JP2006239223A - 耐震用具 - Google Patents

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【課題】家具等の揺れ、転倒を防止する耐震用具であって、縦揺れ、横揺れ等、いかなる方向の揺れに対しても、家具等の揺れ、転倒を確実に防止する。
【解決手段】耐震用具10は、第2金具21に対して第1金具22がスライド自在に接合されたスライド式L型金具20と、このスライド式L型金具20に固定される3枚の取付面姿勢が異なる粘着性衝撃吸収マット30A,30B,30Cとから構成される。粘着性衝撃吸収マット30の圧縮変形作用と粘性抵抗によるエネルギー減衰作用により、優れた衝撃吸収性能が得られるとともに、スライド式L型金具20は、第1金具22を干渉が回避される位置までスライド後退させることで、簡単に位置決めできるとともに、地震発生時には、第2金具21に対して第1金具22が摺動することで、衝撃の一部を吸収する。
【選択図】図3

Description

本発明は、地震発生時において、家具等の揺れ、転倒を防止するために使用する耐震用具に係り、特に、縦揺れや横揺れ等、揺れの方向にかかわらず家具等を確実に支持できる耐震用具に関する。
周知のように、我国における地震発生頻度は、諸外国に比べてもひけをとるものではなく、地震大国の名を欲しいままにしている。従って、我国の住宅事情については、マグニチュード7クラスの直下型の地震に対しても充分耐え得る耐震構造を備えることが必要であることから、耐震性という項目が家屋を構築する場合の重要なファクターとなっている。しかしながら、実際に地震が発生した場合には、家屋の倒壊を免れても、家屋内では、タンスや本棚等の家具や、大型電化製品が大きく揺れ、あるいは転倒するケースが多く、損傷を招いたり、避難通路の障害となり、火災等の二次災害が発生した場合、極めて危険である。同様に、オフィスにおいても、倒壊を避けることができても書庫やロッカー、キャビン等が転倒したり、あるいは机上に置いているパソコン等の電子機器が落下した場合には、大きな損害を誘発する可能性が大きい。
ところで、従来では、家庭において、タンス、本棚等の家具や、大型電化製品を床面に固定するための耐震用具として、例えば、図12に示すように、家具1の底面に耐震マット2を固定して、地震発生時における家具1の揺れや転倒を抑えるようにしている。従来の耐震マット2の具体例については、特許文献1に詳細に記載されている。
特開平9−289931号公報
しかしながら、従来の耐震マット2では、横揺れや、比較的マグニチュードの小さなクラスの地震においては、家具1を床面に保持することはできても、マグニチュード7クラスの大型の地震や直下型の地震についてはほとんど家具1を支持することができず、家具1の大きな揺れや転倒を防止できないでいるのが実情である。
この発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、地震発生時における家具等の揺れ、転倒を防止するために使用する耐震用具であって、家具等に簡単に取り付けることができ、取付作業性に優れるとともに、縦揺れ、横揺れ等、揺れの方向に左右されず、あるいはマグニチュード7クラスの大型の地震であっても、衝撃吸収マットとスライド式L型金具の両者で衝撃荷重を有効に吸収することで優れた衝撃吸収性能が得られる耐震用具を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る耐震用具は、水平板部と垂直板部とを有する断面L字状の第1金具と、水平板部を有する第2金具と、第1金具の水平板部の上に第2金具の水平板部が重なる状態において、第1金具と第2金具とを水平方向へとスライド自在に結合するスライド結合機構と、第1金具の水平板部の下面、第1金具の垂直板部の内面、第2金具の水平板部の上面のそれぞれに固定された粘着性衝撃吸収マットとを備えている。それにより、家具等の保護対象物の底面に第2金具の水平板部上面の前記マットを粘着させた状態において、第1金具を第2金具に対してスライドさせながら、その垂直板部内面の前記マットを前記保護対象物の側面に粘着させ、しかるのち、第1金具の水平板部下面の前記マットを保護対象物が載置される床面に粘着させることができるように構成したことを特徴とする。
ここで、耐震用具の用途としては、一般家庭内でのタンス、本棚等の家具類、あるいは大型電化製品、オフィス内における書庫やロッカー、キャビン等、あるいは工場内の各種装置類や病院内での各種検査機器等、多岐に亘っている。
