JP2006239482A - 海水の淡水化方法,混合吸着剤及びこれを用いた海水の淡水化装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】低コストで単純且つ家庭等小規模レベルで海水を淡水化し得る海水の淡水化装置を提供する。
【解決手段】赤玉土,無機化合物系吸着剤としてのアルミ・シリカ系吸着剤,酸化マグネシウム及び活性アルミナを3:1:1:1で混合した混合吸着剤を充填したカラムを直列に複数連結して淡水化装置を構成し、これに海水を通過させることによって海水中のイオンを吸着し、浄化を行うようにする。
【選択図】 なし
【解決手段】赤玉土,無機化合物系吸着剤としてのアルミ・シリカ系吸着剤,酸化マグネシウム及び活性アルミナを3:1:1:1で混合した混合吸着剤を充填したカラムを直列に複数連結して淡水化装置を構成し、これに海水を通過させることによって海水中のイオンを吸着し、浄化を行うようにする。
【選択図】 なし
Description
この発明は吸着剤による海水の淡水化方法と吸着剤及びこれを用いた海水の淡水化装置に関する。
21世紀は水の世紀と言われている。現在、世界は産業の著しい発展による水質悪化,非効率的な農業用水の利用,異常気象による洪水,干ばつ,人口増加などで、5人に1人が安全な水を確保できない水不足に直面している。国連は2025年には世界48カ国で水が不足し、世界人口の3分の2は中程度或いは深刻な水不足を抱える国で暮らす可能性があると予測している。
従って、生命の維持,地球の環境保全,世界の平和維持のために安全な水の供給は我々に課せられた使命である。
地球に存在する水の約96.5%が海水である。そのため、これまでに数々の海水淡水化の研究が行われて来た。
蒸発法は様々な条件の原料水に適用でき、最も純度の高い水質を得ることができる。しかし、熱エネルギー消費が大きい。
電気透析法は、厳密な前処理を必要とせず5000mg/l以上のかん水から飲料水を得るのに適する。しかし、消費電力が大きい。
逆浸透法は、エネルギー消費は少ないが、膜モジュールの汚れを防ぐため、原料水の厳密な前処理が必要である。
このように既存の方法は、造水コストが高い、淡水化プラントの運転エネルギーをどう確保するか、淡水化プラント建設の資本を如何に確保するか、生成するスケールの処理,原料水の前処理,など様々な克服すべき課題が残されている。
以上のような理由から、既存の方法とは全く異なる、吸着剤を用いた低コストで単純且つ、家庭レベルの小規模な装置で可能な海水の淡水化システムの開発が求められている。
従って、生命の維持,地球の環境保全,世界の平和維持のために安全な水の供給は我々に課せられた使命である。
地球に存在する水の約96.5%が海水である。そのため、これまでに数々の海水淡水化の研究が行われて来た。
蒸発法は様々な条件の原料水に適用でき、最も純度の高い水質を得ることができる。しかし、熱エネルギー消費が大きい。
電気透析法は、厳密な前処理を必要とせず5000mg/l以上のかん水から飲料水を得るのに適する。しかし、消費電力が大きい。
逆浸透法は、エネルギー消費は少ないが、膜モジュールの汚れを防ぐため、原料水の厳密な前処理が必要である。
このように既存の方法は、造水コストが高い、淡水化プラントの運転エネルギーをどう確保するか、淡水化プラント建設の資本を如何に確保するか、生成するスケールの処理,原料水の前処理,など様々な克服すべき課題が残されている。
以上のような理由から、既存の方法とは全く異なる、吸着剤を用いた低コストで単純且つ、家庭レベルの小規模な装置で可能な海水の淡水化システムの開発が求められている。
尚、下記特許文献1には湖沼,河川,海域等における富栄養化の原因の1つとなっているリン酸イオンを、吸着剤を用いて除去する方法が開示されているが、このものは海水の淡水化に関するものではなく、本発明とは異なったものである。
