JP2006231973A - ステアリング操作装置 - Google Patents

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Yasuharu Terada
康晴 寺田
Yuji Kanfu
勇治 関冨
Toru Takahashi
亨 高橋
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Abstract

【課題】ステアリングホイールの操舵角を減少させる弾性反力の変化勾配が操舵角の大きさによって異なるステアリング操作装置を得る。
【解決手段】ステアリング操作装置に、操舵操作に応じて変位するスライド部材132と、そのスライド部材132の変位量を減少させる弾性反力を発生する左右1対の弾性反力発生機構170とを設ける。それら弾性反力発生機構170の各々は、メインスプリング152と調節用スプリング154とを有しており、メインスプリング152によってスライド部材132の変位量を減少させる弾性力を発生させ、スライド部材132の変位量がSt1以下の状態で調節用スプリング154によってメインスプリング152の弾性力と逆向きの弾性力を発生させる。そのことにより、変位量がSt1以下の状態の弾性反力の変化勾配が、St1を超えた状態の弾性反力の変化勾配よりも大きくなる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、弾性反力を操作部材に付与する弾性反力を発生する弾性反力発生機構を備えたステアリング操作装置に関する。
ステアリング操作装置は、例えば、車両,航空機,船舶等,あるいはそれらの操縦シミュレーション装置等に設けられる。例えば、車両においては、いわゆるステアバイワイヤ式のステアリングシステムに配設することが検討されている。ステアバイワイヤ式のステアリングシステムは、操作部材と転舵装置とが機械的に分離した状態で作動するため、車輪の転舵時等に転舵装置が発生する反力が操作部材に伝達されない。そのため、ステアリング操作装置に反力付与機構を設けることによって操舵操作に対する操作反力を付与し、操舵操作の手応えを運転者が感じられるようにすることが多い。下記特許文献には、弾性反力付与装置を備えたステアリング操作装置が記載されている。弾性反力付与装置は、操作部材と連係して作動し、操舵操作に応じて自身が備える弾性体が変形することによって弾性反力を発生させる構造を有しており、その弾性反力が操作部材に伝達されて操作反力として付与される。
特開平10−71957号公報 特開2000−53008号公報
上記特許文献1には、操舵操作に応じて左右に変位させられるピストンと、そのピストンの左右の弾性体たるコイルスプリングが圧縮変形させられて弾性反力を発生する弾性反力付与装置が記載されている。その弾性反力付与装置は、駆動電力を消費しないというメリットがある反面、コイルスプリングのばね定数は全ての操作位置において等しくされており、目的に応じた反力付与特性を得ることが難しいという問題がある。そのような問題は、ステアリング操作装置の操作性を向上させること等、実用性を向上させる上で障害となり得る問題の一例であり、弾性反力付与装置を備えたステアリング操作装置には種々の観点からの改良の余地がある。すなわち、弾性反力付与装置を備えたステアリング操作装置に種々の改良を施すことによって、ステアリング操作装置の実用性を向上させることができる。本発明は、そういった実情を鑑みてなされたものであり、より実用的なステアリング操作装置を得ることを課題としてなされたものである。
上記課題を解決するために、本発明のステアリング操作装置は、操作部材の操舵量を減少させる弾性反力を発生する弾性反力発生機構を備え、その弾性反力発生機構が、主たる弾性反力源として設けられた主弾性体と、その主弾性体の弾性力と逆向きの弾性力を発生させることによって弾性反力の大きさを調節する調節用弾性体とを含んで構成され、操作部材の操舵量が設定量以下の状態において、主弾性体の弾性力と調節用弾性体の弾性力とに基づく弾性反力を発生させるとともに、前記操作部材の操舵量が設定量を超えた状態において、主弾性体の弾性力に基づく弾性反力を発生させる構造とされたことを特徴とする。
本発明のステアリング操作装置は、弾性反力発生機構によって、操舵量が0から設定量以下の状態において、主弾性体の弾性力のうちの調節用弾性体の弾性力を超えた分の力によって弾性反力を発生させ、操舵量が設定量を超えた状態において、主弾性体の弾性力によって弾性反力を発生させる。そのことにより、本発明のステアリング操作装置は、操舵量が0から設定量以下の状態と、設定量を超えた状態とでは、弾性反力の特性を異ならせることができる。つまり、操舵量が設定量以下の状態では、主弾性体と調節用弾性体とが発生させる弾性力に基づいた反力特性となり、設定量を超えた状態では、主弾性体が発生させる弾性力に基づいた反力特性となるのである。すなわち、本発明のステアリング操作装置は、弾性反力の特性を異ならせることによって、より適切な弾性反力を操舵量に応じて発生させることができ、より実用的なものとされているのである。なお、本発明のステアリング操作装置の各種態様およびそれらの作用および効果については、以下の、〔発明の態様〕の項において詳しく説明する。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に、(5)項と(7)項とを合わせたものが請求項2に、(9)項が請求項3に、(12)項が請求項4に、(14)項が請求項5に、(15)項が請求項6に、(16)項が請求項7に、(17)項が請求項8に、それぞれ相当する。
(1)操舵操作によって操舵量が増減させられる操作部材と、
前記操作部材の操舵量を減少させる弾性反力を発生させる弾性反力発生機構とを備えたステアリング操作装置であって、
前記弾性反力発生機構が、
主たる弾性反力源として設けられ、前記操作部材の操舵量の増加に伴い変形量が増加させられるとともに、その変形量に応じた大きさの弾性力を発生させる主弾性体と、
前記操作部材の操舵量の増加に伴い変形量が減少させられるとともに、その変形量の減少に応じて大きさが減少しかつ前記主弾性体の弾性力と逆向きの弾性力を発生させることにより、弾性反力の大きさを調節する調節用弾性体とを含んで構成され、
前記操作部材の操舵量が設定量以下の状態において、前記主弾性体の弾性力と前記調節用弾性体の弾性力とに基づく弾性反力を発生させるとともに、前記操作部材の操舵量が設定量を超えた状態において、前記主弾性体の弾性力に基づく弾性反力を発生させる構造とされたことを特徴とするステアリング操作装置。
本項に記載のステアリング操作装置は、例えば、1つの弾性反力発生機構によって、操作部材の全操舵範囲のうちの中立位置を挟んで設定された左右の操舵範囲の少なくとも一方の範囲において、操作部材にその操舵量を減少させる弾性反力を付与するものとすることができる。例えば、本項に記載のステアリング操作装置が、操舵方向に拘わらず、操作部材の操舵量の増減に伴い設定された向きに変位させられる変位体を備えている場合には、その変位体の変位量を減少させる弾性反力を1つの弾性反力発生機構によって発生させることにより、全操舵範囲において操作部材に操舵量を減少させる弾性反力を付与することができる。また、例えば、本項に記載のステアリング操作装置が、1つの弾性反力発生機構によって、上記左右の操舵範囲の一方の範囲において操作部材に操作反力を付与するものとすることができる。その場合には、上記左右の操舵範囲の他方の範囲において、例えば、もう1つ別の弾性反力発生機構によって操作部材に弾性反力を付与する態様、すなわち、2つの弾性反力発生機構によって、左右の操舵範囲の各々において操作部材に操舵量を減少させる弾性反力を付与する態様とすることができる。
なお、本項に記載のステアリング操作装置は、例えば、弾性反力発生機構が発生させた弾性反力を操作部材に機械的に伝達することにより、操作部材に弾性反力を付与する構造とすることができる。その場合に、本項に記載のステアリング操作装置を、例えば、弾性反力発生機構が発生させた弾性反力を減速機構等によって増減して操作部材に付与する態様とすることや、弾性反力発生機構が発生させた弾性反力を直接的に操作部材に付与する態様とすることができる。
本項に記載の弾性反力発生機構は、主弾性体と調節用弾性体とを備えている。主弾性体は、例えば、少なくとも一方の操舵範囲において、操舵量が0から最大量に至るまで、その操舵量の増加に伴い変形量が増加させられて弾性力を発生させるものとすることができる。その主弾性体は、変形量を減少させる向きの弾性力を発生させ、その弾性力の作用によって弾性反力が操作部材に付与される。一方、調節用弾性体は、例えば、少なくとも一方の操舵範囲において、操舵量が0から設定量に至るまで、その操舵量の増加に伴い変形量が減少させられ、発生させる弾性力が減少するものとすることができる。その調節用弾性体の弾性力は、主弾性体の弾性力と逆向きとされ、主弾性体の変形量を増加させる向きに作用して、弾性反力発生機構が発生する弾性力の大きさを減少させて調節する。
すなわち、本項に記載の弾性反力発生機構は、操舵量が0から設定量以下の状態において、主弾性体の弾性力のうちの調節用弾性体の弾性力を超えた分の力によって、弾性反力を発生させるのである。また、本項に記載の弾性反力発生機構は、操舵量が設定量を超えた状態において、主弾性体の弾性力によって、弾性反力を発生させるのである。そのことにより、本項に記載の弾性反力発生機構は、操舵量が0から設定量以下の状態と、設定量を超えた状態とでは、弾性反力の特性を異ならせることができる。つまり、操舵量が設定量以下の状態では、主弾性体と調節用弾性体とが発生させる弾性力に基づいた反力特性となり、設定量を超えた状態では、主弾性体が発生させる弾性力に基づいた反力特性となる。すなわち、本項に記載の弾性反力発生機構は、操舵量によって弾性反力の特性を異ならせることによって、より適切な弾性反力を操舵量に応じて発生させることができ、ステアリング操作装置の実用性を向上することができるのである。
上述の反力特性の1つとして、例えば、操舵量の変化に対する弾性反力の変化勾配が挙げられる。具体的に説明する。上記主弾性体の弾性力は操舵量が減少するのに伴い減少するのに対し、上記調節用弾性体の弾性力は操舵量が減少するのに伴い増加するため、操舵量が設定量以下の状態では、操舵量の減少に伴う弾性反力の減少量が多くなる。そのため、例えば、主弾性体および調節用弾性体のばね定数が操舵量の変化に拘わらず一定であるとすると、調節用弾性体の弾性力によって弾性反力が減少させられることにより、操舵量が0から設定量以下の状態での弾性反力の変化勾配は、設定量を超えた状態での弾性反力の変化勾配よりも大きくなる。すなわち、本項に記載の弾性反力発生機構は、例えば、操舵量が設定量以下の状態では弾性反力の変化勾配を比較的大きく、操舵量が設定量を超えた状態での弾性反力の変化勾配を比較的小さくすることができるのである。
なお、操舵量が0の状態、すなわち、操作部材が中立位置に位置した状態において、主弾性体の弾性力と調節用弾性体の弾性力とが釣り合うことは必要不可欠ではなく、例えば、主弾性体の弾性力が調節用弾性体の弾性力よりも大きい状態であってもよい。その様な場合には、例えば、先に述べたように、本項に記載の弾性反力発生機構を2つ備えた態様において、操作部材が中立位置に位置した状態で、それら2つの弾性反力発生機構を互いの弾性力が釣り合うように配設することができる。その様な場合には、後に説明するように、例えば、本項の弾性反力発生機構を、主弾性体の変形量が、主弾性体の弾性力と調節用弾性体の弾性力とが釣り合う状態での変形量よりも小さくならない構造とすることができる。つまり、例えば、本項の弾性反力発生機構は、主弾性体の変形量が、主弾性体の弾性力と調節用弾性体の弾性力とが釣り合う状態での変形量よりも大きい状態においてのみ、弾性反力を発生させる構造とすることができる。
本項に記載の主弾性体および調節用弾性体は、例えば、ばね材,ゴム材(天然ゴム,合成ゴム等),気体等によって構成することができる。また、主弾性体と調節用弾性体とが異なる材質の部材であってもよい。例えば、主弾性体をばね部材、調節用弾性体をゴム部材で構成することができる。また、ばね部材の形状は、コイル状、板状、円弧状、螺旋状等、弾性反力発生機構の態様に応じて種々の形状のものを採用することができる。なお、本項に記載の弾性反力発生機構は、例えば、主弾性体を複数備えることや、調節用弾性体を複数備えることができる。
(2)前記弾性反力発生機構が、前記操作部材の操舵量が前記設定量となった状態において、前記調節用弾性体の変形量が零になるように構成された(1)項に記載のステアリング操作装置。
本項に記載の弾性反力発生機構の弾性反力の特性は、操舵量が設定量となる前後の状態で異なっている。そのため、操舵量が設定量となった状態において、調節用弾性体の変形量が零となるようにすることにより、例えば、操舵量が設定量を超えて変化する際に弾性反力の大きさが急激に変化することを防止することができる。なお、主弾性体と調節用弾性体との操舵量の変化量に対する変形量の変化量が同じ場合には、例えば、操舵量が0の状態における調節用弾性体の変形量が、操舵量が最大量の状態における主弾性体の変形量よりも小さくなるようにすることにより、本項に記載の態様を容易に実現することができる。