更に、本発明に係る耐震用具は、スライド結合機構が、第2金具の水平板部の左右両側端縁を下面側へ巻き込むように曲成して左右のガイド凹条を形成すると共に、第1金具の水平板部の左右両側端縁をそれらのガイド凹条内に嵌入させることにより、第1金具と第2金具とがスライド自在に結合されるものである、ことを特徴とする。
このような構成により、第2金具に設けられた左右のガイド凹条は、第1金具と第2金具とを一体的に保持すると共に、互いに水平方向にスライド自在に支持することが可能となる。
次いで、粘着性衝撃吸収マットは、基本的には第2金具の下面に床面固定用のマットとして接着されるとともに、第2金具の上面と可動板の内面に家具等の底面と側面の双方に接着されるマットとして3箇所に粘着性衝撃吸収マットが固定される。
このような構成により、本発明に係る耐震用具によれば、家具類等の下縁コーナー部を跨ぐ底面と側面とにスライド式L型金具の内面に固定した粘着性衝撃吸収マットを接着させ、スライド式L型金具における第2金具の下面に固定した粘着性衝撃吸収マットを介して床面に施工することにより、横揺れ時においては第2金具の上面と第1金具の水平板部の下面とに接着した衝撃吸収マットの粘性抵抗によるエネルギー減衰作用と第1金具の垂直板部内面に固定した衝撃吸収マットの圧縮変形作用により衝撃荷重を有効に吸収するとともに、直下型地震等の縦揺れ時には、第1金具の垂直板部の内面に固定した衝撃吸収マットの粘性抵抗によるエネルギー減衰作用と第2金具の下面と第1金具の水平板部内面に固定した衝撃吸収マットの圧縮変形作用により、マグニチュード7クラスの直下型地震、縦揺れに際しても、有効に衝撃荷重を吸収することができる。
従って、縦揺れ、横揺れ等、揺れ方向がいずれの方向であっても、スライド式L型金具に相互に直交する姿勢で取り付けられている粘着性衝撃吸収マットにより、2方向の衝撃荷重を圧縮変形作用と粘性抵抗によるエネルギー減衰作用との相互作用で有効に吸収することができる。
また、本発明に係る耐震用具によれば、第1金具の水平板部の下面、第1金具の垂直板部の内面、第2金具の水平板部の上面のそれぞれに固定された粘着性衝撃吸収マットの表面には剥離紙が貼着されている、ことを特徴とする。
このような構成により、第1並びに第2金具に固定された粘着性衝撃吸収マットが意図する保護対象物以外に粘着してしまうことを未然に防ぐことが可能となる。さらに、収納時に粘着性衝撃吸収マットの粘着力を気にすることなく重ねて収納することが可能となる。
さらに、本発明に係る耐震用具の粘着性衝撃吸収マットは、エステル系ウレタン樹脂を素材とした超低弾性ゴムであり、その物性値としては、一般のウレタンゴムの常識を打ち破ったショアA硬度が0の領域に及ぶC硬度計でのみ計測できる軟性ゴムであり、ショアC硬度は0〜70の範囲内に設定されていることを特徴とする。
このような特性を有する超低弾性ゴムを本発明にかかる耐震用具の粘着衝撃吸収マットとして用いることにより、当該粘着衝撃吸収マット自体が優れた衝撃吸収性能と粘着性とを兼ね備える。また、このように優れた衝撃吸収性能と粘着性とを併せ持つ粘着衝撃吸収マットが、当該L字型耐寝具の垂直板部並びに水平板部に備えられることによって、保護対象となる家具に対して同一平面ではなく、取付面を相違させるように配置されることから、縦揺れや横揺れ等のあらゆる方向の揺れに対して良好な衝撃吸収性能を発揮し、家具を確実に支持することが可能となる。
以上説明した通り、本発明に係る耐震用具は、スライド式L型金具と、スライド式L型金具に固定される粘着性衝撃吸収マットとから構成されており、縦揺れ、横揺れ等、揺れ方向がいずれの方向であっても、粘着性衝撃吸収マットの圧縮変形作用と粘性抵抗によるエネルギー減衰作用により、衝撃荷重を有効に吸収することができるとともに、特に、スライド式L型金具を使用することで、家具への取付時、まず、第2金具を手際良く位置決めすることができ、その後、第2金具に対して第1金具をスライド操作することで、簡単に耐震用具を家具に取り付けることができ、取付作業性に優れるという効果を有する。
更に、本発明に係る耐震用具は、粘着性衝撃吸収マットによる衝撃吸収性能に加えて、第2金具のガイド凹条をスライドする第1金具の摺動抵抗により、衝撃荷重を有効に吸収することができるため、地震発生時における衝撃荷重に対して優れた衝撃吸収性能を備えた耐震用具を提供できるという効果を有する。
以下に、本発明の好適な実施の一形態を添付図面に従って詳細に説明する。尚、念のため付言すれば、本発明の要旨は特許請求の範囲によってのみ特定されるものであり、以下の実施の形態は、本発明の一例を示すものに過ぎない。
