JP2006233329A - メッキ処理方法 - Google Patents

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【課題】シリンダブロックのボアの内周壁面にメッキ皮膜を効率よく形成するメッキ処理方法を提供する。
【解決手段】シリンダブロックのボアの内周壁面に対しホーニング加工を行うことにより、酸化物膜等を除去すると同時に、該内周壁面の最大高さを20μm以下とし、実表面積/見掛け表面積を1.2m2/m2以上、好ましくは1.4m2/m2以上とする。ホーニング工具を回転動作させながらボアの深さ方向に沿って進退動作させることにより、クロスハッチング上の凸部22が形成される。ホーニング工具の砥石の粒度は、#80〜#1000であることが好ましい。次いで、このように粗面化された内周壁面に対し、亜鉛皮膜を形成する。実表面積/見掛け表面積が1.2m2/m2〜1.4m2/m2未満である場合には、メッキ皮膜を設けた後に熱処理を施す。1.4m2/m2以上である場合にも熱処理を施すことが好ましい。
【選択図】図3

Description

本発明は、シリンダブロックのボアのピストン摺接面にメッキ皮膜を設けるメッキ処理方法に関する。
自動車等の内燃機関を構成するシリンダブロックにはボアが設けられており、このボア内には、通常、シリンダスリーブが挿入される。この場合、ピストンは、このシリンダスリーブの内周壁面に摺接する。
しかしながら、ボアにシリンダスリーブを挿入することは、内燃機関の重量増加を招く。近年における環境保護への関心の高まりから自動車には燃費が優れていることが希求されるが、重量が大なる内燃機関を搭載した自動車は必然的に重量が大であり、従って、燃費が低下することが懸念される。
この懸念を確実に払拭するべく、シリンダスリーブをボアに挿入することなく内燃機関を構成することが試みられている。この場合、ボアの内周壁面にピストンが摺接するので、該内周壁面が優れた耐摩耗性を有することが必要となる。
このような観点から、ボアの内周壁面(ピストン摺接面)を粗面化した後にメッキ皮膜を設けることが提案されている。ここで、ピストン摺接面を粗面化する理由は、メッキ皮膜がピストン摺接面から剥離し難くなるからである。
この種のメッキ皮膜を形成するに際しては、いわゆる2回亜鉛置換法(ダブルジンケート法)等の前処理を実施することが広く知られている。しかしながら、このダブルジンケート法には、工程数が多いために作業が煩雑であり、また、長時間を要する、各工程で使用される薬液の管理も煩雑である等の不都合がある。そこで、特許文献1には、工程数を低減するべく、陽極電解エッチングによってメッキ皮膜を形成する面に凹凸を設けることが提案されている。
また、特許文献2には、酸化物膜(不動態)を除去すると同時に粗面化処理を行うことによって前処理時間の短縮を図ることが提案されている。この場合、酸化物膜除去と粗面化処理を行うべく、メッキ皮膜を形成する面に対し、高圧水流が噴射される。
さらに、特許文献3には、電解研磨や特殊ホーニング加工によって、アルミニウム−珪素合金からアルミニウムを選択的に除去した後、鉄−燐メッキ皮膜を形成することが提案されている。
特許第3351710号公報 特開2001−73174号公報 特開昭63−176492号公報
しかしながら、特許文献1に記載された方法では、陽極電解エッチングを行うための設備が必要であり、設備投資が高騰する。また、陽極電解エッチングは化学変化を伴うため、粗面化が過度に進行することも懸念される。
また、特許文献2に記載されているように高圧水流を衝突させる場合、水流の圧力を微調整することが困難であるため、粗面化の度合いを制御することが困難である。結局、この場合も、粗面化が過度に進行する懸念がある。
さらに、特許文献3に記載の方法も、電解研磨や特殊ホーニング加工に関しては主に化学的処理が行われているため、粗面化が過度に進行することを抑制することは容易ではないと推察される。
すなわち、特許文献1〜3に記載された前処理では、粗面化の度合いを制御することが容易ではなく、このため、メッキ皮膜を形成した場合、十分な接合強度を確保することが容易ではない。