(3)前記弾性反力発生機構が、前記調節用弾性体のばね定数が、前記主弾性体のばね定数よりも大きくされた(1)項または(2)項に記載のステアリング操作装置。
操舵量が設定量以下の状態において、調節用弾性体のばね定数を大きくするほど、弾性反力の変化勾配も大きくなる。すなわち、本項に記載の態様は、操舵量が設定量以下の状態での弾性反力の変化勾配を大きくしたい場合に好適である。例えば、弾性反力が小さい中立位置付近において弾性反力の変化勾配を大きくすることができる。
(4)前記弾性反力発生機構が、前記操作部材が中立位置に位置する状態において、前記主弾性体の弾性力が前記調節用弾性体の弾性力以上になるように、前記主弾性体が変形させられている構造とされた(1)項ないし(3)項のいずれかに記載のステアリング操作装置。
本項に記載の弾性反力発生機構は、操作部材が中立位置に位置する状態、つまり、操舵量が0の状態において、主弾性体の弾性力が調節用弾性体の弾性力以上になるようにされており、前述の少なくとも一方の操舵範囲において操作部材の操舵量を減少させる向きの弾性力を発生させることができる。
(5)当該ステアリング操作装置が、変位体を有して前記操作部材の操舵量の増減に応じて前記変位体の変位量を増減させる変位体変位機構を備えた(1)項ないし(4)項のいずれかに記載のステアリング操作装置。
変位体変位機構によって操作部材の操舵量の変化に応じて変位体を変位させることにより、例えば、変位体によってその変位量の増加に伴い主弾性体の変形量を増加させることができる。すなわち、操舵量の増減に応じて主弾性体の変形量を増減させることができるのである。その場合には、主弾性体の弾性力は変位体の変位量を減少させる向きに作用し、主弾性体の弾性力(あるいは、主弾性体の弾性力のうちの調節用弾性体の弾性力を超えた分の力)によって、変位体変位機構を介して操作部材に弾性反力が付与されるように構成することができる。
変位体変位機構は、例えば、変位体を直線的に変位させるものとすることや、変位体を回転変位させるもの等とすることができる。変位体が直線的に変位させられる場合には、例えば、主弾性体にゴム部材,圧縮(あるいは、引張)コイルスプリング等を使用し、変位体の直線変位によってゴム部材,コイルスプリング等を圧縮(あるいは、伸長)変形させることができる。また、変位体が回転変位させられる場合には、例えば、主弾性体として渦巻きばね,捩りコイルスプリング等を使用し、変位体の回転変位によって渦巻きばね,捩りコイルスプリング等を捩り変形させることができる。また、変位体変位機構は、例えば、操作部材の回転操作に応じて変位体を回転変位させる等、変位体に操作部材になされた操作と同様な動きをさせるものとすることができる。また、例えば、操作部材の回転操作に応じて変位体を直線的に変位させる等、変位体に操作部材になされた操作と異なる動きをさせるものとにすることができる。
(6)当該ステアリング操作装置が、一端部に前記操作部材が取り付けられた回転軸を備え、前記変位体変位機構が、前記回転軸の回転を前記変位体の直線的な変位に変換する運動変換機構を備えた(5)項に記載のステアリング操作装置。
操作部材が、例えば、ステアリングホイールとされた場合には、操作部材が回転操作される。その場合には、変位体変位機構が、例えば、ボールナット機構やラック&ピニオン機構等の機構によって、操作部材の回転に応じて変位体を直線的に変位させることができる。そのことにより、例えば、主弾性体に、汎用性の高い圧縮(あるいは、引張り)コイルスプリングやゴム部材等を使用することができる。
(7)前記弾性反力発生機構が、前記変位体の変位量の増加に伴い前記主弾性体の変形量が増加させられるように構成された(5)項または(6)項に記載のステアリング操作装置。
本項の態様において、例えば、主弾性体が、変位体に直接係合するようにすることができる。例えば、主弾性体が圧縮コイルスプリングである場合は、変位体と弾性反力発生機構本体とに挟まれて圧縮変形させられるように配設することができる。また、例えば、主弾性体が、何らかの部材等を介して変位体と間接的に係合するようにすることもできる。具体的には、例えば、本項に記載の弾性反力発生機構が変位体と係合する係合体(後の態様に記載)を備えている場合は、主弾性体が、その係合体と係合するようにすることができる。
(8)前記弾性反力発生機構が、前記変位体の変位量が前記操作部材の操舵量が前記設定量以下となる状態においてのみ、前記変位体の変位量の増加に伴い前記調節用弾性体の変形量が減少させられるように構成された(5)項ないし(7)項のいずれかに記載のステアリング操作装置。
本項に記載の態様によれば、変位体の変位量の増加に伴い調節用弾性体の変形量が減少させられることにより、操舵量の増加に伴い調節用弾性体の変形量を減少させることができる。なお、操舵量が前記設定量以下となる状態において、変位体には、主弾性体の弾性力のうちの調節用弾性体の弾性力を超えた分の力が、変位量を減少させる向きに作用する。本項の態様は、例えば、調節用弾性体が主弾性体に直接係合するように構成することができる。具体的には、例えば、主弾性体が変位体と係合する係合部を有する場合には、その係合部に調節用弾性体が係合して調節用弾性体の弾性力の作用によって主弾性体の変形量を増加させるように構成することができる。逆に、調節用弾性体の変形量が、主弾性体の弾性力によって増加させられると捉えることもできる。また、具体的には、例えば、主弾性体が、何らかの部材等(例えば、後の態様に記載の係合体等)を介して変位体と間接的に係合する場合には、その部材等に調節用弾性体の弾性力が主弾性体の弾性力と逆向きに作用するように、その部材等に調節用弾性体を係合させることができる。
(9)前記弾性反力発生機構が、
前記変位体と係合してその変位体の変位量の増加に伴い移動させられるとともに、前記主弾性体と係合しかつ前記変位体の変位量が設定変位量以下の状態においてのみ前記調節用弾性体と係合する係合体を備え、
その係合体の移動量の増加に伴い前記主弾性体の変形量を増加させるとともに、前記変位体の変位量が設定変位量以下の状態においてのみ前記係合体の移動量の増加に伴いその調節用弾性体の変形量を減少させることにより、前記変位体の変位量が設定変位量以下の状態において前記主弾性体の弾性力と前記調節用弾性体の弾性力との合力を前記変位体に作用させる一方、前記変位体の変位量が設定変位量を超えた状態において前記主弾性体の弾性力を前記変位体に作用させるように構成された(5)項ないし(8)項のいずれかに記載のステアリング操作装置。
本項に記載の弾性反力発生機構は、変位体によって移動させられる係合体を備えた態様である。本項に記載の態様のように、係合体に主弾性体と調節用弾性体とを係合させることにより、主弾性体の弾性力と調節用弾性体の弾性力との合力、つまり、主弾性体の弾性力のうちの調節用弾性体の弾性力を超えた分の力を係合体から変位体に作用させることができる。係合体は、例えば、変位体の変位方向に移動可能に保持されたものとすることができる。例えば、主弾性体および調節用弾性体が圧縮変形させられて弾性力を発生させるものである場合には、係合体の変位体と反対側の位置に主弾性体を配設し、係合体が変位体に押されて移動するのに伴って主弾性体の圧縮変形量が増加するようにすることができる。一方、係合体の変位体側の位置に調節用弾性体を配設し、係合体が変位体に押されて移動するのに伴って調節用弾性体の圧縮変形量が減少するようにすることができる。
(10)前記変位体が、設定された変位方向に直線的に変位させられるものであり、
前記係合体が、前記変位体の前記変位方向に延びるロッド部とそのロッド部の両端部の各々に設けられた2つの鍔部とを有するとともに自身の両端部の一方において前記変位体と係合する鍔付ロッドによって構成され、
前記弾性反力発生機構が、前記2つの鍔部の間の位置に配設された支持体を備えるとともに、その鍔付ロッドの軸方向の移動に伴い前記2つの鍔部の各々と前記支持体との間隔が増減する構造とされ、
前記主弾性体が、前記操作部材が中立位置に位置する際に圧縮変形させられた状態で、前記鍔付ロッドの前記変位体側の鍔部と前記支持体とに挟まれて配設され、
前記調節用弾性体が、前記操作部材が中立位置に位置する際に圧縮変形させられた状態で、前記鍔付ロッドの前記変位体とは反対側の鍔部と前記支持体とに挟まれて配設され、かつ、前記操作部材が中立位置に位置する際の変形量が前記変位体によって前記鍔付ロッドが移動させられることが可能な量に比較して小さくされた(9)項に記載のステアリング操作装置。
(11)前記変位体が、設定された変位方向に直線的に変位させられるものであり、
前記係合体が、前記変位体と当接することにより係合する面である変位体側係合面を有して前記変位体によって前記変位体側係合面を押されて前記変位体の変位方向に移動させられる移動体によって構成されるとともに、
前記弾性反力発生機構が、軸線方向において前記移動体の前記変位体側係合面の反対側にその移動体と設定距離離間して設けられた第1支持体と、前記移動体の前記変位体側係合面の側にその移動体と設定距離離間して設けられた第2支持体とを備え、
前記主弾性体が、前記操作部材が中立位置に位置する際に圧縮変形させられた状態で、軸線方向において前記移動体の前記変位体側係合面の反対側の面と前記第1支持体とに挟まれて配設されたものであり、
前記調節用弾性体が、前記操作部材が中立位置に位置する際に圧縮変形させられた状態で、前記移動体と第2支持体との間に挟まれて配設され、かつ、前記操作部材が中立位置に位置する際の変形量が前記変位体によって前記移動体が移動させられることが可能な量に比較して小さくされた(9)項に記載のステアリング操作装置。
上記2つの項に記載の態様は、前述の係合体の具体的な構成を示す態様である。
(12)前記変位体変位機構が、操舵方向に拘わらず、前記操作部材の操舵量の増減に伴い前記変位体の設定された向きの変位量を増減させる構造とされ、
前記弾性反力発生機構が、前記変位体の変位量の増加に伴い前記主弾性体の変形量が増加させられることにより、前記操作部材の全ての操舵範囲において前記弾性反力を発生させるように構成された(5)項ないし(11)項のいずれかに記載のステアリング操作装置。
本項に記載の態様は、1つの弾性反力発生機構によって、全操舵範囲において操作部材に操舵量を減少させる弾性反力を付与する態様である。変位体変位機構は、例えば、操舵量の増減に応じて変位体の設定された向きへの直線的な移動量,あるいは回転量を増減させるものとすることができる。
(13)前記弾性反力発生機構が、前記操作部材が中立位置に位置する状態において、前記主弾性体の弾性力と前記調節用弾性体の弾性力とが釣り合う構造とされた(1)項ないし(12)項のいずれかに記載のステアリング操作装置。
本項に記載の弾性反力発生機構は、主弾性体の弾性力と調節用弾性体の弾性力とが釣り合うことにより、中立位置に位置する操作部材に、主弾性体の弾性力が作用しないようにされた態様である。
(14)当該ステアリング操作装置が、左右旋回操舵の各々に対応する中立位置を挟む左右の操舵範囲の一方を分担範囲とし、その分担範囲において前記弾性反力発生機構が前記操作部材に弾性反力を付与する構造とされ、
前記弾性反力発生機構が、前記変位体が前記分担範囲に対応する変位区間に位置する場合に、前記変位体の変位量の増加に伴い前記主弾性体の変形量が増加させられるように構成された(5)項ないし(11)項のいずれかに記載のステアリング操作装置。
本項に記載の態様は、左右の操舵範囲のうちの一方を1つの弾性反力発生機構が分担する態様である。例えば、右方向の操舵範囲を分担範囲とすれば、右方向に操舵量が増加した際に、右方向の分担範囲に対応する変位区間に位置する変位体の変位量を減少させる弾性反力を発生することによって、操作部材に操舵量を減少させる弾性反力を付与するのである。なお、本項に記載の弾性反力発生機構を、操舵量が0の状態において、例えば、主弾性体の弾性力と調節用弾性体の弾性力とが釣り合うように、あるいは主弾性体の弾性力が調節用弾性体の弾性力よりも大きくなるように構成することができる。
(15)当該ステアリング操作装置が、前記弾性反力発生機構を2つ備え、
それら2つの弾性反力発生機構が対をなすとともに、それらの各々が、前記変位体が前記分担範囲に対応する変位区間に位置する場合に、前記主弾性体がその変位体と係合してその変位体の変位量に応じて変形量が増加させられるように配設された(14)項に記載のステアリング操作装置。
本項に記載の態様は、1対の弾性反力発生機構を備え、左右の操舵範囲のうちの一方の範囲を一方の弾性反力発生機構が分担するとともに、他方の操舵範囲を他方の弾性反力発生機構が分担するようにされた態様である。なお、1対の弾性反力発生機構が互いに同一の構成とされた場合には、例えば、左右いずれに操作されても同じ特性の弾性反力を付与することができる。
