JP2006240906A - 光学素子の成形方法、光学素子の製造方法、光学素子の成形装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 装置稼働率も高くコストダウンに繋がるのみならず、芯取り工程不要の芯取りレス成形時においても型開き時の付着現象が発生せず、さらに、成膜前の洗浄工程も不要にできるので、工程短縮によるコストダウン効果も大きい光学素子の成形方法、光学素子の製造方法、光学素子の成形装置の提供。
【解決手段】 加熱軟化したガラス素材を成形型でプレス成形し成形光学素子を得るに際し、プレス成形および冷却が完了した成形光学素子を成形型から取り出すために型開きする前に、成形光学素子のガラスと成形型の界面部に発生し帯電している電荷を除電することを特徴とする光学素子の成形方法。
【選択図】 図1
【解決手段】 加熱軟化したガラス素材を成形型でプレス成形し成形光学素子を得るに際し、プレス成形および冷却が完了した成形光学素子を成形型から取り出すために型開きする前に、成形光学素子のガラスと成形型の界面部に発生し帯電している電荷を除電することを特徴とする光学素子の成形方法。
【選択図】 図1
Description
本発明は、ガラス素材を高温下でプレス成形し成形光学素子を得る技術であるところの、光学素子の成形方法、光学素子の製造方法、光学素子の成形装置に関する。
1.成形光学素子の型への付着現象に関して
ガラス素材を高温下でプレス成形し冷却が完了した後、成形光学素子を取り出すために成形型を型開きする際に、成形光学素子が型に付着することがしばしば発生していた。特に、上型に成形光学素子が付着してしまうと、成形光学素子の取り出しが困難となるため、成形装置の稼動が止まることは大きな問題である。
ガラス素材を高温下でプレス成形し冷却が完了した後、成形光学素子を取り出すために成形型を型開きする際に、成形光学素子が型に付着することがしばしば発生していた。特に、上型に成形光学素子が付着してしまうと、成形光学素子の取り出しが困難となるため、成形装置の稼動が止まることは大きな問題である。
この付着現象を防止するため、機構を用いて成形品の上型付着を防止する技術が、例えば、下記特許文献1に開示されている。この従来技術では、加熱軟化されたガラス素材をプレス成形している最中にガラス素材側面に上型付着防止部材をさせ、その結果、上型付着防止部材により凹み部が側面に形成された成形光学素子が得られ、成形光学素子の側面の凹み部に上型付着防止部材を嵌合した状態で型開きを行うことで、上型付着の防止を行っていた。
2.成形光学素子の洗浄に関して
従来、プレス成形が完了した成形光学素子の次工程は、研削加工で成形光学素子の外周部を除去し所定形状にする芯取り工程であり、さらに次工程として反射防止膜を蒸着する成膜工程を行っていた。これらの工程において、芯取り工程で加工時に用いるクーラントが成形光学素子に付着し汚れるため、その後、超音波洗浄を行い、さらに、成膜工程で蒸着する前には、成形光学素子に付着している埃を除去するため、1個1個の成形光学素子を手拭き洗浄していた。これらの工程は、球面レンズの研磨加工で行われていた技術をそのまま流用しており、古くから公知の技術である。
従来、プレス成形が完了した成形光学素子の次工程は、研削加工で成形光学素子の外周部を除去し所定形状にする芯取り工程であり、さらに次工程として反射防止膜を蒸着する成膜工程を行っていた。これらの工程において、芯取り工程で加工時に用いるクーラントが成形光学素子に付着し汚れるため、その後、超音波洗浄を行い、さらに、成膜工程で蒸着する前には、成形光学素子に付着している埃を除去するため、1個1個の成形光学素子を手拭き洗浄していた。これらの工程は、球面レンズの研磨加工で行われていた技術をそのまま流用しており、古くから公知の技術である。
3.ガラスの帯電除去に関して
常温のガラスは、電気伝導度が低いため帯電しやすいことは良く知られており、加熱軟化したガラス素材を成形型でプレス成形し成形光学素子を得る技術において、ガラスの帯電を除去する技術として以下に示す技術が開示されている。
