JP2006242627A - 流動電位測定装置および凝集状態検知システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 流動電位測定装置10は、被処理水が流される絶縁性直管11と、絶縁性直管11の内部に、この絶縁性直管11の内周面との間に間隙を形成するよう設けられ、当該絶縁性直管11の長さ方向に延びる芯棒12とを備えている。この流動電位測定装置10は、絶縁性直管11内において芯棒12の端部12a、12bの近傍に各々設けられた一対の電極15a、15bと、一対の電極15a、15bに接続され、一対の電極15a、15b間の被処理水に生じる電位差を計測する電位差計測部18とを有している。凝集状態検知システム20は、上述の流動電位測定装置10が組み込まれている。
【選択図】 図1
Description
すなわち、被処理水中のコロイド粒子は、ゼータ電位の絶対値が大きいと静電的な反発力が強くなるため分散性が強まり、他方、ゼータ電位が0に近づくと静電的な反発力が弱くなるため凝集しやすくなる。このように、コロイド粒子の凝集状態はゼータ電位の大きさに基づいて検知することができる。
被処理水の流動電位を測定する方法としては、例えば、分散系に機械的エネルギー(振動エネルギー)を与え、発生する電気出力を測定する方法(特許文献2参照)が用いられる。この分散系に機械的エネルギーを与える具体的な方法としては、例えば、コロイド粒子に超音波を照射する方法、ポンプにより脈動流を送る方法、機械的にショックを与える方法等が知られている(特許文献3乃至6参照)。
図11に示すように、従来の流動電位測定装置80は、コロイド粒子を含む被処理水が流されるシリンダ84と、シリンダ84の内部に同軸となるよう設けられ、このシリンダ84の軸方向に往復運動するピストン85と、ピストン85の往復運動の駆動を行うモータ83と、シリンダ84の内周面においてこのシリンダ84の軸方向に距離を隔てて設けられた一対のリング状の電極86a、86bとを備えている。また、一対の電極86a、86bには、この一対の電極86a、86b間の被処理水に生じる電位差を計測する電位差計測部87が接続されている。電位差計測部87としては、実際には、一対の電極86a、86b間の被処理水に生じる電位差を増幅して出力する例えばオペアンプが用いられる。また、電位差計測部87には、この電位差計測部87から送られる信号を増幅する信号増幅器88と、信号増幅器88から送られる信号からノイズを低減するアンプ89とが順に接続されている。
モータ83がピストン85を駆動してこのピストン85がシリンダ84の軸方向に沿って往復運動を行うことにより、被処理水がシリンダ84とピストン85との間の間隙を通過して流れる。このときに、一対の電極86a、86b間の被処理水の電位差である流動電位が、この一対の電極86a、86bに接続された電位差計測部87によって計測され、この電位差計測部87によって計測された信号が信号増幅器88およびアンプ89を介して外部に出力される。
このような流動電位測定装置80を用いた凝集剤注入制御システムとしては、例えば特許文献8乃至12等に開示されたものが知られている。
このような流動電位測定装置によれば、単純な構成となっていることにより長期間使用した場合であっても安定的に被処理水の流動電位を測定することができ、しかも洗浄作業を容易に行うことができる。
このことにより、絶縁性直管内における被処理水の流れを安定させることができ、このため被処理水の流動電位を安定的に計測することができる。
このような流動電位測定装置によれば、単純な構成となっていることにより長期間使用した場合であっても安定的に被処理水の流動電位を測定することができる。
このことにより、偏平流路部を自在に変形させることができ、このため偏平流路部内の洗浄作業を容易に行うことができる。
このような流動電位測定装置によれば、単純な構成となっていることにより長期間使用した場合であっても安定的に被処理水の流動電位を測定することができ、また偏平流路部が複数設けられているため、一の偏平流路部に目詰まり等の問題が生じた場合であっても被処理水の流動電位の測定を中断することなく行うことができる。
このような流動電位測定装置によれば、単純な構成となっていることにより長期間使用した場合であっても安定的に被処理水の流動電位を測定することができ、また円形流路部が複数設けられているため、一の円形流路部に目詰まり等の問題が生じた場合であっても被処理水の流動電位の測定を中断することなく行うことができる。
このような流動電位測定装置によれば、補正用測定部が設けられていることにより電位差計測部により計測された電位差を被処理水の状態に応じて補正することができる。
