JP2006237972A - スピーカ用振動板の製造方法及び製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 スピーカ用振動板の製造における乾燥工程で加熱プレスを行わない乾燥方法を採用するに際して、大型の振動板を製造する場合であっても、乾燥時間の短縮化を可能にして生産性の向上を図る。
【解決手段】 乾燥装置1は、繊維の抄造工程によって形成された振動板基材Mを乾燥するものであり、乾燥釜2と、乾燥釜2内に設置されてその上に振動板基材Mが載置される乾燥金型3と、乾燥釜2内で乾燥金型3の上方に設置されるガスバーナ4と遮蔽板7からなる第1の加熱手段と、乾燥金型3に埋設されるヒータ5(第2の加熱手段)とを備え、水分を含んだ繊維層からなる振動板基材Mを乾燥させて振動板を形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、スピーカ用振動板の製造方法及び製造装置に関するものである。
繊維の抄造(抄紙)によって形成されるスピーカ用振動板は、天然繊維,化学繊維,無機繊維等を目的に応じて任意に選択でき、且つ、特に密度の調節が容易なため、ヤング率や内部損失等の諸物性をある程度調節できる長所がある。
このような繊維の抄造によるスピーカ用振動板の製造方法は、下記特許文献1〜3に記載されるような抄造装置を用いて、抄紙型上に繊維層を堆積させる抄造工程の後、多量の水分を含む繊維層を乾燥させる乾燥工程が必要になる。
この乾燥工程は、抄造工程の後に、ある程度自然乾燥させた繊維層を金型中で加熱プレスして成形しながら乾燥させる方法と、ある程度自然乾燥させた繊維層を乾燥オーブン釜に入れて、加熱プレスを行わないで乾燥させるオーブン乾燥と呼ばれる方法がある。
このオーブン乾燥によると、乾燥工程で加熱プレスを行わないので、比較的低密度の振動板基材を得ることができ、特に低域の再生に適する振動板を得ることができることから、外径寸法20cmを超えるような大口径の振動板では主にこのオーブン乾燥が採用されている。
特公昭61−61598号公報 特公平2−13880号公報 特開2003−230197号
このオーブン乾燥では、オーブン釜内に配置した乾燥金型上に水分を含む繊維層からなる振動板基材を載置させ、その上方にガスバーナを配置し、乾燥金型側から吸引して、振動板基材の一面側から熱風を当てて乾燥させるのが一般的である。
このオーブン乾燥を採用したスピーカ用振動板の製造方法によると、前述したように加熱プレスを行わないことで低密度の振動板を得ることができる利点があるものの、乾燥効率がやや低く、大型の振動板になるほど乾燥に要する時間が長くなり、これが全体の製造時間を長期化させて生産効率を低下させる一因になっていた。
また、このオーブン乾燥では、乾燥のための熱源が振動板の一方向からのみであるため、振動板の表面側と裏面側で乾燥状態にムラが生じる問題がある。一般に繊維が乾燥すると収縮するので、振動板の表面側と裏面側で乾燥ムラが生じると表裏の収縮程度に違いが生じて振動板基材が湾曲変形してしまう問題が生じる。
更に、従来のオーブン乾燥では、一方向からのみ加熱を行うので、温度のコントロールが難しく、場合によって振動板基材の加熱される一面を焦がしてしまうような不都合もあった。
本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、スピーカ用振動板の製造における乾燥工程で加熱プレスを行わない乾燥方法を採用するに際して、大型の振動板を製造する場合であっても、乾燥時間の短縮化を可能にして生産性の向上を図ること、乾燥工程中の振動板基材の湾曲変形を防ぐこと、乾燥工程中の温度コントールを容易にして振動板基材を焦がすような不都合を防止すること、等が本発明の目的である。
このような目的を達成するために、本発明によるスピーカ用振動板の製造方法及び製造装置は、以下の各独立請求項に係る構成を少なくとも具備するものである。
[請求項1]繊維の抄造工程によって形成された振動板基材を乾燥する乾燥工程を有するスピーカ用振動板の製造方法であって、前記乾燥工程では、乾燥金型上に載置した振動板基材に対して上方から熱風を当てると共に、前記乾燥金型側に設けた熱源からの熱を該乾燥金型を介して前記振動板基材に加えることを特徴とするスピーカ用振動板の製造方法。