本発明は以上のような事情を背景とし、吸着剤を用いて低コストで単純且つ家庭レベルにおいても容易に海水を淡水化することのできる海水の淡水化方法及びそのための吸着剤、更にこれを用いた海水の淡水化装置を提供することを目的としてなされたものである。
而して請求項1は海水の淡水化方法に関するもので、赤玉土と無機化合物系吸着剤の混合吸着剤を充填したカラムを直列に複数連結し、該カラムに海水を通して浄化することを特徴とする。
請求項2はこの海水の淡水化のための吸着剤に関するもので、赤玉土,無機化合物系吸着剤としてのアルミ・シリカ系吸着剤,酸化マグネシウム及び活性アルミナを3:1:1:1で混合したことを特徴とする。
請求項3は海水淡水化装置に関するもので、赤玉土,無機化合物系吸着剤としてのアルミ・シリカ系吸着剤,酸化マグネシウム及び活性アルミナを3:1:1:1で混合した混合吸着剤を充填したカラムを直列に複数連結して成り、海水を該カラムに通すことによって浄化を行うことを特徴とする。
[発明の作用]
本発明は、従来園芸用の基本用土として広く用いられている赤玉土を、無機化合物系吸着剤とともに混合し、この混合吸着剤を用いて海水中から各種のイオンを除去し、これを浄化して淡水化することを特徴としているものである。
赤玉土は、一般の無機化合物系吸着剤と同様に各種イオンに対して吸着性能を有していること自体は既に知られている。
但し赤玉土を単独で海水の浄化用の吸着剤として用いたとき、十分な吸着性能即ち浄化性能は得られなかった。
本発明は、従来園芸用の基本用土として広く用いられている赤玉土を、無機化合物系吸着剤とともに混合し、この混合吸着剤を用いて海水中から各種のイオンを除去し、これを浄化して淡水化することを特徴としているものである。
赤玉土は、一般の無機化合物系吸着剤と同様に各種イオンに対して吸着性能を有していること自体は既に知られている。
但し赤玉土を単独で海水の浄化用の吸着剤として用いたとき、十分な吸着性能即ち浄化性能は得られなかった。
また無機化合物系吸着剤を用いて海水の淡水化を試みたところ、同様に十分な吸着性能即ち浄化性能が得られなかった。
しかるにこの赤玉土と無機化合物系吸着剤とを組み合わせ、それらの混合吸着剤を用いて海水の淡水化を試みたところ、吸着性能が飛躍的に向上し、海水に対する浄化性能が著しく高まることが判明した。
本発明はこのような知見に基づいてなされたものである。
特に赤玉土と無機化合物系吸着剤としてのAl・Si系吸着剤,酸化マグネシウム及び活性アルミナを3:1:1:1で混合した吸着剤を用いたときに、その結果は最も良好なものであった。
しかるにこの赤玉土と無機化合物系吸着剤とを組み合わせ、それらの混合吸着剤を用いて海水の淡水化を試みたところ、吸着性能が飛躍的に向上し、海水に対する浄化性能が著しく高まることが判明した。
本発明はこのような知見に基づいてなされたものである。
特に赤玉土と無機化合物系吸着剤としてのAl・Si系吸着剤,酸化マグネシウム及び活性アルミナを3:1:1:1で混合した吸着剤を用いたときに、その結果は最も良好なものであった。
その理由は次のようなものと推察される。
即ち、海水に対して混合吸着剤を作用させると、例えば赤玉土の交換性アルミニウムがNa+と置換し、これによって海水中のNa+が吸着され、海水中から除去される。
但しこの置換によってAlが赤玉土から離脱することとなるが、離脱したAlは他のAl・Si系吸着剤,酸化マグネシウム,活性アルミナ等の無機化合物系吸着剤により吸着され、結果としてAlが再び問題となる量で水中に溶出することはない。
以上のようにして、赤玉土と他の無機化合物系吸着剤とが共働して海水中のイオンを効果的に捕捉除去し、それぞれを単独で用いた場合に比べて高い浄化能率が達成できたものと考えられる。
即ち、海水に対して混合吸着剤を作用させると、例えば赤玉土の交換性アルミニウムがNa+と置換し、これによって海水中のNa+が吸着され、海水中から除去される。