常温のガラスは、電気伝導度が低いため帯電しやすいことは良く知られており、加熱軟化したガラス素材を成形型でプレス成形し成形光学素子を得る技術において、ガラスの帯電を除去する技術として以下に示す技術が開示されている。
例えば、特許文献2には、製品ハンドリング装置の吸着用の真空通路に除電装置を接続し、除電した空気を吸着口から噴射する装置が開示されており、除電空気の噴射で成形品や吸着パッドを除電するとしている。
また、例えば特許文献3には、成形型内にボール状ガラスを投入した後、プレス成形をする前に、型とボール状ガラスの除電を行う製造方法が開示されており、ボール状ガラスと型の貼り付きを防止できるとしている。
同様に、特許文献4には、成形型内に配置されたガラスに除電エアを供給し、ガラスを揺動させながら除電し、かつ、センタリングする成形方法が開示されている。
さらに、特許文献5には、ガラス素材を除電した後、成形型に載置する製造方法が開示され、型上の適正な位置でのプレスが可能としている。
特開平06−080430号公報
特開平06−226750号公報
特開2000−159527号公報
特開2001−010826号公報
特開2001−097727号公報
最近の成形光学素子成形技術のトレンドは、芯取りレス成形品、すなわち、上下の2光学面に加え、側周面も成形した成形品であり、その狙いは、芯取り工程の廃止によるコストダウンである。
このような芯取りレス成形品の成形型の構造は、側面にリング状の外周規制部材が設けられる。そのため、上記の従来の技術で説明したような上型付着防止部材の使用が困難になる。すなわち、従来の成形光学素子をメカ的に保持することによらず、成形品の型への付着を防止することが課題となる。
また、このように芯取りレス成形品を成形した場合、成形品の洗浄を行わずに、成形品を成膜装置に搬送し反射防止膜の成膜を行うことが好ましい。この場合、成膜工程に到るまでの搬送時に、成形品に埃が付着しないようにすることが課題になる。
本発明は、上述の問題点に着目してなされたものであって、装置稼働率も高くコストダウンに繋がるのみならず、芯取り工程不要の芯取りレス成形時においても型開き時の付着現象が発生せず、さらに、成膜前の洗浄工程も不要にできるので、工程短縮によるコストダウン効果も大きい光学素子の成形方法、光学素子の製造方法、光学素子の成形装置の提供を目的とする。
上記目的を達成するために、本発明はその第1の発明として、加熱軟化したガラス素材を成形型でプレス成形し成形光学素子を得るに際し、プレス成形および冷却が完了した成形光学素子を成形型から取り出すために型開きする前に、成形光学素子のガラスと成形型の界面部に発生し帯電している電荷を除電することを特徴とする光学素子の成形方法を提供する。
本発明の作用を以下簡単に説明する。
ガラス素材をプレス成形する際、成形型の成形面には滑り性の良い離型膜が形成されているので、ガラスと型の界面で滑りが発生している状態でプレス成形が進んでいく。この様に、ガラスと型の界面で滑りが発生することで、界面において、ガラス材料構成原子と型の離型膜構成原子の間で、原子の接近と乖離が発生し、その結果、この界面の構成原子の間で電荷の移動が起き帯電する。材料間の帯電列表によれば、ガラスの帯電は+で、型の帯電は−であると思われる。
プレス成形完了後、成形光学素子を成形型内に保持した状態のまま、型開き温度まで冷却する。ここで、ガラスの熱膨張率は、型に比べ大きいため、冷却中にガラスが収縮する。
一方、ガラスと型の界面では、原子間力および帯電による電気引力からなる密着力により、これらが密着しているが、冷却によるガラスの収縮力がこの密着力に打ち勝った時に、この密着状態が破壊され、成形光学素子が成形型から離型する現象が起きる。この離型時も、界面において、ガラス材料構成原子と型の離型膜構成原子の間で、原子の乖離が発生し、その結果、この界面の構成原子の間で電荷の移動が起き帯電する。特に、離型時には、ガラスの温度が低く、その電気伝導度が低いため、帯電量が大きくなる。