図1乃至図11は本発明の一実施例を示すもので、図1は本発明に係る耐震用具を示す斜視図、図2は同耐震用具を示す側面図、図3は同耐震用具を示す正面図、図4は本発明に係る耐震用具に使用する粘着性衝撃吸収マットの硬度を一般のゴム硬度と比較して示す概要図、図5は同粘着性衝撃吸収マットの衝撃吸収率を測定する試験方法を示す説明図、図6乃至図8は本発明に係る耐震用具を家具に取り付ける形態を示す説明図、図9は家具の両側下面に本発明に係る耐震用具を取り付けた状態を示す説明図、図10は同耐震用具における衝撃吸収マットの作用を示す説明図、図11は同耐震用具におけるスライド式L型金具の作用を示す説明図である。
図1乃至図3において、本発明に係る耐震用具10は、スライド式L型金具20と、このスライド式L型金具20に固定される3枚の粘着性衝撃吸収マット30(30A,30B,30C)とから大略構成されている。
本実施例では、スライド式L型金具20は、ステンレス板を素材としており、第2金具21に対して第1金具22をスライド自在に支持して構成されている。更に詳しくは、第1金具は水平板部23と垂直板部24とを有する断面L字状に形成されている。そして、第2金具21の水平板部の左右両側縁を下面側に巻き込むように曲成して左右のガイド凹条211を形成するように成形されており、この左右のガイド凹条211が第1金具22と第2金具21とのスライド結合機構として機能するものであり、第1金具22の水平板部23を第2金具21のガイド凹条211に嵌入して第1金具22と第2金具21とが摺動自在に結合するように構成されている。
そして、粘着性衝撃吸収マット30(30A,30B,30C)は、第2金具21の上面に1枚目の粘着性衝撃吸収マット30Aが固定されており、第1金具22には、水平板部23の下面に2枚目の粘着性衝撃吸収マット30Bが固定され、垂直板部24の内面に3枚目の粘着性衝撃吸収マット30Cが固定されている。尚、家具に取り付ける前段階においては、粘着性衝撃吸収マット30A,30B,30Cの表面にはそれぞれ剥離紙31A,31B,31Cが貼付されている。
本発明に係る耐震用具10は、このようにスライド式L型金具20を使用したことが特徴であり、このことは、家具に取り付ける取付作業が非常に円滑に行なえ、作業性に極めて優れるとともに、地震発生時における衝撃吸収性能についても、衝撃吸収マット30の衝撃吸収作用にスライド式L型金具20のもつ衝撃吸収性能が付加されている。
次いで、スライド式L型金具20に接着固定される粘着性衝撃吸収マット30について説明する。この粘着性衝撃吸収マット30は、エステル系ウレタン樹脂から構成される超低弾性ゴムであり、図4で従来のゴムとの硬度比較を示すように、従来のゴムの硬度範囲はショアA硬度30〜90であるが、この硬度よりかなり低い硬度範囲を有し、ショアA硬度0の領域に及ぶショアC硬度0〜70の範囲に設定されたC硬度計でのみ硬度が計測できる軟性ゴムである。このような超低弾性ゴムは、急激な張引力に対しては強固な粘着力を発揮する反面、ゆっくりと引きはがそうとすれば容易に剥離する特性を備えている。すなわち、地震のような急激な衝撃及び振動に対しては床面並びに対象家具等から剥離することはないが、対象家具から取り除く必要が生じる際には、ゆっくりと引きはがすことにより、きれいにかつ容易に剥離できるものである。
そして、図5で衝撃吸収率、減衰時間の測定実験を示すように、衝撃吸収試験装置40におけるスタンド41の磁石42に硬球43が支持されており、この硬球43を鋼板(厚み4.2mm)44上に載置されているサンプル(本実施例における粘着性衝撃吸収マット30)上に落下させ、ロードセル45により、衝撃荷重を測定し、動歪み測定器46、波形記録計47により計測した結果について、減衰時間と衝撃吸収率とを表1にて示す。また、粘着性衝撃吸収マット30の物性データを表2にて示す。
Figure 2006239223
Figure 2006239223
尚、表2における*1〜*3は以下の注釈を示すものである。*1、ジェロメーター硬さ試験:通常スポンジの硬さを測定する試験(アスカー社製C型硬度計を使用)。*2、引張り強さ(常温)を100%とした時の、耐熱試験後の値。*3、アセトン、トルエン等の溶剤に1週間浸漬させると、膨潤し重量増加が見られるが、取り出して放置すれば溶剤が揮発し、形状は元に戻る(耐ガソリン性も同様の結果が見られた)。
表1,表2から明らかなように、本発明に係る耐震用具10に使用する粘着性衝撃吸収マット30は、それ自体優れた衝撃吸収性能を備えている。