[請求項5]繊維の抄造工程によって形成された振動板基材を乾燥する乾燥装置を備えたスピーカ用振動板の製造装置であって、前記乾燥装置は、乾燥釜と、該乾燥釜内に設置されてその上に前記振動板基材が載置される乾燥金型と、前記乾燥釜内で前記乾燥金型の上方に設置される第1の加熱手段と、前記乾燥金型に埋設される第2の加熱手段とを備えることを特徴とするスピーカ用振動板の製造装置。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態に係るスピーカ用振動板の製造装置における乾燥装置を示す説明図である。
乾燥装置1は、繊維の抄造工程によって形成された振動板基材Mを乾燥するものであり、乾燥釜2と、乾燥釜2内に設置されてその上に振動板基材Mが載置される乾燥金型3と、乾燥釜2内で乾燥金型3の上方に設置されるガスバーナ4と遮蔽板7からなる第1の加熱手段と、乾燥金型3に埋設されるヒータ5(第2の加熱手段)とを備え、水分を含んだ繊維層からなる振動板基材Mを乾燥させて振動板を形成する。
前述した第1の加熱手段における遮蔽板7は、ガスバーナ4の直火を遮蔽するもので、これによって振動板基材Mにガスバーナ4の直火が到達しないようにしている。また、乾燥金型3の下方には吸引口6が設けられて、乾燥金型3側に設けた吸引手段10によって、第1の加熱手段からの熱風を振動板基材M内に引き込むようにしている。
更に、必要に応じて、振動板基材M近傍に温度センサ8を設けると共に温度センサ8によってヒータ5(第2の加熱手段)を制御する加熱制御手段9を備える。この際、温度センサ8は振動板基材Mの近傍の何れに設けても良いが、特に振動板基材Mの上面近傍に設けることで、後述するメリットが得られる。
このような乾燥装置を用い、繊維の抄造工程によって形成された振動板基材Mを乾燥する乾燥工程を有するスピーカ用振動板の製造方法について説明すると、この乾燥工程では、乾燥金型3上に載置した振動板基材Mに対して上方から熱風を当てると共に、乾燥金型3側に設けた熱源(ヒータ5)からの熱を乾燥金型3を介して振動板基材Mに加える。
そして、乾燥金型3側からの吸引によって、振動板基材Mの上方からの熱風を振動板基材M内に引き込む。更には、必要に応じて、振動板基材M近傍に設けた温度センサ8によってヒータ5(熱源)の制御を行う。
このようなスピーカ用振動板の製造方法及び製造装置によると、振動板基材Mの乾燥を、振動板基材Mの上方に設けた熱源(第1の加熱手段;ガスバーナ4及び遮蔽板7)と振動板基材Mの下方に設けた熱源(第2の加熱手段;ヒータ5)によって加熱して行うので、乾燥効率を高めることでき、大型の振動板であっても、長時間を要することなく乾燥を終えることができる。これによって、乾燥に要する時間の短縮化を可能にして、スピーカ用振動板の生産性を向上させることができる。
この際、吸引手段10で吸引することでガスバーナ4からの熱風を振動板基材M内に引き込み、同時に、この吸引で振動板基材Mを乾燥金型3に密着させる。そして、乾燥金型3に埋設したヒータ5からの熱を乾燥金型3を介して振動板基材Mに伝達する。
このような構成によって、振動板基材Mの表裏両面に効率よく熱が伝わることになり、効率の良い加熱乾燥が可能になる。また、振動板基材Mを乾燥金型3に密着させて、表裏両面から加熱しているので、乾燥ムラが無く、振動板基材Mの湾曲変形が起こらない。
更には、振動板基材M近傍に設けた温度センサ8によって乾燥金型3側の熱源であるヒータ5を制御することで、振動板基材Mに加わる熱量を調整することができるので、過度の加熱によって振動板基材Mを焦がすようなこともない。
また、温度センサ8を振動板基材Mの上面近傍に設けて振動板基材Mの上面の温度を検出し、この検出結果に応じて振動板基材Mの下面側の熱源であるヒータ5を制御することで、振動板基材Mの表裏両面の乾燥状態をほぼ揃えることができる。これによると、乾燥ムラによる振動板基材Mの変形を確実に無くすことができる。
更に具体的な実施例を説明すると、乾燥時には、吸引手段10は500〜600mmHg程度の真空圧にて吸引する。また、ヒータ5としては1500W程度の容量のものが乾燥金型3内に埋設されている。このヒータ5は温度センサ8及び加熱制御手段9によって150〜160℃に制御される。
