JP2006237232A - 複合配線基板構造体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】生産効率の向上及び製造コストの低減が達成しやすくなるとともに、不良品となる確率が低くて歩留まりが高い複合配線基板構造体及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の複合配線基板構造体11は、フレキシブル基板51及びリジッド基板31を備える。フレキシブル基板51の第1主面52側に設定された素子搭載部56には、半導体回路素子21が接続される。フレキシブル基板51は、第2主面53側にカバーレイ61を有する。フレキシブル基板51の第2主面53側には、カバーレイ61を接着層としてリジッド基板31が接合される。フレキシブル基板51の導体部57と導通する第1表面導体55、及び、リジッド基板31の導体部35と導通する第2表面導体36は、カバーレイ61内の導体部62を介して互いに電気的に接続される。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明の複合配線基板構造体11は、フレキシブル基板51及びリジッド基板31を備える。フレキシブル基板51の第1主面52側に設定された素子搭載部56には、半導体回路素子21が接続される。フレキシブル基板51は、第2主面53側にカバーレイ61を有する。フレキシブル基板51の第2主面53側には、カバーレイ61を接着層としてリジッド基板31が接合される。フレキシブル基板51の導体部57と導通する第1表面導体55、及び、リジッド基板31の導体部35と導通する第2表面導体36は、カバーレイ61内の導体部62を介して互いに電気的に接続される。
【選択図】 図1
Description
本発明は、複数の基板からなる複合配線基板構造体及びその製造方法に係り、特には基板間の接合構造に特徴を有するものである。
近年、パーソナルコンピュータ、デジタル家電などの電気製品分野や、自動車分野などにおいては、製品の小型化、高機能化、高付加価値化が益々進んでいる。それに伴い、この種の製品における重要な電気的部品であるマザーボードの小型化や高密度化が望まれており、マザーボード上に実装される各種部品の小型化も同様に望まれている。このような部品としては、ICチップ等の電子部品を実装するための基板を挙げることができる(例えば、特許文献1参照)。ここで、特許文献1は、機械的強度が高いリジッド基板にフレキシブル基板を貼り付けた、いわゆるリジッド・フレキ基板となっている。このリジッド・フレキ基板のフレキシブル基板側にはICチップが実装される。
特開2004−187202号公報(図4など)
ところで、上記特許文献1記載のリジッド・フレキ基板では、リジッド基板にフレキシブル基板を貼り付けるための手段として、シート状エポキシ接着剤を用いている。しかし、このようなエポキシ接着剤自体は絶縁体であるので、これをリジッド基板とフレキシブル基板との間に介在させて単純に両基板を貼り付けただけでは、両基板間の導通を図ることができない。よって、この構造を採用する場合には、両基板の接合後に何らかの基板間導通構造を形成することが必須となる。
そこで、上記特許文献1には下記のような手順でリジッド・フレキ基板を製造することが記載されている。まず、リジッド基板及びフレキシブル基板をそれぞれ作製する。ただし、この時点における両基板は、全ての導体が形成された完成品というわけではなく、一部の導体のみが形成された中間品である。次に、シート状エポキシ接着剤を用いて、リジッド基板の中間品とフレキシブル基板の中間品とを貼り付けて、積層体とする。この後、その積層体に対して貫通孔を形成し、形成された貫通孔内に銅めっきや導電性金属ペーストの充填等を施す。すると、基板間導通構造であるスルーホール導体が形成され、所望のリジッド・フレキ基板が完成する。
しかしながら、上記特許文献1記載の構造及び製造方法を採用した場合、両基板を接合する前段階では両基板が未完成であることに加え、接合後に基板間導通構造を形成する必要があるため、通常はリジッド・フレキ基板の完成後でないと有効な電気検査を行うことができない。それゆえ、完成したリジッド・フレキ基板が不良品となる確率が高くなり、歩留まりの低下につながってしまう。
特に、上記特許文献1記載の構造及び製造方法では、フレキシブル基板を接合するために、別部材である前記シート状エポキシ接着剤を用いる必要がある。その結果、リジッド・フレキ基板を構成する部品点数が多くなるため、生産効率の向上及び製造コストの低減を達成しにくくなる。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、生産効率の向上及び製造コストの低減が達成しやすくなるとともに、不良品となる確率が低くて歩留まりが高い複合配線基板構造体及びその製造方法を提供することにある。
そして、上記課題を解決するための手段(手段1)としては、第1主面及び第2主面を有し、少なくとも前記第2主面側に有機材料を主体とするカバーレイを有し、前記第1主面側に半導体回路素子が接続可能な素子搭載部が設定されたフレキシブル基板と、前記カバーレイを接着層として前記フレキシブル基板の前記第2主面側に接合されたリジッド基板とを備え、前記フレキシブル基板の導体部と導通する第1表面導体と、前記リジッド基板の導体部と導通する第2表面導体とが、前記カバーレイ内の導体部を介して互いに電気的に接続されていることを特徴とする複合配線基板構造体がある。
従って、上記手段1の構造体においては、カバーレイが、フレキシブル基板にリジッド基板を接合させる接着層を兼ねているため、カバーレイとは別体に接着層を形成しなくても済む。その結果、複合配線基板構造体を構成する部品点数が少なくなるため、生産効率の向上及び製造コストの低減が達成しやすくなる。また、複合配線基板構造体の構造を簡単にすることができる。
また、カバーレイを介してフレキシブル基板とリジッド基板とが接合されるばかりでなく、基板間導通構造となりうる導体部を介してフレキシブル基板の第1表面導体とリジッド基板の第2表面導体とが電気的に接続される。このため、構造体全体を貫通するスルーホール導体を基板間導通構造として基板接合後に形成しなくてもよくなる。また、両基板をあらかじめ完成させた状態で互いに接合することが可能となる。よって、基板接合前の段階で不良品を除去しやすくなり、不良品発生率が低くて歩留まりの高い複合配線基板構造体を得ることができる。
さらに、複合配線基板構造体は、比較的薄く形成されるフレキシブル基板によって構成されている。しかも、上記のように、カバーレイが接着層を兼ねるため、カバーレイとリジッド基板との間に接着層を形成しなくても済む。このため、複合配線基板構造体を厚み方向(Z方向)に小型化することができる。さらに、フレキシブル基板は、リジッド基板よりも大きく形成しやすいため、リジッド基板から張り出させてその張り出し部分にさらに別の構造物を実装することもできる。加えて、フレキシブル基板の所定部分を屈曲させた状態で使用することもできるため、フレキシブル基板を屈曲させることで複合配線基板構造体の小型化を図ることができる。ゆえに、複合配線基板構造体が収容される空間が狭い場合であっても、フレキシブル基板を屈曲させることで上手く収容できる可能性が高くなる。
手段1にかかる複合配線基板構造体に実装されるべき半導体回路素子とは、半導体集積回路素子の他、半導体製造プロセスで製造されたMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)素子等が挙げられる。半導体集積回路素子の例としては、熱膨張係数が2.6ppm/℃程度のシリコンからなる半導体集積回路チップ(ICチップ)などを挙げることができる。また、MEMS素子とは、半導体IC製造プロセスを基盤としたマイクロマシニング技術により製造される微細回路素子をいい、通常シリコンを主体とするものである。さらに、MEMSとは、IC製造プロセスを基盤としたマイクロマシニング技術により製造されるマイクロサイズのセンサ、アクチュエータ及び制御回路を集積化した微細システムの総称である。なお、前記半導体回路素子の大きさ及び形状は特に限定されない。
前記フレキシブル基板は、前記リジッド基板と同じ機能を有していてもよいし、前記リジッド基板とは異なる機能を有していてもよい。フレキシブル基板の主たる機能は、半導体回路素子を支持する機能である。なお、フレキシブル基板の他の機能としては、半導体回路素子とリジッド基板とを接続する機能などが挙げられる。
