JP2006229766A - 無線通信装置及び無線通信方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 周波数軸上に配列された複数のサブキャリアの周波数特性上の連続性を維持しながらOFDM_MIMO通信を行なう。
【解決手段】 隣り合うサブキャリア同士では送信重みベクトルの相関が高くなるという性質に着目し、サブキャリア毎に完全に独立に特異値の大きさで並び替えるのではなく、特定のサブキャリアのみ特異値の大きさで並び替え、その隣のサブキャリアは、相関値を使用して並び替えることで、より正確な特異値分解を行なう。MIMO合成した後もサブキャリアの周波数特性の連続性が維持されるので、リファレンス信号の領域を少なくしても受信機側で補間することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、複数のアンテナを持つ送信機と複数のアンテナを持つ受信機が対となって、空間多重を利用して複数の論理的なチャネルを形成した通信(MIMO(Multi Input Multi Output)通信)により伝送容量の拡大を行なう無線通信装置及び無線通信方法に係り、特に、送受信の各アンテナ対に対応するチャネルを要素としたチャネル行列Hの特異値分解(SVD)を利用して送受信それぞれの重みベクトルを得て通信データの空間多重並びに空間分離を行なうクローズドループ型のMIMO伝送を行なう無線通信装置及び無線通信方法に関する。
さらに詳しくは、本発明は、互いに直交する複数のサブキャリアを多重伝送するOFDM変調方式を適用してSVD−MIMO通信を行なう無線通信装置及び無線通信方法に係り、特に、周波数軸上に配列された複数のサブキャリアの周波数特性の連続性を維持しながらOFDM_MIMO通信を行なう無線通信装置及び無線通信方法に関する。
旧来の有線通信方式における配線から解放するシステムとして、無線ネットワークが注目されている。無線ネットワークに関する標準的な規格として、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11などを挙げることができる。
室内で無線ネットワークを構築した場合、受信装置では直接波と複数の反射波・遅延波の重ね合わせを受信するというマルチパス環境が形成される。マルチパスにより遅延ひずみ(又は、周波数選択性フェージング)が生じ、通信に誤りが引き起こされ、遅延ひずみに起因するシンボル間干渉が生じる。主な遅延ひずみ対策として、マルチキャリア(多重搬送波)伝送方式が挙げられる。マルチキャリア伝送方式では、送信データを周波数の異なる複数のキャリアに分配して伝送するので、各キャリアの帯域が狭帯域となり、周波数選択性フェージングの影響を受け難くなる。
例えば、マルチキャリア伝送方式の1つであるOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)方式では、各サブキャリアがシンボル区間内で相互に直交するように各キャリアの周波数が設定されている。情報伝送時には、シリアルで送られてきた情報を情報伝送レートより遅いシンボル周期毎にシリアル/パラレル変換して出力される複数のデータを各サブキャリアに割り当ててサブキャリア毎に振幅及び位相の変調を行ない、その複数サブキャリアについて逆FFTを行なうことで周波数軸での各サブキャリアの直交性を保持したまま時間軸の信号に変換して送信する。また、受信時はこの逆の操作、すなわちFFTを行なって時間軸の信号を周波数軸の信号に変換して各サブキャリアについてそれぞれの変調方式に対応した復調を行ない、パラレル/シリアル変換して元のシリアル信号で送られた情報を再生する。
サブキャリアが互いに直交するとは、任意のサブキャリアのスペクトラムのピーク点が常に他のサブキャリアのスペクトラムのゼロ点と一致していることを意味する。このようなOFDM変調方式によれば、周波数利用効率が非常に高く、周波数選択性フェージング妨害に強い。OFDM変調方式は、例えばIEEE802.11a/gにおいて無線LANの標準規格として採用されている。
また、マルチキャリア伝送方式では、周波数軸上で複数のサブキャリアが連続して配置される構成となることから、隣り合うサブキャリアにおける周波数特性の連続性を利用して補間することで通信品質を向上させる、という利用形態も考えられる。
ところで、IEEE802.11aの規格では最大で54Mbpsの通信速度を達成する変調方式をサポートしているが、さらなる高ビットレートを実現できる無線規格が求められている。例えば、IEEE802.11nでは、実効スループットで100MBPSを越える高速な無線LAN技術の開発を目指し、次世代の無線LAN規格を策定している。
無線通信の高速化を実現する技術の1つとしてMIMO(Multi−Input Multi−Output)通信が注目を集めている。これは、送信機側と受信機側の双方において複数のアンテナ素子を備え、空間多重した伝送路(以下、「MIMOチャネル」とも呼ぶ)を実現する通信方式であり、周波数帯域を増大させることになく、アンテナ本数に応じて伝送容量の拡大を図り、通信速度向上を達成することができる。MIMO通信は、チャネルの特性を利用した通信方式であり、単なる送受信アダプティブ・アレーとは相違する。例えば、IEEE802.11a/nでは、1次変調にOFDMを用いたOFDM_MIMO方式を採用されている。
図8には、MIMO通信システムを概念的に示している。同図に示すように、送受信機各々に複数のアンテナが装備されている。送信側では、複数の送信データを空間/時間符号して多重化した信号をM本のアンテナに分配して、複数のMIMOチャネルに送出する。そして、受信側では、チャネル経由でN本のアンテナにより受信した受信信号を空間/時間復号して受信データを得ることができる。この場合のチャネル・モデルは、送信機周りの電波環境(伝達関数)と、チャネル空間の構造(伝達関数)と、受信機周りの電波環境(伝達関数)で構成される。各アンテナから伝送される信号を多重する際、クロストーク(Crosstalk)が発生するが、受信側の信号処理により多重化された各信号をクロストーク無しに正しく取り出すことができる。
MIMO通信システムにおいて得られるMIMOチャネル数は、一般に、送信アンテナ本数Mと受信アンテナ本数Nのうち少ない方min[M,n]に相当する。また、送信側におけるアンテナ重み係数行列Vは、MIMOチャネル数分の送信ベクトルviで構成される(V=[v1,v2,…,vmin[M,N])。また、各送信ベクトルviの要素数は送信アンテナ本数Mである。
MIMO伝送を構成方法としてはさまざまな方式が提案されているが、アンテナのコンフィギュレーションに応じていかにしてチャネル情報を送受信間でやり取りするかが実装上の大きな課題となる。
チャネル情報をやり取りするには、既知情報(プリアンブル情報)を送信側から受信側のみ伝送する方法が容易であり、この場合は送信機と受信機が互いに独立して空間多重伝送を行なうことになり、オープンループ型のMIMO伝送方式と呼ばれる。また、この方法の発展形として、受信側から送信側にもプリアンブル情報をフィードバックすることによって、送受信間で理想的な空間直交チャネルを作り出すクローズドループ型のMIMO伝送方式もある。