次いで、図6乃至図11に基づいて、本発明に係る耐震用具10の使用形態について説明する。まず、図6に示すように、家具50の下縁コーナー部51を跨ぐ家具50の底面52と側面53とに本発明に係る耐震用具10を取り付けるには、家具50の一方側を持ち上げて第2金具21の上面に固定されている粘着性衝撃吸収マット30Aの剥離紙31Aを剥離した状態で第2金具21の粘着性衝撃吸収マット30Aを家具50の底面52の所定位置に粘着する。同図においては、第2金具21の取付時に、第2金具21に対して第1金具22は、第2金具21のガイド凹条211に水平板部23の一部が僅かに差し込まれている状態としているが、第2金具21と第1金具22とを完全に分離させて第2金具21のみ先に家具50に固定して、その後に第1金具を第2金具21に挿入するようにしても良い。何れの手法においても、第1金具22の垂直板部24(及び当該垂直板部に貼付された粘着性衝撃吸収マット30C)が家具50に干渉することがなく、家具50の底面52における所望の位置に第2金具21を手際良く取り付けることができる。
また、同図においては、家具50の一方側を持ち上げて耐震用具10の所定位置への固定作業を行っているが、家具50における収納物の有無や、収納状況に応じて、例えば家具50を横倒しにして底面52を完全に露出して耐震用具10の固定作業を行ってもよいことは言うまでもない。
更に、図7に示すように、第1金具22の垂直板部24の内面に固定されている粘着性衝撃吸収マット30Cの剥離紙31Cを剥離操作して、第1金具22を図中矢印方向にスライド操作して、家具50の側面53に第1金具22の垂直板部24を粘着性衝撃吸収マット30Cを介して当接させることで、家具50の底面52及び下縁コーナー部51を跨いだ側面53に対して耐震用具10を接着することができる。
その後、図8に示すように、第1金具22における水平板部23の下面に固定されている粘着性衝撃吸収マット30Bの剥離紙31Bを剥離操作して、床面60に対して耐震用具10を接着することで、家具50に対して耐震用具10を取り付けて、床面60へのセット作業が完了する。尚、図6乃至図8において、家具50の一方側について耐震用具10を取り付ける態様を説明したが、反対側についても同様の手順で耐震用具10をセットすれば、図9に示すように、家具50の両側において床面60に対して耐震用具10で家具50を支持することができる。
このように、本発明に係る耐震用具10は、スライド式L型金具20を使用することが特徴である。例えば、固定式L型金具を使用した場合には、家具の床面と側面とを同時に接着するという作業が非常に面倒でかつ熟練を要するため、所定位置に手際良く固定式L型金具を取り付けることができないでいるのが実情であったが、本発明に係る耐震用具10のように、スライド式L型金具20を使用することで第2金具21をまず始めに固定した後、第1金具22をスライド操作すれば、簡単かつ手際良く家具50への取り付けが完了する。
次に、耐震用具10の作用については、図10に示すように、図中矢印Xで示す横揺れについては衝撃吸収マット30A,30Bの粘性抵抗によるエネルギー減衰作用が得られるとともに、これと直交する方向に配設されている衝撃吸収マット30Cが圧縮変形することで、図10中矢印X方向の荷重について有効に吸収することができる。また、直下型地震や縦揺れの際に発生する矢印Y方向の荷重については、第1金具22の垂直板部24の内面に固定されている衝撃吸収マット30Cの粘性抵抗により、衝撃を有効に減衰できるとともに、それと直交する方向に配置されている衝撃吸収マット30A,30Bの圧縮変形作用により、図中矢印Y方向の衝撃を有効に吸収することができる。
従って、スライド式L型金具20における第2金具21の下面、及び第1金具22の内面にそれぞれ粘着性衝撃吸収マット30A,30B,30Cを配置することにより、優れた衝撃吸収性能が得られる。更に、図11に示すように、スライド式L型金具20において、第2金具21のガイド凹条211内に第1金具22における水平板部23の両側縁が収容されており、例えば、この第1金具22は、第2金具21に対して図11中P方向、すなわち、取付方向についてはそれ程摩擦抵抗がなく、第1金具22の円滑なスライド操作が可能であるが、P方向に対して左右方向、上下方向に少しでも偏位した方向に力が加われば、第2金具21のガイド凹条211内で第1金具22の両側縁との間に摺動抵抗が生じる。すなわち、実際に地震が発生した際には、P方向と異なる方向の力が加わるため、第2金具21と第1金具22との間に摺動抵抗が生じることから、地震発生時の揺れにより、スライド式L型金具20において、摺動抵抗による衝撃吸収性能が得られることになる。
