JP4528600B2 - 流動電位測定装置およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、被処理水の流動電位を測定する流動電位測定装置およびその製造方法に関する。
従来より、河川等から送られた原水等の被処理水を浄化するために、被処理水に凝集剤を添加してこの被処理水の懸濁物質等のコロイド粒子を凝集させて沈殿除去する方法が用いられている。このような凝集沈殿処理について具体的に説明すると、まず被処理水にアルミ系や鉄系の無機凝集剤または高分子凝集剤を注入して比較的短時間で急速撹拌を行い、濁質粒子を核とするマイクロフロックを生成する。その後、この被処理水の緩速撹拌を行い、マイクロフロック同士の衝突、結合を行ってこのマイクロフロックをさらに巨大化して沈降を促進する。このようなコロイド粒子の沈殿除去を行うことにより清澄な上澄み水を得ることができる。
凝集沈殿処理においては、凝集剤の添加量、撹拌速度、撹拌時間、被処理水の水温、被処理水のpH等の凝集条件を適切なものとする必要がある。ここで、被処理水に凝集剤を添加した後の被処理水中のコロイド粒子の凝集状態を迅速かつ正確に検知することができれば、凝集剤の添加量を適切な量とすることができ、かつ清澄な上澄み水を得ることができる。
被処理水中のコロイド粒子の凝集状態を検知する方法としては、光学的にコロイド粒子の粒子径を直接的に計測する方法(特許文献1参照)、または被処理水のゼータ電位を測定する方法が知られている。後者の被処理水のゼータ電位を測定する方法について以下に詳述する。
ゼータ電位は、コロイド粒子表面の溶液すべり面の溶液バルクに対する電位であり、コロイド粒子の凝集が進んで不安定な状態となった場合にはコロイド粒子表面の溶液すべり面の電位が溶液バルクの電位とほぼ同一となるため、ゼータ電位はほぼ0の値となる。
すなわち、被処理水中のコロイド粒子は、ゼータ電位の絶対値が大きいと静電的な反発力が強くなるため分散性が強まり、他方、ゼータ電位が0に近づくと静電的な反発力が弱くなるため凝集しやすくなる。このように、コロイド粒子の凝集状態はゼータ電位の大きさに基づいて検知することができる。
被処理水中のコロイド粒子のゼータ電位を測定する方法としては、例えば電気泳動している粒子に対してレーザー光を照射し、散乱光における泳動速度を測定して電気移動度を求める電気泳動光散乱法が知られている。しかしながら、この方法ではリアルタイムで被処理水中のコロイド粒子のゼータ電位を測定することができず、またコロイド粒子が大きすぎる場合や凝集状態が不安定な状態である場合には、この方法を適用することができない。
コロイド粒子のゼータ電位を測定する他の方法としては、電気浸透法、流動電位法あるいは沈降電位法が知られているが、凝集沈殿処理においては、このうち流動電位法が主に用いられている。流動電位法とは、被処理水の流動電位とゼータ電位が比例関係にあることを利用して、被処理水の流動電流を測定することによりゼータ電位を検出する方法である。
被処理水の流動電位を測定する方法としては、例えば、分散系に機械的エネルギー(振動エネルギー)を与え、発生する電気出力を測定する方法(特許文献2参照)が用いられる。この分散系に機械的エネルギーを与える具体的な方法としては、例えば、コロイド粒子に超音波を照射する方法、ポンプにより脈動流を送る方法、機械的にショックを与える方法等が知られている(特許文献3乃至6参照)。
次に、被処理水の流動電位を測定する従来の流動電位測定装置について図8を用いて具体的に説明する(特許文献7参照)。図8は、特許文献7に示す従来の流動電位測定装置の構成を示す図である。
図8に示すように、従来の流動電位測定装置80は、コロイド粒子を含む被処理水が流されるシリンダ84と、シリンダ84の内部に同軸となるよう設けられ、このシリンダ84の軸方向に往復運動するピストン85と、ピストン85の往復運動の駆動を行うモータ83と、シリンダ84の内周面においてこのシリンダ84の軸方向に距離を隔てて設けられた一対のリング状の電極86a、86bとを備えている。また、一対の電極86a、86bには、この一対の電極86a、86b間の被処理水に生じる電位差を計測する電位差計測部87が接続されている。電位差計測部87としては、実際には、一対の電極86a、86b間の被処理水に生じる電位差を増幅して出力する例えばオペアンプが用いられる。また、電位差計測部87には、この電位差計測部87から送られる信号を増幅する信号増幅器88と、信号増幅器88から送られる信号からノイズを低減するアンプ89とが順に接続されている。
次に、流動電位測定装置80の作用について以下に説明する。
モータ83がピストン85を駆動してこのピストン85がシリンダ84の軸方向に沿って往復運動を行うことにより、被処理水がシリンダ84とピストン85との間の間隙を通過して流れる。このときに、一対の電極86a、86b間の被処理水の電位差である流動電位が、この一対の電極86a、86bに接続された電位差計測部87によって計測され、この電位差計測部87によって計測された信号が信号増幅器88およびアンプ89を介して外部に出力される。
この出力された被処理水の流動電位を用いることにより当該流動電位と比例関係にあるゼータ電位の検出を行うことができ、このことにより被処理水中のコロイド粒子の凝集状態をリアルタイムで検知することができる。
このような流動電位測定装置80を用いた凝集剤注入制御システムとしては、例えば特許文献8乃至12等に開示されたものが知られている。
