JP2006237352A - 光電変換素子及びそれへの電圧印加方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 少なくとも2層の異なる波長領域の光を吸収し、光電変換する光電変換層を含み、かつ、該層ごとに異なる光電変換材料を含む光電変換素子において、異なる光電変換材料層ごとに実質的に異なるバイアス電圧を印加する光電変換素子。
【選択図】図1
Description
特開2004−328681号公報(特許文献1)等では、光電変換膜を挟む電極間に電圧を印加することの記載はあるが、撮像部位が多層な撮像素子のバイアス電圧を複数設定することの記載は見出していない。
(2) 該光電変換層の少なくとも1層が有機化合物を主成分とする光電変換層であることを特徴とする(1)記載の光電変換素子。
(3) 異なる光電変換層が青光、緑光及び赤光用の3層であることを特徴とする(1)または(2)記載の光電変換素子。
(4) 前記光電変換層に用いる光電変換材料の酸化電位と還元電位の差に従って相対的にバイアス電圧を設定することを特徴とする(1)、(2)または(3)に記載の光電変換素子。
(5) 前記の印加するバイアス電圧の絶対値は0.2V以上20V以下であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の光電変換素子。
(6) 少なくとも2層の異なる波長領域の光を吸収し、光電変換する光電変換層を含み、かつ、該層ごとに異なる光電変換材料を含む光電変換素子において、異なる光電変換材料層ごとに実質的に異なるバイアス電圧を印加することを特徴とする電圧印加方法。
(7) 該光電変換層の少なくとも1層が有機化合物を主成分とする光電変換層であることを特徴とする(6)記載の電圧印加方法。
さらに、画素電極と対向電極にはさまれた光電変換層のほかに、電荷移動層、電荷ブロッキング層、電極の材質、各層のオーミック抵抗によっても印加されるバイアス電圧は影響される。
仕事関数の高い電極をプラス極とし、有機化合物が酸化される方向の電圧をプラスとする。
以下に本発明の光電変換素子について説明する。
本発明の光電変換素子は電磁波吸収/光電変換部位と光電変換により生成した電荷の電荷蓄積/転送/読み出し部位よりなる。
本発明において電磁波吸収/光電変換部位は、少なくとも青光、緑光、赤光を各々吸収し光電変換することができる少なくとも2層の積層型構造を有する。青光吸収層(B)は少なくとも400〜500nmの光を吸収することができ、好ましくはその波長域でのピ−ク波長の吸収率は50%以上である。緑光吸収層(G)は少なくとも500〜600nmの光を吸収することができ、好ましくはその波長域でのピ−ク波長の吸収率は50%以上である。赤光吸収層(R)は少なくとも600〜700nmの光を吸収することができ、好ましくはその波長域でのピ−ク波長の吸収率は50%以上である。これらの層の積層順はいずれでも良く、3層積層型構造の場合は上層からBGR、BRG、GBR、GRB、RBG、RGBの序列が可能である。好ましくは最上層がGである。2層積層型構造の場合は上層がR層の場合は下層が同一平面状にBG層、上層がB層の場合は下層が同一平面状にGR層、上層がG層の場合は下層が同一平面状にBR層が形成される。好ましくは上層がG層で下層が同一平面状にBR層である。このように下層の同一平面状に2つの光吸収層が設けられる場合には上層の上もしくは上層と下層の間に色分別できるフィルタ−層を例えばモザイク状に設けることが好ましい。3つ以上の光吸収層を新たな層としてもしくは同一平面状に設けることが可能である。
本発明において電磁波吸収/光電変換部位は有機層または無機層または有機層と無機層の併用よりなることが好ましい。有機層がB/G/R層を形成していても良いし無機層がB/G/R層を形成していても良い。好ましくは有機層と無機層の併用である。この併用は、特開平1−282875号公報に開示されている。この場合、基本的には有機層が1層の時は無機層は1層または2層であり、有機層が2層の時は無機層は1層である。有機層と無機層が1層の場合には無機層が2色以上の電磁波吸収/光電変換部位を形成することが好ましい。好ましくは上層が有機層でG層であり、下層が無機層で上からB層、R層の配列である。場合により4層目以上の層を新たな層として設ける、もしくは同一平面状に設けることが可能である。有機層がB/G/R層を形成する場合には、その下に電荷蓄積/転送/読み出し部位を設けることが好ましい。電磁波吸収/光電変換部位として無機層を用いる場合には、この無機層が電荷蓄積/転送/読み出し部位を兼ねることが好ましい。