このように、ガラスと型が異なる電荷に帯電している状態で型開きを行えば、静電気力により成形光学素子が成形型へ付着しやすい。すなわち、従来、型開き時に成形光学素子が成形型に付着する現象は、この静電気の帯電がその大きな要因であったと考えられる。
すなわち本発明により、成形光学素子を成形型から取り出すために型開きする前に、成形光学素子のガラスと成形型の界面部に発生し帯電している電荷を除電することにより、型開き時に成形光学素子が成形型に付着する現象を防止できる。特に、本発明の方法では、成形光学素子の型への付着防止をメカ機構を要せずに行えるので、芯取りレス成形用の型においても、成形光学素子の型への付着防止が可能になる。
よって、本発明の効果として、芯取りレス成形においても、型開き時に安定した型開きを行うことが可能になる。
第2の発明は、請求項1記載の光学素子の成形方法において、電圧の印加により除電を行うことを特徴とする。
第2の発明では、成形光学素子のガラスと成形型の界面部に発生し帯電している電荷を除電するために、該部分に電圧を印加し、その電位差により帯電している電荷を除電する。
第2の発明によれば、容易かつ簡便な機構により、ガラスと成形型の界面部の帯電を除けるので、装置コストダウンが達成できる。
第3の発明は、請求項2記載の光学素子の成形方法において、電圧の印加が交流電圧で行われることを特徴とする。
第3の発明では、電圧の印加を交流電圧で行うことにより、印加される電圧の極性を相互に変えることが容易になる。成形光学素子のガラスと成形型の界面部に発生し帯電している電価は、一般にガラス側が+、成形型側が−に帯電しているが、印加する電圧の極性を相互に変えることにより、この界面に帯電している電荷を確実に除去することができる。
このように印加する電圧の極性を相互に変えるのに最も容易な方法は、交流電圧を用いる方法である。すなわち、第3の発明によれば、容易かつ簡便な機構により、ガラスと成形型の界面部の帯電を確実に除けるので、装置コストダウンが達成できる。
第4の発明は、請求項2記載の光学素子の成形方法において、印加される電圧の範囲が0.5kVから8kVまでの範囲であることを特徴とする。
第4の発明の範囲で電圧を印加することで、成形光学素子のガラスと成形型の界面部に発生し帯電している電価を確実に除去できた。
第4の発明によれば、ガラスと成形型の界面部の帯電を確実に除けるので、成形光学素子の成形型への付着が発生しないので、装置稼動率が向上する。
第5の発明は、請求項2記載の光学素子の成形方法において、上下一対の成形型の各々の成形型に電圧を印加することを特徴とする。
第5の発明では、成形光学素子のガラスに直接電圧を印加すること無く、上下の成形型に電圧を印加することで、成形光学素子のガラスと成形型の界面部に発生し帯電している電価を除去する。
第5の発明によれば、容易かつ簡便な機構により、ガラスと成形型の界面部の帯電を確実に除けるので、装置コストダウンが達成できる。
第6の発明は、請求項2記載の光学素子の成形方法において、成形型が超硬合金から成っていることを特徴とする。
超硬合金は、主にタングステンと炭素の合金からなり、その電気抵抗が低く電気伝導度が高いことが知られている。また、超硬合金は高温強度も高いため成形型材として適していることも知られている。したがって、超硬合金からなる成形型を用い成形光学素子を成形し、その後、その界面に発生した帯電を除去することが可能となる。
第6の発明によれば、容易かつ簡便な機構により、ガラスと成形型の界面部の帯電を確実に除けるので、装置コストダウンが達成できる。
第7の発明は、請求項1記載の光学素子の成形方法において、成形型の接地により除電を行うことを特徴とする。
第7の発明では、成形光学素子のガラスと成形型の界面部に発生し帯電している電価の内、成形型側に帯電している電荷の除電が容易に行われ、結果として、型開き時に成形光学素子が成形型に付着する現象を防止できる。