特開平10−202013号公報 特開昭61−77752号公報 特開平5−74776号公報 特開平5−74777号公報 特開平7−43334号公報 特開平7−43335号公報 米国特許第3368145号 特開平3−284304号公報 特開平3−284305号公報 特開平7−35721号公報 特開平8−170956号公報 特開2002−239307号公報
上述の図8に示す流動電位測定装置80においては、モータ83がピストン85を駆動してこのピストン85がシリンダ84の軸方向に沿って往復運動を行うことにより、被処理水がシリンダ84とピストン85との間の間隙を通過して流れ、このときに、一対の電極86a、86b間の被処理水の電位差である流動電位が、この一対の電極86a、86bに接続された電位差計測部87によって計測される。
電位差計測部87が被処理水の流動電位の測定を行う間、この被処理水の濁質成分がシリンダ84やピストン85の表面全体に付着しており、このため一対の電極86a、86b間の被処理水の電位差を測定するにあたっては、通常はシリンダ84やピストン85を構成する部材の荷電状態の影響を受けることはない。
しかしながら、シリンダ84やピストン85に対する被処理水の濁質成分の付着が不十分である場合には、一対の電極86a、86b間の被処理水の電位差の測定において、シリンダ84やピストン85を構成する部材の荷電状態の影響を受けて測定誤差が生じることがある。
本発明は、このような点を考慮してなされたものであって、被処理水が流される部材の表面に対してこの被処理水の濁質成分を十分に付着させることができ、このことにより一対の電極間の被処理水の電位差の測定においてこの部材の荷電状態の影響を受けることがなく、このため測定誤差の発生を抑止することができる流動電位測定装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、被処理水が流され、内周面が研磨または穿孔による機械的表面仕上げにより形成された粗面を有する絶縁性直管と、絶縁性直管の内部に、この絶縁性直管の内周面との間に間隙を形成するよう設けられ、当該絶縁性直管の長さ方向に延び、外周面が研磨または穿孔による機械的表面仕上げにより形成された粗面を有する絶縁性芯棒と、絶縁性直管内において絶縁性芯棒の両端部の近傍に各々設けられた一対の電極と、一対の電極に接続され、一対の電極間の被処理水に生じる電位差を計測する電位差計測部と、を備えたことを特徴とする流動電位測定装置である。
このような流動電位測定装置によれば、被処理水が流される絶縁性直管の内周面および絶縁性芯棒の外周面が研磨または穿孔による機械的表面仕上げにより形成された粗面となっているので、絶縁性直管の内周面および絶縁性芯棒の外周面に対して被処理水の濁質成分を十分に付着させることができる。このことにより一対の電極間の被処理水の電位差の測定において絶縁性直管および絶縁性芯棒の荷電状態の影響を受けることがなく、このため測定誤差の発生を抑止することができる。
本発明の流動電位測定装置においては、絶縁性直管の内周面および絶縁性芯棒の外周面に、更に絶縁性物質が設けられ保護層が形成されていることが好ましい。
このような流動電位測定装置によれば、絶縁性直管の内周面および絶縁性芯棒の外周面を保護層によりコーティングして保護することができ、しかも、この保護層により絶縁性直管の内周面および絶縁性芯棒の外周面の表面粗さまたは多孔度を自在に調整することができる。
本発明の流動電位測定装置においては、絶縁性直管および絶縁性芯棒の材質が塩化ビニル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリアセタール樹脂のうちのいずれか一つであることが好ましい。
このような流動電位測定装置によれば、絶縁性直管および絶縁性芯棒を耐熱性、耐薬品性および耐摩耗性に優れたものとすることができる。また、絶縁性直管の内周面および絶縁性芯棒の外周面に対して研磨または穿孔による機械的表面仕上げを確実に行うことができる。
本発明は、被処理水が流される絶縁性直管と、絶縁性直管の内部に、この絶縁性直管の内周面との間に間隙を形成するよう設けられ、当該絶縁性直管の長さ方向に延びる絶縁性芯棒と、絶縁性直管内において絶縁性芯棒の両端部の近傍に各々設けられた一対の電極と、一対の電極に接続され、一対の電極間の被処理水に生じる電位差を計測する電位差計測部と、を備えた流動電位測定装置の製造方法において、絶縁性直管および絶縁性芯棒を準備する準備工程と、絶縁性直管の内周面および絶縁性芯棒の外周面に対して、それぞれ研磨または穿孔による機械的表面仕上げを行って、絶縁性直管の内周面および絶縁性芯棒の外周面に各々粗面を形成する機械的処理工程と、を備えたことを特徴とする流動電位測定装置の製造方法である。
このような流動電位測定装置の製造方法によれば、絶縁性直管の内周面および絶縁性芯棒の外周面に対して被処理水の濁質成分を十分に付着させることができ、このことにより一対の電極間の被処理水の電位差の測定において絶縁性直管および絶縁性芯棒の荷電状態の影響を受けることがなく、このため測定誤差の発生を抑止することができる流動電位測定装置を得ることができる。
本発明の流動電位測定装置の製造方法においては、機械的処理工程により得られた絶縁性直管の内周面および絶縁性芯棒の外周面に対して、それぞれ絶縁性物質を化学蒸着または噴出溶射により設けて保護層を形成する化学的処理工程を更に備えたことが好ましい。
このような流動電位測定装置の製造方法によれば、絶縁性直管の内周面および絶縁性芯棒の外周面を保護層によりコーティングして保護することができ、しかも、この保護層により絶縁性直管の内周面および絶縁性芯棒の外周面の表面粗さまたは多孔度を自在に調整することができる。
本発明の流動電位測定装置の製造方法においては、化学的処理工程により得られた絶縁性直管の内周面および絶縁性芯棒の外周面の保護層に対して加熱を行う熱処理工程を更に備えたことが好ましい。