本発明において有機層について説明する。本発明の有機層からなる電磁波吸収/光電変換部位は1対の電極に挟まれた有機層から成る。有機層は電磁波を吸収する部位、光電変換部位、電子輸送部位、正孔輸送部位、電子ブロッキング部位、正孔ブロッキング部位、結晶化防止部位、電極ならびに層間接触改良部位等の積み重ねもしくは混合から形成される。有機層は有機p型化合物または有機n型化合物を含有することが好ましい。有機p型半導体(化合物)は、ドナー性有機半導体(化合物)であり、主に正孔輸送性有機化合物に代表され、電子を供与しやすい性質がある有機化合物をいう。さらに詳しくは2つの有機材料を接触させて用いたときにイオン化ポテンシャルの小さい方の有機化合物をいう。したがって、ドナー性有機化合物は、電子供与性のある有機化合物であればいずれの有機化合物も使用可能である。例えば、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物、ピラゾリン化合物、スチリルアミン化合物、ヒドラゾン化合物、トリフェニルメタン化合物、カルバゾール化合物、ポリシラン化合物、チオフェン化合物、フタロシアニン化合物、シアニン化合物、メロシアニン化合物、オキソノール化合物、ポリアミン化合物、インドール化合物、ピロール化合物、ピラゾール化合物、ポリアリーレン化合物、縮合芳香族炭素環化合物(ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、フルオランテン誘導体)、含窒素ヘテロ環化合物を配位子として有する金属錯体等を用いることができる。なお、これに限らず、上記したように、n型(アクセプター性)化合物として用いた有機化合物よりもイオン化ポテンシャルの小さい有機化合物であればドナー性有機半導体として用いてよい。
本発明において、1対の電極間にp型半導体の層とn型半導体の層で形成されるpn接合層の繰り返し構造(タンデム構造)の数を2以上有する構造を持つ光電変換膜(感光層)を含有する場合が好ましく、さらに好ましくは、前記繰り返し構造の間に、導電材料の薄層を挿入する場合である。pn接合層の繰り返し構造(タンデム構造)の数はいかなる数でもよいが、光電変換効率を高くするために好ましくは2〜50であり、さらに好ましくは2〜30であり、特に好ましくは2または10である。導電材料としては銀または金が好ましく、銀が最も好ましい。なお、タンデム構造については、特願2004−079930号において詳細に説明されている。
光吸収の点では有機色素層の膜厚は大きいほど好ましいが、電荷分離に寄与しない割合を考慮すると、本発明における有機色素層の膜厚として好ましくは、10nm以上300nm以下、さらに好ましくは50nm以上250nm以下、特に好ましくは80nm以上200nm以下である。
これらの有機化合物を含む層は、乾式成膜法あるいは湿式成膜法により成膜される。乾式成膜法の具体的な例としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、MBE法等の物理気相成長法あるいはプラズマ重合等のCVD法が挙げられる。湿式成膜法としては、キャスト法、スピンコート法、ディッピング法、LB法等が用いられる。
p型半導体(化合物)、又は、n型半導体(化合物)のうちの少なくとも一つとして高分子化合物を用いる場合は、作成の容易な湿式成膜法により成膜することが好ましい。蒸着等の乾式成膜法を用いた場合、高分子を用いることは分解のおそれがあるため難しく、代わりとしてそのオリゴマーを好ましく用いることができる。一方、本発明において、低分子を用いる場合は、乾式成膜法が好ましく用いられ、特に真空蒸着法が好ましく用いられる。真空蒸着法は抵抗加熱蒸着法、電子線加熱蒸着法等の化合物の加熱の方法、るつぼ、ボ−ト等の蒸着源の形状、真空度、蒸着温度、基盤温度、蒸着速度等が基本的なパラメ−タ−である。均一な蒸着を可能とするために基盤を回転させて蒸着することは好ましい。真空度は高い方が好ましく10-4Torr(1.33×10-2Pa)以下、好ましくは10-5Torr(1.33×10-3Pa)以下、特に好ましくは10-7Torr(1.33×10-5Pa)以下で真空蒸着が行われる。蒸着時のすべての工程は真空中で行われることが好ましく、基本的には化合物が直接、外気の酸素、水分と接触しないようにする。真空蒸着の上述した条件は有機膜の結晶性、アモルファス性、密度、緻密度等に影響するので厳密に制御する必要がある。水晶振動子、干渉計等の膜厚モニタ−を用いて蒸着速度をPIもしくはPID制御することは好ましく用いられる。2種以上の化合物を同時に蒸着する場合には共蒸着法、フラッシュ蒸着法等を好ましく用いることができる。
