JP2006228358A - 情報記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高速記録、高密度記録を達成する。
【解決手段】基板電位をマイナス方向に動かすバイアス電圧を印加しながら無機物膜をスパッタリングにより形成するか、または、有機膜を塗布した後エネルギーを与えて積層膜を形成し、積層後も凹凸形状を維持するようにさせる。
【効果】凹凸形状を保った多層記録層を達成できるので、安定な大容量高速記録を行える。
【選択図】図1

Description

本発明は、光を用いて情報を記録、再生する情報記録媒体、情報記録方法、製造方法、製造装置及び情報記録再生装置に関する。
光ディスクでは、記録媒体(ディスク)を記録再生装置から外せることと、記録媒体が安価であることが大きな特長になっている。従って光ディスク装置では、この特徴を失わずに高速・高密度化するのが望ましい。
光ディスクの実効的記録密度(実効的面密度)を高めるには、光の遠達性、透過性という特長を生かした多層化が望ましい。しかし、3層以上では各層の透過率と記録感度とがトレードオフの関係にあり、再生信号品質か記録感度か、どちらかが犠牲にならざるを得なかった。
そこで、このトレードオフを解消する技術が開発されてきており、例えば、特開2003−346378号には、エレクトロクロミック材料を用いた記録層を多層にし、記録層を一対の電極で挟んで電圧を印加し、記録層自身を電圧印加によって吸収スペクトルを変化させ、光吸収するようにして、選択的に記録層を着色させ、情報を記録させることが記載されている。
なお、特開2002−82360号には、エレクトロクロミック層の両側を導電層で挟んだ光書き込み型記録材料について記載されている。但し、多層に関するものではなく、材料に関する文献である。
記録膜に光を照射して情報を記録する原理は種々知られているが、そのうちで記録光源の波長に吸収を有する色素を含む記録層と、それに接する基板表面をレーザ照射で変質させて記録を行う有機材料を記録層とした光ディスクが低価格で最も多く出荷されている。このタイプの光ディスクには、CD−RやDVD−Rが有る。
一方、膜材料の相変化(相転移、相変態とも呼ばれる)など、熱による原子配列変化を利用するものは多数回書換え可能な情報記録媒体が得られるという長所を持つ。例えば、特開2001−344807号公報に記載されている通り、これら相変化光ディスクの場合の基本構成は基板上に保護層、GeSbTe系等の記録膜、保護層、反射層という構成からなる。相変化光ディスクのうち、透過率が高いTe酸化物の記録層を用い、上記DVD−Rと同様、書き換えはできないが1回書き込みが可能なものでは4層までの多層のものを開発中であることが報告されている。
特開2003−346378号
特開2002−82360号 特開2001−344807号公報
光ディスクの実効的記録密度(実効的面密度)を高めるには、光の遠達性、透過性という特長を生かした多層化が望ましいが、3層以上では各層の透過率と記録感度とがトレードオフの関係にあり、再生信号品質か記録感度か、どちらかが犠牲にならざるを得なかった。層間隔は、隣接する層では光スポットが十分広がっていて読み出し時に情報が混入しないように20μm以上必要であった。透明有機又は無機材料に厚さ方向も含めて3次元記録するものも知られているが、2光子吸収を利用するものでは記録媒体が単結晶で高価で割れやすかったり、記録感度が悪く、記録によって光の回折、散乱が起きる。また、記録媒体が厚いため光学系が光ディスクとは異なり、共焦点光学系となったりする。
本発明者らの検討の結果、記録層を多層に積み上げていくと、先に形成する下側の記録層は基板の凹凸形状に沿った形状となるが、後に形成する上側の記録層は、基板の凹凸形状を保存せずに、凹凸がなめらかになってしまうことがわかった。そうすると、従来のエレクトロクロミックを用いた記録媒体では、通常の光ディスクと同様にトラッキング用の溝(グルーブ)でトラッキングすると、多数層積層した時の溝形状の変形により、トラッキングエラーが生じやすくなってしまう。レーザビームを複数にして1つのビームはグルーブやピットが形成された基板のすぐ上の反射層に焦点を合わせ、このビームとディスク面内方向の位置関係がほぼ固定された他のビームの焦点位置が記録又は再生する層上に来るようにすればトラッキングやアドレス確認が可能であるが、光ヘッド大型化の原因になる。複数のビームの位置関係が温度変化などで動くおそれも有る。これを避けて1ビームで記録・再生する場合は、ピットや溝を転写した層を数層ごとに設けることにより、移動した焦点位置でアドレスが読めるようにしておく必要が有る。そのためには転写層は10ミクロン以上の膜厚が必要になる。
上記特許文献1記載の多層構造を達成するには、層選択のための電極が各層露出した構造とする必要がある。露出した電極のうち任意の記録層を挟む2つの電極を選び電圧をかければ、その層だけが着色し記録・再生が可能である。このためには各電極層を異なる形状で形成することが必要である。従来は形状の異なるマスクを数枚用意し、必要なところでその度にマスクを交換して製膜していた。特にエレクトロクロミック材料および固体電解質に無機材料を用いた場合、真空中ですべての膜を形成することが可能であるが、マスク交換を必要とするため交換の度に真空装置内から取り出さねばならなかった。
本発明の目的は、これらの問題点を解決し、従来の光ディスクとの高い互換性と装置の
小型化可能性を保って、安定な大容量高速記録を達成すること、形状可変マスクを用い多層記録媒体を生産性よく効率的に作製することにある。
多層化を達成する技術としては、透過率が高い酸化物や硫化物や有機物の記録層を複数層積層し、レーザー光で屈折率や消衰係数を変化させる方式と、透明電極で挟んだエレクトロクロミック材料層と固体電解質層を電圧印加によって透明にしたり着色させたりし、着色させた層だけ記録・再生ができるようにする方式の双方がある。そこで、本発明では、この両者の何れかを用いることとする。以下、具体的に、本発明の構成を説明する。
(1)記録媒体は繰り返し凹凸形状を有する基板または紫外線硬化樹脂層を有し、この凹凸は傾斜がついており、ほぼ台形(但し長い方の底辺がない)とほぼ逆台形(但し長い方の底辺がない)の組の繰り返しになっている。そして、基板または紫外線硬化樹脂層から離れると、円弧状の繰り返し、または底辺の無いほぼ3角形と底辺の無いほぼ逆3角形の組の繰り返しになっている。製膜時に、DCバイアス電圧を強めにかけると膜表面を部分的にArイオンが強くたたいてエッチングし、底辺の無い3角形に近い形と底辺の無い逆3角形に近い形の組の繰り返しに近くなって、弱めにかけると凹凸の頂部がとがらず、円弧の一部に近い形状の繰り返しになった。
(2)上記基板または紫外線硬化樹脂層の凹凸の高さに対し、基板または紫外線硬化樹脂層から離れた、円弧状、または底辺の無いほぼ3角形と底辺の無いほぼ逆3角形組の繰り返しからなる層の凹凸の高さが、0.5倍から0.9倍の範囲にあるようにする。勿論、上記積層された層には、情報を記録する際には、記録マークが形成される。
(3)スパッタリングにより膜を形成する場合は、凹凸形状を有する基板に、基板電位をマイナス方向に動かすバイアス電圧を印加しながらダミー層の無機物膜をスパッタリングにより形成する。このようなバイアス電圧を印加することで、円弧状等に形成できる。
(4)塗布により膜を形成する場合は、凹凸形状を有する基板に、膜を塗布し、前記膜にエネルギービームを照射する。この膜は、凹凸形状の上に形成されるので、膜厚が厚くなる基板凹部の領域に選択的に熱が吸収される。その結果、この膜は、加熱と溶媒の急速な蒸発により表面張力が低下し、また、蒸発ガスの背圧によって膜厚が均一化する。このエネルギービームの照射は、膜全体に行っても良いが、凹部領域に選択的に行っても同様の効果が得られる。このようにすることで、上記円弧状等の形状が形成される。この膜として、有機膜を用いると良い。
なお、前記記録層を形成するステップは、前記有機膜を塗布するステップの前に行われてもよい。また、記録層を形成した後に、更に記録層のうちの有機物膜の凹領域にエネルギーを与えても良い。
記録は高いパワーのパルスレーザ光を照射された部分だけ着色電圧をかけても着色しない、または着色が遅い状態に変化させることによって行う。この方式では光学系は従来の光ディスクの光学系が使えるのが長所であるが、新たにディスクに電圧をかけ、電流を流すことが必要になる。
なお、本発明において発色するとは、記録又は再生に用いるレーザ光の波長に対して吸収が増加することと定義する。従って、発色前から着色していることもあり得る。
(5)(製法)
基板上にマスクをセットし、マスクで覆われていない領域に第1の膜を成膜した後、真空装置内でマスクの形状、大きさまたは設定位置を変化させ、次にマスクで覆われていない領域に第2の膜を成膜する。マスクは円盤状または任意の位置に窪みが設けられた略円盤状であり、第1の膜と第2の膜では開口部の平均直径または窪みの位置が異なる。また、マスクは大きさ(平均直径)や形状が変化する構造であるため、たとえば第1の膜と第2の膜は同一円周上で窪みの位置を変えて膜を成膜した後に、第3の膜ではマスクの平均直径を大きい方向に変えて膜を成膜する。各膜における窪みは2つ以上が好ましい。平均直径とは、窪み部を除き、ディスク中心からマスクされる領域の外縁までの距離を角度1度刻みで計測した平均値を半径とする円の直径(半径の2倍)と定義する。
なお、本明細書では、形状とは輪郭の形を意味し、大きさを含まないものとする。
(6)(製造装置)
多層ディスクを作製する装置は、基板を設置するための台と、前記基板上に成膜する材料からなるターゲットと、前記ターゲットをスパッタリングして、前記基板上に成膜させる手段と、前記台と前記ターゲットとの間に設けられたマスクと、前記マスクの形状を変化させる手段とを有している。マスクは、例えば、中心軸と、数枚の羽板と押さえバネとからなっている。羽板には各々突起が設けてあり、各々の突起の外側に接触するように備えた、リング状の押えバネで数枚の羽板がばらばらになることを防いでいる。中心軸の円柱面の先端には凹が、後端部には複数の凹凸部が設けてある。上記中心軸の先端の凹部に前記数枚の羽板の鋭角部を差し込んで固定する。これにより、数枚の羽板は平らではなく傘型の形状となる。基板を設置するための台の中心部には薄い円盤状で中央部に複数の切り欠けを設けた板バネがあり、マスク中心軸の後端部の凹凸部が板バネの中央部にはまる構造になっている。マスク中心を台側に押すと板バネの中央部が次の凹凸部にはまり、マスクの高さ位置決めができる。マスク高さが変化すると羽板の角度がかわり、マスクの平均直径が大きい方向へ変わる構造になっている。
また、全体を回転させながら、羽板の少なくとも2つの突起を任意の時間押えるとマスクのみスリップして、任意の距離分、面内の周方向にマスクと基板の位置がずれることで設定位置を変えることができる構造になっている。形状を変える場合と設定位置を変える場合はこれらを組み合わせて使用する。また、マスク径を変化させる方法として、内周部には長円形の穴があいた羽板を用いる。羽板の外輪部両端では隣の羽板と重なる部分で2枚を貫通したビス222でとめた構造。このビスは接着のためでなく羽板はビスを中心に動く。羽板のうち一番下と一番上の羽板2枚は一箇所だけでとめてある。羽板には突起と突起の内側に接触するように備えたリング状の押えバネがあり、押さえバネは外側に向かって広がる力が常に働いている。押さえバネの広がりを押えているのがアームバーである。アームバーがもっとも内周側まで押し付けている場合はマスクの平均外径は最小であって、アームバーが外周側へ移動するとアームバーに沿って押えバネが広がり、羽板と一体になっている突起を押し広げ羽板も変化する。
羽板内周部の長円穴はこの時に羽板が中心軸から外れることなく移動するためにある。羽板は同じ形状の複数枚からなり、2枚から30枚程度が好ましい。羽板の厚さ、材質にもよるが、羽板枚数が多すぎると全体が厚くなり、厚さや重さが影響するためである。マスク形状の変化量が少ない場合には羽板が一枚の構造でも可能である。マスクの平均直径が小さい場合には羽板の端と端の一ヶ所での重なり量が大きく、平均直径が大きい場合には重なり量が小さいというように変化していく。羽板の基板に接する面にはやわらかい別材料を張り合わせてもよく、スムーズに移動するようにタフラム処理やフッ素コーティング処理、エンボス処理またはこれらの組み合わせが好ましい。
以上述べたように、一つのマスクで製膜範囲の変更を行うことができる。特に蒸着あるいはスパッタリングで連続して膜を形成する場合において製膜範囲を変更する際には、1つの真空装置内でも簡単に形状変化させることができ効率的に多層記録媒体が作製できる。
(7)(媒体)
上記マスクを使用し作製した多層ディスクは、基板とマスクが密着した部分には膜がなく開口部である。この開口部の形状を、各記録膜毎に変化させたものである。その例として、複数の突起部を有する開口部が設けられた第1の記録膜、突起部の位置が第1の開口部とは異なるように突起部が設けられた開口部を有する第2の記録膜、と基板側から順次形成されたディスクがある。
また、記録膜毎に、開口部の大きさと形状、両方が異なるようにしても良い。例えば、基板側から、複数の突起部がある第1の開口部を有する第1の記録膜、その突起部とは突起の位置が異なる第2の開口部を有する第2の記録膜、第1の開口部よりも大きな開口部であって複数の突起部がある第3の開口部を有する第3の記録膜、突起部の位置が第3の開口部とは異なるように突起部が形成された第4の開口部を有する第4の記録膜が形成されたディスクが挙げられる。
また、第1の開口部を有する第1の記録膜、第2の開口部を有する第2の記録膜、第3の開口部を有する第3の記録膜、と順次積層されたディスクであって、前記開口部の平均直径は第1、第2、第3の膜で段階的に異なり、その平均直径の差がディスク中心側ほど大きくするようにしても良い。
前記第1、2、3の膜は、電圧を印加することにより透過率または反射率が変化する記録膜であり、更に、前記記録膜に電圧を印加する電極膜が設けられている。前記第1,第2の開口部から、電流を供給する手段が設けられている。
(8)前記目的を達成するために、本発明では、複数層積層したエレクトロクロミック材料を電圧によって透明にしたり着色させたりし、着色させた層だけ記録・再生ができる方式とする。記録は高いパワーのパルスレーザ光を照射された部分だけ着色電圧をかけても着色しない状態に変化させることによって行う。光学系は従来の光ディスクの光学系が使えるのが長所であるが、新たにディスクに電圧をかけ、電流を流すことが必要になるので、どのように回転するディスクに電圧をかけ高速記録するかが問題である。この問題点を解決するために、本発明では、ドライブ装置の記録媒体を載置する記録媒体回転軸に固定されたディスク載置部、あるいはディスクを押し付けて固定するディスク押え部又はその近傍を経て記録媒体の複数の電極に電圧を印加できる記録媒体、及びドライブ装置とする。
本発明による情報記録装置は、回転軸と、回転軸に固定されたディスク載置部と、ディスク載置部に載置されるディスク状記録媒体を押えて固定し、ディスク状記録媒体と一体となって回転するディスク押え部と、ディスク載置部のディスク接触面に露出し、ディスク載置部に載置されるディスク状記録媒体の記録層を挟む電極と直接、又は他の導電性物質を介して接触する複数のピン状又は帯状の接触電極と、電源と、電源に接続され、複数のピン電極に給電する導電路とを備える。
また、本発明による情報記録装置は、回転軸と、回転軸に固定されたディスク載置部と、ディスク載置部に載置されるディスク状記録媒体を押えて固定し、ディスク状記録媒体と一体となって回転するディスク押え部と、ディスク押え部のディスク接触面に露出し、ディスク載置部に載置されるディスク状記録媒体の記録層を挟む電極と直接、又は他の導電性物質を介して接触する複数のピン状又は帯状の接触電極と、電源と、電源に接続され、複数の接触電極に給電する導電路とを備える。
複数のピン電極はディスク接触面から突出する方向に付勢されているのが好ましい。導電路は、回転軸中に設置してもよいし、ディスク押え部中に設置してもよい。これらの両者を一方から他方へ通っても良い。また、回転軸と接して接触位置が長手方向に可動な細長い導体を有し、当該導体が導電路の一部を構成してもよい。
本発明による情報記録方法は、それぞれが一対の電極で挟まれた電圧印加によって発色する複数の記録層を有するディスク状記録媒体を回転軸に固定されたディスク載置部に設置するステップと、ディスク載置部に載置されたディスク状記録媒体を、当該ディスク状記録媒体と一体となって回転するディスク押え部により押えて固定するステップと、ディスク載置部のディスク接触面あるいはディスク押え部のディスク接触面に設けた複数のピン状又は帯状の接触電極から複数の記録層のうちの1つの記録層を挟む一対の電極に、間に挟まれている記録層が発色する向きの電圧を印加するステップと、ディスク状記録媒体に光照射し、電圧を印加されている一対の電極に挟まれた記録層に選択的に情報を記録するステップとを有する。電圧印加によって発色する記録層はエレクトロクロミック材料を含む。選択的に情報を記録する記録層以外の記録層を挟む電極対に、間に挟まれている記録層の透過率が増大する向きの電圧を印加してもよい。なお、本発明において発色するとは、記録又は再生に用いるレーザ光の波長に対して吸収が増加することと定義する。従って、発色前から着色していることもあり得る。
(9) エネルギーを照射することによって、情報を記録する情報記録媒体であって、
基板と、前記基板上に形成された、電極層、エレクトロクロミック層、電解質層の組合せからなる、複数の情報面を有し、
情報面のある1層の着色状態の反射率Rc、情報面の消色状態の反射率Re、情報面に記録された部分の反射率Rmの関係が、式(1)(2)(3)を満たすようにする。
(Re−Rm)/(Rc−Rm)≦0.03 (1)
Re<Rc (2)
Rm<Rc (3)
本発明の情報記録媒体は、従来より大幅に多層化可能であり、かつ位置ずれを少なくして確実にドライブ装置から記録媒体への電気的接続を実現することができ、実効的記録密度を上げ、高速記録し、記録媒体1枚あたりの記録容量を大幅に大容量化できる。本発明の記録・再生装置では大容量・長寿命で高速記録・再生が可能である。
また、本発明により、電圧を印加する多層記録媒体の製造工程におけるマスク交換の必要がなくなり、従来に比べ大幅に時間短縮できる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
本発明の記録媒体の構成は、具体的には以下のとおりである。図1に示したように、トラッキング用の溝を有する基板1上に、金属反射層2をまず形成し、続いてダミー層3を形成し、その後第1の透明電極4、エレクトロクロミック材料層5、固体電解質材料層6、第2の透明電極7の順で製膜したもの(4から7)を、光学的、あるいは熱的に必要が有れば透明電極間にスペーサー層を挟んで繰り返し2組以上積層する。エレクトロクロミック材料層5と固体電解質材料層6の積層は、この順序の方が駆動電圧が低くなったが、逆順でもよい。ダミー層は、実施例2で述べるバイアススパッタした無機材料の層、または積層膜でも良い。図ではスペーサー層が無い場合を示しているので、図からわかるように1つ下の層の上部透明電極は1つ上の層の下部透明電極を兼ねている。記録層を挟む電極間に電圧を印加すると記録用あるいは読み出し用レーザ光の吸収率及びまたは反射率が増大するようにするのが好ましい。これにより任意の層だけ光吸収し、他の層はほとんど光吸収が無いようにできる。これにより、他の層の干渉が無いので1層当たりの膜厚を従来の1/100程度に薄くでき、複数の層を絞込みレンズの焦点深度内に配置することもできて、従来の複数層ディスクより多層・大容量化できる。もちろん、1層あるいは2層以外は焦点深度内に入らないように、焦点位置を動かして記録・再生してもよい。エレクトロクロミック材料層の反射率が高い場合は金属反射層は省略しても良い。
通常の塗布法で上記のように多層積層を行うと(ただし反射層や透明電極はスパッタリングで形成)、図6に示したように、基板11上にAg−Pd−Cu半透明反射層12、アクリル樹脂の下地層13、透明電極14、エレクトロクロミック材料層15、固体電解質層16、透明電極層17と積層していくと、溝やピットが順次浅くなって行き、ついにはほとんど平坦になってしまう。スパッタリング、真空蒸着で形成する層ばかりの場合は、溝やピットの側壁への膜の付着によって溝が狭くなって行き、いずれの場合も記録層を数層形成した段階でトラッキングやアドレス読み取りが困難になってしまう。これを避けるために本発明では以下に述べるように塗布で形成する層(主として有機材料層)とスパッタリングで形成する層(無機材料層)にそれぞれ別々の対策を行ってできるだけ溝の凹凸を保って多数層積層できるようにする。この対策は、後述する。
上記のような記録層を複数有する記録媒体を用い、多くの電極対間に電圧を印加するが、記録又は消去、又は読出し時に、それらを行う層の両側の電極間だけに他の電極間とは異なった電圧を印加するようにする。異なった電圧とは、極性が逆の電圧の場合も含む。着色方向の電圧と消色方向の電圧が符号が逆で電圧値が異なっていても良い。このようにすることで、所定の記録層に選択的に着色され、着色された層に光照射して情報の記録または再生を行うことができる。
また、本発明においてエレクトロクロミック材料層とは、電圧印加(電流が流れる)によって直接発色する(吸収又は反射スペクトルが変化する)材料の層という定義である。現在エレクトロクロミック材料と呼ばれていないものでも良い。ただし、膜厚50nmの層とした時、透過率を保つため、記録・再生の少なくとも一方、できれば両方の光の波長に対し、所定の電圧印加時に光吸収が10%以下、より好ましくは5%以下にできるものが良い。そのほかに、電圧印加(電流が流れる)によって発光する領域とその光を受けて発色又は消色する領域を有する層も含むものとしても良い。エレクトロクロミック材料としては、ごく一例として、酸化タングステン、チオフェン系有機分子の重合体(ポリチオフェンやその誘導体)が挙げられる。
ディスク内周部には各層の透明電極、あるいは透明電極から延長した電極の端部が図7に示したように放射状121になるように形成するのも良い。放射状の場合は透明電極の面抵抗による電圧の不均一を避けるために、1つの透明電極層に2つ以上の放射状電極を設けるのが好ましい。ここで、図7中、123は基板、122は多層記録層、121は放射状電極、124は透明電極、125は固体電解質層、126は導電性有機材料より成るエレクトロクロミック材料層、127は記録層、128は電圧印加手段、129は光ビームである。
図2は、本発明で用いる多層ディスク記録再生装置の1例を示す構造図である。ディスクの下方に有る、記録再生装置の静止部からモーター41の回転軸42への電線58、スリップリング式電圧伝達機構47、59、から出て、回転軸を回転軸先端に向かう導線45、ディスク受け(ディスク載置部)44,バネ内蔵ピン電極53、ディスク受け内部をバネ内蔵ピン電極に向かう導線52などより成る。上記ディスク内周部の同心円状電極55とディスク受けのピン電極55が接触するようにバネとピン内蔵のディスク押さえ56で押えられている。ピン電極はピン(細い円柱又は円筒)状でなくてもよく、例えば円弧を成す帯状の電極であっても良い。電流は、電極55,54,46を介して、基板57上の透明電極43に供給される。図2においてはディスク受け付近の電極を多数書くとわかりにくくなるので3個だけを書いてある。上記の装置側の複数の電極はそれぞれが幅が狭く長く、全体が一枚の長いベルト状になっていて回転する電極との接触部分が摩耗したら接触位置を変えられるようになっている。ディスクの構造は図2と同じである。
上記同心円状の電極のそれぞれを分割した複数の電極が楔状の金属片を打ち込んだものとしてもよい。
上記同心円状の電極又は透明電極の同心円状引き出し部のそれぞれが連続ではなく、図12に示したようにそれぞれの円の上に複数の電極が配列されたものであるようにしてもよい。対角線上の2つの電極は同じ透明電極層からディスク中心方向に伸びているものとするのが、透明電極の面抵抗による着色速度ムラなどを抑制するのに効果が有る。上記透明電極の端部(同心円状やそれらを円周方向に分割した部分で、図12の171から176)を導電率向上及び補強のために金属又は炭素の微粒子を含む材料を塗布したものとしてもよい。図12において177は中心穴である。
光などのエネルギーを記録媒体に与えることによって情報を記録する記録媒体が少なくともエレクトロクロミック材料層を透明又は半透明の2つの電極間に有するものを2組以上積層したものであり、記録媒体は静止しており、記録媒体側の電極と電源とが絶縁物カバーの内部に複数の金属接点を内蔵するコネクターによって接続されている情報記録装置としても良い。以下に、本願の媒体についてさらに詳細に説明する。
(材料と製膜法)
エレクトロクロミック材料層は上下の電極間に電圧をかけることによって発色する。ここでは、光源に波長660nmのレーザを用いた場合に適したポリチオフェン系材料、または波長405nm付近の青色レーザを用いた場合に適したポリアニリン系材料(誘導体)を用いた。ポリチオフェン系材料の層は、具体的にはH.C.Starck社の商品名Baytron Pを約80vol% 含み、残部の主成分がt-ブチルアルコールで、他に少量の界面活性剤NS210,ポリビニルアルコール、3−GPTMS(3-glycidoxypropyltrimethylsilane)を含む液を塗布、加熱乾燥した層である。BaytronPは、ポリエチレン3,4ジオキシチオフェンの低分子量ポリマー(オリゴマー)が、PSS(ポリスチレンスルフォン酸)の高分子重合体のところどころに付いたものである。この上に固体電解質材料を積層する。固体電解質材料は、PMMA(ポリメチルメタクリレート)とリチウムトリフレート(lithium trifluorosulfonate)を主成分とし、propylene carbonate, ethylene carbonate, acetonitrile, cyclohexanon及び、日立化成のUV硬化樹脂H−9を少量含むものを塗布し、UV光照射、加熱乾燥したものである。塗布によって形成するので、基板のランド部では膜厚が薄くなり、グルーブ部では厚くなる。
上記膜厚を均一化するために本発明の記録媒体は塗布後十分に乾燥する前(即ち塗布後10分以内、より好ましくは1分以内)に相変化光ディスクの初期結晶化装置(日立コンピュータ機器製)で波長670nmの大出力(出力2W)半導体レーザ光を初期結晶化時とほぼ同様にディスクを回転させながら照射した。