このような流動電位測定装置の製造方法によれば、化学的処理工程により形成された保護層の耐久性を向上させることができる。
本発明の流動電位測定装置の製造方法においては、化学的処理工程および熱処理工程が交互に複数回行われ、それぞれの化学的処理工程毎に異なる種類の絶縁性物質を用いることにより絶縁性直管の内周面および絶縁性芯棒の外周面に対して複数の種類の絶縁性物質をそれぞれ多段に設けることが好ましい。
このような流動電位測定装置の製造方法によれば、絶縁性直管の内周面および絶縁性芯棒の外周面の表面粗さまたは多孔度を増加させ、より確実に被処理水の濁質成分を付着させることができる。
本発明の流動電位測定装置の製造方法においては、各熱処理工程において、内側に位置する絶縁性物質に比べて外側に位置する絶縁性物質に対する加熱温度を順次低下させることが好ましい。
このような流動電位測定装置の製造方法によれば、絶縁性直管の内周面および絶縁性芯棒の外周面の表面粗さまたは多孔度を増加させ、より確実に被処理水の濁質成分を付着させることができる。
本発明の流動電位測定装置の製造方法においては、絶縁性直管および絶縁性芯棒の材質が塩化ビニル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリアセタール樹脂のうちのいずれか一つであることが好ましい。
このような流動電位測定装置の製造方法によれば、絶縁性直管および絶縁性芯棒を耐熱性、耐薬品性および耐摩耗性に優れたものとすることができ、また、絶縁性直管の内周面および絶縁性芯棒の外周面に対して研磨または穿孔による機械的表面仕上げを確実に行うことができる。
本発明の流動電位測定装置によれば、被処理水が流される部材の表面が研磨または穿孔による機械的表面仕上げにより形成された粗面となっているので、この部材の表面に対して被処理水の濁質成分を十分に付着させることができ、このことにより一対の電極間の被処理水の電位差の測定においてこの部材の荷電状態の影響を受けることがなく、このため測定誤差の発生を抑止することができる。
本発明の流動電位測定装置の製造方法によれば、被処理水が流される部材の表面が研磨または穿孔による機械的表面仕上げにより形成された粗面となっているので、この部材の表面に対して被処理水の濁質成分を十分に付着させることができ、このことにより一対の電極間の被処理水の電位差の測定においてこの部材の荷電状態の影響を受けることがなく、このため測定誤差の発生を抑止することができる流動電位測定装置を得ることができる。
図1乃至図3は、本発明の実施の形態による流動電位測定装置およびその製造方法、ならびにこの流動電位測定装置を用いた凝集状態検知システムを示す図である。ここで図1は、本実施の形態による流動電位測定装置を用いた凝集状態検知システムであり、図2(a)は、図1の流動電位測定装置の構成を示す図であり、図2(b)は、絶縁性直管の内周面および絶縁性芯棒の外周面の詳細を示す図であり、図3は、図1の流動電位測定装置の製造方法を示すブロック図である。
まず、本発明の実施の形態による凝集状態検知システム20について図1を用いて説明する。凝集状態検知システム20は、後述する凝集剤添加設備から送られた被処理水中のコロイド粒子の凝集状態を検知するものである。
凝集剤添加設備は、図1に示すように、被処理水を貯留する原水タンク21と、凝集剤を貯留する凝集剤タンク24と、原水タンク21に原水送液ポンプ23を介して接続されるとともに、凝集剤タンク24に凝集剤送液ポンプ25を介して接続された混合槽26とを有している。混合槽26内には、原水タンク21から原水送液ポンプ23により送られた被処理水と、凝集剤タンク24から凝集剤送液ポンプ25により送られた凝集剤とを混合して急速撹拌する攪拌機27が設置されている。混合槽26の下流側には、凝集剤と混合した被処理水を一旦貯留する貯留槽28が接続され、貯留槽28には例えばダイヤフラム式の送液ポンプ29を介して本発明による流動電位測定装置10が接続されている。この場合、貯留槽28に貯留された被処理水は送液ポンプ29により脈動流で流動電位測定装置10に送られる。
原水タンク21に貯留される被処理水としては、実験用としては例えば水道水にコロイド粒子としてカオリンを3〜300mg/Lの範囲の濃度で溶かした溶液が用いられる。また、凝集剤タンク24に貯留される凝集剤としては、例えばポリ塩化アルミニウム(PAC)、塩化第二鉄が用いられている。攪拌機27は、混合槽26内において混合された被処理水と凝集剤とを例えば約270rpmで急速撹拌する(この撹拌速度は、攪拌翼の大きさ、形状および混合槽26の容積に基づくG値により決定される)。
また、送液ポンプ29の出口側には流動電位測定装置10のホース17が接続されており、例えば毎分1リットル(L)の速度でホース17を介して貯留槽28内の被処理水を流動電位測定装置10に送るようになっている。
凝集状態検知システム20には、前述のように流動電位測定装置10が組み込まれており、この流動電位測定装置10の後述する電位差計測部18(図2参照)により測定された電位差に基づいて凝集剤添加設備から送られた被処理水中のコロイド粒子の凝集状態を検知するようになっている。
また、凝集状態検知システム20において、図1に示すように、流動電位測定装置10にアンプ31を接続してもよい。このアンプ31はアンプ電源32から電力が供給されたときに作動する。また、アンプ31は凝集剤添加装置の送液ポンプ29にも接続されており、送液ポンプ29はアンプ31により制御されて起動および停止を行うようになっている。
アンプ31は流動電位測定装置10の電位差計測部18から送られる信号のうち送液ポンプ29の動作に同期した成分だけを取り出す処理を行い、ノイズを低減している。