本発明の有機層からなる電磁波吸収/光電変換部位は1対の電極に挟まれており、各々が画素電極と対向電極を形成している。好ましくは下層が画素電極である。
対向電極は正孔輸送性光電変換膜または正孔輸送層から正孔を取り出すことが好ましく、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、またはこれらの混合物などを用いることができる材料である。画素電極は電子輸送性光電変換層または電子輸送層から電子を取り出すことが好ましく、電子輸送性光電変換層、電子輸送層などの隣接する層との密着性や電子親和力、イオン化ポテンシャル、安定性等を考慮して選ばれる。これらの具体例としては酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)等の導電性金属酸化物、あるいは金、銀、クロム、ニッケル等の金属、さらにこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物または積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、シリコン化合物およびこれらとITOとの積層物などが挙げられ、好ましくは、導電性金属酸化物であり、特に、生産性、高導電性、透明性等の点からITO、IZOが好ましい。膜厚は材料により適宜選択可能であるが、通常10nm以上1μm以下の範囲のものが好ましく、より好ましくは30nm以上500nm以下であり、更に好ましくは50nm以上300nm以下である。
画素電極、対向電極の作製には材料によって種々の方法が用いられるが、例えばITOの場合、電子ビーム法、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、化学反応法(ゾルーゲル法など)、酸化インジウムスズの分散物の塗布などの方法で膜形成される。ITOの場合、UV−オゾン処理、プラズマ処理などを施すことができる。
透明電極膜の成膜中にプラズマが発生しない装置としては、例えば、電子線蒸着装置(EB蒸着装置)やパルスレーザー蒸着装置がある。EB蒸着装置またはパルスレーザー蒸着装置については、沢田豊監修「透明導電膜の新展開」(シーエムシー刊、1999年)、沢田豊監修「透明導電膜の新展開II」(シーエムシー刊、2002年)、日本学術振興会著「透明導電膜の技術」(オーム社、1999年)、及びそれらに付記されている参考文献等に記載されているような装置を用いることができる。以下では、EB蒸着装置を用いて透明電極膜の成膜を行う方法をEB蒸着法と言い、パルスレーザー蒸着装置を用いて透明電極膜の成膜を行う方法をパルスレーザー蒸着法と言う。
対向電極膜とは、光電変換膜を画素電極膜と共にはさみこむことで信号電荷と逆の極性を持つ信号電荷を吐き出す機能をもっている。この信号電荷の吐き出しは各画素間で分割する必要がないため、通常、対向電極膜は各画素間で共通にすることができる。そのため、共通電極膜(コモン電極膜)と呼ばれることもある。
光電変換膜は、画素電極膜と対向電極膜との間に位置する。光電変換機能は、この光電変換膜と画素電極膜及び対向電極膜により機能する。
光電変換膜積層の構成例としては、まず基板上に積層される有機層が一つの場合として、基板から画素電極膜(基本的に透明電極膜)、光電変換膜、対向電極膜(透明電極膜)を順に積層した構成が挙げられるが、これに限定されるものではない。
さらに、基板上に積層される有機層が2つの場合、例えば、基板から画素電極膜(基本的に透明電極膜)、光電変換膜、対向電極膜(透明電極膜)、層間絶縁膜、画素電極膜(基本的に透明電極膜)、光電変換膜、対向電極膜(透明電極膜)を順に積層した構成が挙げられる。