但しこの置換によってAlが赤玉土から離脱することとなるが、離脱したAlは他のAl・Si系吸着剤,酸化マグネシウム,活性アルミナ等の無機化合物系吸着剤により吸着され、結果としてAlが再び問題となる量で水中に溶出することはない。
以上のようにして、赤玉土と他の無機化合物系吸着剤とが共働して海水中のイオンを効果的に捕捉除去し、それぞれを単独で用いた場合に比べて高い浄化能率が達成できたものと考えられる。
[発明の効果]
本発明では、海水中に含まれているイオンのうちNa+:96.5%,Mg2+:96.1%,Ca2+:100%,K+:98.6%,Cl−:96.2%,SO4 2−:100%の除去が実現可能であることが確認されており、従って本発明は、海水を浄化し淡水化するものとして有用なものである。
また本発明によれば、Zn2+,Cu2+,Pb2+,Ni2+,Cd2+を99.5%以上の吸着率で吸着可能であることも確認されており、従って硬水の軟化,工業廃水の浄化への応用も期待できるものである。
本発明では、海水中に含まれているイオンのうちNa+:96.5%,Mg2+:96.1%,Ca2+:100%,K+:98.6%,Cl−:96.2%,SO4 2−:100%の除去が実現可能であることが確認されており、従って本発明は、海水を浄化し淡水化するものとして有用なものである。
また本発明によれば、Zn2+,Cu2+,Pb2+,Ni2+,Cd2+を99.5%以上の吸着率で吸着可能であることも確認されており、従って硬水の軟化,工業廃水の浄化への応用も期待できるものである。
次に本発明の実施形態を以下に詳述する。
(1)混合吸着剤
混合吸着剤としては以下のものを用いた。
即ち赤玉土(6.73mm以下の粒のもの),Al・Si系吸着剤(粉末),MgO(粉末),活性アルミナ(200mesh)を3:1:1:1の容量比で混合したものを混合吸着剤として用い、これを充填したカラムを2連直列に連結したものを用いた。
(1)混合吸着剤
混合吸着剤としては以下のものを用いた。
即ち赤玉土(6.73mm以下の粒のもの),Al・Si系吸着剤(粉末),MgO(粉末),活性アルミナ(200mesh)を3:1:1:1の容量比で混合したものを混合吸着剤として用い、これを充填したカラムを2連直列に連結したものを用いた。
(2)人工海水の調製
下記Aの主要成分混合溶液を1〜数時間放置し、完全に溶解させた後、下記Cの2価イオン混合溶液91mlを加え、完全に溶解させた。その後、下記Bの準主要成分混合溶液45mlを加え完全に溶解し、蒸留水を加えて10lとした。
A.主要成分混合溶液:NaCl 256g,MgSO4・7H2O 68.2gを8.21の蒸留水に溶解した。
B.準主要成分混合溶液:KCl 80g,NaBr 9.25g,H3BO3 2.85g,NaHCO3 22g,NaF 0.32g,KI 0.087gを500mlの蒸留水に溶解した。
C.2価イオン混合溶液:MgCl2・6H2O 284g,CaCl2・2H2O 81g,SrCl2・6H2O 1.17gを蒸留水に500mlに溶解させた。
下記Aの主要成分混合溶液を1〜数時間放置し、完全に溶解させた後、下記Cの2価イオン混合溶液91mlを加え、完全に溶解させた。その後、下記Bの準主要成分混合溶液45mlを加え完全に溶解し、蒸留水を加えて10lとした。
A.主要成分混合溶液:NaCl 256g,MgSO4・7H2O 68.2gを8.21の蒸留水に溶解した。
B.準主要成分混合溶液:KCl 80g,NaBr 9.25g,H3BO3 2.85g,NaHCO3 22g,NaF 0.32g,KI 0.087gを500mlの蒸留水に溶解した。
C.2価イオン混合溶液:MgCl2・6H2O 284g,CaCl2・2H2O 81g,SrCl2・6H2O 1.17gを蒸留水に500mlに溶解させた。
(3)吸着試験
上記混合吸着剤を直径21mmのガラス製カラムに層の厚さ200mmとなるよう充填した。尚、カラムの底に脱脂綿を詰め、吸着剤の流出を防止した。