(16)前記2つの弾性反力発生機構の各々が、前記操作部材が中立位置に位置した状態において、前記主弾性体の弾性力が前記調節用弾性体の弾性力よりも大きくなる構造とされた(15)項に記載のステアリング操作装置。
本項に記載の弾性反力発生機構は、主弾性体の弾性力のうち、調節用弾性体の弾性力を超えた分の力によって弾性反力を発生させるものである。本項の態様は、中立位置に位置した操作部材に、調節用弾性体の弾性力を超えた主弾性体の弾性力が作用する。しかしながら、その弾性力は、自身が分担しない方の操舵範囲を受け持つ他の弾性反力発生機構によって打ち消されるようにすることができる。
(17)前記2つの弾性反力発生機構の各々が、前記分担範囲とそれと中立位置を挟んで連続する前記分担範囲と対向する前記操舵範囲である対向範囲の一部の範囲とを合わせた範囲に対応する変位区間に前記変位体が位置する場合に、その変位体が前記分担範囲において操舵量が増加する際の変位方向に変位することによって前記主弾性体の変形量が増加させられるとともに、前記変位体が前記対向範囲に属する側の終端位置に位置する状態において、前記主弾性体の弾性力と前記調節用弾性体の弾性力とが釣り合う構造とされた(15)項または(16)項に記載のステアリング操作装置。
本項に記載の態様は、分担範囲だけでなく、分担範囲と対向範囲(分担範囲ではない方の操舵範囲であり、「非分担範囲」と称することもできる)の一部の範囲とを合わせた範囲において、主弾性体が変位体によって変形させられるものである。主弾性体は、変位体を分担範囲に対応する区間から対向範囲の一部の範囲に対応する区間に変位させる向きの弾性力を発生させる。つまり、本項に記載の態様では、操作部材が分担範囲に位置する場合には、主弾性体の弾性力(あるいは、主弾性体の弾性力のうちの調節用弾性体を超える力)が、操作部材を中立位置に近づける向きの弾性反力として作用するが、操作部材が分担範囲ではない方の前記操舵範囲に位置する場合には、主弾性体の弾性力のうちの調節用弾性体を超える力が、操作部材を中立位置から遠ざける向きに作用する。しかしながら、2つの弾性反力発生機構の各々の弾性反力は、互いに逆向きであり、一方の弾性反力発生機構の分担範囲においては、その一方の弾性反力発生機構が発生させる弾性反力が他方の弾性反力発生機構の弾性反力よりも大きいため、全体としては左右いずれの操舵範囲においても、操作部材を中立位置に近づける向きの弾性反力が付与されるのである。
なお、一方の弾性反力発生機構の弾性反力は、他方の弾性反力発生機構の弾性反力によって減少させられることとなり、その範囲において、一方の弾性反力発生機構の弾性反力の変化勾配が大きくなる。それは、他方の弾性反力発生機構が調節用弾性体と同様な作用を果たすからである。後の実施例で説明するように、その現象を調節用弾性体の作用と合わせて積極的に活用すれば、例えば、分担範囲における弾性反力の特性の違いの程度を大きくすることができる。また、分担範囲における弾性反力の特性を、例えば、3段階に異ならせること等ができる。
(18)前記2つの弾性反力発生機構の各々が、操舵操作が前記対向範囲側になされて操舵量が前記設定量を超えた状態において、前記変位体が前記対向範囲に属する側の前記終端位置に位置する構造とされた(17)項に記載のステアリング操作装置。
本項に記載の態様は、2つの弾性反力発生機構の両者が弾性反力を発生させる範囲である重複範囲を規定するものである。例えば、重複範囲を操舵量が設定量以下の範囲とすることもできる。それに対して、本項に記載の態様は、重複範囲を操舵量が設定量を超えた範囲としており、比較的広い範囲において2つの弾性反力発生機構の両者が弾性反力を発生させる態様である。本項に記載の態様が、例えば、主弾性体および調節用弾性体のばね定数が変形量に拘わらず一定である場合は、操舵量によって弾性力を発生させる弾性体の数を異ならせることにより、例えば、弾性反力の変化勾配を3段階に異ならせることができる。具体的には、例えば、(i)操舵量が0から設定量まで、(ii)操舵量が設定量から、設定量と最大量との間の量まで、(iii)設定量と最大量との間の量から最大量まで、の3つの範囲において弾性反力の変化勾配が順次小さくなるようにすることができる。
(19)前記2つの弾性反力発生機構が、前記操作部材が中立位置に位置する状態において、互いの弾性反力が釣り合うように配設された(15)項ないし(18)項のいずれかに記載のステアリング操作装置。
操作部材が中立位置に位置する状態において、2つの弾性反力発生機構の各々の弾性反力が釣り合うことにより、操舵操作がなされなければ弾性反力によって操作部材を中立位置に位置させることができる。
(20)前記弾性反力発生機構が、前記操作部材が中立位置に位置する状態において、前記主弾性体の弾性力と前記調節用弾性体の弾性力とが釣り合う構造とされた(14)項または(15)項に記載のステアリング操作装置。
主弾性体の弾性力と調節用弾性体の弾性力とが釣り合うことにより、中立位置に位置する操作部材に、主弾性体の弾性力が作用しないようにされた態様である。
以下、本発明のいくつかの実施例およびその変形例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本発明は、決して下記の実施例に限定されるものではなく、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
1. ステアリングシステムの概要.
図1に、請求可能発明の一実施例であるステアリング操作装置を備えたステアリングシステムを概略的に示す。本システムは、いわゆるステアバイワイヤ型のシステムであり、操作部10と、転舵部12とが機械的に分離され、操作部材としてのステアリングホイール14に加えられる操作力によらずに、転舵部12に設けられた動力源の動力によって転舵車輪16(以下、単に「車輪16」という場合がある)を転舵するステアリングシステムである。
操作部10には、操作部材たるステアリングホイール14を備え、そのステアリングホイール14を操作可能に支持するステアリング操作装置20が設けられている。そのステアリング操作装置20には、ステアリングホイール14が取り付けられた回転軸たるシャフト22,そのシャフト22に連結されてステアリングホイール14を中立位置に近づける向きの反力を付与する中立方向反力付与装置30,シャフト22を回転可能に支持するシャフト保持機構34,およびシャフト22に駆動力を付与する反力調整モータ36が設けられている。すなわち、ステアリング操作装置20は、中立方向反力付与装置30および反力調整モータ36によって、シャフト22を介してステアリングホイール14に操作反力を付与する構造とされているのである。それらの詳細については後述する。
転舵部12には、車輪16を転舵させる転舵装置40が設けられている。その転舵装置40は、転舵ハウジング42と、その転舵ハウジング42を車幅方向に貫通した状態で支持された転舵ロッド44とを備えている。その転舵ロッド44は両端部の各々において、ボールジョイント46を介してタイロッド50と連結されている。そのタイロッド50は、車輪16を回転可能に保持するステアリングナックル52に固定されたナックルアーム54に連結されている。また、転舵装置40は、転舵モータ56を備えており、その転舵モータ56の駆動力によって転舵ロッド44を駆動する。すなわち、転舵装置40は、転舵ロッド44を左右に駆動することによって、ステアリングナックル52を回転させ、車輪16の転舵を行うのである。
本実施例において、転舵装置40には、車輪16の転舵位置を取得するための転舵位置センサ60が設けられている。その転舵位置センサ60は、転舵ロッド44に形成されたラックギヤに噛み合うピニオンギヤの回転位置を検出するものとされている。ピニオンギヤは、転舵ロッド44が軸方向に移動するのに伴い回転させられるため、そのピニオンギヤの回転位置を取得すれば転舵ロッド44の移動によって転舵させられる車輪16の転舵位置を取得することができるのである。
2. ステアリング操作装置.
図2にステアリング操作装置20の断面を模式的に示す。この図は、上方からの視点における断面図であり、図の右側が車両後方側、つまり運転者側であり、ステアリング操作装置20の後方端部に図示を省略するステアリングホイール14(操作部材)が取り付けられる。具体的には、シャフト22は、後方端部を除き中空とされており、後端部である小径部62の外周にセレーションが形成されており、その小径部62が、ステアリングホイール14のボス部と嵌合するようにされている。なお、以下の説明において、車両前方側を「前」,車両後方側を「後」と呼び分けることとする。
2.1. シャフト保持機構.
シャフト保持機構34は、一体として形成されたシャフト保持機構本体64(以下、単に「本体64」という場合がある)を有しており、シャフト22は、その本体64に回転可能に保持される。詳しく言えば、本体64に形成された保持穴66の内周面の後端部および前端部付近のそれぞれに軸受68が保持されており、シャフト22の前端部および中間部が、それぞれ、軸受68を介して保持されているのである。また、本体64の下部にはフランジ70が設けられており、そのフランジ70には締結穴72が形成されている。シャフト保持機構34は、そのフランジ70において車体(具体的には、インストゥルメントパネルのリインフォースメントに設けられた支持部材)に締結されているのである。また、シャフト保持機構34には、中立方向反力付与装置30と反力調整モータ36とが連結されており、ステアリング操作装置20はシャフト保持機構34において車体に固定されている。
シャフト保持機構34の内部には、ステアリングホイール14の操舵角(操舵量の一種である)を取得するための操舵角センサ74が設けられている。操舵角センサ74は、回転位置を表すコードが周上に設けられた円板状の回転コード板76と、その回転コード板76のコードを検出する光センサ78とを備えている。回転コード板76は、シャフト22の外周に嵌められてそのシャフト22と一体的に回転するようにされており、光センサ78の検出結果に基づいてシャフト22の回転位置を取得することができ、その回転位置に基づいてステアリングホイール14の操舵角を取得することができるのである。
2.2. 反力調整モータ.
反力調整モータ36は、ディスク状の電機子をロータとするいわゆるプリントモータと呼ばれる電磁式モータであり、扁平な形状をなしている。反力調整モータ36は、モータハウジング86を有し、出力軸としての概ね円筒形状をなす短いモータ軸88が、モータハウジング86の中央に形成された軸保持穴90において、軸受92を介して、モータハウジング86に回転可能に保持されている。本反力調整モータ36では、2枚のロータ94が、互いに離間する状態で、モータ軸88の外周部に相対回転不能に固定して設けられている。ロータ94は、一般的なプリントモータが備えるものと同様のものであるため説明は簡単なものに留めるが、コイル線を形成するように打ち抜かれた銅薄板が絶縁板を介して積層され、形成されたコイル線のいくつかのものどうしが電気な導通を確保されることで、平板に形成されたコイルを有する構造とされている。2枚のロータ94の間には、ステータとしての比較的薄い環状をなす永久磁石96が、2つのロータ94のそれぞれと小さい隙間を有する状態で、自身の外周がモータハウジング86に固定されて保持されている。この永久磁石も、通常のプリントモータが備えるものと同様のものである。2枚のロータ94の各々への通電は、各々のロータ94の表面に形成されたコイル線の一部分をコミュテータとして、各々2つのブラシ98によって行われる。
反力調整モータ36は、シャフト保持機構34に固定されている。詳しく言えば、自身のモータハウジング86とシャフト保持機構34の前端部の外面とが固定部材99によって接続されることで、シャフト保持機構34に固定されている。一方、モータ軸88には、シャフト22が、相対回転不能な状態で嵌入させられている。このような構造により、反力調整モータ36が回転することで、厳密に言えば、ロータ94が回転することで、シャフト22が回転するようにされている。つまり、反力調整モータ36の回転力は、シャフト22に接続されたステアリングホイール14の回転力として伝達される。運転者のステアリングホイール14の回転操作とは反対の方向に回転力を与えることで、操作反力が付与され、運転者の回転操作と同方向に回転力を与えることで、運転者の操作が助勢されるのである。
本反力調整モータ36は、ロータ94がコアを有していないため、比較的イナーシャが小さく、また、ロータ94への非通電時において永久磁石96の磁力がロータ94に作用することがなく、ステアリング操作におけるフィーリングに殆ど悪影響を与えない。また、2つのロータ94は、互いのトルクリップルが打ち消されるように位相をずらして設けられているため、円滑な回転が担保されている。つまり、本反力調整モータ36を用いることにより、操作フィーリングが良好な操作装置が実現するのである。さらに、本反力調整モータ56は、2つのロータ94が冗長化された状態にあり、一方の失陥によっても、モータの機能を喪失することがなく、信頼性が高いモータとされている。
2.3. 中立方向反力付与装置.
2.3.1 構成.