なお、フレキシブル基板においては、第1主面側に、半導体回路素子が接続可能な素子搭載部が設定されている。前記素子搭載部は、前記リジッド基板の反対側となる領域に設定されていることが好ましい。このようにすれば、半導体回路素子が低剛性のフレキシブル基板によって支持されるだけでなく高剛性のリジッド基板によっても支持されるため、半導体回路素子が素子搭載部に対して安定的に接続される。よって、半導体回路素子の接続信頼性を維持しやすくなる。また、リジッド基板と半導体回路素子(即ち素子搭載部)とを繋ぐ配線長が短縮されるため、リジッド基板−半導体回路素子間での信号の高速化を図ることができる。さらに、リジッド基板がキャパシタを有する場合、キャパシタ−半導体回路素子間の低インダクタンス化による電源の安定化を図ることができる。なお、このような素子搭載部は、フレキシブル基板上に1つのみ設定されていてもよいが、複数設定されていてもよい。
また、フレキシブル基板における絶縁基材の形成材料は、コスト性、加工性、絶縁性、機械的強度などを考慮して適宜選択することができるが、柔軟性、コスト性に優れた樹脂などの有機材料を選択することが好ましい。このような基板であれば、微細な配線層を比較的簡単にかつ正確に形成することができ、端子数の非常に多い半導体回路素子を接続可能な素子搭載部を容易に形成することができる。即ち、このような基板は半導体回路素子実装用の基板として適している。フレキシブル基板における絶縁基材を形成する樹脂材料の好適例としては、PI樹脂(ポリイミド樹脂)、EP樹脂(エポキシ樹脂)、BT樹脂(ビスマレイミド−トリアジン樹脂)、PPE樹脂(ポリフェニレンエーテル樹脂)などがある。そのほか、これらの樹脂とガラス繊維(ガラス織布やガラス不織布)やポリアミド繊維等の有機繊維との複合材料を使用してもよい。あるいは、連続多孔質PTFE等の三次元網目状フッ素系樹脂基材にエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸させた樹脂−樹脂複合材料等を使用してもよい。
さらに、前記フレキシブル基板は、前記素子搭載部を中心としてその周囲にファンアウトする複数の導体パターンと、前記複数の導体パターンに電気的に接続する複数のビア導体とを、導体部として有する多層フレキシブル配線基板であることが好ましい。このようにすれば、複数の導体パターンが素子搭載部を中心としてその周囲にファンアウトするため、半導体回路素子とリジッド基板とを、フレキシブル基板を介して確実に電気的に接続させることができる。また、フレキシブル基板が多層フレキシブル配線基板であるため、今後予想される半導体回路素子のファイン化に十分に対応することができる。また、フレキシブル配線基板で多層ではない(1層しかない)場合に比べて、さらに多くの回路を内部に構成すること等が可能となり、付加価値を高めることができる。
前記リジッド基板は、前記フレキシブル基板と同じ機能を有していてもよいし、前記フレキシブル基板とは異なる機能を有していてもよい。また、前記リジッド基板は、前記フレキシブル基板や半導体回路素子の機能を電気的に補助する「機能」を有していてもよい。リジッド基板が、半導体回路素子の機能を電気的に補助する機能を有している具体例としては、前記リジッド基板が、前記半導体回路素子の動作性向上に関与する受動部品としての「機能」を有していることなどが挙げられ、例えば半導体回路素子に供給すべき電源を安定化させるための受動部品としての「機能」を有していることなどが挙げられる。その具体例を挙げると、リジッド基板自体がかかる受動部品の機能(例えばキャパシタ機能)を有したものとして成立していることなどが挙げられる。
また、前記リジッド基板には、前記半導体回路素子の動作性向上に関与する受動部品を接続可能な受動部品搭載部が設定されていることが好ましく、例えば半導体回路素子に供給すべき電源を安定化させるための受動部品を有することが好ましい。この種の受動部品の具体例としては、ダイオード、抵抗、インダクタ、キャパシタ、コイルなどを挙げることができる。ここに列挙した受動部品を接続可能な受動部品搭載部は、リジッド基板の表面に設定されていてもよく、内部に設定されていてもよい。
リジッド基板の形成材料については特に限定されず、コスト性、加工性、絶縁性、機械的強度などを考慮して適宜選択することができる。前記リジッド基板としては、例えば、セラミック基板、樹脂基板、金属基板、Si基板などが挙げられる。特に、前記リジッド基板は、無機材料を主体とするセラミック基板であることが好ましい。セラミックは剛性に優れるため、複合配線基板構造体の機械的強度を高くすることができるからである。また、セラミックは放熱性に優れるため、複合配線基板構造体に発熱部品を実装した場合であっても、その熱を効率よく放散することができるからである。しかも、セラミック材料は一般的に金属や樹脂に比べて熱膨張係数が低いため、リジッド基板の材料として好適だからである。前記セラミック基板の具体例としては、例えば、アルミナ基板、窒化アルミニウム基板、ベリリア基板、ガラスセラミック基板、結晶化ガラス等の低温焼成材料からなる基板などがあるが、これらに限ることはない。また、リジッド基板は、配線層などが設けられたセラミック配線基板であることが好ましい。このようにすれば、配線層を有しない単なる基板である場合に比べて、内部に回路を構成すること等が可能となり、付加価値を高めることができるからである。
また、前記カバーレイは、配線パターンの一部を除いた表面を被覆する絶縁被覆層(カバーレイ本体)を含む。なお、カバーレイは、フレキシブル基板にリジッド基板を接合させる接着層を兼ねているため、絶縁性接着樹脂材料などの有機材料を主体として形成されることが好ましい。なお、フレキシブル基板にリジッド基板を熱圧着させることにより、フレキシブル基板とリジッド基板とを接合させる場合、前記カバーレイは、熱可塑性樹脂を主体とすることが好ましい。カバーレイを形成する熱可塑性樹脂としては、例えば液晶ポリマー、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトンなどが好適である。このような耐熱性の材料を使用すれば、高温での接続信頼性などに優れた複合配線基板構造体を実現しやすくなるからである。
なお、導体部はカバーレイの表裏を導通させるものであることがよい。その理由は、カバーレイ内に導体部があると、それを介してフレキシブル基板の導体部及びリジッド基板の導体部をより確実に接続しやすくなるからである。具体的には、前記カバーレイは、同カバーレイを厚さ方向に貫通する開口部内に設けられた導体柱を導体部として有することが好ましい。
なお、前記フレキシブル基板の導体部、前記リジッド基板の導体部及び前記カバーレイの導体部は、例えば導電性金属により形成される。前記導電性金属としては特に限定されないが、例えば銅、金、銀、白金、パラジウム、ニッケル、スズ、鉛、チタン、タングステン、モリブデン、タンタル、ニオブなどから選択される1種または2種以上の金属を挙げることができる。2種以上の金属からなる導電性金属としては、例えば、スズ及び鉛の合金であるはんだ等を挙げることができる。2種以上の金属からなる導電性金属として、鉛フリーのはんだ(例えば、Sn−Ag系はんだ、Sn−Ag−Cu系はんだ、Sn−Ag−Bi系はんだ、Sn−Ag−Bi−Cu系はんだ、Sn−Zn系はんだ、Sn−Zn−Bi系はんだ等)を用いても勿論よい。
手段1に記載の複合配線基板構造体を比較的簡単にかつ確実に製造するための好ましい方法(手段2)としては、接着層を兼ねる前記カバーレイを前記第2主面側に有する前記フレキシブル基板と、前記リジッド基板とを個別に作製する個別作製工程と、前記フレキシブル基板の前記第2主面側に位置する前記第1表面導体と、前記リジッド基板の前記第2表面導体とを対向させて配置して、前記フレキシブル基板に対し前記カバーレイを介して前記リジッド基板を接合するととともに、その際に前記フレキシブル基板の導体部及び前記リジッド基板の導体部を互いに電気的に接続する接合工程とを含むことを特徴とする複合配線基板構造体の製造方法がある。
従って、この複合配線基板構造体の製造方法によれば、フレキシブル基板上にリジッド基板を接合させる前に、フレキシブル基板及びリジッド基板の電気検査を個別に行うことができる。このため、接合前に不良品を発見してそれを事前に除去することができるため、電気検査に合格したフレキシブル基板及びリジッド基板のみを接合して複合配線基板構造体を構成することができる。従って、複合配線基板構造体が不良品となる確率が低くなり、歩留まりの向上につながる。
以下、手段2に記載の複合配線基板構造体の製造方法について説明する。