オープンループ型のMIMO伝送方式として、例えばV−BLAST(Vertical Bell Laboratories Layered Space Time)方式を挙げることができる(例えば、特許文献1を参照のこと)。送信側では、特にアンテナ重み係数行列を与えず、単純にアンテナ毎に信号を多重化して送る。言い換えれば、アンテナ重み係数行列を得るためのフィードバック手続きが一切省略される。送信機は、多重化信号を送出する前に、受信機側でチャネル推定を行なうためのトレーニング信号を、例えばアンテナ毎に時分割で挿入する。これに対し、受信機では、チャネル推定部でトレーニング信号を利用してチャネル推定を行ない、各アンテナ対に対応したチャネル情報行列Hを算定する。そして、Zero−forcingとキャンセリングを巧妙に組み合わせることで、キャンセリングによって生じたアンテナ自由度を活用してSN比を向上させ、復号の確度を高める。
また、クローズドループ型のMIMO伝送の理想的な形態の1つとして、伝播路関数の特異値分解(SVD:Singular Value Decomposition)を利用したSVD−MIMO方式が知られている(例えば、非特許文献1を参照のこと)。SVD−MIMO伝送では、各アンテナ対に対応するチャネル情報を要素とした数値行列すなわちチャネル情報行列Hを特異値分解してUDVHを求め、送信側のアンテナ重み係数行列としてVを与えるとともに、受信側のアンテナ重み係数行列としてUHを与える。これによって、それぞれのMIMOチャネルは、各特異値λiの平方根を対角要素に持つ対角行列Dとして表され、全くクロストーク無しに信号を多重化して伝送することができる。この場合、送信機側と受信機側の双方において、空間分割すなわち空間直交多重された論理的に独立した複数の伝送路を実現することができる。SVD−MIMO伝送方式によれば、理論的には最大の通信容量を達成することができ、例えば送受信機がアンテナを2本ずつ持てば、最大2倍の伝送容量が得られる。
図9には、SVD−MIMO伝送システムを概念的に示している。SVD−MIMO伝送では、各アンテナ対に対応するチャネル情報を要素とした数値行列すなわちチャネル情報行列Hを特異値分解してUDVHを求め、送信側のアンテナ重み係数行列としてVを与えるとともに、受信側のアンテナ重み係数行列としてUHを与える。これによって、それぞれのMIMOチャネルは、各固有値λiの平方根を対角要素に持つ対角行列Dとして表され、全くクロストーク無しに信号を多重化して伝送することができる。この場合、送信機側と受信機側の双方において、空間分割すなわち空間直交多重された論理的に独立した複数の伝送路を実現することができる。
SVD−MIMO伝送方式によれば、理論的には最大の通信容量を達成することができ、例えば送受信機がアンテナを2本ずつ持てば、最大2倍の伝送容量が得られる。
ここで、SVD−MIMO伝送方式の仕組みについて詳細に説明する。送信機のアンテナ本数をMとすると送信信号xはM×1のベクトルで表され、また、受信機のアンテナ本数をNとすると受信信号yはN×1のベクトルで表される。この場合、チャネル特性はN×Mの数値行列すなわちチャネル行列Hとして表される。チャネル行列Hの要素hijは、j番目の送信アンテナからi番目の受信アンテナへの伝達関数である。そして、受信信号ベクトルyは、下式(1)のように、送信信号ベクトルにチャネル情報行列を掛け算し、さらに雑音ベクトルnを加算して表される。
Figure 2006229766
上述したように、チャネル情報行列Hを特異値分解すると、下式(2)のようになる。
Figure 2006229766
ここで、送信側のアンテナ重み係数行列Vと受信側のアンテナ重み行列Uは、それぞれ下式(3)、(4)を満たすユニタリ行列である。
Figure 2006229766
すなわち、HHHの正規化された固有ベクトルを並べたものが受信側のアンテナ重み行列UHであり、HHHの正規化された固有ベクトルを並べたものが送信側のアンテナ重み行列Vである。また、Dは対角行列でありHHH又はHHHの固有値の平方根を対角成分に持つ。大きさは、送信アンテナ数Mと受信アンテナ数Nのうち小さい数であり、min(M,N)の大きさの正方行列であり対角行列となる。
Figure 2006229766
上述では、実数での特異値分解について説明したが、虚数にまで拡張した場合の特異値分解には注意点がある。UとVは固有ベクトルで構成される行列であるが、固有ベクトルをノルムが1になるようにする操作すなわち正規化を行なった場合でも、単一のものにはならず、位相が異なる固有ベクトルが無数に存在する。UとVの位相関係によっては、上式(2)が成り立たない場合がある。つまり、UとVはそれぞれ正しいが、位相だけそれぞれ任意に回転しているからである。位相を完全一致させるためには、Vは通常通りHHHの固有ベクトルとして求める、そして、Uは、上式(2)の両辺に右からVを掛け、下式のようにして求めるようにする。
Figure 2006229766
送信側ではアンテナ重み係数行列Vを用いて重み付けをするとともに、受信側ではアンテナ重み係数行列UHで重みを付けて受信すると、UとVがユニタリ行列であることから(UはN×min(M,N)、VはM×min(M,N))、下式の通りとなる。
Figure 2006229766
ここで、受信信号yと送信信号xは、送信アンテナと受信アンテナの数で決まるベクトルではなく、(min(M,N)×1)ベクトルである。
Dは対角行列なので、各送信信号がクロストークすることなしに受信することができる。そして、独立した各MIMOチャネルの振幅は固有値λの平方根に比例するので、各MIMOチャネルの電力の大きさはλに比例する。
雑音成分nも、Uの列はノルムが1に正規化された固有ベクトルなので、UHnはその雑音電力を変えるものではない。サイズとしては、UHnは(min(M,N))ベクトルとなり、y及びxと同じサイズである。
このようにSVD−MIMO伝送では、同一の周波数及び同一の時間でありながら、クロストークのない複数の論理的に独立なMIMOチャネルを得ることができる。つまり、同時刻に同一周波数を使用して、複数のデータを無線通信で伝送することが可能となり、伝送速度の向上を実現することができる。
ここで、実際のSVD−MIMO送受信システムを構成する場合に考慮しなければならない点について説明しておく。
SVD−MIMO伝送方式の基本形においては、受信機では、取得したチャネル行列Hを特異値分解して、受信用の重みベクトルUHと送信機で使用する送信用の重みベクトルVを求め、このVを送信機側へフィードバックする。そして、送信機では、このVを送信用の重みとして使用する。
ところが、送信機側へフィードバックする送信重み行列Vの情報量が大きいため、Vの情報を間引いて送った場合等に、本当のVの情報との誤差のために、MIMOチャンネル間の直交状態が壊れてしまいクロストークが生じてしまう。
そこで、通常は、受信機側で取得した送信重み行列Vを送信機側へフィードバックした後、送信機はその行列Vを用いてリファレンス信号を重み付けして送信し、受信機側では改めてチャネル行列を取得する。チャネル行列をHとすると、Vで重み付けして送信したリファレンス信号から、受信機は、HVというチャネル行列を得ることができる。
受信機側で、このHVの逆行列を求め、それを受信用の重みとして使用する。H=UDVHであることから、HVは下式の通りとなる。
Figure 2006229766
これは、通常のSVD−MIMOと同じUHを受信用の重みに用いた後、分離された各MIMOチャネルのストリームに、対角行列Dの各対角要素λiから求まる定数をかけるだけである。
送信側で、行列Vを送信用の重みとして使用して、受信機側では、HVの逆行列を受信用の重みを使用するという構成は、通常のSVD−MIMOの性能と同じであり、送信機側と受信機側のVの不一致がない。したがって、実用上はこのような構成を採用することができる。
