意が必要である。なお、薄板を補強するために、光透過性を備えたガラスやポリエステルのような物質によって挟み込んでもよい。
回転機構は、上記透明樹脂薄板1を所定の速度で回転させるための機構である。回転速度は、画像30の自然な見え方と大きく関連しているため、少なくとも10Hz以上とするのが望ましく、上述したように、動画を描画する際には30Hz以上の回転数とするのが望ましい。なお、既述のように、このような速度で回転している場合には、発光点12が尾を引いたように観察されてしまうことはない。
回転機構の代わりに振動機構を用いる場合であっても、画像30が自然に観察されるためには、上記のような速度で透明樹脂薄板1が振動する構成とすることが望ましい。
励起光照射機構は、透明樹脂薄板1に含有される発光性物質の励起光2を励起光源20より発し、回転又は振動する透明樹脂薄板1の投影空間10における位置と同期させつつ、透明樹脂薄板1に照射する機構である。また、励起光照射機構には、励起光2の照射方向を制御するための偏向器21なども含まれる。透明樹脂薄板1の回転又は振動と、入射する励起光2とを同期させるためには、どのような構成の同期機構を利用しても構わない。
励起光2には、波長を容易に制御することが可能な、レーザを好適に利用することができる。励起光2の強度を変化させると、それに応じて発光点12の発光強度も変化するため、画像30において、発光強度の強弱による濃淡を表現することが可能である。また、より複雑な形状の画像を描画するために、レーザの形状を可変とすることもできる。更にまた、複数の励起光源20を設け、複数の励起光2が照射されるような構成としてもよい。
上述したように、本発明において透明樹脂薄板1が含有する発光性物質は一種類である必要はなく、複数種類の発光性物質を透明樹脂薄板1に溶解させても構わない。この場合、各発光性物質の励起波長及び発光波長が異なっていれば、ある所定波長の励起光を照射した時に、その波長に対応する発光性物質しか発光しない。すなわち、発光波長(色)を独立して制御することが可能となる。ここにおいて、発光色が光の三原色となる赤、緑、青の三種類であれば、これらの三色の発光と、それらの強度を独立して制御することにより、画像30のフルカラー化を図ることが容易に可能である。例えば、赤色の発光にはユーロピウムを基材とする希土類錯体を用い、緑色の発光にはテルビウムを基材とする希土類錯体を用い、青色には有機色素を用いることができる。
[透明樹脂薄板の作成]
図3に、透明樹脂薄板の作成過程を示す。薄板に含有させる発光性物質として、希土類錯体であるEu(TTA)3Phenを用いた。この希土類錯体は、紫外395nmの励起波長帯及び615nmの赤色の発光を持つ。希土類錯体を乳鉢を用いて完全に粉末状態とした後、光硬化性樹脂(Haraeus Kulzer社製、Technovit2000LC:単一及び二官能性メタクリル酸塩)と混合した(ステップS1)。最終的な濃度は、重量%濃度1wt%であった。この混合溶液を超音波洗浄器に約30分程度かけ、希土類錯体を樹脂に完全に溶解させた(ステップS2)。
図3に、透明樹脂薄板の作成過程を示す。薄板に含有させる発光性物質として、希土類錯体であるEu(TTA)3Phenを用いた。この希土類錯体は、紫外395nmの励起波長帯及び615nmの赤色の発光を持つ。希土類錯体を乳鉢を用いて完全に粉末状態とした後、光硬化性樹脂(Haraeus Kulzer社製、Technovit2000LC:単一及び二官能性メタクリル酸塩)と混合した(ステップS1)。最終的な濃度は、重量%濃度1wt%であった。この混合溶液を超音波洗浄器に約30分程度かけ、希土類錯体を樹脂に完全に溶解させた(ステップS2)。
一方、ポリエステルシートを二枚のアクリル板の内部に向かい合うように配置した(ステップS3)。ここで、ポリエステルによって挟み込むことにより、最終的に得られる透明樹脂薄板の表面における光の散乱度が低くなり、また、薄板の強度を向上させることが可能となる。ポリエステルシート間の距離、すなわち透明樹脂薄板の厚みは、厚い方が発光強度が高くなるものの、分解能が低下してしまうことや、本実施例で使用した励起用レーザのビーム径が約500μmであることなどの理由に基づき、500μmとした。