まず、個別作製工程を実施して、カバーレイを有するフレキシブル基板と、リジッド基板とを個別に作製する。
個別作製工程におけるリジッド基板の作製は、従来周知の手法に従って行われる。例えば、リジッド基板用基材であるセラミックグリーンシートを用意し、そのセラミックグリーンシートの所定位置に、両面を貫通するビア孔を形成する。さらに、各ビア孔内に、金属を含む導電性ペーストを充填して導体部を形成するとともに、必要に応じてシート表面にも導電性ペーストを印刷する。そして、所定温度で焼成することにより、セラミック及び金属を焼結させて所定のリジッド基板とする。なお、セラミック多層基板の場合には、例えば導電性ペーストの充填・印刷を行ったセラミックグリーンシートを複数枚積層して圧着した後、焼成を行うようにする。
個別作製工程におけるカバーレイを有するフレキシブル基板の作製も、基本的には従来周知の手法に従って行われる。具体的にいうと、例えば、片面または両面に銅箔を有する銅張積層板を基材とし、その両面を貫通するビア孔を形成する。さらに、各ビア孔内に導電性金属ペーストの充填または銅めっき等の手法により導体部を形成した後、表面の銅箔をエッチングして第1表面導体や第2表面導体などをパターニングする。
次に、フレキシブル基板の第2主面側に前記カバーレイを形成するカバーレイ形成工程を実施する。例えば、カバーレイとなるカバーレイ用基材における所定位置に、カバーレイ用基材を貫通する開口部を形成する(開口部形成工程)。次に、フレキシブル基板の第2主面側にカバーレイ用基材を配置し、この状態で例えば加熱を行いながら積層方向に押圧力を加える。その結果、フレキシブル基板にカバーレイ用基材が貼付される(カバーレイ用基材貼付工程)。さらに、各開口部内に、導電性金属からなるペーストを充填して導体部を形成する(導体部形成工程)。そして、ペーストを加熱して溶剤等を蒸発させ、固形化させることにより、第2主面側にカバーレイを有するフレキシブル基板が完成する。なお、カバーレイ形成工程は、フレキシブル基板の第2主面側だけでなく、フレキシブル基板の第1主面側及び第2主面側の両方にカバーレイを形成する場合に実施されてもよい。また、導体部形成工程は、カバーレイ用基材貼付工程の前に実施されてもよい。
なお、前記接合工程の実施前に、前記フレキシブル基板及び前記リジッド基板に対する電気検査を個別に行う個別検査工程をさらに含むことが好ましい。このようにすれば、接合前に不良品を発見してそれを事前に除去することができる。
次に、接合工程を実施する。接合工程では、フレキシブル基板の第2主面側に位置する第1表面導体とリジッド基板の第2表面導体とを対向させて配置し、この状態で例えば加熱を行いながら積層方向に押圧力を加える。具体的には、前記フレキシブル基板に対し、熱可塑性樹脂を主体とするカバーレイを介して前記リジッド基板を熱圧着させる。その結果、フレキシブル基板に対しカバーレイを介してリジッド基板が接合されるとともに、その際に、フレキシブル基板の導体部及びリジッド基板の導体部が互いに電気的に接続される。なお、前記接合工程において、接合方向(積層方向)に押圧力を加えることにより、前記カバーレイ内の導体部と前記第1表面導体とを圧接させるとともに、前記カバーレイ内の導体部と前記第2表面導体とを圧接させることが好ましい。このようにすれば、フレキシブル基板の導体部及びリジッド基板の導体部間での確実な導通を図ることができる。また、このときの加熱温度は、フレキシブル基板及びリジッド基板の材料の種類、使用するカバーレイの種類、カバーレイの硬化度などに応じて適宜設定される。さらに、前記カバーレイ形成工程を実施せずに、前記接合工程においてフレキシブル基板及びリジッド基板を接合する際に、カバーレイを同時に接合するようにしてもよい。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図9に基づき詳細に説明する。図1は、フレキシブル配線基板(フレキシブル基板)51及びセラミック配線基板(リジッド基板)31などからなる本実施形態の複合配線基板構造体11を示す概略断面図である。図2は、フレキシブル配線基板51及びセラミック配線基板31からなる構造体の構成を示す分解断面図である。図3は、フレキシブル配線基板51及び基板本体95からなる構造体の構成を示す分解断面図である。図4〜図7は、フレキシブル配線基板51にカバーレイ61,71を形成するときの状態を示す概略断面図である。図8は、フレキシブル配線基板51及びセラミック配線基板31を互いに接合するときの様子を示す概略断面図である。図9は、フレキシブル配線基板51及び基板本体95を互いに接合するときの様子を示す概略断面図である。
図1に示されるように、本実施形態の複合配線基板構造体11は、マザーボード81上に実装可能になっており、フレキシブル配線基板51、セラミック配線基板31及びモジュール配線基板91(機能モジュール)からなるBGA(ボールグリッドアレイ)である。なお、複合配線基板構造体11の形態は、BGAのみに限定されず、例えばLGA(ランドグリッドアレイ)やPGA(ピングリッドアレイ)等であってもよい。なお、本実施形態におけるマザーボード81はエポキシ樹脂とガラス繊維とからなる、いわゆるガラスエポキシ基板であって、その平面方向における熱膨張係数は約16ppm/℃である。ここで「熱膨張係数」とは、一般的に室温〜ガラス転移温度(Tg)の間のTMA(熱機械分析装置)にて測定した値のことをいう。「TMA」とは、熱機械的分析をいい、例えばJPCA−BU01に規定されるものをいう。
図1,図2に示されるセラミック配線基板31は、上面32と、同上面32の反対側に位置する下面33とを有している。セラミック配線基板31は、複数のセラミック層30と複数の配線層(図示略)とを交互に積層した構造を有している。また、セラミック配線基板31には、上面32及び下面33を貫通する複数のビア孔34が格子状に形成されている。そして、かかるビア孔34内には、タングステンを主材料とするビア導体35(導体部)が設けられている。各ビア導体35の上端面には、タングステンからなる上側端子電極36(第2表面導体)が設けられている。これにより、上側端子電極36はビア導体35と導通するようになっている。一方、各ビア導体35の下端面には、マザーボード81の複数の端子82との電気的な接続を図るための複数の基板側はんだバンプ49が格子状に突設されている。基板側はんだバンプ49は、90Pb/10Snという組成の錫鉛はんだからなっている。なお、本実施形態において、セラミック配線基板31はアルミナ(無機材料)を焼結させたアルミナ焼結体により形成された基板である。セラミック配線基板31の平面方向における熱膨張係数は約7.6ppm/℃、ヤング率は約310GPaである。よって、本実施形態のセラミック配線基板31は、極めて高い剛性を有している。
また、本実施形態のセラミック配線基板31には、下面33にて開口する略矩形状の凹部130が形成されている。この凹部130内の奥側には、板状をなすキャパシタ131が配置されている。このキャパシタ131は、接着剤133により凹部130内に固定されている。キャパシタ131のビア導体134は、セラミック配線基板31における電源用のビア導体135と電気的に接続されている。このキャパシタ131は、ノイズを除去してICチップ21に供給すべき電源を安定化させる機能を有している。また、凹部130の開口部付近には、板状をなすメモリIC132が接着剤133により固定されている。メモリIC132の図示しない接続端子は、セラミック配線基板31におけるビア導体と電気的に接続されている。このようにすれば、メモリIC132と、複合配線基板構造体11の上面に搭載されたICチップ21とを繋ぐ配線長が短縮されるため、高速でデータの伝送を行うのに好適となる。
図1,図2に示されるように、前記フレキシブル配線基板51は、絶縁基材が厚さ20μm程度の耐熱性ポリイミド(有機材料)を主体として形成された樹脂製基板からなる多層フレキシブル配線基板である。本実施形態において、かかる樹脂製基板の平面方向における熱膨張係数は約17ppm/℃、ヤング率は約6.5GPaである。
また、フレキシブル配線基板51は、上面52(第1主面)及び下面53(第2主面)を有している。フレキシブル配線基板51には、上面52及び下面53を貫通する複数のビア導体57(導体部)が設けられている。各ビア導体57の上端面には上面側配線層54(第3表面導体)が電気的に接続され、各ビア導体57の下端面には下面側配線層55(第1表面導体)が電気的に接続されている。これにより、上面側配線層54及び下面側配線層55はビア導体57と導通するようになっている。