アンプ31からの出力は、このアンプ31に接続された記録計33に送られるようになっている。
次に、本実施の形態の凝集状態検知システム20に用いられる流動電位測定装置10について図2(a)(b)を用いて説明する。
図2(a)に示すように、流動電位測定装置10は、コロイド粒子を含む被処理水が一定速度で内部を流れる絶縁性直管11と、絶縁性直管11の内部に設けられ、この絶縁性直管11の長さ方向に延びる絶縁性芯棒12と、絶縁性直管11内において絶縁性芯棒12の端部12a、12bの近傍に各々設けられた一対の電極15a、15bとを備えている。また、この一対の電極15a、15bに、一対の電極15a、15b間の被処理水に生じる電位差を計測する電位差計測部18が接続されている。
絶縁性直管11は、塩化ビニル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリアセタール樹脂等の非導電性で耐食性の材料から構成されており、その内径は例えば30mm、軸方向長さは例えば45mmとなっている。
図2(b)に示すように、この絶縁性直管11の内周面は、研磨または穿孔による機械的表面仕上げにより形成された粗面を有し、この粗面上に絶縁性物質1a、1b、1cが設けられ保護層1が形成されている。この場合、絶縁性直管11の内周面の表面粗さ(十点平均粗さ、JIS B 0601)は例えば数十μm以下となっている。
図2(a)に示すように、この絶縁性直管11の両端には、絶縁性芯棒12をその端部12a、12bにおいて保持する絶縁性芯棒保持部材14、14が設けられている。
絶縁性芯棒保持部材14、14の外方には中空部13a、13aを有するキャップ13、13が例えばねじ込み方式で取り付けられている。各絶縁性芯棒保持部材14には被処理水を流通させる複数の貫通孔14aが設けられており、この貫通孔14aを介して絶縁性直管11の内部空間とキャップ13の中空部13aが連通している。
キャップ13、13にはホースニップル16、16が設けられており、ホースニップル16、16に入口側および出口側のホース17、17がキャップ13、13の中空部13a、13aに連通するよう取り外し自在に取り付けられている。
絶縁性芯棒12は、絶縁性直管11の内部に、この絶縁性直管11の内周面との間に間隙を形成するよう設けられている。この絶縁性芯棒12は絶縁性直管11と同軸となっていることが好ましい。前述のように、絶縁性芯棒12はその端部12a、12bにおいて絶縁性芯棒保持部材14、14に保持されている。この絶縁性芯棒12の材質としては、絶縁性直管11の材質と同一のものが用いられる。
この絶縁性芯棒12の外周面は、研磨または穿孔による機械的表面仕上げにより形成された粗面を有し、この粗面上に絶縁性物質2a、2b、2cが設けられ保護層2が形成されている。この場合、絶縁性芯棒12の外周面の表面粗さは絶縁性直管11の内周面の表面粗さと略同一である。
絶縁性芯棒12の外径は絶縁性直管11の内径よりも少しだけ小さなものとなっており、具体的には、絶縁性芯棒12の外周面と絶縁性直管11の内周面との間に形成される間隙の幅(図2(a)の幅a)は0.10mm以上であって0.40mm以下となっている。
絶縁性直管11と絶縁性芯棒12との間の間隙の幅aが短すぎるときには、十分な量の被処理水が絶縁性直管11と絶縁性芯棒12との間の流路を通過することが難しくなる。他方、絶縁性直管11と絶縁性芯棒12との間の間隙の幅aが長すぎるときには、絶縁性直管11と絶縁性芯棒12との間の流路がいわゆる毛細管としての機能を果たすことが難しくなる。
なお、この絶縁性芯棒12の外周面と絶縁性直管11の内周面との間に形成される間隙の幅aは、絶縁性芯棒12の外径または絶縁性直管11の内径を変更することにより自在に調整することができる。
図2(a)に示すように、絶縁性直管11内において絶縁性芯棒12の端部12a、12bの近傍に一対の電極15a、15bが各々設けられている。この一対の電極15a、15bはリング状の形状を有し、主としてステンレス鋼(SUS)または白金等の化学的に安定な金属からなっている。一対の電極15a、15bには導電線18aを介して流動電位検出用の電位差計測部18が接続され、この電位差計測部18は一対の電極15a、15b間の被処理水に生じる電位差(流動電位)を計測する。電位差計測部18としては、実際には、一対の電極15a、15b間の被処理水に生じる電位差を増幅して出力する例えばオペアンプが用いられる。
また、入口側および出口側のホース17、17には、絶縁性直管11内を流れる被処理水の導電率、被処理水の温度、被処理水のpHおよび被処理水の電極15a、15b間における圧力損失のうち少なくともいずれか一つを測定する補正用測定部19が設けられている。そして、補正用測定部19は測定された情報を電位差計測部18に送り、この情報に基づいて当該電位差計測部18により計測された電位差を補正するようになっている。このことにより、電位差計測部18により計測された電位差を被処理水の状態に応じて補正することができる。
次に、このような流動電位測定装置10の製造工程における絶縁性直管11の内周面および絶縁性芯棒12の外周面の表面処理方法について図3を用いて詳細に説明する。
まず、機械的処理工程40において、絶縁性直管11の内周面および絶縁性芯棒12の外周面に対して、それぞれ研磨または穿孔による機械的表面仕上げを行って、絶縁性直管11の内周面および絶縁性芯棒12の外周面に各々粗面を形成する。
この機械的処理工程40における研磨は例えばエメリーペーパー等により行われ、また穿孔は小型ドリルによって各表面に細かな浅い穴を開けることにより行われる。
