JP2006240274A - 天然木ツキ板小片を用いた光透過性素材 - Google Patents

Abstract

【課題】従来からあるツキ板シートでは得られない光を透過させた際独特の美観を有し、製作者の意図する意匠を付加することが出来、使用場所により光透過性素材を選択し使用することにより、主に建築用素材としての機能を有するようにする。
【解決手段】天然木ツキ板小片を用い、光を透過させた際に独特の美観を有し意図する意匠を付加できる光透過性の天然木ツキ板小片積層シート３、及び該天然木ツキ板小片積層シートを積層して天然木ツキ板小片積層複合シートを造る。また前記シートを接着層を介し透明又は半透明素材２の間に挟み接着した素材１、前記シートを透明又は半透明素材２の間に挟み周縁をシールし密封した素材及び前記シートを透明又は半透明素材２の片面又は両面に接着した光透過性素材を造る。
【選択図】図１

Description

本発明は、光透過性の建築用素材・家具調度品に関する。

従来より木を薄くスライスしたツキ板は広く使用されている。それらの多くは木質の合板を無垢材に見せる表面化粧用として用いられている。また２枚の板ガラスの間に接着性フィルムを介しツキ板裏打ちシートを挟み接着した素材があるが、これも家具調度品の表面化粧用として開発・利用されている（例えば、特許文献１参照）。一方、ツキ板の薄さを利用し照明器具のシェードとしてツキ板に光を透過させ天然木の木目や色あい等を楽しむ商品も製造販売されている。これら照明器具用のツキ板は、割れ・裂けなどの弱さを解消し強度を持たせるために和紙、不織布等をツキ板に接着し裏打ちしたものが利用されている。
特開平６−１８２９３３号公報

照明器具用に従来から利用さている一枚もののツキ板シートでは照明や自然光を透過して見た際に木目がそのまま浮かびあがるだけで、製作者の意図する模様やグラデーション等の意匠を付け加えることは出来なかったが、本発明の請求項１記載の天然木ツキ板小片積層シート及びこれを使用した素材は製作者の意図する意匠を付加する事を可能にする。

従来からあるツキ板、ツキ板裏打ちシート又は両面ツキ板貼りシートを板ガラスの間に挟んだ積層品（特許文献１）は主に家具調度品の表面化粧用として提供されているものであるが、本発明の天然木ツキ板小片積層シート及びこれを使用した素材１、５、７、９は光を透過させた際の美観及び陰影による意匠を考慮した建築、建具、間仕切り、家具、照明器具等に利用可能な光透過性の素材として提供する。

従来からある天然木ツキ板は木をスライスしただけの１枚ものであり、木の大きさや機械の大きさによって、その製作可能サイズに限界があるが、本発明の請求項１記載の天然木ツキ板小片積層シートは製作可能サイズの限界をなくす。

ツキ板に光を透過させて照明器具等に使用する場合、従来のツキ板だけでは木目によって割れや裂けがおこりやすく和紙、不織布等の裏打ち材の補強なしでの使用は出来なかったが、本発明の請求項１記載の天然木ツキ板小片積層シートは割れ、裂けなどが起こりにくく、補強のための裏打ち材なしでの使用を可能にする。

天然木ツキ板小片を木の繊維方向が様々な方向に重なり合う様ランダムに又は製作者の意図する模様に接着した光透過性の天然木ツキ板小片積層シート３を製作する。

上記天然木ツキ板小片積層シートの片面または両面に透光性の高いシート状素材を接着した天然木ツキ板小片積層複合シートを製作する。

２枚の透明又は半透明素材の間に接着層を介し、請求項１記載の天然木ツキ板小片積層シート又は請求項２記載の天然木ツキ板小片積層複合シートを挟み込み接着した光透過性の素材１を製作する。

２枚の透明又は半透明素材の間に、請求項１記載又は請求項２記載のシートを挟み、周縁をシールし密封した光透過性の素材５を製作する。

請求項１記載の天然木ツキ板小片積層シート又は請求項２記載の天然木ツキ板小片積層複合シートを透明又は半透明素材の片面又は両面に接着層を介し接着した光透過性の素材７、９を製作する。

本発明の請求項１記載の天然木ツキ板小片積層シート３及びこれを使用した素材は、天然木の持つ素材感、色あいをいかしながら、照明又は自然光を透過して見た際に貼り合わせによる陰影等の独特の風合い、美観を有し、製作者の意図する模様やグラデーション等オリジナルの意匠を付加することができる素材である。

本発明の天然木ツキ板小片積層シート又は天然木ツキ板小片積層複合シートを用いた素材１、５、７、９は表面化粧用ではなく、特に光を透過させた際に独特の美観及び陰影を有する事を特徴とする素材であり、使用する場所や面積により透明又は半透明の素材２を選択し使用することで、その使用場所に合った強度や耐久性を持たせることが出来、建築、建具、間仕切り、家具、照明器具等に利用可能で優れた意匠性を持つ光透過性の素材である。