なお、フレキシブル配線基板51の上面52側はカバーレイ71によって覆われるとともに、下面53側はカバーレイ61(接着層)によって覆われている。カバーレイ61,71は、上面側配線層54や下面側配線層55を埃や水分から保護する機能を本来的には有しており、上面側配線層54や下面側配線層55の一部を露出させるための開口部66,76を有している。また、フレキシブル配線基板51は、カバーレイ61を介してセラミック配線基板31の上面32側に接合されている。これにより、セラミック配線基板31の上面32側がカバーレイ61によって保護されるようになる。このため、カバーレイ61は、セラミック配線基板31のカバーレイ61としても機能している。
カバーレイ61は、耐熱性の熱可塑性樹脂(有機材料:本実施形態では熱可塑性ポリイミド(三井化学株式会社製 AURUM))を主体として形成されている。本実施形態において、かかるカバーレイ61は、下面側配線層55や前記上側端子電極36よりも肉厚に形成されており、厚さ10〜30μm程度に設定されている。また、カバーレイ61の平面方向における熱膨張係数は約55ppm/℃、ヤング率は約3.1GPaである。カバーレイ61を構成するカバーレイ本体63は、同カバーレイ本体63を厚さ方向に貫通する複数の開口部66(図5参照)が格子状に形成されている。そして、かかる開口部66内には、表面に銀をコートした銅粉を含む導電ペーストの充填により形成された導体柱62(導体部)が設けられている。図1に示されるように、各導体柱62の上端面はフレキシブル配線基板51の下面側配線層55に電気的に接続され、各導体柱62の下端面はセラミック配線基板31の前記上側端子電極36に電気的に接続されている。換言すると、下面側配線層55及び上側端子電極36は、導体柱62を介して互いに電気的に接続されている。これにより、各ビア導体57は、セラミック配線基板31の前記ビア導体35に対して電気的に接続される。
また、フレキシブル配線基板51の上面52側における所定領域(具体的にはセラミック配線基板31の反対側となる領域)には、上面側配線層54の一部である複数のフリップチップ接続パッドが配置された素子搭載部56が設定されている。このような素子搭載部56には、MPUとしての機能を有するICチップ21(半導体回路素子)がフリップチップ実装されている。本実施形態のICチップ21は、縦12.0mm×横10.0mm×厚さ0.7mmの矩形平板状であって、熱膨張係数が2.6ppm/℃程度のシリコンからなる。かかるICチップ21の下面側表層には、図示しない回路素子が形成されている。また、ICチップ21の下面側には、複数のバンプ状の面接続端子22が格子状に設けられている。各面接続端子22は、フレキシブル配線基板51の前記上面側配線層54(即ちフリップチップ接続パッド)に電気的に接続されている。これにより、各面接続端子22は、前記カバーレイ71を介してセラミック配線基板31側の上側端子電極36に接続される。なお、フレキシブル配線基板51においては、素子搭載部56を中心としてその周囲にファンアウトする複数の微細な上面側配線層54(導体パターン)がパターン形成されている。また、前記素子搭載部56には、メモリなどの電子部品がさらに実装されていてもよい。
図1,図3に示されるように、フレキシブル配線基板51は、セラミック配線基板31の平面方向に張り出した部分(張出部58)を有している。この張出部58には、前記モジュール配線基板91が接合されている。本実施形態において、モジュール配線基板91は、電源電圧を制御する機能を有する電源モジュールとして成立している。この電源モジュールは、複数種類の電子部品92を含んで構成された回路からなっている。詳述すると、モジュール配線基板91は、上面93及び下面94を有する基板本体95を有している。本実施形態においてこの基板本体95は、エポキシ樹脂からなる樹脂製基板である。基板本体95には、モジュール配線基板91の厚さ方向に延びる複数のビア孔(貫通孔)が格子状に形成されており、それらビア孔内に銅めっきからなる導体柱96(導体部)が設けられている。上面93において各々の導体柱96の上端面がある位置には、上面側パッド97が配置されている。各上面側パッド97は、電子部品92側に設けられたバンプ状の面接続端子98に対して接続されている。なお、電子部品92は、チップトランジスタやチップ抵抗などの部品である。一方、下面94において各々の導体柱96の下端面がある位置には、下面側パッド99(第4表面導体)が配置されている。
また、モジュール配線基板91は、前記カバーレイ71を介して前記フレキシブル配線基板51の上面52側に接合されている。なお、モジュール配線基板91は、前記カバーレイ61を介してフレキシブル配線基板51の下面53側に接合されていてもよい。カバーレイ71は、前記カバーレイ61と同じ材料にて形成されている。カバーレイ71を構成するカバーレイ本体73は、同カバーレイ本体73を厚さ方向に貫通する複数の開口部76(図5等参照)が格子状に形成されている。そして、かかる開口部76内には、前記導体柱62と同じ材料からなる導体柱72が設けられている。なお、一部の開口部76には、導体柱72が設けられる代わりに、前記ICチップ21の前記面接続端子22が配置される(図1参照)。図1に示されるように、各導体柱72の上端面は基板本体95の下面側パッド99に電気的に接続され、各導体柱72の下端面はフレキシブル配線基板51の前記上面側配線層54に電気的に接続されている。
その結果、上面側パッド97〜導体柱96〜下面側パッド99〜導体柱72という経路(またはこれと逆の経路)を経て電流が流れるようになっている。従って、このような構造の複合配線基板構造体11では、基板本体95の導体柱96を介して、フレキシブル配線基板51側と電子部品92側とが電気的に接続される。ゆえに、モジュール配線基板91を介して、フレキシブル配線基板51−電子部品92間で信号の入出力が行われるようになっている。
従って、このような構造の複合配線基板構造体11では、フレキシブル配線基板51のビア導体57は、下面側配線層55、カバーレイ61の導体柱62及び上側端子電極36を介して、セラミック配線基板31のビア導体35に電気的に接続されている。そして、素子搭載部56にICチップ21を実装した場合には、ICチップ21の面接続端子22が、上面側配線層54(フリップチップ接続パッド)を介して、フレキシブル配線基板51のビア導体57に電気的に接続される。ゆえに、セラミック配線基板31−ICチップ21間で信号の入出力が行われるとともに、ICチップ21をMPUとして動作させるための電源が供給されるようになっている。
次に、上記の複合配線基板構造体11を製造する手順について説明する。
まず、個別作製工程を実施して、カバーレイ61,71を有するフレキシブル配線基板51と、セラミック配線基板31とを個別に作製する。個別作製工程におけるセラミック配線基板31の作製は、従来周知の手法によって行われる。例えば、周知のセラミックグリーンシート形成技術によって、アルミナグリーンシートを複数枚作製する。そして、各グリーンシートの所定位置に、表裏両面を貫通するビア孔をパンチング等により形成する。また、各グリーンシートの所定位置に、後に凹部130となる貫通孔をパンチングなどにより形成する。即ち、貫通孔の形成は、焼結後のセラミック層30に対して行われるのではなく、焼結前の柔らかいグリーンシートに対して行われるため、凹部130の形成が容易になる。さらに、各グリーンシートのビア孔内にタングステンペーストを充填して、後にビア導体35となるペースト充填層を形成しておく。そして、これらのグリーンシートを積層、圧着した後、還元雰囲気中にて所定温度で焼成(同時焼成)を行って、アルミナとタングステンペーストとを焼結させる。その結果、ビア導体35及び凹部130を有する複数のセラミック層30の積層体が作製される。次に、凹部130内の奥側にキャパシタ131を実装した後、凹部130の開口部付近にメモリIC132を実装する。さらに、凹部130とキャパシタ131との隙間に接着剤133を充填してキャパシタ131を固定し、凹部130とメモリIC132との隙間に接着剤133を充填してメモリIC132を固定する。なお、メモリIC132を、複合配線基板構造体11の完成後に取り付けてもよい。その結果、図2に示すセラミック配線基板31が完成する。