レーザー光はダミー層またはエレクトロクロミック層で一部ではあるが吸収され、膜厚の厚い部分ほど光吸収が多く、発熱が多いので高温となり、表面張力の低下、有機溶媒または水分の蒸発、蒸発に伴う蒸気の背圧により膜厚が減少する傾向が強く、線速度5m/sでの照射でランド部とグルーブ部の膜厚差が10%以内と大幅に改善された。このようなレーザ光照射による光吸収と膜厚減少のメカニズムについてはコロナ社刊、「光メモリの基礎」の第3章記録可能光メモリ媒体、穴あけによる光記録の項に詳しく述べられている。この方法を各塗布層に繰り返し行うと、凹凸の形状は必ずしも基板の溝形状と同じではなく、図1に示したように変形して屋根形(ほぼ一定の高さの頂線の両側に平面に近い傾斜面が有り、それが頂線に平行方向に繰り返した形状)に近づいて行き安定するが、凹部と凸部の比率は変化しないので、トラッキングやアドレス読み出しは可能である。本実施例では、有機膜全体にエネルギービームを照射したが、基板の凹部に対応する有機膜の領域に選択的にエネルギービームを照射しても良い。この場合は、例えばマスクなどを介して照射するか、パルスビームにしてパルスが凹部に対応する有機膜の領域に照射されるようにする。
なお、上記は有機膜を塗布した場合であるが、他にタングステン過酸化物水溶液を塗布して非晶質WO3層を形成する場合にも有効である。これは、有機膜ではなく、無機膜であるが、塗布後レーザ照射すると良いのは、有機膜に限らず、無機膜でも有効である。
実際には固体電解質層も塗布で形成する場合、レーザ光の吸収が少ないので、溝内部の膜厚を減少させる効果が小さい。従って、エレクトロクロミック材料層では溝内部の膜厚が溝間の膜厚より薄くなるように高線速度で高パワーのレーザ光照射を行う。エレクトロクロミック材料層と固体電解質層の両層をまとめて1つの記録層と見た時、多数層積層によって形状が変化して行かず安定する照射を行った。
図1からわかるように、最初の300nm程度の積層までは凹凸の形状が変化し、凹凸の高さ(深さ)も変化するので、基板表面の溝深さは最適の凹凸の高さより深くしておき、積層の最初から200nmから500nmまでの範囲は透明な有機物層より成るダミー層3とし、形状が安定化してから実際の多層記録層に用いるのが望ましい。ダミー層は透明電極、エレクトロクロミック材料層、固体電解質層という構成ではなく、アクリル樹脂のように全く異なる透明材料の層あるいは積層膜を形成しても良い。
基板表面の溝深さは最適溝深さの1.1倍から2倍の範囲に有れば、凹凸高さが安定化した部分の層におけるトラッキングが安定に行えた。より好ましい範囲は1.3倍から1.8倍の範囲である。
チオフェン系ポリマー(略してポリチオフェン)のほか、Lu−ジフタロシアニンなどの金属フタロシアニン、ヘプチルビオロゲン、タングステン蓚酸錯体,スチリル系化合物である 3,3ジメチル-2-(P-ジメチルアミノスチリル)インドリノ[2,1−b]オキサゾリン(IRPDM)(光源波長5145nm)や3,3ジメチル-2-(P-ジメチルアミノシンナミリデンビニル)インドリノ[2,1−b]オキサゾリン、青色レーザ記録再生用としてポリアニリンとポリ(2−アクリルアミド−メタン−2−プロパンスルフォン酸(略称PANPS))との積層膜(D. DeLongchamp and P. T. HammondによるAdvanced Materials Vol.13, No. 19, 1455(2001)の論文に記載)なども使用可能である。さらに、光導電効果をもたせるために、TCNQ(7,7, 8,8-Tetracyanoquinodimethane)の層を形成してもよい。
モノマー、又は数分子が結合しただけの低分子量のものを高速真空蒸着し、基板上でオリゴマーやポリマーにするのも好ましい。基板上でオリゴマーやポリマーにするには、真空蒸着中に電子線、イオン、青色又は近紫外光を照射して分子を励起状態にする。真空蒸着の場合、溝の埋まる効果は弱いので、製膜後のレーザー照射も弱めでよい。
有機材料と無機材料が混在する場合、例えばエレクトロクロミック材料層が有機材料で固体電解質層と透明電極層が無機材料である場合、有機材料層には上記の塗布後レーザー照射法、無機材料層には実施例2で述べるバイアススパッタ法を適用する。
これらの方法の適用によってグルーブ形状が屋根形で安定した場合、それによるメリットも生まれる。屋根形では右斜面と左斜面で反射光が異なる方向にほぼ平面波で出て行くので、右斜面と左斜面の両方に記録マークを形成してもクロストークが生じにくいなどのメリットである。もちろん、屋根形の頂部と底部のいずれか、または両方に記録しても良い。屋根形形状は、グルーブに直角な面で切った断面について見ると凹凸形状が円弧の一部に近い形状の繰り返し、または底辺の無い3角形に近い形と底辺の無い逆3角形に近い形の組の繰り返しに近くなっているものである。
上記基板または紫外線硬化樹脂層をグルーブに直角な面で切った断面形状の底辺が無い台形に近い形と底辺(長い方の辺)が無い逆台形に近い形との組の繰り返しの振幅、すなわち凹凸の高さに対し、基板または紫外線硬化樹脂層から離れた上記凹凸形状が屋根形形状、すなわち、ほぼ一定の高さの頂線の両側に平面に近い傾斜面が有り、それが頂線に平行方向に繰り返した形状の部分の凹凸の高さが0.5倍から0.9倍の範囲にあると、屋根形形状の再現性が良く、どの層にも同様に許容範囲内のトラッキングオフセットで安定にトラッキングすることができた。
基板に近く基板表面の凹凸に近い部分(すなわち、グルーブの断面形状が底辺の無い台形と逆台形とを組合わせた形状に近い部分)と、基板から少し離れて層数が増しても形状が安定して変化が少ない領域とではディスクからの反射光の分布も異なるので、すべての記録層に記録しても良いが、基板から少し離れて層数が増しても形状が安定して変化が少ない領域の記録層だけに記録・再生するのが、トラッキングや記録・再生特性のバラツキが少なく、好ましい。記録・再生しない層はダミー層とするのが良い。このダミー層は記録層とは別の低価格材料で形成するのが好ましい。図1の記録媒体において、レーザー光照射はダミー層に対しても行う。これによって、次の層からほぼ層の形状が安定する。
(媒体の製法)
この媒体は次のようにして製作された。まず、直径12cm、厚さ0.6mmで表面にトラックピッチが0.615μmで深さ約70nmのランド・グルーブ記録用のトラッキング用の溝(幅0.615μm)を有し、トラック1周を複数のセクターに分割して各セクターの始まりにピット列によってアドレス、同期信号などを表したヘッダー部を持ち、溝のウォブルによってクロックが表現されたポリカーボネート基板を用いた。DVD−RAMの基板とほぼ同様な基板である。この基板を用いたのは必ずしも最適であるというわけではなく、DVD+RWの基板やHD−DVDの基板のようにアドレスなどもウォブリングで表現され、ピットが無いイングルーブ記録用の基板の方が塗布へのアドレスピットの影響が無い点で好ましい。層間のクロストークが有った場合でも影響が出にくいフォーマットの基板とするのがさらに好ましい。例えば、サンプルサーボフォーマット基板である。図10は、グルーブの概略平面図である。
図3に示したように、上記ポリカーボネート基板61上に、まずAg94PdCu半透明反射層62を膜厚20nm、次に長波長光を吸収するシアニン系色素を混入したアクリル樹脂のダミー層63をスピンコート法で積層し、ITO透明電極64を100nm、エレクトロクロミック材料層65を100nm、固体電解質層66を100nm、WO保護層(スペーサー層)67を50nm、ITO透明電極64を100nm、あとは同様に繰り返してエレクトロクロミック材料層、固体電解質層、WO保護層、ITO透明電極、エレクトロクロミック材料層、固体電解質層、WO保護層、ITO透明電極、エレクトロクロミック材料層、固体電解質層、WO保護層、ITO透明電極の順にITO透明電極で両側を挟まれた記録層を5層積層した。さらにこの上に内周部に内径(直径)15mm、外径41mmの、表から裏へ電極が貫通した基板、外周部に内径約41mm外径120mm厚さ0.6mmのポリカーボネート基板を貼り付けた。光はこの張り合せ保護板側から入射させた。この内周部の基板と外周部の基板は一体化して1枚のポリカーボネート板としてもよい。塗布層形成後には、凹凸振幅回復のため、すべてレーザ照射を行った。
ITO透明電極は反応性スパッタリング、WO保護層は真空蒸着で形成した。真空蒸着としたのは、その下の層が有機材料から成る場合、スパッタリング時のイオン衝撃から保護するためと、酸素を有機材料層に奪われて高抵抗層ができるのを防止するためである。イオン衝撃を受けると特性劣化が速くなった。WO層の膜厚は薄い(30nm程度)方が光透過率の点では好ましい。ITO透明電極は電子ビーム蒸着、レーザ蒸着(ターゲットに大出力のレーザ光を照射して蒸発・製膜する方法で、PLD法とも呼ばれる)で形成することもでき、その場合は保護層としてのWO層を50nm未満に薄くしたり省略することもできる。ただし、蒸着法によるITO膜は、透過率、導電率の面ではスパッタITO膜より少し低目となる。保護の目的では、真空蒸着、又は塗布で形成できる既知の透明導電性無機材料がWOの代わりに使用できる。
本実施例の記録層の層構成は、アクリル系紫外線硬化樹脂にLiトリフレート(正式名Liトリフロロメタンスルフォネート,Li trifluorometanesulfonate:CFSOLi)と可塑剤を混合した材料の固体電解質層、及びPEDT/PSSの層、すなわちpoly(3,4 etylenedioxythiophene)とpoly(stylene sulfonate) との混合材料よりなる電子活性導電性ポリマー発色材料より成るエレクトロクロミック層の2層である。
透明電極で挟まれる層の構成の他の例は、Helmut W. Heuer氏らの、Advanced Functional Materials vol.12, No.2 pp89-94 (Feb. 2002) 記載の、electrochromic Window Based on conducting Poly (3,4-ethylenedioxythiophene)-Poly(styrene sulfonate)の論文に着色制御窓ガラス材料として述べられている材料と層構成のうち、(CeO67(TiO33より成るイオン貯蔵兼暗電流ブロック層、Liトリフレート(正式名Liトリフロロメタンスルフォネート,Li trifluoromethansulfonate:CFSOLi)の電解質層、及びPEDT/PSSの層、すなわちpoly(3,4 etylenedioxythiophene)とpoly(stylene sulfonate)との混合材料よりなる電子活性導電性ポリマー発色材料層の3層である。チオフェン系ポリマーの層を形成する前に、チオフェン系ポリマーの端部にシアノ基(−NC)、チオール基(−SH)、S−アセチル基(−SAc)のいずれかを付ける処理を行えばさらに好ましい。チオフェン系ポリマーの長手方向がなるべく膜厚方向に向いて、膜厚方向の電流が流れやすいようにするためである。有機電解質層としてはポリエチレンオキサイド−チオシアン酸カリウム系も好ましい。
上記PEDT/PSS層の代わりに、Fei Wang 氏他著のMicromolecules vol.33 pp2083-2091(2000)のElectrochromic Linear and StarBranched poly(3,4-ethylenedioxychiophene-didodecyloxybenzene) Polymers の論文に記載されているエレクトロクロミック発色するポリチオフェン系ポリマー材料であるStar-branched poly(3,4-ethylenedioxychiophene-didodecyloxybenzene)(略称SPEB)を用いると、発色・消色が速く、良好な特性が得られる。電解質には上記電解質を用いる。
固体電解質層とエレクトロクロミック材料層との間に透明な酸化物などより成る誘電体あるいは半導体の層を設けると、Liイオンのバリア層の役割を果たし、Liイオンがエレクトロクロミック層に捕えられて固体電解質層側に戻って来ないなどの、着色・消色繰返し劣化要因を抑制することができる。例えば酸化クロムの厚さ10〜50nm程度の層を用いるのが良い。
これまで述べた有機材料層を用いる場合のメリットは、導電性が有り、導電率は温度上昇とともに高くなり、また、光導電性も持たせることができるのでフォトキャリアを電界によって加速し、温度上昇により着色を促進したり記録感度を高めることができること、記録が起きる温度自体が低いことである。図8に示したように、着色は分子中に電子が取り込まれることにより正電荷によるポーラロンが消滅して励起状態とのエネルギー差が可視光のエネルギーに相当するようになることによって起こる。この電子移動を助けるためにLiイオン、水素イオン(プロトン)などのイオンが移動する。
WO保護層は保護層としてでなく、オートフォーカス及び/又はトラッキング及び/又は再生用の光反射層としても用いることができる。光反射層として用いる場合はすべての記録層に付加せず、一層おき、2層おきなど、複数層おきに設けても良い。WO3やAg合金、Al合金などの反射層はグルーブなどの凹凸を転写した層に付けるのが望ましい。
上記透明電極から透明電極の周期は約0.4μmであった。この周期は、0.1μm以上の範囲が隣接層への熱拡散による記録状態の変化防止の面で必要であった。15μm以下の範囲がレンズの基板への衝突障害、収差などの光学的な問題が起きないのに必要であった。より好ましい範囲は0.2μm以上、2μm以下であった。
シート抵抗が大きいことがあまり問題とならない小型の記録媒体では、透明電極もポリアセチレン、ポリチオフェンなどの導電性ポリマーで形成することが可能である。その場合、無機物透明電極に比べてエレクトロクロミック層との屈折率差が小さく、界面で反射した光の干渉などの悪影響を避けることができる点で好ましい。下地層として疎水性表面処理剤、シランカップリング剤、又は平均0.5〜3nmの膜厚の薄い銅族元素(Cu,Ag,Au)層を設けても良い。
各層への電圧印加は層ごとに別の電源から行うこともできるが、次のようにすると電源数を少なく、かつ、低消費電力化できた。すなわち、電圧印加は1台の電源から各層に順次間歇的パルス状マイナス電圧(固体電解質側がマイナス)を印加することによって行う。記録再生する層を選択する場合は、この順序どおり、あるいはこの順序を乱してでも記録再生に必要な時間幅だけプラス電圧を印加し、記録又は再生が終ったら次の層から、あるいは次にマイナス電圧をかけるはずだった層から順次間歇的マイナス電圧印加に戻す。電圧を除去した時の自然着色の速度は遅いので、間歇的マイナス電圧印加でも平均して高い透過率を保つことができる。プラス電圧は5ボルト、マイナス電圧はマイナス3ボルトとした。図9は、本発明の多層ディスクの単一電源から各層への順次間歇電圧印加の他の方法を示す図である。記録層に、電圧を除去した時、5秒以下で急速に消色する材料あるいは層構成を用いた場合は、上記の間歇的マイナス電圧印加は必要無い。フォーカスやトラッキングできる層が無くならないように、必ず1層は着色しているようにするか、全層透明時に、基板表面の反射層にフォーカス位置を戻すように制御する。
エレクトロクロミック材料は、電圧によって吸収又は反射スペクトルが変化するものであれば、現在エレクトロクロミック材料と呼ばれていないものでも良い。単結晶でも小型のディスクや記録媒体は作ることができる。ただし、吸収の少ない方の状態では光吸収が10%以下、より好ましくは5%以下のものを使うのが好ましい。着色状態と消色状態の反射率差が5%以上で80%以下であるのが良好なフォーカス・トラッキングサーボと再生信号の十分なS/N比を得るために好ましい。さらに好ましいのは、8%以上30%以下の範囲であった。透明な多くの層の透過率が高いように、着色状態の方が反射率が高いのが好ましい。
エレクトロクロミック材料の代わりにエレクトロルミネッセント(EL)材料とフォトクロミック材料の混合材料を用いても良い。
フォトクロミック材料としてはフルギド、ジアリールエテンなどが使用できる。フルギドの場合、青色光照射によって波長500nm付近に吸収が生じるので、波長514.5nmのKrレーザで記録可能である。
上記積層膜の上に紫外線硬化樹脂によるオーバーコート層を形成し、同様なもう1枚のディスクと張り合わせた。消色させる場合は逆電圧を印加した。記録はレーザ光、及び/又は電流の作用によって、膜のエレクトロクロミック作用を失わせ、電圧を印加しても発色しない、あるいは記録前と異なる吸収スペクトルを持つようにして行う。逆に発色が強まることにより記録されても良いが、電圧を0にするか逆電圧をかけた時は記録していない部分と光学的に同じ状態になって、記録が見えないようにする必要が有る。
エレクトロクロミック層又は固体電解質層が結晶−非晶質間、あるいは結晶−結晶間で相変化するようにして記録すると、書き換え可能性が期待できる。相によって着色又は消色速度が1桁以上違うようにできれば、電圧印加後どちらかの相にある領域だけ着色した状態で読み出すようにすれば、読み出し可能である。WOなどの無機材料の場合、非晶質状態の方がプラスイオンが動きやすく、速度が速い。
別の方法として、熱又は電流による物理的変化(相変化など)、又は化学変化(例えばLiイオンとの反応)によって屈折率、消衰係数のうちの少なくとも一方が変化する有機、あるいは無機材料の層を別の層として積層し、この層の変化によって記録を行ってもよい。例えば、電流や予熱レ−ザービームによる昇温で吸収端が変化する導電性有機材料層を用いる。
また、さらに別の方法として、熱又は電流と磁場によって磁化の方向が変化する磁性材料をエレクトロクロミック材料又は固体電解質材料に隣接して記録層として形成してもよい。例えば、ガーネット等の透明光磁気材料が考えられ、温度が上がると磁化が反転する設計をする。
透明電極から透明電極までの光学的膜厚が読み出し光の波長に対してほぼ1波長又はその整数倍分になるようにすると、どの記録層も光学的に等価となるので好ましい。
(透明電極の他の例)
透明電極の材料としては、(In(SnO1−xの組成で、xが5%から99%の範囲の材料、抵抗値の面でより好ましくは、xが90%から98%の範囲の材料、これにモル%で50%以下のSiOを添加したもの、SnOにモル%で2から5%のSbなどの他の酸化物を添加したもの、などの既知の透明電極材料が使用可能である。
さらに、記録層間の透明電極を2層に分けてその間の断熱層を設け、断熱層も有機材料とすれば上記と同じ理由で光学的に好ましい。断熱層は導電性が有っても良いが、無い方がより好ましく、アクリル系オリゴマー、ポリマー、金属フタロシアニンの真空蒸着膜など、多くの材料が使用可能である。ZnS−SiOなどの無機材料を用いてもよい。
(基板の他の例)
本実施例では、表面に直接、トラッキング用の溝を有するポリカーボネート基板77を用いているが、トラッキング用の溝を有する基板とは、基板表面全面又は一部に、記録・再生波長をλとしたとき、λ/15n(nは基板材料の屈折率)以上の深さの溝を持つ基板である。溝は一周で連続的に形成されていても、途中分割されていてもよい。溝深さが約λ/12nの時、トラッキングとノイズのバランスの面で好ましいことがわかった。また、その溝幅は場所により異なっていてもよい。溝部とランド部の両方に記録・再生が行えるフォーマットを有する基板でも、どちらか一方に記録を行うフォーマットの基板でも、間歇的にトラッキング用サーボマークを設けたサンプルサーボフォーマットの基板でもよい。グルーブのみに記録するタイプでは、トラックピッチが波長/絞込みレンズのNAの0.7倍付近、グルーブ幅がその1/2付近のものが好ましい。アドレスはグルーブのウォブリングで表現されていても、グルーブ部またはランド部のピット列で表現されていてもよいが、ウォブリングで表現されているのが、積層による変形の影響を受けにくく、好ましい。
厚さ20〜40μmのスペーサー層を多層記録層の数層毎(例えば10層おき)に挟んでもよい。スペーサー層にはニッケルスタンパーからトラッキング用のグルーブ、ピットのうちの少なくとも一方を含む凹凸パターンを転写してトラッキング信号やアドレス、クロック、同期信号などの検出に用いるのが良い。この場合、スペーサー層を2層以上用いる場合は、光学系に球面収差を補償する素子を設けた方が良い。
記録・再生光を張り合わせ基板側から入射させる場合、張り合わせ基板を0.1mm程度に薄くして、絞込みレンズのNAを0.85と大きくしても良い。そうすればトラックピッチは約3/4程度にできる。
同心円形の場合、各透明電極は基板から遠いほど少しずつ内径が大きくなっていて、例えば一番基板に近い透明電極は一番内側にリング状に露出しており、この部分から電圧を印加できるようになっている。その上の透明電極は、それより少し大きい直径でリング状に露出している。各層の透明電極は、形成時に内周マスクを少しずつ大きくして行って、各電極が同心円状に内周部に露出するようにした。この露出部分にはその半径方向の幅より少し狭い幅(例えば90%)でリング状の金属部分を設けて導電率や機械的強度を増強すれば、製造コストはやや上昇するが、性能面で特に好ましい。
図13に示したように、張り合わせ基板21の内周部はプリント基板のように金属ピン(細い金属円筒、又は金属線)27が貫通していて、両面に透明電極22の数に対応した同心円の金属層23が形成されており、金属ピン27が表面と裏面の対応する電極26,25を接続している。記録層を有する基板に貼り付ける側は、通常のプリント基板では表面の金属配線にハンダメッキされているが、この場合は同心円状金属配線上に導電性粘着テープ層、導電性紫外線硬化樹脂層、又はInなどの低融点金属、又は合金の層を形成しておく、導電性粘着テープはベースフィルム、粘着剤の少なくとも一方に金属粉、炭素粉、金属メッシュなどの導電性材料を混合したものである。In、あるいは低融点合金は撮像管のフェースプレートの圧着に使われていたように低融点で柔らかいので、記録層を有する基板に押し付けると変形して透明電極に接着する。100度付近まで昇温して圧着すればさらに柔らかくなり、圧着が容易になる。導電性接着剤を用いてもよい。同心円状透明電極から導電性粘着剤または接着剤、張り合わせ(保護)基板の接着側同心円電極、張り合わせ基板貫通電極を経て張り合わせ基板の表面に設けた同心円状金属電極に接続し、それにドライブ装置側の電極を接触させる方法は、位置合わせが必要無い点で好ましい。
しかし放射状透明電極の場合でも、放射状電極の位置と、張り合わせ基板の基板貫通電極との位置を合わせて張り合わせ、張り合わせ基板の表面側(張り合わせ後外界に面する側)の電極は同心円状とすれば、ディスクをドライブ装置にセットする時は位置合わせが必要無くなる。このような基板の構造を多層膜を形成する側の基板に設けてもよいが、その場合は上の層ほど透明電極をディスク内周部まで製膜する。導電性接着あるいは粘着剤は省略してもよい。
このようなディスク構造にすると、確実に、均一に、再現性、信頼性高く電気的接続を行うことができる。ディスク内周に引き出した透明電極の同心円状部分や張り合わせ基板の表面の同心円状電極のそれぞれは必ずしも円(円環)状でなくてもよく、円周方向にも複数に分割してもよい。この場合、ディスクを回転軸にどのように取り付けても所定の電圧がかかるように、記録層を挟む対の透明電極に対応する2つの電極は図12に示したように内外方向に位置が揃うように配置した。
このディスクは、DVD−RAMなどの従来の光ディスクドライブ装置と同様なドライブ装置に装着される。ただし、ディスクへの電圧伝達機構だけが追加される。本実施例では電圧伝達機構はボールベアリング又はスリップリングとした。スリップリングとは、回転軸側のリング状金属と静止側のブラシと呼ばれる短冊状金属の組合せである。ボールベアリングには導電性のグリースを用いた。電圧伝達機構はディスク回転モータのディスク側、あるいはディスク回転モータの外側(周囲)、あるいはディスク回転モータのディスクとは反対側に設ける。
記録媒体部分の要点をまとめると、記録媒体は、光照射によって情報を記録する情報の記録媒体であって、基板上に、少なくとも電圧印加によって光吸収又は反射スペクトルが変化する材料の層(単一又は複数の層)を透明又は半透明電極で挟んだ単位構造を2層以上積層し、ディスク内周部にこれら透明電極、あるいは透明電極から延長した電極の端部が同心円状又は放射状に露出するように形成されており、さらにその上に別の基板が貼られていることが特徴である。少なくとも一方の上記基板の一部に、基板を貫通又は基板の中心穴付近を迂回して反対側の表面に達する複数の金属ピンを設け、当該基板の表面側に同心円状の電極を設けるのが良い。上記同心円状の電極のそれぞれが連続ではなく、複数の電極がそれぞれの円の上に配列されたものとしても良い。これら複数の電極を同電位とせず、それぞれ記録領域の別の透明電極に対応させてもよい。上記電極が張り合わせる相手側基板の電極やドライブ装置側の電極と接触する部分には金属又は炭素の微粒子を含む材料を塗布又は貼り付けて補強するのがさらに良い。
ディスク受け部分の構造の例は、図5に示したように、ディスク受け80に設けた同心円81上に位置するバネを内蔵する1つまたは複数のピン電極、ディスク受けの各ピン電極から回転軸先端83に向かう導線を有するものとする。1つの同心円上のピン電極は図では1本とした。
図12のような同心円をさらに円弧に分割した電極配置の場合は、ディスク載置部又はディスク押さえ部のどの電極がディスク上のどの層の電極に対応するように取り付けられたかを透明電極の引き出し長さによる抵抗値や静電容量やフォーカス誤差信号の違いによりドライブ装置側で検出するのが望ましい。
ドライブ装置の静止部分から回転部分への電気的接続は上記のような接触する方法以外に、発光ダイオード又はレーザと受光素子との組合せ、コイルの組合せ、あるいは磁石とコイルの組み合わせでも良い。磁石とコイルの組合わせの場合は距離を変えることにより電極を選択する。ただし、電流が十分に供給できない場合は、複数組を配置する必要があり、ドライブ装置内で一定の体積を占める。コイルの場合、交流電圧が生じるので整流するのがよい。
本発明では、基板の凹部で溝となっている部分をグルーブと呼ぶ。グルーブとグルーブの間をランドと呼ぶ。光が基板を通して膜に入射する場合は、入射側から見てグルーブは凸に見える。このため、光を基板と反対の側から入射させる方式でも、同様に入射側から見て凸となっている側がグルーブと呼ばれる場合も有る。この部分は、基板だけに注目したときは凸部であってグルーブとグルーブの間のランド部分であるから、この呼び方は本発明の定義とは逆ということになる。ランドとグルーブの一方だけに記録する、いわゆるイングルーブ記録の場合、光入射が基板側からの場合も基板と反対側からの場合も光入射側から見て凸部に記録した方が記録特性が良い場合が多いが、大きな差ではないので光入射側から見て凹部に記録しても良い。