活栓付きロートをカラムの口にゴム栓を用いて取り付け、室温25℃でカラムへ1drop/secの速度で上記の人工海水(Na+11200mg/l,Mg2+1190mg/l,Ca2+401mg/l,K+380mg/l,Cl−20200mg/l,SO4 2−2660mg/l他)を100ml滴下した。そして浸出液中の各イオンの濃度を定量し、下記(1)式に基づいて吸着率を算出した。ここで各種イオンの定量はNa+,K+が炎光光度法、Ca2+,Mg2+がキレート滴定法、Cl−が沈殿滴定法(Mohr法)、SO4 2−がフローインジェクション分析法にて行った。
吸着率(%)={(吸着前の濃度)−(吸着後の濃度)}/(吸着前の濃度)×100・・・(1)式
尚混合吸着剤における赤玉土は市販の赤玉土の中粒を磁性の乳鉢ですり潰し、6.73mmの篩を通過した区分のものを使用した。
上記混合吸着剤を直径21mmのガラス製カラムに層の厚さ200mmとなるよう充填した。尚、カラムの底に脱脂綿を詰め、吸着剤の流出を防止した。
活栓付きロートをカラムの口にゴム栓を用いて取り付け、室温25℃でカラムへ1drop/secの速度で上記の人工海水(Na+11200mg/l,Mg2+1190mg/l,Ca2+401mg/l,K+380mg/l,Cl−20200mg/l,SO4 2−2660mg/l他)を100ml滴下した。そして浸出液中の各イオンの濃度を定量し、下記(1)式に基づいて吸着率を算出した。ここで各種イオンの定量はNa+,K+が炎光光度法、Ca2+,Mg2+がキレート滴定法、Cl−が沈殿滴定法(Mohr法)、SO4 2−がフローインジェクション分析法にて行った。
吸着率(%)={(吸着前の濃度)−(吸着後の濃度)}/(吸着前の濃度)×100・・・(1)式
尚混合吸着剤における赤玉土は市販の赤玉土の中粒を磁性の乳鉢ですり潰し、6.73mmの篩を通過した区分のものを使用した。
(4)二連直列に連結したカラムでの試験
上記中粒の赤玉土:活性アルミナ(200mesh):Al・Si系吸着剤:MgOを容量比で3:1:1:1に混合した吸着剤(混合吸着剤)を直径21mmのガラス製カラムに層の厚さ200mmとなるよう充填した。尚、カラムの底に脱脂綿を詰め、吸着剤の流出を防止した。カラムを2連、直列に連結し、分液ロートを用いて室温25℃でカラムへ1drop/secの速度で人工海水(Na+ 11200mg/l,Mg2+ 1190mg/l,Ca2+ 401mg/l,K+ 380mg/l,Cl− 20200mg/l,SO4 2− 2660mg/l他)を滴下した。
滴下量は100mlごととした。100ml完全に滴下を終了した後に次の100mlを滴下した。この操作を繰り返した。定量は100ml滴下し浸出した画分ごとに行った。浸出液中の各イオンの濃度を定量し、(1)式に基づき吸着率を算出した。
上記中粒の赤玉土:活性アルミナ(200mesh):Al・Si系吸着剤:MgOを容量比で3:1:1:1に混合した吸着剤(混合吸着剤)を直径21mmのガラス製カラムに層の厚さ200mmとなるよう充填した。尚、カラムの底に脱脂綿を詰め、吸着剤の流出を防止した。カラムを2連、直列に連結し、分液ロートを用いて室温25℃でカラムへ1drop/secの速度で人工海水(Na+ 11200mg/l,Mg2+ 1190mg/l,Ca2+ 401mg/l,K+ 380mg/l,Cl− 20200mg/l,SO4 2− 2660mg/l他)を滴下した。
滴下量は100mlごととした。100ml完全に滴下を終了した後に次の100mlを滴下した。この操作を繰り返した。定量は100ml滴下し浸出した画分ごとに行った。浸出液中の各イオンの濃度を定量し、(1)式に基づき吸着率を算出した。
(5)各種イオンの吸着試験
廃水処理への適用の可能性を見るため、ここでは各種重金属類イオンの吸着試験も併せて行った。