このような凝集状態検知システムによれば、単純な構成となっていることにより長期間使用した場合であっても安定的に被処理水の凝集状態を検知することができ、しかも絶縁性直管の内周面や一対の電極等の洗浄作業を容易に行うことができる。
図1乃至図3は、本発明の第1の実施の形態による流動電位測定装置および凝集状態検知システムを示す図である。ここで図1は、第1の実施の形態による流動電位測定装置の構成を示す断面図であり、図2は、図1の流動電位測定装置のA−A矢視断面図であり、図3は、図1の流動電位測定装置を用いた凝集状態検知システムである。
図1に示すように、流動電位測定装置10は、コロイド粒子を含む被処理水が一定速度で内部を流れる絶縁性直管11と、絶縁性直管11の内部に設けられ、この絶縁性直管11の長さ方向に延びる芯棒12と、絶縁性直管11内において芯棒12の端部12a、12bの近傍に各々設けられた一対の電極15a、15bとを備えている。また、この一対の電極15a、15bに、一対の電極15a、15b間の被処理水に生じる電位差を計測する電位差計測部18が接続されている。
芯棒保持部材14、14の外方には中空部13a、13aを有するキャップ13、13が例えばねじ込み方式で取り付けられている。各芯棒保持部材14には被処理水を流通させる複数の貫通孔14aが設けられており、この貫通孔14aを介して絶縁性直管11の内部空間とキャップ13の中空部13aが連通している。
キャップ13、13にはホースニップル16、16が設けられており、ホースニップル16、16に入口側および出口側のホース17、17がキャップ13、13の中空部13a、13aに連通するよう取り外し自在に取り付けられている。
絶縁性直管11と芯棒12との間の間隙の幅aが短すぎるときには、十分な量の被処理水が絶縁性直管11と芯棒12との間の流路を通過することが難しくなる。他方、絶縁性直管11と芯棒12との間の間隙の幅aが長すぎるときには、絶縁性直管11と芯棒12との間の流路が後述するような毛細管としての機能を果たすことが難しくなる。
なお、この芯棒12の外周面と絶縁性直管11の内周面との間に形成される間隙の幅aは、芯棒12の外径または絶縁性直管11の内径を変更することにより自在に調整することができる。
また、送液ポンプ29の出口側には流動電位測定装置10のホース17が接続されており、例えば毎分1リットル(L)の速度でホース17を介して貯留槽28内の被処理水を流動電位測定装置10に送るようになっている。
アンプ31は流動電位測定装置10の電位差計測部18から送られる信号のうち送液ポンプ29の動作に同期した成分だけを取り出す処理を行い、ノイズを低減している。
アンプ31からの出力は、このアンプ31に接続された記録計33に送られるようになっている。
ここで、被処理水の流動電位の測定とは、一般的には被処理水を絶縁性の毛細管に流し、この毛細管内に一定距離を隔てて配置された一対の電極における被処理水の電位の差を測定することをいう。
本実施の形態の流動電位測定装置10においては、毛細管に被処理水を流す代わりに、絶縁性直管11とこの絶縁性直管11の内部に設けられた芯棒12との間の例えば0.15mm以上0.25mm以下の大きさの狭小な間隙に被処理水を流すことにより、毛細管に被処理水を流す場合と同様の作用効果が得られるようになっている。
被処理水の流動電流(i)とゼータ電位(ζ)の簡略化した関係は下記式(1)により示される(S.K.Dentel、Water Supply vol.9 571−575ページ、1991年)。また、流動電位(E)と流動電流(i)との関係は下記式(2)により示される。
E=i×R ・・・式(2)
ここで、εは被処理水の誘電率、wは駆動モータの回転速度、sは絶縁性直管11の軸方向長さ、Rは芯棒12の半径、cは絶縁性直管11と芯棒12との間の隙間の大きさである。
すなわち、流動電位測定装置10によって被処理水の流動電位を測定することにより、この流動電位に比例するゼータ電位(ζ)に基づいて、コロイド粒子の凝集状態を検知することができる。
流動電位測定装置10を長期間使用すると、絶縁性直管11の内周面や電極15a、15bに汚れが付着し、安定して被処理水の流動電位を測定することが困難となる場合がある。そこで、定期的に絶縁性直管11内を洗浄する必要がある。
そして、中空状態となった絶縁性直管11内の洗浄を行い、絶縁性直管11の内周面や電極15a、15bに付着した汚れを取り除く。
また、流動電位測定装置10の分解にあたっては、一対の芯棒保持部材14、14およびキャップ13、13を取り外し、次に、絶縁性直管11内から芯棒12を引き抜く作業を行うだけであるので、洗浄のための流動電位測定装置10の分解作業を容易に行うことができる。
以下、図面を参照して本発明の第2の実施の形態について説明する。図4は、第2の実施の形態による流動電位測定装置の構成を示す断面図であり、図5は、図4の流動電位測定装置のB−B矢視断面図である。