本発明の請求項１記載の光透過性天然木ツキ板小片積層シート３は、ツキ板の小片を何枚も貼り合わせ製作するため、製作可能サイズに限度をなくすことができ、例えば全面ガラス張りの建築物の外壁用に素材１、素材５に使用する場合でも広い面積を継ぎ目なく製作可能である。

本発明の請求項１記載の天然木ツキ板小片積層シートは、従来のツキ板より厚みが薄いツキ板を小片にカットし、木材繊維を様々な方向に貼り合わせ積層するものであるため、一枚もののツキ板シートに比べ同じ厚みで強度が格段高く、裏打ち材なしでも照明器具のシェード等に使用可能であり、素材１、５、７、９に使用する場合も扱いやすい。

本発明に使用する天然木ツキ板の厚みは、０．０５ｍｍ〜０．３ｍｍ程度が望ましい。これは幅３ｃｍ〜１５ｃｍ程度、長さ１ｍ〜２ｍ程度、厚み１ｃｍ以上の木材を薄くスライスし製作する。スライスには、機械式超仕上げカンナを使用すると薄く均一なツキ板が得られる。樹種は特に限定しないが、前記の様に薄くしたときに木目のキメが細かいものが扱いやすく望ましい。木目方向は貼り合わせる際の収縮を考慮すると柾目柄が望ましいが、それに限らない。小片にカットする際の幅、長さ、形は使用する場所、面積及び制作者、デザイナーの意図する意匠によって調節する。

ツキ板小片を貼り合わせる際は、接着剤が硬化後剥離可能であり、製作中に陰影、光透過具合、意匠等を確認可能な光透過性の合成樹脂シート（厚み０．５ｍｍ〜２ｍｍ程度のアクリルシート・ＰＥＴ樹脂シート等）を台に使用する。

前述の様にしてできたツキ板の片面に薄く均一に接着剤を塗布し、長さをカットし小片にした上で、木の繊維方向が様々に重なるようにランダムに貼り重ねる。
または製作者・デザイナーの意図する意匠に貼り重ねる。意図する意匠とは例えば、茶室の天井に見られる網代編みの様にツキ板小片を２種類の一定の角度方向に重ねる方法、一定の法則や角度に従って重ねる方法、光を透過させた際濃い（暗い）ところから徐々に薄く（明るく）なるようグラデーションを持たせる方法、ツキ板小片自体を葉、花びら、円形等にカットし重ねる方法等である。

ツキ板小片が重なる枚数は、少ないところで１枚、多いところで６枚程度までとする。また、一枚も貼らずに穴が開いた箇所を作る事も可能で、これを多く散在させ間仕切りや窓部に使用すると近くから外が見え遠くから中が見えない簾の様な効果が得られる。

ツキ板小片を重ねる際、素材１や素材５に示す透明又は半透明素材の間に挟む場合は、一枚一枚を空気が入らないように密着させながら重ねる。意図する意匠を付加する場合は光を透過させ確認しながら作業する。ここで使用する接着剤は、乾燥すると透明またはほぼ透明になるもの（例えば酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤等）でなければならない。また、熱や光による耐性がある事も必要であり、使用する場所及び用途により考慮する。接着剤が硬化後、光透過性の合成樹脂シートの台から剥離させると請求項１記載の天然木ツキ板小片積層シートが得られる。

こうして出来た天然木ツキ板小片積層シート３の片面又は両面に透光性の高いシート状素材（和紙不織布、接着性樹脂シートのうちツキ板の光透過性に影響を与えない薄いもの）を接着すると請求項２の天然木ツキ板小片積層複合シートが得られる。このシート状素材の接着はツキ板小片積層シートの補強や収縮緩和、他の素材との接着性強化等の目的がある。

図１はこの様にして得られた天然木ツキ板小片積層シート３を２枚の透明または半透明の素材２に接着層４を介して挟み込んだ光透過性の素材１である。尚、天然木ツキ板小片積層シート３を天然木ツキ板小片積層複合シートにする場合も同様である。この際使用する透明または半透明素材２は、ガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネイト等であり、使用する場所（床、壁、天井、建具、家具等）、面積、用途等に応じて素材、厚み、強度等の機能を考慮し選択する。（例えば９００ｍｍ×１８００ｍｍの内装間仕切壁に使用する場合、板ガラスを選択した場合の厚みは３ｍｍ〜４ｍｍ程度）また、接着層４には、接着剤または接着性樹脂シート又は熱可塑性樹脂シート等を使用するが、いずれもツキ板の光透過性に影響を与えない透明なものを使用する。こうして天然木ツキ板小片積層シートを接着層４を介し２枚の光透過性素材２に挟み込んだ後、従来から合せガラスを製造する際行われている方法で加熱圧着し接着すると図１の光透過性の素材１が得られる。尚、天然木ツキ板小片積層シート３を天然木ツキ板小片積層複合シートにする場合も同様である。光透過性素材１を、従来からある合わせガラスとした場合、合わせガラスの中間膜を増やしその間に挟むことにより防犯性、安全性、紫外線カットの機能があり、さらに天然木の風合いを持つ優れた意匠性を有する光透過性の新規な建築用素材が得られる。