記録・再生レーザ光は、張り合わせ基板側から入射させるのを標準とした。基板表面に金属反射層を設けず、最上部に必要が有れば金属反射層を設けて、基板側からレーザ光を入射させても良い。
本実施例はすべてディスクについて述べたが、回転しない静止記録媒体であっても良い。その場合、レーザ光の方の位置を変える。同心円階段状の電極露出は、直線的階段状の露出となる。
(記録・消去・再生)
上記記録媒体に対して、情報の記録再生を行った。以下に、本情報記録再生の動作を説明する。まず、記録再生を行う際のモータ制御方法としては、記録再生を行うゾーン毎にディスクの回転数を変化させるZCLV(Zoned Constant Linear Ve1ocity)方式を採用したものについて述べる。記録は、元のディジタル信号を8−16変調し、さらに1つの記録マークを長いマークほど多くのパルスより成るマルチパルス記録波形にして記録した。
本発明の記録媒体を用いることにより、どの層にもオートフォーカスとトラッキングの両方が可能になるため、1つのレーザを用いた光ヘッドで多層の記録と再生が可能である。このようにして目標の層だけ十分に着色した状態で記録・再生を行う。記録は高パワーレーザ照射した場所だけ熱によって着色機能が失われる、または着色が遅くなることによって行われた。
次に、着色のメカニズムを述べる。各記録層は基本的に2層又は3層から構成され、図8に示すように、主要な役割を果たしているのは固体電解質層とエレクトロクロミック材料層である。固体電解質層は、最初は電解液であったのを固体化したものであり、その動作は液体電解質で考えると考えやすい。
ポリチオフェン系材料のエレクトロクロミック層内ではポリエチレンジオキシチオフェン分子は相対的に高分子量のポリスチレンスルフォン酸(PSS)分子のところどころについた状態であり、電解液内のLiがイオン化してプラスに帯電するのに対応して、ポリスチレンスルフォン酸分子はポリエチレンジオキシチオフェン分子から電子を奪ってマイナスに帯電する。ポリエチレンジオキシチオフェン中には正電荷が生じ、ポーラロン、バイポーラロンが形成される。ポーラロン、バイポーラロンが形成された分子は可視域の光吸収がほとんど無くなる。電解液側の電極をプラス、エレクトロクロミック層側の電極をマイナスにして電圧を印加すると、電解液中のLiイオンはエレクトロクロミック層側に動いて層の表面に集まる。一部のLiイオンはエレクトロクロミック層内に入り込む。エレクトロクロミック層側の電極からは電子が注入されるので、エレクトロクロミック材料層内の電子濃度は高まり、電子がポリチオフェンジオキシチオフェン分子の正電荷と結合する。これによって着色が起こる。PSSに捕えられていた電子は、一部がLiイオンに引かれて電解液方向に出て行く。
この着色過程において光が照射されてフォトキャリアが生成され、かつエレクトロクロミック層の温度が上がると、ホッピング電導の導電率が上昇する。そうすると電子注入は大幅に高速化し、フォトキャリアとして電子も生成するので、着色が大幅に促進される。この現象を利用したのが先行ビームによる予備照射である。ホッピング伝導、又は半導体的伝導であることや、光伝導性が有ることが知られている材料であれば、本実施例で述べた材料以外でも同様な効果が得られる。無機エレクトロクロミック材料の多くは半導体的で、光導電性も有る。
本実施例の記録媒体では、記録マークとそれ以外の部分とで約2:1の光反射率のコントラスト比が得られた。コントラスト比がこれ以下になると、再生信号のノイズによる揺らぎが上限値の9%を越えてしまい、実用的な再生信号品質の範囲を外れる。
エレクトロクロミック材料層あるいは別途設けたカルコゲナイド材料層の結晶化によって記録する場合は、消去は、印加電圧を上げ、レーザ光をパルス照射することによって非晶質化させて行う。
記録された情報の再生も上記光ヘッドを用いて行う。再生すべき層を記録時と同様に予備加熱により着色させ、レーザビームを記録されたマーク上に照射し、マークとマーク以外の部分からの反射光を検出することにより、再生信号を得る。
再生信号の振幅をプリアンプ回路により増大させ、8−16復調器では16ビット毎に8ビットの情報に変換する。以上の動作により、記録されたマークの再生が完了する。以上の条件でマークエッジ記録を行った場合、最短マークである3Tマークのマーク長は約0.4μmとなる。記録信号には、情報信号の始端部、終端部に4Tマークと4Tスペースの繰り返しのダミーデータが含まれている。始端部にはVFOも含まれている。信号変調方式として8−16変調以外を用いることももちろん可能である。
(構成、製法)
実施例2では、マイナスの基板バイアス電圧をかけて、無機物膜のスパッタリングを行う例を示す。
図4に示したように、上記ポリカーボネート基板71上に、Ag94PdCu半透明反射層72を膜厚20nm、ダミー層73をSiO2,GeO2,SiO2の3層合計で400nm,ITO透明電極74を100nm、エレクトロクロミック材料層75を100nm、固体電解質層76を100nm、ITO透明電極74を100nm、あとは同様に繰り返してエレクトロクロミック材料層、ITO透明電極、エレクトロクロミック材料層、固体電解質層、ITO透明電極、エレクトロクロミック材料層、固体電解質層、ITO透明電極の順にITO透明電極で両側を挟まれた記録層を5層積層した。図4では途中までを示している。記録層を挟む電極間に電圧を印加すると記録および読み出し用レーザ光の吸収率が増大する。任意の層だけ光吸収し、他の層はほとんど光吸収が無いようにできる。これにより、他の層の干渉が無いので1層当たりの膜厚を従来の1/100程度に薄くでき、複数の層を絞込みレンズの焦点深度内に配置することもできて、従来の複数層ディスクより多層・大容量化できる。もちろん、1層あるいは2層以外は焦点深度内に入らないように、焦点位置を動かして記録・再生してもよい。エレクトロクロミック材料層の反射率が高い場合は金属反射層は省略しても良い。
ディスクの構造は図2と同じで、さらにこの上に内周部に内径(直径)15mm、外径41mmの、両面に同心円電極がプリントされ、表から裏へ電極が貫通して表と裏の同じ直径の同心円電極同士が電気的に接続されたガラス−エポキシ基板、外周部に内径約41mm外径120mm厚さ0.6mmのポリカーボネート基板を貼り付けた。光はこの張り合せ基板側から入射させた。この内周部の基板と外周部の基板は一体化して1枚のポリカーボネート基板としてもよい。
スパッタリング時の外部から与えるDCバイアスは、マイナス100ボルトとした。これにより、AC電圧成分が基板側マイナスとなった時、基板がアルゴンイオンによりスパッタエッチングされる。積層数が少ない場合は、ダミー層だけバイアススパッタを行い、エレクトロクロミック材料層や透明電極などは通常のスパッタリングとしてもよい。
各記録層はエレクトロクロミック材料層と固体電解質層の上にもう一層加えた3層構成でも良く、3層構成の場合、例えば酸化発色型第1発色層であるIrO又はNiO(xは1未満の正の数)の層150nm,固体電解質層であるTaの層300nm,還元発色型第2発色層であるWOの層200nmの3層とする。また、2層の場合、例えば発色層であるWO3層100nmと固体電解質層であるTa2O5あるいはそれに近い組成の層100nmの2層、あるいはまたCrより成るOHイオン貯蔵層(固体電解質層)200nm、IrOより成る発色材料層200nmの2層である。なお、光入射側から最も遠い透明電極の代わりにW−Tiなどの金属電極を用いてもよい。電解質層とは、水素、リチウム、ナトリウム、マグネシウムなどのプラスイオンを内部に安定に保持し、移動させられる層のことである。Ta2O5の固体電解質層は電子ビーム蒸着で製膜すると動作電圧などの面で反応性スパッタ膜より良好な特性が得られた。WO3層とIrOx層はAr−O2ガスによる反応性スパッタリングによって形成した。IrOxの場合はIr金属ターゲットを用いた。Ir膜を形成後陽極酸化してIrOx膜とする方法も、良好な着色性が得られる点で好ましい。
上記のような無機材料の積層の場合、基板に斜め方向から入射する材料原子または分子によってグルーブの段差部にも膜が付くので、通常の方法で多数層積層するとグルーブの幅が順次狭くなり、グルーブ間のランド部の幅が順次広くなって行き、トラッキングやアドレス信号、クロック信号などの読み取りが難しくなる。そこで本発明では、フォトニック結晶形成に利用されている方法を応用する。これは1998年 第59回応用物理学会予稿集第3分冊の1025ページ15p−T−11に記載されている方法で、通常のスパッタリングより基板上に形成された膜がアルゴンイオンによってスパッタされやすいようにDCバイアス電圧をかけてスパッタリングを行う。部分的にスパッタエッチングしながら膜を堆積させることになり、膜厚分布は通常とは異なったものとなる。
上記予稿集のフォトニック結晶の場合は2次元の周期的凹凸であり、本実施例は1次元の溝状の周期的凹凸であるが、DCバイアス条件に多少の違いが有るにしても、ほぼ同様な断面形状で多層膜の積層が可能であった。このような条件でスパッタすると、グルーブは積層が進むにしたがい。図3に示したように屋根型に変形するが凹部と凸部の比率は変化しないのでトラッキングやアドレスなどの読み出しは問題なく行える。ここで、バイアス電圧は、−50ボルト以上−500ボルト以下が望ましい。
図からわかるように最初の300nm程度の積層までは凹凸の形状が変化し、凹凸の高さ(深さ)も変化するので、基板表面の溝深さは最適の凹凸の高さより深くしておき、積層の最初から200nmから500nmまでの範囲は透明な層より成るダミー層とし、形状が安定化してからを実際の多層記録層に用いるのが望ましい。ダミー層は透明電極、エレクトロクロミック材料層、固体電解質層という構成ではなく、全く異なる透明材料の層、例えばSiO2層、あるいはSiO2とGeO2との積層膜を形成しても良い。
基板表面の溝深さは最適溝深さの1.1倍から2倍の範囲に有れば、凹凸高さが安定化した部分の層におけるトラッキングが安定に行えた。より好ましい範囲は1.3倍から1.8倍の範囲である。
WOに代わる無機物のエレクトロクロミック材料としては鉄のシアン化物であるプルシャンブルー(KFeII FeIII (CN)、MoO,Nb,V,TiO,NiOOH,CoOOH,Rh,IrO(xは1未満の正の数)、ZrNCl,InN,SnN(xは1未満の正の数)、MnO(xは2未満の正の数),WO−MoO複合(混合)薄膜なども使用可能である。これらの材料は保護層のWOの代わりに用いることもできる。WO−MoO は、波長400nm付近での光吸収を大きくできるという長所が有る。
エレクトロクロミック材料層に無機材料を用いた場合、固体電解質材料には既に述べたような有機材料と、以下に述べる無機材料の両方を用いることができるが、無機材料とすると、すべての層の製膜をスパッタリング、真空蒸着、電子ビーム蒸着などの乾式(真空)プロセスで統一できるというメリットが有る。スパッタリングが製膜の再現性が高く、特に好ましい。例えば、透明又は半透明電極の間に下記の積層膜のうちのいずれかを挟んだ構造とする。WO−Ta−IrO,WO−Cr、WO−MgF、WO−RbAg、WO−SiO,WO−ZrO,WO−LiClO,WO−LiF,WO−NaZrSiPO12(NASICON)、WO−NaYSi12などである。Taを用いたものは産業図書株式会社、馬場宣良他編「エレクトロクロミックディスプレイ」平成3年の168-186頁に記載のものである。これらのWOの1部又は全部をMOなど、上記の他の無機エレクトロクロミック材料で置き換えても良い。
記録はレーザ光、及び/又は電流の作用によって、膜のエレクトロクロミック作用を失わせ、電圧を印加しても発色しない、あるいは記録前と異なる吸収スペクトルを持つようにして行う。逆に発色が強まることにより記録されても良いが、電圧を0にするか逆電圧をかけた時は記録していない部分と光学的に同じ状態になって、記録が見えないようにする必要が有る。
エレクトロクロミック層又は固体電解質層が結晶−非晶質間、あるいは結晶−結晶間で相変化するようにして記録すると、書き換え可能性が期待できる。相によって着色又は消色速度が1桁以上違うようにできれば、電圧印加後どちらかの相にある領域だけ着色した状態で読み出すようにすれば、読み出し可能である。WOなどの無機材料の場合、非晶質状態の方がプラスイオンが動きやすく、速度が速い。
別の方法として、熱又は電流による物理的変化(相変化など)、又は化学変化(例えばLiイオンとの反応)によって屈折率、消衰係数のうちの少なくとも一方が変化する有機、あるいは無機材料の層を別の層として積層し、この層の変化によって記録を行ってもよい。例えば、電流や予熱レ−ザービームによる昇温で吸収端が変化する導電性有機材料層を用いる。
また、さらに別の方法として、熱又は電流と磁場によって磁化の方向が変化する磁性材料をエレクトロクロミック材料又は固体電解質材料に隣接して記録層として形成してもよい。例えば、ガーネット等の透明光磁気材料が考えられ、温度が上がると磁化が反転する設計をする。積層膜以外のディスクの断面構造、装置の構成、電圧印加方法、記録方法・再生方法などは実施例1と同様にした。これら、すべて無機物から成る積層膜を用いるのは、電圧伝達経路が本発明の構成以外の、電圧による層選択方式多層光ディスク装置に対しても有効である。
実施例3は、エレクトロクロミック以外を用いた例、即ち、透過率が高い酸化物や硫化物等の記録層を複数層積層する実施例である。
(構成、製法)
図11に示したように、上記ポリカーボネート基板191上に、Ag94PdCu半透明反射層192を膜厚20nm、ダミー層193をSiO2,GeO2,SiO2の3層合計で400nm,(ZnS)80(SiO2)20層を100nmとTe−O−Pd層を100nmのダミー層194を形成し、この上に(ZnS)80(SiO2)20保護層194を100nm、Te−O−Pd記録層195を10nm、(ZnS)80(SiO2)20保護層196を100nm、あとは記録層と保護層を同様に繰り返して記録層を5層積層した。次に内径約15mm外径120mm厚さ0.6mmのポリカーボネート基板を貼り付けた。光はこの張り合せ基板側から入射させた。ダミー層194をダミーとせず、そのTe−O−Pd層にも記録しても良い。
上記のような無機材料の積層の場合、通常の高周波またはDCスパッタリングでは基板に斜め方向から入射する材料原子または分子によってグルーブの段差部にも膜が付くので、多数層積層するとグルーブの幅が順次狭くなり、グルーブ間のランド部の幅が順次広くなって行き、トラッキングやアドレス信号、クロック信号などの読み取りが難しくなる。そこで本発明では、フォトニック結晶形成に利用されている方法を応用する。これは1998年 第59回応用物理学会予稿集第3分冊の1025ページ15p−T−11に記載されている方法で、通常のスパッタリングより基板上に形成された膜がアルゴンイオンによってスパッタされやすいようにDCバイアス電圧をかけてスパッタリングを行う。上記予稿集のフォトニック結晶の場合は2次元の周期的凹凸であり、本実施例は1次元の溝状の周期的凹凸であるが、DCバイアス条件に多少の違いが有るにしても、ほぼ同様な断面形状で多層膜の積層が可能であった。このような条件でスパッタすると、グルーブは積層が進むにしたがい。図3に示したように屋根型に変形するが凹部と凸部の比率は変化しないのでトラッキングやアドレスなどの読み出しは問題なく行える。
図からわかるように最初の300nm程度の積層までは凹凸の形状が変化し、凹凸の高さ(深さ)も変化するので、基板表面の溝深さは最適の凹凸の高さより深くしておき、積層の最初から200nmから500nmまでの範囲は透明な層より成るダミー層とし、形状が安定化してからを実際の多層記録層に用いるのが望ましい。ダミー層は全く異なる透明材料の層、例えばSiO2層、あるいはSiO2とGeO2との積層膜を形成しても良い。
基板表面の溝深さは最適溝深さの1.1倍から2倍の範囲に有れば、凹凸高さが安定化した部分の層におけるトラッキングが安定に行えた。
積層膜以外のディスクの構造、1つの層への記録・再生方法は、DVD+RWなどの通常の光ディスクと同様である。記録はTe−O−Pd膜がレーザ照射部分で結晶化し、部分的に凝集することによって行った。
基板に近く基板表面の凹凸に近い部分(すなわち、グルーブの断面形状が底辺の無い台形と逆台形とを組合わせた形状に近い部分)と、基板から少し離れて層数が増しても形状が安定して変化が少ない領域とではディスクからの反射光の分布も異なるので、すべての記録層に記録しても良いが、基板から少し離れて層数が増しても形状が安定して変化が少ない領域の記録層だけに記録・再生するのが、トラッキングや記録・再生特性のバラツキが少なく、好ましい。
本発明の多層媒体の構成は以下のとおりである。図14に示したように、基板201上に、金属反射層202をまず形成し、その後、第1の透明電極203、第1の記録層204、第2の透明電極205,第2の記録層206,第3の透明電極207,第3の記録層208,第4の透明電極209,第4の記録層210の順で製膜したものである。光学的、あるいは熱的に必要が有れば、透明電極と記録層の間に、スペーサー層を挟んで繰り返し2組以上積層する。製膜の際に使用するマスクは図15に示したように、中心軸211と数枚の羽板212と押さえバネ213からなっている。羽板には各々突起214が設けてあり、各々の突起の外側に接触するように備えた、リング状の押えバネで数枚の羽板がばらばらになることを防いでいる。押さえバネは中心に向かって押さえる力(収縮しようとする力)が常に働いている。図16に示すように中心軸211の円柱面の先端には凹が、後端部には複数の凹凸部が設けてある。上記中心軸の先端の凹部に前記数枚の羽板の鋭角部を差し込んで固定する。
これにより、数枚の羽板は平らではなく傘型の形状となる。基板201を設置するための台215の中心部には薄い円板状で中央部に複数の切り欠けを設けた板バネ216があり、マスク中心軸の後端部の凹凸部が板バネの中央部にはまる構造になっている。マスク中心を台215側に押すと板バネの中央部が次の凹凸部にはまり、マスクの高さ位置決めができる。マスク高さが変化すると羽板の角度がかわり、マスクの平均直径が大きい方向へ変わる構造になっている。この場合の製膜範囲の変化は図17のようになる。これは、図14と同じ構造である。また、全体を回転させながら、羽板の少なくとも2つ以上の突起を任意の時間押えるとマスクのみスリップして、任意の距離分、面内の周方向にマスクと基板の位置がずれることで設定位置を変えることができる構造になっている。羽板の基板に接する面にはやわらかい別材料を張り合わせてもよく、スムーズに移動するようにタフラム処理やフッ素コーティング処理、エンボス処理またはこれらの組み合わせが好ましい。
上記は開口部の大きさが異なる記録膜を積層するためのマスクについて説明したが、その代替として窪みつきマスクを使用することも可能である。従って、続いて、窪みつきマスクを使用した例について説明する。図18に、窪み付きマスクの例を示す。図18中、符号211は中心軸、213は押さえバネである。ここで特徴は、215のような窪み部を設けたことにある。このマスクを使用した場合、前述の周方向へのマスク移動を行うと図19に示したような製膜範囲の変化となる。即ち、マスクの窪み部分は製膜されるので、第1セットの記録膜203が図19に示したような突起部になり、第2セットの記録膜205が図19に示したような突起部となる。すなわち、第1セットの記録膜203の開口部と第2セットの記録膜205の開口部は、凸部を除く平均直径がほぼ等しいことになる。マスクの形状を変える場合と設定位置を変える場合は組み合わせて使用することもできる。この場合は図20に示したような製膜範囲の変化となる。図20では、マスクの設定位置を変化させて図19のような形状を作った後、マスクの径を広げて製膜範囲を狭め、広げたマスクの設定位置を変化させることで、製造した例である。
マスクについては、羽板は複数枚からなり、2枚から30枚程度が好ましい。羽板の厚さ、材質にもよるが、羽板枚数が多すぎると厚くなり、厚さや重さが影響するためである。マスク形状の変化量が少ない場合には羽板が一枚の構造でも可能である。マスクの平均直径が小さい場合には羽板の端と端の一ヶ所での重なり量が大きく、平均直径が大きくなると重なり量が小さくなるというように変化していく。複数の羽板、一枚の羽板の場合ともマスク部分の重なり量でマスクの形状が変わる。図21に示したようにマスクの平均直径が小さいほどマスク端部での重なり面積が広いため、形状は円形ではなくところどころはみ出た形状となる。マスクの平均直径を大きくしていくとマスク端部での重なり面積は狭くなり、はみ出た部分は少なくなる。
よってマスクの平均直径を変化させる場合、電極の内周露出部が円形でなくなってディ
スクをドライブ装置のディスク受け上に置くとき、ディスクとディスク受けとの相対位置にはディスク回転方向の任意性があるため、電極が正常にコンタクトしない可能性が生じる。これを避けるため、内周(ディスク中心側)ほど平均直径の変化量ピッチを大きくすることが必要である。図22に平均直径の変化断面図を示す。図22に示した通り、開口部の平均直径は第1、第2、第3、第4の膜で段階的に異なり、その平均直径の差がディスク中心側ほど大きくなっている。マスク中心軸の高さを段階的に移動させることでマスクの平均直径が変わることから、図23に示したように中心軸後端の凹凸部のピッチを段階的に変化させればよい。
以上述べたように、一つのマスクで製膜範囲の変更を行うことができる。特に蒸着あるいはスパッタリングで連続して膜を形成する場合に製膜範囲を変更する際には、真空装置内でも簡単に形状変化させることができ、効率的に多層記録媒体が作製できる。
具体的な製造方法について、本実施例で述べる。図16に示したように、台215の上に基板201をセットし、マスク211,212をはめる。基板は直径12cm、厚さ0.6mmで表面にトラックピッチが0.615μmで深さ約70nmのランド・グルーブ記録用のトラッキング用の溝(幅0.615μm)を有し、トラック1周を複数のセクターに分割して各セクターの始まりにピット列によってアドレス、同期信号などを表したヘッダー部を持ち、溝のウォブルによってクロックが表現されたポリカーボネート基板を用いた。DVD−RAMの基板とほぼ同様な基板である。この基板を用いたのは必ずしも最適であるというわけではなく、層間のクロストークが有った場合でも影響が出にくいフォーマットの基板とするのがさらに好ましい。例えば、ヘッダー部が点在しているサンプルサーボフォーマット基板である。
マスクの羽板は8枚でマスクの中心軸の後端にある凹凸の一つ目に板バネ212がはまっている。平均外径はこの時最小であり電極と記録膜からなる第1の組の第1の開口部に対応する。スパッタ装置内に挿入し、まずAg94PdCu半透明反射層202を膜厚20nm形成し、次に第1のITO透明電極203を100nm形成した。この後マスクの形状を変えた。ターゲットと基板の間にあるアームを中心軸に向かって近づけていき、中心軸を台に向かって押しつける。板バネを中心軸後端にある凹凸の二つ目に移動させることで、それぞれの羽板を基板上で半径方向に滑らせ平均直径を大きくした。これが第2の組の第2の開口部に対応する。アームの押し付ける力は板バネの特性によって決まる。中心軸の凹凸ピッチに対応した距離をアームが移動することでも可能である。板バネの材質は薄板であることから柔軟性のある炭素鋼や銅合金(リン青銅)、ステンレス鋼などが良い。中心軸先端の凹凸ピッチは移動させたい距離と羽板の角度との関係で決まる。
次に第1の記録層204としてエレクトロクロミック材料層WOを100nm、固体電解質層Crを100nm形成し、第2のITO透明電極205を100nmの順で製膜した。その後同様にしてマスク形状をさらに変えて、繰り返して第2の記録層、第3のITO透明電極207、第3の記録層208、第4のITO透明電極209、第4の記録層210の順にITO透明電極で両側を挟まれた記録層を4層積層した。図14の構造である。このように、透明電極を形成した後に、電圧を印加するための露出電極部分を残すため、その部分に他の膜が付かないようにマスクの形状を変化させる。さらにこの上に内周部に内径(直径)15mm、外径41mmの、表から裏へ電極が貫通した基板、外周部に内径約41mm外径120mm厚さ0.6mmのポリカーボネート基板を貼り付けた。光はこの張り合せ基板側から入射させた。この内周部の基板と外周部の基板は一体化して1枚のポリカーボネート基板としてもよい。
WOに代わるエレクトロクロミック材料としては鉄のシアン化物であるプルシャンブルー(KFeII FeIII (CN)、MoO,Nb,V,TiO,NiOOH,CoOOH,Rh,IrO(xは1未満の正の数)、ZrNCl,InN,SnN(xは1未満の正の数)、MnO(xは2未満の正の数),WO−MoO複合(混合)薄膜なども使用可能である。これらの材料は保護層としても用いることもがきる。
記録膜は、エレクトロクロミック層と固体電解質層の2層構造としても良い。固体電解質にはTa2O5などの酸化物やそれらを部分的に窒化させたものを用いる。例えば、透明又は半透明電極の間に下記のエレクトロミック層−固体電解質層の積層膜のうちのいずれかを挟んだ構造とする。WO−Ta−IrO,WO−Cr、WO−MgF、WO−RbAg、WO−SiO,WO−ZrO,WO−LiClO,WO−LiF,WO−NaZrSiPO12(NASICON)、WO−NaYSi12などである。これらのWOの1部又は全部をMOなど、上記の他の無機エレクトロクロミック材料で置き換えても良い。
エレクトロクロミック材料は、電圧によって吸収又は反射スペクトルが変化するものであれば、現在エレクトロクロミック材料と呼ばれていないものでも良い。吸収の少ない方の状態では光吸収が10%以下、より好ましくは5%以下のものを使うのが好ましい。
透明電極の材料としては、(In(SnO1−xの組成で、xが5%から99%の範囲の材料、抵抗値の面でより好ましくは、xが90%から98%の範囲の材料、これにモル%で50%以下のSiOを添加したもの、SnOにモル%で2から5%のSbなどの他の酸化物を添加したもの、などの既知の透明電極材料が使用可能である。
さらに、記録層間の透明電極を2層に分けてその間の断熱層を設けても良い。断熱層は導電性が有っても良いが、無い方がより好ましく、ZnS−SiOなどを用いてもよい。