また、個別作製工程におけるカバーレイ61,71を有するフレキシブル配線基板51の作製も、基本的には従来周知の手法によって行われる。即ち、銅張積層板に対してメカニカルドリル、YAGレーザーまたは炭酸ガスレーザーを用いて孔あけ加工を行い、銅張積層板を貫通するビア孔(図示略)を所定位置にあらかじめ形成しておく。そして、従来公知の手法に従って無電解銅めっき及び電解銅めっきを行うことでビア孔内にビア導体57を形成する。さらに、銅張積層板の両面のエッチングを行って上面側配線層54及び下面側配線層55を形成する。その結果、フレキシブル配線基板51を得る。
次に、フレキシブル配線基板51の下面53側に、下記の要領でカバーレイ61を形成する(カバーレイ形成工程)。さらに、カバーレイ61を形成する場合と同じ工程を実施することで、フレキシブル配線基板51の上面52側にカバーレイ71を形成する。具体的には、図4,図5に示されるように、カバーレイ61となる接着性有機材料シート60(カバーレイ用基材)に対してメカニカルドリル、YAGレーザー、CO2レーザー、パンチング装置等を用いて孔あけ加工を行い、接着性有機材料シート60を貫通する開口部66を所定位置にあらかじめ形成しておく(開口部形成工程)。また、カバーレイ71となる接着性有機材料シート60に対しても同様に孔あけ加工を行い、接着性有機材料シート60を貫通する開口部76を所定位置にあらかじめ形成しておく。なお、本実施形態のパンチング装置のパンチピンは、120μmの直径を有している。また、開口部66(または開口部76)は、上側開口部の直径が約117μmとなり、下側開口部の直径が約113μmとなる。
次に、接着性有機材料シート60をフレキシブル配線基板51の上面52側及び下面53側に配置し、下記の要領でカバーレイ用基材貼付工程を実施する。本実施形態において具体的には、150〜160℃の温度で約30分間、加熱を行いながら積層方向に押圧力を加える(熱プレス)。これに伴い、フレキシブル配線基板51の上面52側及び下面53側に接着性有機材料シート60が押圧されるとともに、熱により接着性有機材料シート60の可塑性が大きくなる。その結果、フレキシブル配線基板51の上面52側にカバーレイ71となる接着性有機材料シート60が貼付され、下面53側にカバーレイ61となる接着性有機材料シート60が貼付される(図6参照)。
そして次に、従来周知の印刷法により、導電ペーストを開口部66(または開口部76)に充填し導体柱62(または導体柱72)を形成する。具体的には、両面に接着性有機材料シート60が貼付されたフレキシブル配線基板51を支持台(図示略)に載置する。次に、開口部66(または開口部76)に対応した位置に開口部を有する印刷マスクを用い、印圧を2kgf/cm2、印刷スピードを50mm/secに設定して、表面に銀をコートした銅粉を含む導電ペーストを印刷し、ペースト充填層を形成する。そして、印刷装置から取り外した後、導電ペーストを加熱して溶剤等を蒸発させ、固形化させる。次いで、100℃程度の温度で約30分間加熱して仮硬化を行う。これにより、導電ペーストからなる導体柱62(または導体柱72)が少しだけ硬化し、カバーレイ61(カバーレイ71)が完成する。その結果、開口部66内に導体柱62が形成され(導体柱形成工程(導体部形成工程))、開口部76内に導体柱72が形成される。このとき、導体柱62(導体柱72)の先端部分が、接着性有機材料シート60の上面から突出する(図2,図7参照)。このような構造にすれば、フレキシブル配線基板51にセラミック配線基板31を接合する際に、導体柱62の先端部分とセラミック配線基板31の上側端子電極36とが圧接し、フレキシブル配線基板51に基板本体95を接合する際に、導体柱72の先端部分と基板本体95の下面側パッド99とが圧接する。よって、例えば先端部分がフラットである場合に比べて他基板の導体部との接合強度が高くなり、接続信頼性の向上が図りやすくなる。なお、導体柱62(導体柱72)の先端部分の突出量は、5μm以上10μm以下に設定されることが好ましい。突出量が5μm未満になると、他基板の導体部との接合強度を十分に高くすることができないからである。一方、突出量が10μmよりも大きくなると、接着性有機材料シート60の他基板への密着が困難になるからである。
さらに、モジュール配線基板91(基板本体95)の作製も、基本的には従来周知の手法によって行われる。即ち、銅張積層板に対してメカニカルドリルを用いて孔あけ加工を行い、銅張積層板を貫通するビア孔(図示略)を所定位置にあらかじめ形成しておく。なお、銅張積層板に対してYAGレーザーまたは炭酸ガスレーザーを用いてレーザー孔あけ加工を行うことで、ビア孔を形成してもよい。そして、従来公知の手法に従って無電解銅めっき及び電解銅めっきを行い、ビア孔内に導体柱96を形成する。さらに、銅張積層板の両面の銅箔のエッチングを行って上面側パッド97及び下面側パッド99を例えばサブトラクティブ法によって形成する。具体的には、無電解銅めっきの後、この無電解銅めっき層を共通電極として電解銅めっきを施す。さらにドライフィルムをラミネートし、同ドライフィルムに対して露光及び現像を行うことにより、ドライフィルムを所定パターンに形成する。この状態で、不要な電解銅めっき層、無電解銅めっき層及び銅箔をエッチングで除去する。その後、ドライフィルムを剥離することにより、基板本体95を得る。なお、上面側パッド97及び下面側パッド99を、セミアディティブ法によって形成してもよい。具体的には、無電解銅めっきの後、露光及び現像を行って所定パターンのめっきレジストを形成する。この状態で無電解銅めっき層を共通電極として電解銅めっきを施した後、まずレジストを溶解除去して、さらに不要な無電解銅めっき層及び銅箔をエッチングで除去する。その結果、基板本体95を得る。
次に、電気検査工程(個別検査工程)を実施し、完成したフレキシブル配線基板51及びセラミック配線基板31に対する電気検査を個別に行う。それとともに、完成したモジュール配線基板91に対する電気検査も行う。なお、本実施形態における電気検査としては、インサーキットテスタを用いて行う一般的なインサーキットテストを行っている。さらに、完成したフレキシブル配線基板51、セラミック配線基板31及びモジュール配線基板91に対し、この時点で併せて外観検査を個別に行ってもよい。このとき、不良品を発見した場合には、その不良品を事前に除去する。そして、電気検査や外観検査に合格したフレキシブル配線基板51、セラミック配線基板31及びモジュール配線基板91のみを用いて位置決め工程(第1位置決め工程または第2位置決め工程)以降の工程を行う。従って、複合配線基板構造体11が不良品となる確率が低くなり、歩留まりの向上につながる。
そして、第1位置決め工程では、まず、平板状の下治具101上に、カバーレイ71が下側となるようにフレキシブル配線基板51を載置する。この場合、フレキシブル配線基板51の外周部分には、下治具101に突設された複数の位置決めピン105が挿通される。これにより、フレキシブル配線基板51の平面方向への位置ずれが防止される。次に、フレキシブル配線基板51上にセラミック配線基板31を載置する。このとき、互いに対向したフレキシブル配線基板51の下面側配線層55と、セラミック配線基板31の上側端子電極36との間に、カバーレイ61が位置するようになる。そして、下治具101の上にスペーサ102を載置する。なお、スペーサ102の板厚は、セラミック配線基板31の高さと略等しくなっている。また、スペーサ102には複数の位置決めピン105が挿通されている。このため、セラミック配線基板31の平面方向への位置ずれが防止される。その後、セラミック配線基板31及びスペーサ102上に平板状の上治具104を載置する(図8参照)。なお、上治具104は、同上治具104の下面側に、クッション材103を貼り付けた構造となっている。なお、上記のような治具を用いて位置決めを行う代わりに、基板などの位置を検出する画像認識装置を有する、いわゆるダイマウンタ装置を用いて位置決めを行うことも可能である。
そして次に、下記の要領で第1接合工程(接合工程)を実施する。本実施形態において具体的には、20Torr(≒2666Pa)以下の真空下で260℃以上の温度となるように加熱を行いながら積層方向(接合方向)に押圧力(4MPa)を加える(真空熱プレス)。これに伴い、セラミック配線基板31がフレキシブル配線基板51側に押圧されるとともに、熱によりカバーレイ61の可塑性が大きくなる。そして、このような状態のカバーレイ61を介して、フレキシブル配線基板51の下面53側に対してセラミック配線基板31が接合(熱圧着)される。この際、カバーレイ61の導体柱62とフレキシブル配線基板51の下面側配線層55とが圧接するとともに、導体柱62とセラミック配線基板31の上側端子電極36とが圧接する。よって、フレキシブル配線基板51のビア導体57とセラミック配線基板31のビア導体35とが、カバーレイ61の導体柱62を介して互いに電気的に接続される。即ち、フレキシブル配線基板51に対するセラミック配線基板31の接合は真空雰囲気下での接合となるため、エアの巻き込みによるボイドの発生を効果的に抑制できる。