次に、化学的処理工程41において、前述の機械的処理工程40により得られた絶縁性直管11の内周面および絶縁性芯棒12の外周面に対して、それぞれ絶縁性物質1a、1b、1cおよび2a、2b、2cを化学蒸着(Chemical Vapowr Deposition;CVD)または噴出溶射により設けて保護層1、2を形成する。
絶縁性直管11の内周面および絶縁性芯棒12の外周面に設けられる絶縁性物質1a、1b、1c、2a、2b、2cとしては、耐熱性、耐薬品性および耐摩耗性に優れた窒化物、炭化物等からなる無機材料、または塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリアセタール樹脂等からなる有機材料が用いられる。
そして、熱処理工程42において、前述の化学的処理工程41により得られた絶縁性直管11の内周面および絶縁性芯棒12の外周面に対して、例えば不活性ガス雰囲気の炉の中でそれぞれ加熱を行う。
図3に示すように、前述の化学的処理工程41および熱処理工程42は交互に複数回行われる。この際に、それぞれの化学的処理工程41毎に異なる種類の絶縁性物質1a、1b、1cおよび2a、2b、2cを用いることにより、絶縁性直管11の内周面および絶縁性芯棒12の外周面に対して複数の種類の絶縁性物質1a、1b、1c、2a、2b、2cをそれぞれ多段に設けている。そして、これらの絶縁性物質1a、1b、1cにより保護層1が形成され、絶縁性物質2a、2b、2cにより保護層2が形成されている。
さらに、各熱処理工程42における加熱温度は、熱処理工程42の実行回数が増えるにつれて低くなっている。すなわち、内側に位置する絶縁性物質1a、2aから順次外側に位置する絶縁性物質1c、2cに向かって各熱処理工程42における加熱温度が低下する。
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
まず、凝集状態検知システム20の全体の作用について述べる。図1に示すように、原水タンク21内に貯留され攪拌機22により撹拌された被処理水が、原水送液ポンプ23により混合槽26に送られる。同時に、凝集剤タンク24内に貯留された凝集剤が、凝集剤送液ポンプ25により凝集剤注入率が設定値となる流量で混合槽26に送られる。次に、混合槽26において、被処理水に凝集剤が添加され、凝集剤が混合された被処理水に対して攪拌機27により急速撹拌が行われる。混合槽26内の急速撹拌が行われた混合液は貯留槽28に送られて一旦貯留され、送液ポンプ29により脈動流で流動電位測定装置10に送られる。
次に、図2により流動電位測定装置10の作用について説明する。流動電位測定装置10においては、図2に示すように、貯留槽28から入口側のホース17を通って送られた被処理水が入口側のキャップ13の中空部13aおよび絶縁性芯棒保持部材14の貫通孔14aを介して絶縁性直管11内に送られる。絶縁性直管11に送られた被処理水は、この絶縁性直管11の内周面と絶縁性芯棒12の外周面との間の間隙を通って当該絶縁性直管11の軸方向に流れ、出口側のキャップ13の中空部13aおよび絶縁性芯棒保持部材14の貫通孔14aを介して出口側のホース17から排出される。
この間、一対の電極15a、15b間の被処理水の電位差(流動電位)が、この一対の電極15a、15bに導電線18aを介して接続された電位差計測部18によって計測される。
また、この間、入口側および出口側のホース17、17に設けられた補正用測定部19は絶縁性直管11内を流れる被処理水の導電率、被処理水の温度、被処理水のpHおよび被処理水の電極15a、15b間における圧力損失のうち少なくともいずれか一つを測定する。そして、電位差計測部18により計測された電位差が補正用測定部19により測定された情報に基づいて適正な値となるよう補正される。
このようにして電位差計測部18において計測され補正用測定部19により補正された被処理水の流動電位の信号は、流動電位測定装置10の電位差計測部18からアンプ31に送られる。アンプ31はこの流動電位の信号のうち送液ポンプ29の起動に同期した成分だけ取り出す処理を行い、流動電位の信号のノイズを低減する。また、アンプ31により処理された流動電位の信号は記録計33に送られて、この記録計33により流動電位の値が記録用紙や記憶媒体等に記録される。
次に、被処理水の流動電位と被処理水中のコロイド粒子の凝集状態との関係について説明する。
被処理水中のコロイド粒子は、後述するゼータ電位(ζ)の絶対値が大きいと静電的な反発力が強くなるため分散性が強くなる。一方、ゼータ電位が0に近づくと静電的な反発力が弱くなるため凝集しやすくなる。このように、コロイド粒子の凝集状態はゼータ電位の大きさに基づいて検知することができる。
ゼータ電位(ζ)は、コロイド粒子表面の溶液すべり面の溶液バルクに対する電位であり、コロイド粒子の凝集が進んで不安定な状態においてはコロイド粒子表面の溶液すべり面の電位が溶液バルクの電位に等しくなるため、ゼータ電位はほとんど0の値になる。
被処理水の流動電流(i)とゼータ電位(ζ)の簡略化した関係は下記式(1)により示される(S.K.Dentel、Water Supply vol.9 571−575ページ、1991年)。また、流動電位(E)と流動電流(i)との関係は下記式(2)により示される。
i=−4εζwsR/c ・・・式(1)
E=i×R ・・・式(2)
ここで、εは被処理水の誘電率、wは駆動モータの回転速度、sは絶縁性直管11の軸方向長さ、Rは絶縁性芯棒12の半径、cは絶縁性直管11と絶縁性芯棒12との間の隙間の大きさである。
上記式(1)(2)により、被処理水のゼータ電位(ζ)は流動電位(E)に比例していることがわかる。