このように、性能に優れた粘着性衝撃吸収マット30を同一平面ではなく、取付面を相違させるように配置して、縦揺れ、横揺れに際しても粘着性衝撃吸収マット30による良好な衝撃吸収性能が得られるとともに、スライド式L型金具20による摺動抵抗が加味されて、大きな衝撃吸収性能が得られることから、縦揺れ、横揺れ等、あらゆる方向の揺れに対して家具50を確実に支持することができ、マグニチュード7クラスの直下型の地震が発生しても、家具50の揺れや転倒を確実に防止することができ、家具や大型電化製品の転倒による怪我や揺れによる物品の落下等を防ぐことができ、また、避難通路を有効に確保できる等、安全面に大きく貢献できる。
上述した実施例は、家庭内のタンス、本棚等の家具50に本発明に係る耐震用具10を適用したが、家具50の他に冷蔵庫等の大型電化製品等に適用できるとともに、オフィス内での書庫やロッカー、キャビン類、机上のパソコン等の電子機器、あるいは病院内の検査機器等、本発明に係る耐震用具10は広範囲に適用できる。
本発明に係る耐震用具の一実施例の構成を示す斜視図である。 図1に示す耐震用具を示す側面図である。 図1に示す耐震用具を示す正面図である。 図1に示す耐震用具における粘着性衝撃吸収マットの硬度を一般のゴム硬度と比較して示す概要図である。 図1に示す耐震用具における粘着性衝撃吸収マットの衝撃吸収率を測定する実験方法を示す説明図である。 図1に示す耐震用具を家具の底面に取り付けた状態を示す説明図である。 図1に示す耐震用具を家具の底面に取り付けた第2金具に対して第1金具をスライド操作する要領を示す説明図である。 図1に示す耐震用具を家具の底面と側面に取り付けた状態を示す説明図である。 家具の両側下面に本発明に係る耐震用具を取り付けた状態を示す説明図である。 本発明に係る耐震用具における粘着性衝撃吸収マットによる衝撃吸収時の状態を示す説明図である。 本発明に係る耐震用具におけるスライド式L型金具による衝撃吸収時の状態を示す説明図である。 従来の耐震マットによる衝撃吸収時の状態を示す説明図である。
符号の説明
10 耐震用具
20 スライド式L型金具
21 第2金具
211 ガイド凹条
22 第1金具
23 水平板部
24 垂直板部
30,30A,30B,30C 粘着性衝撃吸収マット
31A,31B,31C 剥離紙
40 衝撃吸収試験装置
41 スタンド
42 磁石
43 硬球
45 ロードセル
46 動歪み測定器
47 波形記録計
50 家具
51 下縁コーナー部
52 底面
53 側面
60 床面

Claims (4)

  1. 水平板部と垂直板部とを有する断面L字状の第1金具と、
    水平板部を有する第2金具と、
    第1金具の水平板部の上に第2金具の水平板部が重なる状態において、第1金具と第2金具とを水平方向へとスライド自在に結合するスライド結合機構と、
    第1金具の水平板部の下面、第1金具の垂直板部の内面、第2金具の水平板部の上面のそれぞれに固定された粘着性衝撃吸収マットとを備え、
    それにより、家具等の保護対象物の底面に第2金具の水平板部上面の前記マットを粘着させた状態において、第1金具を第2金具に対してスライドさせながら、その垂直板部内面の前記マットを前記保護対象物の側面に粘着させ、しかるのち、第1金具の水平板部下面の前記マットを保護対象物が載置される床面に粘着させることができるように構成した、ことを特徴とする耐振用具。
  2. スライド結合機構が、
    第2金具の水平板部の左右両側端縁を下面側へ巻き込むように曲成して左右のガイド凹条を形成すると共に、第1金具の水平板部の左右両側端縁をそれらのガイド凹条内に嵌入させることにより、第1金具と第2金具とがスライド自在に結合されるものである、ことを特徴とする請求項1に記載の耐振用具。
  3. 第1金具の水平板部の下面、第1金具の垂直板部の内面、第2金具の水平板部の上面のそれぞれに固定された粘着性衝撃吸収マットの表面には剥離紙が貼着されている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の耐振用具。
  4. 粘着性衝撃吸収マットは、ショアC硬度0〜70の範囲に設定されて超低弾性ゴムである、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の耐振用具。
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