JP2006241251A - シンチレータの製造方法及びシンチレータ - Google Patents

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Abstract

【課題】 十分に高い蛍光出力、良好なエネルギー分解能、及び短い蛍光減衰時間を有するシンチレータの製造方法及びシンチレータを提供する。
【解決手段】 本実施形態のシンチレータの製造方法は、無機固体中の塩素含有割合を低減する低減工程と、低減工程によって塩素含有割合を低減した無機固体を溶融させることにより、溶融液を得る溶融工程と、溶融液を固化させることにより、母材中にセリウムを発光中心として含むシンチレータを得る固化工程とを含む。
【選択図】 なし

Description

本発明は、シンチレータの製造方法及びシンチレータに関する。
陽電子放出核種断層撮像装置(Positron Emission computed Tomography、以下「PET」という。)では、どのような特性あるいは仕様のシンチレータを採用するかが装置全体の性能を向上させる上で最も重要な要因の一つとなる。米国を中心にPET診断の保険適用が進みビジネス拡大が進む中、高性能なPET装置を得るために、優れたシンチレータの材料探索、実用化のための育成技術開発等が精力的に進められている。
最近ではPETの高性能化に伴い、TOF(Time Of Flight)型PETに注目が集まっている。TOF型PETでは、シンチレータに、高い時間分解能及び蛍光出力、速い立ち上がり時間、並びに短い蛍光減衰時間が要求される。
また、高エネルギー物理分野では、宇宙からの微量な高エネルギー粒子を検出する等の実験に使用するために、微量の高エネルギー粒子を効率よく検出できるシンチレータが求められている。
シンチレータとしては、例えば特許文献1に開示された単結晶シンチレータが挙げられる。この単結晶シンチレータは、一般式Gd2−(x+y)LnCeSiO(ここにLnはSc、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を表わし、xは0.03〜1.9及びyは0.001〜0.2の値である。)で示されるセリウム付活珪酸ガドリニウム化合物からなる。
特公平8−3532号公報
上述のように、シンチレータの特性を示す項目として、蛍光出力、エネルギー分解能、蛍光減衰時間等があり、これらの特性の更なる向上が望まれている。
しかしながら、特許文献1に記載のものを始めとする従来のシンチレータは上述の要求を満足するには未だ十分ではない。
そこで本発明は、十分に高い蛍光出力、良好なエネルギー分解能、及び短い蛍光減衰時間を有するシンチレータの製造方法及びシンチレータを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、特許文献1に記載のものを始めとする従来のシンチレータは、実際には塩素を多量に含んでおり、それがシンチレータの上記特性に影響を及ぼすことを見出した。そして、シンチレータを製造する際に、塩素含有割合の少ない無機固体を出発原料として用いると、それよりも塩素含有割合の多い無機固体を出発原料として用いた場合に比べて、十分に高い蛍光出力、良好なエネルギー分解能、及び短い蛍光減衰時間を有するシンチレータが得られることを見出した。
すなわち、本発明のシンチレータの製造方法は、無機固体中の塩素含有割合を低減する低減工程と、その低減工程によって塩素含有割合を低減した無機固体を溶融させることにより、溶融液を得る溶融工程と、その溶融液を固化させることにより、母材中にセリウムを発光中心として含むシンチレータを得る固化工程とを含む。
本発明のシンチレータの製造方法では、従来のシンチレータに比べて、十分に高い蛍光出力、良好なエネルギー分解能、及び短い蛍光減衰時間を有するシンチレータが得られる。これは、発光中心となる3価のセリウムの発光作用を塩素が阻害しており、その塩素の含有割合が低い無機固体を出発原料として用いたからと考えられる。