図4および図5に示す第2の実施の形態において、図1および図2に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
この流動電位測定装置40について図4および図5を用いて以下に説明する。
なお、この偏平流路部41の断面の対向する一対の辺b1間の幅bは、押圧部材44、44の偏平流路部41に対する押圧力を変更することにより自在に調整することができる。
そして、一対の電極15a、15bは、偏平流路部41の入口41aおよび出口41bの近傍における入口管42内および出口管43内にそれぞれ設けられている。
本実施の形態の流動電位測定装置40においては、毛細管に被処理水を流す代わりに、断面の対向する一対の辺b1間の幅bが例えば0.15mm以上0.25mm以下となっている狭小な偏平流路部41の流路に被処理水を流すことにより、第1の実施の形態において述べた毛細管に被処理水を流す場合と同様の作用効果が得られるようになっている。
流動電位測定装置40における偏平流路部41の洗浄にあたっては、まず、入口側および出口側のホース17、17を入口管42および出口管43に設けられたホースニップル16、16から取り外す。次に、偏平流路部41を上下方向から押圧する押圧部材44、44をこの偏平流路部41から離間させ、当該偏平流路部41の形状を元の例えば円筒形の形状に戻す。
そして、元の形状に戻った偏平流路部41の洗浄を行い、偏平流路部41の内面や一対の電極15a、15bに付着した汚れを取り除く。
以下、図面を参照して本発明の第3の実施の形態について説明する。図6は、第3の実施の形態による流動電位測定装置の構成を示す断面図であり、図7は、図6の流動電位測定装置のC−C矢視断面図である。
図6および図7に示す第3の実施の形態において、図1および図2に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
この流動電位測定装置50について図6および図7を用いて以下に説明する。
そして、一対の電極15a、15bは、各偏平流路部51の入口51aおよび出口51bの近傍における入口管52内および出口管53内にそれぞれ設けられている。
本実施の形態の流動電位測定装置50においては、毛細管に被処理水を流す代わりに、対向する一対の辺c1間の幅cが例えば0.15mm以上0.25mm以下となっている複数の狭小な偏平流路部51の流路に分岐して被処理水を流すことにより、第1の実施の形態において述べた毛細管に被処理水を流す場合と同様の作用効果が得られるようになっている。
以下、図面を参照して本発明の第4の実施の形態について説明する。図8は、第4の実施の形態による流動電位測定装置の構成を示す断面図であり、図9は、図8の流動電位測定装置のD−D矢視断面図である。
図8および図9に示す第4の実施の形態において、図1および図2に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
この流動電位測定装置60について図8および図9を用いて以下に説明する。
そして、一対の電極15a、15bは、各円形流路部61の入口61aおよび出口61bの近傍における入口管62内および出口管63内にそれぞれ設けられている。
本実施の形態の流動電位測定装置60においては、毛細管に被処理水を流す代わりに、断面の円形形状の直径dが例えば0.15mm以上0.25mm以下となっている複数の狭小な円形流路部61の流路に分岐して被処理水を流すことにより、第1の実施の形態において述べた毛細管に被処理水を流す場合と同様の作用効果が得られるようになっている。
具体的に説明すると、まず原水タンク21内において濁度が50mg/Lであるカオリン懸濁液を攪拌機22により十分に撹拌し、毎分4リットルで原水送液ポンプ23により混合槽26に送る。同時に、凝集剤タンク24に貯留されたポリ塩化アルミニウム(PAC)からなり比重が1.2416である凝集剤を毎分20ミリリットルで凝集剤送液ポンプ25により混合槽26に送る。
混合槽26において、凝集剤が添加された被処理水を攪拌機27により270rpmで急速撹拌を行い、撹拌された被処理水を貯留槽28に送って一旦貯留する。そして、貯留槽28に貯留された被処理水を送液ポンプ29により脈動流で流動電位測定装置10に送る。
この比較例においては、図3に示す凝集剤添加設備は上述の実施例における凝集剤添加設備と同様のものを用いている。
11 絶縁性直管
11c 案内部材
12 芯棒
12a、12b 端部
12c 案内部材
13 キャップ
13a 中空部
14 芯棒保持部材
14a 貫通孔
15a、15b 一対の電極
16 ホースニップル
17 ホース
18 電位差計測部