SVD−MIMO通信システムでは、例えば、送信機側からは、ユーザ・データを空間多重して送信する前に、MIMOチャネル毎の受信重みを得るためにHVで重み付けされたリファレンス信号が時分割多重して送信される。受信機側では、リファレンス信号を基にHVを取得し、その一般化逆行列を空間分離のために使用する。
上述したように、OFDMに代表されるマルチキャリア伝送方式では、周波数軸上で複数のサブキャリアが連続して配置される構成となることから、隣り合うサブキャリアにおける周波数特性の連続性を利用して補間することで通信品質を向上させることができる。
ところが、空間多重したMIMO通信にOFDM変調を適用したOFDM_MIMO通信においては、チャネル行列HをUDVHに特異値分解して送受信重みを得るという処理をサブキャリア毎に行なうために、送信機側で送信データに送信重み行列Vを乗算した時点でサブキャリア間における周波数特性上の連続性が失われてしまう。このような場合、サブキャリア間の連続性を利用して補間を行なうという、マルチキャリア伝送システムにおける利点を活用することができない。
チャネル行列H、並びにこれを特異値分解して得られる対角行列Dは固有である。これに対し、行列UとVの組み合わせは位相の回転量により無限通りある。送信機側でどの送信重みベクトルVを使用するかは任意であることから、サブキャリア間の周波数特性の連続性が保たれなくなるという訳である。
特開平10−84324号公報 http://radio3.ee.uec.ac.jp/MIMO(IEICE_TS).pdf(平成15年10月24日現在)
本発明の目的は、送受信の各アンテナ対に対応するチャネルを要素としたチャネル行列Hの特異値分解を利用して送受信それぞれの重みを得て通信データの空間多重並びに空間分離を行なうクローズドループ型のMIMO伝送を好適に行なうことができる、優れた無線通信装置及び無線通信方法を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、互いに直交する複数のサブキャリアを多重伝送するOFDM変調方式を適用してSVD−MIMO通信を好適に行なうことができる、優れた無線通信装置及び無線通信方法を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、周波数軸上に配列された複数のサブキャリアの周波数特性の連続性を維持しながらOFDM_MIMO通信を行なうことができる、優れた無線通信装置及び無線通信方法を提供することにある。
本発明は、上記課題を参酌してなされたものであり、複数のアンテナを備え、複数のアンテナを持つ通信機と対となって形成される複数の空間チャネル上で空間多重信号のマルチキャリア伝送を行なう無線通信装置であって、
受信信号に基づいてチャネル行列Hを取得するチャネル行列取得手段と、
チャネル行列HをUDVHに特異値分解して、各空間チャネルにおける送信重みベクトル及び受信重みベクトルを求める特異値分解手段と、
前記送信用重みベクトルを用いて送信データを空間多重してマルチキャリア伝送する送信手段と、
前記受信重みベクトルを用いて受信したマルチキャリア信号を空間チャネル毎の信号に空間分離して受信処理する受信手段とを備え、
前記特異値分解手段は、サブキャリア間における所定の連続性を保つように、サブキャリア毎に得られる送信重みベクトルに対し並べ替え操作を行なう、
ことを特徴とする無線通信装置である。
本発明はMIMO通信システムに関する。この場合、複数のアンテナを持つ送信機と複数のアンテナを持つ受信機が対となって、互いに独立した複数の論理チャネルすなわちMIMOチャネルを構成するように、送信機又は受信機の一方又は両方でアンテナ合成することで伝送信号を空間的に多重化して通信が行なわれる.MIMO通信方式によれば、周波数帯域を増大させることになく、アンテナ本数に応じて伝送容量の拡大を図り、通信速度向上を達成することができる。本発明では、とりわけ、チャネル行列を特異値分解(SVD)して送受信重みを得るSVD−MIMO方式に関する。
また、本発明では、周波数利用効率を上げるとともにマルチパス環境における遅延歪みの問題などを解決するために、OFDM変調方式を適用している。OFDMに代表されるマルチキャリア伝送方式では、周波数軸上で複数のサブキャリアが連続して配置される構成となることから、隣り合うサブキャリアにおける周波数特性の連続性を利用して補間することで通信品質を向上させることができる。
ところが、空間多重したMIMO通信にOFDM変調を適用したOFDM_MIMO通信においては、チャネル行列HをUDVHに特異値分解して送受信重みを得るという処理をサブキャリア毎に行なうために、送信機側で送信データに送信重み行列Vを乗算した時点でサブキャリア間における周波数特性上の連続性が失われてしまう、という問題がある。
特異値分解という処理は、これらの特異値を(大きい順に)並べ替えるという操作まで含んでいる。この並べ替え操作時に、送信重みベクトルV1、V2…の取り違えが生じると、周波数特性の連続性が阻害される。送信重みベクトルV1、V2…を取り違えても、個々のサブキャリアの通信品質に大きく影響することはないが、取り違えにより送信重みベクトルの位相が変わることからサブキャリア間の周波数特性の連続性を期待できなくなる。
そこで、本発明では、前記特異値分解手段は、サブキャリア間における所定の連続性を保つように、サブキャリア毎に得られる送信重みベクトルに対し並べ替え操作を行なうようにした。すなわち、サブキャリア間における周波数特性の連続性を保つように、サブキャリア毎に得られる各空間チャネルの送信重みベクトルに対し並べ替え操作を行なう。
隣り合うサブキャリア同士では、送信重みベクトルの相関が高くなる。この性質に着目し、次のサブキャリアには相関の高い送信重みベクトルを持ってくるという並べ替えを行なうことによって、雑音の影響などによる送信重みベクトルの取り違えを排除することができる。具体的には、前記特異値分解手段は、各空間チャネルにおいて、特定のサブキャリアについて送信重みベクトルを求める。そして、他のサブキャリアに関しては、独立して特異値分解を行なった後、周波数軸上で隣接するサブキャリアにおいて決定された送信重みベクトルとの相関に基づいた送信重みベクトルの並べ替え操作を順次行なっていく。
但し、このような並べ替え操作は常に起動している必要はない。例えば、前記特異値分解手段は、サブキャリア毎の特異値を監視し、隣接するサブキャリア同士の特異値が閾値以下に接近したときに、送信重みベクトルの相関計算及び並べ替え処理を行なうようにすることで、処理負荷を軽減することができる。
また、ハードウェアで実装する場合などに、効率よく送信ベクトルの相関による並べ替えを行なう方法の1つとして、前記特異値分解手段は、隣り合うサブキャリア同士の相関を並列的に求めて、隣り合うサブキャリア間の関係を先に決定してから、全体のサブキャリアの整合をとるようにしてもよい。
また、前記特異値分解手段は、送信重みベクトルV1、V2…(又はU1、U2…)の位相の正規化を施して基準位相を揃えることにより、周波数軸上に並ぶサブキャリア間での周波数特性の連続性を補償するようにしてもよい。ここで言う送信重みベクトルの位相の正規化とは、各送信重みベクトルにおいて特定の要素が同じ位相となるように揃えることに相当する。例えば、ベクトルの要素を複素数表現した場合、各ベクトルの同じ要素を正の定数にするように、すべての要素の位相を回転する。
MIMO通信システムでは、パケットを送信する送信機は、受信機側で受信重みベクトルを得るために、空間チャネル毎の送信重みベクトルで重み付けされたリファレンス信号を送信パケットに付加する。空間チャネル毎のリファレンス信号を時分割多重で送信するのが一般的となっているが、これらリファレンス信号部分はオーバーヘッドとなり、この領域が大きいとスループットの低下を招来する。