なお、無機固体中の塩素含有割合は、GD−MS法(グロー放電質量分析法)により測定される。
また、上記シンチレータは単結晶であることが好ましい。この場合、優れたシンチレーション特性がより確実に得られる。
また、上記母材が、ルテチウムを含む希土類珪酸塩結晶であることが好ましい。この場合、発光波長を所望の範囲に制御できる。さらに、上述の希土類珪酸塩結晶がガドリニウムを更に含むことが好ましい。この場合、優れたシンチレーション特性がより確実に得られる。
また、上記シンチレータが、下記一般式(1)で表される化学組成を有し、かつ、下記式(2)及び(3)で表される条件を同時に満たしていることが好ましい。この場合、優れたシンチレーション特性がより確実に得られる。
Lu2xGd2(1−x)−ySiO:Ce…(1)
0.05≦x≦0.9…(2)
0.001≦y≦0.02…(3)
なお、上記一般式(1)中、「:Ce」とはセリウムが発光中心として機能することを示す。また、上記一般式(1)で表される化学組成は、CeGd2(1−x)−yLu2xSiOと表記することもできる。
また、本発明のシンチレータは、母材中にセリウムを発光中心として含み、かつ、塩素含有割合を低減した無機固体を溶融させた後に固化させることによって得られる。
本発明のシンチレータでは、従来のシンチレータに比べて、十分に高い蛍光出力、良好なエネルギー分解能、及び短い蛍光減衰時間が得られる。これは、発光中心となる3価のセリウムの発光作用を塩素が阻害しており、本発明のシンチレータではその塩素の含有割合が低いからと考えられる。
本発明によれば、十分に高い蛍光出力、良好なエネルギー分解能、及び短い蛍光減衰時間を有するシンチレータの製造方法及びシンチレータが提供される。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
[シンチレータ]
本実施形態のシンチレータは、母材中にセリウム(Ce)を発光中心として含み、かつ、塩素含有割合を低減した無機固体を溶融させた後に固化させることによって得られる。
このシンチレータでは、従来のシンチレータに比べて、十分に高い蛍光出力、良好なエネルギー分解能、及び短い蛍光減衰時間が得られる。これは、発光中心となる3価のCeの発光作用を塩素が阻害しており、本実施形態のシンチレータではその塩素の含有割合が低いからと考えられる。
上記シンチレータは、放射線によりシンチレーションを起こすことが可能な無機シンチレータである。放射線としては、例えば、原子又は分子等をイオン化させるのに十分なエネルギーを有する粒子線(例えばα線、β線、γ線、X線等)が挙げられる。
また、上記シンチレータは、結晶、アモルファス、準結晶又はこれらのうち2以上が混在した状態であってもよい。特に、上記シンチレータが、好ましくは単結晶又は多結晶、より好ましくは単結晶であると、優れたシンチレーション特性がより確実に得られる。
上記シンチレータの母材は、希土類元素と、金属酸化物とを含むことが好ましい。希土類元素としては、例えば、イットリウム(Y)、ルテチウム(Lu)、ガドリニウム(Gd)等が挙げられる。金属酸化物に含まれる金属元素としては、例えば、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、珪素(Si)等が挙げられる。なお、本明細書において、金属元素とはSiを含む概念とする。
具体的には、母材は、希土類珪酸塩結晶であることが好ましい。特に、母材は、Luを含む希土類珪酸塩結晶であることが好ましい。この場合、シンチレータの発光波長を所望の範囲に制御できる。さらに、上記希土類珪酸塩結晶がGdを更に含むことが好ましい。この場合、母材はLu、Gd及びSiを含み、優れたシンチレーション特性がより確実に得られる。