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、前処理において粗面化の度合いを制御することが容易であり、しかも、設備投資の高騰を招くことがなく、さらに、メッキ皮膜が剥離し難いメッキ処理方法を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明は、アルミニウム合金からなるシリンダブロックのボアのピストン摺接面に対してメッキ皮膜を設けるメッキ処理方法において、
砥石を有するホーニング工具で前記ピストン摺接面を2μm以上研削するとともに、該ピストン摺接面の最大高さが20μm以下、且つ実表面積/見掛け表面積が1.4m2/m2以上となるまで倣い加工を行う工程と、
研削された前記ピストン摺接面に亜鉛皮膜を形成する工程と、
前記亜鉛皮膜上にメッキ皮膜を形成する工程と、
を有することを特徴とする。
ピストン摺接面の最大高さ(Rz)を20μm以下、実表面積/見掛け表面積を1.4m2/m2以上とすることにより、亜鉛皮膜を介して設けられるメッキ皮膜が強固に接合する。すなわち、メッキ皮膜が剥離し難くなる。
このように、本発明によれば、亜鉛皮膜形成処理が1回のみであっても、剥離し難いメッキ皮膜を設けることができる。換言すれば、メッキ皮膜を効率よく形成することができる。また、亜鉛皮膜を形成するための薬液を複数用意する必要がないので、管理が煩雑となることもない。
しかも、ホーニング加工は、ボアを真円加工又は円筒加工する際の既存の加工設備を使用して行うことができるので、ホーニング加工によってピストン摺接面を粗面化するようにしたことに伴って新たな設備を設ける必要は特にない。このため、設備投資が高騰することもない。
また、ホーニング加工では、例えば、砥石の粒度等の加工条件を設定することによってピストン摺接面の表面粗さ、すなわち、最大高さ及び実表面積/見掛け表面積を容易に制御することが可能である。換言すれば、粗面化の度合いを制御することが容易である。
さらに、ホーニング加工を行うことでピストン摺接面の酸化物(不動態)層が除去されるので、酸化物層除去工程を別途行う必要もなく、従って、メッキ前処理の効率が一層向上する。
なお、このホーニング加工は、ピストン摺接面を上記した所定の表面粗さに粗面化するためのものであり、ボアの寸法精度を向上させるべく該ボアに対して真円加工や円筒加工を行うための一般的なホーニング加工ではない。
この処理方法では、メッキ皮膜に対して熱処理を施すようにしてもよい。これにより、メッキ皮膜の接合強度が一層向上する。
また、実表面積/見掛け表面積を1.4m2/m2よりも若干小さくし、熱処理を行うことによってメッキ皮膜の接合強度を確保するようにしてもよい。すなわち、本発明は、アルミニウム合金からなるシリンダブロックのボアのピストン摺接面に対してメッキ皮膜を設けるメッキ処理方法において、
砥石を有するホーニング工具で前記ピストン摺接面を2μm以上研削するとともに、該ピストン摺接面の最大高さが20μm以下、且つ実表面積/見掛け表面積が1.2m2/m2以上となるまで倣い加工を行う工程と、
研削された前記ピストン摺接面に亜鉛皮膜を形成する工程と、
前記亜鉛皮膜上にメッキ皮膜を形成する工程と、
前記メッキ皮膜に対して熱処理を施す工程と、
を有することを特徴とする。
この場合、小さい実表面積/見掛け表面積でありながらもメッキ皮膜の接合強度が確保される。
ここで、上記した表面粗さのピストン摺接面を確実に得るべく、前記ホーニング工具として粒度が#80〜#1000の砥石を有するものを使用することが好ましい。
そして、前記ホーニング工具を回転動作させるとともに前記ボアの深さ方向に沿って進退動作させることが好ましい。この場合、加工面にクロスハッチング状の凸部が形成され、実表面積/見掛け表面積の値が上昇する。このため、メッキ皮膜が一層剥離し難くなる。
なお、前記亜鉛皮膜を形成するための亜鉛置換液を前記ピストン摺接面に接触させる時間は、60〜240秒とすることが好ましい。この場合、十分な厚みで且つ緻密な亜鉛皮膜が形成され、結局、メッキ皮膜との接合強度が良好となる。
本発明によれば、ホーニング加工によってピストン摺接面の不動態層が除去されると同時に、該ピストン摺接面が所定の表面粗さとなるように粗面化される。このため、亜鉛皮膜形成処理を1回のみ行った場合であっても、強固に接合するメッキ皮膜を形成することができる。また、ホーニング加工を行う場合、粗面化の度合いを制御することが容易であるとともに、既存の設備を使用することができるので設備投資が高騰することがないという利点がある。