すなわち、流動電位測定装置10によって被処理水の流動電位を測定することにより、この流動電位に比例するゼータ電位(ζ)に基づいて、コロイド粒子の凝集状態を検知することができる。
上述した本実施の形態の流動電位測定装置10によれば、被処理水が流される絶縁性直管11の内周面および絶縁性芯棒12の外周面が研磨または穿孔による機械的表面仕上げにより形成された粗面となっているので、絶縁性直管11の内周面および絶縁性芯棒12の外周面に対して被処理水の濁質成分を十分に付着させることができる。このことにより一対の電極15a、15b間の被処理水の電位差の測定において、絶縁性直管11および絶縁性芯棒12の荷電状態の影響を受けることなく濁質粒子の流動電位を測定することが可能となり、このため測定誤差の発生を抑止することができる。
また、絶縁性直管11の内周面および絶縁性芯棒12の外周面に、更に絶縁性物質1a、1b、1cおよび2a、2b、2cが設けられ保護層1、2が形成されているので、絶縁性直管11の内周面および絶縁性芯棒12の外周面をこの保護層1、2によってコーティングして保護することができ、しかも、この保護層1、2によって絶縁性直管11の内周面および絶縁性芯棒12の外周面の表面粗さまたは多孔度を自在に調整することができる。
また、絶縁性直管11および絶縁性芯棒12の材質が塩化ビニル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリアセタール樹脂のうちのいずれか一つとなっているので、これらの絶縁性直管11および絶縁性芯棒12を耐熱性、耐薬品性および耐摩耗性に優れたものとすることができる。また、絶縁性直管11の内周面および絶縁性芯棒12の外周面に対して研磨または穿孔による機械的表面仕上げおよび絶縁性物質1a、1b、1cおよび2a、2b、2cからなる保護層1、2の形成を確実に行うことができる。
また、本実施の形態の流動電位測定装置10の製造方法によれば、絶縁性直管11の内周面および絶縁性芯棒12の外周面に対して、それぞれ研磨または穿孔による機械的表面仕上げを行って、絶縁性直管11の内周面および絶縁性芯棒12の外周面に各々粗面を形成する機械的処理工程40が行われるので、絶縁性直管11の内周面および絶縁性芯棒12の外周面に対して被処理水の濁質成分を十分に付着させることができ、このことにより一対の電極15a、15b間の被処理水の電位差の測定において絶縁性直管11および絶縁性芯棒12の荷電状態の影響を受けることがなく、このため測定誤差の発生を抑止することができる流動電位測定装置10を得ることができる。
また、機械的処理工程40により得られる絶縁性直管11の内周面および絶縁性芯棒12の外周面に対して、それぞれ絶縁性物質1a、1b、1cおよび2a、2b、2cを化学蒸着または噴出溶射により設けて保護層1、2を形成する化学的処理工程41により、絶縁性直管11の内周面および絶縁性芯棒12の外周面を保護層1、2によりコーティングして保護することができる。しかも、この化学的処理工程41によって形成された保護層1、2により絶縁性直管11の内周面および絶縁性芯棒12の外周面の表面粗さまたは多孔度を自在に調整することができる。
また、化学的処理工程41により得られる絶縁性直管11の内周面および絶縁性芯棒12の外周面に対して加熱を行う熱処理工程42により、化学的処理工程41により形成された保護層1、2の耐久性を向上させることができる。
また、化学的処理工程41および熱処理工程42が交互に複数回行われ、それぞれの化学的処理工程41毎に異なる種類の絶縁性物質1a、1b、1cおよび2a、2b、2cを用いることにより絶縁性直管11の内周面および絶縁性芯棒12の外周面に対して複数の種類の絶縁性物質1a、1b、1cおよび2a、2b、2cをそれぞれ多段に設けているので、絶縁性直管11の内周面および絶縁性芯棒12の外周面の表面粗さまたは多孔度を増加させ、より確実に被処理水の濁質成分を付着させることができる。
さらに、各熱処理工程42における加熱温度は、熱処理工程42の実行回数が増えるにつれて低くなっているので、内側に位置する絶縁性物質1a、2aに比べて外側に位置する絶縁性物質1c、2cに対する加熱温度を順次低下させるようになっている。このため、
絶縁性直管11の内周面および絶縁性芯棒12の外周面への絶縁性物質の塗着は内側ほど強固となり、外側はより低い温度での処理のためにややアモルファス状態で塗着された状態になっており、そのため表面の多孔度が高くなっている。このことにより、絶縁性直管11の内周面および絶縁性芯棒12の外周面の表面粗さまたは多孔度を増加させ、より確実に被処理水の濁質成分を付着させることができる。
また、本実施の形態の凝集状態検知システム20によれば、上述の流動電位測定装置10を備えているので、この流動電位測定装置10の絶縁性直管11の内周面および絶縁性芯棒12の外周面に対して被処理水の濁質成分を十分に付着させることができ、このことにより一対の電極15a、15b間の被処理水の電位差の測定において絶縁性直管11および絶縁性芯棒12の荷電状態の影響を受けることがなく、このため被処理水中のコロイド粒子の凝集状態を正確に検知することができる。
以下、本発明の流動電位測定装置の実施例および比較例について図4乃至図7を用いて説明する。図4は、本発明の実施例における被処理水の濁質濃度と流動電位(SCD値)との関係を示すグラフであり、図5は、本発明の実施例における絶縁性直管および絶縁性芯棒の材質と流動電位(SCD値)との関係を示すグラフである。一方、図6は、比較例における被処理水の濁質濃度と流動電位との関係を示すグラフであり、図7は、比較例における絶縁性直管および絶縁性芯棒の材質と流動電位(SCD値)との関係を示すグラフである。