次に、下記の要領で第2位置決め工程及び第2接合工程を実施する。なお、第2位置決め工程及び第2接合工程は、第1位置決め工程及び第1接合工程の前に行ってもよい。また、第1位置決め工程及び第1接合工程と同時に行うようにすれば、工数が少なくなり、確実に低コスト化を達成することができる。
第2位置決め工程では、まず、平板状の下治具151上に、カバーレイ61が下側となるようにフレキシブル配線基板51を載置する。この場合、フレキシブル配線基板51の外周部分には、下治具151に突設された複数の位置決めピン155が挿通される。これにより、フレキシブル配線基板51の平面方向への位置ずれが防止される。次に、フレキシブル配線基板51上に基板本体95を載置する。このとき、互いに対向したフレキシブル配線基板51の上面側配線層54と、基板本体95の下面側パッド99との間に、カバーレイ71が位置するようになる。そして、下治具151の上にスペーサ152を載置する。なお、スペーサ152の板厚は、基板本体95の高さと略等しくなっている。また、スペーサ152には複数の位置決めピン155が挿通されている。このため、基板本体95の平面方向への位置ずれが防止される。その後、基板本体95及びスペーサ152上に平板状の上治具154を載置する(図9参照)。
そして次に、第2接合工程を実施する。本実施形態において具体的には、20Torr(≒2666Pa)以下の真空下で260℃以上の温度となるように加熱を行いながら積層方向に押圧力(4MPa)を加える(真空熱プレス)。これに伴い、基板本体95がフレキシブル配線基板51側に押圧されるとともに、熱によりカバーレイ71の可塑性が大きくなる。そして、このような状態のカバーレイ71を介して、フレキシブル配線基板51の上面52側に対して基板本体95が接合(熱圧着)される。この際、カバーレイ71の導体柱72と基板本体95の下面側パッド99とが圧接するとともに、導体柱72とフレキシブル配線基板51の上面側配線層54とが圧接する。よって、基板本体95の導体柱96とセラミック配線基板31のビア導体35とが、カバーレイ71の導体柱72を介して互いに電気的に接続される。即ち、フレキシブル配線基板51に対する基板本体95の接合は真空雰囲気下での接合となるため、エアの巻き込みによるボイドの発生を効果的に抑制できる。
なお、上記の上治具154は、同上治具154の下面側に、クッション材153を貼り付けた構造となっている。従って、基板本体95の上面93に突出する上面側パッド97は、弾性体であるクッション材153に接触するようになっている。このとき、クッション材153は弾性変形して基板本体95側の凹凸形状に追従する。これにより、基板本体95に対して均等に押圧力を付加することができる。
次に、セラミック配線基板31の下面33に対するはんだペースト印刷を行い、基板側はんだバンプ49を形成する。このようにすれば、第1接合工程を実施する際に基板側はんだバンプ49が邪魔にならなくて済む。また、前記第1接合工程後に基板側はんだバンプ形成を行うと、前記第1接合工程前に基板側はんだバンプ形成を行う場合とは異なり、基板側はんだバンプ49が260℃以上の高温に遭遇しにくくなる。従って、必ずしも高融点はんだを選択しなくてもよくなり、はんだ材料の選択の自由度が大きくなる。
もっとも、セラミック配線基板31を作製する工程を行う時点で、基板側はんだバンプ49を同時に形成し、その後で第1接合工程を実施するようにしてもよい。このようにすれば、電気検査工程にてセラミック配線基板31を検査する際に、基板側はんだバンプ49も含めて検査できるため、基板側はんだバンプ49に不良が生じた状態で複合配線基板構造体11が製造されることを防止できる。
また、基板本体95の上面93側に複数の電子部品92を載置する。このとき、電子部品92側の面接続端子98と、基板本体95側の上面側パッド97とを位置合わせするようにする。そして、加熱して各面接続端子98をリフローすることにより、面接続端子98と上面側パッド97とを接合する(電子部品接合工程)。その結果、図1に示す複合配線基板構造体11が完成する。
その後、フレキシブル配線基板51の素子搭載部56にICチップ21を載置する。このとき、ICチップ21側の面接続端子22と、フレキシブル配線基板51側の上面側配線層54とを位置合わせするようにする。そして、加熱して各面接続端子22をリフローすることにより、面接続端子22と上面側配線層54とを接合する。するとこの段階で、複数の機能が集積してシステム化された複合配線基板構造体11(いわゆるシステム・イン・パッケージ:SIP)が完成する。
さらに、セラミック配線基板31側の基板側はんだバンプ49と、マザーボード81側の端子82とを位置合わせして、マザーボード81上に複合配線基板構造体11を載置する。そして、加熱して各基板側はんだバンプ49をリフローすることにより、基板側はんだバンプ49と端子82とを接合する。これにより、複合配線基板構造体11がマザーボード81上に搭載される。なお、複合配線基板構造体11をマザーボード81上に搭載した後で、ICチップ21を載置するようにしてもよい。
次に、フレキシブル配線基板51とセラミック配線基板31との接合部分について評価する。
ここでは、JIS C6481に倣ってピール強度を評価した。まず測定用サンプルを次のように準備した。フレキシブル配線基板51の下面53側に、カバーレイ61を介してセラミック配線基板31を接合した。次いで、幅1cmの短冊状となるように、フレキシブル配線基板51及びセラミック配線基板31からなる積層体を切断したものを(切断面は、フレキシブル配線基板51及びセラミック配線基板31の積層方向に平行)、測定用サンプルとした。
次に、ピール強度の測定は、短冊状となったカバーレイ61,71を有するフレキシブル配線基板51の一端を、フレキシブル配線基板51の上面52に対して垂直な方向に引き上げることにより行った。
このように測定した結果、測定用サンプルでは、カバーレイ61の外側面の所定箇所(図1の符号111)から内部に向かって破断が生じた。このとき、カバーレイ61とセラミック配線基板31との界面は剥離しなかった。これにより、カバーレイ61とセラミック配線基板31との密着状態が良好であることが証明された。
また、ピール強度測定に用いた測定用サンプルとは別の測定用サンプルを用いて、その切断面を目視で観察した。
このように観察した結果、測定用サンプルでは、フレキシブル配線基板51の下面側配線層55とセラミック配線基板31の上側端子電極36とが導体柱62を介して確実に接続されていることが確認された。また、前記接合部分の抵抗値を測定したところ、下面側配線層55及び上側端子電極36の抵抗値が0.97Ω、導体柱62の抵抗値が0.03Ω、両者の合計が1.0Ωであった。よって、接合部分の抵抗値は、フレキシブル配線基板51−セラミック配線基板31間の導通には問題ないレベルであることが確認された。
従って、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)本実施形態の複合配線基板構造体11では、カバーレイ61が、フレキシブル配線基板51にセラミック配線基板31を接合させる接着層を兼ねているため、カバーレイ61とは別体に接着層を形成しなくても済む。その結果、接着層内に導体部を形成する工程などが不要となるため、複合配線基板構造体11の製造に必要な工数が少なくなる。また、複合配線基板構造体11を構成する部品点数が少なくなる。よって、生産効率の向上及び製造コストの低減が達成しやすくなる。また、接着層が不要になる分だけ、複合配線基板構造体11の構造を簡単にすることができる。
また、カバーレイ61を介してフレキシブル配線基板51とセラミック配線基板31とが接合されるばかりでなく、基板間導通構造となりうる導体柱62を介してフレキシブル配線基板51の下面側配線層55とセラミック配線基板31の上側端子電極36とが電気的に接続される。このため、構造体全体を貫通するスルーホール導体を基板間導通構造として基板接合後に形成しなくてもよくなる。また、両基板31,51をあらかじめ完成させた状態で互いに接合することが可能となる。よって、基板接合前の段階で不良品を除去しやすくなり、不良品発生率が低くて歩留まりの高い複合配線基板構造体11を得ることができる。