さらに具体的には、母材として、例えば、YTaO、YAl12、LuSiO、YSiO、GdSiO等の結晶が用いられる。
また、上記シンチレータが、下記一般式(1)で表される化学組成を有し、かつ、下記式(2)及び(3)で表される条件を同時に満たしていることが好ましい。この場合、優れたシンチレーション特性がより確実に得られる。
Lu2xGd2(1−x)−ySiO:Ce…(1)
0.05≦x≦0.9…(2)
0.001≦y≦0.02…(3)
さらに、上記シンチレータが、上記一般式(1)で表される化学組成を有し、かつ、下記式(4)及び(5)で表される条件を同時に満たしていることがより好ましい。この場合、優れたシンチレーション特性が更に確実に得られる。
0.1≦x≦0.5…(4)
0.01≦y≦0.02…(5)
さらに、上記シンチレータが、上記一般式(1)で表される化学組成を有し、かつ、下記式(6)及び(7)で表される条件を同時に満たしていることが特に好ましい。この場合、優れたシンチレーション特性が特に確実に得られる。
0.2≦x≦0.3…(6)
0.015≦y≦0.02…(7)
[シンチレータの製造方法]
上記シンチレータは本実施形態のシンチレータの製造方法により好適に得られる。本実施形態のシンチレータの製造方法は、無機固体中の塩素含有割合を低減する低減工程と、低減工程によって塩素含有割合を低減した無機固体を溶融させることにより、溶融液を得る溶融工程と、その溶融液を固化させることにより、母材中にセリウムを発光中心として含むシンチレータを得る固化工程とを含む。以下、低減工程、溶融工程及び固化工程についてそれぞれ詳細に説明する。
(低減工程)
まず、無機固体中の塩素含有割合を低減する。無機固体中の塩素含有割合を低減するには、(1)市販の無機固体から塩素含有割合の低い無機固体を選別してもよいし、(2)市販の無機固体を精製して塩素を除去してもよいし、或いは、(3)塩素をなるべく含有しないように無機固体を合成してもよい。(1)市販の無機固体から塩素含有割合の低い無機固体を選別する方法としては、例えば、市販の無機固体のイオン分析を行い、塩素含有割合の低い無機固体を選別する方法が挙げられる。(2)市販の無機固体を精製して塩素を除去する方法としては、例えば、市販の無機固体を空気中1000℃程度で焼結させることにより塩素を除去する方法が挙げられる。(3)塩素をなるべく含有しないように無機固体を合成する方法としては、例えば、硝酸塩等を使用して共沈させる方法ではなくイオン交換法を用いて塩素含有割合の低い無機固体を合成する方法が挙げられる。
塩素含有割合を低減する無機固体としては、例えばY、Lu、Gd等の希土類元素を含む酸化物、Ta、Al、Si等の金属元素を含む酸化物等が挙げられるが、酸化ルテチウム(Lu)が特に好ましい。酸化ルテチウム中の塩素含有割合は、1000質量ppm未満であると好ましく、500質量ppm未満であるとより好ましく、300質量ppm未満であると更に好ましく、100質量ppm未満であると特に好ましい。かかる酸化ルテチウムを出発原料として用いると、十分に高い蛍光出力、良好なエネルギー分解能、及び短い蛍光減衰時間を有するシンチレータが好適に得られる。
(溶融工程)
次に、低減工程によって塩素含有割合を低減した無機固体を溶融させることにより、溶融液を得る。具体的には、例えば、酸化ガドリニウム、珪素酸化物、酸化セリウム、及び塩素含有割合を低減した酸化ルテチウムの混合物を溶融させる。
(固化工程)
次に、上記溶融液を固化させることにより、母材中にセリウムを発光中心として含むシンチレータを得る。
このシンチレータの製造方法では、従来のシンチレータに比べて、十分に高い蛍光出力、良好なエネルギー分解能、及び短い蛍光減衰時間を有するシンチレータが得られる。これは、発光中心となる3価のセリウムの発光作用を塩素が阻害しており、その塩素の含有割合が低い無機固体を出発原料に用いたからと考えられる。