この各種重金属類イオンの吸着実験では、初期濃度を50mg/lとし、各種イオンの標準溶液50mlをビーカーに分取し、混合吸着剤を0.5g加えた。室温25℃で20分間マグネチックスターラーで撹拌した後、濾紙No.5Cで濾過し、濾液中の濃度を定量し吸着率を算出した。Cu2+,Ni2+,Zn2+,Cr6+,Mn2+,Cd2+,Pb2+,As3+の標準溶液は原子吸光用標準溶液を、PO4−PはKH2PO4を、NH4 +−NはNH4Clを、NO2 −−NはNaNO2,NO3 −−NはKNO3をそれぞれ用いた。
廃水処理への適用の可能性を見るため、ここでは各種重金属類イオンの吸着試験も併せて行った。
この各種重金属類イオンの吸着実験では、初期濃度を50mg/lとし、各種イオンの標準溶液50mlをビーカーに分取し、混合吸着剤を0.5g加えた。室温25℃で20分間マグネチックスターラーで撹拌した後、濾紙No.5Cで濾過し、濾液中の濃度を定量し吸着率を算出した。Cu2+,Ni2+,Zn2+,Cr6+,Mn2+,Cd2+,Pb2+,As3+の標準溶液は原子吸光用標準溶液を、PO4−PはKH2PO4を、NH4 +−NはNH4Clを、NO2 −−NはNaNO2,NO3 −−NはKNO3をそれぞれ用いた。
(6)結果と考察
6.1 吸着剤による各種イオンの吸着率
表1は赤玉土及び各種吸着剤単独による人工海水中の各種イオンの吸着特性を示したもの(カラムは1連)である。
赤玉土はK+,SO4 2−をそれぞれ86.5,78.1%吸着した。
MgOはCa2+を81.0%,活性アルミナはMg2+,Ca2+,SO4 2−をそれぞれ97.9%,100%,99.0%吸着した。
K+の吸着率がSiO2では21.0%,活性アルミナでは55.3%となっている。
共通したケイ酸アルミニウムの組成を持つ、赤玉土,Al・Si系吸着剤,Al2O3・3SiO2の3つの素材は、何れもK+の吸着率が86.5〜95.6%と良好であった。従って、K+はケイ酸アルミニウムに吸着されることが示唆された。K+はケイ酸アルミニウムのSiの一部がAlに同型置換した際に生じる負の電荷に吸着される。
Al2O3・3SiO2はSO4 2−の吸着率が100%と良好であった。
このSO4 2−の吸着率はSiO2では5.88%,活性アルミナでは99.0%であった。従って、Al2O3・3SiO2中のAl2O3がSO4 2−を吸着している可能性が高い。
Al2O3・3SiO2は非晶質で赤玉土と構造が似ていることから、赤玉土のK+,SO4 2−の吸着機構も同じであろう。つまり、赤玉土中のケイ酸アルミニウムのAlがK+やSO4 2−の吸着に関与していることが示唆された。
6.1 吸着剤による各種イオンの吸着率
表1は赤玉土及び各種吸着剤単独による人工海水中の各種イオンの吸着特性を示したもの(カラムは1連)である。
赤玉土はK+,SO4 2−をそれぞれ86.5,78.1%吸着した。
MgOはCa2+を81.0%,活性アルミナはMg2+,Ca2+,SO4 2−をそれぞれ97.9%,100%,99.0%吸着した。
K+の吸着率がSiO2では21.0%,活性アルミナでは55.3%となっている。
共通したケイ酸アルミニウムの組成を持つ、赤玉土,Al・Si系吸着剤,Al2O3・3SiO2の3つの素材は、何れもK+の吸着率が86.5〜95.6%と良好であった。従って、K+はケイ酸アルミニウムに吸着されることが示唆された。K+はケイ酸アルミニウムのSiの一部がAlに同型置換した際に生じる負の電荷に吸着される。
Al2O3・3SiO2はSO4 2−の吸着率が100%と良好であった。
このSO4 2−の吸着率はSiO2では5.88%,活性アルミナでは99.0%であった。従って、Al2O3・3SiO2中のAl2O3がSO4 2−を吸着している可能性が高い。
Al2O3・3SiO2は非晶質で赤玉土と構造が似ていることから、赤玉土のK+,SO4 2−の吸着機構も同じであろう。つまり、赤玉土中のケイ酸アルミニウムのAlがK+やSO4 2−の吸着に関与していることが示唆された。