また、透明電極層、記録層、保護層を組み合わせる多層記録媒体において、有機材料と無機材料を組み合わる場合においてもこのマスクは有効である。たとえば記録層を構成しているエレクトロクロミック層や固体電解質層のどちらかあるいは両方をスピン塗布する場合、電圧を印加するための露出電極部へのコーティング、飛散を防止できる。塗布範囲を決めるためのマスクにもなる。有機エレクトロクロミック材料としては、チオフェン系有機物のオリゴマーやポリマーなどの有機材料が好ましい。特に、導電性有機材料が好ましい。有機固体電解質材料としては、Liトリフレート(正式名Liトリフロロメタンスルフォネート,Li trifluoromethansulfonate:CFSOLi)やポリエチレンオキサイド−チオシアン酸カリウム系が好ましい。チオフェン系ポリマーの層を形成する前に、チオフェン系ポリマーの端部にシアノ基(−NC)、チオール基(−SH)、S−アセチル基(−SAc)のいずれかを付ける処理を行えばさらに好ましい。
また、マスクの形状を変える際の台の構造としては板バネを設ける他に、ボールベアリングを用いても良い。図24に示すように台の内周部にボール218とバネ219が設置してある。センターマスク中心軸後端の凹凸にボールがはまり、マスクを上から押すとボールがバネを押し、バネは短くなる。ボールが滑るように次の凹凸にはまることでマスクの高さ位置決めができる。マスク高さが変化すると羽板の角度がかわり、マスクの平均直径が大きい方向へ変わる構造になっている。
図20に示した多層媒体の作製方法について述べる。台211の上に基板201をセットしマスクをはめる。図18に示したようにマスクの羽板は8枚でうち少なくとも2枚に窪み217が設けてある。平均外径はこの時最小であり、マスクの中心軸の先端にある凹凸の一つ目に板バネ216がはまっている。スパッタ装置内に挿入し、まずAg94PdCu半透明反射層202を膜厚20nm形成し、次に第1のITO透明電極203を100nm形成した。この後マスクの形状を変えた。ターゲットと基板の間にあるアームを羽板に設けてある突起に近づけていき、少なくとも2つ以上の突起に当たるように押しつける。アームは実施例1のアームと同一でも良いし別のものでもよい。基板は台と固定されているため回転を続けているが突起を押さえられたことでマスクだけがスリップして基板とのずれが生じる。
このようにすることで、基板に対するマスク窪みの位置が変えられる。回転数と押さえる時間で窪みのずれる距離が決まる。その後、第1の記録層としてエレクトロクロミック材料層WOを100nm、固体電解質層Crを100nm形成し、第2のITO透明電極を100nmの順で製膜した。次に同様にしてマスク凸部を押さえて窪み位置を変更させ、繰り返して記録層、ITO透明電極、記録層、ITO透明電極、記録層、の順にITO透明電極で両側を挟まれた記録層を4層積層した。ここまでが第1の開口部であり、形成された凸部の透明電極は一層につき2ヶ所であり、計5層で10ヶ所である。透明電極の面抵抗による電圧の不均一を避けるために、1つの透明電極層に2つ以上の凸部電極を設けるのが好ましい。
さらにマスク径を実施例4と同様にして広げ、第2の開口部とした後、前述と同様に繰り返して、記録層8層を積層した。さらにこの上に内周部に内径(直径)15mm、外径41mmの、表から裏へ電極が貫通した基板、外周部に内径約41mm外径120mm厚さ0.6mmのポリカーボネート基板を貼り付けた。光はこの張り合せ基板側から入射させた。この内周部の基板と外周部の基板は一体化して1枚のポリカーボネート基板としてもよい。エレクトロクロミック材料層、固体電解質層、透明電極層については実施例4と同様である。
このように、マスク径の変化と窪み位置の変更を組み合わせることによってさらなる多層、高密度容量化が可能となる。
図25について述べる。台215の上にセットされた基板201とマスク220がある。マスクはディスクにセットされているのではなく、少なくとも2箇所でアームバー230に固定し、基板1を設置するための台側にセットされている。台の外周部にはアームバー230が移動する溝234がある。アームバーは、固定具221によって固定されている。基板を回転させて製膜するため、アームバーはさほど製膜の邪魔にならない。マスクの形状変化はアームバーを移動させることで行う。マスクは実施例4、2と同じような数枚の羽板から成る構造であるが、図26に示すように内周部には長円形の穴があいていて中心軸から羽板がずれることなく移動する。
また、羽板の外輪部両端では隣の羽板と重なる部分で2枚を貫通したビス222でとめてある。このビスは接着のためでなく羽板はビスを中心に動く。羽板のうち一番下と一番上の羽板2枚は一箇所だけでとめてある。羽板には各々突起214が設けてあり、各々の突起の内側に接触するように備えたリング状の押えバネ213があり、押さえバネは外側に向かって広がる力が常に働いている。押さえバネの広がりを押えているのがアームバーである。アームバーの移動量でマスク平均直径が決まる。この時アームバーはもっとも内周側まで押し付けており、マスクの平均外径は最小であって第1の開口部である。このようにセットしたものをスパッタ装置内に挿入し、まずAg94PdCu半透明反射層202を膜厚20nm形成し、次に第1のITO透明電極203を100nm形成した。
この後マスクの形状を変えた。アームバーを外周方向に移動させるとアームバーに沿って押えバネが広がり、羽板と一体になっている突起を押し広げ羽板も全体が変化する。羽板内周部の長円穴はこの時に羽板が中心軸から外れることなく移動するためにある。これが第2の開口部である。次に第1の記録層204としてエレクトロクロミック材料層WOを100nm、固体電解質層Crを100nm形成し、第2のITO透明電極205を100nmの順で製膜した。その後同様にしてマスク形状をさらに変えて、繰り返して第2の記録層、第3のITO透明電極207、第3の記録層208、第4のITO透明電極209、第4の記録層210の順にITO透明電極で両側を挟まれた記録層を4層積層した。図14の構造である。
このように、透明電極を形成した後に、電圧を印加するための露出電極部分を残すため、その部分に他の膜が付かないようにマスクの形状を変化させる。さらにこの上に内周部に内径(直径)15mm、外径41mmの、表から裏へ電極が貫通した基板、外周部に内径約41mm外径120mm厚さ0.6mmのポリカーボネート基板を貼り付けた。光はこの張り合せ基板側から入射させた。この内周部の基板と外周部の基板は一体化して1枚のポリカーボネート基板としてもよい。
マスクの材質、エレクトロクロミック材料層、固体電解質層、透明電極層については実施例4と同様である。また、アームバーやマスク等がスパッタ装置側に固定でも良い。この場合には基板のみが挿入されて移動していく。この場合も同様に製膜時には基板が回転しているので膜厚分布への影響はない。
厚さ1〜40μmのスペーサー層を多層記録層の数層毎(例えば5層おきで、ビーム数、又はビーム数−予備照射ビーム数に一致させるのが特に好ましい。)に挟んでもよい。スペーサー層にはニッケルスタンパーからトラッキング用のグルーブ、ピットのうちの少なくとも一方を含む凹凸パターンを転写してトラッキング信号やアドレス、クロック、同期信号などの検出に用いるのが良い。
記録・再生光を張り合わせ基板側から入射させる場合、張り合わせ基板を0.1mm程度に薄くして、絞込みレンズのNAを0.85と大きくしても良い。そうすればトラックピッチは約3/4程度にできる。
図27は、本発明で用いた情報記録媒体の記録再生装置の1例を示す構造図である。ディスクの下方に有る、記録再生装置の静止部からモーター223の下部のスリップリング式電圧伝達機構224、電線225、回転軸226を回転軸先端に向かう導線227、ディスク受け(ディスク載置部)228,電極253,バネ内蔵ピン電極229などより成る。なお、ディスク受け付近の電極を多数書くとわかりにくくなるので3個だけを書いてある。ディスクの断面において、基板201には透明電極231で挟まれた多層の情報記録層が形成されており、この透明電極231は基板を貫通する金属ピン229と電気的に接続されている。
図28に本発明の情報記録媒体を作製したスパッタ装置概略図を示す。台215の上に基板1をセットし、内周マスク220をはめる。放電しているArガス中の加速されたイオンがターゲットに衝突し、たたき出されたターゲット232の原子が基板へと付着し(233)、製膜される。製膜範囲はマスクで覆われている以外の部分である。
本実施例の記録媒体では、記録マークとそれ以外の部分とで約2:1の光反射率のコントラスト比が得られた。コントラスト比がこれ以下になると、再生信号のノイズによる揺らぎが上限値の9%を越えてしまい、実用的な再生信号品質の範囲を外れる。透明電極にSiOを含有させて(SiO40(In55(SnOとすると、屈折率が低下して光学的に有利になり、コントラスト比は2.5:1以上にできた。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
本発明の記録媒体の構成は、具体的には、以下のとおりである。図29に示したように、基板1上に、金属反射層2をまず形成し、その後第1の透明電極3、エレクトロクロミック材料層4、固体電解質材料層5、第2の透明電極7の順で製膜したものを、光学的、あるいは熱的に必要が有ればスペーサー層6を挟んで繰り返し2組以上積層する。記録層を挟む電極間に電圧を印加すると記録用あるいは読み出し用レーザ光の吸収率及び反射率が増大するようにするのが好ましい。これにより任意の層だけ光吸収し、他の層はほとんど光吸収が無いようにできる。これにより、他の層の干渉が無いので1層当たりの膜厚を従来の1/100程度に薄くでき、複数の層を絞込みレンズの焦点深度内に配置することもできて、従来の複数層ディスクより多層・大容量化できる。もちろん、1〜2層以外は焦点深度内に入らないように、焦点位置を動かして記録・再生してもよい。その場合、多層積層するとアドレス情報を表わすピットや溝が変形する場合があるので、場合によってはレーザビームを複数にして1つのビームは基板のすぐ上の反射層に焦点を合わせ、このビームとディスク面内方向の位置関係がほぼ固定された他のビームの焦点位置が記録又は再生する層上に来るようにするのがよい。さらに多層の媒体の場合は、ピットや溝を転写した層を再度設けることにより、移動した焦点位置でアドレスが読めるようにしておく必要が有る。エレクトロクロミック材料層の反射率が高い場合は金属反射層は省略しても良い。最後にもう1枚の同様な基板と張り合わせる。
エレクトロクロミック材料としては、例えば酸化タングステン、チオフェン系有機分子の重合体(ポリチオフェンやその誘導体)が挙げられる。さらにエレクトロクロミック材料としては、産業図書(株)平成3年6月28日初版発行の「エレクトロクロミックディスプレイ」に述べられている各種材料など、現時点で論文発表されている多くのエレクトロクロミック材料が使用可能である。記録感度が高いことにより、高線速度記録の場合でも、また、記録媒体上の複数の場所(複数の層を含む)に同時に光照射を行う手段として、アレイレーザや面発光レーザを用いた場合でもパワー不足とならずに高い転送速度を実現できる。記録媒体の複数の電極対に対し、少なくとも2対同時又はパルス的に交互あるいは順次電圧を印加しても良い。これは、低い維持電圧又は間歇的な維持電圧を印加しておかないと色が変化する材料を用いた場合や、アレイレーザの各ビームの焦点位置を各層に位置づけて複数層同時記録・再生する場合や、一部のビームをフォーカス合わせやトラッキングの基準に用いる場合に必要となる。
そして記録層を複数有する記録媒体を用い、多くの電極対間に電圧を印加するが、記録又は消去、又は読出し時に、それらを行う層の両側の電極間だけに他の電極間とは異なった電圧を印加するようにする。異なった電圧とは、極性が逆の電圧の場合も含む。
また、本発明においてエレクトロクロミック材料層とは、電圧印加(電流が流れる)によって直接発色する(吸収又は反射スペクトルが変化する)材料の層という定義である。現在エレクトロクロミック材料と呼ばれていないものでも良い。ただし、膜厚50nmの層とした時、記録・再生の少なくとも一方、できれば両方の光の波長に対し、所定の電圧印加時に光吸収が10%以下、より好ましくは5%以下にできるものが良い。そのほかに、電圧印加(電流が流れる)によって発光する領域とその光を受けて発色又は消色する領域を有する層も含むものとしても良い。
図38に、本発明による記録媒体の他の構成例を示す。この記録媒体は、基板上に、反射層、透明電極、導電性有機材料層、固体電解質層、透明電極の順で製膜したものの反射層以外を繰り返し2組以上積層したものである。
ディスク内周部には各層の透明電極、あるいは透明電極から延長した電極の端部が同心円状になるように形成する。図7に示したように放射状になるようにしても良い。放射状の場合は透明電極の面抵抗による電圧の不均一を避けるために、1つの透明電極層に2つ以上の放射状電極を設けるのが好ましい。
図30に示したように、少なくとも一方の上記基板14の一部に、基板を貫通する複数の金属ピン16が設けられているようにするのが好ましい。金属ピンは同心円電極15に接続されている。また、金属ピンの反対側は製膜基板11上の複数の透明電極12に、導電性材料13によって接続されている。金属ピンは文字通りのピン状でなくても良く、中心がディスク中心と一致する円弧状や円環状などの帯状金属でもよい。また、基板を貫通することは必須ではなく、ディスクの中心穴近傍を迂回してもよい。
上記同心円状の電極又は透明電極の同心円状引き出し部のそれぞれが連続ではなく、それぞれの円の上に複数の電極が配列されたものであるようにしてもよい。上記透明電極の端部(同心円状の部分)が導電率向上及び補強のために金属又は炭素の微粒子を含む材料を塗布したものとしてもよい。
図31は、本発明の一実施例の多層ディスク記録再生装置の構造を示す図である。この多層ディスク記録再生装置は、記録媒体に凹凸の形で予め情報が与えられているか、光などのエネルギーを記録媒体に与えることによって情報を記録する情報記録装置である。図19は、記録媒体に凹凸の形で予め情報が与えられている多層記録媒体の例を示す図である。本装置は、ディスク受け(ディスク載置部)24,24′に載置されたディスクの下方に有る、記録再生装置の静止部から回転軸31への電圧伝達機構から出て、回転軸を回転軸先端に向かう導線21、回転軸の先端の、ディスクの電極数に対応したピン状又は同心円状又は同心円筒状又は同心円錐台筒状の電極25、及びボールベアリング28、アーム27を経てドライブ装置に固定され、ディスクを回転させる時ディスクを押えて回転軸と一緒に回転するディスク押え23、ディスク押えに設けられた、回転軸頂部のピン状、又は同心円状、又は同心円筒状、又は同心円錐台筒状の電極に対応した同心円状、ピン状、又は同心円筒状又は同心円錐台筒状の電極22、及びディスク内周部の同心円状電極に対応したバネ内蔵の金属ピン電極19を有する。ただし回転軸頂部及びディスク押えの互いに接触する電極の少なくとも一方はピン状でなく同心円状又は同心円のそれぞれの円をさらに円弧に分割した形状であり、ディスクがドライブ装置に挿入されると、上記ディスク押えをディスクの方に移動させ、上記ディスク内周部の同心円状電極と回転軸頂部に接触するように制御する手段を有する。図31ではディスク押え付近の電極を多数書くとわかりにくくなるので3個だけを書いてある。なお、30はボールベアリングとディスク押えとの接続部分である。
上記同心円状又は同心円筒状又は同心円錐台状の電極も、それぞれが連続ではなく、複数の電極がそれぞれの円の上に配列されたものとしてもよい。上記電極が楔状の金属片を打ち込んだものとしてもよい。上記透明電極の内周への引き出し部が透明電極上に金属又は炭素の微粒子を含む材料を塗布したものとしてもよい。
図32は、本発明による多層ディスク記録再生装置の他の例を示す構造図である。本装置は、記録媒体に凹凸の形で予め情報が与えられているか、光などのエネルギーを記録媒体に与えることによって情報を記録する情報記録装置であり、ディスク受け(ディスク載置部)48,48′に配置されたバネ内蔵ピン電極41から回転軸先端に向かう導線40、上記導線を回転軸の先端の、ディスクの電極数に対応した積層円筒状電極49又は円錐台筒状の電極に接続する手段、ディスクの電極数に対応した回転する積層同心円筒状又は円錐筒状の電極に装置側の複数の電極47を接触させる手段、及びディスクを回転させる時ディスクを押えて回転軸と一緒に回転するディスク押え部44を有する。ピン電極はピン(細い円柱又は円筒)状でなくてもよく、例えば円弧を成す帯状の電極であっても良い。図32においてはディスク受け付近の電極を多数書くとわかりにくくなるので3個だけを書いてある。上記の装置側の複数の電極はそれぞれが幅が狭く長く、全体が一枚の長いベルト状になっていて回転する電極との接触部分が摩耗したら接触位置を変えられるようになっている。
上記同心円状又は同心円筒状又は同心円錐台状の電極のそれぞれが連続ではなく、複数の電極がそれぞれの円の上に配列されたものとしても良い。
図34は、本発明の1実施例の多層ディスク記録再生装置の構造を示す図である。本装置は、記録媒体に凹凸の形で予め情報が与えられているか、光などのエネルギーを記録媒体に与えることによって情報を記録する情報記録装置であり、ボールベアリングなどの回転保持機構62を経てバネ性を持ったアーム68によってドライブ装置に固定され、ディスクを回転させる時ディスクを押えて回転軸と一緒に回転するディスク押え手段63、上記ディスク押え手段は上記ボールベアリングなどの回転保持機構又はそれとは別のスリップリング状電圧伝達機構57,67(67はベルト状ブラシ群)を通してドライブ装置の静止部分に電気的に接続されており、上記ディスク押え手段に設けられたディスクの同心円状電極に対応して配置されたバネ内蔵ピン電極59、上記ボールベアリングなどの回転保持機構又はスリップリングの各部分と、対応する電極を電気的に接続する手段(導線)58、ディスクがドライブ装置に挿入されると、上記ディスク押えをディスクの方に移動させ、上記ディスクの同心円状電極に接触するように制御する手段を有す。ディスクの同心円状電極のそれぞれは、さらに円周方向に複数の円弧に分離されていても良い。図34ではディスク押え付近の電極を多数書くとわかりにくくなるので3個だけを書いてある。図12は、スリップリングの側面図である。
上記同心円状の電極のそれぞれを分割した複数の電極が楔状の金属片を打ち込んだものとしてもよい。
上記の記録媒体(ディスク)が2枚のディスクを張り合わせたものであり、少なくとも一方の基板に複数の金属ピンが貫通していて基板上に形成した複数の電極に接続されていても良い。また、1方のディスクの内径が他方のディスクの内径より小さく、その内径差の部分に内径が小さい方のディスクの同心円状電極が露出しているようにしても良い。ただし、この場合は、導電性材料の塗布又は貼り付けによる基板上の電極の補強をするのが望ましい。
記録媒体に凹凸の形で予め情報が与えられているか、光などのエネルギーを記録媒体に与えることによって情報を記録する記録媒体が少なくともエレクトロクロミック材料層を透明又は半透明の2つの電極間に有するものを2組以上積層したものであり、記録媒体は静止しており、記録媒体側の電極と電源とが絶縁物カバーの内部に複数の金属接点を内蔵するコネクターによって接続されている情報記録装置としても良い。
(構成、製法)
エレクトロクロミック材料層ではポリチオフェン系材料を用いた。ポリチオフェン系材料の層は、具体的にはH.C.Starck社の商品名Bytron Pを約80vol% 含み、残部の主成分がt-ブチルアルコールで、他に少量の界面活性剤NS210,ポリビニルアルコール、3−GPTMS(3-glycidoxypropyltrimethylsilane)を含む液を塗布、加熱乾燥した層である。この上に固体電解質材料を積層する。固体電解質材料は、PMMA(ポリメチルメタクリレート)とリチウムトリフレート(lithium trifluorosulfonate)を主成分とし、propylene carbonate, ethylene carbonate, acetonitrile, cyclohexanon及び、日立化成のUV硬化樹脂H−9を少量含むものを塗布し、UV光照射、加熱乾燥したものである。塗布によって形成するので、基板のランド部では膜厚が薄くなり、グルーブ部では厚くなる。エレクトロクロミック材料層は上下の電極間に電圧をかけることによって発色する。なお、光源に波長405nm付近の青色レーザを用いた場合には、ポリアニリン系材料(誘導体)を用いた。
この媒体は次のようにして製作された。まず、直径12cm、厚さ0.6mmで表面にトラックピッチが0.615μmで深さ約70nmのランド・グルーブ記録用のトラッキング用の溝(幅0.615μm)を有し、トラック1周を複数のセクターに分割して各セクターの始まりにピット列によってアドレス、同期信号などを表したヘッダー部を持ち、溝のウォブルによってクロックが表現されたポリカーボネート基板を用いた。DVD−RAMの基板とほぼ同様な基板である。湖の基板を用いたのは必ずしも最適であるというわけではなく、層間のクロストークが有った場合でも影響が出にくいフォーマットの基板とするのがさらに好ましい。例えば、サンプルサーボフォーマット基板である。図42は、グルーブの概略平面図である。
図29に示したように、上記ポリカーボネート基板301上に、Ag94PdCu半透明反射層302を膜厚20nm、ITO透明電極303を100nm、エレクトロクロミック材料層304を100nm、固体電解質層305を100nm、WO保護層306を50nm、ITO透明電極307を100nm、あとは同様に繰り返してエレクトロクロミック材料層、固体電解質層、WO 保護層、ITO透明電極、エレクトロクロミック材料層、固体電解質層、WO保護層、ITO透明電極、エレクトロクロミック材料層、固体電解質層、WO 保護層、ITO透明電極の順にITO透明電極で両側を挟まれた記録層を5層積層した。製膜時に透明電極、次の透明電極との間の各層、透明電極、と順次内周マスクを大きくしてゆき、ディスク内周部に各透明電極が同心円状に露出するようにした。透明電極上の各層とその上の透明電極は同じマスク形状で形成してもよい。さらにこの上に内周部に内径(直径)15mm、外径41mmの、表から裏へ電極が貫通した基板、外周部に内径約41mm外径120mm厚さ0.6mmのポリカーボネート基板を貼り付けた。光はこの張り合せ基板側から入射させた。この内周部の基板と外周部の基板は一体化して1枚のポリカーボネート基板としてもよい。
ITO透明電極はスパッタリング、WO保護層は真空蒸着で形成した。真空蒸着としたのは、その下の層が有機材料から成る場合、スパッタリング時のイオン衝撃から保護するためと、酸素を有機材料層に奪われて高抵抗層ができるのを防止するためである。イオン衝撃を受けると特性劣化が速くなった。WO層の膜厚は薄い(30nm程度)方が光透過率の点では好ましい。ITO透明電極は電子ビーム蒸着、レーザ蒸着(ターゲットに大出力のレーザ光を照射して蒸発・製膜する方法で、PLD法とも呼ばれる)で形成することもでき、その場合は保護層としてのWO層を50nm未満に薄くしたり省略することもできる。ただし、蒸着法によるITO膜は、透過率、導電率の面ではスパッタITO膜より少し低目となる。保護の目的では、真空蒸着、又は塗布で形成できる既知の透明導電性無機材料がWOの代わりに使用できる。
WO保護層は保護層としてでなく、オートフォーカス及び/又はトラッキング及び/又は再生用の光反射層としても用いることができる。この層も電圧印加によって着色し、反射率が高くなりやすいためである。光反射層として用いる場合はすべての記録層に付加せず、一層おき、2層おきなど、複数層おきに設けても良い。グルーブなどの凹凸を転写した層に付けるのが望ましい。このような場合、サーボ信号は光反射層にフォーカスしたレーザビームから、再生信号は同じ、又は別の層にフォーカスしたビームから得る。これらビームは同一の、単一の1ビームであってもよい。
上記透明電極から透明電極の周期は約0.4μmであった。この周期は、0.1μm以上の範囲が隣接層への熱拡散による記録状態の変化防止の面で必要であった。15μm以下の範囲がレンズの基板への衝突障害、収差などの光学的な問題が起きないのに必要であった。より好ましい範囲は0.2μm以上、2μm以下であった。0.4μm以下であれば、レーザ素子間隔を広げず、1チップアレーレーザをそのまま用いても光学的な問題が生じない。また、アレイレーザに素子ごとにほぼディスクの層周期に対応した段差を設け、レーザ素子を完全にディスクに正対(平行)させることもできる。
各層への電圧印加は層ごとに別の電源から行うこともできるが、次のようにすると電源数を少なく、かつ、低消費電力化できた。すなわち、図33に示したように、電圧印加は1台の電源から各層に順次間歇的パルス状マイナス電圧(固体電解質側がマイナス)を印加することによって行う。記録再生する層を選択する場合は、この順序どおり、あるいはこの順序を乱してでも記録再生に必要な時間幅だけプラス電圧を印加し、記録又は再生が終ったら次の層から、あるいは次にマイナス電圧をかけるはずだった層から順次間歇的マイナス電圧印加に戻す。電圧を除去した時の自然着色の速度は遅いので、間歇的マイナス電圧印加でも平均して高い透過率を保つことができる。図9は、本発明の多層ディスクの単一電源から各層への順次間歇電圧印加の他の方法を示す図である。記録層に、電圧を除去した時、5秒以下で急速に消色する材料あるいは層構成を用いた場合は、上記の間歇的マイナス電圧印加は必要ない。
各記録層は固体電解質層の上にもう一層加えた3層構成でも良く、3層構成の場合、例えば酸化発色型第1発色層であるIrO又はNiO(xは1未満の正の数)の層150nm,固体電解質層であるTaの層300nm,還元発色型第2発色層であるWOの層200nmの3層とする。また、2層の場合、例えばCrより成るOHイオン貯蔵層200nm、IrOより成る発色材料層200nmの2層である。なお、光入射側から最も遠い透明電極の代わりにW−Tiなどの金属電極を用いてもよい。エレクトロクロミック材料層を塗布によって形成する場合、積層によって少しずつグルーブが埋まり、記録層の両側の電極間距離はランド部の方がグルーブ部より近い。電解質層とは、水素、リチウム、ナトリウム、マグネシウムなどのプラスイオンを内部に安定に保持し、移動させられる層のことである。
エレクトロクロミック材料層に用いる材料としては、チオフェン系有機物のオリゴマー