上記溶融工程及び固化工程では、本実施形態のシンチレータを確実に得る観点から、チョクラルスキー法(CZ法)が好適に用いられる。このとき、例えば図1に示される引き上げ装置10を用いて作業を行うことが好ましい。
また、上記固化工程は、以下の成長工程と切断工程とを含むことが好ましい。
<成長工程>
成長工程では、溶融工程で得られた溶融液に種結晶の少なくとも一部を浸漬し、種結晶が浸漬された溶融液を冷却固化させることにより、種結晶の所定の結晶面に沿って結晶を成長させてインゴットを得ることが好ましい。種結晶及びインゴットは単結晶であることが好ましい。
<切断工程>
切断工程では、成長工程で得られたインゴットを所望の形状及び大きさに切り出すことが好ましい。このようにして、本実施形態のシンチレータが得られる。
ここで、図1を参照して、上記溶融工程及び固化工程の具体例について詳細に説明する。まず、図1に示されるシンチレータ製造装置の基本構成の一例について説明する。
図1は、本実施形態のシンチレータの製造に好適に用いられるシンチレータ製造装置の基本構成の一例を示す模式断面図である。図1に示される引き上げ装置10は、高周波誘導加熱炉(2ゾーン加熱育成炉)14を有している。高周波誘導加熱炉14は、上記溶融工程及び固化工程における作業を連続的に行うためのものである。
高周波誘導加熱炉14は、耐火性を有する筒状の側壁を備えた有底容器である。この有底容器は、公知のCZ法において使用されるものと同様である。高周波誘導加熱炉14の底部付近における側壁の外側には、高周波誘導コイル15が巻回されている。高周波誘導加熱炉14の内部には、るつぼ17(例えば、イリジウム(Ir)製のるつぼ)が収容されており、るつぼ17は高周波誘導加熱炉14の底面上の所定位置に配置されている。
るつぼ17は、高周波誘導加熱ヒータを兼ねている。るつぼ17中に、酸化ガドリニウム、珪素酸化物、酸化セリウム、及び塩素含有割合を低減した酸化ルテチウムの混合物を出発原料として投入し、高周波誘導コイル15に高周波誘導電力を印加すると、るつぼ17が加熱される。その結果、上記混合物が溶融してなる溶融液(融液)18が得られる。
また、高周波誘導加熱炉14の内壁面上には、溶融液18に接触していない抵抗加熱ヒータ13が更に配置されている。抵抗加熱ヒータ13の加熱出力は、高周波誘導コイル15とは独立に制御可能である。
高周波誘導加熱炉14の底面の中央付近には、高周波誘導加熱炉14の内部から外部へ貫通する開口部(図示せず)が設けられている。この開口部を通じて、るつぼ支持棒16が、高周波誘導加熱炉14の外部から内部に向けて挿入されている。るつぼ支持棒16の先端は、るつぼ17の底部に接続されている。よって、るつぼ支持棒16を回転させることにより、高周波誘導加熱炉14中において、るつぼ17を回転させることができる。上記開口部とるつぼ支持棒16との間は、パッキン等によりシールされている。
続いて、上述の引き上げ装置10を用いて実施される上記溶融工程及び固化工程の一例について説明する。
(溶融工程)
溶融工程では、るつぼ17中に、酸化ガドリニウム、珪素酸化物、酸化セリウム、及び塩素含有割合を低減した酸化ルテチウムの混合物を出発原料として投入し、高周波誘導コイル15に高周波誘導電力を印加することにより、溶融液18を得る。
(固化工程)
<成長工程>
成長工程では、まず、高周波誘導加熱炉14の上方から、先端に種結晶2が固定された引き上げ棒12を溶融液18中に浸漬することによって種結晶2を溶融液18中に浸漬させる。その後、引き上げ棒12を引き上げながら、種結晶2周囲の溶融液を結晶化させ、結晶を成長させる。これにより、シンチレータを得るための単結晶インゴット1が形成される。このとき、抵抗加熱ヒータ13の加熱出力を調節し、溶融液18から引き上げられる単結晶インゴット1を、その断面が所定の直径となるように成長させることが好ましい。その後、抵抗加熱ヒータ13の加熱出力を調節し、単結晶インゴット1を冷却することが好ましい。