以下、本発明に係るメッキ処理方法につき好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
第1実施形態に係るメッキ処理方法をフローチャートにして図1に示す。このメッキ処理方法は、シリンダブロックのボアの内周壁面(ピストン摺接面)に対してホーニング工具で倣い加工を行う第1工程S1と、研削されたピストン摺接面に亜鉛皮膜を形成する第2工程S2とを含む前処理工程と、メッキ皮膜を設けるメッキ皮膜形成処理工程とを有する。
はじめにシリンダブロックにつき説明する。シリンダブロックは、鋳物用アルミニウム合金地金、又はダイカスト用アルミニウム合金地金の溶湯を鋳造成形することによって設けられる。この鋳造成形の際にボアも設けられ、その後、該ボアに対し、真円加工や円筒加工が施される。これにより、ボアの寸法精度が向上する。
そして、アルカリ洗浄、水洗等が行われ、これによりシリンダブロックに付着した油分や不純物、ダスト等が除去される。
このような脱脂処理等が行われた後、第1工程S1が行われる。
上記したように、第1工程S1においては、砥石を有するホーニング工具によってピストン摺接面が研削される。ホーニング工具の直径はボアの内径に略等しく、従って、ボアの内周壁面には、ホーニング工具による倣い加工が施される。
ここで、図2に示すように、ピストン摺接面10は、アルミニウム合金からなる下地12上に、前記の真円加工や円筒加工の際に機械的応力が付加されることによって生成した加工変質層14、酸化物(不動態)層16、表面に吸着された吸着物質が層状に堆積した堆積層18、アルカリ洗浄や水洗で除去されなかった不純物20が積層した形態となっている。第1実施形態においては、これらを除去して下地12が露呈するまで研削が続行される。具体的には、加工変質層14、酸化物層16、堆積層18及び不純物20の厚みの総和が2μmに満たない程度であることから、研削は、研削深さが少なくとも2μmとなるまで行われる。
この研削の際にホーニング工具が回転動作しながらボアの深さ方向に沿って進退動作、換言すれば、往復動作することに伴い、図3に示すように、下地12が露呈し、且つその表面に菱形(クロスハッチング)状の凸部22が形成される。このようなクロスハッチング状の凸部22が形成された場合、ホーニング工具を回転動作させないでボアから引き抜いてクロスハッチング状の凸部22を設けなかった場合に比して実表面積/見掛け表面積が大きくなり、メッキ皮膜の接合強度が著しく向上する。
この場合、研削は、凸部22の最大高さ(Rz)が20μm以下となり、且つ実表面積/見掛け表面積が1.4m2/m2以上となるまで行われる。最大高さRzが20μmを超えると、ピストン摺接面10が過度に粗いものとなり、このため、該ピストン摺接面10に設けられる亜鉛皮膜が平坦でなくなる。従って、亜鉛皮膜上に積層されるメッキ皮膜に空隙が形成され易くなり、これに起因して該メッキ皮膜が剥離し易くなる。
なお、最大高さRzは、JISB0601(2001年)に規格される通り、図4に示すように、粗さ曲線を基準長lだけ抜き取り、該抜き取り部分における平均線mから最も高い山頂までの距離Ypと、平均線mから最も深い谷底までの距離Yvとの和として定義される。
また、実表面積は、クロスハッチング状の微細な前記凸部22の表面積を取り入れたレーザ顕微鏡による測定面積であり、見掛け表面積は、ボアの円周長と深さから計算された計算面積である。第1実施形態においては、上記したように、実表面積を見掛け表面積で除した値が1.4以上となるように研削が行われる。この場合、亜鉛皮膜が下地12に強固に接合し、著しく剥離し難くなる。
次いで、第2工程S2において、亜鉛皮膜が形成される。すなわち、ボアの内周壁面に対して、例えば、SZII(キザイ社製の商品名)やAZ401(上村工業社製の商品名)等の亜鉛置換液を接触させる。
この際の亜鉛置換液の接触時間、換言すれば、亜鉛置換液による処理時間は、60〜240秒とすることが好ましい。処理時間が60秒よりも短いと、亜鉛皮膜が十分に成膜することが容易ではない。また、240秒よりも長いと、亜鉛皮膜の厚みが過度になる傾向があり、緻密さも低下する。このため、いずれにおいても、後述する打ち抜き試験における亜鉛皮膜の剥離幅が大きくなる傾向がある。より好ましい処理時間は、90〜200秒である。