次いで、定量注入装置を用いて二枚のポリエステルシートの間に混合溶液を注入した(ステップS4)。これらの端面は解放されているが、厚みが薄いため、表面張力により、注入した溶液が漏れることはない。この状態で、上下に設置した紫外蛍光灯によって紫外線を一時間程度照射することにより、薄板を完全に硬化させた(ステップS5)。薄板を取り出し、最終的に表面を洗浄した(ステップS6)。こうして、厚み500μmの透明樹脂薄板を得た。一辺の長さは約8cmであった。
図4に、上記のようにして得た薄板の透明度を表す図を示す。透明樹脂薄板の背景が明瞭に視認されることから、本発明に係る希土類錯体を含有する透明樹脂薄板は十分に透明度が高いことが確認された。
[実験系]
本実施例に係る実験系を図5に示す。励起光となるレーザ発振器、任意の位置に励起光を照射するための偏向器として、2台のガルバノミラー(GSI LUMONICS社製、VM500)を用いた。
本実施例に係る実験系を図5に示す。励起光となるレーザ発振器、任意の位置に励起光を照射するための偏向器として、2台のガルバノミラー(GSI LUMONICS社製、VM500)を用いた。
[回転機構]
透明樹脂薄板を回転させる回転機構として、図6に示すような機構を用いた。本実施例においてはDCモータ(MAXON社製、A-max22)を使用した。DCモータの回転制御には、励起光との同期を行い易いという理由により、PWM(Pulse Width Modulation)制御を行った。PWM制御のパルス発生にPIC(Peripheral Interface Controller:周辺機器接続制御用IC、PIC16F877、10MHz clock)を利用した。なお、本実施例における回転速度は、14.8Hzでの等角速度運動とした。
透明樹脂薄板を回転させる回転機構として、図6に示すような機構を用いた。本実施例においてはDCモータ(MAXON社製、A-max22)を使用した。DCモータの回転制御には、励起光との同期を行い易いという理由により、PWM(Pulse Width Modulation)制御を行った。PWM制御のパルス発生にPIC(Peripheral Interface Controller:周辺機器接続制御用IC、PIC16F877、10MHz clock)を利用した。なお、本実施例における回転速度は、14.8Hzでの等角速度運動とした。
[同期]
DCモータの回転と偏向器であるガルバノミラーの制御周期及び位相を合わせるために、図7に示すようなシステム構成を採用した。フォトインタラプタを用いて透明樹脂薄板の回転数を検出し、検出したパルスを前記PICに入力することにより周期制御を行った。本構成では、描画する画像の波形を予め求めておき、ファンクションジェネレータに入力することによって、その波形に応じた位相制御を行うことができる。
DCモータの回転と偏向器であるガルバノミラーの制御周期及び位相を合わせるために、図7に示すようなシステム構成を採用した。フォトインタラプタを用いて透明樹脂薄板の回転数を検出し、検出したパルスを前記PICに入力することにより周期制御を行った。本構成では、描画する画像の波形を予め求めておき、ファンクションジェネレータに入力することによって、その波形に応じた位相制御を行うことができる。
[三次元画像の描画]
上述したような条件において、投影空間に三角形を描く実験を行った(図8)。また、同様にして、正八面体を描く実験を行った(図9)。それぞれ、様々な角度から観察を行ったが、いずれの箇所からも三次元画像は明瞭に観察され、投影空間の背後に存在する背景もまた、はっきりと観察された。入射光の入射方向に対して透明樹脂薄板が平行となる箇所では、若干の画像のゆがみが生じているが、この問題は、励起光の照射を複数の箇所から行う構成とすることにより容易に解決される。また、励起光のon/offを適宜に制御することによっても、自然な三次元画像を表現することが可能となる。このほか、透明樹脂薄板の厚みを可能な限り薄く成形することによっても改善を図ることができる。