図3に、中立方向反力付与装置30の断面を示す。中立方向反力付与装置30は、概して円筒状をなすハウジング100を備えており、そのハウジング100は車幅方向に延びた状態で、先に述べたシャフト保持機構34の前方側に接続されている。具体的には、ハウジング100の後方には締結部102が設けられており、中立方向反力付与装置30は、締結部102においてシャフト保持機構34に締結されているのである(図2参照)。ハウジング100の中央上部は半円筒形状にされ、その内部にピニオンギヤ104が配設されている。そのピニオンギヤ104を相対回転不能に保持するピニオン軸106が、シャフト保持機構34に保持されるシャフト22の前端部に相対回転不能に嵌入されて固定されている。そのピニオン軸106は、中立方向反力付与装置30内まで延び出しており、そのピニオン軸106の先端部がハウジング100に軸受108を介して回転可能に保持されている(図2参照)。
ハウジング100の両端部には、各々の端部を閉塞する端部閉塞部材126が固定して設けられている。ハウジング100の内部には、両端の各々が端部閉塞部材126に支持されることで、断面が菱形をなすガイドロッド128が挿通させられている。ハウジング100の内部の中央には、外形断面形状が矩形をなして、長手方向に設けられた貫通穴130を有して、その貫通穴130を挿通したガイドロッド128にガイドされて摺動することによって変位体として機能するスライド部材132が、配設されている。スライド部材132の貫通穴130は、その断面が菱形をなし、その内面の表面には、低摩擦係数材料からなる減摩パッド134がライニングされている。減摩パッド134の表面とガイドロッド128の外表面とが摺接する構造とされることで、スライド部材132は、ガイドロッド128によって自身の回転が禁止されるとともに、ガイドロッド128に沿った左右方向への直線的な移動、すなわち、軌道形成部材としてのガイドロッド128によって定められた軌道上の移動が許容されている。
スライド部材132の上部には、ラック136が形成されており、ピニオンギヤ104は、そのラック136と噛合するものとされている。ピニオン軸106は、ステアリングホイール14の操作に応じて回転する回転軸として機能し、ステアリングホイール14の操作によって、スライド部材132が、それの操舵角に応じた位置まで、ガイドロッド128によって規定された軌道に沿って移動させられる。本実施例において、回転軸たるシャフト22の回転を変位体たるスライド部材132の直線的な変位に変換する「運動変換機構」が、ピニオンギヤ104とラック136とを含んで構成されている。また、その運動変換機構,ピニオン軸106,ガイドロッド128を含んで、ステアリングホイール14の操舵量の増減に応じて前記変位体の変位量を増減させる「変位体変位機構」が構成されている。
なお、図は、ステアリングホイール14が操作の中立位置に位置する状態、すなわち、車両を直進させる操舵角が0の状態を示している。その状態では、スライド部材132は、ハウジング100の中央に位置しているが、車両が右旋回するようにステアリングホイール14が操作された場合は、スライド部材132は、図における位置から右方向に移動し(図4参照)(車両の左側へ向かう方向であるが、中立方向反力付与装置30の説明においては、特に断りのない限り、スライド部材132の移動方向、各種構成要素の位置等は図における左右で表現するものとする)、逆に、左旋回するように操作された場合は、左方向に移動する。
ハウジング100内には、スライド部材132と左右の端部閉塞部材126の各々との間に、円筒状のロッド部140とそのロッドの両端部の各々に設けられた2つの鍔部142,144とを含んで構成された係合体たる鍔付ロッド146が配設されている。スライド部材132の両端部には比較的薄いゴムシート148が接着されており、スライド部材132はその板ゴム148を介して2つの鍔付ロッド146の各々と接している。2つの鍔部142,144の各々は、ハウジング100の内周面と設定されたクリアランスを保って摺接しており、鍔付ロッド146は軸方向に容易に移動できるようにされている。ハウジング100の内周部には、左右に配設された鍔付ロッド146の各々の2つの鍔部142の間に、それぞれ環状の区画壁150が設けられている。その区画壁150の中央を鍔付ロッド146のロッド部140が設定されたクリアランスを保って貫通させられており、鍔付ロッド146は軸方向に容易に移動できるようにされている。
なお、スライド部材132の両側は、同じ構成(左右対称)とされているため、以下の構成についての説明は、片側のみについて行うことにする。また、左右の区別を明確にするために、符号の後に記号「L」または「R」を付す場合がある。スライド部材132側の鍔部142と区画壁150との間には、主弾性体としてのメイン圧縮コイルスプリング(以下、単に「メインスプリング」と略す場合がある)152が配設されている。一方、端部側の鍔部144と区画壁150との間には、調節用弾性体としての調節用圧縮コイルスプリング(以下、単に「調節用スプリング」と略す場合がある)154が配設されている。その調節用スプリング154は、本実施例において、メインスプリング152よりも長さ寸法が小さく、ばね定数が大きいものとされている。それらメインスプリング152,調節用スプリング154は、この図において、それぞれ圧縮変形させられ、2つの鍔部142,144の各々を区画壁150から遠ざかる向きに付勢した状態にされている。
2.3.2 中立方向反力付与装置の作動.
図4に、中立方向反力付与装置30の構成を模式的に表し、作動を説明する。例えば、右旋回方向の操舵操作がなされてスライド部材132が図において右向きに変位させられると、そのスライド部材132に右側の鍔付ロッド146Rが押されて右方向に移動させられる。そのスライド部材132の右方向への移動により、スライド部材132側の鍔部142と区画壁150との間隔が減少して右側のメインスプリング152Rが圧縮されるとともに、端部側の鍔部144と区画壁150との間隔が増大して右側の調節用スプリング154Rが伸長する。すなわち、右旋回方向の操舵量の増加に伴い、スライド部材132の右方向の変位量が増加して、メインスプリング152Rの圧縮変形量が増加させられるとともに、調節用スプリング154Rの圧縮変形量が減少させられるのである。本実施例において、区画壁150が、2つの鍔部142,144の間の位置に配設された「支持体」として機能し、2つのスプリング152,154の各々の一端部を支持しているのである。
本実施例において、スライド部材132の変位量は、操舵角に比例するようにされており、ステアリングホイール14の操舵角をスライド部材132の変位量Stで表すものとする。また、スライド部材132と鍔付ロッド146とが係合している状態において、スライド部材132の変位量の変化量と、スプリング152R,154Rの変形量の変化量とは等しくされており、スライド部材132の変位量Stを用いてスプリング152R,154Rの変形量を表すことができる。操舵角が0の状態、つまり、変位量St=0の状態での調節用スプリング154Rの圧縮変形量はSt1(第1設定変位量)とされており(図5参照)、右旋回方向の操舵によって変位量がSt1を超えると調節用スプリング154Rの圧縮変形量が零となり、調節用スプリング154Rと鍔付ロッド146Rとの係合が解消される。すなわち、本実施例において、調節用スプリング154Rは、右旋回方向の操舵範囲において、変位量が0〜St1未満の状態においてのみ、変形させられており、操舵量の増加に伴い圧縮変形量が減少させられるのである。なお、本実施例において、変位量が0〜St1未満の状態が、主弾性体の弾性力と調節用弾性体の弾性力とに基づく弾性反力を発生させる「操作部材の操舵量が設定量以下の状態」の一例である。
一方、スライド部材132の右向きの変位に伴い、左側の鍔付ロッド146Lが、左側のメインスプリング152Lの弾性力のうちの調節用スプリング154Lの弾性力を超えた分の力によって、スライド部材132を押しながら右方向へ移動する。その鍔付ロッド146Lの右方向への移動により、左側のメインスプリング152Lが伸長するとともに、そのメインスプリング152Lの弾性力によって左側の調節用スプリング154Lが圧縮される。そして、変位量がSt2になると、メインスプリング152Lの弾性力と調節用スプリング154Lの弾性力とが釣り合うため、鍔付ロッド146Lはスライド部材132に追随して移動せずに停止する。そのため、変位量がSt2を超える際に鍔付ロッド146Lとスライド部材132との係合が解消される。すなわち、調節用スプリング154Lの弾性力の作用によって、メインスプリング152Lの変形量の減少が禁止され、鍔付ロッド146Lとスライド部材132との係合が解消されるのである。なお、本実施例において、メインスプリング152Lの弾性力と調節用スプリング154Lの弾性力とが釣り合った状態におけるメインスプリング152Lの変形量が、メインスプリング152Lの最少変形量となる。すなわち、本実施例において、主弾性体の変形量が、主弾性体の弾性力と調節用弾性体の弾性力とが釣り合う状態での変形量よりも小さくならない構造とされているのである。
2.3.3 各スプリングの弾性力について.
図5に、スライド部材132の変位量Stと、各スプリングの弾性力との関係を模式的に示す。また、図6に、変位量Stと、左右それぞれにおけるメインスプリング152の弾性力と調節用スプリング154の弾性力との合力である弾性反力との関係を示す。図5において、右側のスプリング152R(図においてRm),154R(Rc)を太線で示し、左側のスプリング152L(Lm),154L(Lc)を二重線で示した。また、各スプリングの弾性力は、スライド部材132を左方向に変位させる向きの弾性力が正となるように表されている。この図から、左右それぞれにおいて、メインスプリング152と調節用スプリング154とは、互いに逆向きの弾性力を発生していることが分かる。また、調節用スプリング154LRは、左右の操舵範囲のうちのそれぞれが分担する分担範囲にステアリングホイール14が位置する状態において、すなわち、それぞれが配設された方向にスライド部材132が変位し、変位量がSt1以上になった状態において、その弾性力が0になるようにされている。また、メインスプリング152と調節用スプリング154とは、左右の操舵範囲のうちの分担範囲と対向する範囲である対向範囲(分担しない方の範囲であり、「非分担範囲」と称することもできる)にステアリングホイール14が位置する状態において、すなわち、それぞれが配設された方向と逆の方向にスライド部材132が変位し、変位量がSt2になった状態において、釣り合うようにされており、メインスプリング152の変形量はその状態での変形量より小さくならないようにされている。本実施例の弾性反力発生機構170は、主弾性体の変形量が、主弾性体の弾性力と調節用弾性体の弾性力とが釣り合う状態での変形量よりも大きい状態においてのみ、弾性反力を発生させる構造とされているのである。
右方向の変位量がSt1以下の状態において、右側のメインスプリング152Rおよび調節用スプリング154Rは、それぞれの変形量に応じた互いに逆向きの弾性力を発生させ、それぞれ鍔付ロッド146Rを左または右向きに付勢する。その状態において、図5に示したように、メインスプリング152Rの弾性力の方が調節用スプリング154Rの弾性力よりも大きくされており、鍔付ロッド146Rにはメインスプリング152Rの弾性力のうちの調節用スプリング154Rの弾性力を超えた分の力、つまり、それらスプリング152R,154Rの合力が作用する。その合力は、図6に示すように、左向き(グラフの上側)であり、鍔付ロッド146Rが左向きに付勢される。一方、変位量がSt1を超えた状態においても、メインスプリング152Rの弾性力によって鍔付ロッド146Rが左向きに付勢される。そして、左向きに付勢された鍔付ロッド146Rは、スライド部材132を左向きに押すことによってステアリングホイール14に弾性反力が付与されるのである。すなわち、本実施例において、右側のメインスプリング152Rの弾性力(あるいは、メインスプリング152Rの弾性力のうちの調節用スプリング154Rの弾性力を超えた分の力)に基づいて発生した弾性反力が、スライド部材132を介してステアリングホイール14に付与されるのである。
本実施例において、メインスプリング152R,調節用スプリング154R,鍔付ロッド146R,および区画壁150Rを含んで、ステアリングホイール14の操舵量を減少させる弾性反力を発生させる右側の弾性反力発生機構170Rが構成されている。また、本実施例において、右側の弾性反力発生機構170Rは、中立位置を挟んで設定された左右の操舵範囲のうち、右の操舵範囲を分担範囲とするとともに、左の操舵範囲を対向範囲としている。そして、弾性反力発生機構170Rは、分担範囲と対向範囲の一部の範囲(変位体たるスライド部材132の左方向への変位量がSt2以下となる範囲)を合わせた範囲に対応する変位区間、つまり、変位体たるスライド部材132の右方向への変位量が最大量以下で左方向への変位量がSt2以下となる変位区間にスライド部材132が位置する場合に、スライド部材132を左方向に変位させる弾性反力を発生させるのである。上記変位区間に位置するスライド部材132が右方向に変位する際に、弾性反力発生機構170Rのメインスプリング152Rの圧縮変形量が増加させられ、弾性力を発生させるのである。また、本実施例において、スライド部材132の左方向への変位量がSt2となる状態が、変位区間の対向範囲に属する側の終端位置に変位体たるスライド部材132が位置する状態に該当し、その状態においてメインスプリング152Rの弾性力と調節用スプリング154Rの弾性力とが釣り合うようにされている。
なお、左側の弾性反力発生機構170Lの構成等についても、左右が異なる以外は右側の弾性反力発生機構170Rと同様である。また、本実施例の弾性反力発生機構170は、ステアリングホイール14が直進位置である中立位置に位置した状態、つまり、操舵角が0の状態において、メインスプリング152の弾性力が調節用スプリング154の弾性力よりも大きくされた態様とされている。