第7の発明によれば、容易かつ簡便な機構により、ガラスと成形型の界面部の帯電を除けるので、装置コストダウンが達成できる。
第8の発明は、請求項1記載の光学素子の成形方法において、成形型への帯電イオンの供給により除電を行うことを特徴とする。
第8の発明では、成形光学素子のガラスと成形型の界面部に発生し帯電している部分へ、帯電イオンを供給することにより、除電を行う。すなわち、−に帯電している場所には+に帯電しているイオンを供給し、逆に、+に帯電している部分には−に帯電しているイオンを供給し、除電する。
第8の発明によれば、高圧電源等の特殊機材が不要であるので、容易かつ簡便な機構により、ガラスと成形型の界面部の帯電を除けるので、装置コストダウンが達成できる。
第9の発明は、請求項8記載の光学素子の成形方法において、成形型と成形光学素子が離型した後、成形型と成形光学素子とが僅かに離れた状態で、成形型への帯電イオンの供給により除電を行い、その後、型開きを行うことを特徴とする。
第9の発明では、成形型と成形光学素子が離型した後、成形型と成形光学素子とが僅かに離れた状態で、成形型への帯電イオンの供給により除電するので、帯電イオンが成形型と成形光学素子の間の僅かの隙間を通って、成形光学素子のガラスと成形型の界面の多くの部分に供給されるので、より確実に除電が行われる。
第9の発明によれば、容易かつ簡便な機構により、ガラスと成形型の界面部の帯電を確実に除けるので、装置コストダウンが達成できる。
第10の発明は、請求項1記載の方法で得られた成形光学素子の重量が400mg以下であることを特徴とする。
第10の発明の範囲の成形光学素子を成形した範囲では、型開き時に成形光学素子が成形型に付着する現象をほとんど防止できた。しかし、成形光学素子の重量範囲がこれより重い場合は、第1の発明手段を用いても、型開き時に成形光学素子が成形型に付着する現象の防止に顕著な効果が見られない場合があった。これは、帯電による静電気力の影響は界面の面積に比例するため基準長さLの2乗で効くのに対し、重力の影響は体積に比例するため基準長さLの3乗で効き、成形光学素子に対する界面帯電の影響はその重量が軽い場合に顕著になるためと思われる。
第10の発明によれば、成形光学素子の成形型への付着を確実に防止できるので、装置稼動率が向上する。
第11の発明は、請求項1記載の光学素子の成形方法で得られた成形光学素子を、成膜装置へ搬送し、反射防止膜を成膜することを特徴とする。
第1の発明で得られた成形光学素子は、型開きする前に成形型との界面の帯電が除かれているので、その後、成形光学素子を搬送しても搬送中に成形光学素子に埃等の異物が付着することは無い。したがって、この成形光学素子を成膜装置へ搬送した場合、成膜前に成形光学素子を洗浄する必要が無くなる。
特に、第1の発明は、芯取りレス成形に対して適用ができる成形方法であるので、芯取りレス形状の成形光学素子を、芯取りレスかつ洗浄レスで反射防止膜の成形を行った場合、工程短縮による大きなコストダウン効果がある。
第12の発明は、加熱軟化したガラス素材を成形型でプレス成形し成形光学素子を得る光学素子の成形装置において、成形型を非酸化性雰囲気に保つ雰囲気チャンバーの内部に、除電機構を有していることを特徴とする。
第2,7,8の発明で説明したように、これらの除電機構は、容易かつ簡便な機構であるので、成形型を非酸化性雰囲気に保つ雰囲気チャンバーの内部に設置することができる。このように除電機構を成形型に近い場所に設けることにより、より効率の高い除電を行うことが可能になる。
第12の発明によれば、成形光学素子の成形型への付着を確実に防止できるので、装置稼動率が向上する。
第13の発明は、請求項12記載の光学素子の成形装置において、成形装置に隣接して成膜装置が設けられていることを特徴とする。
成形装置に隣接して成膜装置を設けることにより、第11の発明で説明したように、型開きする前に成形型との界面の帯電が除かれている成形光学素子を、成形装置から成膜装置へ搬送しても、搬送中に成形光学素子に埃等の異物が付着する可能性は限りなく低くなる。