電磁波吸収/光電変換部位としての無機層について説明する。この場合、上層の有機層を通過した光を無機層で光電変換することになる。無機層としては結晶シリコン、アモルファスシリコン、GaAsなどの化合物半導体のpn接合またはpin接合が一般的に用いられる。積層型構造として米国特許第5965875号に開示されている方法を採用することができる。すなわちシリコンの吸収係数の波長依存性を利用して積層された受光部を形成し、その深さ方向で色分離を行う構成である。この場合、シリコンの光進入深さで色分離を行っているため積層された各受光部で検知するスペクトル範囲はブロードとなる。しかしながら、前述した有機層を上層に用いることにより、すなわち有機層を透過した光をシリコンの深さ方向で検出することにより色分離が改良される(例えば、特開2003−332551号公報参照)。特に有機層にG層を配置すると有機層を透過する光はB光とR光になるためにシリコンでの深さ方向での光の分別はBR光のみとなり色分離が改良される。有機層がB層またはR層の場合でもシリコンの電磁波吸収/光電変換部位を深さ方向で適宜選択することにより顕著に色分離が改良される。有機層が2層の場合にはシリコンでの電磁波吸収/光電変換部位としての機能は基本的には1色で良く、好ましい色分離が達成できる。
無機半導体として、InGaN系、InAlN系、InAlP系、又はInGaAlP系の無機半導体を用いることもできる。InGaN系の無機半導体は、Inの含有組成を適宜変更し、青色の波長範囲内に極大吸収値を有するよう調整されたものである。すなわち、InxGa1-xN(0<X<1)の組成となる。このような化合物半導体は、有機金属気相成長法(MOCVD法)を用いて製造される。In、Gaと同じ13族原料のAlを用いる窒化物半導体のInAlN系についても、InGaN系と同様に短波長受光部として利用することができる。また、GaAs基板に格子整合するInAlP、InGaAlPを用いることもできる
有機層と無機層とは、どのような形態で結合されていてもよい。また、有機層と無機層との間には、電気的に絶縁するために、絶縁層を設けることが好ましい。
接合は、光入射側から、npn、又はpnpnとなっていることが好ましい。特に、表面にp層を設け表面の電位を高くしておくことで、表面付近で発生した正孔、及び暗電流をトラップすることができ暗電流を低減できるため、pnpn接合とすることがより好ましい。
このようなフォトダイオードは、p型シリコン基板表面から順次拡散される、n型層、p型層、n型層、p型層をこの順に深く形成することで、pn接合ダイオードがシリコンの深さ方向にpnpnの4層が形成される。ダイオードに表面側から入射した光は波長の長いものほど深く侵入し、入射波長と減衰係数はシリコン固有の値を示すので、pn接合面の深さが可視光の各波長帯域をカバーするように設計する。同様に、n型層、p型層、n型層の順に形成することで、npnの3層の接合ダイオードが得られる。ここで、n型層から光信号を取り出し、p型層はアースに接続する。
また、各領域に引き出し電極を設け、所定のリセット電位をかけると、各領域が空乏化し、各接合部の容量は限りなく小さい値になる。これにより、接合面に生じる容量を極めて小さくすることができる。
本発明においては、好ましくは電磁波吸収/光電変換部位の最上層に紫外線吸収層および/または赤外線吸収層を有する。紫外線吸収層は少なくとも400nm以下の光を吸収または反射することができ、好ましくは400nm以下の波長域での吸収率は50%以上である。赤外線吸収層は少なくとも700nm以上の光を吸収または反射することができ、好ましくは700nm以上の波長域での吸収率は50%以上である。
特公平7−113685記載の感光性を有する基を分子内に持つ、200℃以下にて硬化膜を得ることのできる芳香族系のポリアミド樹脂中に着色材料を分散すること、特公平7−69486記載の含量を分散着色樹脂を用いることも可能である。
各電磁波吸収/光電変換部位は絶縁層により分離されていることが好ましい。絶縁層は、ガラス、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリプロピレン等の透明性絶縁材料を用いて形成することができる。窒化珪素、酸化珪素等も好ましく用いられる。プラズマCVDで製膜した窒化珪素は緻密性が高く透明性も良いために本発明においては好ましく用いられる。
酸素や水分等との接触を防止する目的で保護層あるいは封止層を設けることもできる。保護層としては、ダイヤモンド薄膜、金属酸化物、金属窒化物等の無機材料膜、フッ素樹脂、ポリパラキシレン、ポリエチレン、シリコン樹脂、ポリスチレン樹脂等の高分子膜、さらには、光硬化性樹脂等が挙げられる。また、ガラス、気体不透過性プラスチック、金属などで素子部分をカバーし、適当な封止樹脂により素子自体をパッケージングすることもできる。この場合吸水性の高い物質をパッケージング内に存在させることも可能である。