18a 導電線
19 補正用測定部
20 凝集状態検知システム
21 原水タンク
22 攪拌機
23 原水送液ポンプ
24 凝集剤タンク
25 凝集剤送液ポンプ
26 混合槽
27 攪拌機
28 貯留槽
29 送液ポンプ
31 アンプ
32 アンプ電源
33 記録計
40 流動電位測定装置
41 偏平流路部
41a 入口
41b 出口
42 入口管
43 出口管
44 押圧部材
50 流動電位測定装置
51 偏平流路部
51a 入口
51b 出口
52 入口管
53 出口管
60 流動電位測定装置
61 円形流路部
61a 入口
61b 出口
62 入口管
63 出口管
80 流動電位測定装置
83 モータ
84 シリンダ
85 ピストン
86a、86b 一対の電極
87 電位差計測部
88 信号増幅器
89 アンプ
Claims (12)
- 被処理水が流される絶縁性直管と、
絶縁性直管の内部に、この絶縁性直管の内周面との間に間隙を形成するよう設けられ、当該絶縁性直管の長さ方向に延びる芯棒と、
絶縁性直管内において芯棒の両端部の近傍に各々設けられた一対の電極と、
一対の電極に接続され、一対の電極間の被処理水に生じる電位差を計測する電位差計測部と、
を備えたことを特徴とする流動電位測定装置。 - 絶縁性直管と芯棒との間に形成された間隙の大きさは、0.15mm以上であって0.25mm以下であることを特徴とする請求項1記載の流動電位測定装置。
- 絶縁性直管と芯棒との間の間隙内の被処理水の流れを案内する案内部材が、絶縁性直管の内周面および/または芯棒の外周面に設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の流動電位測定装置。
- 被処理水が流され、流路の断面が偏平な形状となっている偏平流路部と、
この偏平流路部の入口および出口に接続された入口管および出口管と、
偏平流路部の入口および出口の近傍における入口管内および出口管内に設けられた一対の電極と、
一対の電極に接続され、一対の電極間の被処理水に生じる電位差を計測する電位差計測部と、
を備えたことを特徴とする流動電位測定装置。 - 偏平流路部の断面における対向する一対の辺間の幅の大きさが0.15mm以上であって0.25mm以下であることを特徴とする請求項4記載の流動電位測定装置。
- 偏平流路部は弾性部材からなることを特徴とする請求項4または5記載の流動電位測定装置。
- 被処理水が流され、流路の断面が偏平な形状となっている並列に設けられた複数の偏平流路部と、
この複数の偏平流路部の入口および出口に接続された入口管および出口管と、
各偏平流路部の入口および出口の近傍における入口管内および出口管内に設けられた一対の電極と、
一対の電極に接続され、一対の電極間の被処理水に生じる電位差を計測する電位差計測部と、
を備えたことを特徴とする流動電位測定装置。 - 各偏平流路部の断面における対向する一対の辺間の幅の大きさが0.15mm以上であって0.25mm以下であることを特徴とする請求項7記載の流動電位測定装置。
- 被処理水が流され、流路の断面が円形となっている並列に設けられた複数の円形流路部と、
この複数の円形流路部の入口および出口に接続された入口管および出口管と、
各円形流路部の入口および出口の近傍における入口管内および出口管内に設けられた一対の電極と、
一対の電極に接続され、一対の電極間の被処理水に生じる電位差を計測する電位差計測部と、
を備えたことを特徴とする流動電位測定装置。 - 各円形流路部における断面の直径の大きさが0.15mm以上であって0.25mm以下であることを特徴とする請求項9記載の流動電位測定装置。
- 被処理水の導電率、被処理水の温度および被処理水の電極間における圧力損失のうち少なくともいずれか一つを測定する補正用測定部を更に備え、
電位差計測部により計測された電位差が補正用測定部により測定された情報に基づいて補正されるようになっていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の流動電位測定装置。 - 被処理水中のコロイド粒子の凝集状態を検知する凝集状態検知システムにおいて、
被処理水が流される絶縁性直管と、
絶縁性直管の内部に、この絶縁性直管の内周面との間に間隙を形成するよう設けられ、当該絶縁性直管の長さ方向に延びる芯棒と、
絶縁性直管内において芯棒の両端部の近傍に各々設けられた一対の電極と、
一対の電極に接続され、一対の電極間の被処理水に生じる電位差を計測する電位差計測部とを備え、
被処理水中のコロイド粒子の凝集状態を、電位差計測部により計測された電位差に基づいて検知することを特徴とする凝集状態検知システム。
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