第13の発明によれば、成膜時の成形光学素子への異物付着が無くなるので、成膜工程の良品率が向上する。
第14の発明は、請求項12記載の光学素子の成形装置において、成形光学素子のガラス表面への帯電および除電を用いて成形光学素子を吸着・搬送・解除する搬送装置が設けられていることを特徴とする。
従来、成形光学素子の搬送には、真空減圧を用い吸着し、ガス圧の付加により真空破壊し吸着を解除する技術が用いられてきた。しかし、このように真空破壊で吸着解除すると配管からガスが噴射された状態で吸着解除が行われ、この時、吸着されていた成形光学素子の位置がずれたり、噴射ガスの中に含まれていた微細なゴミ等の異物が成形光学素子に付着する等の問題があった。
第14の発明では、成形光学素子のガラス表面への帯電および除電を用いて成形光学素子を吸着・搬送・解除する。したがって、吸着を解除する時点で成形光学素子の位置がずれる問題は無い。また、型開き前に除電された成形光学素子に対し、ガラス面と吸着パット面の間で帯電および除電を用いて吸着を行うので、この部分に埃等の異物が付着することも無い。
第14の発明によれば、成形光学素子への異物付着が無くなるので良品率が向上すると共に、成形光学素子の取り置き精度が良くなるので装置稼働率の向上にも繋がる。
本発明によれば、型開き時の付着現象も発生しないので、装置稼働率も高くコストダウンに繋がるのみならず、芯取り工程不要の芯取りレス成形時においても型開き時の付着現象が発生せず、さらに、成膜前の洗浄工程も不要にできるので、工程短縮によるコストダウン効果も大きい。
本発明の実施の形態は、所望重量に調整されたガラス塊を所定温度まで加熱し軟化させた後、超硬合金からなる上下一対の成形型でプレス成形し、成形型とガラスの界面が密着した状態のまま冷却し、成形光学素子が成形型から離型した後、成形型とガラスの界面に発生した帯電を除去した後、上型を上昇し型開きし、成形光学素子を取り出した。
望ましい本発明の実施形態では、プレス成形時に、上下一対の成形型により形成される成形光学素子の側面を側面規制部材で成形し、後の芯取り工程を不要とした芯取りレス形状の成形光学素子を成形するものである。
また、本発明の実施形態として、成形光学素子を成形する成形装置とこの成形光学素子の上に反射防止膜を成膜するための成膜装置が隣接している装置構成が望ましいものである。
図1は、実施例1で用いた装置を説明する図である。1は成形用下型、2は成形用上型、3は成形光学素子、4は外周規制部材、5は成形ロッド、6は除電用電源、7は電線、8はチャンバーである。
下型1と上型2で構成されるキャビティー内に配置された成形素材であるガラス塊は、成形温度まで加熱された後、成形ロッド5によりプレス成形され、成形光学素子3が得られる。外周規制部材4は、円筒形状をしており、成形光学素子3の側面形状を成形し、上下型による上下の光学機能面のみならず、成形光学素子3の側面形状をも所定形状に成形することができる。なお、チャンバー8により、成形型の雰囲気は非酸化性ガスに保たれている。
除電用電源6は、高圧交流電源であり、電線7により下型1と上型2に連結されている。電線7は、下型1と上型2に圧着されている。
成形光学素子3を下型1と上型2の間に挟んだ状態のまま、これらを冷却した。ガラスの熱収縮量は、成形型に比べ大きいため、冷却に伴い成形光学素子3が成形型(下型1と上型2)から離型した。その後、除電用電源6から高圧交流を下型1と上型2に加えた後、上型2を上昇させ型開きを行い、成形光学素子3を取り出した。
以下、実施例1の具体的形態を説明する。
下型1および上型2および外周規制部材4は、超硬合金で作られている。成形光学素子3は、重量400mgで直径6mmの両凸形状レンズである。この成形光学素子3の側面は、厚み0.8mmの円筒面に成形されており、芯取り工程不要な成形光学素子を得ることができる。