やポリマーなどの有機材料が好ましい。特に、導電性有機材料が好ましい。なお、例えばBaytronP(ポリエチレンジオキシチオフェン)のようなチオフェンの重合体の場合、レーザの波長は660nmとした。チオフェンの重合体は塗布又は真空蒸着又は電解重合によって形成する。電解重合では、モノマーとしてはチオフェン誘導体であるポリ(3−メチルチオフェン)を用い、支持電解質としてLiBF、溶媒としてベンゾニトリルを用いる。一方、ポリアニリンを用いれば青色(波長400nm付近)レーザで大きな再生信号が得られる。
本実施例の記録層の層構成は、アクリル系紫外線硬化樹脂にLiトリフレート(正式名Liトリフロロメタンスルフォネート,Li trifluorometanesulfonate:CFSOLi)と可塑剤を混合した材料の固体電解質層、及びPEDT/PSSの層、すなわちpoly(3,4 etylenedioxythiophene)とpoly(stylene sulfonate) との混合材料よりなる電子活性導電性ポリマー発色材料層の2層である。
層構成の他の例は、Helmut W. Heuer氏らの、Advanced Functional Materials vol.12, No.2 pp89-94 (Feb. 2002) 記載の、electrochromic Window Based on conducting Poly(3,4-ethylenedioxythiophene)-Poly(styrene sulfonate)の論文に着色制御窓ガラス材料として述べられている材料と層構成のうち、(CeO67(TiO33より成るイオン貯蔵兼暗電流ブロック層、Liトリフレート(正式名Liトリフロロメタンスルフォネート,Li trifluoromethansulfonate:CFSOLi)の電解質層、及びPEDT/PSSの層、すなわちpoly(3,4 etylenedioxythiophene)とpoly(stylene sulfonate) との混合材料よりなる電子活性導電性ポリマー発色材料層の3層である。チオフェン系ポリマーの層を形成する前に、チオフェン系ポリマーの端部にシアノ基(−NC)、チオール基(−SH)、S−アセチル基(−SAc)のいずれかを付ける処理を行えばさらに好ましい。チオフェン系ポリマーの長手方向がなるべく膜厚方向に向いて、膜厚方向の電流が流れやすいようにするためである。有機電解質層としてはポリエチレンオキサイド−チオシアン酸カリウム系も好ましい。
上記PEDT/PSS層の代わりに、Fei Wang 氏他著のMicromolecules vol.33 pp2083-2091(2000)のElectrochromic Linear and StarBranched poly(3,4-ethylenedioxychiophene-didodecyloxybenzene) Polymers の論文に記載されているエレクトロクロミック発色するポリチオフェン系ポリマー材料であるStar-branched poly(3,4-ethylenedioxychiophene-didodecyloxybenzene)(略称SPEB)を用いると、発色・消色が速く、良好な特性が得られる。電解質には上記電解質を用いる。
固体電解質層とエレクトロクロミック材料層との間に透明な酸化物などより成る誘電体あるいは半導体の層を設けると、Liイオンのバリア層の役割を果たし、Liイオンがエレクトロクロミック層に捕えられて固体電解質層側に戻って来ないなどの、着色・消色繰返し劣化要因を抑制することができる。例えば酸化クロムの厚さ10〜50nm程度の層を用いるのが良い。
電解質層と電子活性導電性ポリマー発色材料層は、チオフェン系ポリマー層を電界重合によって形成し、例えばLiトリフレートのようなドーパントを膜中に取り込んでしまうことにより、一層化することもできる。ドーパント濃度に膜厚方向の差を付けるのがよい。
これまで述べた有機材料層を用いる場合のメリットは、導電性が有り、導電率は温度上昇とともに高くなり、また、光導電性も持たせることができるのでフォトキャリアを電界によって加速し、温度上昇により着色を促進したり記録感度を高めることができること、WOのように発色消色に膜中への水分の出入りを必要としないことである。着色は分子中に電子が取り込まれることにより正電荷によるポーラロンが消滅して励起状態とのエネルギー差が可視光のエネルギーに相当するようになることによって起こる。この電子移動を助けるためにLiイオン、水素イオン(プロトン)などのイオンが移動する。モノマー、又は数分子が結合しただけの低分子量のものを高速真空蒸着し、基板上でオリゴマーやポリマーにするのも好ましい。基板上でオリゴマーやポリマーにするには、真空蒸着中に青色又は近紫外光を照射して分子を励起状態にする。チオフェン系ポリマー(略してポリチオフェン)のほか、Lu−ジフタロシアニンなどの金属フタロシアニン、ヘプチルビオロゲン、タングステン蓚酸錯体,スチリル系化合物である 3,3ジメチル-2-(P-ジメチルアミノスチリル)インドリノ[2,1−b]オキサゾリン(IRPDM)(光源波長5145nm)や3,3ジメチル-2-(P-ジメチルアミノシンナミリデンビニル)インドリノ[2,1−b]オキサゾリン、青色レーザ記録再生用としてポリアニリンとポリ(2−アクリルアミド−メタン−2−プロパンスルフォン酸(略称PANPS))との積層膜(D. DeLongchamp and P. T. HammondによるAdvanced Materials Vol.13, No. 19, 1455(2001)の論文に記載)なども使用可能である。さらに、光導電効果をもたせるために、TCNQ(7,7,8,8-Tetracyanoquinodimethane)の層を形成してもよい。これら有機物を用いる場合も、ディスクの他の部分は上記実施例と同様とした。
WOに代わる無機物のエレクトロクロミック材料としては鉄のシアン化物であるプルシャンブルー(KFeII FeIII (CN)、MoO,Nb,V,TiO,NiOOH,CoOOH,Rh,IrO(xは1未満の正の数)、ZrNCl,InN,SnN(xは1未満の正の数)、MnO(xは2未満の正の数),WO−MoO複合(混合)薄膜なども使用可能である。これらの材料は保護層のWOの代わりに用いることもできる。
エレクトロクロミック材料層に無機材料を用いた場合、固体電解質材料には既に述べたような有機材料と、以下に述べる無機材料の両方を用いることができるが、無機材料とすると、すべての層を一貫してスパッタリング、真空蒸着、電子ビーム蒸着などの乾式(真空)プロセスで統一できるというメリットが有る。スパッタリングが製膜の再現性が高く、特に好ましい。例えば、透明又は半透明電極の間に下記の積層膜のうちのいずれかを挟んだ構造とする。WO−Ta−IrO,WO−Cr、WO−MgF、WO−RbAg、WO−SiO,WO−ZrO,WO−LiClO,WO−LiF,WO−NaZrSiPO12(NASICON)、WO−NaYSi12などである。これらは、株式会社サイエンスフォーラム、谷口よし雄編集「有機エレクトロニクス材料、現状・基盤技術・研究戦略」昭和61年8月30日第1版第1刷の85-86頁に記載の材料であり、Taを用いたものは産業図書株式会社、馬場宣良他編「エレクトロクロミックディスプレイ」平成3年の168-186頁に記載のものである。これらのWOの1部又は全部をMOなど、上記の他の無機エレクトロクロミック材料で置き換えても良い。
これら、すべて無機物から成る積層膜を用いるのは、電圧伝達経路が本発明の構成以外の、電圧による層選択方式多層光ディスク装置に対しても有効である。
エレクトロクロミック材料では、電流によってLiなどの金属や水素などの陽イオンが所定の場所から動いてしまったり光スポット内の基底状態にある電子のほとんどが励起されてしまうと、自動的に光吸収が減ったり電流が流れにくくなるので、ディスク全体に大きな電流が流れたり、光スポット照射部分で過大な電流が流れて記録マークが大きくなりすぎるのが防止できる。すなわち現象としては、第1の電極と第2の電極との間に電圧を印加しながら光を照射すると、照射した場所付近の電流が増大し、光照射が終ってからも電圧を印加し続けた場合、一定時間後に電流が低下し、記録層(エレクトロクロミック層など)の状態変化が観測される。光照射中に自動的に電流が低下する場合も有る。
エレクトロクロミック材料は、電圧によって吸収又は反射スペクトルが変化するものであれば、現在エレクトロクロミック材料と呼ばれていないものでも良い。単結晶でも小型のディスクや記録媒体は作ることができる。ただし、吸収の少ない方の状態では光吸収が10%以下、より好ましくは5%以下のものを使うのが好ましい。
エレクトロクロミック材料の代わりにエレクトロルミネッセント(EL)材料とフォトクロミック材料の混合材料を用いても良い。EL材料が発する光によって、フォトクロミック材料の色が変化し、記録あるいは読出し光の波長に対して光吸収が生じるようにする。EL材料としてはZnOなどの無機材料や有機材料を用いることができるが、有機材料については、例えば豊田中央研究所R&DレビューのVol.33, No.2(1998年6月)の3-22頁の解説に述べられている有機EL材料のうち、ジアリルエテン、フルギドなどのフォトクロミック材料を変色させるのに発光波長が適合するものを当該フォトクロミック材料と組み合わせて用いる。これら有機材料の層の場合は、真空蒸着、気相成長、塗布などの方法で形成する。塗布の場合は溶媒で十分に希釈して、グルーブ部分とグルーブ間の部分で膜厚差が大きくなり過ぎないようにした。有機EL材料は電子又はホール輸送層材料と発光層材料と、効率を向上させたい場合はドーピング材料からなり、ホール輸送層材料としては、トリフェルアミンを星形分子にしたスターバーストアミン(m−MTDATA)膜厚60nm、発光層材料としてはベンゾオキサゾールZn錯体(Zn(BOX)2)膜厚40nmを用いて青色発光する。この発光した光は透明又は半透明電極で遮断され、他の層まで達しないようにするのが好ましい。
フォトクロミック材料としてはフルギド、ジアリールエテンなどが使用できる。フルギドの場合、青色光照射によって波長500nm付近に吸収が生じるので、波長514.5nmのKrレーザで記録可能である。
上記積層膜の上に紫外線硬化樹脂によるオーバーコート層を形成し、同様なもう1枚のディスクと張り合わせた。
波長660nmのレーザ光を照射しながら、図7に示すように記録又は読出しをしたい記録層の両側の透明電極に電圧を印加すると、その層だけが着色し、レーザ光を吸収、反射するようになるので、選択的に情報の記録や読出しができる。図41は、所望の記録層に電圧を印加するためのスイッチング回路のブロック図である。電圧印加は必ず1つの記録層だけに限定する必要は無く、アレイレーザで複数記録層に同時に記録する場合は、複数対の電極間に電圧を印加する。レーザ光源に、例えば4素子のアレイレーザを用いて同時記録した場合、データ転送速度を4倍近く高速化することができた。アレイレーザで複数記録層に同時に記録する場合は、複数対の電極間に同時又は順次間歇的に着色方向の電圧を印加する。また、記録しない記録層の電極間の電圧を0にしないで有限の値にしておけば、電極間容量や着色する材料の応答速度により、着色に時間がかかるのを防ぐことができた。
各層の透明電極から透明電極までの厚さを絞込みレンズの焦点深度程度の厚さにし、光吸収係数が奥の層ほど大きくなるように発色させると焦点位置を深さ方向に振って高密度記録するのに好都合である。また、各層の膜厚をもう少し薄くすると、ボリュームホログラム記録などに有利である。各層の光吸収係数をほぼ同じにして膜厚は薄くし、高パワー照射では奥の層まで、低パワー照射では入射側に近い層だけが記録されるようにして多値記録してもよい。
消色させる場合は逆電圧を印加した。記録時と再生時の各層の光吸収係数の分布を変えられるのも本発明の特徴である。記録時には、単層で測定した時の吸収率が光入射側から20%、30%、40%、50%と奥ほど大きくなるように各層のエレクトロクロミック材料濃度や各層への発色電圧印加時間を変え、再生時にはどの層も20%で均一とすると、Ag−Pd−Cu反射層で反射して来た光には各層の情報が均一に含まれるので好都合である。
全積層をいくつかにグループ化し、例えば本実施例の場合では4層を2層ずつのグループにして同一グループのエレクトロクロミック層は同時に発色、消色させるようにすれば、発色、消色に要する時間を短くすることができる。同一グループ内では上記のように光入射側から遠い層の方の光吸収率が高くなるように電圧や、エレクトロクロミック材料のアクリル系ポリマーなどでの希釈程度を調整すると、より良好な記録特性が得られる。
発色・消色に要する時間が記録・再生速度の制約要因にならないようにする他の方法として、光入射側から見て奥の層から順次発色させ、消色は手前の層から順次消色させるのが有効である。このようにすれば、1つの層の発色中に隣接する層に電圧をかけ始めて発色を準備することができ、スピードアップできる。また、透明電極の面抵抗によって着色、消色はディスクの引き出し電極側(本実施例では内周側)から順次起きるのでこれを利用するか、ディスクの半径方向を複数のゾーンに分けてゾーン毎に透明電極を分割し、例えば連続動画を記録する場合、記録の進行に大体合わせて着色や消色を行えば待ち時間を短縮できる。この場合は各ゾーンの透明電極間に絶縁層が必要になる。
記録はレーザ光、及び/又は電流の作用によって、膜のエレクトロクロミック作用を失わせ、電圧を印加しても発色しない、あるいは記録前と異なる吸収スペクトルを持つようにして行う。逆に発色が強まることにより記録されても良いが、電圧を0にするか逆電圧をかけた時は記録していない部分と光学的に同じ状態になって、記録が見えないようにする必要が有る。
エレクトロクロミック層又は固体電解質層が結晶−非晶質間、あるいは結晶−結晶間で相変化するようにして記録すると、書き換え可能性が期待できる。相によって着色又は消色速度が1桁以上違うようにできれば、電圧印加後どちらかの相にある領域だけ着色した状態で読み出すようにすれば、読み出し可能である。WOなどの無機材料の場合、非晶質状態の方がプラスイオンが動きやすく、速度が速い。
別の方法として、熱又は電流による物理的変化(相変化など)、又は化学変化(例えばLiイオンとの反応)によって屈折率、消衰係数のうちの少なくとも一方が変化する有機、あるいは無機材料の層を別の層として積層し、この層の変化によって記録を行ってもよい。例えば、相変化記録膜として、In50Se45Tlの組成のものを用いると波長780nmあるいは660nmの光、特に波長780nmの光に対して透過率が高いので好ましい。記録時にはエレクトロクロミック材料層の光吸収によって間接的に加熱される。エレクトロクロミック材料層は材料によって大小が有るものの光導電性を持つので、フォトキャリアの電流による加熱効果も生じる。相変化記録層を設けた場合は、加熱により、相変化記録層は結晶化、あるいは非晶質化の相変化を起こす。相変化記録層は屈折率が高いので界面での反射を防ぐために透明電極層の膜厚を反射防止効果を持つように選ぶのが良い。相変化による屈折率変化がエレクトロクロミック層の着色時に特に反射率差として見えやすいように光学設計しておくことにより、多層の記録膜のそれぞれをほぼ独立に読み出すことができる。
また、さらに別の方法として、熱又は電流と磁場によって磁化の方向が変化する磁性材料をエレクトロクロミック材料又は固体電解質材料に隣接して記録層として形成してもよい。例えば、ガーネット等の透明光磁気材料が考えられ、温度が上がるとカー回転角の差が大きくなる設計をする。
透明電極から透明電極までの光学的膜厚が読み出し光の波長に対してほぼ1波長又はその整数倍分になるようにすると、どの記録層も光学的に等価となるので好ましい。
(透明電極の他の例)
透明電極の材料としては、(In(SnO1−xの組成で、xが5%から99%の範囲の材料、抵抗値の面でより好ましくは、xが90%から98%の範囲の材料、これにモル%で50%以下のSiOを添加したもの、SnOにモル%で2から5%のSbなどの他の酸化物を添加したもの、などの既知の透明電極材料が使用可能である。
さらに、記録層間の透明電極を2層に分けてその間の断熱層を設け、断熱層も有機材料とすれば上記と同じ理由で光学的に好ましい。断熱層は導電性が有っても良いが、無い方がより好ましく、アクリル系オリゴマー、ポリマー、金属フタロシアニンの真空蒸着膜など、多くの材料が使用可能である。ZnS−SiOなどの無機材料を用いてもよい。この他、電流や予熱レ−ザービームによる昇温で吸収端が変化する導電性有機材料層を用いてもよい。
シート抵抗が大きいことがあまり問題とならない小型の記録媒体では、透明電極もポリアセチレン、ポリチオフェンなどの導電性ポリマーで形成することが可能である。その場合、無機物透明電極に比べてエレクトロクロミック層との屈折率差が小さく、界面で反射した光の干渉などの悪影響を避けることができる点で好ましい。下地層として疎水性表面処理剤、シランカップリング剤、又は平均0.5〜3nmの膜厚の薄い銅族元素(Cu,Ag,Au)層を設けても良い。
(基板の他の例)
本実施例では、表面に直接、トラッキング用の溝を有するポリカーボネート基板77を用いているが、トラッキング用の溝を有する基板とは、基板表面全面又は一部に、記録・再生波長をλとしたとき、λ/15n(nは基板材料の屈折率)以上の深さの溝を持つ基板である。溝は一周で連続的に形成されていても、途中分割されていてもよい。溝深さが約λ/12nの時、トラッキングとノイズのバランスの面で好ましいことがわかった。また、その溝幅は場所により異なっていてもよい。溝部とランド部の両方に記録・再生が行えるフォーマットを有する基板でも、どちらか一方に記録を行うフォーマットの基板でも、間歇的にトラッキング用サーボマークを設けたサンプルサーボフォーマットの基板でもよい。グルーブのみに記録するタイプでは、トラックピッチが波長/絞込みレンズのNAの0.7倍付近、グルーブ幅がその1/2付近のものが好ましい。
厚さ20〜40μmのスペーサー層を多層記録層の数層毎(例えば5層おきで、ビーム数、又はビーム数−予備照射ビーム数に一致させるのが特に好ましい。)に挟んでもよい。スペーサー層にはニッケルスタンパーからトラッキング用のグルーブ、ピットのうちの少なくとも一方を含む凹凸パターンを転写してトラッキング信号やアドレス、クロック、同期信号などの検出に用いるのが良い。スペーサー層に転写したパターンの上にエレクトロクロミック材料か固体電解質材料を薄く塗布して、層の厚さが凹部で厚く、凸部で薄くなるようにして、エレクトロクロミック材料層と固体電解質材料層の両方を塗布して透明電極層で挟まれた構造とした時、正電圧を印加すると凹部が強く着色するようにしてアドレス信号などを検出できるようにするのも好ましい。この場合、スペーサー層を2層以上用いる場合は、光学系に球面収差を補償する素子を設けた方が良い。
記録・再生光を張り合わせ基板側から入射させる場合、張り合わせ基板を0.1mm程度に薄くして、絞込みレンズのNAを0.85と大きくしても良い。そうすればトラックピッチは約3/4程度にできる。
なお、光導電体層を別途設ける場合は、記録層と光導電体層との間には相互拡散・反応を抑制するため、導電体層(金属層や透明電極層)を極めて薄く設ければ、繰返し書換え時に信頼性が増す。ただし、光導電体層で発生したフォトキャリアが突き抜けるように、1nm以上10nm以下の平均膜厚にする必要がある。縞状や網目状の不連続膜であっても良い。例えば記録層と光導電体層との間に厚さ5nmのAlあるいはW80Ti20の電極層を設ける。真空蒸着によるAl層を記録層形成後で透明電極のスパッタリング形成の前に付けると、有機材料をイオン衝撃から保護する効果も得られる。
記録領域の透明電極は、ディスク全体が一電極でも複数の扇形透明電極に分離するか、半径方向に同心円状に分離するか、その両方を行ってもよい。電圧をこれらの電極間に面内方向にかけて着色させてもよい。分離した方が電極間容量が小さくなるので、電圧の立上り、立下りが早くなって好ましい。発色、消色に要する時間と電流が実用的な範囲であるために電極間容量は0.1F以下が特に望ましいが、素子の特性が良好であるためには、0.01F以上となる構造とするのが良い。対となる透明電極のうち一方の透明電極は複数に分離せず、一方を分離してもよい。また、上下の両電極を分離してもよい。この場合、上下の電極の切れ目の位置は一致していても良いが、一致していなくてもよい。各層の透明電極は、形成時に内周マスクを少しずつ大きくして行って、各電極が同心円状に内周部に露出するようにした。
各透明電極は基板から遠いほど少しずつ内径が大きくなっていて、例えば一番基板に近い透明電極は一番内側にリング状に露出しており、この部分から電圧を印加できるようになっている。その上の透明電極は、それより少し大きい直径でリング状に露出している。この露出部分にはその半径方向の幅より少し狭い幅(例えば90%)でリング状の金属部分を設けて導電率や機械的強度を増強すれば、製造コストはやや上昇するが、性能面で特に好ましい。別の方法として、反射層兼電極と上記透明電極には、それぞれの最内周部に放射状の引出し電極を設け、この引出し電極はディスク最内周部まで達しており、記録再生装置のディスク回転軸上のそれぞれ別の電極に接続するため、ディスク中心穴の端面の複数の電極に接続してもよい。この引き出し電極と、そのすぐ外側の半径方向に幅1〜5mmの円周上の透明電極に、金属層を重ねて形成して面抵抗を下げるのも好ましい。ディスクを置いた時、回転軸上のディスク受け部分の各電極がディスク側の引出し電極、又はそれに接続した電極に接触する。中心穴の端面の電極と接触させる場合は、接続すべき電極同士を対応させるため、凸部と凹部の組合せなどによる、ディスク回転方向の位置合わせが必要である。同心円状透明電極から張り合わせ基板貫通電極を経て張り合わせ基板の表面に設けた同心円状金属電極に接続し、それに接続させる方法は、位置合わせが必要無い点で好ましい。しかし放射状透明電極の場合でも、放射状電極の位置と、張り合わせ基板の基板貫通電極との位置を合わせて張り合わせ、張り合わせ基板の表面側(張り合わせ後外界に面する側)の電極は同心円状とすれば、ディスクをドライブ装置にセットする時は位置合わせが必要無くなる。
図30に示したように、張り合わせ基板の内周部はプリント基板のように金属ピン(細い金属円筒、又は金属線)が貫通していて、両面に透明電極の数に対応した同心円の金属層が形成されており、金属ピンが表面と裏面の対応する電極を接続している。記録層を有する基板に貼り付ける側は、通常のプリント基板では表面の金属配線にハンダメッキされているが、この場合は導電性粘着テープ層又はInなどの低融点金属、又は合金の層を形成しておく、導電性粘着テープはベースフィルム、粘着剤の少なくとも一方に金属粉、炭素粉、金属メッシュなどの導電性材料を混合したものである。In、あるいは低融点合金は撮像管のフェースプレートの圧着に使われていたように低融点で柔らかいので、記録層を有する基板に押し付けると変形して透明電極に接着する。100度付近まで昇温して圧着すればさらに柔らかくなり、圧着が容易になる。このようなディスク構造にすると、確実に、均一に、再現性、信頼性高く電気的接続を行うことができる。ディスク内周に引き出した透明電極の同心円状部分や張り合わせ基板の表面の同心円状電極のそれぞれは必ずしも円(円環)状でなくてもよく、円周方向にも複数に分割してもよい。この場合、ディスクを回転軸にどのように取り付けても所定の電圧がかかるように、記録層を挟む対の透明電極に対応する2つの電極は図47に示したように内外方向に位置が揃うように配置した。
このディスクは、DVD−RAMなどの従来の光ディスクドライブ装置と同様なドライ
ブ装置に装着される。ただし、ディスクへの電圧伝達機構だけが追加される。本実施例では電圧伝達機構はボールベアリング又はスリップリングとした。スリップリングとは、回転軸側のリング状金属と静止側のブラシと呼ばれる短冊状金属の組合せである。ボールベアリングには導電性のグリースを用いた。電圧伝達機構はディスク回転モータのディスク側、あるいはディスク回転モータの外側(周囲)、あるいはディスク回転モータのディスクとは反対側に設ける。
図31に示したように、ディスク回転軸331の内部又は表面には上記電圧伝達機構から回転軸先端に向かう導線321が有り、上記導線は回転軸の先端手前でディスクの内径より内側を通って回転軸の先端の、ディスクの電極数に対応した電極325に接続されている。この電極は図では回転軸の先端の回転軸の中心線に直交する平面か円筒状、又は円錐筒状の回転軸の先端の側面に設けられていて、ピン状であるか、同心円状、同心円筒状、あるいは同心円錐台筒状であっても良い。ドライブ装置側にはボールベアリングを経てバネによってドライブ装置に固定され、ディスクを回転させる時ディスクを押えて回転軸と一緒に回転するディスク押え323があり、ディスク押えは小円板とその外側のリングとからなる。小円板とリングとは120度ずつの3ヶ所で別のバネ材によって接続されている。小円板には回転軸頂部のピン電極又は同心電極に対応した同心電極又はピン電極が有り、リングにはディスク内周部の基板表面の同心円状電極に対応したピン電極が形成されている。小円板とリングは一体としても良い。一体としない場合は、対応する電極同士上記の120度ずつの3ヶ所のバネのいずれかを通る導線で接続されている。
ディスク回転軸の各電線には複数のブラシとリングとの組合せ(通称スリップリング)
の電圧伝達機構により記録装置の回路基板より給電した。ブラシ(単なる短冊状金属板あるいはその多数の集合体でもよい)とリング部分の回転軸直径(リングの外径)は3mmとした。各リングからは回転軸内をディスク受け部分に向かって各リングからの配線が上がっていく。ディスク回転モータの回転軸表面付近を通って、5層までの多層ディスクに対応できるように6本の分離した電線が上記ディスク受けの電極に接続されている。ディスクがドライブ装置に挿入されると、ディスク載置部324に載置されたディスクに対してディスク押えが上から下りてくる機構になっており、まずリング部分がディスク内周部を押さえつけ、この時、対応する電極同士が接触する。次に上記120度ずつの3ヶ所のバネで少し持ち上がっている小円板が回転軸頂部に押し付けられ、対応する電極同士が接触する。これによってディスク押えを介してドライブ内の静止電極とディスク上の各電極が接続される。小円板にも中心部に穴が有ってリング状になっていてもよい。