そこで、送信機からはリファレンス信号の領域をサブキャリアの1本間隔で送り、その間の欠落した部分は受信機側で補間することにより、リファレンス信号の領域を小さくするようにしてもよい。すなわち、送信機側では、周波数軸上に並ぶリファレンス信号の各サブキャリアに、当該サブキャリアにおける各空間チャネル用の送信重みベクトルを交互に用いて重み付けする。これに対し、受信機側では、あるサブキャリアにおいて得ることができなかった空間チャネルの受信重みベクトルを、周波数軸上で隣接するサブキャリアにおいて得られた当該空間チャネルの受信重みベクトルに基づいて補間する。周波数軸上に並ぶサブキャリア間での周波数特性の連続性が保証されていれば、精度の高い補間を行なうことができると思料される。
本発明によれば、互いに直交する複数のサブキャリアを多重伝送するOFDM変調方式を適用してSVD−MIMO通信を好適に行なうことができる、優れた無線通信装置及び無線通信方法を提供することができる。
また、本発明によれば、周波数軸上に配列された複数のサブキャリアの周波数特性上の連続性を維持しながらOFDM_MIMO通信を行なうことができる、優れた無線通信装置及び無線通信方法を提供することができる。
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳解する。
本発明は、伝送信号を空間的に多重化して通信するMIMO通信システムに関する。MIMO通信システムでは、複数のアンテナを持つ送信機と複数のアンテナを持つ受信機が対となって、互いに独立した複数の論理チャネルすなわち「MIMOチャネル」を構成するように、送信機又は受信機の一方又は両方でアンテナ合成を行なう。MIMO通信方式によれば複数のRF送受信部を1つの無線機に集約して大容量データ伝送を実現する。本発明では、とりわけ、チャネル行列を特異値分解(SVD)して送受信重みを得るSVD−MIMO方式に関する。また、周波数利用効率を上げるとともにマルチパス環境における遅延歪の問題などを解決するために、OFDM変調方式を適用している。
図1には、本発明の一実施形態に係る無線通信装置の構成を模式的に示している。図示の無線通信装置100は送信機側と受信機側の双方において複数のアンテナ素子を備え、MIMO通信機として動作することができる。
各送受信アンテナ11a及び11bには、スイッチ12a及び12bを介して、それぞれ送信系統並びに受信系統が並列的に接続され、他の無線通信装置宛に信号を所定の周波数チャネル上で無線送信し、あるいは他の無線通信装置から送られる信号を収集する。但し、スイッチ12a及び12bは送受信アンテナ11a及び11bを送信系統又は受信系統の一方と排他的に接続し、送受信をともに並行しては行なえないものとする。
各送信系統は、変調符号化部21と、空間多重部22と、IFFT23と、プリアンブル/リファレンス付与部24と、アンテナ毎のD/A変換器25及び送信用アナログ処理部26を備えている。
変調符号化部21は、通信プロトコルの上位レイヤから送られてきた送信データを誤り訂正符号で符号化するとともに、BPSK、QPSK、16QAMなどの所定の変調方式により送信信号を信号空間上にマッピングする。さらに、符号化後の送信信号を所定の送信重み行列で乗算することにより、空間多重により複数のMIMOチャネルを得る。この時点で、パイロット・シンボル挿入パターン並びにタイミングに従って、既知のデータ系列をパイロット・シンボルとして変調シンボル系列に挿入するようにしてもよい。サブキャリア毎あるいはサブキャリア数本の間隔で、既知パターンからなるパイロット信号が挿入される。
空間多重部22は、送信相手からの受信信号に基づいて取得されるチャネル行列Hを特異値分解(SVD)して得られた送信重み行列Vを各MIMOチャネル用のデータに乗算して空間多重を行なう。チャネル行列Hの取得や送信重み行列Vの算出は、チャネル行列取得部40において行なわれるが、その詳細については後述に譲る。
なお、送受信機間のチャネル行列Hは、厳密にはアップリンクとダウンリンクの各方向で相違するが、送受信機それぞれの送受信アナログ回路が持つ伝達関数のキャリブレーション処理を施すことにより、双方向で利用可能なチャネル行列を得ることができる。但し、キャリブレーション処理自体は本発明の要旨に直接関連しないので、ここではこれ以上説明しない。
IFFT23では、変調されたシリアル形式の信号を、並列キャリア数並びにタイミングに従って、並列キャリア数分のパラレル・データに変換してまとめた後、所定のFFTサイズ並びにタイミングに従ってFFTサイズ分の逆フーリエ変換を行なう。
ここで、シンボル間干渉の除去のため、1OFDMシンボルの前後にガード・インターバル区間を設けるようにしてもよい。ガード・インターバルの時間幅は、伝搬路の状況、すなわち復調に影響を及ぼす遅延波の最大遅延時間によって決定される。そして、直列の信号に直し、周波数軸での各キャリアの直交性を保持したまま時間軸の信号に変換して、送信信号とする。
プリアンブル/リファレンス付与部24は、RTS、CTS、DATAパケットなどの送信信号の先頭にプリアンブル信号やリファレンス信号を付加する。
アンテナ毎の送信信号は、それぞれのD/A変換器25によりアナログのベースバンド信号に変換され、さらにそれぞれの送信用アナログ処理部26によりRF周波数帯にアップコンバートされてから、各アンテナ11より各MIMOチャネルへ送出される。
一方、各受信系統は、アンテナ毎の受信用アナログ処理部31及びA/D変換器32と、同期獲得部33と、FFT34と、空間分離部35と、復調復号器36で構成される。
各アンテナ11より受信した信号を、それぞれの受信用アナログ処理部31でRF周波数帯からベースバンド信号にダウンコンバートし、それぞれのA/D変換器32により、デジタル信号に変換する。
各アンテナ系統のデジタル・ベースバンド信号は、同期獲得部33により検出された同期タイミングに従って、シリアル・データとしての受信信号をパラレル・データに変換してまとめられる(ここでは、ガード・インターバルまでを含む1OFDMシンボル分の信号がまとめられる)。また、この段階で周波数誤差推定値に基づいて、それぞれのデジタル・ベースバンド信号に対しタイミング誤差の除去並びに周波数補正が行なわれる。
FFT35は、有効シンボル長分の信号をフーリエ変換により時間軸の信号を周波数軸の信号に変換し、受信信号をサブキャリア信号に分解する。
チャネル行列取得部40は、パケットのプリアンブル部のFFT出力を基に、チャネル行列Hをサブキャリア毎に生成し、このチャネル行列を利用して、送受信重みを算出する。具体的には、送信機側からは各MIMOチャネルに対応したリファレンス信号が時分割で送られてくる(後述)ので、チャネル行列取得部40は、各リファレンス信号から取得した伝達関数を各列ベクトルとして構成されるチャネル行列Hを求め、これをUDVHに特異値分解して、受信重みUHを空間分離部35に与えるとともに、送信重みVを空間多重部22に与える。
また、本実施形態では、チャネル行列取得部40は、チャネル行列Hの取得並びにチャネル行列Hの特異値分解による送受信重みの算出処理の他に、特異値分解時における特異値の並べ替え及び送信重みベクトルの並べ替え処理を行なう。これによって、周波数軸上に配列されるサブキャリア間での周波数特性の連続性を保つことができる。但し、並べ替え処理の詳細については後述に譲る。