更に、マイクロレンズアレイを受光素子の上部に形成することにより、集光効率を向上させることができるため、このような態様も好ましい。
電荷転送/読み出し部位については特開昭58−103166、特開昭58−103165、特開2003−332551等を参考にすることができる。半導体基板上にMOSトランジスタが各画素単位に形成された構成や、あるいは、素子としてCCDを有する構成を適宜採用することができる。例えばMOSトランジスタを用いた光電変換素子の場合、電極を透過した入射光によって光導電膜の中に電荷が発生し、電極に電圧を印加することにより電極と電極との間に生じる電界によって電荷が光導電膜の中を電極まで走行し、さらにMOSトランジスタの電荷蓄積部まで移動し、電荷蓄積部に電荷が蓄積される。電荷蓄積部に蓄積された電荷は、MOSトランジスタのスイッチングにより電荷読出し部に移動し、さらに電気信号として出力される。これにより、フルカラーの画像信号が、信号処理部を含む固体撮像装置に入力される。
信号の読み出しについてさらに詳細に説明する。信号の読み出しは、通常のカラー読み出し回路を用いることができる。受光部で光/電気変換された信号電荷もしくは信号電流は、受光部そのものもしくは付設されたキャパシタで蓄えられる。蓄えられた電荷は、X−Yアドレス方式を用いたMOS型撮像素子(いわゆるCMOSセンサ)の手法により、画素位置の選択とともに読み出される。他には、アドレス選択方式として、1画素づつ順次マルチプレクサスイッチとデジタルシフトレジスタで選択し、共通の出力線に信号電圧(または電荷)として読み出す方式が挙げられる。2次元にアレイ化されたX−Yアドレス操作の撮像素子がCMOSセンサとして知られる。これは、X−Yの交点に接続された画素に儲けられたスイッチは垂直シフトレジスタに接続され、垂直操走査シフトレジスタからの電圧でスイッチがオンすると同じ行に儲けられた画素から読み出された信号は、列方向の出力線に読み出される。この信号は水平走査シフトレジスタにより駆動されるスイッチを通して順番に出力端から読み出される。
出力信号の読み出しには、フローティングディフュージョン検出器や、フローティングゲート検出器を用いることができる。また画素部分に信号増幅回路を設けることや、相関二重サンプリング(Correlated Double Sampling)の手法などにより、S/Nの向上をはかることができる。
信号処理には、ADC回路によるガンマ補正、AD変換機によるデジタル化、輝度信号処理や、色信号信号処理を施すことができる。色信号処理としては、ホワイトバランス処理や、色分離処理、カラーマトリックス処理などが挙げられる。NTSC信号に用いる際は、RGB信号をYIQ信号の変換処理を施すことができる。
電荷転送/読み出し部位は電荷の移動度が100cm2/volt・sec以上であることが必要であり、この移動度は、材料をIV族、III−V族、II−VI族の半導体から選択することによって得ることができる。その中でも微細化技術が進んでいることと、低コストであることからシリコン半導体(Si半導体共記す)が好ましい。電荷転送/電荷読み出しの方式は数多く提案されているが、何れの方式でも良い。特に好ましい方式はCMOS型あるいはCCD型のデバイスである。更に本発明の場合、CMOS型の方が高速読み出し、画素加算、部分読み出し、消費電力などの点で好ましいことが多い。
電磁波吸収/光電変換部位と電荷転送/読み出し部位を連結する複数のコンタクト部位はいずれの金属で連結してもよいが、銅、アルミ、銀、金、クロム、タングステンの中から選択するのが好ましく、特に銅が好ましい。複数の電磁波吸収/光電変換部位に応じて、それぞれのコンタクト部位を電荷転送/読み出し部位との間に設置する必要がある。青・緑・赤光の複数感光ユニットの積層構造を採る場合、青光用取り出し電極と電荷転送/読み出し部位の間、緑光用取り出し電極と電荷転送/読み出し部位の間および赤光用取り出し電極と電荷転送/読み出し部位の間をそれぞれ連結する必要がある。
本発明の積層光電変換素子は、公知の集積回路などの製造に用いるいわゆるミクロファブリケーションプロセスにしたがって製造することができる。基本的には、この方法は活性光や電子線などによるパターン露光(水銀のi、g輝線、エキシマレーザー、さらにはX線、電子線)、現像及び/又はバーニングによるパターン形成、素子形成材料の配置(塗設、蒸着、スパッタ、CVなど)、非パターン部の材料の除去(熱処理、溶解処理など)の反復操作による。