下型1および上型2および外周規制部材4は、超硬合金で作られている。成形光学素子3は、重量400mgで直径6mmの両凸形状レンズである。この成形光学素子3の側面は、厚み0.8mmの円筒面に成形されており、芯取り工程不要な成形光学素子を得ることができる。
成形用素材としてボール形状ガラスを用い、これを620℃に加熱した後、下型1と上型2でプレス成形し、その状態のまま、それらを冷却した。
除電用電源6として、トレック・ジャパン株式会社製の交直両用高圧アンプリファイアMODEL10を用いた。
成形型温度が450℃まで冷却された時、除電用電源6から高圧交流を5秒間、下型1と上型2に印加した。その後、上型2を上昇させ型開きし、成形光学素子3を取り出した。
表1に成形型への印加電圧と成形光学素子の型への付着率の関係を示す。印加電圧を0.5kV以上にすると付着発生率が大きく下がることが判る。
このように、本実施例によれば、心取りレス形状の成形光学素子を得る際にも、型開き時に、成形光学素子の型への付着を防止できた。
すなわち、本実施例によれば、型開き時に成形光学素子の型への付着を防止でき装置稼働率が上がり、さらに、心取りレス成形が可能となるので工程短縮によるコストダウンが可能となる。
図2は、実施例2で用いた装置を説明する図である。1は成形用下型、2は成形用上型、3は成形光学素子、9は帯電イオン供給装置である。
下型1および上型2は、超硬合金で作られている。外周規制部材4は用いなかった。成形光学素子3は、重量300mgの直径5mmの両凸形状レンズである。
成形用素材としてボール形状ガラスを用い、これを620℃に加熱した後、下型1と上型2でプレス成形し、その状態のまま、それらを冷却した。
帯電イオン供給装置9として、株式会社キーエンスの除電器SJ−Rを用いた。この帯電イオン供給装置9は、雰囲気保持チャンバー8内の成形型に隣接した位置に設置した。
成形型温度が440℃まで冷却された時、成形光学素子3が成形型から離型した。その後、上型2を2mm上昇させた位置まで上げた状態で、帯電イオン供給装置9から5秒間帯電イオンを供給した。その後、上型2を上昇させ型開きし、成形光学素子3を取り出した。
本実施例によれば、型開き時に、成形光学素子の型への付着を確実に防止できた。
すなわち、本実施例によれば、型開き時に成形光学素子の型への付着を防止でき、装置稼働率が上がった。
実施例3は、実施例2と同様の装置構成であるが、帯電イオン供給装置9として、浜松ホトニクス株式会社のフォトイオナイザL9490を用いた。この帯電イオン供給装置9は、微弱X線を使うため遮蔽する必要があるが、この帯電イオン供給装置9を、雰囲気保持チャンバー8内の成形型に隣接した位置に設置することで、雰囲気保持チャンバー8で微弱X線を遮蔽することができるため問題では無い。
本実施例によれば、型開き時に、成形光学素子の型への付着を確実に防止でき、さらに、成形光学素子への埃の付着も発生しなかった。
すなわち、本実施例によれば、型開き時に成形光学素子の型への付着を防止でき装置稼働率が上がり、さらに、成形光学素子3を洗浄する必要がなくなるため装置コストも下がる。
図3は、実施例4で用いた装置を説明する図である。1は成形用下型、2は成形用上型、3は成形光学素子、6は除電用電源、7は電線、10は型の接地・非接地を切り替えるスイッチである。また、図1と同様の外周規制リング(不図示)を用いた。本実施例では、下型1および上型2に各々、除電用電源6とスイッチ10が接続されている。
下型1および上型2は、超硬合金で作られている。成形光学素子3は、重量200mgの直径4mmの両凸形状レンズである。この成形光学素子の側面は、厚み0.5mmの円筒面に成形されており、芯取り工程不要な成形光学素子を得ることができる。
成形用素材としてボール形状ガラスを用い、これを620℃に加熱した後、下型1と上型2でプレス成形し、その状態のまま、それらを冷却した。
除電用電源6として、株式会社日立メディアエレクトロニクス製の高圧トランスX97Sを用いた。