本実施例において用いられる流動電位測定装置10は、図2に示すように、被処理水が流される絶縁性直管11と、絶縁性直管11の内部に、この絶縁性直管11の内周面との間に間隙を形成するよう設けられた絶縁性芯棒12と、絶縁性直管11内において絶縁性芯棒12の両端部12a、12bの近傍に各々設けられた一対の電極15a、15bと、一対の電極15a、15bに接続され、一対の電極15a、15b間の被処理水に生じる電位差を計測する電位差計測部18とを備えている。絶縁性直管11の内周面および絶縁性芯棒12の外周面に対して機械的処理工程40を行った後、化学的処理工程41および熱処理工程42を交互に複数回行うことにより、絶縁性直管11の内周面および絶縁性芯棒12の外周面に、絶縁性物質1a、1b、1cおよび2a、2b、2cからなる保護層1、2が形成されている。
一方、比較例において用いられる流動電位測定装置10は、実施例において用いられる流動電位測定装置10と略同一の構成となっているが、絶縁性直管11の内周面および絶縁性芯棒12の外周面に対しては何も表面処理が行われていない。
実施例および比較例において、図1に示すように、まず原水タンク21内において濁質濃度を3〜300mg/Lの範囲で変化させたカオリン懸濁液を攪拌機22により十分に撹拌し、毎分4リットルで原水送液ポンプ23により混合槽26に送る。同時に、凝集剤タンク24に貯留されたポリ塩化アルミニウム(PAC)からなり比重が1.2416である凝集剤を毎分20ミリリットルで凝集剤送液ポンプ25により混合槽26に送る。
混合槽26において、凝集剤が添加された被処理水を攪拌機27により270rpmで急速撹拌を行い、撹拌された被処理水を貯留槽28に送って一旦貯留する。そして、貯留槽28に貯留された被処理水を送液ポンプ29により脈動流で流動電位測定装置10に送る。
流動電位測定装置10において、一対の電極15a、15b間の被処理水の電位差が電位差計測部18により計測される。電位差計測部18により計測された流動電位の信号はアンプ31に送られ、アンプ31により処理された流動電位の信号が記録計33に送られる。この記録計33により記録された流動電位(SCD値)について図4乃至図7のグラフの縦軸に示す。
まず、凝集剤注入率を60mg/Lと一定として、原水タンク21内のカオリン懸濁液の濁質濃度を3〜300mg/Lの範囲で変化させたときのこの濁質濃度と流動電位測定装置10により測定された流動電位との関係を図4(実施例)および図6(比較例)のグラフに示す。図4および図6のグラフにおいて、横軸は原水タンク21内のカオリン懸濁液の濁質濃度(mg/L)を示し、縦軸は流動電位測定装置10により測定された流動電位(SCD値)を示す。なお、図4および図6に示す実施例および比較例において、絶縁性直管11および絶縁性芯棒12の材質は塩化ビニル樹脂であった。
図4に示すように、絶縁性直管11の内周面および絶縁性芯棒12の外周面に対して表面処理が行われた流動電位測定装置10においては、流入する被処理水の濁質濃度が変化した場合であっても測定される流動電位の大きさはほぼ一定であった。
すなわち、本実施例によれば、被処理水の濁質濃度が低く、濁質成分の量が少ない場合であっても、この濁質成分が絶縁性直管11の内周面および絶縁性芯棒12の外周面に対して十分に付着することにより、一対の電極15a、15b間の被処理水の電位差の測定において絶縁性直管11および絶縁性芯棒12の荷電状態の影響を受けることがなく、このため測定誤差の発生を抑止することができることがわかる。
一方、図6に示すように、絶縁性直管11の内周面および絶縁性芯棒12の外周面に対して表面処理が行われていない流動電位測定装置10においては、流入する被処理水の濁質濃度が小さくなった場合に測定される流動電位の大きさが急激に小さくなった。
すなわち、この比較例によれば、被処理水の濁質濃度が低く、濁質成分の量が少ない場合には、濁質成分が絶縁性直管11の内周面および絶縁性芯棒12の外周面に対してあまり付着しないので、一対の電極15a、15b間の被処理水の電位差の測定において絶縁性直管11および絶縁性芯棒12の荷電状態の影響を受け、測定誤差が発生してしまうことがわかる。
次に、原水タンク21内のカオリン懸濁液の濁質濃度を50mg/L、凝集剤注入率を60mg/Lで一定とし、絶縁性直管11および絶縁性芯棒12の材質として、塩化ビニル樹脂(A)、ポリアセタール樹脂(B)、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(C)の3種類のものを用いた場合のこの材質と流動電位測定装置10により測定された流動電位との関係を図5(実施例)および図7(比較例)に示す。図5および図7のグラフにおいて、横軸は絶縁性直管11および絶縁性芯棒12の材質(A:塩化ビニル樹脂、B:ポリアセタール樹脂、C:ポリテトラフルオロエチレン樹脂)を示し、縦軸は流動電位測定装置10により測定された流動電位(SCD値)を示す。
図5に示すように、絶縁性直管11の内周面および絶縁性芯棒12の外周面に対して表面処理が行われた流動電位測定装置10においては、絶縁性直管11および絶縁性芯棒12の材質が変化した場合であっても測定される流動電位の大きさはほぼ一定であった。
すなわち、本実施例によれば、濁質成分が絶縁性直管11の内周面および絶縁性芯棒12の外周面に対して十分に付着することにより、一対の電極15a、15b間の被処理水の電位差の測定において絶縁性直管11および絶縁性芯棒12の荷電状態の影響を受けることがなく濁質成分の電位が検知された。このため測定誤差の発生を抑止することができることがわかる。