なお、図5において、記号δ1は、メインスプリング152の変形量を示しており、δ1minは、メインスプリング152の弾性力と調節用スプリング154の弾性力とが釣り合った状態の変形量、δ1maxは、最大変形量、δ1ma0は、ステアリングホイール14が中立位置に位置した状態の変形量、をそれぞれ示している。同様に、記号δ2maxは、調節用スプリング154の最大変形量を示している。記号P1は、メインスプリング152が発生する弾性力を示しており、P1minは、メインスプリング152の弾性力と調節用スプリング154の弾性力とが釣り合った状態の弾性力、P1maxは最大弾性力、P1ma0は、ステアリングホイール14が中立位置に位置した状態の弾性力、をそれぞれ示している。同様に、記号P2maxは、調節用スプリング154の最大弾性力を示している。なお、|P1min|=|P2max|となる。また、δ2max=St1+St2、St1=δ1min+δ2max−δ1ma0、St2=δ2max−St1、Stmax=δ1max−δ1ma0となる。なお、本実施例において、操舵量が0の状態における調節用スプリング154の変形量St1は、操舵量が最大となる状態におけるメインスプリング152の最大変形量δ1maxよりも大幅に小さくされている(例えば、15分の1以下)。
図6において、右側のスプリング152R,154Rを例にして、メインスプリング152の弾性力と調節用スプリング154の弾性力との合力について説明する。左旋回方向への操舵によって、スライド部材132の左方向への変位量がSt2になった状態においてメインスプリング152Rの弾性力と調節用スプリング154Rの弾性力とが釣り合うことにより、合力は0となる。その状態から右方向へ操舵がなされると、メインスプリング152Rの弾性力は増加し、調節用スプリング154Rの弾性力は減少する。そのため、メインスプリング152の弾性力の変化勾配であるばね定数をK1、調節用スプリング154の弾性力の変化勾配であるばね定数をK2とすると、左方向の変位量St2から右方向の変位量St1までの区間のスプリング152R,154Rの合力の変化勾配である見掛けのばね定数は「K1+K2」となる。すなわち、調節用スプリング154の弾性力を、メインスプリング152の変形量を増加させる向きに作用させることにより、つまり、調節用スプリング154の弾性力によってメインスプリング152の弾性力を減少させることにより、メインスプリング152だけの場合よりも、弾性反力の変化勾配を大きくすることができるのである。そのため、本実施例の弾性反力発生機構170は、メインスプリング152の変形量が設定変形量以下の状態で変化勾配が大きく、設定変形量よりも大きい状態で変化勾配が小さくなるように、弾性反力の特性を変化させることができるのである。なお、上記設定変形量は、図5において、「δ1min+δ2max」で表される。
本実施例において、右側の弾性反力発生機構170Rは、それの分担範囲である右の操舵範囲において、右方向の操舵角を減少させる弾性反力を発生させる一方、対向範囲である左側の操舵範囲の一部(変位量Stが0からSt2の区間に対応する範囲)において、ステアリングホイール14の操舵角を増加させる弾性反力を発生させる。その一方で、右側の弾性反力発生機構170Rの対向範囲となる左の操舵範囲は、左側の弾性反力発生機構170Lの分担範囲に該当し、その左の操舵範囲において弾性反力発生機構170Lがステアリングホイール14の操舵角を減少させる弾性反力を発生させている。左の操舵範囲において、左側の弾性反力発生機構170Lの弾性反力が右側の弾性反力発生機構170Rの弾性反力よりも大きいため、左右の弾性反力発生機構170LRの弾性反力を合わせると、左の操舵範囲において操舵角を減少させる弾性反力がステアリングホイール14に付与されるのである。その際に、弾性反力発生機構170Rの弾性反力は、弾性反力発生機構170Lの弾性反力を減少させるように作用し、調節用スプリング154の弾性力と同様に、ステアリングホイール14に付与される弾性反力の変化勾配を増加させる。そのため、調節用スプリング154の作用と合わせれば、変位量がSt1とSt2とにおいて、グラフが屈曲し(図7参照)、操舵角の増加に伴い変化勾配が順次減少するように変化させることができるのである。
図7に、スライド部材132の変位量Stと4つのスプリング152,154の合力によって発生する弾性反力との関係を模式的に示す。この図において、左右の操舵範囲の各々において、弾性反力の変化勾配が3段階に変化している。具体的には、次の各変位区間において、弾性力を発生させているスプリングのばね定数(メインスプリング152:ばね定数K1、調節用スプリング154:ばね定数K2)を合計すればよい。すなわち、右旋回操作を例にすると、(a)右方向の変位量が0からSt1の変位区間において(操舵量が0から設定量までの操舵範囲に該当する)、4つのスプリング152LR,154LRが弾性力を発生させているため、変化勾配が[2K1+2K2]となり、(b)右方向の変位量がSt1からSt2の変位区間において(操舵量が設定量から、設定量と最大量との間の量までの操舵範囲に該当する)、3つのスプリング152LR,154(LRのいずれか一方)が弾性力を発生させているため、変化勾配が[2K1+K2]となり、(c)右方向の変位量がSt2を超えた変位区間において(操舵量が設定量と最大量との間の量から最大量までの操舵範囲に該当する)、1つのメインスプリング152(LRのいずれか一方)が弾性力を発生させているため、変化勾配が[K1]となるのである。また、変位量Stの増加に伴い、変化勾配が順次減少する(a:2K1+2K2 >b:2K1+K2 >c:K1)。
上述のように、弾性反力の変化勾配が変位量の増加に伴い3段階に変化するのは、図6に示したように、左右の弾性反力発生機構170の各々が、左右の操舵範囲のうちの分担範囲だけでなく、対向範囲の一部の範囲においても、弾性反力を発生する構造とされているからである。弾性反力の変化勾配は、上述のように、各変位区間において弾性力を発生させているスプリングのばね定数を合計すれば得られる。そのため、変位量の増加に伴い、弾性力を発生させるスプリングの個数を順次減少させればよいのである。すなわち、本実施例において、各変位区間において弾性力を発生させているスプリングの個数を変化させることにより、弾性反力の変化勾配を変化させているのである。具体的には、本実施例の弾性反力発生機構170の各々は、対向範囲において、スライド部材132の位置が、他方の弾性反力発生機構170の調節用スプリング154の弾性力が0になる状態の変位量St1よりも大きな変位量St2となる位置に位置する際に、メインスプリング152の弾性力と調節用スプリング154の弾性力とが釣り合うようにされている。
なお、スライド部材132が、その変位量が左方向のSt2となる位置と右方向の最大変位量となる位置との間の変位区間に位置している場合に、右側の鍔付ロッド146Rがスライド部材132と係合し、スライド部材132の右方向の変位によってメインスプリング152Rの変形量が増加させられる。すなわち、上記変位区間が、弾性反力発生機構170Rの分担範囲と対向範囲の一部の範囲とを合わせた範囲に対応する変位区間の一例である。また、スライド部材132の変位量が左方向のSt2となる位置は、上記変位区間の対向範囲に属する側の終端位置に該当する。なお、図7において、以下の関係が成り立つ。(a)Fma0=P1ma0 ,(b)F1=2(K1+K2)・St1 ,(c)F2=K1(St2+δ1ma0) ,(d)Fmax=P1max .
なお、本実施例とは異なるが、図8に示すように、2つの弾性反力発生機構170の各々が、対向範囲において、他方の弾性反力発生機構170の調節用スプリング154の弾性力が0になる状態の変位量よりも小さな変位量で、メインスプリング152の弾性力と調節用スプリング154の弾性力とが釣り合うようにしても、弾性反力の変化勾配が変位量の増加に伴い3段階に変化させることができる。
また、例えば、図9に示すように、変位量Stが0の状態において、メインスプリング152の弾性力と調節用スプリング154の弾性力とが釣り合うようにすれば、弾性反力の変化勾配を2段階(K1と、K1+K2)に変化させることができる。さらに、例えば、図10に示すように、一方の弾性反力発生機構170の調節用スプリング154の弾性力が0になる状態において、他方のメインスプリング152の弾性力と調節用スプリング154の弾性力とが釣り合うようにすれば、弾性反力の変化勾配を2段階(K1と、2K1+2K2)に変化させることができる。その場合には、前者の例よりも、変化勾配の違いが大きくなる。
本実施例のステアリング操作装置20は、対をなす2つの弾性反力発生機構170LRを備えた態様である。本実施例のステアリング操作装置20は、対をなす2つの弾性反力発生機構170LRによって弾性反力の変化勾配を変位量の増加に伴い3段階に変化させることができ、ステアリングホイール14に、より適切な弾性反力を付与することができる。具体的には、例えば、図11に示すように、ステアリングホイール14を中立位置に近づけるための反力は、中立位置付近において、操舵角の増加に伴い反力の変化量が減少していく特性が望ましいとされている。その様な場合に、本実施例の中立方向反力付与装置30の弾性反力は、操舵角の増加に伴い弾性反力の変化勾配が減少していく特性を実現することができ、適切な特性に近い特性を実現することができるのである(図12)。
なお、変位量St1は、例えば、操舵角が0度よりも大きく、操舵角が12度以下の値に対応する変位量であることが望ましく、操舵角が8度以下の値に対応する変位量であることがさらに望ましい本実施例において、変位量St2は、例えば、変位量St1より大きく、操舵角が30度以下の値に対応する変位量であることが望ましく、操舵角が20度以下の値に対応する変位量であることがさらに望ましい
3. 電子制御ユニット.
本ステアリングシステムは、自身が備えるステアリング電子制御ユニット200(ステアリングECU、以下、単に「ECU200」という場合がある)によって制御される。ECU200は、コンピュータを主体として、各種モータ,各種電磁アクチュエータ等を駆動する駆動回路等を含んで構成されている。ECU200には、操舵角センサ74,転舵位置センサ60等の各種センサが接続されている。ECU200の駆動回路には、反力調整モータ36、転舵モータ56等が接続されている。
ECU200は、操舵角センサ74の検出信号に基づいてステアリングホイール14の操舵角を取得し、車輪16の実際の転舵位置と、取得された操舵角に応じた目標転舵位置との偏差を減少させるように転舵モータ56を制御する。また、ECU200は、実際の転舵位置と目標転舵位置との偏差の大きさに応じたモータ反力が、ステアリングホイール14に付与されるように反力調整モータ36を制御する。なお、操舵角センサ74の検出信号に基づいてステアリングホイール14の操舵速度を取得し、操舵速度に応じた抵抗力がモータ反力としてステアリングホイール14に付与されるように反力調整モータ36を制御することもできる。また、車速度が大きいほどモータ反力が大きくなるように反力調整モータ36を制御することもできる。以上のようなECU200の制御により、ステアリングホイール14には、弾性反力と、モータ反力とが合わさった操作反力が付与される。
4. 第2実施例
上記実施例において、変位体変位機構が、シャフト22の回転を変位体たるスライド部材132の左右方向への直線的な変位に変換する軸交差方向変位型の運動変換機構を有するものであった。その変位体変位機構を、シャフト22の回転をシャフト22の軸方向への変位体の直線的な変位に変換する軸方向変位型の運動変換機構を有するものとすることもできる。図13に、軸方向変位型の運動変換機構を有するステアリング操作装置300を備えたステアリングシステムを概略的に示す。本ステアリングシステムは、ステアリング操作装置300を除き、上記実施例のものと同様であるため、同じ符号を付して説明を省略する。図14に、ステアリング操作装置300の断面を示す。この図において、上方側が車両後方側であり、そのステアリング操作装置300のシャフト22の後端部の小径部62にステアリングホイール14が取り付けられる。ステアリング操作装置300は、ステアリングホイール14にそれを中立位置に近づける向きの反力を付与する中立方向反力付与装置310と、流体によって粘性抵抗力を発生させる流体ダンパ312とを備えている。
4.1. 流体ダンパ.
流体ダンパ312は、シャフト22の回転速度に応じた粘性抵抗力、つまりステアリングホイール14になされた操舵操作の速度に応じた粘性抵抗力を発生する機構であり、中立方向反力付与装置310の車両後方側端部に固定されている。流体ダンパ312は、シャフト22に相対回転不能に固定された円板状の回転板320,回転板320を覆うダンパ・ハウジング322,およびそのダンパ・ハウジング322内に充填された抵抗力発生流体たるシリコンオイル324を含んで構成されている。ダンパ・ハウジング322は、外形形状が概ね短円筒状をなし、固定部材316によって中立方向反力付与装置310に相対回転不能に固定されている。そのダンパ・ハウジング322の中央に設けられた軸方向の軸穴を挿通させられたシャフト22が、軸受330を介して回転可能に保持される構造となっている。なお、軸穴には、内周面に沿って環状のシールリング334が嵌められており、ダンパ・ハウジング322の内部が液密に保たれている。回転板320は、内周部がボス部とされ、そのボス部においてシャフト22に外嵌する状態でシャフト22に固定されている。
回転板320は、シャフト22と一体的に回転し、操作時にダンパ・ハウジング322に対して相対回転するようにされている。すなわち、回転板320は、シャフト22を介して間接的にステアリングホイール14に連結され、ステアリングホイール14と連係して動くようにされているのである。すなわち、流体ダンパ312は、ステアリングホイール14と一体的に回転する回転板320と、車体に固定されたダンパ・ハウジング322との相対回転によってシリコンオイル324の粘性抵抗力を発生させる機構である。
4.2. 中立方向反力付与装置.