さらに、複合配線基板構造体11は、比較的薄く形成されるフレキシブル配線基板51によって構成されている。しかも、上記のように、カバーレイ61が接着層を兼ねるため、カバーレイ61とセラミック配線基板31との間に接着層を形成しなくても済む。このため、複合配線基板構造体11を厚み方向(Z方向)に小型化することができる。また、複合配線基板構造体11を構成する層数が接着層の分だけ少なくなるため、各層の熱膨張係数を調整して隣接する層間での熱膨張係数差を小さくすることが容易になる。
また、カバーレイ61,71は、熱可塑性樹脂(熱可塑性ポリイミド)を主体として形成されている。よって、例えば、フレキシブル配線基板51にセラミック配線基板31が位置ずれした状態で接合されたとしても、カバーレイ61を再度加熱すれば、セラミック配線基板31をカバーレイ61から剥離できる。このため、フレキシブル配線基板51にセラミック配線基板31を容易に接合し直すことが可能となる。同様に、フレキシブル配線基板51に基板本体95が位置ずれした状態で接合されたとしても、カバーレイ71を再度加熱すれば、基板本体95をカバーレイ71から剥離できる。このため、フレキシブル配線基板51に基板本体95を容易に接合し直すことが可能となる。
(2)本実施形態では、下面側配線層55と上側端子電極36とがカバーレイ61内の導体柱62を介して電気的に接続されている。このため、下面側配線層55が存在しない場合に比べて、フレキシブル配線基板51のビア導体57と導体柱62とを確実に接続させることができる。また、上側端子電極36が存在しない場合に比べて、セラミック配線基板31のビア導体35と導体柱62とを確実に接続させることができる。よって、フレキシブル配線基板51及びセラミック配線基板31間でのより確実な導通を図ることができる。
(3)本実施形態のカバーレイ61は熱可塑性ポリイミドを主体として形成されており、かかるカバーレイ61のヤング率は約3.1GPaとなっている。一方、フレキシブル配線基板51の樹脂製基板のヤング率は約6.5GPaとなっている。このため、カバーレイ61とフレキシブル配線基板51とのヤング率の差を比較的小さくすることができる。よって、フレキシブル配線基板51が平面方向に熱膨張または熱収縮したときでも、それに追従してカバーレイ61が弾性的にひずむ(変形する)ことができる。
従って、カバーレイ61及びフレキシブル配線基板51間に大きな熱応力が作用しなくなるため、カバーレイ61の剥離等が起こりにくくなる。ゆえに、複合配線基板構造体11におけるフレキシブル配線基板51とセラミック配線基板31との接合部分に所定の信頼性が付与される。
(4)本実施形態の複合配線基板構造体11は、フレキシブル配線基板51及びセラミック配線基板31に加えてモジュール配線基板91を有するため、2種類の基板からなる特許文献1に記載のリジッド・フレキ基板に比べて、多機能化を図ることができる。ゆえに、1つのシステム化された複合配線基板構造体11(いわゆるシステム・イン・パッケージ:SIP)を実現しやすくなり、付加価値も高くなる。
(5)本実施形態の製造方法では、フレキシブル配線基板51の素子搭載部56にICチップ21を実装する前の時点で第1接合工程を実施しているため、上治具104の荷重がICチップ21に加わることがない。ゆえに、ICチップ21のクラックの発生を確実に防止することができる。また、本実施形態では、基板本体95の上面側パッド97に電子部品92を実装する前の時点で第2接合工程を実施しているため、上治具154の荷重が電子部品92に加わることがない。ゆえに、電子部品92のクラックの発生を確実に防止することができる。
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態のフレキシブル配線基板51は、絶縁基材が耐熱性ポリイミドを主体として形成されていたが、例えば液晶ポリマーを主体として形成されていてもよい。このようにすれば、吸水性及び電気特性に優れたフレキシブル配線基板51を得ることができる。
・上記実施形態のフレキシブル配線基板51は、上面52側にカバーレイ71を有するとともに、下面53側にカバーレイ61を有していたが、カバーレイ71はなくてもよい。この場合、フレキシブル配線基板51の上面側配線層54と基板本体95の下面側パッド99との接続は、例えば、下面側パッド99上にはんだバンプを設け、そのはんだバンプをリフローさせることなどによって行われる。
・上記実施形態のカバーレイ61,71は、熱可塑性ポリイミドを主体として形成されていた。しかし、カバーレイ61,71は、他の材料を主体として形成されていてもよい。
例えば、カバーレイ61,71は、液晶ポリマー(新日鉄化学株式会社製 エスパネックスLなど)を主体として形成されていてもよい。なお、この場合の平面方向における熱膨張係数は約17ppm/℃、ヤング率は約3.1GPaである。また、カバーレイ61,71は、ポリエーテルエーテルケトン(三菱樹脂株式会社製 IBUKIなど)を主体として形成されていてもよい。なお、この場合の平面方向における熱膨張係数は約15ppm/℃、ヤング率は約9GPaである。さらに、カバーレイ61,71は、エポキシ(日立化成工業株式会社製 FC−212B、UF−511など)を主体として形成されていてもよい。なお、この場合の平面方向における熱膨張係数は約55ppm/℃、ヤング率は約1.4GPaである。なお、カバーレイ61,71が液晶ポリマーまたはポリエーテルエーテルケトンを主体として形成される場合、ポリイミドを主体として形成する場合よりも低温(30℃〜60℃程度低い)での接着が可能となる。
・上記実施形態において、フレキシブル配線基板51にカバーレイ61を形成するカバーレイ形成工程を実施せずに、第1接合工程においてフレキシブル配線基板51とセラミック配線基板31とを接合する際に、カバーレイ61を同時に接合するようにしてもよい。例えば、図11〜図13に示されるように、カバーレイ61,71をフレキシブル配線基板51とは個別に作製し、フレキシブル配線基板51、カバーレイ61及びセラミック配線基板31を順番に重ねた状態(図10参照)で、第1接合工程を実施するようにしてもよい。即ち、フレキシブル配線基板51にカバーレイ61があらかじめ形成されていない場合は、第1位置決め工程及び第1接合工程と同様の工程を実施することにより、カバーレイ61の接合が可能となる。また、カバーレイ71は、第2接合工程においてフレキシブル配線基板51と基板本体95とを接合する際に接合される。即ち、フレキシブル配線基板51にカバーレイ71があらかじめ形成されていない場合は、フレキシブル配線基板51、カバーレイ71、基板本体95を順番に重ねた状態で、第2位置決め工程及び第2接合工程と同様の工程を実施することにより、カバーレイ71の接合が可能となる。
なお、カバーレイ61,71の作製は、具体的には下記の要領で実施される(カバーレイ個別作製工程(接着層作製工程))。具体的には、図11,図12に示されるように、カバーレイ61となる接着性有機材料シート60(接着層用基材)に対してパンチング装置を用いて孔あけ加工を行い、接着性有機材料シート60を貫通するビア孔66を所定位置にあらかじめ形成しておく(ビア孔形成工程)。また、カバーレイ71となる接着性有機材料シート60に対しても同様に孔あけ加工を行い、接着性有機材料シート60を貫通するビア孔76を所定位置にあらかじめ形成しておく。なお、本実施形態のパンチング装置のパンチピンは、120μmの直径を有している。また、ビア孔66(またはビア孔76)は、上側開口部の直径が約117μmとなり、下側開口部の直径が約113μmとなる。次に、従来周知の印刷法により、導電ペーストをビア孔66(またはビア孔76)に充填し導体柱62(または導体柱72)を形成する。具体的には、接着性有機材料シート60を支持台(図示略)に載置する。次に、ビア孔66(またはビア孔76)に対応した位置に開口部を有する印刷マスクを用い、印圧を2kgf/cm2、印刷スピードを50mm/secに設定して、表面に銀をコートした銅粉を含む導電ペーストを印刷し、ペースト充填層を形成する。そして、印刷装置から取り外した後、導電ペーストを加熱して溶剤等を蒸発させ、固形化させる。次いで、100℃程度の温度で約30分間加熱して仮硬化を行う。これにより、導電ペーストからなる導体柱62(または導体柱72)が少しだけ硬化し、カバーレイ61(カバーレイ71)が完成する。その結果、ビア孔66内に導体柱62が形成され(導体柱形成工程(導体部形成工程))、ビア孔76内に導体柱72が形成される。このとき、導体柱62(導体柱72)の先端部分が、接着性有機材料シート60の上面から約20μmだけ突出する(図13参照)。このような構造にすれば、例えば先端部分がフラットである場合に比べて他基板の導体部との接合強度が高くなり、接続信頼性の向上が図りやすくなる。