吸引手段10により前述したように吸引した状態での乾燥釜2内の温度は、140〜150℃になり、例えば、口径40cmで重量50g程度のコーン形振動板基材Mを乾燥させる場合に、第1の加熱手段のみの場合と比べて約40%乾燥時間を短縮させることができる。
また、抄造した木材パルプの叩解度が高く、米坪量が高い振動板基材Mの場合には、吸引手段10によって乾燥金型3と振動板基材Mとの密着性が高まり、乾燥釜2内の真空度を高めることができるので、第1の加熱手段のみであっても、ある程度乾燥を均一に行うことができる。しかしながら、無機繊維を混合抄紙した場合や米坪量が低い振動板基材Mの場合には、乾燥時の吸引の際に通気性が高まり、第1の加熱手段のみでは、乾燥ムラを起こし易くなる。
これに対して、前述した本発明の実施形態によれば、無機繊維を混合抄紙した場合や米坪量が低い振動板基材Mの場合にも、上面と下面をほぼ同時に同程度に加熱乾燥することができるので、乾燥ムラを無くし、ひいては振動板基材Mの硬さのばらつきや湾曲変形を解消することができる。
以上説明したように、本発明の実施形態によると、スピーカ用振動板の製造における乾燥工程で加熱プレスを行わない乾燥方法を採用するに際して、大型の振動板を製造する場合であっても、乾燥時間の短縮化を可能にして生産性の向上を図ることができる。また、乾燥工程中の振動板基材の湾曲変形を防ぐと共に、乾燥工程中の温度コントールによって振動板基材Mを焦がすような不都合を防止することができる。これによって、低密度で低域再生に適した抄紙振動板を高品質で製造することができると共に、製造時間の短縮によって高い生産性を得ることができる。
本発明の実施形態に係るスピーカ用振動板の製造方法及び製造装置を説明する説明図である。
符号の説明
1 乾燥装置
2 乾燥釜
3 乾燥金型
4 ガスバーナ(第1の加熱手段)
5 ヒータ(第2の加熱手段)
6 吸引口
7 遮蔽板
8 温度センサ
9 加熱制御手段
10 吸引手段

Claims (8)

  1. 繊維の抄造工程によって形成された振動板基材を乾燥する乾燥工程を有するスピーカ用振動板の製造方法であって、
    前記乾燥工程では、乾燥金型上に載置した振動板基材に対して上方から熱風を当てると共に、前記乾燥金型側に設けた熱源からの熱を該乾燥金型を介して前記振動板基材に加えることを特徴とするスピーカ用振動板の製造方法。
  2. 前記乾燥金型側からの吸引によって、前記熱風を前記振動板基材内に引き込むことを特徴とする請求項1に記載されたスピーカ用振動板の製造方法。
  3. 前記振動板基材近傍に設けた温度センサによって前記熱源を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載されたスピーカ用振動板の製造方法。
  4. 前記温度センサは前記振動板基材の上面近傍に設けられることを特徴とする請求項1に記載されたスピーカ用振動板の製造方法。
  5. 繊維の抄造工程によって形成された振動板基材を乾燥する乾燥装置を備えたスピーカ用振動板の製造装置であって、
    前記乾燥装置は、乾燥釜と、該乾燥釜内に設置されてその上に前記振動板基材が載置される乾燥金型と、前記乾燥釜内で前記乾燥金型の上方に設置される第1の加熱手段と、前記乾燥金型に埋設される第2の加熱手段とを備えることを特徴とするスピーカ用振動板の製造装置。
  6. 前記第1の加熱手段は、ガスバーナと該ガスバーナの直火を遮蔽する遮蔽板からなり、前記乾燥金型側に設けた吸引手段によって、前記第1の加熱手段からの熱風を前記振動板基材内に引き込むことを特徴とする請求項5に記載されたスピーカ用振動板の製造装置。
  7. 前記振動板基材近傍に設けた温度センサと該温度センサによって前記第2の加熱手段を制御する加熱制御手段とを備えることを特徴とする請求項6に記載されたスピーカ用振動板の製造装置。
  8. 前記温度センサは前記振動板基材の上面近傍に設けられることを特徴とする請求項7に記載されたスピーカ用振動板の製造装置。
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