空間分離部35は、与えられた受信重みUHを利用して、パケットのデータ部のFFT出力をサブキャリア毎にMIMO合成して、独立した複数のMIMOチャネルに分離する。
復調復号部36は、位相回転補正後に、位相空間(constallation)上の変調点から元の値に復調する。
OFDMに代表されるマルチキャリア伝送方式では、周波数軸上で複数のサブキャリアが連続して配置される構成となることから、隣り合うサブキャリアにおける周波数特性の連続性を利用して補間することで通信品質を向上させることができる。
ところが、空間多重したMIMO通信にOFDM変調を適用したOFDM_MIMO通信においては、チャネル行列HをUDVHに特異値分解して送受信重みを得るという処理をサブキャリア毎に行なうために、送信機側で送信データに送信重み行列Vを乗算した時点でサブキャリア間における周波数特性の連続性が失われてしまう、という問題がある。チャネル行列H、並びにこれを特異値分解して得られる対角行列Dは固有である。他方、行列UとVの組み合わせは位相の回転量により無限通りある。送信機側でどのVを使用するかは任意であることから、サブキャリア間の周波数特性の連続性が保たれなくなるからである(前述)。
送信重み行列Vは、空間多重する各MIMOチャネルの送信重みベクトルV1、V2…の組み合わせからなる(V=[V1,V2,…])。また、受信重みを構成する行列Uは、同様にベクトルU1、U2…の組み合わせからなる。各ベクトルの基準位相の設定次第でUとVの組み合わせが決まるため、サブキャリア間の連続性が失われる。
そこで、本実施形態では、送信重みベクトルV1、V2…(又はU1、U2…)の位相の正規化を施して基準位相を揃えることにより、周波数軸上に並ぶサブキャリア間での周波数特性の連続性を補償するようにした。
ここで言う送信重みベクトルの位相の正規化とは、各送信重みベクトルにおいて特定の要素が同じ位相となるように揃えることに相当する。例えば、ベクトルの要素を複素数表現した場合、各ベクトルの同じ要素を正の定数にするように、すべての要素の位相を回転する。
2×2のMIMO通信ステムの場合、送信重み行列Vは2個の2×1の送信重みベクトルV1及びV2からなる。ここで、送信重みベクトルV1=(a1,a2)とし、複素平面上で図示のようにマッピングされる場合に、1番目の要素a1が実数軸上に載るように各要素a1及びa2に一様な位相回転量θを与えて、a1'及びa2'に位相回転させる(図2を参照のこと)。これを他方の送信重みベクトルV2に対しても行なう。これが位相の正規化処理である。
また、周波数軸上に並ぶサブキャリア間での周波数特性の連続性を阻害するその他の要因として、送信重みベクトルV1、V2…の取り違えを挙げることができる。送信重みベクトルV1、V2…を取り違えても、個々のサブキャリアの通信品質に大きく影響することはないが、取り違えにより送信重みベクトルの位相が変わることから周波数特性の連続性を期待できなくなる。以下、この取り違えを引き起こす原因について説明する。
チャネル行列Hの特異値分解は、MIMOチャネル毎の特異値λ1、λ2…を求め、これらの平方根を対角要素に並べ替えて対角行列Dを生成するとともに、対角要素の並べ替えに応じて行列U及びVの並べ替えを行なう処理を含んでいる。OFDMのようなマルチキャリア変調を適用したMIMO通信システムの場合、このような処理がサブキャリア毎に行なわれる。
特異値λ1、λ2…の値の大きさはそれぞれのMIMOチャネルの通信品質を表している。特異値分解という処理は、これらの特異値を(大きい順に)並べ替えるという操作まで含んでいる。例えば、得られた中で最も大きい特異値をMIMOチャネル1に、次に大きな特異値をMIMOチャネル2に、という具合に順次割り当てていく。マルチキャリア通信方式では、サブキャリア毎に得られた特異値λ1,i、λ2,i…(iはi番目のサブキャリアを示す)を値の大きさ順に対角要素に並べて対角行列Diを構成して送信重みベクトルを求めるようにすれば、送信重みベクトルの取り違えは生じない筈である。ところが、MIMOチャネル間で通信品質が拮抗する場合には、すなわち特異値の差が小さい場合には、雑音の影響などにより大小関係が逆転し、特異値の大きさだけでは送信重みベクトルを判別できなくなり、送信重みベクトルの取り違えが起こりかねない。送信重みベクトルV1、V2…を取り違えても、個々のサブキャリアの通信品質に大きく影響することはないが、取り違えにより送信重みベクトルの位相が変わることからサブキャリア間の周波数特性の連続性を期待できなくなる。
そこで、本発明者らは、隣り合うサブキャリア同士では、送信重みベクトルの相関が高くなるという性質に着目し、次のサブキャリアには相関の高い送信重みベクトルを持ってくるという並べ替えを行なうことによって雑音による送信重みベクトルの取り違えを排除するようにした。
図3には、この場合のチャネル行列取得部40の内部構成を図解している。チャネル行列演算部41では、受信したパケットに含まれるリファレンス信号を用いてサブキャリア毎のチャネル行列H並びにHV(式(8)を参照のこと)を取得する。受信重み取得部42は、HVの一般化逆行列を計算し、これを受信重みベクトルとして空間分離部35に与える。
また、特異値分解部43は、チャネル行列Hを特異値分解する(式(6)を参照のこと)。特異値分解という処理は、これらの特異値を(大きい順に)並べ替えるという操作まで含んでおり、この並べ替え操作時に、送信重みベクトルV1、V2…の取り違えにより周波数特性の連続性が阻害される可能性がある。
続く、並べ替え処理部44では、サブキャリア間における所定の連続性を保つように、サブキャリア毎に得られる送信重みベクトルに対し並べ替え操作を行なう。隣り合うサブキャリア同士では、送信重みベクトルの相関が高くなる。この性質に着目し、次のサブキャリアには相関の高い送信重みベクトルを持ってくるという並べ替えを行なうことによって雑音による送信重みベクトルの取り違えを排除することができる。並べ替え処理部44は、各MIMOチャネルにおいて、特定のサブキャリアについて送信重みベクトルを求める。そして、他のサブキャリアに関しては、独立してチャネル行列の特異値分解を行なった後、周波数軸上で隣接するサブキャリアにおいて決定された送信重みベクトルとの相関に基づいた送信重みベクトルの並べ替え操作を順次行なっていく。
勿論、送信重みベクトルの並べ替えを行なうと処理負荷が高いことから、サブキャリア毎の特異値を監視してある閾値以下に特異値が接近したときのみベクトルの相関計算と並べ替え処理を行なうようにしてもよい。
ここで、OFDM_MIMO通信システムにおいて、周波数軸上に並んだサブキャリアにおける周波数特性の連続性が保証される場合の利点について、チャネル行列Hの取得時を例にとって説明する。
MIMO通信システムでは、受信機は送信機から送られるリファレンス信号を用いてチャネル行列Hを取得し、その逆行列を受信用の重みとして用いて空間分離を行なうことを基本動作とする。SVD−MIMO通信システムでは、例えば、送信機側からは、ユーザ・データを空間多重して送信する前に、MIMOチャネル毎の受信重みを得るためにHVで重み付けされたリファレンス信号が時分割多重して送信される。受信機側では、リファレンス信号を基にHVを取得し、その一般化逆行列を空間分離のために使用する。
IEEE802.11nのようにOFDM変調を適用するSVD−MIMOでは、サブキャリア毎にリファレンス信号の送信と受信重みの取得手続きを行なう必要がある。図4には、2×2(すなわち送信機及び受信機のアンテナがともに2本)のMIMOシステムにおいて、サブキャリア毎のリファレンス信号を送るためのデータ・パケットの構成例を示している。