また、前記カバーレイ形成工程において、フレキシブル配線基板51にではなくセラミック配線基板31にカバーレイ61を形成してから、第1接合工程を実施するようにしてもよい。
次に、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1)第1主面及び第2主面を有し、少なくとも前記第2主面側に有機材料を主体とするカバーレイを有し、前記第1主面側に半導体回路素子が接続可能な素子搭載部が設定されたフレキシブル基板と、前記カバーレイを接着層として前記フレキシブル基板の前記第2主面側に接合されたリジッド基板とを備え、前記フレキシブル基板の導体部と導通する第1表面導体と、前記リジッド基板の導体部と導通する第2表面導体とが、前記カバーレイ内の導体部を介して互いに電気的に接続され、前記カバーレイは、同カバーレイを厚さ方向に貫通する開口部内に設けられた導体柱を導体部として有することを特徴とする複合配線基板構造体。
(2)第1主面及び第2主面を有し、少なくとも前記第2主面側に有機材料を主体とするカバーレイを有し、前記第1主面側に半導体回路素子が接続可能な素子搭載部が設定されたフレキシブル基板と、前記カバーレイを接着層として前記フレキシブル基板の前記第2主面側に接合されたリジッド基板とを備え、前記フレキシブル基板の導体部と導通する第1表面導体と、前記リジッド基板の導体部と導通する第2表面導体とが、前記カバーレイ内の導体部を介して互いに電気的に接続され、前記素子搭載部は、前記リジッド基板の反対側となる領域に設定されていることを特徴とする複合配線基板構造体。
(3)第1主面及び第2主面を有し、前記第1主面側及び前記第2主面側に有機材料を主体とするカバーレイを有し、前記第1主面側に半導体回路素子が接続可能な素子搭載部が設定されたフレキシブル基板と、前記カバーレイを接着層として前記フレキシブル基板の前記第2主面側に接合されたリジッド基板と、前記カバーレイを接着層として前記フレキシブル基板の前記第1主面側に接合された機能モジュールとを備え、前記フレキシブル基板の導体部と導通する第1表面導体と、前記リジッド基板の導体部と導通する第2表面導体とが、前記カバーレイ内の導体部を介して互いに電気的に接続され、前記フレキシブル基板の導体部と導通する第3表面導体と、前記機能モジュールの導体部と導通する第4表面導体とが、前記カバーレイ内の導体部を介して互いに電気的に接続されていることを特徴とする複合配線基板構造体。
(4)第1主面及び第2主面を有し、少なくとも前記第2主面側に有機材料を主体とするカバーレイを有し、前記第1主面側に半導体回路素子が接続可能な素子搭載部が設定されたフレキシブル基板と、前記カバーレイを接着層として前記フレキシブル基板の前記第2主面側に接合されたリジッド基板とを備える複合配線基板構造体の製造方法であって、前記カバーレイを前記第2主面側に有する前記フレキシブル基板と、前記リジッド基板とを個別に作製する個別作製工程と、前記フレキシブル基板の前記第2主面側に位置する第1表面導体と、前記リジッド基板の前記第2表面導体とを対向させて配置して、前記フレキシブル基板に対し前記カバーレイを介して前記リジッド基板を接合するととともに、その際に前記フレキシブル基板の導体部及び前記リジッド基板の導体部を互いに電気的に接続する接合工程とを含み、前記接合工程において、接合方向に押圧力を加えることにより、前記カバーレイ内の導体部と前記第1表面導体とを圧接させるとともに、前記カバーレイ内の導体部と前記第2表面導体とを圧接させることを特徴とする複合配線基板構造体の製造方法。
(5)第1主面及び第2主面を有し、少なくとも前記第2主面側に有機材料を主体とするカバーレイを有し、前記第1主面側に半導体回路素子が接続可能な素子搭載部が設定されたフレキシブル基板と、前記カバーレイを接着層として前記フレキシブル基板の前記第2主面側に接合されたリジッド基板とを備える複合配線基板構造体の製造方法であって、前記フレキシブル基板と、前記リジッド基板とを個別に作製する個別作製工程と、前記カバーレイを作製するカバーレイ個別作製工程と、前記フレキシブル基板の前記第2主面側に位置する第1表面導体と、前記リジッド基板の第2表面導体とを対向させて配置して、前記フレキシブル基板に対し前記カバーレイを介して前記リジッド基板を接合するととともに、その際に前記フレキシブル基板の導体部及び前記リジッド基板の導体部を互いに電気的に接続する接合工程とを含むことを特徴とする複合配線基板構造体の製造方法。
11…複合配線基板構造体
21…半導体回路素子としてのICチップ
31…リジッド基板としてのセラミック配線基板
35…リジッド基板の導体部としてのビア導体
36…第2表面導体としての上側端子電極
51…フレキシブル基板としてのフレキシブル配線基板
52…第1主面としての上面
53…第2主面としての下面
55…第1表面導体としての下面側配線層
56…素子搭載部
57…フレキシブル基板の導体部としてのビア導体
61,71…カバーレイ
62…カバーレイ内の導体部としての導体柱
21…半導体回路素子としてのICチップ
31…リジッド基板としてのセラミック配線基板
35…リジッド基板の導体部としてのビア導体
36…第2表面導体としての上側端子電極
51…フレキシブル基板としてのフレキシブル配線基板
52…第1主面としての上面
53…第2主面としての下面
55…第1表面導体としての下面側配線層
56…素子搭載部
57…フレキシブル基板の導体部としてのビア導体
61,71…カバーレイ
62…カバーレイ内の導体部としての導体柱
Claims (7)
- 第1主面及び第2主面を有し、少なくとも前記第2主面側に有機材料を主体とするカバーレイを有し、前記第1主面側に半導体回路素子が接続可能な素子搭載部が設定されたフレキシブル基板と、
前記カバーレイを接着層として前記フレキシブル基板の前記第2主面側に接合されたリジッド基板と
を備え、前記フレキシブル基板の導体部と導通する第1表面導体と、前記リジッド基板の導体部と導通する第2表面導体とが、前記カバーレイ内の導体部を介して互いに電気的に接続されていることを特徴とする複合配線基板構造体。 - 前記カバーレイは、熱可塑性樹脂を主体とすることを特徴とする請求項1に記載の複合配線基板構造体。
- 前記熱可塑性樹脂は、熱可塑性ポリイミドであることを特徴とする請求項2に記載の複合配線基板構造体。
- 前記フレキシブル基板における絶縁基材は、ポリイミドからなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の複合配線基板構造体。
- 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の複合配線基板構造体の製造方法であって、
接着層を兼ねる前記カバーレイを前記第2主面側に有する前記フレキシブル基板と、前記リジッド基板とを個別に作製する個別作製工程と、
前記フレキシブル基板の前記第2主面側に位置する前記第1表面導体と、前記リジッド基板の前記第2表面導体とを対向させて配置して、前記フレキシブル基板に対し前記カバーレイを介して前記リジッド基板を接合するととともに、その際に前記フレキシブル基板の導体部及び前記リジッド基板の導体部を互いに電気的に接続する接合工程と
を含むことを特徴とする複合配線基板構造体の製造方法。 - 前記接合工程では、前記フレキシブル基板に対し、熱可塑性樹脂を主体とするカバーレイを介して前記リジッド基板を熱圧着することを特徴とする請求項5に記載の複合配線基板構造体の製造方法。
- 前記接合工程の実施前に、前記フレキシブル基板及び前記リジッド基板に対する電気検査を個別に行う個別検査工程をさらに含むことを特徴とする請求項6または7に記載の複合配線基板構造体の製造方法。
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JP2013131642A (ja) * | 2011-12-21 | 2013-07-04 | Asahi Kasei Electronics Co Ltd | 平面コイル、平面コイルの製造方法 |
JP2015185637A (ja) * | 2014-03-24 | 2015-10-22 | 日本電気株式会社 | 配線基板、電子装置および電源供給方法 |
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-
2005
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