スイッチ10は、プレス成形時にはOFFの状態で非接地状態で成形を行い、成形型温度が450℃まで冷却された時、スイッチ10をON状態にし接地状態にし、成形型に帯電した電荷を除電した。スイッチ10を5秒間ON状態に保った後、再度OFFにした後、除電用電源6から高圧交流を5秒間、下型1と上型2に印加した。その後、上型2を上昇させ型開きし、成形光学素子3を取り出した。
表2に成形型への印加電圧と成形光学素子の型への付着率の関係を示す。印加電圧を0.5kV以上にすると付着発生率が大きく下がることが判る。
このように、本実施例によれば、心取りレス形状の成形光学素子を得る際にも、型開き時に、成形光学素子の型への付着を防止できた。
すなわち、本実施例によれば、型開き時に成形光学素子の型への付着を防止でき装置稼働率が上がり、さらに、心取りレス成形が可能となるので工程短縮によるコストダウンが可能となる。
図4は、実施例5で用いた装置を説明する図である。1は成形用下型、2は成形用上型、8は雰囲気保持チャンバー、11は成膜装置、12は搬送装置、13は静電チャックである。
本実施例において、一対の成形型からなる成形装置と成膜装置11は隣接して設置されており、これらの間に、成形光学素子を搬送するための搬送装置12が設置されている。
成形装置の内部は、雰囲気保持チャンバー8により非酸化性雰囲気に保つことができ、成膜装置11は真空チャンバーにより真空雰囲気に保つことができる様になっているが、搬送装置12は大気雰囲気中に設置した。
成形装置内の成形型で成形された成形光学素子は、型とガラスの界面に発生した帯電を除電した後、型開きを行い、その後、雰囲気保持チャンバー8を開放する。除電された状態の成形光学素子は、搬送装置12の先端の静電チャック13に静電吸着され、成膜装置11へと搬送される。
成膜装置11の成膜ヤトイへ成形光学素子を搬送した後、静電チャック13の帯電を除電し、成膜装置11の成膜ヤトイへ成形光学素子を置き、直ちに、反射防止膜の成膜を行った。
本実施例によれば、成形光学素子を成形装置から成膜装置へ搬送する間に、成形光学素子に埃が付着することは無かった。これは、型開き前に成形光学素子の帯電を除電している点、静電チャックによる帯電は、静電チャックとガラスの界面で発生している点、成形装置と成膜装置を隣接配置しその距離が短い点、から来ている。
本実施例によれば、反射防止膜成膜前の洗浄工程が不要となり、さらに、芯取り工程も不要となるため、工程短縮による大きなコストダウンができ、さらに、型開き時の付着現象も発生しないので、装置稼働率も高くコストダウンに繋がる。
(比較例1)
実施例1の比較例として、重量700mgの成形光学素子を成形した場合、印加電圧を10kVまで上げても、型開き時の型への付着の発生率が30%程度あった。
実施例1の比較例として、重量700mgの成形光学素子を成形した場合、印加電圧を10kVまで上げても、型開き時の型への付着の発生率が30%程度あった。
(比較例2)
実施例2の比較例として、重量500mgの成形光学素子を成形した場合、型開き時の型への付着の発生率が40%程度あった。
実施例2の比較例として、重量500mgの成形光学素子を成形した場合、型開き時の型への付着の発生率が40%程度あった。
(比較例3)
実施例4の比較例として、重量600mgの成形光学素子を成形した場合、印加電圧を8kVまで上げても、型開き時の型への付着の発生率が40%程度あった。
実施例4の比較例として、重量600mgの成形光学素子を成形した場合、印加電圧を8kVまで上げても、型開き時の型への付着の発生率が40%程度あった。
1 下型
2 上型
3 成形光学素子
6 除電用電源
9 帯電イオン供給装置
2 上型
3 成形光学素子
6 除電用電源
9 帯電イオン供給装置
Claims (14)
- 加熱軟化したガラス素材を成形型でプレス成形し成形光学素子を得るに際し、プレス成形および冷却が完了した成形光学素子を成形型から取り出すために型開きする前に、成形光学素子のガラスと成形型の界面部に発生し帯電している電荷を除電することを特徴とする光学素子の成形方法。