中立方向反力付与装置310は、両端部が閉塞された概して円筒状のハウジング350を備えている。そのハウジング350は、図示を省略する取付部において車体に固定されている。ハウジング350内には、円板状の仕切壁352,354が軸方向(図において上下方向)に並べられてハウジング350に相対移動不能に配設されている。シャフト22は、ハウジング350内に挿入され、ハウジング350の後方端部と、後方側に配設された仕切壁352とを貫通した状態で、軸受356を介して回転可能に保持されている。そのシャフト22の前方端部には、自身の外周部にベアリングボールが嵌り込む雄ねじ358が形成されてボールねじとして機能するボールねじ軸360が相対回転不能に連結されている。そのボールねじ軸360は、前方端部が小径にされ、その前方端部が仕切壁354を貫通した状態で、軸受362を介して回転可能に保持されている。すなわち、ボールねじ軸360は、シャフト22と一体的に回転するようにされているのである。
ボールねじ軸360の先端部には、ボールねじ軸360の回転位置を検出する操舵角センサ366の回転軸部が接続されている。その操舵角センサ366は、ハウジング350の前方端部の内壁面に固定されており、ハウジング350に対する回転軸部の回転位置を検出するアブソリュートエンコーダによって構成されている。
中立方向反力付与装置310は、ボールねじ軸360の回転によって、軸線方向に変位させられる変位体たるスライド部材370を備えている。そのスライド部材370は、中央のボールナット部372と、外周の円板部374とを含んで構成されている。ボールナット部372は、概して円柱形状をなし、その中央に軸方向の貫通穴376が設けられている。その貫通穴376の内周部には、ねじ溝に沿って周回するベアリングボールが保持されており、ボールナット部372は、ボールナットとして機能するものとされている。そのボールナット部372は、ベアリングボールを介してボールねじ軸360と噛み合っており、ボールねじ軸360の回転に伴い軸方向に変位させられるのである。本実施例において、ボールねじ軸360とボールナット部372とを含んで、運動変換機構の一例であるボールねじ機構が構成されている。
ボールナット部372の外周には、円板部374が設けられている。その円板部374の外周部には、軸方向の溝380が形成されている。一方、ハウジング350の内壁面には、2つの仕切壁352,354の間の位置に、軸方向に延びたレール部材382が固定されている。そのレール部材382に円板部374の溝380が緩やかに嵌められることで、円板部374は、その回転が禁止されるとともに、軸方向の変位が許容される。本実施例において、ボールねじ軸360,スライド部材370,レール部材382を含んで変位体変位機構が構成されている。
円板部374をシャフト22の軸方向において挟んだ両側の各々には、軸方向に延びるロッド部390とそのロッドの両端部の各々に設けられた2つの鍔部392,394とを含んで構成された係合体たる鍔付ロッド396が複数配設されている。円板部374の後方側に配設された鍔付ロッド396は、ロッド部390が仕切壁352に設けられた支持穴400を貫通した状態で、軸方向に移動可能に支持されている。また、支持穴400には、ロッド部390との摺動抵抗を低下させるための樹脂環402(例えば、フッ素樹脂製)が設けられており、鍔付ロッド396は軸方向に滑らかに移動することができる。
中央側の鍔部392と仕切壁352との間には、図において上方側のメイン圧縮コイルスプリング410(以後、「メインスプリング」と略記する)が配設され、端部側の鍔部394と仕切壁352との間には、調節用圧縮コイルスプリング412(以後、「調節用スプリング」と略記する)が配設されている。それらメインスプリング410,調節用スプリング412は、第1実施例と同様に、ステアリングホイール14が中立位置に位置する状態において、圧縮変形させられ、2つの鍔部392,394の各々を仕切壁352から遠ざかる向きに付勢した状態にされている。複数の鍔付ロッド396は、図15に模式的に示すように、ボールねじ軸360を中心とする一円周上に等角度間隔に配置されている。なお、図16に示すように、複数の鍔付ロッド396を複数(図において2つ)の円周上に分けて配置することもできる。
以後、円板部374の前方・後方を図の上下方向で区別するために、符号の後にT(上方)、B(下方)を付す場合がある。円板部374の下方に配設された鍔付ロッド396Bは、円板部374の上方に配設された鍔付ロッド396Tとは逆向きに配設され、下方側の仕切壁354に支持されている。その他については、それら鍔付ロッド396は円板部374の上方・下方(車両において前方・後方)に拘わらず同様であるため説明を省略する。
図17に、ステアリングホイール14が中立位置に位置する状態を図の左半分に、右旋回方向に操舵された状態を右半分に示す。車両が右旋回するようにステアリングホイール14が操作された場合は、スライド部材370は、図における位置から上方向に移動し(車両の後方側へ向かう方向)、逆に、左旋回するように操作された場合は、下方向に移動する。
右旋回方向の操舵によってボールねじ軸360が回転させられ、そのボールねじ軸360と螺合するスライド部材370が軸方向の上方に変位させられる。そのスライド部材370の変位に伴い、変位体たる円板部374にその上方側の鍔付ロッド396Tが押されて上方に移動させられるとともに、下方側の鍔付ロッド396Bが円板部374に追随してスライド部材370を押しながら上方に変位量St2だけ移動する。そして、上方側のメインスプリング410Tの圧縮変形量が増加するとともに、調節用スプリング412Tの圧縮変形量(St1)が減少して0になる。一方、下方側のメインスプリング410Bの圧縮変形量が減少して、調節用スプリング412Rの圧縮変形量が増加することにより、変位量がSt2になった際に、それらスプリング410B,412Bの弾性力が釣り合うことによって、鍔付ロッド396Bが円板部374に追随して移動しなくなる。そのため、変位量がSt2を超えると、鍔付ロッド396Bと円板部374との係合が解消する。スライド部材370の変位量と弾性反力等との関係は、第1実施例の図5〜図7に示したものと同様である。すなわち、本実施例の中立方向反力付与装置310によっても、操舵角の増加に伴い、弾性反力の変化勾配が順次小さくなるように3段階に変化させることができるのである。
本実施例において、円板部374の上方側に配設された複数の鍔付ロッド396T,複数のメインスプリング410T,複数の調節用スプリング412T,および仕切壁352を含んで、上方側の弾性反力発生機構420Tが構成されている。また、円板部374の下方側の弾性反力発生機構420Bについても、上下が異なる以外は同様である。さらに、上方側の弾性反力発生機構420と、下方側の弾性反力発生機構420とは対をなしており、本実施例のステアリング操作装置300は、対をなす2つの弾性反力発生機構420を備えた態様である。なお、仕切壁352,354のロッド部390を支持する部分を含んで、2つの鍔部392,394の間の位置に配設された「支持体」が構成されている。なお、鍔付ロッド396,メインスプリング410,調節用スプリング412,および仕切壁352の鍔付ロッド396を支持する部分を含んで1の弾性反力発生機構420が構成されていると捉えることもできる。その場合は、円板部374の上下の各々の位置に、複数(図において、6つ)の弾性反力発生機構420が配設されていることとなる。
4.3. 操作反力について.
本実施例において、ステアリングホイール14には、中立方向反力付与装置310の弾性反力と流体ダンパ312の粘性反力とが付与される。流体ダンパ312の粘性反力は、中立方向反力付与装置310の弾性反力と異なり、ステアリングホイール14の角速度の大きさに応じて、回転方向と逆向きに付与される。そのため、中立方向反力付与装置310と流体ダンパ312とによってステアリングホイール14に付与される操作反力は、図18に模式的に示すように、切り増し時と切り戻し時の操作反力の大きさが異なることとなる。ステアリングホイール14と転舵装置とが機械的に連結されたステアリングシステムでは、タイヤの捩れ等の抵抗によって、切り増し時と切り戻し時の反力の大きさが異なることから、流体ダンパ312を設けることにより、中立方向反力付与装置310だけで操作反力を付与する場合よりも、自然な手応えを得ることができるのである。
なお、流体ダンパ312によってステアリングホイール14に付与される粘性反力と、流体ダンパ312の回転板320の回転速度(360deg/sec)との関係は、次式で表すことができる。
[式1] 粘性反力=A×回転速度
係数Aは、単位回転速度あたりの流体ダンパ312の粘性抵抗力である粘性定数Bに、粘性抵抗力をステアリングホイール14の反力に換算するための係数である操舵特性変換係数nを乗じた係数である粘性抵抗力変換係数である。その粘性抵抗力変換係数Aの大きさを、例えば、0<A≦3[N/(360deg/sec)]とすることにより、粘性反力の大きさを適度なものとすることができる。
5. 第3実施例.
上記2つの実施例において、係合体が鍔付ロッド146,396によって構成されていた。その係合体を平板状のものとすることもできる。図19に、環状板型の係合体と軸方向変位型の運動変換機構を有するステアリング操作装置440を示す。なお、本実施例のステアリング操作装置440を備えたステアリングシステムは、第2実施例のステアリングシステム(図13参照)とほぼ同様であるため図示を省略する。また、本実施例のステアリング操作装置440は、第2実施例のステアリング操作装置300と同様な箇所をいくつか有しており、それらについては、ステアリング操作装置300の符号と同じ符号を付して説明を省略する。本実施例において、ステアリング操作装置440は、中立方向反力付与装置450と、第2実施例と同様の流体ダンパ312とを備えている。
中立方向反力付与装置450は、概して円筒状のハウジング452を備えている。ハウジング452は、円筒部材454とその円筒部材454の両端を閉塞する2つの閉塞部材456とを備えている。2つの閉塞部材456の各々は、概して円板状をなすとともに、自身の中央からハウジング452内部に向かって軸方向に延び出してシャフト22およびボールねじ軸360を回転可能かつ移動不能に保持する円筒状の部分である軸保持部458を有している。なお、下側(車両前方側)の閉塞部材456には、軸保持部458に配置された操舵角センサ366を固定する固定部材459が取り付けられている。
ハウジング452内には、ボールねじ軸360の回転に伴い軸方向に変位させられる変位体たるスライド部材460,そのスライド部材460の変位に伴い移動させられる係合体たる2つの環状板462(移動体の一種である),それら環状板462の各々のハウジング452の端部側への移動に伴い圧縮変形量が増加するメイン圧縮コイルスプリング464(以後、「メインスプリング」と略記する場合がある),その移動に伴い圧縮変形量が減少する弾性力調節用ウレタン部材466(以後、「調節用ウレタン」と略記する場合がある)が設けられている。また、ハウジング452内には、スライド部材460の回転を係止する係止ロッド470,2つの環状板462を貫通してその移動をガイドするガイドロッド472,ガイドロッド472の中央部に固定されて調節用ウレタン466を支持する中央支持体474,2つの閉塞部材456の各々の内壁面に固定されてガイドロッド472とメインスプリング464とを支持する端部側支持体476が設けられている。なお、図においてスライド部材460の上側(車両後方側)および下側(車両前方側)は、同様な構成が上下対称に配設されているため、以下の説明は、一方の構成について代表的に行うこととする。なお、スライド部材460の図における上側・下側を表すために、符号の後にT,Bを付す場合がある。
図20に、ハウジング452内部の一部断面を示す。また、図21に、スライド部材460等のB−B断面(図20参照)を示す。スライド部材460は、ボールナット部372と軸方向の中央に形成された大径部480とを有している。ボールナット部372は、シャフト22と一体的に回転するボールねじ軸360とベアリングボールを介して螺合している。そのため、スライド部材460はボールねじ軸360の回転に伴い軸方向(図において上下方向)に変位させられる。大径部480には、軸方向に延びる係止溝482が複数設けられており、その係止溝482に係止ロッド470がわずかなクリアランスを保って挟まれている。そのため、係止ロッド470によってスライド部材460の回転が禁止されるとともに、軸方向の変位が許容されているのである。なお、係止溝482の側面には摺動摩擦を低減するシート(例えば、フッ素樹脂シート)が貼付されており、スライド部材460と係止ロッド470との摩擦抵抗が低減されている。また、大径部480の軸方向の上側および下側の面にはゴムシートが貼付されており、そのゴムシートによって大径部480と環状板462とが当接する際の衝撃が小さくなるようにされている。
図22に、環状板462を軸方向から眺めた図を示す。環状板462の内径は、ボールナット部372の外径よりも若干大きくされている。そのため、環状板462は内周部において、大径部480の側面と係合している。なお、環状板462の内周部には、複数の切欠486が設けられており、係止ロッド470と干渉しないようにされている。また、環状板462には、ガイドロッド472を挿通させる挿通穴488が、ガイドロッド472の配設位置に合わせて設けられている。その挿通穴488には、摩擦を低減する樹脂リング490(例えば、フッ素樹脂製のリング)が設けられており、環状板462は軸方向に滑らかに移動することが可能にされている。環状板462は、ハウジング452の端部側の面において、メインスプリング464の一端部と係合するとともに、大径部480側の面において、調節用ウレタン466の一端部と係合している。メインスプリング464は、環状板462と端部側支持体476との間に配設されており、調節用ウレタン466は、環状板462と中央支持体474との間に配設されている。なお、調節用ウレタン466は、合成ゴム(熱可塑性エラストマー)によって環状に形成されている。
図23に、ステアリングホイール14が中立位置に位置する状態を図の左半分に、右旋回方向に操舵された状態を右半分に示す。右旋回方向の操舵によってボールねじ軸360が回転させられ、そのボールねじ軸360と螺合するスライド部材460が軸方向の図の上方(車両後方)に変位させられる。その変位体たるスライド部材460の変位に伴い、その上方側の環状板462Tが大径部480に押されて上方に移動させられるとともに、下方側の環状板462Bが大径部480を上方に押しながら変位量St2だけ追随して移動する。そして、上方側のメインスプリング464Tの圧縮変形量が増加するとともに、調節用ウレタン466Tの圧縮変形量(St1)が減少して0になる。一方、下方側のメインスプリング464Bの圧縮変形量が減少して、調節用ウレタン466Bの圧縮変形量が増加することにより、変位量がSt2になった際に、それらメインスプリング464B,調節用ウレタン466Bの弾性力が釣り合うことによって、環状板462Bが環状板462Bに追随して移動しなくなる。そのため、変位量がSt2を超えると、環状板462Bと大径部480との係合が解消する。なお、左旋回方向に操舵がなされた場合は、スライド部材460が下方(車両前方)に変位する。
スライド部材460の変位量と弾性反力等との関係は、第1実施例の図5〜図7に示したものと同様である。すなわち、本実施例の中立方向反力付与装置450によっても、操舵角の増加に伴い、弾性反力の変化勾配が順次小さくなるように3段階に変化させることができるのである。なお、本実施例において、上側の環状板462T,複数のメインスプリング464T,および複数の調節用ウレタン466Tを含んで上側の弾性反力発生機構494Tが構成されている。また、下側の弾性反力発生機構494Bについても、上下が逆になるだけで、同様である。すなわち、本実施例のステアリング操作装置440は、対をなす2つの弾性反力発生機構494を備えた態様である。なお、1つのメインスプリング464T,1つの調節用ウレタン466T,および環状板462Tのメインスプリング464T等を支持する部分を部分を含んで1の弾性反力発生機構494Tが構成されていると捉えることもできる。
本実施例において、環状板462(移動体の一種である)の大径部480と接する面が、変位体と当接することにより係合する面である「変位体側係合面」として機能している。本実施例において、端部側支持体476が、移動体の変位体と反対側に移動体と設定距離離間して設けられた「第1支持体」として機能している。また、中央側支持体474が、移動体の変位体側係合面の側に移動体と設定距離離間して設けられた「第2支持体」として機能している。なお、端部側支持体476を設けずに、ガイドロッド472,メインスプリング464がハウジング452の閉塞部材456に支持されるようにすることもできる。その場合には、ハウジング452のメインスプリング464等を支持する部分が第1支持体として機能することとなる。
6. 第4実施例.