ブラシとリングの場合、その部分の回転軸をできるだけ細くし、直径5mm以下、より好ましくは3mm以下として、線速度を小さくすれば、磨耗を抑制することができ、長寿命化できる。直径は、0.5mm以上5mm以下が好ましく、1mm以上3mm以下が特に好ましい。細過ぎると機械的強度が不足し、ブラシの磨耗もかえって速くなる。太過ぎると、磨耗のために寿命が1年未満となる。この場合、その部分に回転方向以外の力がかからないよう、その部分の上下(横置きの場合は左右)を軸受けで支える構造とするのも好ましい。ブラシは、1電極ごとに独立としても良いが、ここでは6本をまとめて1枚のバネ板状とした。このようにまとめる方法では、50電極程度の多数電極になっても相互干渉無く安定に動作できる。
ブラシとリングとの組合せの代わりにボールベアリングを用いてもよい。ただし小型化は難しくなる。ボールベアリングにはカーボン又はAu、あるいはAgなどの金属の微粉を混合して導電性としたグリースを充填して導電性を向上させた。ブラシとリング(スリップリング)の場合、記録及び/又は再生装置の通常の稼動状態でディスク回転軸が回転している間常に摺動していたのでは磨耗により、磨耗粉が多量に出たり、寿命がもたない。従って、消色・着色が必要な場合だけ摺動させて、それ以外ではリングとブラシを離しておくようにするのが良い。電圧0でも多少着色しているので、読み出し時、あるいは記録時の少なくとも一部の時間ではリングとブラシを離しておくこともできる。ディスクをドライブ装置に入れる時、ブラシ又はブラシ群(例えばポリエチレンテレフタレートなどの絶縁性のベースシート又はテープ上に複数の長い短冊状(細いテープ状)金属を所定の間隔で並べたもの)は長手方向がディスクの移動方向にほぼ平行で少し離れた状態にしておき、ディスクが所定の位置に固定され、記録・再生が必要になったとき、ブラシ群とリング群との少なくとも一方を相手の方に動かして接触させるようにするのが良い。消色・着色が必要な場合だけブラシ群とリング群を接触させるのも同様にして行う。ノート型パソコン用CD−ROM装置のようにモータや光ヘッドを含むディスク駆動部分が引出し状になっていて引き出せる場合、引出しを押し込むとブラシ群をリングが押すようになって接触しても良い。
このようにブラシ群とリング群がついたり離れたりするとき、各ブラシと対応する各リングの位置がきちんと合うように、端部の1本又は2本のリングを位置検出用に用いるのが好ましい。ここでは図43のブロック図に示すように、ブラシとリングとの間の静電容量を検出してサーボをかける方式を用いたが、他の既知の検出方法でも良い。位置ずれを検出したらブラシをディスク面に直角方向に動かすサーボをかけて相対位置を修正する。
また、ブラシ群は時間の経過とともに少しずつ繰り出す又は引き込むようにして、リングとの接触位置を変える制御機構を設けると長寿命化できる。図35に示したようにブラシ群373がテープ状(あるいはベルト状)になっており、テープレコーダーのテープのように一方の軸371から他方の軸372に極めてゆっくり、又は間歇的に巻き取ってテープレコーダーの磁気ヘッドに相当する位置にあるリング370との接触位置を変えて行くと、さらに長寿命化できる。374は円筒状に積層したリングにテープ状ブラシ群を押し付けるためのローラー(キャプスタン)である。このようにブラシ側のリングとの接触位置を変える場合は、リングを磨耗しにくい金属、例えばタングステンあるいは既知の耐摩耗性金属から形成し、ブラシを柔らかい、あるいは磨耗しやすい金属あるいは半導体、例えば銀、銅、あるいはアルミニウムなどの材料から形成するのが望ましい。また、テープのベース素材表面に粘着性を持たせ、磨耗粉が付着するようにすると記録・再生装置内に磨耗粉が広がるのを抑制できる。テープを、ベース素材を用いず、細長い電極と細長い絶縁材を交互に接着し積層したものとしてもよい。一方の巻取り軸372には別のスリップリングが有り、ブラシ群375を経て電圧が供給される。ブラシ群375は巻き取り軸でなくキャプスタン374の一方に接触させてもよい。この場合テープは上記の積層型のように両面に電極が露出したものとし、キャプスタンに積層円筒状電極を設ける。接触するキャプスタンは回転軸での摩耗粉の悪影響を避けるため、テープ送りの後方に位置するキャプスタンを利用する方がよい。各ブラシ(長い短冊状電極)には電線376が接続され、パルス電源から電圧が印加される。ブラシ、リングの少なくとも一方は極めて微小な孔を持ち潤滑材を含浸させられるとさらに好ましい。
このようなブラシ・リングの組合わせは他の電圧印加光ディスクを用いる場合や、図31の構成で回転モータに関しディスクと反対側の位置に電圧伝達機構を設ける場合、モータとディスク受けとの間に設ける場合、他の構成の記録・再生装置、例えばブラシ・リングの組合わせ−回転軸−ディスク受け部分−ディスクへと電圧を伝達する装置に用いる場合にも長寿命化効果が有る。すなわち、上記電圧伝達機構はディスク回転モータのディスク側に有っても、反対側に有っても良い。図46に示したような反対側の場合はモータ下部にスペースが必要である。
上記のうち記録媒体部分の要点をまとめると、記録媒体は、光照射によって情報を記録する情報の記録媒体であって、基板上に、少なくとも電圧印加によって光吸収又は反射スペクトルが変化する材料の層(単一又は複数の層)を透明又は半透明電極で挟んだ単位構造を2層以上積層し、ディスク内周部にこれら透明電極、あるいは透明電極から延長した電極の端部が同心円状又は放射状になるように形成されており、さらにその上に別の基板が貼られていることが特徴である。少なくとも一方の上記基板の一部に、基板を貫通又は基板の中心穴付近を迂回して反対側の表面に達する複数の金属ピンを設け、当該基板の表面側に同心円状の電極を設けるのが良い。上記同心円状の電極のそれぞれが連続ではなく、複数の電極がそれぞれの円の上に配列されたものとしても良い。これら複数の電極を同電位とせず、それぞれ記録領域の別の透明電極に対応させてもよい。上記電極が張り合わせる相手側基板の電極やドライブ装置側の電極と接触する部分には金属又は炭素の微粒子を含む材料を塗布又は貼り付けて補強するのがさらに良い。
本実施例の第1の変形例として、図32に示したように、記録媒体に凹凸の形で予め情報が与えられているか、光などのエネルギーを記録媒体に与えることによって情報を記録する情報記録装置であって、ディスク受けの同心円上に配置されたバネ内蔵ピン電極341から回転軸先端に向かう導線340、上記導線を回転軸の先端の、ディスクの電極数に対応した同心円状又は同心円筒状又は円錐台筒状の電極349に接続する手段、ディスクの電極数に対応した回転する同心円筒状又は同心円錐台筒状の電極に装置側の複数の電極347を接触させる手段、ディスクを回転させる時ディスクを押えて回転軸と一緒に回転するディスク押え手段344からなる情報記録装置としても良い。着色制御方法、記録方法などは上の例と同様である。この場合、電圧はドライブ静止部分−ディスク押え近傍−ディスク下面へと伝達される。
ディスク受けの内部を通って、5層までの多層ディスクに対応できるように6本の分離した電線(うち3本だけを描いてある)340が上記ディスク受けの電極に接続されている。各電線が、上記の同心円の各円周上に位置するピン電極に接続されている。ディスク回転軸の各電線には複数のブラシとリングとの組合せ(通称スリップリング)の電圧伝達機構により記録装置の回路基板より給電した。ブラシ(短冊状金属板あるいはその多数の集合体)とリング部分の回転軸直径(リングの外径)は3mmとした。各リングからは回転軸内をディスク受け部分に向かって各リングからの配線が下がっていく。ブラシとリングの詳細については上記と同様で、ブラシを巻取り方式としても良い。上記ディスクの同心円状の電極のそれぞれが連続ではなく、複数の電極がそれぞれの円の上に配列されたものとしても良い。上記電極が楔状の金属片を打ち込んだものとしても良い。上記電極が金属又は炭素の微粒子を含む材料を塗布又は貼り付けしたものとしても良い。
また、本実施例の変形例として、図39に示すように、回転軸を駆動するモータの下部に、複数のブラシとリングとの組合せの電圧伝達機構を設けて、記録装置の回路基板より給電するようにしてもよい。
ディスク受け部分の構造の例は、図36に示したように、ディスク受け380に設けた同心円381上に位置するバネを内蔵する複数のピン電極、ディスク受けの各ピン電極のうち同心円状に有る4本からの導線をそれぞれまとめて回転軸先端383に向かう導線を有するものとする。1つの同心円上のピン電極は4本以下、例えば1本でもよい。
また、さらに、本実施例の別の変形として図34に示したように下記のようにしても良い。記録媒体に凹凸の形で予め情報が与えられているか、光などのエネルギーを記録媒体に与えることによって情報を記録する情報記録装置であって、ボールベアリングなどの回転保持機構362を経てバネ368、によってドライブ装置に固定され、ディスクを回転させる時ディスクを押えて回転軸と一緒に回転するディスク押え手段363、上記ディスク押え手段は上記ボールベアリングなどの回転保持機構を通してドライブ装置の静止部分に電気的に接続されており、上記ディスク押え手段に設けられたディスクの同心円状電極365に対応した同心円上のバネ内蔵ピン電極359、上記ボールベアリングなどの回転保持機構の各部分と対応する同心円状電極を電気的に接続する手段(導線)358、ディスクがドライブ装置に挿入されると、上記ディスク押えをディスクの方に移動させ、上記ディスクの同心円状電極に接触するように制御する手段を有する情報記録装置である。着色制御方法、記録方法などは上の実施例と同様である。上記同心円状の電極のそれぞれが連続ではなく、複数の電極がそれぞれの円の上に配列されたものとしても良い。上記電極が楔状の金属片を打ち込んだものとしても良い。上記電極が金属又は炭素の微粒子を含む材料を塗布したものとしても良い。
この場合、電圧はドライブ装置静止部−ディスク押え−ディスク上面(すなわちディスク回転モータとは反対側の面)へと伝達される。従って製膜する基板はモータ側、すなわちディスク受け側となり、通常、光ヘッドはディスクに対してディスク回転モータと同じ側に配置されるので、この場合は接着層を通してではなく、直接基板越しに記録・再生することになる。全層をスパッタリングや真空蒸着で形成し、溝形状が上方の層まで受け継がれる場合は、この方が接着剤の厚さムラの影響を受けにくく、望ましい。
有機材料の場合は、塗布すると基板の凹凸パターンが埋まるのでディスク押え側の基板に製膜し、基板を貫通した金属ピンを相手側の基板の透明電極、あるいはその延長電極に接触させるのではなく、貫通した金属ピンの付近まで透明電極、あるいはその延長電極を付けて導電性ペーストなどでディスク上の電極とピン電極をつなぐ必要がある。
図47のような同心円をさらに円弧に分割した電極配置の場合は、ディスク載置部又はディスク押さえ部のどの電極がディスク上のどの層の電極に対応するように取り付けられたかを透明電極の引き出し長さによる抵抗値や静電容量やフォーカス誤差信号の違いによりドライブ装置側で検出するのが望ましい。
ブラシ群とリング群は図34の位置の他、回転軸内に入り込んだ図35の位置にしてもよい。この場合、リング群の円筒はアームに固定して静止させ、ブラシ群が回転軸とともに回転する。電圧はドライブ装置静止部−ディスク押さえの一部のリング群−ブラシ群−ディスク下面へ伝達される。図39及び図46に示したモータ下部に電圧伝達機構が来る場合でも図35のように静止側にリング群、回転側にブラシ群を設ける構成は可能である。
ディスク内周部は単板構造としても良く、この場合は、ディスク上の透明電極層、あるいはそれを補強したものに直接ディスク押え、あるいはディスク受けの電極を接触させる。Blu-rayディスクのように、厚さ1.0mmから1.2mmの厚い基板を用いる場合は、内周部分に厚さ0.1mm程度のカバー層が無くても強度的にも問題無い。0.1mmのカバー層はもう一方の基板と見なすこともできる。
ドライブ装置の静止部分から回転部分への電気的接続は上記のような接触する方法以外に、発光ダイオード又はレーザと受光素子との組合せ、コイルの組合せでも良い。ただし、電流が十分に供給できない場合は、複数組を配置する必要があり、ドライブ装置内で一定の体積を占める。
本発明では、基板の凹部で溝となっている部分をグルーブと呼ぶ。グルーブとグルーブの間をランドと呼ぶ。光が基板を通して膜に入射する場合は、入射側から見てグルーブは凸に見える。このため、光を基板と反対の側から入射させる方式でも、同様に入射側から見て凸となっている側がグルーブと呼ばれる場合も有る。この部分は、基板だけに注目したときは凸部であってグルーブとグルーブの間のランド部分であるから、この呼び方は本発明の定義とは逆ということになる。ランドとグルーブの一方だけに記録する、いわゆるイングルーブ記録の場合、光入射が基板側からの場合も基板と反対側からの場合も光入射側から見て凸部に記録した方が記録特性が良い場合が多いが、大きな差ではないので光入射側から見て凹部に記録しても良い。
記録・再生レーザ光は、張り合わせ基板側から入射させるのを標準とした。基板表面に金属反射層を設けず、最上部にグルーブ等の凹凸の転写層を設け、必要が有れば金属反射層を設けて、基板側からレーザ光を入射させても良い。
本実施例はすべてディスクについて述べたが、回転しない静止記録媒体であっても良い。その場合、レーザ光の方の位置を変える。同心円階段状の電極露出は、直線的階段状の露出となる。
静止記録媒体を用いる装置として、記録媒体に凹凸の形で予め情報が与えられているか、光などのエネルギーを記録媒体に与えることによって情報を記録する情報記録装置であって、上記記録媒体が少なくともエレクトロクロミック材料層を透明又は半透明の2つの電極間に有するものを2組以上積層したものであり、記録媒体は静止しており、記録媒体側の電極と電源とが絶縁物カバーの内部に複数の金属接点を内蔵するコネクターによって接続されていることを特徴とする情報記録装置としても良い。
(記録・消去・再生)
上記記録媒体に対して、情報の記録再生を行った。以下に、本情報記録再生の動作を説明する。まず、記録再生を行う際のモータ制御方法としては、記録再生を行うゾーン毎にディスクの回転数を変化させるZCLV(Zoned Constant Linear Ve1ocity)方式を採用したものについて述べる。この後詳細を述べるマルチレーザビームを用いる場合の予熱、予備照射の効果が一様であるためには、ZCLV方式が最適であった。記録は、元のディジタル信号を8−16変調し、さらに1つの記録マークを長いマークほど多くのパルスより成るマルチパルス記録波形にして記録した。
(マルチビーム記録)
本実施例では、マルチビームを集光した各光スポットが、それぞれ別の層上に焦点位置を有するようにレーザの設置角を含めて光軸を傾けるか、あるいは実効的レーザ光出射位置に差を付ける。これによって各記録媒体上では通常の記録を行えばよい。マルチビームの光源は個別レーザでもアレイレーザでも良いが、特に4ビーム以上ではアレイレーザが好ましい。いずれか1ビームをグルーブやピットの形状が整った層に焦点合わせして基準ビームとし、それから各ビームの相対位置を決めるのが望ましい。
4ビーム同時記録で従来の相変化追記型4層記録媒体の場合、層間クロストークを防ぐために層間隔が大きいので、光軸を大きく傾ける必要が有り、収差によって集光しにくい、レンズがディスクにぶつかる、という問題が生じる。例えばビーム間隔が100μmのレーザアレイの場合、層間隔が20μmだと傾き角は1/5となる。また、層間隔を決める各スペーサー層の厚さを100nm以下の精度で均一にするのも極めて難しく、フォーカスズレの原因となる。各チップの出射面に層間隔に対応する段差を付けることはいずれの場合にもディスク面とレーザビームを直角にするのに有効であるが、段差を大きく高精度で作るのは困難である。また、各層の光吸収のために記録感度が低く、パワー不足で記録速度が遅くなる可能性がある。
しかし、電圧層選択方式多層記録媒体の場合は、相変化記録媒体の上記の問題点を解決できる。まず、層間隔は0.1μm(100nm)以下であれば、照射ビーム間隔10μm程度に対して、傾斜角は十分小さい。但し、ここでは層周期を約300nmとした。
本実施例では通常の1チップアレーレーザを用いるが、アレイレーザの各レーザチップを切り離し、シリコン基板上でチップ間の間隔を離して接着するのも好ましい。光スポット間隔(照射ビーム間隔)は、コリメーターレンズ(NA0.1程度)と絞込み(集光)レンズとのNA比によって、ビーム間隔の約1/8程度になるので、レーザ素子間隔を広くした方がディスク上でのスポット間隔を広げ、ビームの入射傾きを小さくし、下記のメカニズムによる予備加熱着色の時間を稼ぐことができる。しかし、間隔を広げ過ぎると1つのレンズで集光する場合、両端のビームに収差が出るなどの問題点が生じる。1つのレンズに入るビーム数を5とすると、両端のビームの収差を十分小さく抑えるために、NA0.85では出射ビーム間隔50μm以下であるのが特に好ましい。NA0.6付近では70μm以下が特に好ましい。ビーム間隔を詰めることによって斜め入射の影響で収差が出るようであれば、レーザの出射部に階段状のガラスあるいは石英を置いて光路差をつけるようにするのがよい。本発明の場合、1層分の厚さの訳100倍で約40μmの段差となり、高精度機械加工しやすい。
電圧層選択方式多層記録媒体は、光吸収が少なくても記録できるのでビーム本数に対応する層を着色させて記録しても良いが、さらに高速記録する場合は、図37に示したように次のようにして制御する。図37において、391はエレクトロクロミック材料層、392は透明電極、393,394は基板である。まず一番先行してディスクに当たる第1ビームに対応する1番奥の層を電圧印加により薄い着色状態にしてオートフォーカス、トラッキングは可能で、レーザ光を照射しても記録状態は変化しないようにしておく。記録状態が変化しないようにするのが難しい場合は記録を行わないダミー層としても良い。この場合一番先行するビームはパワー変調せず、連続的加熱専用とする。この層から数えてビーム本数までの層は完全焦点位置ではないが光パワー密度が高い範囲内に存在するので、前もって通常の着色時より高めの電圧のパルス電圧印加を行うか、一番奥の層とほぼ同時又は僅かに遅れて低い電圧印加を開始し、少し着色させておき、先行ビームの照射により予備照射される。記録媒体は予備照射により着色が加速され、急速に光吸収が増加するので、第2ビームにより奥から2番目の層が照射されるときには十分な吸収量となる。記録トラックはらせん状であるから、第2ビームは第1ビームが照射されてからディスクの数回転後にディスク上の同じ場所に当たるように配置すれば、予備照射後十分着色するまでにms単位の時間を要する記録媒体であっても、十分着色した状態で第2ビームが照射される。3回転待てば0.1秒程度(正確にはrpsで表した1秒間の回転数の逆数×3)の待ち時間になるので、電圧印加だけで1秒で着色する材料であれば予備照射による1桁の着色加速で十分着色させられる。すなわち、外周方向をプラス方向として先行ビームの光スポット位置に対して次のビームの光スポット位置がプラスマイナス ビーム数×3トラック以内であれば効果が大きいことになる。
多数回転待ち過ぎる場合は、予備照射の効果がなくなるし、ビームスポット間隔が広くなり過ぎ、ウエハ当たりのレーザ個数が減ってレーザ価格が高くなってしまう。しかし100μmピッチのレーザアレイの場合スポット間隔20μmまでの可能性は有り、例えばトラックピッチを約0.6μmとすれば33トラック離れ、すなわち33回転待ちまでは可能性が有ることになる。第3、第4ビームについても同様である。このようにして目標の層だけ十分に着色した状態で記録・再生を行う。記録は高パワーレーザ照射した場所だけ熱によって着色機能が失われることによって行われた。
予備照射の効果以外に、透明電極の面抵抗による内周から外周への着色や消色の遅れを利用することもできる。この場合は着色や消色のフロントが直径120mmのディスクの最内周から最外周に動くのに1秒程度の時間がかかるので、例えば回転速度が30rpsの場合1回転の間に1mm程度着色や消色のフロントが進むことになる。ある半径上の点で上記の最大スポット間隔20μmで隣接する層間で着色と透明の差を付けるには、1/50秒間隔で着色電圧をかけ始めれば良いことになる。ビーム数より層数が多い場合は、他の層に記録・再生するにはビーム本数分層をジャンプして同様に記録を行う。
予備加熱及び/又は予備照射により着色が加速されるメカニズムについて、もう少し詳しく述べる。そのためには、まず着色のメカニズムから述べる必要が有る。各記録層は基本的に2層又は3層から構成され、図8に示すように、主要な役割を果たしているのは固体電解質層とエレクトロクロミック材料層である。固体電解質層は、最初は電解液であったのを固体化したものであり、その動作は液体電解質で考えると考えやすい。
エレクトロクロミック層内ではポリエチレンジオキシチオフェン分子は相対的に高分子量のポリスチレンスルフォン酸(PSS)分子のところどころについた状態であり、電解液内のLiがイオン化してプラスに帯電するのに対応して、ポリスチレンスルフォン酸分子はポリエチレンジオキシチオフェン分子から電子を奪ってマイナスに帯電する。ポリエチレンジオキシチオフェン中には正電荷が生じ、ポーラロン、バイポーラロンが形成される。ポーラロン、バイポーラロンが形成された分子は可視域の光吸収がほとんど無くなる。電解液側の電極をプラス、エレクトロクロミック層側の電極をマイナスにして電圧を印加すると、電解液中のLiイオンはエレクトロクロミック層側に動いて層の表面に集まる。一部のLiイオンはエレクトロクロミック層内に入り込む。エレクトロクロミック層側の電極からは電子が注入されるので、エレクトロクロミック材料層内の電子濃度は高まり、電子がポリチオフェンジオキシチオフェン分子の正電荷と結合する。これによって着色が起こる。PSSに捕えられていた電子は、一部がLiイオンに引かれて電解液方向に出て行く。
この着色過程において光が照射されてフォトキャリアが生成され、かつエレクトロクロミック層の温度が上がると、ホッピング電導の導電率が上昇する。そうすると電子注入は大幅に高速化し、フォトキャリアとして電子も生成するので、着色が大幅に促進される。この現象を利用したのが先行ビームによる予備照射である。ホッピング伝導、又は半導体的伝導であることや、光伝導性が有ることが知られている材料であれば、本実施例で述べた材料以外でも同様な効果が得られる。無機エレクトロクロミック材料の多くは半導体的で、光導電性も有る。
温度上昇、フォトキャリアに起因する導電率上昇による色変化速度の向上が不十分な場合でも、別の予備照射効果として、温度上昇による吸収端の変化を利用することもできる。両方の効果を利用しても良い。通常、温度が上昇すると有機高分子は分子の平面性が保たれず、時間平均的に3次元的な変形が生じて、光吸収端が動く場合が多い。この効果によっても、予熱効果によって着色、又は消色が高速化する。温度上昇による吸収端の変化は、可視域では透過率が上昇する方向に動く場合の方が多い。基底状態に存在する確率が下がったり、ポリマー分子の平坦性が失われて吸収が減少したり、電子を放出することによって吸収が減少する分子が、逆の場合より多いことによる。温度が上がっている間透過率が上昇する効果が他の効果より大きい場合は、予備照射ビームを一番光入射側に配置し、続くビームを順々に奥の層に焦点合わせするようにするのが良い。このような配置では記録によって記録マークの部分の透過率が上昇して奥の層に透過する平均光量が増加する効果も利用することができる。以上述べた各種過程はLiイオンの動きに比べて桁違いに速いので、着色・又は消色を大幅に高速化することができる。予熱以外に、光化学又は物理効果による着色の高速化を利用しても良い。
逆に加熱により消色が速くなる方が顕著な特性の記録媒体を用いる場合には、第1ビームを一番手前の層に焦点合わせし、1つ奥の層を消色し始めさせる。消色が始まっても第2ビームが当たるときにはまだ色が濃いので記録・再生が容易であるが、第3ビームが当たる時には2つ奥の層の記録・再生の障害にならないように消色している。例えば吸収飽和により吸収が減衰する現象を利用することができる。
上記の予熱効果を得るために、アレイレーザは、ほぼ平行な複数のレーザビームを、ほぼ同一直線上に並んだ複数の発生源(レーザ)から生成するが、レーザ素子を分離し、間隔を広げたものでも、シリコン単結晶へき開面を利用するなどの方法で直線状に配置するのが良い。
第1の層に第1のレーザビームからの第1の光スポットを照射し、第1の層に第1の光スポットを照射した後に、前記第1の層に隣接した光入射側の第2の層に第2の光スポットを照射されるように光スポットを位置決めして情報を記録又は再生する。複数のレーザビームから多層記録媒体の各層に形成される光スポットは、隣接するビームが基板の半径方向の同一トラック上、又はプラスマイナスビーム数×3トラック以内にあるように位置決め又は制御すると、予備照射効果が得られたが、それ以上の位置ズレが有ると、予備照射効果は他の層の影響無く記録・再生するのに不十分であった。プラスマイナス1トラック以内であれば、ほぼ最内周トラック又は最外周トラックから同時に書き始めることができるというメリットが有る。
このように、多数のレーザビームスポットをディスクの円周方向に、同一トラック又は近接したトラック上に並べることは、アドレス確認の容易さ、いずれのビームも最外周や最内周のトラックから外れることが無い点でも好ましい。上記複数のレーザビームのうち、両端に近い少なくとも2つのレーザビームでトラッキングエラー信号又はトラックアドレス信号を検出する手段を設けることにより、位置ズレを検出する必要が有る。
上記多層記録媒体は、予熱用光スポットを照射する層で記録状態の破壊が起きないように、所定の周期で情報を記録しないが電圧印加により着色し反射率上昇が可能な予熱・予備照射ビームのフォーカス・トラッキング専用層を有するのが好ましい。
本記録装置に搭載された光ヘッドには、情報記録用のレーザビームとして光波長660nmの半導体レーザアレイが使用されている。また、このレーザ光をレンズNA0.65の対物レンズにより上記光ディスクの記録層上に絞り込み、レーザビームを照射することにより情報の記録を行う。アレイレーザでなく2個以上の個別レーザのビームを所定の位置に導いてもよい。
このような先行ビームによる着色・消色の促進は並列高速記録再生の場合に限らず、層選択後短時間で記録又は読み出し開始が必要な場合に有効である。先行ビームと記録・再生ビームとの2ビームによる、あるいは1ビームでディスク1〜3回転で先行照射し、次の1回転で記録又は読み出しすることが考えられる。続いて電圧を反転させて1回DC光を照射すると消色も促進できる。