図示のパケットは、同期獲得用のプリアンブルに続いて、HVで重み付けされたリファレンス信号が時分割多重して送信され、その後に各MIMOチャネルのユーザ・データが空間多重して送信される構成となっている。ここでは2×2のアンテナ構成からなる通信システムを想定しているので、チャネル行列Hは2×2の行列であり、送信用の重みは2個の2×1の送信重みベクトルベクトルV1及びV2で構成される。したがって、これら送信重みベクトルV1及びV2でそれぞれ重み付けした2つのリファレンス信号が時分割で送信される。
受信機側では、これら重み付けされたリファレンス信号を受信してHVを取得し、HVの一般化逆行列を受信用重みとして用いることにより、送信重みベクトルV1で重み付けされた一方のMIMOチャネル上のユーザ・データと、送信重みベクトルV2で重み付けされた他方のMIMOチャネル上のユーザ・データとを空間分離することができる。
OFDM変調方式の場合、このようなリファレンス信号の送信及び受信重みの取得が、周波数軸方向に向かって各サブキャリアについて行なわれる。ところが、図4で示したパケットでは、MIMOチャネル数に応じてリファレンス信号の領域が拡大する構成となっている。これらリファレンス信号部分はオーバーヘッドとなり、この領域が大きいとスループットの低下を招来する。
そこで、送信機からはリファレンス信号の領域をサブキャリアの1本間隔で送り、その間の欠落した部分は受信機側で補間することにより、リファレンス信号の領域を小さくするというパケット送信方法が考えられる。周波数軸上に並ぶサブキャリア間での周波数特性の連続性が保証されていれば、精度の高い補間を行なうことができると思料される。
図5には、この場合に利用されるパケットの構成例を示している。OFDM変調方式を適用しているので、サブキャリア毎に送信重みベクトルを持っている。ここで、i番目のMIMOチャネルのj番目のサブキャリアにおける送信重みベクトルをV(i,j)と表すことにする。
周波数軸方向に向かって各サブキャリアについてリファレンス信号の送信重みベクトルによる重み付けが行なわれる。図5に示すパケット構成によれば、MIMOチャネル1に対応するリファレンス信号は奇数番目のサブキャリアを使用し、他方のMIMOチャネル2に対応するリファレンス信号は偶数番目のサブキャリアを使用する。言い換えれば、MIMOチャネル1に関しては偶数番目のサブキャリアのリファレンス信号が間引かれ、MIMOチャネル2に関しては奇数番目のサブキャリアのリファレンス信号が間引かれて送信される。このように、リファレンス信号に必要な領域が図4に比べ半分になることから、スループットの向上が期待できる。
受信機側では、MIMOチャネル1の場合には、HV(1,1)、HV(1,3)、HV(1,5)…のように、奇数番目のサブキャリアに関する行列HVをリファレンス信号から直接取得し、その逆行列から受信重みを求めることができる。そして、このMIMOチャネル1の偶数番目のサブキャリアに関するHV(1,2)…は、リファレンス信号からは直接求めることはできないが、サブキャリア間の周波数特性の連続性を利用し、その両隣のHV(1,1)とHV(1,3)から補間して求めることができる。
同様に、MIMOチャネル2に関しては、受信機側では、HV(2,2)、HV(2,4)、HV(2,6)…のように偶数番目のサブキャリアに関する行列HVをリファレンス信号から直接取得し、その逆行列から受信重みを求めることができる。そして、このMIMOチャネル2では、サブキャリア間の周波数特性の連続性を利用して、奇数番目のサブキャリアのHV(2,3)…をその両隣のHV(2,2)とHV(2,4)から補間して求めることができる。
ここで、MIMOチャネル1とMIMOチャネル2の送信重みベクトルV1及びV2の生成方法について考えてみる。特異値分解という処理は、これらの特異値を(大きい順に)並べ替えるという操作まで含んでいる。すなわち、リファレンス信号に基づいて取得されたチャネル行列Hを特異値分解したときに、一番大きい特異値をMIMOチャネル1に対応させ、2番目に大きい特異値をMIMOチャネル2に対応させているので、各特異値に対応する2×1の列ベクトルVが対応するMIMOストリーム用の送信重みベクトルVとなる。
このような特異値の並べ替え操作は、サブキャリア毎に独立に行なわれる。つまり、1番目のサブキャリア用のチャネル行列H(1)から特異値分解を行ない、MIMOストリーム1用の送信重みベクトルとしては、一番大きい特異値に対応するVベクトルが選ばれている。次いで、3番目のサブキャリア用の行列H(3)から特異値分解を行ない、MIMOストリーム1用の送信重みベクトルとしては、一番大きい特異値に対するVベクトルが選ばれる。
1番目の特異値と2番目の特異値の値が3.0と1.0という具合に値が離れている場合は問題がない。ところが、2.1と1.9のように特異値の値が接近している場合には、雑音の影響により、この順番が入れ替わることがある。異なる特異値に属するVベクトル同士は直交しているので、この順番を取り違えたままの状態で、両隣のHV(1,1)とHV(1,3)から補間してHV(1,2)を作り出すと、全くおかしな値になり、底からもとまる受信用重みも当然にして不適当な値となる。この結果、受信特性が非常に劣化して、まともな受信ができなくなる。
本実施形態では、隣り合うサブキャリア同士では、送信重みベクトルの相関が高くなるという性質に着目し、次のサブキャリアには相関の高い送信重みベクトルを持ってくるという並べ替えを行なうことによって、このような送信重みベクトルの取り違えを排除するようにしている。以下、図5に示したようにサブキャリア1本間隔でリファレンス信号が間引かれたデータ・パケットに基づいて受信重みを正しく求めるための処理手順について説明する。
サブキャリア毎に独立に特異値分解を行なった後に、基準となるサブキャリアを1つ決める。例えば、サブキャリア1を基準とする。
サブキャリア1では、通常の特異値分解の結果をそのまま使用する。すなわち、1番大きい特異値に対応するVベクトルを当該サブキャリアにおけるMIMOチャネル1に対応させ、2番目に大きい特異値に対応するVベクトルを当該サブキャリアにおけるMIMOチャネル2に対応させる。
次いで、サブキャリア3では、サブキャリア1とは独立に特異値分解を行ない、ベクトルV(1,3)とV(2,3)を求めておく。ここで与えられるベクトルの順番は仮の順番である。V(1,3)とV(2,3)と、先に求めたサブキャリア1におけるMIMOチャネル1に対応付けられた送信重みベクトルV(1,1)との相関をそれぞれ求める。そして、相関値が高いものを、正式に当該サブキャリア3におけるMIMOチャネル1の送信重みベクトルV(1,3)に決定する。
さらに、サブキャリア5では、上述の処理とは独立に特異値分解を行ない、2個の2×1列ベクトルV(1,5)とV(2,5)を求めておくが、これは仮の順番である。そして、V(1,5)とV(2,5)と、先に求めたサブキャリア3においてMIMOチャネル1に対応付けられた送信重みベクトルV(1,3)との相関をそれぞれ求め、V(1,5)とV(2,5)のうちV(1,3)との相関が高いものを正式に当該サブキャリア5におけるMIMOチャネル1の送信重みベクトルV(1,5)に決定する。以下同様に、直近のサブキャリアにおける送信重みベクトルとの相関に基づいて、サブキャリア52までMIMOチャネル1の送信重みベクトルV(1,52)を求める。
もう1つのMIMOチャネル2の方は、サブキャリア2を基準とする。サブキャリア2では、通常の特異値分解の結果をそのまま使用する。すなわち、2番目に大きい特異値に対応するベクトルV(2,2)を当該サブキャリアにおけるMIMOチャネル2に対応させる。