表2はカラムを2連直列に連結した条件での人工海水中の各種イオンの吸着率を示している。
条件1の赤玉土のカラム2連直列では、K+(吸着率91.5%),SO4 2−(吸着率84.6%)を除いて良好な吸着率が得られていない。
条件2の活性アルミナのカラム2連直列では、Mg2+,Ca2+,SO4 2−は高い吸着率を示した。しかしNa+(吸着率41.1%),Cl−(吸着率38.4%)の吸着率は低かった。
条件3の赤玉土:Al・Si系吸着剤:MgO:活性アルミナ=3:1:1:1(混合吸着剤)のものは、主要6イオンの吸着率は96%以上と非常に高い吸着率を示した。
条件1の赤玉土のカラム2連直列では、K+(吸着率91.5%),SO4 2−(吸着率84.6%)を除いて良好な吸着率が得られていない。
条件2の活性アルミナのカラム2連直列では、Mg2+,Ca2+,SO4 2−は高い吸着率を示した。しかしNa+(吸着率41.1%),Cl−(吸着率38.4%)の吸着率は低かった。
条件3の赤玉土:Al・Si系吸着剤:MgO:活性アルミナ=3:1:1:1(混合吸着剤)のものは、主要6イオンの吸着率は96%以上と非常に高い吸着率を示した。
以上の結果から次の点が考えられる。
赤玉土の交換性アルミニウムはNa+と置換し、これにより赤玉土にNa+が吸着される。ただしNa+の吸着量に対してAlの溶出量が小さいことが確認されている。この原因は、Alは3価であり、Na+を3g当量交換するからである。
また、赤玉土から離脱した多量のAlは、活性アルミナやMgOなどに吸着されるため、Alの大量の溶出が認められなかったものと考えられる。
つまり、表1の吸着試験の結果ではNa+の吸着率が活性アルミナでは12.1%,MgOでは9.45%であり、活性アルミナ,MgO単独では何れも低い吸着率となっているにも拘わらず、混合吸着剤では、赤玉土中の交換性AlとNa+が交換され、Na+が赤玉土に吸着されてNa+の高い吸着率が得られ、そしてNa+と交換した赤玉土のAlが活性アルミナやMgO,Al・Si系吸着剤に吸着され、水中に溶出していないと考えられる。
このために上記の各種無機化合物系吸着剤と赤玉土とを併用したときに高い吸着率が得られたものと考えられる。
また同様に、赤玉土中の交換性陽イオンのAl3+,H+,Ca2+,Mg2+,K+,Na+も、一度海水中のカチオンと交換して赤玉土から離脱し、そして交換して離脱してくる赤玉土の交換性の陽イオンを、活性アルミナやMgO,Al・Si系吸着剤が吸着して溶出防止していると考えられる。
そして以上のことが赤玉土とAl・Si系吸着剤,酸化マグネシウム及び活性アルミナとを併用することで、海水に対する浄化能率が飛躍的に向上し、海水の淡水化に大きく寄与できることとなったものと考えられる。
赤玉土の交換性アルミニウムはNa+と置換し、これにより赤玉土にNa+が吸着される。ただしNa+の吸着量に対してAlの溶出量が小さいことが確認されている。この原因は、Alは3価であり、Na+を3g当量交換するからである。
また、赤玉土から離脱した多量のAlは、活性アルミナやMgOなどに吸着されるため、Alの大量の溶出が認められなかったものと考えられる。
つまり、表1の吸着試験の結果ではNa+の吸着率が活性アルミナでは12.1%,MgOでは9.45%であり、活性アルミナ,MgO単独では何れも低い吸着率となっているにも拘わらず、混合吸着剤では、赤玉土中の交換性AlとNa+が交換され、Na+が赤玉土に吸着されてNa+の高い吸着率が得られ、そしてNa+と交換した赤玉土のAlが活性アルミナやMgO,Al・Si系吸着剤に吸着され、水中に溶出していないと考えられる。
このために上記の各種無機化合物系吸着剤と赤玉土とを併用したときに高い吸着率が得られたものと考えられる。
また同様に、赤玉土中の交換性陽イオンのAl3+,H+,Ca2+,Mg2+,K+,Na+も、一度海水中のカチオンと交換して赤玉土から離脱し、そして交換して離脱してくる赤玉土の交換性の陽イオンを、活性アルミナやMgO,Al・Si系吸着剤が吸着して溶出防止していると考えられる。