図２は透明又は半透明素材２の間に天然木ツキ板小片積層シート３を挟み、周縁をシールし密封して製作した請求項４記載の光透過性素材５である。ここで使用する光透過性素材２はガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネイト等であり、前記素材１同様その使用場所により素材及び厚みを選択することにより、必要な機能（強度、耐水、耐汚染、耐候性等）を付加できる。またこの場合、接着層なしで製作可能になる。尚、天然木ツキ板小片積層シート３を天然木ツキ板小片積層複合シートにする場合も同様である。

図３は透明または半透明素材２（ガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネイト等）の両面に接着層及び透光性の高いシート状素材８を介し、天然木ツキ板小片積層シート３を接着し製作した光透過性素材７である。透光性の高いシート状素材８は、和紙、不織布、布等のうち透光性が高く、天然木ツキ板小片積層シートの光透過性に影響を与えない薄いものが好ましい。尚、天然木ツキ板小片積層シート３を天然木ツキ板小片積層複合シートとする場合も同様に製作できる。

図４の素材９は透明または半透明素材２（ガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネイト等）の片面に接着層及び透光性の高いシート状素材８（和紙、不織布、布等のうち透光性が高く、ツキ板シートの光透過性に影響を与えない薄いもの）を介し、天然木ツキ板積層シート３を接着し製作する。尚、天然木ツキ板小片積層シート３を天然木ツキ板小片積層複合シートとする場合も同様に製作できる。

尚、本発明の請求項１、請求項４記載の素材は天然木がそのまま表面に露出している状態になる為、木の香りや素材感を楽しむ事ができる。例えばヒノキを使用するとヒノキに含まれるヒノキオイルの消臭、殺菌効果が得られる。

図１は２枚の透明又は半透明素材の間に天然木ツキ板小片積層シートを配し接着した素材光透過性素材を示した部分断面図である。 図２は２枚の透明又は半透明素材の間に光透過性天然木ツキ板小片積層シートを配し周縁をシールし密封した光透過性素材を示した部分断面図である。 図３は透明又は半透明素材の両面に光透過性の天然木ツキ板小片積層シートを接着した光透過性素材を示した部分断面図である。 図４は透明又は半透明素材の片面に光透過性の天然木ツキ板小片積層シートを接着した光透過性素材を示した部分断面図である。 図５は図３の光透過性素材の裏側に照明器具を用い、光を照射し、光を透過させた際に正面から撮影した写真である。

符号の説明

１ ２枚の透明又は半透明素材の間に光透過性天然木ツキ板小片積層シートを配し接着した素材
２ 透明または半透明の素材
３ 光透過性天然木ツキ板小片積層シート
４ 接着層
５ ２枚の透明又は半透明素材の間に光透過性天然木ツキ板小片積層シートを配し周縁をシールし密封した素材
６ 周縁シール材
７ 透明又は半透明素材の両面に光透過性天然木ツキ板小片積層シートを接着した素材
８ 透光性の高いシート状素材
９ 透明または半透明の素材の片面に光透過性天然木ツキ板小片積層シートを接着した素材
１０ 裏側から照明を照射した素材９の正面写真

Claims (5)

1. 天然木ツキ板小片を木の繊維方向が様々な方向に重なり合う様ランダムに又は製作者の意図する模様に貼り合わせた光透過性の天然木ツキ板小片積層シート。
2. 請求項１記載の天然木ツキ板小片積層シートの片面又は両面に透光性の高いシート状素材を接着した天然木ツキ板小片積層複合シート。
3. ２枚の透明又は半透明素材の間に接着層を介し、請求項１記載の天然木ツキ板小片積層シート又は請求項２記載の天然木ツキ板小片積層複合シートを挟み込み接着した光透過性の素材。
4. ２枚の透明又は半透明素材の間に、請求項１記載の天然木ツキ板小片積層シート又は請求項２記載の天然木ツキ板小片積層複合シートを挟み、周縁をシールし密封した光透過性の素材。
5. 請求項１記載の天然木ツキ板小片積層シート又は請求項２記載の天然木ツキ板小片積層複合シートを透明又は半透明素材の片面又は両面に接着層を介し接着した光透過性の素材。

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