上記3つの実施例のステアリング操作装置において、弾性反力発生機構が係合体(鍔付ロッド,環状板)を有し、主弾性体(メインスプリング)が係合体によって変形させられるものであった。しかし、ステアリング操作装置を、弾性反力発生機構の主弾性体が変位体と直接係合して変形させられるように構成することもできる。図24に、直接係合型のステアリング操作装置600を備えたステアリングシステムを示す。この図において、ステアリング操作装置600以外は、第1実施例と同様であるため説明を省略する。
図25にステアリング操作装置600の内部を示す。また、図26にC−C断面を示す。ステアリング操作装置600は、流体ダンパ312と中立方向反力付与装置610を備えている。なお、流体ダンパ312は、第2実施例のものと同様である。中立方向反力付与装置610は、両端部が閉塞された概して円筒状のハウジング612,シャフト22に相対回転不能に固定されて軸線と交差する方向(本実施例において直角方向)に延びるクランク614,そのクランク614の先端部に固定されて図の下方(車両前方)に延びる変位体たるクランクシャフト616を備えている。そのクランクシャフト616は、シャフト22を中心に、クランク614の長さに応じた半径の一円周上を回動させられる。図25,図26は、ステアリングホイール14が中立位置に位置した状態を示している。なお、ステアリングホイール14が右旋回操作された状態のクランク614およびクランクシャフト616を二点鎖線で示した。なお、本実施例において、クランク614とクランクシャフト616を含んで「変位体変位機構」が構成されている。
また、中立方向反力付与装置610は、クランクシャフト616によって捩り変形量が増加させられる2つの渦巻きばね620(主弾性体の一種である),それら渦巻きばね620の各々を保持する渦巻きばね保持器622を備えている。2つの渦巻きばね620の各々は、外周端部が径方向の外側に延びるように折り曲げられて形成された係合部624を有しており、その係合部624においてクランクシャフト616と周方向に当接して係合している。また、それら渦巻きばね620は、互いに逆向きに上下に並んで配置されており、クランクシャフト616がいずれかの向きに回動した際にいずれか一方の渦巻きばね620の変形量が増加させられるようにされている。図25,図26には、右旋回操作されて下方の渦巻きばね620の変形量が増加させられた状態を二点鎖線で示した。なお、本実施例の中立方向反力付与装置610は、2つの渦巻きばね620をはじめ、互いに同様な構成が、上下に互いに逆向きに配置されている。そのため、上下の一方の構成を代表的に説明することとする。なお、上下を明確に表すために、符号の後にT(上),B(下)を付す場合がある。
さらに、中立方向反力付与装置610は、渦巻きばね620と逆向きの弾性力を発生させて弾性反力を調節する調節用弾性体たる調節用圧縮コイルスプリング630(以後、「調節用スプリング」と略記する場合がある)と、その調節用スプリング630を伸縮可能に保持する調節用スプリング保持機構632とを備えている。その調節用スプリング保持機構632は、調節用スプリング630の一端部に固定されたプランジャ634,そのプランジャ634に一端部が固定されるとともに調節用スプリング630を挿通して支持する支持ロッド636,およびその支持ロッド636を軸方向に移動可能に支持する支持体638を備えている。なお、図25において、渦巻きばね620の手前に位置する調節用スプリング630の一部を点線で示し、図26において、上方の調節用スプリング630T,調節用スプリング保持機構632T等を点線で示した。
渦巻きばね620の係合部624は、クランクシャフト616よりも外周側の位置まで延びており、プランジャ634は、その係合部624のクランクシャフト616側に、クランクシャフト616よりも外周側の部分と係合している。調節用スプリング630は、クランクシャフト616よりも外周側の位置であって、操舵角が0の状態においてクランクシャフト616が位置する位置を挟んで係合部624の反対側に配設され、プランジャ634を渦巻きばね620の変形量が増加する向きに付勢するようにされている。
支持体638は、ハウジング612の側壁に固定され、調節用スプリング630の他端部を支持している。すなわち、調節用スプリング630は、プランジャ634と支持体638とに挟まれて圧縮変形させられるのである。支持ロッド636は、支持体638を貫通するとともに、プランジャ634とともに軸方向に移動させられる。また、支持ロッド636の他端部には、支持ロッド636が支持体638から抜けないようにするストッパ部材が設けられている。なお、ハウジング612には、支持ロッド636の他端部が挿通可能な挿通穴640が設けられており、支持ロッド636とハウジング612とが干渉しないようにされている。
図27に、中立方向反力付与装置610の中央部分の断面を示す。なお、この図において、右旋回操舵がなされてクランクシャフト616が図において左側に回動変位させられた状態が示されている。ハウジング612の下方の中央には、シャフト22の先端部を回転可能に支持するシャフト支持体650が配設されている。そのシャフト支持体650は、下側の円筒軸部654と、上側の軸受け部656とを有している。その円筒軸部654は、ハウジング612の下方端部壁に設けられた支持部652に固定されている。軸受部656には、上方に開口した軸穴660が形成されており、その軸穴660においてシャフト22の先端部が、軸受662を介して回転可能に支持されているのである。
シャフト支持体650には、渦巻きばね保持器622が固定されている。渦巻きばね保持器622は、軸方向に配設された円筒状の筒部材670と、その筒部の両端部から鍔状に広がって渦巻きばね620を上下(車両において前後)からそれぞれ保持する円板状の保持板672と、下方の保持板672の下側に設けられて当該渦巻きばね保持器622をハウジング612に相対移動不能かつ相対回転不能に固定する環状部材674とを備えている。上下の渦巻きばね保持器622の各々は、環状部材674が、シャフト支持体650の軸受部656またはハウジング612の下方端部壁の支持部652に固定されることによって、ハウジング612に固定されているのである。なお、渦巻きばね保持器622は、筒部材670において、渦巻きばね624の内周端部を固定している(図26参照)。
ハウジング612の図において左右の側壁には、クランクシャフト616の回動を係止する係止体680が設けられている。その係止体680のクランクシャフト616に当接する面、詳しくは、渦巻きばね624と当接する面にはゴムシート682が貼付されており、クランクシャフト616が係止体680に当接する際の衝撃を緩和するようにされている。
6.1. 作動.
図28に、ステアリングホイール14が中立位置に位置する状態の上下の渦巻きばね620を左側に、右旋回操舵された状態の上下の渦巻きばね620を右側に模式的に示し、作動を説明する。ステアリングホイール14が右旋回操舵されると、クランクシャフト616は図において反時計回りに回動する。その際には、上側の渦巻きばね620Tの係合部624Tは、渦巻きばね620Tの弾性力によってクランクシャフト616を押しながら変位量St2だけ移動する。その係合部624Tの移動によって上側の渦巻きばね620Tの変形量が減少するとともに、上側の調節用スプリング630Tの変形量が増加する。そして、係合部624Tの移動量がSt2以上になると、渦巻きばね620Tの弾性力と調節用スプリング630Tの弾性力とが釣り合う状態となり、係合部624Tはクランクシャフト616に追随して移動しなくなり、係合が解消する。
一方、下側の渦巻きばね620Bの係合部624Tは、クランクシャフト616によって反時計回りに回動変位させられる。その係合部624Bの移動によって下側の渦巻きばね620Bの変形量が増加するとともに、下側の調節用スプリング630Bの変形量が減少する。そして、係合部624Bの移動量が変位量St1に対応する移動量以上になると、調節用スプリング630Bは伸びきって変形量が0になり、調節用スプリング630Bと係合部624Bとの係合が解消する。本実施例において、上記3つの実施例と同様に、ステアリングホイール14が中立位置に位置する状態において、調節用スプリング630はクランクシャフト616の変位量St1だけ圧縮変形した状態にされているのである。なお、St1<St2となるようにされている。
以上のような作動によって、本実施例のステアリング操作装置610は、図7に示した弾性反力と同様な、操舵角の増加に伴い変化勾配が3段階に順次減少して変化する弾性反力をステアリングホイール14に付与することができるのである。また、操舵量と渦巻きばね620,調節用スプリング630の弾性力等との関係は、図5,図6と同様である。なお、流体ダンパ312の効果については第2実施例と同様である。
本実施例において、上側の弾性反力発生機構690Tが、渦巻きばね620T,渦巻きばね保持器622T,調節用スプリング630T,調節用スプリング保持機構632Tを含んで構成されている。また、下側の弾性反力発生機構690Bについても、上下を逆にすれば同様の構成となる。なお、本実施例の中立方向反力付与装置610は、上下で対をなす2つの弾性反力発生機構690を備えた態様である。
7. 第5実施例.
上記全ての実施例において、ステアリング操作装置が対をなす2つの弾性反力発生機構を備えていた。しかし、1つの弾性反力発生機構によって、全ての操舵範囲においてステアリングホイール14に弾性反力を付与することもできる。図29に弾性反力発生機構単独型のステアリング操作装置800の断面を示す。また、図30にF−F断面を示す。そのステアリング操作装置800は、流体ダンパ312と中立方向反力付与装置810とを備えており、流体ダンパ312については、第2実施例のものと同様である。また、本実施例の中立方向反力付与装置810は、第4実施例の中立方向反力付与装置610と似ており、共通の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
本実施例の中立方向反力付与装置810は、両端部が閉塞された概して円筒状のハウジング812と、シャフト22の回転方向を逆向きにする回転方向変換機構820と、その回転方向変換機構820に接続されてシャフト22と逆向きに回転させられる逆回転軸822とを備えている。なお、回転方向変換機構820については後に詳述する。また、中立方向反力付与装置810は、2つのクランク830,832と、それらクランク830,832の先端部に固定されてそれぞれ図において下方または上方(車両前方または後方)に延びるクランクシャフト834,836とを備えている。上方のクランク830は、シャフト22の軸線と交差する方向(本実施例において直角方向)に延びる状態でシャフト22に相対回転不能に固定されている。下方のクランク832は、操舵角が0の状態において、図に示すように上方のクランク830と同じ向きに延びる状態で逆回転軸822に相対回転不能に固定されている。すなわち、本実施例において、シャフト22が回転した際に、上方のクランク830と下方のクランク832とが互いに逆向きに回転することにより、上方のクランクシャフト834と下方のクランクシャフト836とが互いに逆向きに回動変位させられる構造とされているのである。
中立方向反力付与装置810は、シャフト22の軸線回りに螺旋状に巻かれた主弾性体としての渦巻きばね840を備えている。その渦巻きばね840は、それの外周端部が曲げられて外周方向に延びるように形成された係合部842を有している。渦巻きばね840は、その係合部842においてクランクシャフト834,836と周方向に当接するようにして係合しており、シャフト22の回転に伴いクランクシャフト834,836のうちのいずれかが図30において反時計回りに回動変位させられることによってその捩り変形量が増加させられる。
中立方向反力付与装置810は、渦巻きばね840を上下から保持する2つの保持板846,848を備えている。それら保持板846,848の各々は、図においてシャフト22の右側に延びてハウジング812に固定されている。また、保持板846,848の各々とハウジング812の上方または下方との間には支持壁850が設けられており、その支持壁850によって保持板846,848の各々がより強固にハウジング812に固定されている。それら保持板846,848の間には、円筒状の筒部材852が固定されており、その筒部材852に渦巻きばね840の内周端部が固定されている。また、保持板846,848の各々は軸穴854,856を有しており、その軸穴854,856において、それぞれシャフト22の下方端部(車両前方端部)、逆回転軸822の上方端部を軸受を介して回転可能に保持している。なお、逆回転軸822の下方端部は、ハウジング812に設けられた軸保持部858に軸受を介して回転可能に保持されている。
先に述べた回転方向変換機構820は、シャフト22に相対回転不能に固定されてシャフト22の回転が入力されるカサ歯車である入力歯車860と、逆回転軸822に相対回転不能に固定されてシャフト22と逆の回転を出力するカサ歯車である出力歯車862と、入力歯車860および出力歯車862と交差する方向に設けられてそれらを連結する2つの連結歯車864とを備えている。それら連結歯車864は、保持板846,848の間に固定された環状の支持部材866に軸受を介して互いに回転自在に設けられており、入力歯車860の回転を出力歯車862に伝達して逆回転させるのである。このような、回転方向変換機構820によって、シャフト22が左右のいずれの旋回方向に操舵されても、クランクシャフト834,836のいずれかが図30において反時計回りに回動変位させられるのである。