単結晶インゴット1の核となる種結晶2は、単結晶であると好ましい。具体的には、その単結晶が希土類珪酸塩単結晶であるとより好ましく、希土類元素としてLu又はGdを含有すると更に好ましい。特にLu及びGdの両方を含有する希土類珪酸塩単結晶を種結晶2として用いると、本実施形態のシンチレータを確実に作製可能となる。また、得られる単結晶インゴット1中の各元素を所望の含有割合にするために、種結晶2中の各元素の含有割合を所望の含有割合に調整することが好ましい。
なお、単結晶のクラックの発生を十分に防止して、単結晶をより確実に製造する観点から、上記溶融工程及び固化工程において、高周波誘導加熱炉14内の雰囲気は、例えば希ガス、窒素等の不活性ガスを主成分とすることが好ましい。また、この場合、Ceの含有割合が大きく、透明性の高いシンチレータが得られる。なお、高周波誘導加熱炉14内の雰囲気は、酸素ガスを微量に含んでいてもよい。
<切断工程>
切断工程では、単結晶インゴット1を、所望の形状及び大きさに切り出す。このようにして上述のシンチレータが得られる。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
まず、市販の酸化ルテチウム(信越化学社製)を、空気中1000℃で焼結し、精製して塩素含有割合が約50質量ppmの酸化ルテチウム(Lu、純度99.99質量%)を得た(低減工程)。
続いて、図1中のるつぼ17と同様の形状を有し、直径50mm、高さ50mm、厚み1mmのIr製るつぼの中に、塩素含有割合が約50質量ppmの酸化ルテチウム(Lu、純度99.99質量%)83.39g、酸化ガドリニウム(Gd、純度99.99質量%)300.05g、二酸化珪素(SiO、純度99.99質量%)62.95g、酸化セリウム(CeO、純度99.99質量%)3.61gを投入し、これらの混合物450gを出発原料として得た。次に、そのIr製るつぼを高周波誘導加熱炉内の所定位置に配置し、Ir製るつぼを1950℃以上に加熱して上記混合物を融解させて溶融液(溶融液の化学組成:Lu0.4Gd1.598SiO:Ce0.02)を得た(溶融工程)。
続いて、種結晶が先端に固定された引き上げ棒の当該先端を溶融液中に入れ、種付けを行った。その後、引き上げ速度1.5〜2mm/hの速度で引き上げ棒を引き上げることにより、ネック径10mmφのネック部を育成した。ネック部を育成する際に、高周波誘導加熱炉内の雰囲気の酸素ガス濃度が0.75体積%となるように、高周波誘導加熱炉内への窒素ガスの流入量と酸素ガスの流入量とを調整した。その後、コーン部の引き上げを行い、直径が25mmφになった後、直胴部の引き上げを開始した。直胴部を育成する際に、高周波誘導加熱炉内が窒素雰囲気となるように、高周波誘導加熱炉内に酸素ガスを供給せずに窒素ガスのみを供給した。直胴部を育成した後、結晶を溶融液から切り離して単結晶インゴットを得た(成長工程)。
続いて、高周波誘導加熱炉内を降温しながら単結晶インゴットを冷却した。冷却終了後、得られた単結晶インゴットを取り出した。得られた単結晶インゴットの結晶質量は約250gであり、コーン部の長さは30mmであり、直胴部の長さは約60mmであった。
続いて、得られた単結晶インゴットを、引き上げ方向において20mm間隔(ピッチ)で輪切りにして単結晶体を得た。その後、得られた単結晶体を、輪切りの切断面において、第1方向に6mm間隔、第1方向に垂直な第2方向に4mm間隔で、格子状に切断した(切断工程)。このようにして、4mm×6mm×20mmの大きさを有する略直方体のシンチレータのサンプルを得た。
(実施例2)
低減工程において、塩素含有割合が約50質量ppmの酸化ルテチウム(Lu、純度99.99質量%)に代えて塩素含有割合が約300質量ppmの酸化ルテチウム(Lu、純度99.99質量%)を得たこと以外は実施例1と同様にしてシンチレータのサンプルを得た。