次いで、サブキャリア4では、サブキャリア2とは独立に特異値分解を行ない、ベクトルV(1,4)とV(2,4)を求めておく。ここで与えられるベクトルの順番は仮の順番である。V(1,4)とV(2,4)と、先に求めたサブキャリア1におけるMIMOチャネル1に対応付けられた送信重みベクトルV(2,2)との相関をそれぞれ求める。そして、相関値が高いものを正式に当該サブキャリア4におけるMIMOチャネル2の送信重みベクトルV(2,4)にする。以下同様に、直近のサブキャリアにおける送信重みベクトルとの相関に基づいて、サブキャリア52までMIMOチャネル2の送信重みベクトルV(2,52)を求める。
このように、MIMOチャネル1は、奇数番目のサブキャリアのVが得られて、特異値の値で順番が決めづらい場合でも、直近のサブキャリアにおける送信重みベクトルとの相関値に基づいて並び替え操作を順次行なっていくことで、正しい送信重みベクトルVを得ることができる。また同様に、MIMOチャネル2では偶数番目のサブキャリアのVが得られ、相関値に基づいて並び替え操作を順次行なっていくことで、正しい送信重みベクトルVを得ることができる。
図5からも分かるように、送信機からは、MIMOチャネル1に関しては偶数番目のサブキャリアのリファレンス信号が間引かれ、MIMOチャネル2に関しては奇数番目のサブキャリアのリファレンス信号が間引かれて送信される。これに対し、受信機側では、間引かれたリファレンス信号から本来分かる筈の受信重みを、サブキャリアの周波数特性の連続性を利用して、補間することができる。すなわち、MIMOチャネル1における偶数番目のサブキャリアのHVは、両隣の奇数番目のサブキャリアで求められたHVから補間することが可能になる。一方、MIMOチャネル2では偶数番目のVが得られるが、同様に相関値を使用してVの並び替えを行なっているので、受信機側でMIMOチャネル2の奇数番目のHVを補間により取得することが可能になる。
以上をまとめると、サブキャリア毎に完全に独立に特異値の大きさで並び替えるのではなく、特定の(基準となる)サブキャリアのみ特異値の大きさで並び替え、その隣のサブキャリアは、相関値を使用して並び替えるという方法が特異値分解において採用されている。これは、特異値同士の値が非常に接近しても、その特異値に属するVベクトル同士は直交しているので、相関が非常に低いという特徴があるために実現可能なのである。
続いて、図1に示した無線通信装置をそれぞれ送信機及び受信機として構成されるMIMO通信システムにおける送受信手順について、図6を参照しながら説明する。但し、5GHz帯のOFDM変調方式にSVD_MIMOを適用するものとする。また、送信機と受信機のアンテナ本数はともに2本で、2つのMIMOチャネル1〜2が論理的に形成されるものとする。
ステップ1:送信機から受信機にリファレンス信号を送信することにより、受信機でチャネル行列Hを取得する。
ステップ2:受信機から送信機に対してチャネル行列Hの情報を送信する。
ステップ3:送信機では、受け取ったチャネル行列Hについて、サブキャリア毎に特異値分解を行なう。52本のサブキャリアが存在する場合、その52個のサブキャリアに対応するチャネル行列H(1)からH(52)について、それぞれ特異値分解を行なう。
送信機がパケットを送信する場合、受信機側でチャネル行列Hを取得するために、ユーザ・データ本体に先立ち、各MIMOチャネルの送信重みベクトルで重み付けされたリファレンス信号を送信する。このとき、図5に示したように、MIMOチャネル1に対応するリファレンス信号は奇数番目のサブキャリアを使用し、MIMOチャネル2に対応するリファレンス信号は偶数番目のサブキャリアを使用する。
MIMOチャネル1に対応するリファレンス信号に乗算するV(1,j)は、サブキャリア番号1を基準にする。V(1,1)は、特異値の大きさが1番大きいものに対応する固有ベクトルである。そして、サブキャリア番号3の固有ベクトルV(1,3)に関しては、サブキャリア番号1とは独立に特異値分解して求めたV(1,3)又はV(2,3)のうち、V(1,1)に相関の高いものをV(1,3)として採用する。以降のサブキャリアでは、奇数番目のサブキャリアで1つ前のサブキャリアのV(1,j-2)ベクトルに相関の高いものをV(1,j)として採用するという同様の処理を繰り返し行なう(但し、j は奇数)。
また、MIMOチャネル2に対応するリファレンス信号に乗算するV(2,j)は、サブキャリア番号2を基準にする。V(2,2)は、特異値の大きさが2番目に大きいものに対応する固有ベクトルである。そして、サブキャリア番号2の固有ベクトルV(2,4)は、独立に特異値分解して求めたV(1,4)又はV(2,4)のうち、V(2,2)に相関の高いものをV(2,4)として採用する。以降のサブキャリアでは、偶数番目のサブキャリアで1つ前のサブキャリアのV(2,j-2)ベクトルに相関の高いものをV(2,j)として採用する(但し、jは偶数)。
勿論、サブキャリア毎の特異値を監視してある閾値以下に特異値が接近したときのみベクトルの相関計算と並べ替え処理を行なうようにしてもよい。
ステップ4:ステップ3のようにして決定した重みベクトルをリファレンス信号に乗算して、図5に示したようなパケットを送信機から受信機へ送信する。
ステップ5:受信機では、リファレンス信号の領域から、MIMOチャネル1に対応したHV(1,1)、HV(1,3)、…、HV(1,51)を取得する。偶数番目のHV(1,j)(但し、jは偶数)は両隣のものから補間して求める。また、MIMOチャネル2に対応したHV(2,2)、HV(2,4)、…、HV(2,52)を取得する。奇数番目のHV(2,j)(但し、jは奇数)は両隣のものから補間して求める。
ステップ6:受信機では、取得したHV(i,j)から逆行列演算を行なうことにより、受信用の重みを取得する(式(8)を参照のこと)。そして、ユーザ・データの部分をMIMOチャネル1とMIMOチャネル2のデータに空間分離してデータを受信する。
既に述べたように、送信重みベクトルの並べ替えを行なうと処理負荷が高いことから、チャネル行列取得部40では、サブキャリア毎の特異値を監視してある閾値以下に特異値が接近したときのみベクトルの相関計算と並べ替え処理を行なうようにしてもよい。
また、チャネル行列取得部40をハードウェアで実装する場合などに、効率よく送信ベクトルの相関による並べ替えを行なう方法の1つとして、隣り合うサブキャリア同士の相関を並列的に求めて、隣り合うサブキャリア間の関係を先に決定してから、52個のサブキャリアの整合をとるということも考えられる。
図7には、この場合の並べ替え処理部44の構成例を示している。同図では、簡素化のため、サブキャリア数が8個の場合について示している。まず、周波数軸上で隣り合ったサブキャリア同士の関係において相関値を使用した送信ベクトルVの並べ替えを行なう。続いて、その並べ替えを行なったものの隣同士で相関を基に並べ替えを行なう。これによって並べ替え処理の並列化を実現し、処理速度を速くすることができる。
以上、特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本発明の要旨を判断するためには、特許請求の範囲の記載を参酌すべきである。