この亜鉛皮膜は、ピストン摺接面10が上記したような表面粗さを有するため、十分な接合強度でピストン摺接面10に接合する。すなわち、ピストン摺接面10から剥離し難い。
このようにして亜鉛置換工程を行う最中、又は亜鉛置換後に水洗を行う際、超音波による振動をピストン摺接面10に供与することが好ましい。これにより、砥粒や研磨屑等の残留物がピストン摺接から効率的に除去される。さらに、最終的に形成されるメッキ皮膜中に空隙が形成され難くなる。
亜鉛皮膜が形成されることにより、メッキ前処理が終了する。
その後、例えば、SiCが分散されたニッケル又はニッケル合金からなるSiC−Ni系メッキ皮膜が形成され、さらにこのメッキ皮膜に対してホーニング加工が施される。以上により、所定の表面粗さを有するメッキ皮膜がピストン摺接面10に形成されるに至る。
なお、メッキ皮膜の硬度を上昇させるとともに接合強度を向上させるべく、図1に破線で示すように、メッキ皮膜に対して熱処理を施すようにしてもよい。熱処理条件は、例えば、およそ200℃で1時間程度とすればよい。
次に、第2実施形態につき説明する。
第2実施形態に係るメッキ処理方法をフローチャートにして図5に示す。この図5から諒解されるように、第2実施形態では、メッキ皮膜を形成した後に熱処理が行われる。
第2実施形態においても、上記第1実施形態に準拠して第1工程S1が実施される。すなわち、ピストン摺接面10に対し、下地12が露呈するまで2μm程度の研削が施される。
ここで、第2実施形態では、凸部22の最大高さ(Rz)を20μm以下とする点は第1実施形態と同様であるが、実表面積/見掛け表面積は、1.2m2/m2以上に設定される。
次いで、上記第1実施形態と同様にして亜鉛皮膜及びメッキ皮膜が形成され、その後、メッキ皮膜に対して熱処理が施される。この場合の熱処理条件は、例えば、上記と同様におよそ200℃、1時間程度に設定すればよい。
このように、第2実施形態では、メッキ皮膜を形成した後に熱処理を行うようにしている。このため、実表面積/見掛け表面積を、例えば、1.2m2/m2と第1実施形態に比して小さくした場合であっても、メッキ皮膜の接合強度を十分に確保することができる。
ここで、ホーニング工具における砥石の粒度を種々変更し、ホーニング加工時間40秒、回転数1300rpmとした場合のホーニング加工後のピストン摺接面10の実表面積/見掛け表面積、最大高さRzと、亜鉛皮膜上に形成されるメッキ皮膜の接合強度との関係をグラフにして図6、図7にそれぞれ示す。図6及び図7中、◆のプロットは実表面積/見掛け表面積を示し、縦軸のスケールはグラフの左方である。一方、●、▲のプロットはともに、縦軸のスケールがグラフの右方に示される剥離幅(後述)を示し、●はメッキ皮膜を形成後に熱処理を実施しなかった場合、▲はメッキ皮膜を形成後に200℃で1時間の熱処理を行った場合の結果である。
接合強度は、JISH8615に規格された打ち抜き試験を行い、その際にメッキ皮膜が剥離した幅の大きさで評価した。この剥離幅が小さいほど、剥離し難く接合強度が大きいことを意味する。なお、ダブルジンケート法を経て設けられたメッキ皮膜の剥離幅は、図6及び図7に一点鎖線で示すように、概ね1mm程度である。
これら図6及び図7から、熱処理を行わない場合には最大高さRzが20μm以下、実表面積/見掛け表面積が1.4m2/m2以上である場合、熱処理を行う場合には最大高さRzが20μm以下、実表面積/見掛け表面積が1.2m2/m2以上である場合に、メッキ皮膜の剥離幅がダブルジンケート法を経て設けられたメッキ皮膜の剥離幅より小さくなること、換言すれば、メッキ皮膜の接合強度が大きいことが明らかである。
また、図6及び図7からは、砥石の粒度が#80〜#600である場合に最大高さRzが20μm以下、実表面積/見掛け表面積が1.4m2/m2以上であるピストン摺接面10が得られ、#600〜#1000である場合に最大高さRzが20μm以下、実表面積/見掛け表面積が1.2〜1.4m2/m2であるピストン摺接面10が得られることが分かる。従って、上記したような表面粗さのピストン摺接面10を確実に得るべく、粒度が#80〜#1000である砥石を有するホーニング工具を使用することが好ましい。
なお、この種のホーニング工具としては、例えば、米国B.R.M社製のフレックスホーンや、オーストラリア国ABW社製のシリンダホーン等が容易に入手可能である。又は、砥粒入りナイロンブラシや、日本国ジーベックテクノロジー社製のアルミナ繊維入樹脂ブラシを使用するようにしてもよい。