(比較例1)
低減工程を経ずに、塩素含有割合が約50質量ppmの酸化ルテチウム(Lu、純度99.99質量%)に代えて塩素含有割合が1000質量ppm以上の酸化ルテチウム(Lu、純度99.99質量%)をそのまま用いたこと以外は実施例1と同様にしてシンチレータのサンプルを得た。
(評価結果)
実施例1及び2ではそれぞれ3つのサンプルを抜き出し、比較例1では1つのサンプルを抜き出して、各サンプルについて、(1)蛍光出力、(2)エネルギー分解能、及び(3)蛍光減衰時間について評価を行った。
まず、略直方体の上記各サンプルの6つの面のうち、4mm×6mmの大きさを有する面(以下、「放射線入射面」という。)の1つを除く残り5つの面に、反射材としてポリテトラフルオロエチレンテープ(PTFEテープ)を被覆した。次に、PTFEテープが被覆されていない放射線入射面が光電子増倍管(浜松ホトニクス社製H7195、商品名)のフォトマル面(光電変換面)に対向するように、光学グリースを用いて各サンプルを固定した。
固定された各サンプルに対して137Csを用いた611KeVのガンマ線を照射し、各サンプルのエネルギースペクトルを測定した。測定されたエネルギースペクトルを用いて、(1)蛍光出力、(2)エネルギー分解能、及び(3)蛍光減衰時間について評価を行った。評価結果を表1に示す。
Figure 2006241251

ここで、(1)蛍光出力については、値が大きいほどそのサンプルのシンチレータ性能が良いものであると評価できる。また、(2)エネルギー分解能については、値が小さいほどそのサンプルのシンチレータ性能が良いものであると評価できる。また、(3)蛍光減衰時間については、t1及びt2の値が小さいほどそのサンプルのシンチレータ性能が良いものであると評価できる。
本発明のシンチレータは、例えば、PETに搭載されるシンチレータ、石油探査等の地下探査用シンチレータ、高エネルギー物理研究用シンチレータ等として好適に利用される。
本実施形態のシンチレータの製造に好適に用いられるシンチレータ製造装置の基本構成の一例を示す模式断面図である。
符号の説明
1…単結晶インゴット、2…種結晶、10…引き上げ装置、12…引き上げ棒、13…抵抗加熱ヒータ、14…高周波誘導加熱炉(2ゾーン加熱育成炉)、15…高周波誘導コイル、16…るつぼ支持棒、17…るつぼ、18…溶融液(融液)。

Claims (6)

  1. 無機固体中の塩素含有割合を低減する低減工程と、
    前記低減工程によって塩素含有割合を低減した無機固体を溶融させることにより、溶融液を得る溶融工程と、
    前記溶融液を固化させることにより、母材中にセリウムを発光中心として含むシンチレータを得る固化工程と、
    を含む、シンチレータの製造方法。
  2. 前記シンチレータは単結晶である、請求項1に記載のシンチレータの製造方法。
  3. 前記母材が、ルテチウムを含む希土類珪酸塩結晶である、請求項1又は2に記載のシンチレータの製造方法。
  4. 前記希土類珪酸塩結晶がガドリニウムを更に含む、請求項3に記載のシンチレータの製造方法。
  5. 前記シンチレータが、下記一般式(1)で表される化学組成を有し、かつ、下記式(2)及び(3)で表される条件を同時に満たしている、請求項1〜4のいずれか一項に記載のシンチレータの製造方法。
    Lu2xGd2(1−x)−ySiO:Ce…(1)
    0.05≦x≦0.9…(2)
    0.001≦y≦0.02…(3)
  6. 母材中にセリウムを発光中心として含み、かつ、塩素含有割合を低減した無機固体を溶融させた後に固化させることによって得られる、シンチレータ。
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