本実施例の記録媒体では、記録マークとそれ以外の部分とで約2:1の光反射率のコントラスト比が得られた。コントラスト比がこれ以下になると、再生信号のノイズによる揺らぎが上限値の9%を越えてしまい、実用的な再生信号品質の範囲を外れる。透明電極にSiOを含有させて(SiO40(In55(SnOとすると、屈折率が低下して光学的に有利になり、コントラスト比は2.5:1以上にできた。
エレクトロクロミック材料層あるいは別途設けたカルコゲナイド材料層の非晶質化によって記録する場合は、消去は、印加電圧を下げ、レーザ光を連続照射することによって非晶質領域を結晶化させて行う。消去もパルスレーザ照射を行い、どの記録パルスよりも広いパルスを繰り返して消去しても良い。
記録された情報の再生も上記光ヘッドを用いて行う。再生すべき層を記録時と同様に予備加熱により着色させ、レーザビームを記録されたマーク上に照射し、マークとマーク以外の部分からの反射光を検出することにより、再生信号を得る。
多数ビームの場合、各ビームの焦点位置が必ず別々の層の上にある必要は無く、例えば2ビームずつ同じ層上に記録・再生しても良い。本実施例の多数ビームを用いる方法は本発明の装置構造以外の電圧層選択方式光ディスク装置に対しても有効である。
複数ビームの場合、各ビームの再生信号は必要が有れば多重化手段(合成手段)により、時系列的な1つの信号に復元される。複数の読み出しビームの各ビームを時系列的に高速パルス照射すれば、この時系列化が容易になる。この再生信号の振幅をプリアンプ回路により増大させ、8−16復調器では16ビット毎に8ビットの情報に変換する。以上の動作により、記録されたマークの再生が完了する。以上の条件でマークエッジ記録を行った場合、最短マークである3Tマークのマーク長は約0.4μmとなる。記録信号には、情報信号の始端部、終端部に4Tマークと4Tスペースの繰り返しのダミーデータが含まれている。始端部にはVFOも含まれている。信号変調方式として8−16変調以外を用いることももちろん可能である。
実施例9では、印加電圧と反射率変化と記録再生信号の関係について述べる。
(媒体の構成)
本発明の情報記録媒体の構成は、具体的には以下のとおりである。トラッキング用の溝を有する基板上に、第1の透明電極層、エレクトロクロミック層、電解質層、第2の透明電極の順で製膜したものを、光学的、あるいは熱的に必要が有れば透明電極間にスペーサー層を挟んで繰り返し2組以上積層する。エレクトロクロミック層と電解質層の積層順は逆でもよい。
(記録・消去・再生)
本発明の記録媒体を用いることにより、どの層にもオートフォーカスとトラッキングの両方が可能になるため、1つのレーザを用いた光ヘッドで多層の記録と再生が可能である。このようにして目標の層だけ十分に着色した状態で記録・再生を行う。記録は高パワーレーザ照射した場所だけ熱によって着色機能が失われる、または着色が遅くなることによって行われた。
記録はレーザ光、及び/又は電流の作用によって、膜のエレクトロクロミック作用を失わせ、電圧を印加しても発色しない、あるいは記録前と異なる吸収スペクトルを持つようにして行う。逆に発色が強まることにより記録されても良いが、電圧を0にするか逆電圧をかけた時は記録していない部分と光学的に同じ状態になって、記録が見えないようにする必要が有る。
(反射率特性)
この媒体を用い、電圧印加時の着色状態及び消色状態の反射率,記録部の反射率を調べた。
x層の情報面を有する情報記録媒体の光入射側の情報面をLx層,一番奥の情報面をL0層と定義する。ここで層間クロストークが一番大きくなるのは,Lx層に信号が記録された状態で,L0層を着色して再生を行う場合である。層選択式多層媒体では、特許文献3に示されるような層間距離の大きな従来型の多層媒体と異なり,絞込みレンズの焦点深度内に複数層が存在し,また情報面1層あたりの透過率が大きく,層間クロストークの低減が重要である。
そこで,情報面が5層ある媒体にて、着色状態の反射率Rcと消色状態の反射率Re,記録部の反射率Rmを変えながら,調べたところ,図48,49に示す結果が得られた。5層以外の媒体においても、同様の結果が得られた。Lx層の信号漏込みが十分小さい範囲である,クロストーク−30dB以下の領域は,図48(A)より低いところ,図49(B)で囲まれた領域となる。つまり,式(1)で示される反射率条件を満たす場合,層間クロストークの影響が実用上問題ないレベルにできることがわかった。
クロストークがー30dBより大きくなると、層間クロストークの影響でジッタが1%以上悪化する。
(Re−Rm)/(Rc−Rm)≦0.03 (1)
但し、安定に情報面にフォーカスするために、式(2)(3)も満たすことが必要である。
Re<Rc (2)
Rm<Rc (3)
ここで、上記式(1)(2)(3)を満たすような、着色状態のRc、または,消色状態のReとなるような電圧を印加するようにしてもよいし、記録部の反射率Rmとなるような記録パワーで記録するようにしても良い。
次に,印加電圧と反射率の変化を調べた結果を図50,51に示す。図50(a)の印加電圧Eが低い場合は,着色状態と消色状態の反射率変化Rcdは小さいが,(b)のように印加電圧Eが適当な値になると,反射率変化Rcdが十分大きくなる。印加電圧Eが大きすぎる場合は,(c)に示されるように,着色状態から完全な消色状態へ戻ることができずに,反射率変化Rcdが小さくなってしまう。3種類の媒体(Disk X,Y,Z)について印加電圧と反射率変化の関係を調べた結果を図51、表1〜3に示した。Esは,反射率変化が生じはじめる電圧値である。Disk Xは、上記エレクトロクロミック材料にWO3を80nm、電解質材料にTa2O5を420nm、DiskYはエレクトロクロミック材料にWO3を80nmとIrOxを50nmの2層を電解質材料Ta2O5、140nmの両側に設け、DiskZはDiskXと同じ材料だが、電解質材料の膜厚を140nmにした点が異なっている。
(表1)
印加電圧E(V) 反射率変化Rcd (%)
0 0
5 0
7 1
10 9
12 13
15 19
18 20
20 17
23 4
25 0
30 0
(表2)
印加電圧E(V) 反射率変化Rcd (%)
0 0
0.5 0
1 0
1.5 3
2 10
3 20
4 23
5 24
6 21
7 9
8 3
9 0
10 0
(表3)
印加電圧E(V) 反射率変化Rcd (%)
0 0
0.5 0
1 0
1.5 0
2 1
3 10
4 16
5 21
6 22
7 18
8 5
9 0
10 0
このように,3種類(DiskX,DiskY,DiskZ)の膜構造の媒体で調べた結果,
Es x 1.5 ≦ E ≦ Es x 3.0 (4)
の範囲で電圧を印加すれば,反射率差を大きくとれ,繰返し変化を大きく生じさせることが出来ることがわかった。従って、電圧印加により、層選択をする際は、上記(4)式を満たすようにすれば良い。0及び/または好ましい電圧範囲の情報は,媒体または,記録再生ドライブに記載されていることが好ましいが,媒体をドライブに挿入した際に,調べて求めてもかまわない。
さらに,記録時の記録パワーPwと反射率の変化を調べた結果を図53、表4に示した。コントラスト比Modは式(4)に従い算出した。ここでRmは記録部反射率、Rcは着色状態反射率である。
Mod=(Rc-Rm)/Rc x 100 (%) (5)
(表4)
記録パワー 記録部反射率 着色状態反射率 コントラスト比
(mW) (%) (%) (%)
5 20 20 0
10 19 20 5
15 12 20 40
20 4 20 80
25 2 20 90
30 0.5 21 98
40 1 21 95
記録パワーPwが低い場合は,記録部の反射率は十分さがらず,反射率差が小さく信号振幅も小さい。記録パワーが適当な値になると,反射率変化が十分大きくなり,信号振幅が十分取れるようになる。
このように,PwがPw0x2 以上でコントラスト比が75%となり好ましく,Pw0x2.5以上でコントラスト比が90%となるより好ましいことがわかった。
Pw0 x 2.0 ≦ Pw (6)
ここで、Pw0は、10mWである。
Pw0及び/または好ましい記録パワー範囲の情報は,媒体または,記録再生ドライブに記載されていることが好ましいが,媒体をドライブに挿入した際に,調べて求めてもかまわない。
また,ここでは図52に示されるような2値の記録波形を用いた。ボトムPbのレベルはリード光のレベルと同じまたはそれより高い。Pwレベルのパルス幅Twpは,ボトムレベルのパルス幅Tbp以上とすると記録感度の点で好ましい。パルス幅比は記録マーク形状に合わせて調整するが,記録時の線速度が速い場合はTbpが0でも良い。
本実施例に記載されていない、媒体構成、材料、製法、記録方法、再生方法、装置等については、実施例1〜8、10〜14と同様である。
実施例10では、エレクトロクロミック層間隔と記録再生特性の関係について述べる。以下に、本願の媒体についてさらに詳細に説明する。
(媒体の製法)
この媒体は次のようにして製作された。まず、直径12cm、厚さ0.6mmで表面にトラックピッチが0.615μmで深さ約70nmのランド・グルーブ記録用のトラッキング用の溝(幅0.615μm)を有し、トラック1周を複数のセクターに分割して各セクターの始まりにピット列によってアドレス、同期信号などを表したヘッダー部を持ち、溝のウォブルによってクロックが表現されたポリカーボネート基板を用いた。DVD−RAMの基板とほぼ同様な基板である。この基板を用いたのは必ずしも最適であるというわけではなく、DVD+RWの基板やHD−DVDの基板や、サンプルサーボフォーマット基板でもよい。
図63に示したように、上記ポリカーボネート基板601上に、まずITO(In−Sn-O)電極層602を膜厚100nm、次に、WO3からなるエレクトロクロミック層603を80nm、Ta2O5からなる電解質層604を140nm、ITO(In−Sn-O)電極層605を100nm、あとは同様に繰り返してエレクトロクロミック層606、電解質層607、電極層608、エレクトロクロミック層609、電解質層610、電極層611、の順にITO透明電極で両側を挟まれた記録層を3層積層した。記録層は3層以上でも2層でもかまわないが、ここでは簡単のため3層媒体で説明する。また、記録層中のエレクトロクロミック層は1層でも複数層でもよい。ここでは1層の場合で説明する。電極層は記録層ごとに1対ずつあっても、隣接記録層で電極層を兼ねてもよい。ここでは、兼ねた場合の構成で説明する。さらにこの上に内周部に内径(直径)15mm、外径41mmの、表から裏へ電極が貫通した基板、外周部に内径約41mm外径120mm厚さ0.6mmのポリカーボネート基板613を紫外線硬化樹脂の接着剤層612を介して貼り付けた。光はこの張合せ保護板側から入射させた。
全ての層はスパッタリングにて形成したが、真空蒸着やイオンピレーティング、レーザ蒸着で形成してもよい。スパッタリングで形成したのは、膜厚制御の精度が高く、均一な膜が製膜できるためである。
本発明の情報記録媒体は層間隔が小さいため、記録時の熱が他の層へ影響しないか調べた。記録を行うエレクトロクロミック層間にある、電極層の厚さを変化させながら、記録時の熱シミュレーション結果及び膜間材料のストレス測定結果を図54及び表5に示した。記録膜間距離は,記録を行っている情報面の記録層の端から,隣接している情報面の記録層の端までの距離をいう。隣接記録膜温度は,隣接している情報面の記録層における最高温度を示している。ストレスは、150nmの場合を1として比較した。
(表5)
記録膜間距離(nm) 隣接記録膜温度(℃) ストレス
0 3300 0
25 2760 0.2
50 2160 0.3
115 1500 0.8
150 1160 1.0
180 1000 1.3
300 400 2
500 200 3
1000 50 7
これからわかるように,記録層間距離が大きくなるほど,熱の影響が少なくなるが、ストレスが増加することがわかる。記録開始温度の1000℃となると、隣接情報面の記録後にノイズが2dB以上高くため、層間距離115nmより小さくする必要があることがわかる。ストレスが大きすぎないためには、500nm以下が好ましい。従って、ストレスと隣接記録膜温度を考慮すると、記録膜間距離は、180nm以上500nm以下が好ましい。図中に斜線で示した範囲である。より好ましくは,180nm以上300nm以下である。115nm以上180nmより小さい範囲では,隣接情報面の1回の記録ではノイズ上昇は見られなかったが,約10回記録を行うと約2dBのノイズ上昇が生じ、膜のストレスは2倍以下に押さえられる。
本実施例に記載されていない、媒体構成、材料、製法、記録方法、再生方法、装置等については、実施例1〜9、11〜14と同様である。
実施例11では、エレクトロクロミック層と電極層の形状を変える製造方法により再生特性、生産性を向上させた例について述べる。
実施例4から7に記載の情報記録媒体の外周部についても、図55に示すように、基板500上に電解質層503、506、509、512形成後にマスクを取替えるまたは形状変化させ、次に形成する電極層504,507、510、513の端がエレクトロクロミック層及び電解質層の端より内周方向になるように形状変化させてを製膜した。このように、エレクトロクロミック層と少なくとも1層の電極層の形状を変えたところ、上下電極間、例えば電極501と電極504、電極504と電極507など、の導通による着色ミスが半分以下に減り,歩留まりを向上出来た。
なお、図中、500は基板、501、504、507、510、513は電極層、502、505、508、511はエレクトロクロミック材料層、503、506、509、512は電解質層である。
また、図56に示すように電極層形成後にマスクを取替えるまたは形状変化させ、エレクトロクロミック層502、505、508、511及び/または電解質層503、506、509、512を電極層501、504、507、510が完全に被さるように製膜したところ、より信頼性があがるため,段差を半分にすることが出来、情報を記録できる面積が増え、容量を増加させることが出来る。膜端の必要段差は,マスクの精度にも依存するが,少なくとも電極間の距離,つまりエレクトロクロミック層と電解質層の合計厚さより大きい必要があった。
さらに,段差をつけるだけでなく,次のようにして絶縁層を設けるとプロセスとしては1工程増えるが,導通ミスの割合が減った。
この媒体は次のようにして製作された。まず、直径12cm、厚さ0.6mmで表面にトラックピッチが0.615ミクロンで深さ70nmのランド・グルーブ記録用のトラッキング用の溝(幅0.615ミクロン)を有し、トラック1周を複数のセクターに分割して各セクターの始まりにピット列によってアドレス、同期信号などを表したヘッダー部を持ち、溝のウォブルによってクロックが表現されたポリカーボネート基板を用いた。DVD−RAMの基板とほぼ同様な基板である。
図57に示したように、上記ポリカーボネート基板521上に、内周部に直径16mmのマスクを付けてAg94PdCu半透明反射層522を膜厚20nmに形成した。Ag−Pd−Cu層の代わりに、Ta2O5とSiO2の2層以上の積層膜を、光の干渉を利用して反射率を高めた透明反射層として用いても良い。透明反射層を用いると、上記の基板側から光を入射させる場合にも光が減衰せずに記録層に達する。この反射層が、サーボ用レーザビームがフォーカスされるサーボ層である。図において縦・横の寸法比および、グルーブが有る記録領域とそれより内周側の領域との寸法比は正確ではない。次に膜の凹凸形状を安定させるためのダミー層である、Ta2O5層53、ZnS・SiO2層523、Ta2O5層524を形成した。次にITO透明電極525を100nm、内周マスクの直径を4mm広げて、かつ内径40mm、外径120mmの外周マスクを付けてZnS・SiO2絶縁保護層527を直径20mmから40mmの範囲に100nm,内周マスクの直径を1mm大きくし、外周マスクを除去してWO3エレクトロクロミック材料層528を100nmとTa2O5固体電解質層529を100nm、ITO透明電極530を100nm、あとは同様に繰り返して保護層、エレクトロクロミック材料層、固体電解質層、ITO透明電極、保護層、エレクトロクロミック材料層、固体電解質層、ITO透明電極、保護層、エレクトロクロミック材料層、固体電解質層、ITO透明電極の順にITO透明電極で両側を挟まれた記録層を4層積層した。各保護層は内周マスクの直径だけを4mmずつ広げて外周マスクは同じものを用いて製膜した。ZnS・SiO2絶縁保護層は、上部のITO層と固体電解質層との間に入れても良い。エレクトロクロミック材料層や固体電解質層にピンホールが生じにくい製膜装置を用いる場合は、保護層形成を省略しても良い。
なお、図中、521は基板、522は半透明金属電極層、523〜525はダミー層、526は透明電極層、527は絶縁保護層、528はエレクトロクロミック材料層、529は固体電解質層、530は透明電極層である。
内周マスクの半径を上記のように順次広げるには、図58に示したように、直径の異なるマスクをスパッタ装置内で直線的に送り、ディスク基板の内周部に位置させるようにする方法か、図59に示したように、料理に使う落とし蓋のように多数の連結した変形扇形のピースから成る外径可変マスクをディスク基板の内周部に設置し、連結の両端に近いピースの外周寄りの部分の一方に取り付けたピンをスリットに沿ってのみ動けるようにし、他方を矢印のように駆動して外径を変えても良い。なお、これら変形扇形のマスクはスリットを持ち、スリットに共通で通したボルトがディスク中心位置に固定されている。これらの駆動は、真空外から真空内に導入したアームとワイヤによって行う。図59のマスクは各ディスク基板に取り付けて基板とともにスパッタ室からスパッタ室へ搬送するのが基本的使い方である。外周マスクが必要な場合は、カメラのレンズ絞りと同じ機構の、外枠から出ているレバーを円周方向に動かして内径変更操作するマスクを用いる。図59のマスクは、図58の方法の内周マスクとして使うこともできる。図58の方法は、1つのスパッタ室に複数のターゲットを持つ研究用のスパッタ装置などに適合する方法である。図58の方法ではスパッタ室の中央を横断し、ディスク基板のすぐ近くを通るように設けた橋だけでは長さが足りないので、両側に真空槽の内壁に沿う湾曲部532および533を設けた。外周マスク538,539(予備)と、内周マスク534〜537(模式的に4枚だけ描いてある)では橋への取り付けアームの形状が違い(図の上側から取り付けと下側から取り付け)、ディスク基板540の上をぶつからずに交差して通過可能になっている。従って、内周と外周の両方をマスクして製膜可能である。なお、図58中、531はマスク移動用の橋、532はマスク移動用の橋の湾曲部、533はマスク移動用の橋の湾曲部、534、535、536、537、538、539は外周部のマスク、540はマスクである。また、図59中、541〜548はマスクの羽根、549はピン移動用スリット、550はピン、556は基板、557は電極層、558はエレクトロクロミック材料層、559は電解質層である。
これらの結果に示されるように、このように外周部においても膜の平面形状を変化させることによって,電極間の導通による着色ミスが減り,歩留まりを向上させることが出来た。
記録層は2〜3層、5層以上でもかまわないが、ここでは簡単のため4層媒体で説明した。また、記録層中のエレクトロクロミック層は1層でも複数層でもよい。ここでは1層の場合で説明した。電極層は記録層ごとに1対ずつあっても、隣接記録層で電極層を兼ねてもよい。ここでは、兼ねた場合の構成で説明した。
本実施例に記載されていない、媒体構成、材料、製法、記録方法、再生方法、装置等については、実施例1〜10、12〜14と同様である。
実施例12では、透明電極層の材料を変えた例について述べる。
前記透明電極層の材料としては、再生波長における透過率が高いものが好ましい。(In(SnO1−xの組成で、xが5%から99%の範囲の材料、抵抗値の面でより好ましくは、xが90%から98%の範囲の材料、これにモル%で50%以下のSiOを添加したもの、SnOにモル%で2から5%のSbなどの他の酸化物を添加したもの、などの既知の透明電極材料が使用可能である。
また,405nmなどの短波長レーザで再生を行う媒体用には,抵抗がやや高いが短波長における透過率の高い,ZnO混合物が好ましい。InとZnOを混合させた透明電極層において、ZnOモル比と波長400nmにおける透過率,シート抵抗の値を 表6 に示した。シート抵抗値は(In90(SnO10膜を1とした。
(表6)
透明電極層のZnOモル比(%) 透過率(%) シート抵抗
0 76 1
10 79 1.5
20 80 2.1
30 82 2.3
50 83 3.0
70 86 3.5
80 88 4.1
90 90 4.9
100 90 10
これからわかるように、ZnOが10モル%以上、90モル%以下の範囲が透過率が大きくなる効果と抵抗が小さくなる効果が見られ、好ましいことがわかった。20モル%以上、80モル%以下の範囲だと透過率が大きくなり、抵抗も小さくできより好ましい。
本実施例に記載されていない、媒体構成、材料、製法、記録方法、再生方法、装置等については、実施例1〜11、13〜14と同様である。
実施例13では、電極層の膜厚と電圧印加時の特性ついて述べる。
電圧印加速度や着色率は、電極層膜厚や電極からの距離に影響する。これは、トラッキングのための凹凸溝が刻まれた基板上に膜を形成するためである。図60に示されるように基板556上に電極層557、エレクトロクロミック層558、電解質層559、電極層557と順番に積層していくと、基板の凹凸にならって膜が形成される。すると、図中の(c)で示された部分で、電極層の膜厚が薄くなっているため、着色ムラが生じていることがわかった。そこで、電極層膜厚Deと基板凹凸高さDgを変えて着色ムラを調べたところ、図61に示されるように、電極層膜厚が厚い場合つまりDe≧Dgの関係にある場合は、引出電極からの距離の大きい外周部においても着色ムラは見られなかったが、電極層が薄い場合、つまりDe<Dgの関係にある場合は、外周部において反射率低下による着色ムラが生じた。このように、電極層と基板凹凸高さの関係をDe≧Dgとすれば、着色ムラを防ぐことができ、内周から外周の広い範囲において安定にサーボがかけられることがわかった。
本実施例に記載されていない、媒体構成、材料、製法、記録方法、再生方法、装置等については、実施例1〜12、14と同様である。
実施例14では、記録再生を行うレーザ入射面と電圧供給用電極面の位置を変えた例について述べる。
実施例8に記載の媒体及び装置において、記録再生を行うレーザ入射面と電圧供給用電極面の位置が異なる場合について検討した。ディスク受け部分(円板)に接続するディスク回転モーターの回転軸の内部の表面付近を通って、5層までの多層ディスクに対応できるように6本の分離した電線が上記ディスク受けの電極に接続されている。各電線が、上記の同心円状の3個ずつのピン電極に接続されている。ディスク回転軸の各電線には図62に示したように複数のブラシとリングとの組み合わせの電圧伝達機構により記録装置の回路基板より給電した。各リングからは回転軸内をディスク受け部分に向かって各リングからの配線が上がっていく。ブラシとリングの場合、その部分の回転軸をできるだけ細くし、直径5mm以下、より好ましくは3mm以下として、線速度を小さくすれば、磨耗を抑制することができ、長寿命化できる。この場合、その部分に回転方向以外の力がかからないよう、その部分の上下(横置きの場合は左右)を軸受けで支える構造とした。ブラシは、1電極ごとに独立としても良いが、ここでは6本をまとめて1枚のバネ板状とした。このようにまとめる方法では、50電極程度の多数電極になっても相互干渉無く安定に動作できる。ブラシとリングとの組み合わせの代わりにボールベアリングを用いてもよい。ボールベアリングにはカーボン微粉を混合した導電性グリースを充填して導電性を向上させた。電圧伝達機構(給電方法)はレーザーまたはLEDと太陽電池との組み合わせによる非接触式など、他の方法を用いても良い。電圧伝達機構はディスク回転モーターのディスク側に有っても、反対側に有っても良い。反対側の方がトルクを要求されないので、軸を細くしやすいというメリットが有るが、モーター下部にスペースが必要である。なお、図62中、560は基板貫通金属ピン、561はバネ入り金属ピン電極、563は導線、564,565は回転軸先端のバネ入り電極、566はディスクの同心円電極、567は透明電極層、568は同心円電極、569は導電性材料、570は基板、571はディスク受け、572は固定リング兼導線通路、573はモーターのケース、574は円筒状リング群、575はブラシ群、576は給電線、601は基板、602,605、608、611は電極層、603、606、609はエレクトロクロミック材料層、604、607、610は電解質層、612は接着剤層、613は保護基板である。
記録・再生レーザー光は、製膜した基板側から入射させた。基板側からのレーザ光照射の場合、先に述べたように複数膜よりなる透明反射層を用いるのが好ましい。基板表面に金属反射層を設けず、最上部にグルーブ等の凹凸の転写層を設け、必要が有れば金属反射層を設けるのが良い。波長の異なる2つのレーザビームを用いる場合、サーボビームである一方のレーザ光(例えば波長660nmを反射し、他方のレーザは透過するように透明反射層を設計するのが好ましい
本実施例に記載されていない、媒体構成、材料、製法、記録方法、再生方法、装置等については、実施例1〜13と同様である。