上述したような条件において、投影空間に三角形を描く実験を行った(図8)。また、同様にして、正八面体を描く実験を行った(図9)。それぞれ、様々な角度から観察を行ったが、いずれの箇所からも三次元画像は明瞭に観察され、投影空間の背後に存在する背景もまた、はっきりと観察された。入射光の入射方向に対して透明樹脂薄板が平行となる箇所では、若干の画像のゆがみが生じているが、この問題は、励起光の照射を複数の箇所から行う構成とすることにより容易に解決される。また、励起光のon/offを適宜に制御することによっても、自然な三次元画像を表現することが可能となる。このほか、透明樹脂薄板の厚みを可能な限り薄く成形することによっても改善を図ることができる。
1…透明樹脂薄板
2…励起光
10…投影空間
12…発光点
20…励起光源
21…偏向器
2…励起光
10…投影空間
12…発光点
20…励起光源
21…偏向器
Claims (11)
- 不可視領域に励起波長を有し、可視領域に発光波長を有する発光性物質を含有する透明樹脂薄板と、
前記透明樹脂薄板を所定の速度で回転させる回転機構と、
回転する前記樹脂薄板によって形成される投影空間に所定の画像を描くために、前記発光性物質の励起光を、回転する前記透明樹脂薄板の位置と同期させて照射する励起光照射機構と、
を備えることを特徴とする三次元画像表示装置。 - 不可視領域に励起波長を有し、可視領域に発光波長を有する発光性物質を含有する透明樹脂薄板と、
前記透明樹脂薄板を所定の速度で振動させる振動機構と、
振動する前記樹脂薄板によって形成される投影空間に所定の画像を描くために、前記発光性物質の励起光を、振動する前記透明樹脂薄板の位置と同期させて照射する励起光照射機構と、
を備えることを特徴とする三次元画像表示装置。 - 前記発光性物質が、希土類化合物又は有機色素であることを特徴とする請求項1又は2に記載の三次元画像表示装置。
- 前記希土類化合物が、希土類錯体であることを特徴とする請求項3に記載の三次元画像表示装置。
- 前記透明樹脂薄板が、励起波長及び発光波長が互いに異なる複数の、不可視領域に励起波長を有し、可視領域に発光波長を有する発光性物質を含有しており、
前記励起光照射機構が、前記各発光性物質の励起波長に対応する複数の励起光をそれぞれ独立して照射することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の三次元画像表示装置。 - 前記複数の発光性物質が三種類であって、発光性物質の発光色がそれぞれ赤、緑、青であることを特徴とする請求項5に記載の三次元画像表示装置。
- 不可視領域に励起波長を有し、可視領域に発光波長を有する発光性物質を含有する透明樹脂薄板を所定の速度で回転又は振動させることにより投影空間を形成し、
前記発光性物質の励起光を、回転又は振動する前記透明樹脂薄板の位置と同期させて照射することにより、前記投影空間に所定の画像を描く
ことを特徴とする三次元画像表示方法。 - 励起波長及び発光波長が互いに異なる複数の、不可視領域に励起波長を有し、可視領域に発光波長を有する発光性物質を含有する透明樹脂薄板を所定速度で回転又は振動させることにより投影空間を形成し、
前記複数の発光性物質に対応する複数の励起光を、それぞれ独立して、回転又は振動する前記透明樹脂薄板の位置と同期させて照射することにより、前記投影空間に所定の画像を描くことを特徴とする三次元画像表示方法。 - 請求項7又は8に記載の三次元画像表示方法において、前記複数の発光性物質が、発光色がそれぞれ赤、緑、青の三種類であることを特徴とするカラー三次元画像表示方法。
- 前記発光性物質が、希土類化合物又は有機色素であることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の三次元画像表示方法。
- 前記希土類化合物が、希土類錯体であることを特徴とする請求項10に記載の三次元画像表示方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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