一方、図7に示すように、絶縁性直管11の内周面および絶縁性芯棒12の外周面に対して表面処理が行われていない流動電位測定装置10においては、絶縁性直管11および絶縁性芯棒12の材質が変化した場合には測定される流動電位にばらつきが生じた。
すなわち、この比較例によれば、絶縁性直管11および絶縁性芯棒12の材質が変化することによりこれらの絶縁性直管11および絶縁性芯棒12の荷電状態が変化し、一対の電極15a、15b間の被処理水の電位差の測定においてこの変化した荷電状態の影響を受けるので測定誤差が発生してしまうことがわかる。
本発明の実施の形態による流動電位測定装置を用いた凝集状態検知システム。 (a)は、図1の流動電位測定装置の構成を示す図であり、(b)は、絶縁性直管の内周面および絶縁性芯棒の外周面の詳細を示す図である。 図2の流動電位測定装置の絶縁性直管の内周面および絶縁性芯棒の外周面の表面処理工程を示すブロック図。 本発明の実施例における被処理水の濁質濃度と流動電位(SCD値)との関係を示すグラフ。 本発明の実施例における絶縁性直管および絶縁性芯棒の材質と流動電位(SCD値)との関係を示すグラフ。 比較例における被処理水の濁質濃度と流動電位(SCD値)との関係を示すグラフ。 比較例における絶縁性直管および絶縁性芯棒の材質と流動電位(SCD値)との関係を示すグラフ。 従来の流動電位測定装置の構成を示す図。
符号の説明
1 保護層
1a、1b、1c 絶縁性物質
2 保護層
2a、2b、2c 絶縁性物質
10 流動電位測定装置
11 絶縁性直管
12 絶縁性芯棒
12a、12b 端部
13 キャップ
13a 中空部
14 絶縁性芯棒保持部材
14a 貫通孔
15a、15b 一対の電極
16 ホースニップル
17 ホース
18 電位差計測部
18a 導電線
19 補正用測定部
20 凝集状態検知システム
21 原水タンク
22 攪拌機
23 原水送液ポンプ
24 凝集剤タンク
25 凝集剤送液ポンプ
26 混合槽
27 攪拌機
28 貯留槽
29 送液ポンプ
31 アンプ
32 アンプ電源
33 記録計
40 機械的処理工程
41 化学的処理工程
42 熱処理工程
80 流動電位測定装置
83 モータ
84 シリンダ
85 ピストン
86a、86b 一対の電極
87 電位差計測部
88 信号増幅器
89 アンプ

Claims (9)

  1. 被処理水が流され、内周面が研磨または穿孔による機械的表面仕上げにより形成された粗面を有する絶縁性直管と、
    絶縁性直管の内部に、この絶縁性直管の内周面との間に間隙を形成するよう設けられ、当該絶縁性直管の長さ方向に延び、外周面が研磨または穿孔による機械的表面仕上げにより形成された粗面を有する絶縁性芯棒と、
    絶縁性直管内において絶縁性芯棒の両端部の近傍に各々設けられた一対の電極と、
    一対の電極に接続され、一対の電極間の被処理水に生じる電位差を計測する電位差計測部と、
    を備えたことを特徴とする流動電位測定装置。
  2. 絶縁性直管の内周面および絶縁性芯棒の外周面に、更に絶縁性物質が設けられ保護層が形成されていることを特徴とする請求項1記載の流動電位測定装置。
  3. 絶縁性直管および絶縁性芯棒の材質が塩化ビニル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリアセタール樹脂のうちのいずれか一つであることを特徴とする請求項1または2記載の流動電位測定装置。
  4. 被処理水が流される絶縁性直管と、絶縁性直管の内部に、この絶縁性直管の内周面との間に間隙を形成するよう設けられ、当該絶縁性直管の長さ方向に延びる絶縁性芯棒と、絶縁性直管内において絶縁性芯棒の両端部の近傍に各々設けられた一対の電極と、一対の電極に接続され、一対の電極間の被処理水に生じる電位差を計測する電位差計測部と、を備えた流動電位測定装置の製造方法において、
    絶縁性直管および絶縁性芯棒を準備する準備工程と、
    絶縁性直管の内周面および絶縁性芯棒の外周面に対して、それぞれ研磨または穿孔による機械的表面仕上げを行って、絶縁性直管の内周面および絶縁性芯棒の外周面に各々粗面を形成する機械的処理工程と、
    を備えたことを特徴とする流動電位測定装置の製造方法。
  5. 機械的処理工程により得られた絶縁性直管の内周面および絶縁性芯棒の外周面に対して、それぞれ絶縁性物質を化学蒸着または噴出溶射により設けて保護層を形成する化学的処理工程を更に備えたことを特徴とする請求項4記載の流動電位測定装置の製造方法。
  6. 化学的処理工程により得られた絶縁性直管の内周面および絶縁性芯棒の外周面の保護層に対して加熱を行う熱処理工程を更に備えたことを特徴とする請求項5記載の流動電位測定装置の製造方法。
  7. 化学的処理工程および熱処理工程が交互に複数回行われ、
    それぞれの化学的処理工程毎に異なる種類の絶縁性物質を用いることにより絶縁性直管の内周面および絶縁性芯棒の外周面に対して複数の種類の絶縁性物質をそれぞれ多段に設けることを特徴とする請求項6記載の流動電位測定装置の製造方法。
  8. 各熱処理工程において、内側に位置する絶縁性物質に比べて外側に位置する絶縁性物質に対する加熱温度を順次低下させることを特徴とする請求項7記載の流動電位測定装置の製造方法。
  9. 絶縁性直管および絶縁性芯棒の材質が塩化ビニル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリアセタール樹脂のうちのいずれか一つであることを特徴とする請求項4乃至8のいずれかに記載の流動電位測定装置の製造方法。
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