そして以上のことが赤玉土とAl・Si系吸着剤,酸化マグネシウム及び活性アルミナとを併用することで、海水に対する浄化能率が飛躍的に向上し、海水の淡水化に大きく寄与できることとなったものと考えられる。
6.2 混合吸着剤による各種重金属類イオンの吸着試験
表3は各種重金属類イオンの吸着率を示している。
この試験においてZn2+,Cu2+,Pb2+,Ni2+,Cd2+の吸着率は99.5%以上と良好であった。
一方Cr6+の吸着率は34.8%と低水準であった。
表3は各種重金属類イオンの吸着率を示している。
この試験においてZn2+,Cu2+,Pb2+,Ni2+,Cd2+の吸着率は99.5%以上と良好であった。
一方Cr6+の吸着率は34.8%と低水準であった。
尚この重金属吸着実験では、原子吸光分析用1000mg/l標準溶液(Cu2+,Ni2+,Zn2+,Cr6+,Mn2+,Cd2+,Pb2+,As3+)を蒸留水で50倍希釈して20mg/lの標準溶液を試料液とした。
これらの各重金属の20mg/lの試料液50mlをビーカーに分取し、混合吸着剤(赤玉土,MgO系吸着剤,Al・Si系吸着剤,活性アルミナを容量比で3:1:1:1に混合したもの)を5g加えた。
室温25℃で15分間マグネチックスターラーで撹拌した後、濾紙No.5Cで濾過し、濾液中の重金属濃度を定量し吸着率を算出した。定量はCu2+,Ni2+,Zn2+,Cr6+,Mn2+,Cd2+,Pb2+が原子吸光分析法,As3+がDDTC-Ag吸光光度法にて行った。
これらの各重金属の20mg/lの試料液50mlをビーカーに分取し、混合吸着剤(赤玉土,MgO系吸着剤,Al・Si系吸着剤,活性アルミナを容量比で3:1:1:1に混合したもの)を5g加えた。
室温25℃で15分間マグネチックスターラーで撹拌した後、濾紙No.5Cで濾過し、濾液中の重金属濃度を定量し吸着率を算出した。定量はCu2+,Ni2+,Zn2+,Cr6+,Mn2+,Cd2+,Pb2+が原子吸光分析法,As3+がDDTC-Ag吸光光度法にて行った。
[産業上の利用可能性]
以上より本発明は、海水を淡水化する上で極めて有用な手法を提供するものであり、また硬水の軟化,工業廃水の浄化への応用も期待できるものである。
以上より本発明は、海水を淡水化する上で極めて有用な手法を提供するものであり、また硬水の軟化,工業廃水の浄化への応用も期待できるものである。
Claims (3)
- 赤玉土と無機化合物系吸着剤の混合吸着剤を充填したカラムを直列に複数連結し、該カラムに海水を通して浄化することを特徴とする海水の淡水化方法。
- 赤玉土,無機化合物系吸着剤としてのアルミ・シリカ系吸着剤,酸化マグネシウム及び活性アルミナを3:1:1:1で混合したことを特徴とする海水の淡水化用の混合吸着剤。
- 赤玉土,無機化合物系吸着剤としてのアルミ・シリカ系吸着剤,酸化マグネシウム及び活性アルミナを3:1:1:1で混合した混合吸着剤を充填したカラムを直列に複数連結して成り、海水を該カラムに通すことによって浄化を行うことを特徴とする海水の淡水化装置。
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JP2005054864A JP2006239482A (ja) | 2005-02-28 | 2005-02-28 | 海水の淡水化方法,混合吸着剤及びこれを用いた海水の淡水化装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2005
- 2005-02-28 JP JP2005054864A patent/JP2006239482A/ja active Pending
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