また、このホーニング加工を行う際に供給する冷却媒体の好適な例としては、水が挙げられる。この場合、Si含有量が少ないアルミニウム合金に対してホーニング加工を行う際にアルミニウム合金が砥石に凝着することを抑制することができる。
以上のように、第1実施形態及び第2実施形態によれば、ホーニング工具によってピストン摺接面10から酸化物膜を除去するとともに、該ピストン摺接面10を粗面化するようにしている。ピストン摺接面10の表面粗さは、ホーニング工具の砥石の粒度を選定することによって容易に所望の粗度に設定することができる。すなわち、第1実施形態及び第2実施形態では、粗面化の度合いを制御することが容易である。
また、ホーニング加工は、真円加工や円筒加工を行うための既存設備を使用すればよいので、ホーニング加工を行うことにしたことに伴って設備投資が高騰することもない。
しかも、上記した第1実施形態及び第2実施形態の双方によれば、亜鉛皮膜形成処理を1回のみ行えばよく、従って、メッキ前処理を短時間で簡便に行うことができるという利点がある。その上、多種の薬液を管理する必要もない。
なお、第1実施形態及び第2実施形態は、SiC−Ni系メッキ皮膜を設ける場合を例示して説明したが、メッキ皮膜は特にこれに限定されるものではなく、Ni−P系メッキ皮膜、Feメッキ皮膜、Coメッキ皮膜、Ni−Cu合金メッキ皮膜であっても同様の効果が得られる。
また、メッキ皮膜に対して前記の熱処理を行った際に該メッキ皮膜に膨張した部位や剥離した部位が生じた場合、メッキ皮膜の品質が不良であると判定するようにしてもよい。
第1実施形態に係るメッキ処理方法のフローチャートである。 ピストン摺接面の要部拡大断面図である。 ホーニング加工後のピストン摺接面の要部拡大説明図である。 最大高さRzの定義を説明するための説明図である。 第2実施形態に係るメッキ処理方法のフローチャートである。 ピストン摺接面の最大高さRzと、亜鉛皮膜上に形成されるメッキ皮膜の接合強度との関係を示すグラフである。 ピストン摺接面の実表面積/見掛け表面積と、亜鉛皮膜上に形成されるメッキ皮膜の接合強度との関係を示すグラフである。
符号の説明
10…ピストン摺接面 12…下地
14…加工変質層 16…酸化物層
18…堆積層 20…不純物
22…凸部

Claims (5)

  1. アルミニウム合金からなるシリンダブロックのボアのピストン摺接面に対してメッキ皮膜を設けるメッキ処理方法において、
    砥石を有するホーニング工具で前記ピストン摺接面を2μm以上研削するとともに、該ピストン摺接面の最大高さが20μm以下、且つ実表面積/見掛け表面積が1.4m2/m2以上となるまで倣い加工を行う工程と、
    研削された前記ピストン摺接面に亜鉛皮膜を形成する工程と、
    前記亜鉛皮膜上にメッキ皮膜を形成する工程と、
    を有することを特徴とするメッキ処理方法。
  2. 請求項1記載の処理方法において、前記メッキ皮膜に対して熱処理を施す工程をさらに有することを特徴とするメッキ処理方法。
  3. アルミニウム合金からなるシリンダブロックのボアのピストン摺接面に対してメッキ皮膜を設けるメッキ処理方法において、
    砥石を有するホーニング工具で前記ピストン摺接面を2μm以上研削するとともに、該ピストン摺接面の最大高さが20μm以下、且つ実表面積/見掛け表面積が1.2m2/m2以上となるまで倣い加工を行う工程と、
    研削された前記ピストン摺接面に亜鉛皮膜を形成する工程と、
    前記亜鉛皮膜上にメッキ皮膜を形成する工程と、
    前記メッキ皮膜に対して熱処理を施す工程と、
    を有することを特徴とするメッキ処理方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の処理方法において、前記ホーニング工具として粒度が#80〜#1000の砥石を有するものを使用することを特徴とするメッキ処理方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の処理方法において、前記ホーニング工具を回転動作させるとともに前記ボアの深さ方向に沿って進退動作させることを特徴とするメッキ処理方法。
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