本発明の1実施例の情報記録媒体の断面図。 本発明の1実施例の多層ディスク記録再生装置のディスク取り付け部分付近の回転軸中心線を通る面での断面構造を示す図。 本発明の1実施例の多層ディスク記録媒体の一部の記録トラックに直角方向の断面構造を示す図。 本発明の1実施例の真空製膜する多層ディスク記録媒体の一部の記録トラックに直角方向の断面構造を示す図。 本発明の多層ディスク記録再生装置のディスク受け部分のバネ入りピン電極の配置を示す図。 実施例で比較した情報記録媒体の断面図。 本発明の1実施例の放射状内周引き出し電極を持つ多層ディスク記録媒体と記録再生装置の構成を示す図。 本発明の1実施例の多層ディスク記録再生装置の着色・消色原理を示す図。 本発明の1実施例の多層ディスク記録再生装置の着色・消色スイッチング回路から書く層にかかるパルス電圧を示す図。 本発明の1実施例の多層ディスク記録再生装置の螺旋状グルーブと、グルーブウォブリングおよび記録状況を示す詳細図。 本発明の1実施例の高透過率Te低酸化物相変化記録層を用いた多層ディスク記録媒体の断面構造を示す図。 本発明の1実施例の多層ディスク記録媒体の分割された内周同心円電極を示す図。 本発明の1実施例の多層ディスク記録再生装置のディスク取り付け部分付近の図。 本発明の1実施例の情報記録媒体の断面図。 本発明の1実施例のマスク構造(a)を示す図。 本発明の1実施例のマスク取り付け部分を示す断面図。 本発明の1実施例のマスク構造(a)を用いた情報記録媒体の電極を示す図。 本発明の1実施例のマスク構造(b)を示す図。 本発明の1実施例のマスク構造(b)を用いた情報記録媒体の電極を示す図。 本発明の1実施例のマスク構造(b)を用いた情報記録媒体の電極を示す図。 本発明の1実施例のマスク形状を示す図。 本発明の1実施例の情報記録媒体の断面図。 本発明の1実施例のマスク中心軸を示す図。 本発明の1実施例のマスク取り付け部分を示す断面図。 本発明の1実施例のマスク取り付け部を示す図。 本発明の1実施例のマスク形状を示す図。 本発明の1実施例の記録再生装置のを示す図。 本発明の情報記録媒体作製装置の一例概略図。 本発明の1実施例の情報記録媒体の断面図。 本発明の1実施例の多層ディスクの断面構造を示す図。 本発明の1実施例の多層ディスク記録再生装置のディスク取り付け部分付近の回転軸中心線を通る面での断面構造を示す図。 本発明の1実施例の多層ディスク記録再生装置のディスク取り付け部分付近の回転軸中心線を通る面での断面構造を示す図。 本発明の多層ディスクの単一電源から各層への順次間歇電圧印加の方法を示す図。 本発明の1実施例の多層ディスク記録再生装置のディスク取り付け部分付近の回転軸中心線を通る面での断面構造を示す図。 本発明の1実施例の多層ディスク記録再生装置のブラシの接触面を動かす機構を示す図。 本発明の多層ディスク記録再生装置のディスク受け部分のバネ入りピン電極の配置を示す図。 本発明の多層ディスクにマルチレーザービームで高速記録・再生する構成を示す図。 本発明の1実施例の情報記録媒体の断面図。 本発明の1実施例の多層ディスク記録再生装置のディスク取り付け部分付近の回転軸中心線を通る面での断面構造を示す図。 本発明の1実施例の多層ディスク記録再生装置の接触位置を動かす機構を持った電圧伝達リング群とブラシ群の側面図。 本発明の1実施例の多層ディスク記録再生装置の各層に電圧を印加するスイッチング回路の構成を示す図。 本発明の1実施例の多層ディスク記録再生装置の螺旋状グルーブと、グルーブウォブリングおよび記録状況を示す詳細図。 本発明の1実施例の多層ディスク記録再生装置のリング群とブラシ群の接触位置を動かす機構の位置ズレ修正回路の構成を示す図。 本発明の1実施例の多層ディスク記録媒体のピット部またはROMディスクの記録トラックに沿った断面の構造およびピット配列の情報が読み出せる原理を示す図。 本発明の1実施例の多層ディスク記録再生装置のディスク取り付け部分付近の回転軸中心線を通る面での断面構造を示す図。 本発明の1実施例の多層ディスク記録再生装置のディスク取り付け部分付近の回転軸中心線を通る面での断面構造を示す図。 本発明の1実施例の多層ディスク媒体の内周部の透明電極引き出し部の配置の1例を示す図。 本発明の実施例の反射率と層間クロストークの関係を示す図。 本発明の実施例の層間クロストークが低減できる反射率範囲を示す図。 本発明の実施例の印加電圧と反射率変化の関係を示す図。 本発明の実施例の印加電圧と反射率変化の関係を示す図。 本発明の実施例の記録波形を示す図。 本発明の実施例の記録パワーと反射率の関係を示す図。 本発明の実施例の記録層間距離と隣接記録膜温度の関係を示す図。 本発明の実施例の膜端における構造断面図。 本発明の実施例の膜端における構造断面図。 本発明の実施例の膜端における構造断面図。 本発明の実施例の製造時の置き換え式可変形状マスクを示す図。 本発明の実施例の製造時の落し蓋形可変形状マスクの駆動方法を示す図。 本発明の実施例の基板段差と膜厚の関係を示す図。 本発明の実施例の引き出し電極からの距離と反射率ムラの関係を示す図。 本発明の実施例のクランプ経由で電圧印加を行う方法を示す図。 本発明の実施例の媒体の積層構造を示す図。
符号の説明
1: 基板
2: 反射層
3: ダミー層
4: 透明電極
5: エレクトロクロミック材料層
6: 固体電解質層
7: 透明電極
11: 基板
12: 半透明反射層
13: 下地層
14: 透明電極層
15: エレクトロクロミック材料層
16: 固体電解質層
17: 透明電極層
21:張り合わせ基板
22:透明電極
23:同心円の金属層
25、26:裏面電極
27:金属ピン
41:モーター
42:回転軸
43:透明電極
44:ディスク受け(ディスク載置部)
45:回転軸を回転軸先端に向かう導線
46:電極
47:スリップリング式電圧伝達機構
52:ディスク受け内部をバネ内蔵ピン電極に向かう導線
53:バネ内蔵ピン電極
54:電極
55:ピン電極
56:ディスク押さえ
57:基板
58:引き出し電極
59:ブラシ群
61:基板
62:半透明反射層
63:ダミー層
64:透明電極
65:エレクトロクロミック材料層
66:固体電解質層
67:スペーサー層
71:基板
72:半透明反射層
73:ダミー層
74:透明電極
75:エレクトロクロミック材料層
76:固体電解質層
80:ディスク受け
81:同心円
82:バネを内蔵する1つまたは複数のピン電極
83:回転軸先端
121:放射状電極
122:多層記録層
123:基板
124:透明電極
125:固体電解質層
126:導電性有機材料より成るエレクトロクロミック材料層
127:記録層
128:電圧印加手段
129:光ビーム
171、172、173、174、176、171‘、172’、173‘、174’、176‘:分割された電極
177: 穴
191: 基板
192: 半透明反射層
193: ダミー層
194: 保護層
195: Te−O−Pd記録層
196: 保護層
201: 基板
202: 金属反射層
203: 第1の透明電極
204: 第1の記録層
205: 第2の透明電極
206: 第2の記録層
207: 第3の透明電極
208: 第3の記録層
209: 第4の透明電極
210: 第4の記録層
211: 中心軸
212: 羽板
213: 押さえバネ
214: 突起
215: 台
216: 板バネ
217: 窪み
218: ボール
219: バネ
220: マスク
221:固定具
222: ビス
223:モーター
224:電圧伝達機構
225:電線
226:回転軸
227:導線
228:ディスク受け
229:バネ内蔵ピン電極
230:アームバー
231:透明電極
232:ターゲット
301: 基板
302: 反射層
303: 透明電極
304: エレクトロクロミック材料層
305: 固体電解質層
306: 保護層
307: 透明電極
311:基板
312:透明電極層
313:導電性材料
314:張り合わせ基板
315:同心円電極
316:貫通金属ピン
318:導線
319:ディスク押さえに配置されたバネ内蔵金属ピン
320:貫通金属ピン
321:回転軸に沿った導線
322:ディスク押さえの同心円電極
323:ディスク押さえ
324:ディスク受け
325:回転軸先端のバネ入り電極
326:ディスクの同心円電極
327:ディスク押さえを支えるアーム
328:ボールベアリング
329:各透明電極
330:接続部分
331:回転軸
339:回転軸
340:導線
341:ディスク受けのバネ入りピン電極
342:透明電極
343:導電性材料
344:ディスク押さえ
345:ディスク貫通金属ピン
346:ディスクの同心円電極
347:ブラシ群
348、348':ディスク受け
349:円筒状スリップリングのリング群
357:円筒状スリップリングのリング群
358:導線
359:ディスク押さえのバネ内蔵ピン電極
360:基板貫通電極
361:回転軸
362:ボールベアリング
363:ディスク押さえ
364、364':ディスク受け
365:同心円電極
366:導電性材料
367:スリップリングのブラシ群
368:アーム
369:透明電極
370:リング群
371:巻取り軸
372:巻取り軸
373:テープ状ブラシ群
374:ローラー
375:給電用ブラシ群
376:旧電線
380:ディスク受け
381:同心円目印または同心円電極
382:バネ内蔵ピン電極
383:回転軸
391:エレクトロクロミック材料層
392:透明電極
393:基板
394:基板
396:基板
397:反射層
398:透明電極
399:エレクトロクロミック材料層
400:固体電解質層
401:透明電極
405:導電性材料
406:透明電極
407:基板貫通電極
408:バネ入り金属電極
409:導線
410:モーター
411:円筒状リング群
412:ブラシ群
413:回転軸
414:ディスク押さえ
416:ローラー
418:ブラシ群
419:ローラー
420:リング群
421:引き出し電極
422:記録層群
423:基板
424:透明電極
425:固体電解質層
426:エレクトロクロミック材料層
427:記録層
428:電源
429:レーザー光
430:エレクトロクロミック材料層
431:透明電極
432:ピット
433:電源
435:同心円電極
436:導電性材料
437:ボールベアリング
438:導線
439:バネ入り金属ピン電極
440:透明電極
441:回転するブラシ群
442:静止円筒状リング群
443:ディスク押さえ固定部
444:基板貫通金属ピン
445:回転軸
446:ブラシ群取り付け棒兼導線通路
447:ディスク押さえ
448:ディスク受け部
449:ドライブ装置固定アーム兼導線通路
450:ディスク押さえ取り付けリング兼導線通路
451:導電性材料
452:導線
453:バネ入り金属ピン電極
454:基板貫通金属ピン
455:同心円電極
456:ブラシ群取り付け棒兼導線通路
457:ブラシ群
458:モーターのケース
459:ディスク押さえ
460:円筒状リング群
461:固定リング兼導線通路
462:回転軸
463:透明電極
464:給電線
471:第1の透明電極のディスク内周部への引き出し部
471':第1の透明電極の第2の引き出し部
472:第2の透明電極のディスク内周部への引き出し部
472':第2の透明電極の第2の引き出し部
473:第3の透明電極引き出し部
473':第3の透明電極の第2の引き出し部
474:第4の透明電極の引き出し部
474':第4の透明電極の第2の引き出し部
475:第5の透明電極の引き出し部
475':第5の透明電極の第2の引き出し部
476:第6の透明電極の引き出し部
476':第6の透明電極の第2の引き出し部
477:ディスクの中心穴
500:基板
501、504、507、510: 電極層
502、505、508、511: エレクトロクロミック材料層
503、506、509、512: 電解質層
521: 基板
522: 半透明金属電極層
523〜525: ダミー層
526: 透明電極層
527: 絶縁保護層
528: エレクトロクロミック材料層
529: 固体電解質層
530: 透明電極層
531: マスク移動用の橋
532: マスク移動用の橋の湾曲部
533: マスク移動用の橋の湾曲部
534、535、536、537、
538、539: 外周部のマスク
540: マスク
541〜548: マスクの羽根
549: ピン移動用スリット
550: ピン
556:基板
557: 電極層
558: エレクトロクロミック材料層
559: 電解質層
560:基板貫通金属ピン
561:バネ入り金属ピン電極
563:導線
564,565:回転軸先端のバネ入り電極
566:ディスクの同心円電極
567:透明電極層
568:同心円電極
569:導電性材料
570:基板
571:ディスク受け
572:固定リング兼導線通路
573:モーターのケース
574:円筒状リング群
575:ブラシ群
576:給電線
601:基板
602,605、608、611: 電極層
603、606、609: エレクトロクロミック材料層
604、607、610: 電解質層
612:接着剤層
613:保護基板。

Claims (56)

  1. 傾斜のある凹凸形状が繰り返し形成された基板と、
    複数の記録層と、
    前記基板から離れた記録層は、ほぼ円弧状の繰り返し、または底辺のないほぼ三角形状の繰り返しの形状であることを特徴とする情報記録媒体。
  2. 前記記録層の1部に記録マークが形成されることを特徴とする請求項1記載の情報記録媒体。
  3. 前記基板から離れた記録層の凹凸高さは、前記基板の凹凸高さの0.5倍から0.9倍の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の情報記録媒体。
  4. 凹凸形状を有する基板に、基板電位をマイナス方向に動かすバイアス電圧を印加しながらダミー層をスパッタリングにより形成するステップと、
    前記ダミー層上に記録層を形成するステップとを有することを特徴とする記録媒体の製造方法。
  5. 前記記録層を形成するステップは、複数あることを特徴とする請求項4記載の記録媒体の製造方法。
  6. 凹凸形状を有する基板に、第1の膜を塗布するステップと、
    前記塗布した第1の膜に、エネルギーを照射するステップと、
    前記第1の膜上に、記録層を形成するステップとを有することを特徴とする記録媒体の製造方法。
  7. 前記記録層を形成するステップは、複数あることを特徴とする請求項6記載の記録媒体の製造方法。
  8. 前記エネルギーを与えるステップは、前記基板の凹領域に前記第1の膜を凹形状に形成するステップであることを特徴とする請求項6記載の記録媒体の製造方法。
  9. 前記エネルギーを与えるステップは、前記基板の凹領域に対応する前記第1の膜に、光ビームを照射するステップであることを特徴とする請求項6記載の記録媒体の製造方法。
  10. 前記記録層を形成するステップの後にも前記基板の凹領域に対応する前記第1の膜に、エネルギーを与えるステップがあることを特徴とする請求項6記載の記録媒体の製造方法。
  11. 前記第1の膜は、ダミー層であることを特徴とする請求項6記載の記録媒体の製造方法。
  12. 前記第1の膜は有機膜であることを特徴とする請求項6記載の記録媒体の製造方法。
  13. 基板上に、マスクを介して、前記マスクで覆われた領域が第1の開口部となるように、第1の記録膜を成膜する第1のステップと、
    前記マスクの大きさまたは前記マスクと基板との相対位置の少なくとも何れかを変化させる第2のステップと、
    前記第2のステップの後、前記第1の記録膜が形成された前記基板上に、前記マスクを介して、前記マスクで覆われた領域が第2の開口部となるように、第2の記録膜を成膜する第3のステップとを有し、
    前記第2の開口部は、前記第1の開口部と大きさまたは形状が異なることを特徴とする多層記録媒体の製造方法。
  14. 前記マスクは略円盤状であり、前記第1のステップでは第1の平均直径を有し、前記第3のステップでは前記第1の平均直径とは異なる第2の平均直径を有することを特徴とする請求項13記載の多層記録媒体の製造方法。
  15. 前記第1のステップと前記第3のステップは、スパッタリングまたは蒸着により成膜するステップであることを特徴とする請求項13記載の多層記録媒体の製造方法。
  16. 更に、第3のステップの後に、前記マスクの大きさまたは前記マスクと基板との相対位置の少なくとも何れかを変化させ、前記マスクを介して、第3の記録膜を成膜するステップを有することを特徴とする請求項13記載の多層記録媒体の製造方法。
  17. 前記マスクは、窪み部が設けられた略円盤状であり、前記第1のステップと前記第3のステップでは、窪み部と前記基板との相対位置が変化することを特徴とする請求項13記載の多層記録媒体の製造方法。
  18. 前記第1のステップと前記第3のステップは、1つの装置内で行われることを特徴とする請求項13記載の多層記録媒体の製造方法。
  19. 基板を設置するための台と、
    前記基板上に成膜する材料からなるターゲットと、
    前記ターゲットをスパッタリングして、前記基板上に成膜させる手段と、
    前記台と前記ターゲットとの間に設けられたマスクとを有し、
    前記マスクは、その大きさが可変であることを特徴とする媒体製造装置。
  20. 前記マスクは複数の羽を有し、前記複数の羽の重なり具合によって、その大きさが変化することを特徴とする請求項19記載の媒体製造装置。
  21. 中心に穴を有する基板と、
    前記基板上に、前記基板の穴上が第1の開口部になるように形成された第1の記録膜と、
    前記第1の記録膜上に、前記第1の開口部上が第2の開口部となるように形成された第2の記録膜とを有し、
    前記第1の開口部の形状と、前記第2の開口部の形状が異なることを特徴とする多層記録媒体。
  22. 前記第1、第2の開口部は、前記基板の中心部に向かって凸部を有し、
    前記第1の開口部における凸部の位置と、前記第2の開口部における凸部の位置が、ずれていることを特徴とする請求項21記載の多層記録媒体。
  23. 前記第1,第2の開口部の凸部は、それぞれ複数あることを特徴とする請求項22記載の多層記録媒体。
  24. 前記第1の開口部と前記第2の開口部は、凸部を除く平均直径がほぼ等しいことを特徴とする請求項22記載の多層記録媒体。
  25. 更に、第2の記録膜上に、前記第2の開口部上が第3の開口部となるように形成された第3の記録膜を有し、前記第3の開口部の平均直径は前記第2の開口部の凸部を除く平均直径と異なることを特徴とする請求項22記載の多層記録媒体。
  26. 前記第1、2の記録膜は、電圧を印加することにより透過率または反射率が変化する記録膜であり、更に、前記第1,第2の記録膜の間には、前記第1,第2の記録膜に電圧を印加する電極膜が設けられていることを特徴とする請求項21記載の多層記録媒体。
  27. 前記第1,第2の開口部内に、前記電極膜が露出していることを特徴とする請求項21記載の多層記録媒体。
  28. 中心に穴を有する基板と、
    前記基板上に、前記基板の穴上が第1の開口部になるように形成された第1の記録膜と、
    前記第1の記録膜上に、前記第1の開口部上が第2の開口部となるように形成された第2の記録膜とを有し、
    前記第2の記録膜上に、前記第2の開口部上が第3の開口部となるように形成された第3の記録膜とを有し、
    前記第1の開口部の平均直径と前記第2の開口部の平均直径との差は、前記第2の開口部の平均直径と前記第3の開口部の平均直径との差よりも大きいことを特徴とする多層記録媒体。
  29. 回転軸と、
    前記回転軸に固定されたディスク載置部と、
    前記ディスク載置部に載置されるディスク状記録媒体を押えて固定し、ディスク状記録媒体と一体となって回転するディスク押え部と、
    前記ディスク載置部のディスク接触面に露出し、前記ディスク載置部に載置されるディスク状記録媒体の記録層を挟む電極と接触する複数の接触電極と、
    電源と、
    前記電源に接続され、前記複数の接触電極に給電する導電路とを備えることを特徴とする情報記録装置。
  30. 回転軸と、
    前記回転軸に固定されたディスク載置部と、
    前記ディスク載置部に載置されるディスク状記録媒体を押えて固定し、ディスク状記録媒体と一体となって回転するディスク押え部と、
    前記ディスク押え部のディスク接触面に露出し、前記ディスク載置部に載置されるディスク状記録媒体の記録層を挟む電極と接触する複数の接触電極と、
    電源と、
    前記電源に接続され、前記複数の接触電極に給電する導電路とを備えることを特徴とする情報記録装置。
  31. 請求項29又は30記載の情報記録装置において、前記複数の接触電極は前記ディスク接触面から突出する方向に付勢されていることを特徴とする情報記録装置。
  32. 請求項29又は30記載の情報記録装置において、前記回転軸中又は回転軸表面に前記導電路が設置されていることを特徴とする情報記録装置。
  33. 請求項29又は30記載の情報記録装置において、前記ディスク押え部中に前記導電路が設置されていることを特徴とする情報記録装置。
  34. 請求項33記載の情報記録装置において、前記回転軸と接して接触位置が長手方向に可動な細長い導体を有し、当該導体が前記導電路の一部を構成していることを特徴とする情報記録装置。
  35. 請求項29又は30記載の情報記録装置において、前記接触電極はピン状又は帯状の電極であり、前記ディスク載置部に載置されるディスク状記録媒体の記録層を挟む電極と直接又は他の導電性物質を介して接触することを特徴とする情報記録装置。
  36. それぞれが一対の電極で挟まれた電圧印加によって発色する複数の記録層を有するディスク状記録媒体を回転軸に固定されたディスク載置部に設置するステップと、
    前記ディスク載置部に載置されたディスク状記録媒体を、当該ディスク状記録媒体と一体となって回転するディスク押え部により押えて固定するステップと、
    前記ディスク載置部のディスク接触面あるいは前記ディスク押え部のディスク接触面に設けた複数の接触電極から前記複数の記録層のうちの1つの記録層を挟む一対の電極に、間に挟まれている記録層が発色する向きの電圧を印加するステップと、
    前記ディスク状記録媒体に光照射し、前記電圧を印加されている一対の電極に挟まれた記録層に選択的に情報を記録するステップとを有することを特徴とする情報記録方法。
  37. 請求項36記載の情報記録方法において、前記電圧印加によって発色する記録層はエレクトロクロミック材料を含むことを特徴とする情報記録方法。
  38. 請求項36記載の情報記録方法において、前記選択的に情報を記録する記録層以外の記録層を挟む電極対に、間に挟まれている記録層の透過率が増大する向きの電圧を印加することを特徴とする情報記録方法。
  39. 請求項38記載の情報記録方法において、複数の電極対に対して時分割的に電圧を印加することを特徴とする情報記録方法。
  40. 請求項36記載の情報記録方法において、前記接触電極はピン状又は帯状の電極であり、前記ディスク載置部に載置されるディスク状記録媒体の記録層を挟む電極と直接又は他の導電性物質を介して接触することを特徴とする情報記録方法。
  41. 一対の透明電極とその間のエレクトロクロミック材料層及び固体電解質材料層の組を複数組とそれらを挟む2枚の基板を有し、これら2枚の基板のうち一方が基板を貫通又は基板の中心穴近傍を迂回するピン状又は帯状の導電性材料より成る導電路を有し、それらがそれぞれ直接又は他の導電性材料を介して上記透明電極のいずれかに電気的に接続されていることを特徴とする情報記録媒体。
  42. エネルギーを照射することによって、情報を記録する情報記録媒体であって、
    基板と、前記基板上に形成された、電極層、エレクトロクロミック層、電解質層の組合せからなる記録層を、複数有し、
    前記記録層の、ある1層の着色状態の反射率Rc、消色状態の反射率Re、前記記録層に記録された部分の反射率Rmの関係が、式(1)(2)(3)を満たすことを特徴とする多層光ディスク。
    (Re−Rm)/(Rc−Rm)≦0.03 (1)
    Re<Rc (2)
    Rm<Rc (3)
  43. エネルギーを照射することによって、情報を記録する情報記録媒体に、
    基板と、前記基板上に形成された、電極層、エレクトロクロミック層、電解質層の組合せからなる記録層を、複数有し、
    前記記録層の、ある1層の着色状態の反射率Rc、消色状態の反射率Re、前記記録層に記録された
    部分の反射率Rmの関係が、式(1)(2)(3)を満たすようにして、情報を記録することを特徴とする情報記録方法。
    (Re−Rm)/(Rc−Rm)≦0.03 (1)
    Re<Rc (2)
    Rm<Rc (3)
  44. 前記式(1)(2)(3)を満たすような、前記着色状態の反射率Rcとなる電圧を印加して、前記情報を記録することを特徴とする請求項43記載の情報記録方法。
  45. 前記式(1)(2)(3)を満たすような、前記消色状態の反射率Reとなる電圧を印加して、前記情報を記録することを特徴とする請求項43記載の情報記録方法。
  46. 前記式(1)(2)(3)を満たすような、前記記録層に記録された部分の反射率Rmとなる記録パワーで、前記情報を記録することを特徴とする請求項43記載の情報記録方法。
  47. エネルギーを照射することによって、記録・再生する情報記録媒体に、
    基板と、前記基板上に形成された、電極層、エレクトロクロミック層、電解質層の組合せからなる、複数の記録層を有し、
    電圧印加により前記記録層の選択を行う際、反射率変化開始電圧Esの1.5倍以上、3倍以下の電圧を印加する記録再生方法。
  48. 前記複数の記録層のうちの何れかの記録層に記録を行う際、記録開始パワーの2.0倍以上のパワーで記録を行うことを特徴とする請求項43記載の情報記録方法。
  49. 前記複数の記録層の記録膜間距離は、180nm以上500nm以下であることを特徴とする請求項1記載の情報記録媒体。
  50. 前記複数の記録層の記録膜間距離は、180nm以上500nm以下であることを特徴とする請求項21記載の情報記録媒体。
  51. 前記複数の記録層の記録膜間距離は、180nm以上500nm以下であることを特徴とする請求項41記載の情報記録媒体。
  52. 前記第1の記録層は、電極層と、電解質層と、エレクトロクロミック層からなり、
    前記第2の記録層は、電極層と、電解質層と、エレクトロクロミック層からなり、
    前記第2の記録層の電極層の末端が、前記第1の記録層の電極層、電解質層、エレクトロクロミック層よりも、内周側になるように形成されていることを特徴とする請求項21記載の情報記録媒体。
  53. 前記第1の記録層は、電極層と、電解質層と、エレクトロクロミック層からなり、前記電解質層とエレクトロクロミック層の少なくとも何れかは、前記電極層よりも外周側に突出していることを特徴とする請求項21記載の情報記録媒体。
  54. 前記第1の記録膜と前記第2の記録膜との間に、前記媒体の外周側で、絶縁膜が設けられていることを特徴とする請求項21記載の情報記録媒体。
  55. 前記電極は、ZnO含有量が10モル%以上90モル%以下であることを特徴とする請求項41記載の情報記録媒体。
  56. 前記基板は凹凸形状を有し、前記凹凸の段差よりも前記透明電極の膜厚が厚いことを特徴とする請求項41記載の情報記録媒体。
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