図1は、本発明の一実施形態に係る無線通信装置の構成を模式的に示した図である。 図2は、送信重みベクトルの位相の正規化処理を説明するための図である。 図3は、チャネル行列取得部40の内部構成を示した図である。 図4は、2×2のMIMOシステムにおいて、サブキャリア毎のリファレンス信号を送るためのデータ・パケットの構成例を示した図である。 図5は、リファレンス信号の領域をサブキャリアの1本間隔で送る場合のデータ・パケットの構成例を示した図である。 図6は、MIMO通信システムにおける送受信手順を示した図である。 図7は、効率よく送信ベクトルの相関による並べ替えを行なう方法を説明するための図である。 図8は、MIMO通信システムを概念的に示した図である。 図9は、SVD−MIMO伝送システムを概念的に示した図である。
符号の説明
11…アンテナ
12…スイッチ
21…変調符号化部
22…空間多重部
23…IFFT
24…プリアンブル/リファレンス付与部
25…D/A変換器
26…送信用アナログ処理部
31…受信用アナログ処理部
32…A/D変換器
33…同期獲得部
34…FFT
35…空間分離部
36…復号器
40…チャネル行列取得部
41…チャネル行列演算部
42…受信重み取得部
43…特異値分解部
44…並べ替え処理部

Claims (18)

  1. 複数のアンテナを備え、複数のアンテナを持つ通信機と対となって形成される複数の空間チャネル上で空間多重信号のマルチキャリア伝送を行なう無線通信装置であって、
    受信信号に基づいてチャネル行列を取得するチャネル行列取得手段と、
    チャネル行列を特異値分解して、各空間チャネルにおける送信重みベクトル及び受信重みベクトルを求める特異値分解手段と、
    前記送信用重みベクトルを用いて送信データを空間多重してマルチキャリア伝送する送信手段と、
    前記受信重みベクトルを用いて受信したマルチキャリア信号を空間チャネル毎の信号に空間分離して受信処理する受信手段とを備え、
    前記特異値分解手段は、サブキャリア間における所定の連続性を保つように、サブキャリア毎に得られる送信重みベクトルに対し並べ替え操作を行なう、
    ことを特徴とする無線通信装置。
  2. OFDM(直交周波数分割多重)伝送方式を採用し、
    前記特異値分解手段は、周波数軸上に配列されたサブキャリア間における周波数特性の連続性を保つように、サブキャリア毎に得られる各空間チャネルの送信重みベクトルに対し並べ替え操作を行なう、
    ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
  3. 前記特異値分解手段は、送信重みベクトルの位相の正規化を施して各要素の基準位相を揃える、
    ことを特徴とする請求項2に記載の無線通信装置。
  4. 前記特異値分解手段は、各空間チャネルにおいて、特定のサブキャリアについて送信重みベクトルを求め、他のサブキャリアに関しては独立して特異値分解を行なった後に、周波数軸上で隣接するサブキャリアにおいて決定された送信重みベクトルとの相関に基づいた送信重みベクトルの並べ替え操作を順次行なっていく、
    ことを特徴とする請求項2に記載の無線通信装置。
  5. 前記特異値分解手段は、サブキャリア毎の特異値を監視し、隣接するサブキャリア同士の特異値が閾値以下に接近したときに、送信重みベクトルの相関計算及び並べ替え処理を行なう、
    ことを特徴とする請求項4に記載の無線通信装置。
  6. 前記特異値分解手段は、隣り合うサブキャリア同士の相関を並列的に求めて、隣り合うサブキャリア間の関係を先に決定してから、全体のサブキャリアの整合をとる、
    ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
  7. 前記送信手段は、通信相手側で受信重みベクトルを得るために、空間チャネル毎の送信重みベクトルで重み付けされたリファレンス信号を送信パケットに付加する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
  8. 前記送信手段は、周波数軸上に並ぶリファレンス信号の各サブキャリアに、当該サブキャリアにおける各空間チャネル用の送信重みベクトルを交互に用いて重み付けする、
    ことを特徴とする請求項7に記載の無線通信装置。
  9. 前記受信手段は、あるサブキャリアにおいて得ることができなかった空間チャネル用の受信重みベクトルを、周波数軸上で隣接するサブキャリアにおいて得られた当該空間チャネル用の受信重みベクトルに基づいて補間する、
    ことを特徴とする請求項8に記載の無線通信装置。
  10. 複数のアンテナを備えた通信機が対となって形成される複数の空間チャネル上で空間多重信号のマルチキャリア伝送を行なう無線通信方法であって、
    前記受信重みベクトルを用いて受信したマルチキャリア信号を空間チャネル毎の信号に空間分離して受信処理する受信ステップと、
    受信信号に基づいてチャネル行列を取得するチャネル行列取得ステップと、
    チャネル行列を特異値分解して、各空間チャネルにおける送信重みベクトル及び受信重みベクトルを求める特異値分解ステップを備え、
    前記特異値分解ステップでは、サブキャリア間における所定の連続性を保つように、サブキャリア毎に得られる送信重みベクトルに対し並べ替え操作を行なう、
    ことを特徴とする無線通信方法。
  11. OFDM(直交周波数分割多重)伝送方式を採用し、
    前記特異値分解ステップでは、サブキャリア間における周波数特性の連続性を保つように、サブキャリア毎に得られる各空間チャネルの送信重みベクトルに対し並べ替え操作を行なう、
    ことを特徴とする請求項10に記載の無線通信方法。
  12. 前記特異値分解ステップでは、送信重みベクトルの位相の正規化を施して各要素の基準位相を揃える、
    ことを特徴とする請求項11に記載の無線通信方法。
  13. 前記特異値分解ステップでは、各空間チャネルにおいて、特定のサブキャリアについて送信重みベクトルを求め、他のサブキャリアに関しては独立して特異値分解を行なった後に、周波数軸上で隣接するサブキャリアにおいて決定された送信重みベクトルとの相関に基づいた送信重みベクトルの並べ替え操作を順次行なっていく、
    ことを特徴とする請求項11に記載の無線通信方法。
  14. 前記特異値分解ステップでは、サブキャリア毎の特異値を監視し、隣接するサブキャリア同士の特異値が閾値以下に接近したときに、送信重みベクトルの相関計算及び並べ替え処理を行なう、
    ことを特徴とする請求項13に記載の無線通信方法。
  15. 前記特異値分解ステップでは、隣り合うサブキャリア同士の相関を並列的に求めて、隣り合うサブキャリア間の関係を先に決定してから、全体のサブキャリアの整合をとる、
    ことを特徴とする請求項10に記載の無線通信方法。
  16. 前記送信用重みベクトルを用いて送信データを空間多重してマルチキャリア伝送する送信ステップをさらに備え、通信相手側で受信重みベクトルを得るために、空間チャネル毎の送信重みベクトルで重み付けされたリファレンス信号を送信パケットに付加する、
    ことを特徴とする請求項10に記載の無線通信方法。
  17. 前記送信ステップでは、周波数軸上に並ぶリファレンス信号の各サブキャリアに、当該サブキャリアにおける各空間チャネル用の送信重みベクトルを交互に用いて重み付けする、
    ことを特徴とする請求項10に記載の無線通信方法。
  18. 前記受信ステップでは、あるサブキャリアにおいて得ることができなかった空間チャネルの受信重みベクトルを、周波数軸上で隣接するサブキャリアにおいて得られた当該空間チャネルの受信重みベクトルに基づいて補間する、
    ことを特徴とする請求項10に記載の無線通信方法。
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