- 請求項1記載の光学素子の成形方法において、電圧の印加により除電を行うことを特徴とする光学素子の成形方法。
- 請求項2記載の光学素子の成形方法において、電圧の印加が交流電圧で行われることを特徴とする光学素子の成形方法。
- 請求項2記載の光学素子の成形方法において、印加される電圧の範囲が0.5kVから8kVまでの範囲であることを特徴とする光学素子の成形方法。
- 請求項2記載の光学素子の成形方法において、上下一対の成形型の各々の成形型に電圧を印加することを特徴とする光学素子の成形方法。
- 請求項2記載の光学素子の成形方法において、成形型が超硬合金から成っていることを特徴とする光学素子の成形方法。
- 請求項1記載の光学素子の成形方法において、成形型の接地により除電を行うことを特徴とする光学素子の成形方法。
- 請求項1記載の光学素子の成形方法において、成形型への帯電イオンの供給により除電を行うことを特徴とする光学素子の成形方法。
- 請求項8記載の光学素子の成形方法において、成形型と成形光学素子が離型した後、成形型と成形光学素子とが僅かに離れた状態で、成形型への帯電イオンの供給により除電を行い、その後、型開きを行うことを特徴とする光学素子の成形方法。
- 請求項1記載の光学素子の成形方法で得られた成形光学素子の重量が400mg以下であることを特徴とする光学素子の成形方法。
- 請求項1記載の光学素子の成形方法で得られた成形光学素子を、成膜装置へ搬送し、反射防止膜を成膜することを特徴とする光学素子の製造方法。
- 加熱軟化したガラス素材を成形型でプレス成形し成形光学素子を得る光学素子の成形装置において、成形型を非酸化性雰囲気に保つ雰囲気チャンバーの内部に、除電機構を有していることを特徴とする光学素子の成形装置。
- 請求項12記載の光学素子の成形装置において、成形装置に隣接して成膜装置が設けられていることを特徴とする光学素子の成形装置。
- 請求項12記載の光学素子の成形装置において、成形光学素子のガラス表面への帯電および除電を用いて成形光学素子を吸着・搬送・解除する搬送装置が設けられていることを特徴とする光学素子の成形装置。
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---|---|---|---|
JP2005056950A JP2006240906A (ja) | 2005-03-02 | 2005-03-02 | 光学素子の成形方法、光学素子の製造方法、光学素子の成形装置 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2008123293A1 (ja) * | 2007-03-29 | 2008-10-16 | National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology | ガラス部材の成形法、成形装置およびガラス材料の成形体 |
JP2008266123A (ja) * | 2007-03-29 | 2008-11-06 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | ガラス部材の成形法、成形装置およびガラス材料の成形体 |
US20110081439A1 (en) * | 2006-09-29 | 2011-04-07 | Changhong Yin | Excess polymer ring removal during ophthalmic lens manufacture |
-
2005
- 2005-03-02 JP JP2005056950A patent/JP2006240906A/ja not_active Withdrawn
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