デバイスのチップサイズは、ブローニーサイズ、135サイズ、APSサイズ、1/1.8インチ、さらに小型のサイズでも選択することができる。本発明の積層光電変換素子の画素サイズは複数の電磁波吸収/光電変換部位の最大面積に相当する円相当直径で表す。いずれの画素サイズであっても良いが、2−20ミクロンの画素サイズが好ましい。さらに好ましくは2−10ミクロンであるが、3−8ミクロンが特に好ましい。
画素サイズが20ミクロンを超えると解像力が低下し、画素サイズが2ミクロンよりも小さくてもサイズ間の電波干渉のためか解像力が低下する。
更に、本発明の光電変換素子においては、光学ローパスフィルターを不要とすることが出来、更なる高感度、高解像力が期待できる点で好ましい。
本発明のTVカメラは、映像情報メディア学会編、テレビジョンカメラの設計技術(1999年8月20日、コロナ社発行、ISBN 4-339-00714-5)第2章の記述を参考にし、例えば図2.1テレビカメラの基本的な構成の色分解光学系及び撮像デバイスの部分を、本発明の光電変換素子と置き換えることにより作製することができる。
上述の積層された受光素子は、配列することで撮像素子として利用することができるだけでなく、単体としてバイオセンサや化学センサなどの光センサやカラー受光素子としても利用可能である。
本発明の好ましい光電変換素子について図1により説明する。1はシリコン単結晶基盤でありB光とR光の電磁波吸収/光電変換部位と光電変換により生成した電荷の電荷蓄積/転送/読み出し部位を兼ねている。通常、p型のシリコン基盤が用いられる。2、3、4はシリコン基盤中に設けられたp層、n層、p層を各々示す。5、9は透明絶縁膜、6が透明画素電極、7は光電変換膜、7−1は正孔ブロッキング層、7−2はG光電変換層、8は対向電極(透明)、10はG画素の信号検出部、11はB画素の信号検出部、12はR画素の信号検出部、13は第1のフォトダイオード、14は第2のフォトダイオード、15および15’はバイアス電圧用電源を示す。
表1では、G単層素子の結果のほか、多層素子ではG層(最上層)材料に2,9−ジメチルキナクリドンを用い、RとB層材料にシリコンを用い、バイアス電圧をそれぞれ2Vと7Vに設定した例(表1の構成)と、比較例として両層の電圧を7Vと同一に設定したときの結果を示している。
S/N比、外部量子効率を高め、残像を抑制する効果のほか、副次的な効果として、バイアス電圧の最適値は素子を構成して設定するが、本発明のように有機材料の酸化還元電位の差の因子を用いることで、設定時間が短縮できる。さらに、電荷移動速度を高め、暗電流を下げ、繰り返し使用の耐久性を高めることが可能となる。
2:第1の半導体領域(p型)
3:第2の半導体領域(n型)
4:第3の半導体領域(p型)
5、9:透明絶縁膜
6:画素電極(透明)
7:光電変換膜
7−1:正孔ブロッキング層
7−2:G光電変換層
8:対向電極(透明)
10:G画素の信号検出部
11:B画素の信号検出部
12:R画素の信号検出部
13:第1のフォトダイオード
14:第2のフォトダイオード
15、15’:バイアス電圧用電源
Claims (7)
- 少なくとも2層の異なる波長領域の光を吸収し、光電変換する光電変換層を含み、かつ、該層ごとに異なる光電変換材料を含む光電変換素子において、異なる光電変換材料層ごとに実質的に異なるバイアス電圧を印加することを特徴とする光電変換素子。
- 該光電変換層の少なくとも1層が有機化合物を主成分とする光電変換層であることを特徴とする請求項1記載の光電変換素子。
- 異なる光電変換層が青光、緑光及び赤光用の3層であることを特徴とする請求項1または2記載の光電変換素子。
- 前記光電変換層に用いる光電変換材料の酸化電位と還元電位の差に従って相対的にバイアス電圧を設定することを特徴とする請求項1、2または3に記載の光電変換素子。
- 前記の印加するバイアス電圧の絶対値は0.2V以上20V以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光電変換素子。
- 少なくとも2層の異なる波長領域の光を吸収し、光電変換する光電変換層を含み、かつ、該層ごとに異なる光電変換材料を含む光電変換素子において、異なる光電変換材料層ごとに実質的に異なるバイアス電圧を印加することを特徴とする電圧印加方法。
- 該光電変換層の少なくとも1層が有機化合物を主成分とする光電変換層であることを特徴とする請求項6記載の電圧印加方法。
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