本実施例の中立方向反力付与装置810は、調節用弾性体として、コイル径が比較的大きくされた第1調節用圧縮コイルスプリング870(以下、「第1調節用スプリング」と略記する)およびコイル径が比較的小さくされた第2調節用スプリング872(以下、「第2調節用スプリング」と略記する)を備えている。また、中立方向反力付与装置810は、第1,第2調節用スプリング870,872を伸縮可能に保持する調節用スプリング保持機構874を備えている。その調節用スプリング保持機構874は、第4実施例の調節用スプリング保持機構632と寸法や配設角度が異なるが、それ以外は同様であるため、調節用スプリング保持機構874の構成については第4実施例の調節用スプリング保持機構632の構成と同じ符号を付して説明を省略する。その調節用スプリング保持機構874において、プランジャ634は、渦巻きばね840の係合部842と、渦巻きばね840の変形量の減少を妨げる方向から当接するように係合している。この図において、第1,第2調節用スプリング870,872は、その調節用スプリング保持機構874に圧縮変形させられた状態で保持されており、伸長する向きの弾性力によってプランジャ634を渦巻きばね840の変形量を増加させる向きに付勢している。つまり、第1,第2調節用スプリング870,872は、渦巻きばね840の弾性力と逆向きの弾性力を発生させているのである。
図31に、クランクシャフト834,836の反時計回りの変位量Stと、渦巻きばね840と第1,第2調節用スプリング870,872の弾性力との関係を模式的に示す。第1,第2調節用スプリング870,872は、変位量が0の状態において、それぞれSt1,St2だけ圧縮変形させられており、渦巻きばね840と逆向きの弾性力を発生している。また、変位量が0の状態において、渦巻きばね840の弾性力と、第1,第2調節用スプリング870,872の弾性力の合力とが釣り合うようにされている。第1,第2調節用スプリング870,872は、変位量の増加に伴い、その圧縮変形量が減少させられ、変位量がSt1以上となる状態において第1調節用スプリング870の変形量が0となり、変位量がSt2以上となる状態において第2調節用スプリング872の変形量が0となる。
渦巻きばね840のばね定数をK1,第1調節用スプリング870のばね定数をK2,第2調節用スプリング872のばね定数をK3とすると、変位量が0からSt1の間の各スプリングの弾性力の合力の変化勾配は[K1+K2+K3]となり、変位量がSt1からSt2の間の各スプリングの弾性力の合力の変化勾配は[K1+K3]となり、変位量がSt2を超えた状態の各スプリングの弾性力の合力の変化勾配は[K1]となる。すなわち、渦巻きばね840の弾性力と第1,第2調節用スプリング870,872の弾性力との合力は、図31に一部を二点鎖線で示すように、変位量の増加に伴い弾性反力の変化勾配を3段階に順次減少するように変化させることができるのである。
なお、調節用弾性体を3つ以上配設することもでき、その場合は、弾性反力の変化勾配を4段階以上に順次減少するように変化させることができる。また、第1調節用スプリング870を省略することも可能であり、その場合は、変位量の増加に伴い弾性反力の変化勾配を2段階に順次減少するように変化させることができる。さらに、上記第1〜第4実施例において、本実施例と同様に調節用弾性体を2つ以上配設することができる。
本実施例において、渦巻きばね840と、第1,第2調節用スプリング870,872と、調節用スプリング保持機構874とを含んで弾性反力発生機構880が構成されている。その弾性反力発生機構880は、ステアリングホイール14が中立位置に位置する状態において、主弾性体たる渦巻きばね840の弾性力と、調節用弾性体たる第1,第2調節用スプリング870,872の弾性力とが釣り合うようにされた態様である。なお、本実施例において、渦巻きばね840の係合部842が、変位体として機能している。そして、上下のクランク830,832と、上下のクランクシャフト834,836と、回転方向変換機構820と、逆回転軸822と、係合部842とを含んで、操舵方向に拘わらず、操舵角の増減に伴い変位体の設定された向きの変位量を増減させる構造とされた変位体変位機構が構成されている。
請求可能発明の実施例であるステアリング操作装置を備えたステアリングシステムの概略を示す図である。 上記ステアリング操作装置を構成するシャフト保持装置および反力調整モータを示す断面図である。 上記ステアリング操作装置を構成する中立方向反力付与装置の断面を示す図である。 上記中立方向反力付与装置の作動を模式的に示す図である。 ステアリングホイールの操舵角と上記中立方向反力付与装置が備えた4つのスプリングの弾性力との関係を示す図である。 上記中立方向反力付与装置が備えた左右各々のメインスプリングの弾性力と調節用スプリングの弾性力との合力の大きさを示す図である。 上記中立方向反力付与装置が備えた4つのスプリングの弾性力の合力の大きさを示す図である。 上記中立方向反力付与装置とは別の態様の中立方向反力付与装置において、操舵角と4つのスプリングの弾性力との関係を示す図である。 上記中立方向反力付与装置とは別の態様の中立方向反力付与装置において、操舵角と、左右各々のメインスプリングと調節用スプリングとの合力との関係を示す図である。 上記中立方向反力付与装置とは別の態様の中立方向反力付与装置において、操舵角と、左右各々のメインスプリングと調節用スプリングとの合力との関係を示す図である。 ステアリングホイールに付与することが望ましい操舵角を減少させる操作反力の大きさを示す図である。 ステアリングホイールに付与することが望ましい操舵角を減少させる操作反力と、上記中立方向反力付与装置によって付与される弾性反力とを比較して示す図である。 第2実施例のステアリング操作装置を備えたステアリングシステムの概略を示す図である。 上記ステアリング操作装置を構成する中立方向反力付与装置および流体ダンパの断面を示す図である。 上記中立方向反力付与装置のA−A断面を示す図である。 上記中立方向反力付与装置のA−A断面の上記とは別の態様を示す図である。 上記中立方向反力付与装置の作動を示す図である。 上記中立方向反力付与装置および流体ダンパによってステアリングホイールに付与される操作反力を模式的に示す図である。 第3実施例のステアリング操作装置の断面を示す図である。 上記ステアリング操作装置の中立方向反力付与装置内部の断面を示す図である。 上記中立方向反力付与装置のB−B断面を示す図である。 上記中立方向反力付与装置の環状板の平面形状とその周辺の部分を示す図である。 上記中立方向反力付与装置の作動を示す図である。 第4実施例のステアリング操作装置を備えたステアリングシステムの概略を示す図である。 上記ステアリング操作装置を構成する中立方向反力付与装置および流体ダンパの断面を示す図である。 上記中立方向反力付与装置のC−C断面を示す図である。 上記中立方向反力付与装置の中心部の構造を示す断面図である。 上記中立方向反力付与装置の作動を模式的に示す図である。 第5実施例のステアリング操作装置の断面を示す図である。 上記ステアリング操作装置に設けられた中立方向反力付与装置のD−D断面を示す図である。 ステアリングホイールの操舵角と上記中立方向反力付与装置が備えた3つのスプリングの弾性力との関係を模式的に示す図である。
符号の説明
<第1実施例> 10:操作部 12:転舵部 14:ステアリングホイール(操作部材) 16:転舵車輪 20:ステアリング操作装置 22:シャフト(回転軸) 30:中立方向反力 104:ピニオンギヤ 106:ピニオン軸 132:スライド部材(変位体) 136:ラック 140:ロッド部 142,144:鍔部 146:鍔付ロッド(係合体) 150:区画壁(支持体) 152:メインスプリング(主弾性体) 154:調節用スプリング(調節用弾性体) 170:弾性反力発生機構 200:ECU <第2実施例> 300:ステアリング操作装置 310:中立方向反力付与装置 312:流体ダンパ 350:ハウジング 352,354:仕切壁 360:ボールねじ軸 370:スライド部材(変位体) 372:ボールナット部 374:円板部 390:ロッド部 392,394:鍔部 396:鍔付ロッド(係合体) 410:メイン圧縮コイルスプリング(主弾性体) 412:調節用圧縮コイルスプリング(調節用弾性体) 420:弾性反力発生機構 <第3実施例> 440:ステアリング操作装置 450:中立方向反力付与装置 452:ハウジング 460:スライド部材(変位体) 462:環状板(係合体) 464:メイン圧縮コイルスプリング(主弾性体) 466:弾性力調節用ウレタン部材(調節用弾性体) 474:中央側支持体(第1支持体) 476:端部側支持体(第2支持体) 480:大径部 494:弾性反力発生機構 <第4実施例> 600:ステアリング操作装置 610:中立方向反力付与装置 612:ハウジング 614:クランク 616:クランクシャフト(変位体) 620:渦巻きばね(主弾性体) 630:調節用圧縮コイルスプリング(調節用弾性体) 690:弾性反力発生機構 <第5実施例> 800:ステアリング操作装置 810:中立方向反力付与装置 812:ハウジング 820:回転方向変換機構 830,832:クランク 834,836:クランクシャフト 840:渦巻きばね(主弾性体) 842:係合部(変位体) 870:第1調節用圧縮コイルスプリング(調節用弾性体) 872:第2調節用圧縮コイルスプリング(調節用弾性体)


Claims (8)

  1. 操舵操作によって操舵量が増減させられる操作部材と、
    前記操作部材の操舵量を減少させる弾性反力を発生させる弾性反力発生機構とを備えたステアリング操作装置であって、
    前記弾性反力発生機構が、
    主たる弾性反力源として設けられ、前記操作部材の操舵量の増加に伴い変形量が増加させられるとともに、その変形量に応じた大きさの弾性力を発生させる主弾性体と、
    前記操作部材の操舵量の増加に伴い変形量が減少させられるとともに、その変形量の減少に応じて大きさが減少しかつ前記主弾性体の弾性力と逆向きの弾性力を発生させることにより、弾性反力の大きさを調節する調節用弾性体とを含んで構成され、
    前記操作部材の操舵量が設定量以下の状態において、前記主弾性体の弾性力と前記調節用弾性体の弾性力とに基づく弾性反力を発生させるとともに、前記操作部材の操舵量が設定量を超えた状態において、前記主弾性体の弾性力に基づく弾性反力を発生させる構造とされたことを特徴とするステアリング操作装置。
  2. 当該ステアリング操作装置が、変位体を有して前記操作部材の操舵量の増減に応じて前記変位体の変位量を増減させる変位体変位機構を備え、
    前記弾性反力発生機構が、前記変位体の変位量の増加に伴い前記主弾性体の変形量が増加させられるように構成された請求項1に記載のステアリング操作装置。
  3. 前記弾性反力発生機構が、
    前記変位体と係合してその変位体の変位量の増加に伴い移動させられるとともに、前記主弾性体と係合しかつ前記変位体の変位量が設定変位量以下の状態においてのみ前記調節用弾性体と係合する係合体を備え、
    その係合体の移動量の増加に伴い前記主弾性体の変形量を増加させるとともに、前記変位体の変位量が設定変位量以下の状態においてのみ前記係合体の移動量の増加に伴いその調節用弾性体の変形量を減少させることにより、前記変位体の変位量が設定変位量以下の状態において前記主弾性体の弾性力と前記調節用弾性体の弾性力との合力を前記変位体に作用させる一方、前記変位体の変位量が設定変位量を超えた状態において前記主弾性体の弾性力を前記変位体に作用させるように構成された請求項2に記載のステアリング操作装置。
  4. 前記変位体変位機構が、操舵方向に拘わらず、前記操作部材の操舵量の増減に伴い前記変位体の設定された向きの変位量を増減させる構造とされ、
    前記弾性反力発生機構が、前記変位体の変位量の増加に伴い前記主弾性体の変形量が増加させられることにより、前記操作部材の全ての操舵範囲において前記弾性反力を発生させるように構成された請求項2または3に記載のステアリング操作装置。
  5. 当該ステアリング操作装置が、左右旋回操舵の各々に対応する中立位置を挟む左右の操舵範囲の一方を分担範囲とし、その分担範囲において前記弾性反力発生機構が前記操作部材に弾性反力を付与する構造とされ、
    前記弾性反力発生機構が、前記変位体が前記分担範囲に対応する変位区間に位置する場合に、前記変位体の変位量の増加に伴い前記主弾性体の変形量が増加させられるように構成された請求項2または3に記載のステアリング操作装置。
  6. 当該ステアリング操作装置が、前記弾性反力発生機構を2つ備え、
    それら2つの弾性反力発生機構が対をなすとともに、それらの各々が、前記変位体が前記分担範囲に対応する変位区間に位置する場合に、前記主弾性体がその変位体と係合してその変位体の変位量に応じて変形量が増加させられるように配設された請求項5に記載のステアリング操作装置。
  7. 前記2つの弾性反力発生機構の各々が、前記操作部材が中立位置に位置した状態において、前記主弾性体の弾性力が前記調節用弾性体の弾性力よりも大きくなる構造とされた請求項6に記載のステアリング操作装置。
  8. 前記2つの弾性反力発生機構の各々が、前記分担範囲とそれと中立位置を挟んで連続する前記分担範囲と対向する前記操舵範囲である対向範囲の一部の範囲とを合わせた範囲に対応する変位区間に前記変位体が位置する場合に、その変位体が前記分担範囲において操舵量が増加する際の変位方向に変位することによって前記主弾性体の変形量が増加させられるとともに、前記変位体が前記対向範囲に属する側の終端位置に位置する状態において、前記主弾性体の弾性力と前記調節用弾性体の弾性力とが釣り合う構造とされた請求項6または7に記載のステアリング操作装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009029399A (ja) * 2007-06-26 2009-02-12 Toyota Central R&D Labs Inc 操舵装置、操舵反力模擬装置、及び操舵反力設定方法
JP2015155265A (ja) * 2014-02-20 2015-08-27 株式会社ジェイテクト ステアリング装置
WO2021025345A1 (en) * 2019-08-02 2021-02-11 Mando Corporation Steering system having a steering-feel unit

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